好評御礼!吹き替えの日、次は8月29日実施
およろこびください、恒例の「吹き替えの日」、8月はかなり貴重なタイトルをそろえましたよ!
と、本題に入る前にチャンネルからのお知らせ。当チャンネルをスカパー!でご覧になっているお客さんも多いかと思いますが、スカパー!では現在、「スカパー!アワード2008」なるイベントを実施中で、これ、
「8日6日より10月31日までの期間に一般投票を行い、10ジャンル100番組の中から人気番組を選出し、上位番組を表彰する日本最大級の番組・企画の祭典です」
という趣旨。いろんなチャンネルが参加するなか、不肖ザ・シネマも「吹き替えの日」を引っさげて参戦しますんで、スカパー!でご視聴の皆さん(じゃなくても参加可)、投票よろしくお願いしますね!(この吹き替え特集の存続と、担当者のクビがかかってるかも )
閑話休題。8月29日の「吹き替えの日」ラインナップは、こんな感じです。
『カサンドラ・クロス』 ソフィア・ローレン
此島愛子、リチャード・ハリス
日下武史
『十二人の怒れる男』 ヘンリー・フォンダ
内田稔、ジャック・ウォーデン
青野武
『デストラップ・死の罠』 マイケル・ケイン
堀勝之祐、クリストファー・リーヴ
池田秀一
『鷲は舞いおりた』 マイケル・ケイン
広川太一郎、ロバート・デュヴァル
鈴木瑞穂
『ポセイドン・アドベンチャー2』 マイケル・ケイン
堀勝之祐、テリー・サヴァラス
森山周一郎
『チャイナ・シンドローム』 ジェーン・フォンダ
小原乃梨子、ジャック・レモン
中村正
全6本中、『カサンドラ・クロス』、『鷲は舞いおりた』、『チャイナ・シンドローム』、『デストラップ・死の罠』の4本がDVDに日本語吹き替え音声未収録(≒見ようと思ってもなかなか見れない)。
どうですかお客さん!どれもこれもかなり貴重でしょう?と自画自賛。これでご満足いただけないなら
そうですねぇ、次回10月の吹き替えの日ラインナップに乞うご期待です!
今回はその上、あの伝説のムック本ご推薦のタイトルが2本ふくまれてます!伝説のムック本とはもちろん、『別冊映画秘宝VOL.1 吹替洋画劇場』のこと。
今から10年ほど前、TV洋画劇場からは水野晴郎、高島忠夫そして淀長翁があいついで姿を消し、世はまさに「寒い時代だと思わんか?」時代に突入。
でも当時は、寒いともなんとも思わなかったんですねぇ。その前、80年代末ぐらいからレンタル屋がすっかり広まったおかげで、「映画はレンタルで、ノーカット字幕版を借りてきて見る」のが当たり前だし、映画ファンとしても正しい見方なのである!と信じて疑いませんでましたから。TV洋画劇場なんてすっかり見なくなってた。
そんな時代に、70年代、80年代のTV洋画劇場の吹き替えって味があったよなー、ということを最初に再発見し、TV版吹き替え素材をはじめてポジティブに評価したのが、定期刊行化する前の、初期ムック時代の『映画秘宝』でした。これには僕も目からウロコが落ちましたね!
こんにち当チャンネルが往年のTV吹き替え版をやたらお宝あつかいしてるのも、実は『映画秘宝』の薫陶を先方に無断で勝手に受けた気になっちゃってるからなのだということを、ここらでカミングアウトしちゃいましょう。
で、その『映画秘宝』が平素くりかえしてきた吹き替え賛歌を一冊の本にまとめたのが、前記の『別冊映画秘宝VOL.1 吹替洋画劇場』っていうムック本なのです。これはまず、吹き替えマニア座右の書と言っていいシロモノ。
この本で推薦されてる、今回当チャンネルで放送する2本というのが、『十二人の怒れる男』と『デストラップ・死の罠』なんです。
ことこの2本にかんしては、吹き替えの妙があるとか味があるとか以前の問題で、サスペンスである、だから吹き替えで見なきゃ分からんだろう、というのが『吹替洋画劇場』の主張の核心部分なんですな。
これも言われてみればおっしゃる通り。丁々発止のかけ合いを楽しむ会話劇(これが『デストラップ』)や、おおぜいの登場人物がディスカッションし、場合によっては何人かが同時にしゃべってるような法廷ドラマ(こっちが『十二人の怒れる男』)って、字幕で見るにはどう考えてもムリありません?
人が目で追える、読みきれる文字数には限界があるので、字幕は本来のセリフをギリギリ必要最少限までハショってますし、まして2人以上が同時にしゃべる状況にはまったく対応不可能。そういう映画を100%楽しむためには、英語のヒアリング力がネイティヴなみにあって字幕に頼る必要がないか、いさぎよく吹き替えで見るかの二者択一しかないのです。
そう言われれば僕も、法廷シーンが見せ場でもある『JFK』をレンタルで字幕で見た時は、話の展開にまったくついていけず、面白くもなんともなくて「なんつうクソ映画だ!」と自分のバカを棚に上げて逆ギレしていたところ、後日、吹き替え版を見て「っていうかコレ傑作じゃん!」と評価を一変させた覚えがあり、以降、JFK暗殺は軍産複合体の勢力による陰謀・クーデターだったと信じきってます(別の意味でもっとバカ)。
さて、『デストラップ』と『十二人の怒れる男』、その吹き替え版がどんだけ凄いことになってるかは、当チャンネルで本編を見るのとあわせて『吹替洋画劇場』を読んでもらうとして、同誌が触れていないタイトルの中で、これも大傑作です、というのを最後にザ・シネマとしてお薦めしましょう。
それは『チャイナ・シンドローム』です。この中村正(ジャック・レモン役)は凄いです!
これ、原発事故を描いた社会派パニック・サスペンス映画です。
すごくハショって言いますと、原発で大事故一歩手前の深刻なトラブルが起こったことがきっかけで、ジャック・レモン演じるそこの原発の制御室長が、会社に黙って独自の原因究明をはじめます。
そして、ついに、手抜き工事のためいつまた事故が再発してもおかしくない、という驚愕の事実をつきとめます。でも会社は隠蔽しようとする。それをマスコミに内部告発しようとした矢先、恐れていた2度目のトラブルが発生! 原子炉が異常な振動をはじめます。
そんときのテンパりっぷりが実に素晴らしい! 声は裏返り、何を言っているのか聞き取れない(この場合は良い意味で)。あの『奥さまは魔女』の「奥さまの名前はサマンサ、旦那様の名前はダーリン」という優しげなナレーションの声が、またはデヴィッド・ニーヴンの英国紳士風の声が、ここまで支離滅裂に壊れるとは 。
「まただ!また始まったぁー、よせーっ!! やめてくれー!! 早く止めるんだー!やめてくれーやめてくれやめろやめろぉ、また始まったんだーアレがー、どうしてなんだドウシテーッッ!みんなどうかしてるんだーっ、早く手を打てヘーっ、見ろっ言わんこっちゃないじゃないかー、誰かー!だから言ったのにー、あダー、早くタモヌフゥ(ここらへん意味不明)、これでもうダメだ、もうダメだモウダメダモウダメダ、バカヤローーっッ!!!」
この鬼気せまる感は、文字ではダメですね。実際に聴いてもらうしかありません。それと、このシーンは演出も素晴らしい!
にしても、原発がブッとぶ時の人間の絶叫・悲鳴はこれ以外にない、という狼狽っぷりは、名優ジャック・レモン本人の演技より、中村正の声の方がハッキリ言って一枚も二枚も上。さすがは、吹き替え史の生き証人的な大ベテラン中の大ベテランです。
吹き替え史に残る名盤だと思います。必見・必聴ですぞ!
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(編成部 飯森盛良)
※『別冊映画秘宝VOL.1 吹替洋画劇場』は洋泉社ムックから定価本体 1500円 + 税で好評発売中








