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2009年を大胆予想?理想と現実のギャップを楽しめる『フリージャック』

SF。近未来。アクション。
上記のジャンルで名作・秀作はもちろんたくさんあります。
でも、2008年流行語大賞に選ばれた「アラフォー」に押され、すっかり陰の薄くなった「アラサー」の独身女性、すなわち(ちなみに厄年)が仕事帰りについつい手を伸ばしてしまうのは、「そうよね! 人生って捨てたモンじゃないよね、オー!」みたいな自分への応援歌的な作品だったりします。
SFや近未来ものは設定が複雑だったりすると、仕事や世間の荒波で疲れた私の脳はショートしてしまうからです。

 

しかし、当チャンネルが新年の幕開けと同時にお届けする『フリージャック』は必見です。しかも2009年に観ることに意味がある。
なぜなら、舞台が「2009年」だからです!

 

ストーリーはエミリオ・エステベス演じるF1レーサーのアレックスがレース中に事故ってしまい、その衝撃で2009年にタイムスリップ。そこで彼が見たものは富める者が若く健康な肉体を買いあさり、自らの魂を移入し肉体を移動しながら生き存えることが可能な世界だった…というトンデモナイ時代。

 

フリージャック.jpg

映画が公開されたのが1992年(劇中は1991年)なので、「17年後にはこうなっていると思われてたのね…、フムフム。」というのがこの『フリージャック』という映画の正しい楽しみ方のひとつなのです。個人的意見ですが。
ね、観たくなったでしょ?

ところで、アレックス役のエミリオ・エステベス。そう、父親が『地獄の黙示録』のマーティン・シーン、弟は『プラトーン』のチャーリー・シーンというのはご存知のはず。さらに年下の弟と妹も俳優といういわゆる芸能一家。日本でいうと松本幸四郎一家みたいなもんで、由緒正しいのです。

 

さらに忘れちゃいけない映画の見どころを、もうひとつご紹介しましょう。
な、な、なんと!あのミック・ジャガーが出演しております。ミック・ジャガーと言えば泣く子も黙るローリング・ストーンズのカリスマボーカルです。
そのミックが主人公を執拗に追いかけまわす悪役を熱演しています。
ミックのタラコ…いや筋子並のクチビルだけでも一見の価値有りです、ハイ。

 

話を『フリージャック』に戻しましょう。
主人公のF1レーサー、アレックスがレース中にダイビングクラーーーーッシュ!!!死んだと思われたアレックスは2009年11月23日(勤労感謝の日)にタイムスリップ。訳のわからないアレックスは恋人だったジュリーのマンションにとりあえずダッシュ。しかしジャックが訪れた家には、すでに別の家族が住んでいたのです。
そこに状況をまったく把握できてないアレックスが「あぁジュリー! 僕のジュリー!」と泣きつくものですから、完全に不審者扱い。そのうえ、背後で怯えてた奥さんがなぜかジュリーの名前に反応して、「キャー!フリージャックよ!」と叫びだしたのです。

 

「な、なぬ?フリージャック?」

 

フリージャック・・・もちろん2009年に現役で生きてる私(アラサー)なら当然知ってるわ!と言いたいところですが、ウソ、知りません。

 

フリージャックってなに? 誰かアレックス(と私)に教えてあげて!と祈りつつ行方を見守っていると、見ず知らずの尼さんから、この時代ではお金持ちが若い肉体を買い、自分の魂を注入してさらに長生きできちゃうのだと聞かされます。どうやらフリージャックとは精神(魂)を他の肉体に移動することのようです。

 

つまり、老いる→ピチピチの肉体を買う→特殊な装置で自分の魂をイン!
肉体が若返るので、記憶はそのままでさらに長生きできちゃうという仕組み。

 

一方、肉体を買収された人は過去の精神データを消去されてしまう、すなわち、実質的な「死」。パソコンのハードディスク、古いしそろそろ交換か?みたいなことが人間で出来てしまうわけです。
いやーーー、2009年にはこんなことができると思われていたんですねー。
本当だったらものすごくコワイ。精神的に抹殺されるなんてダメージがデカ過ぎです!
と、ここまでは分かったものの、じゃあどうしてジュリーの家に住んでいた家族は、「フリージャックよ!」なんて叫んだのでしょう? これが実は周到に張り巡らされた(ってほどじゃないんですけど)映画の伏線になっているのです。

 

その後、かつての旧友に再会したアレックス。この旧友が見るからに完全「負け組」なんですが、「オレはのし上がってキャビアを食ってやるぜ!」というような、彼のチープなアメリカンドリームを聞きつつ、和気あいあいと一緒に食事をしていたわけです。しかもジュリーの居場所に心あたりがあるから教えてやると、嬉しい言葉もかけてくれる。

 

旧友の優しさにアレックスは「やっぱ友情はプライスレス」なんて思っていたのですが、その矢先、銃を片手に武装したロボコップ的な人々がわんさわんさと突入してきて、アレックスを捕まえようと銃を乱射。どうやらフリージャックに必要な装置を扱う大企業「マッキャンドレス社」の手下らしい。そう、コイツ(旧友)裏切ったのです。
なぜならアレックスの体には高額の懸賞金がかけられていたから。その額1000万ドル。
日本円に直すと約90億!!
でも今は円高だから日本の公開当時だと130億くらい。スゲー。

 

さて、物語中の2009年、要所要所にもちろん矛盾アリです。
まず、車。形が変。ビートルをもっと変にした感じ。それから、お金持ちのジュリーの家。
「door」(ドア開く)
「monitor」(テレビ電話のモニター電源オン)
声で家電とか作動しちゃうんです。やるよねー、現実だったらよかったよねー。
「いやいや、これはナシだろ」と突っ込んでもヨシ、「これ、実現してたらよかったのにー」と羨んでもヨシ。こういった楽しみ方も設定が2009年だからできることでしょう。

 

そんなこんなで逃げまどうアレックスと、精神転送のために必要な装置を扱うマッキャンドレス社の幹部、ミック・筋子・ジャガーとの攻防戦のはじまりはじまり。そしてマッキャンドレス社とアレックスには、ある繋がりが…。と、ここまでにして続きは本編で。

 

最後に非常に気になったシーンをひとつ。
終盤にてミック・ジャガー扮するバセンダックが数を数えるシーン。
字幕では「カウント1…2…」ってなってるんですが、ミックは
「ワン ミスィスイッピーーー、トゥーミスィスィッピー」とか言ってる気が。
誰か真相を教えて下さい。

 

描かれた世界の時代に改めて、過去のSFを観る。こんな楽しみ方もあったんですねー。それを教えてくれた『フリージャック』に感謝。
2009年の目標は積極的にSFモノをチェックする、にしようと思います。
そして2009年が皆様にとって良い年になりますように。

 

(映画ライター 三田衣純)

© 1991 Morgan Creek International,Inc.

 

【年末年始放送日】 12月31日正月1日7日ほか

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