マギー・ギレンホールに女もウットリ。『クリミナル』と『セクレタリー』

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 ロサンゼルスで、青年がウエイトレスを相手に言いがかりをつけている。何とも古典的な詐欺で、「え、僕は○○円払ったのに、お釣りこれだけ?」という手口。青年の名はロドリゴ(ディエゴ・ルナ)。根は真面目なのだが、父親が作った借金の返済に追われ、人からお金を騙し取っていた。しかし2人目にターゲットにしたウエイトレスが途中から騒ぎ出したことで、たまたま居合わせ一部始終を観察していた刑事がロドリゴを逮捕する。

 

 残念でした、ロドリゴ。神様は空から見て見てますよ。

 

 なんて思っていたら、いかにも刑事のように振る舞っていた奴が実は詐欺のプロフェッショナル。ロドリゴの素質に惹かれた彼、偽刑事であり、大詐欺師であるリチャード(ジョン・C・ライリー)は、ロドリゴを相棒にスカウトする。

 

 『クリミナル』は日本未公開の作品。

 

 スティーブン・ソダーバーグとジョージ・クルーニーによる制作会社「セクション8」がプロデュースを担い、アルゼンチンで公開された『Nine Queens 華麗なる詐欺師たち』(2000年)をリメイクしたもの。ちなみに『Nine Queens』は、アルゼンチン映画祭で作品賞や監督賞など7部門を受賞したと言う。残念ながら私は存じ上げないのだけど、当時のアルゼンチンにおいては大ヒットした作品だとか。

 

 ソダーバーグといえば、『オーシャンズ』シリーズが、まず思い浮かびますが、私も「かっこいいな〜」って常々見とれていたブラッド・ピットの名やTVCMにつられて観に行ったんだっけ。振り返ってみれば結構ミーハーだったのかも。最近では『チェ28歳の革命』『チェ39歳別れの手紙』。こちらも、主演のベニチオ・デル・トロがスペインのゴヤ賞で主演男優賞をゲットして、ロングランを記録中。

 

 本作は『オーシャンズ』シリーズと同じ「セクション8」の制作ではあれど、前者の華々しさやダイナミックなイメージとはちょっと違う、言わばB級的雰囲気を醸している。

 

 ストーリーは、リチャードとロドリゴが挑む大富豪相手の証券詐欺がメインで話が進むのだが、その陰に隠れて想像以上に大かがりな人騙しと金儲けがひっそりと進行していたのです。単純な私はすっかり騙されてしまい、ラストでちょっぴり悔しい思いを味わいました...。

 

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 その裏側の金儲け作戦において重要な役を担っているのが、リチャードの妹ヴァレリーで、演じているのはマギー・ギレンホール。もう、なんというか、すべてにおいて魅力的。

 

 自身でもあっけらかんと公言しているようですが、客観的に見ても「わぁー、キレイー!私もあんな風に生まれたかったわあ」と憧れる顔立ちだとは申し上げにくく(大女優相手におこがましいですが)、けど彼女の魅力って、それを自分の個性として女優の仕事にポジティブに表していること。「キレイや可愛いのも良いけど、それだけでもないのよ」って、1人の女性としての意識から滲み出ている凜とした雰囲気が素敵です。

 

 外見の茶目っ気とは裏腹に、時に凄まじい色気を放つのが彼女のすごいところ。『クリミナル』で彼女が演じるヴァレリーのような負けん気が強くてずる賢いキャラクターはまさにハマり役。

 

 スクリーンの中で下からゆっくりこちらを見上げられると、怖いのか色っぽいのか、背中がゾクッとしてしまう。こういった魅力のある人こそ、本来の意味で「美しい」女性と言えるのではないでしょうか。

 

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 彼女が一躍脚光を浴びたのは、2002年公開『セクレタリー』。弁護士事務所に務める頼りない秘書、リー役で、雇い主からお仕置きにお尻を叩かれてから彼に恋心が芽生えたリーが女性として成熟してゆくストーリー。この作品で彼女はゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされましたね。

 

 そんな彼女の経歴や演技を見ていてふと思い出したのが、文豪・谷崎潤一郎の処女作で明治43年に発表した『刺青』。ある刺青彫師が長年理想としていた肌を持った女に出逢い、初めは内向的だった女が、彼に入れ墨を彫られ終えた瞬間から強気で大胆な大人の女性に変貌する、という超短編です。

 

 『セクレタリー』で演じたリーが「お尻を叩かれて」女性の魅力に目覚めたように、それまでヒット作に恵まれなかったマギー・ギレンホールにとって、『セクレタリー』への出演は、まさに「刺青」。その後女優として堂々とした道を歩み、昨年には『ダークナイト』のヒロイン役を好演するまでにいたったのです。『クリミナル』はそんなターニング・ポイントとなった映画の約2年後に出演した作品。したたかな程の自信が見える演技は必見です。

 

 本作は決して派手な作品とは言えなくとも、ジョン・C・ライリー、ディエゴ・ルナ、そしてマギー・ギレンホール、このセンターの3人の表情と仕草がすごく細かいから、退屈をすることがないのです。なかなか楽しかった!

 

 鮮やかな犯罪と、仕掛けられたトリックと、少し賀来千香子に似ている(!?)マギー・ギレンホールの女優っぷりに刮目して観て頂きたい。

 

(ライター 韓 奈侑)

『クリミナル』TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.

『セクレタリー』©2002 SECRETARY PRODUCTIONS,LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

 

『クリミナル』4月放送日】 6日8日21日

『セクレタリー』4月放送日】 4日12日29日

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