行ってきました!東京国際映画祭レポート
もうすでにテレビやウェブやらでご覧になっている方も多いかと思いますが、ついに第22回東京国際映画祭が始まりました!
六本木ヒルズをメイン会場に10月17日から25日まで開催される今回の映画祭。ザ・シネマを代表して・・・というわけではありませんが、僕も行って参りました。
映画祭初日はあいにくの曇り空。しかし六本木ヒルズは映画ファンから、たまたま買い物に来ていた方々まで大勢の人が集まる盛況ぶり。
そんななか、夕方から始まったのが初日の目玉とも言えるレッドカーペットならぬグリーンカーペットです。
「Action! For Earht」をキーメッセージにした東京国際映画祭では、約200メートルに及ぶグリーンカーペットの上を300人を超えるスター達が歩きます。その豪華な顔ぶれは以下に掲載する写真を見ていただくだけで、納得していただけるでしょう。
しかもこのカーペット。単純にエコイメージをアピールするためのものじゃありません。カーペットにはペットボトルリサイクル素材が使用されており、約23,000本相当がリサイクルされたことになるらしいです。くれぐれも、
「カーペットを使わないほうがエコなんじゃない?」
なんて野暮はナシでお願いします。
たくさんの人が見守るなかグリーンカーペットは木村佳乃さん、杏さんからの二人からスタート。鮮やかなカーペットの上を俳優・女優たちが歩いてゆく華やかな姿は、まさに映画祭ならでは。
気になるハリウッドスター陣では、ジェームズ・キャメロン監督の待望の新作『アバター』に出演するサム・ワーシントン、シガーニー・ウィーバーが参加。12月18日の公開を前に、映画祭では30分弱のプレゼンテーション版が公開されただけですが、3Dを駆使した驚異の映像がとにかくスゴイです。
そしてグリーンカーペットの最後を飾ったのは、鳩山首相夫妻と『WATARIDORI』のジャック・ペラン監督によるオープニング作品『オーシャンズ』チーム。宮沢りえさんがナレーションを担当する話題作とあって、会場はひときわ盛り上がりました。
余談ですが、このとき鳩山首相が
「エコがテーマの映画祭だから、グリーンカーペット・・・というわけでもないでしょうが、歩いていて非常に楽しかったです」
みたいなお話しをされたんですが、そのコメントを聴いた記者陣はやや困惑気味。いやいや首相! エコがテーマだから、グリーンカーペットなんですよ!と心のなかでツッコミをいれたのはきっと僕だけではないはずです。
で、グリーンカーペットの興奮冷めやらぬ映画祭初日に僕が観たのは、各国の映画祭で大きな話題を集めているという、メキシコ・スペインの合作『人魚と潜水夫』。
東京国際映画祭はグランプリを選ぶ「コンペティション」作品や劇場公開前の大作が観られる「特別招待作品」などいくつかの部門に分かれているのですが、今作は「natural TIFF」部門。その名の通り「自然と人間の共生」をテーマにした作品が並びます。
今作はニカラグアに暮らす原住民ミスキート族の生活を映し出しながら、「死んだ人間の魂が人魚の手によって蘇る」という伝説を、ドキュメンタリーともドラマともつかないタッチで描いた寓話劇。
劇中にはほとんど台詞がなく、たまに話している言葉も字幕がでないためさっぱりわかりません。
物語を知る手がかりは、それぞれの章の冒頭で流れるごく簡単な説明だけ。あとはただただ、ミスキート族の日々の暮らしを追っていきます。しかし、不思議とそれでも映画として成立しているのです。
映画の冒頭で一人のダイバーが溺死し、葬式の様子が映し出されます。そして式の後に村の人々は捕まえてきた海亀を料理してみんなで食べはじめる。おそらくそれはミスキート族にとって死者を弔う儀式なのでしょう。
その後、入れ替わるようにシンドバッドという一人の男の子が生まれるのですが、映画は彼が成長して、ダイバーになるまでを描きます。
前述したように、『人魚と潜水夫』では台詞らしい台詞はほとんどなく、まるでドキュメンタリーとして撮った映像に、あとから物語を載せて作り上げたような印象を受けます。
スクリーンに映し出される映像の一つひとつは人々の生活を映しているだけで、物語を語るためのものではない(ような印象を受ける)のに、それらをつなぎ合わせることで、物語になってしまうという非常に不思議な作品です。もし日本で公開された際には、ぜひご覧になってみて下さい。
ところで、映画ファンなら一度は頭をよぎるのが「映画祭だ映画祭だ!」って言うけど、東京国際映画祭はどんな位置づけなの? ということでしょう。
私見ですが、三大国際映画祭やアカデミー賞などと比べると、格といいワールドプレミアの作品数といい、歴然とした差がありますし、同じくアジア圏で開催される釜山国際映画祭にも、半歩から一歩、リードされている感もあります。
しかし東京国際映画祭は、日本で活躍するトップクラスの俳優・女優たちが一堂に集まる貴重な場所であるのもまた事実。とくに邦画の話題作がいち早く見られるのも大きな魅力でしょう。今年は作家でもある辻仁成とアントニオ猪木の異色コラボが実現した『ACACIA』や、角川晴樹の渾身作『笑う警官』など、ラインナップも充実しています。
加えて今回ご紹介した『人魚と潜水夫』のように、日本で公開されるかどうかわからない、一風変わった映画を観ることができるのも醍醐味です。
とにもかくにも、せっかく日本で毎年開催されている国際的な映画祭なのですから、東京近郊にお住まいの方はぜひ一度訪れてみてください。きっと気になる作品が見つかりますから!
(映画ライター 奥田高大)
『人魚と潜水夫』(c)PRODUCCIONES AMARANTA, LA ZANFON~A PRODUCCIONES










