映画にはさまざまな「バージョン違い」をもつ作品が多い。そして、その存在理由も多様にしてさまざまである。例えば『ゾンビ』のように、公開エリアによって権利保持者が違ったため、各々独自の編集が施されたケースもあれば、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『アバター』のように、劇場公開版とは別の価値を持つものとして、DVDやBlu-rayなど制約のないメディアで長時間版を発表する場合もある。

 『ブレードランナー』もそれらのように、いくつもの別バージョンが存在する作品として有名だ。しかし、先に挙げた作品とは「発生の理由」がまったく異なる。いったいどのような経緯によって、同作にはこうしたバージョン違いが生まれたのだろうか?

 なぜバージョン違いが生まれたのか?

 それは最初に劇場公開されたものが「監督の意図に忠実な作品ではなかった」というのが最大の理由だ。

 映画の完成を定める「最終編集権」は、作品を手がけた「監督」にあると思われがちだ。しかし、その多くは作品の「製作者」が握っており、監督が望む形で完成へと到らないケースがある。『ブレードランナー』もまさしくそのひとつで、1982年に劇場公開された「通常版」は、製作者の権利行使によって完成されたものなのだ。

 当然、それに納得いかなかったのが、監督のリドリー・スコットである。醇美にして荘厳な映像スタイルを自作で展開させ「ビジュアリスト」の名を欲しいままにする希代の名匠。そんな完璧主義の鬼が、自らの意図と異なるものに寛容であるはずがない。そう、もともと『ブレードランナー』は、リドリーの意図に忠実に編集されていたのである。しかし製作側が完成前にテスト試写をおこない、参加者にアンケートをとったところ、以下のような驚くべき意見が寄せられてしまったのだ。

 「映画に出てくる単語や用語が難しい。“レプリカント”って何? そもそも“ブレードランナー”って何なの?」

 「ラストが暗すぎる。デッカード(ハリソン・フォード)とレイチェル(ショーン・ヤング)は、あの後どうなったの?」

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 こうした意見に製作側が戦々恐々となったのは言うまでもない。そして収益に響いては困るとばかりに、編集に修正を加えるのである。「用語が難しい」という問題には、劇中にわかりやすいナレーションを入れることで対応し、そして「ラストが暗い」には、「レイチェルには限られた寿命がなく(レプリカントは4年しか生きられない)、ふたりは生き延びて仲良く暮らしました」とでも言いたげなハッピーエンド・シーンを追加した。

 しかし、今となっては考えられないことかもしれないが、こうした製作側の配慮もむなしく、『ブレードランナー』はヒットには到らなかったのである。

 何が問題だったのか? それは懸念された「内容の難解さや暗さ」ではなく、ダークなセンスこそ光る本作を「SFアクション劇」で売ろうとした製作側の大きな宣伝ミスだったのだ。そして皮肉にも、その退廃的な未来図像や哲学的なストーリーが目の利いた映画ファンから絶賛され、『ブレードランナー』は年を追うごとに注目を集め、マスターピースとしてその名を高めていくのである。


「ディレクターズ・カット/最終版」(1992年)の誕生
 商業性を優先した製作側に、作品を曲解されてしまったとリドリー・スコット監督は考えていた。作品の評価が高まるにつれ、彼は今そこにある『ブレードランナー』が、自分の意図どおりのものでないことにジレンマをつのらせたのである。そして「いつか私の『ブレードランナー』を作る」と、来るべき機会をじっと待っていたのだ。

 そして、ついにその祈願が果たされるときがやってくる。1991年、ワーナー・ブラザースが同作のファンの需要に応え、「通常版」の前のバージョンの公開を局地的に展開していた。そう、リドリーの意向に沿った編集版だ。

 それに対してリドリーは、

 「あの編集バージョンはあくまで粗編集で、未完成のものだ。公開を承認することはできない。これはビジネスの問題じゃなくて芸術の問題だ」

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 と、公開にストップをかけたのだ。そしてワーナーに対し、ある代案を呈示したのである。

「監督である私の意図にしたがい、新たに編集したものならば公開してもいい」。

 この代案が受け入れられ、編集権はリドリーに譲渡される形となった。そしてリドリーは自分どおりの、新たな編集による『ブレードランナー』を発表することになったのだ。それが「ディレクターズ・カット/最終版」である。


「通常版」と「ディレクターズ・カット」、ここを見比べよう!
 監督の意図に忠実な「ディレクターズ・カット/最終版」は、「通常版」に入れられたナレーションをすべて取り払い、そして最後に追加されたハッピーエンド・シーンも削除したバージョンだ。そこには監督の「混沌とした未来像をありのままに受け止めてほしい」という演出プランが息づいている。

 こうした点にこだわりながら、改めて両バージョンを見比べてほしい。ナレーションのない「ディレクターズ・カット/最終版」は、耳からくる情報収集で聴覚を奪われないぶん、視覚を集中して働かせられる。そのため、映像が放つインパクトをより強く受け取ることができるのだ。公開当時、革命的で前代未聞といわれたデッドテックな未来像。その視覚的ショックを、監督の思う通りに実感できるという次第だ。

 さらにリドリーは「ディレクターズ・カット/最終版」に新たなショットを付け加えることで、観客がこれまで抱いてきた『ブレードランナー』の固定観念を覆すことに成功している。それが「森を駆けるユニコーン(一角獣)」のイメージ・シーンである。

 デッカードが見る「夢」として挿入されるユニコーンの映像。それは彼の同僚ガフ(エドワード・ジェームズ・オルモス)が捜索現場に残した「折り紙のユニコーン」と重なり合う。デッカードの脳内イメージを第三者であるガフが知っているということは、「デッカード自身もレプリカントなのでは?」という疑念を観る者に抱かせるのだ。そしてその疑念こそが「ディレクターズ・カット/最終版」の、もうひとつの変更点=“ハッピーエンドの否定”へとリンクしていく。

 「ならば『通常版』は、監督の意図と違うからダメなのか?」

 と訊かれれば、それはノーだ。「通常版」固有のナレーションは、1940?50年代に量産された「フィルム・ノワール(犯罪映画)」や「ハードボイルド小説」のスタイルを彷彿とさせる。『マルタの鷹』や『三つ数えろ』『ロング・グッドバイ』など、主人公が自身の行動や考え、感情をストーリーの流れに沿って口述する文体は、フィルム・ノワール、特にハードボイルド小説の「探偵ジャンル」に顕著なものだ。そうした古来の語り口を介することで、『ブレードランナー』もまた「孤独な主人公が犯罪者を追う」古典的な物語であることを認識させてくれるのである。

 そういう観点からすれば「通常版」は“未来版フィルム・ノワール”として独自の価値を持つものであり、監督が思うほど「ディレクターズ・カット/最終版」に劣るものでは決してないのである。


さらに作品を極めたい?そして「ファイナル・カット版」(2007年)へ
 リドリーは紆余曲折を経て、自分の意向に沿った『ブレードランナー』を世に出すことに成功した。だが、それだけでは満足しないのがアーティストの性(さが)だろう。「さらに極めたものを作りたい」という思いは、完璧主義者としての彼の奥底に深く根を張っていたのだ。

 そうした自身の思いと、多くのファンの作品に対する支持はワーナー・ブラザースを動かした。同社は『ブレードランナー』公開から25周年を迎えるにあたり、改めて同作の権利契約を結び、“究極”ともいえる「ファイナル・カット版」の製作にゴーサインを出したのである。

 「ファイナル・カット版」は、基本的には前述の「ディレクターズ・カット/最終版」をアップデートしたものだ。なので「通常版」→「ディレクターズ・カット/最終版」に見られたような大きな違いはなく、下記のようにディテールの修正が主だった変更点である。

【1】撮影・編集ミスによる矛盾の修正
 撮影ミスや編集ミスで、カットごとに違うものが映し出されるシーン(不統一な看板の文字など)や、または矛盾を生じるセリフの修正などが徹底しておこなわれている。特に代表的なのは、ブライアント(M・エメット・ウォルシュ)がレプリカントに言及するセリフで「(6体の逃亡したレプリカントのうち)1匹は死んだ」としゃべっていたものを、「2匹が死んだ」と変えている場面だ。これはデッカードが追う残り4体のレプリカント(ロイ、ゾーラ、リオン、プリス)の数に合致させるための変更である。

 あるいは修正のために、新たに映像素材を撮影したシーンもある。デッカードに撃たれたゾーラが倒れるシーンで、スタントの代役が如実に分かるミスショットがあるが、ゾーラ役のジョアンナ・キャシディを招いて撮ったアップショットを代役にリプレイスメント(交換)することで解決へと導いている。また人口蛇をめぐってデッカードがアブドルと話すシーンでの、声と口の動きが一致していない問題点には、ハリソン・フォードの実子ベンジャミン・フォード(お父さんそっくり!)の口もとを合成し、同様に解決されている。

【2】特殊効果シーンの一部変更ならびに修正
 オプチカル(光学)による合成ショットのブレや、シーンによって左右反転するデッカードの頬傷メイク、あるいはスピナーが浮上するさいに見える、吊り上げるためのワイヤーなど、ミスや製作当時の技術的な限界を露呈した点がデジタル処理で修正されている。またバックプレート(背景画像)が大きく入れ替えられている部分もあり、たとえばロイの死の直後にハトが飛び去るショットは、前カットとの連続性を持たせるために晴天から雨天へとレタッチされ、下部分に写る建造物も新たにデジタル・ペイントされて、違和感をなくしている。

【3】未公開シーンの挿入
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 デッカードがゾーラを訪ねるシークエンスで、繁華街に登場するホッケーマスクのダンサーなど、未公開だったショットが追加されている。またユニコーンのシーンも1ショット追加され、それにともないデッカードのアップにユニコーンのショットがインサートされる編集処理となり、ユニコーンのシーンはディゾルブ(オーバーラップ)でなくなった。
すべてのバージョンが『ブレードランナー』である !

 そう、1982年の『ブレードランナー』初公開から四半世紀の間に、映画の世界には大きな変革が及んだ。「デジタル技術」の導入により、そのメイキング・プロセスや作品の仕上がりに高いクオリティが与えられたのだ。監督とスタッフは「ファイナル・カット版」作成に際し、オリジナルの本編シーン35mmネガ、そして視覚効果シーンの65mmと70mmオリジナルネガをスキャンしてデジタルデータに変換し、すべての編集や修正をコンピュータベースでおこなっている。

 その結果、同バージョンは「ディレクターズ・カット/最終版」と比較(あるいは「通常版」と比較)しても、とにかく映像の美しさという点で勝っている。デジタルによる高解像度のスキャンによって、これまでの別バージョンに較べて画面の隅々までが明瞭に見えるようになったし、照明効果の暗かった場面の光度や輝度をデジタル処理で上げることで、暗部に隠れた被写体の可視化に「ファイナル・カット版」は成功している。

 また映像面だけでなく、サウンドにおいても微細に加工が施されている。セリフ、効果音、スコアそれぞれのトラックからノイズをデジタルで消去し、それらをリミックスして響きのいい音を提供している。またナレーションを排したために、ところどころで音の隙間が出来てしまった場面においても。スピナー飛行時の通信ノイズや街の雑踏など新たなサウンドエフェクトで補っているのだ。

 こうした丹念な修正作業と、リドリー・スコット監督の執念によって、「ファイナル・カット版」は『ブレードランナー』の“完成型”といえるものに仕上がった。とはいえ、デジタルという態勢下で加工された「ファイナル・カット版」に対し、あくまでフィルムベースで存在する「通常版」「ディレクターズ・カット/完全版」の“映画らしい質感”を称揚する者も少なくない。なにより私(筆者)自身、作家性を重んじる立場から「ファイナル・カット版」に感動しつつも、「最初に劇場公開されたものこそオリジナル」という主義でもあるので、すべてのバージョンを観るたびに心が揺れる。だからどの『ブレードランナー』を支持するかは、観る者の嗜好によって一定ではないだろう。

 しかし、誰がいかなるバージョンに触れたとしても、やはり『ブレードランナー』という作品そのものが持つ「魅力」と「偉大さ」を、改めてすべての人が感じるに違いない。

【3月放送日】
『ブレードランナー』…5日、25日
『ディレクターズカット/ブレードランナー 最終版』…11日、29日
『ブレードランナー ファイナル・カット』…20日、26日
『(吹)ブレードランナー ファイナル・カット』…20日、26日
『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』…5日、20日

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尾崎 一男(おざき かずお)
映画評論家&ライター。「映画秘宝」「チャンピオンRED」「フィギュア王」などに 寄稿。最近の共著として「映画監督 市川崑」(洋泉社)がある。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントでも活躍中。日本映像学会 (JASIAS)会員。

参考資料
(文献)『メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット』ポール・M・サモン著(ヴィレッジブックス・刊)
    『日本版シネフェックス2』特集『ブレードランナー』(株式会社バンダイ・刊)
(映像) Blade Runner The Criterion Collection laser video disc
    『デンジャラス・デイズ:メイキング・オブ・ブレードランナー』
 ジョニデ様が今年もナンバー1

 だったとの知らせに、彼のファンの一人としては、凄ぉ〜く納得の結果で大・大・大満足です!!
  
 彼に投票してくれた方の中から抽選でお贈りする今回のサプライズギフトは、
 ジョニデ御用達♪ニューヨークのジュエリーショップ C'est Magnifique で特注したネックレス!


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 折角ならジョニデとお揃いのアクセサリーが欲しい!
 

 というわけで、早速店主のアルフレドおじさんと電話でおしゃべりです。
 
 「ジョニーから新作のオーダーは入っているけど、彼忙しいからね。具体的なデザインが決まらないまま作業が止まっていてね…」

 と何とも残念なコメント。
 
 「ならば他に女性向きデザインのアクセサリーとかないのかしらぁ」

 と東京のスタッフからの要望に応えるべく、昨年店を訪れた際の遠い記憶の糸をたぐってはみたものの、
女性向きのアクセサリーなんて、さっぱり思いつきません。
 
  というのも、ここのお店、スカルリングでもお分かりの様にゴツイ感じのゴス調のアクセサリーばかり。
女性向き商品自体がほとんどないのです(困)。

 
 今年はこのタイミングでNYへ行くついでもなく、電話口で

 「可愛いのを選んでね」

 なんて曖昧なオーダーを入れたところで、アルフレドおじさんの選ぶそれが、乙女心を掴めるのかは半信半疑…
 
 そんな中、東京のスタッフが別件でNYへの出張が決まった、との朗報が入ってきました。
直接店に足を運んでもらい、数点写真を撮ってきて欲しいと切願したところ、快く引き受けて頂けることに(嬉)。

 
 流石東京のスタッフです。

 よくぞあの店の中から、女子向きの“可愛い”を見つけてくれました!!
 
 革の紐がついたもの、ラベンダー色のストーンがついたもの、ちょっぴりミステリアスなデザインのペンダントヘッド…

 それらは銀座のウィンドウ越しで見つける繊細なものからは程遠いけど、カジュアルな服のアクセントとなる個性的で素敵な商品ばかりです。

 
 迷った末に手にしたのは、鍵の形をしたペンダントヘッド。
 
 憧れのティファニーでも鍵をモチーフにしたアクセサリーがラインアップに加わり大人気!
とのこと。
 
 話題の“鍵”のネックレスを、しかもジョニデ風に、且つ女性らしさを忘れないデザインということで今回のギフトに選びました♪
 
 
 
 想像してみてください。ある日ポストに外国から届く小さな小包。
 
 そんなワクワクを胸に、あなたのホワイトデーがいつもより少し特別な日となることを願って。


リバティーン.jpg 3月のザ・シネマは、3月19日(土)深夜の「シネマ・ソムリエ」枠で、愛と才能に溺れ、33歳で夭折したイギリスの美しき天才詩人をジョニー・デップが熱演した「リバティーン」をお届けします。作品毎に違う顔を見せるジョニーの魅力をお楽しみに!

【3月放送日】 19日24日30日

 3回目を迎えるバレンタイン企画、今年も話題のアイテムが詰まったセレブ感満載のギフトセットをハリウッドから直送便でお届けしましょう、ということで恒例(?)のお仕事という名のショッピングが始動です♪

 

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 向ったのは、やっぱりビバリーヒルズ。目指すはPlanet Blueです。セレクトショップの老舗Fred Segal、瞬く間に店舗を増やし日本への上陸も果たしたKitsonに続いて、今セレブの間で人気なのが、このPlanet Blue

 

 高級住宅地マリブを拠点に、カリフォルニアらしい太陽や海、自然をコンセプトに心地よさを追求した商品を揃えているのが特徴です。サンタモニカやベニスなど南カリフォルニアで店舗数を増やしていることからも、その人気と勢いが伺えます。

 

 ケイト・ハドソンアシュリー・シンプソンミニー・ドライヴァーもここのファンで、買い物する姿が幾度となくパパラッチに撮られています。

 

 今回ギフトとしてチョイスしたのは、同店オリジナルデザインのエコバッグ。まとめ買いしたスーパーマーケットの帰り道も、これを肩にかけたら足取りが軽くなること間違いなし!?

 

 今回はビバリーヒルズ店で調達しましたが、サンタモニカ店も洗練された店が並ぶモンタナアベニュー沿いでとっても素敵。ロスに来たら一度は訪れて欲しいお店の一つです。

 

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 そして定番と言われても、やっぱり外せない、否、外したくないのが下着専門店ヴィクトリアシークレットです。Planet Blueに向ったついでに同じストリートにあるビバリードライブ店に立ち寄ることにしました。

 

 ブランドカラーでもあるピンクの商品に選びたいところですが、今年は少し趣向を変えてライトブルーのヒョウ柄のパジャマとスリッパのセットにしました。柔らかいフランネルの生地が肌に心地よく、しかも暖かいから、まだ寒さが残る春先にもピッタリ。袖は折り返してボタンで留められるので、長袖でも七分袖でも好みに合わせられるのも嬉しいデザインです。

 

 パジャマとスリッパで両手一杯になったので、ひとまずオフィスへ戻ることに。いや〜ショッピング、いえいえ、お仕事って大変だワん♪

 

 昨年好評だったSurly Girlのバッグの様なものを今年もギフトセットに入れたいなぁと雑誌をペラペラめくっていたところ、気になる商品が目に入ってきました。母と娘のコラボで誕生したロサンゼルス発ブランドDeux Luxのバッグです。

 

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「オフィスでは母が一番のお洒落さん」と話す娘のサラさん。親子で大好きな小物のデザインを手掛け、それが形になり人気となるのだから素敵な話ですよね。キラキラしたおおぶりの石を散りばめた財布や個性的な色を採用したバッグが印象的。どれも可愛く、特に若いコの間では大人気とのことですが、気持ちだけは若い!と頑張る私でも欲しくなる商品ばかり。

 

 雑誌Marie ClaireやGlamour等でも紹介され、セレクトショップKitsonでも取り扱っているとのこと、早速ロバートソンブルーバードへ向います。

 

 Deux Luxの商品は店の真ん中に可愛らしくディスプレイされていました。入手したのはピーチ色のバッグ。色々なものが入る大きめな作りが実用的です。

 

 それにしてもKitson、やはり人気があるだけのことはあります。今回久しぶりに足を運びましたが、お洒落感がいやらしく露出しない、さりげない感じだけど、よく見ると細部までこだわっている商品が多い!と改めて感心してしまいました。

 

 気がつけばお昼過ぎ。Kitsonからの帰途、ランチのサラダを買いにオーガニック食品を主に扱うスーパーマーケットWhole Foodsへ立ち寄ることにしました。

 

 1980年にテキサスはオースティンで1号店がオープン以来、健康意識の高い消費者を中心に人気となり、現在では全米で一番ヘルシーなスーパーマーケットとして約300店舗を展開しています。

 

 アンジェリーナ・ジョリーハル・ベリーアンナ・パキンレニー・ゼルウィガーなど、健康志向のハリウッド女優が好んで買い物するスポットとしても知られています。

 

 オーガニック製品につき、お値段が全体的に高め。庶民の私には気軽なスーパーという感じではないですが、生鮮食品だけでなく、ハーブティーや石鹸など体に優しそうなものも沢山おいてあるので、買う物がなくても店内を見るだけでも楽しめます。

 

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 ここで見つけたIllumeのアロマキャンドルがなかなか。グリーンのセラミックの器がいつもの部屋を少しだけセレブな雰囲気に演出してくれるはず。ということで、これをギフトの一つとして購入することにしました!火を灯さずともジャスミンやバラがミックスされた優しい匂いが、日頃の疲れを忘れさせてくれます。

 

 Illumeキャンドルは、Whole Foodsを始め、セレブ御用達高級スーパーGelsons、デパートBloomingdale’s、セレクトショップAnthropologyなど全米4500店以上の小売店で展開。

 

 もともとはビバリーヒルズのショッピングモールで小さな店を開けたのが始まりですが、今ではマドンナシャーリーズ・セロンコリン・ファレルウィル・スミスなどのセレブが愛用するキャンドルブランドとしても知られ、デザインも香りも幅広いラインナップを揃えています。

 

 日本人の好みが最近なんとなく分からなくなりつつある中、東京のザ・シネマのスタッフからのアドバイスをもらいながら、今年も可愛いギフトセットが完成しました!ホワイトデーのサプライズがあなたのところに届きますように。

 イケメングランプリ決定のニュースが東京から入ってきました。


 1位はわたくしも大好きなジョニデに決まったとの朗報に感激です。

 

 でも喜んでいる場合ではありません。早速

 

「彼に縁のあるグッズを探して欲しいワぁ」

 

 と東京スタッフからの無茶ぶりです。

 

 一体ジョニー様は日頃どんなものを身に付けているのかしらん。リサーチしていくと彼のファッションは独自のセンスで、ほとんどがヴィンテージ物。

 

 更に彼の抜群の着こなしがあって、あのお洒落な感じに仕上がるので、ジョニデ”風“な商品はあっても、彼と同じブランドのそれ、がなかなか見つけられません(あっても古い情報ばかり)。

 

 あ〜それにしても彼について調べれば調べる程、やっぱり素敵ですよねぇ。うっとり。

 

 ナンバー1に輝いてしまうのも、心底納得でございます。

 

 ジョニデと言えばアクセサリーを沢山身に付けていることでも知られています。何とかその一つでも彼とお揃いのアクセサリーを手に入れたいところ。

 

 が、これまたどうやら彼はデザインを持ち込んでカスタムメイドしているものが大半の様で、同じものを売っている店なんて見当もつかず。

 

 もはや諦め&投げやりモードになっていると

 

「あ、そういえば、彼はスカルリングを愛用していたわね」

 

 という東京スタッフからの有り難いヒント。

 

 手がかりはニューヨークのどこかで特注オーダーで手に入れたらしい、という何とも曖昧な情報のみ。ここからがリサーチャーの腕の見せ所でございます。

 

 ニューヨーク、スカルリング、ジョニデ、この3つをキーワードにひたすらリサーチです。

 

 そして遂に、遂に、遂に!!!!見つけました。

 彼が購入したというジュエリーショップを。

 ジョニデと知り合いだという店主アルフレッドさんを。

 ジョニデとお揃いのスカルリングを。

 

 その店は、マンハッタンはグリニッチ・ヴィレッジの一角にありました。店の名はC'est Magnifique

 

 ゴス調のちょっぴりごついアクセサリーやアンティーク、シルバー製品を多く扱い、1959年創業以来ヘヴィメタルバンド”メタリカ“のギターリスト カーク・ハメットやパンク・シンガー イギー・ポップ、ハードロックバンド”ヴァン・ヘイレン”のヴォーカリスト デイヴィッド・リー・ロスらを顧客に持ち、カスタムデザインを得意としています。そして我らのジョニデ?もここの常連だそうです。

 

「ロサンゼルスから電話しているんですが、ジョニデとお揃いのリングがここで手に入るって聞いたので」

 

 と言うと

 

それはジムスカルリングのことだね。もちろんあるよ。ジョニーのリングはここで作ったんだよ」

 

 と嬉しい返答が返ってきました。リングそっちのけで

 

「ええええーーージョニーはよく来るの?いつ会えるの?やっぱり彼はカッコいいの?」

 

 と興奮した口調で捲し立てるわたくしに

 

「ふふふ、君もやっぱり女の子だねぇ。彼のことが好きなんだね」

 

 と店主アルフレッドさん。女の子、という年齢からは哀しい程にかけ離れてはおりますが、まぁ電話越しですからね。バレないということで、ここは敢えて訂正はせずに。

 

 スカルの目のところに宝石を入れるとゴツいながらもキュートさもあっていいのでは、ということで、可愛らしく赤いルビーをお願いしました。 実物を見ないで購入するにはちょっと勇気がいるお値段ですが、ニューヨークです。致し方ございません。

 

 とそんな折に、これは単なる偶然か、運命か、神さまからのご褒美なのか。全くの別件の仕事でニューヨークへの出張が決まったのです。このチャンスを逃すわけには参りません。

 

 というわけで暖かなハリウッドを後に、真冬のニューヨークへ向けて出発です。まだ見ぬアルフレッドさんと、ジョニデも通うジュエリーショップを目指して。


 

 ああ、どうか、ジョニーと偶然のご対面ができますように。

 

 マンハッタン。

 

 ロサンゼルスの青空とは対照的に、低く曇った冬空と趣きある町並みの中をイエローキャブで通り抜けていくと、見えてきました、C’est Magnitique。

 

 見逃してしまう程の小さな間口、ウィンドウ越しに飾られたドクロの形をしたアクセサリーの数々。あぁ、ここにジョニデもやってくるのねぇ?

 

 ドアを開けて中に入ると、いました、いました、アルフレッドおじさんが。

 

「ハロー。ロスから飛んできちゃった」

 

 そう言うと

 

「お、その声はロサンゼルスの電話のお嬢ちゃんだね」

 

 そうです、お嬢ちゃんです。店内にはジョニデやイギー・ポップと共に笑顔で写ったアルフレッドさんのスナップ写真が飾られていました。店の裏に工房があり、息子のアルフレッド・ジュニアがシルバーを磨いています。正真正銘、ジョニデ愛用ジムスカルリングはここで作られたようです(嬉)

 

 アルフレッドさんから、リングにまつわるちょっと素敵な話が聞けました。

 

「ジョニーはね、このリングをはめるちょっと前まで仕事もプライベートも、何をやっても上手くいかない時期があってね。最初、映画『パイレーツオブカリビアン』の小道具として制作会社から、ジムスカルリングのオーダーが入ったんだよ。撮影中に衣装として身に付けていたジョニーがえらく気に入ってね、彼直々にカスタムメイドの発注がきたというわけさ。知っての通りあの映画が大ヒットして、以来彼の人生は、公私共にいい方へと動き出し始めたんだ。以来ジョニーはジムスカルリングを両手に一つずつ、はめていることが多いんだよ。このリングには何か幸運を呼び込むパワーがあると彼は感じているんじゃないのかな」

 

 と話すアルフレッドさん。

 

 最近新たにジョニーからアクセサリーの発注がきているとこっそり教えてくれました。まだデザインや材質など細かいところまでは詰めていないということ、詳しいことは聞き出せなかったけれど、近いうちにジョニデのアクセサリーコレクションがまた一つ増えるみたい。

 

「とにかくジョニーはこだわりの男だからね。最終的な発注までにはまだまだ時間がかかると思うよ」

 

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 と言いながらアメリカ人特有の肩をすくめ、やれやれ、な表情ながらも嬉しそうに笑うアルフレッドさん。ジョニデには会えなかったけれど、赤いほっぺたのアルフレッドさんの笑顔に、はるばるニューヨークまでやってきた甲斐がありました。

 

 リングは一つ一つ丁寧に手作りです。シルバーがぴかぴか光っていますが、少し使い込むと味がでてくるのだとか。

 

 大きめサイズでオーダーを入れたので一差指にはめたらキュート。ビバリーヒルズで見つけた可愛らしいハート型のキラキラボックスに入れてハリウッドからあなたの自宅へお届けします。

 

 ジョニデとお揃いのジムスカルリングが、あなたにも幸運をもたらしてくれますように。

 

 今年もこの季節がやって参りました。『バレンタインSP:チョコを贈りたいのは誰? イケメン俳優グランプリ』。

 

 バレンタインデーに合わせて、ザ・シネマでは、チョコを贈りたくなるハリウッドのイケメン・スター8人の作品を特集放送&HP特設サイトで8人の中から「チョコを贈りたい」イケメン俳優を選んで応募すると、ハリウッド直送の素敵な賞品他が抽選でホワイトデーに届く女性限定のプレゼント・キャンペーンを実施します。


 今年のプレゼント・キャンペーン賞品は昨年にも増してパワーアップを目指します!!!

 

 と張り切った発注メールを受信してしまった某日。「ここは“ハリウッドセレブ御用達”の一品で華を添えたいワぁ」と気軽にコメントする東京スタッフの面々。わたくし日頃セレブから程遠い地味な生活をしていますからね、一体何を提案すればよいのやら…。

 

 というわけで、恒例のショッピングスタートです。向かった先は、やっぱりロバートソン・ブルーバード。定番中の定番ですが、とにかく大物の出没率が高いエリア。

 

 中でも有名なスポットがセレブ御用達レストランで知られる“The Ivy”。ここにくれば必ず(?)誰かに遭遇できる、とあってパパラッチが常に目を光らせています。

 2003年には当時結婚間近と噂されていたジェニファー・ロペス&ベン・アフレックが揃ってレストランに現れ大騒ぎとなりました。デミ・ムーア、ブラピ、トム・クルーズ、シャロン・ストーン、ペネロペ・クルス、ティム・バートン監督らが訪れ、故マイケル・ジャクソンもここのファンだったとか。

 映画『ボディーガード』(懐かしい!!)ではホイットニー・ヒューストン演じるレイチェルが、女の子からせがまれたサインに応じるシーンも“The Ivy”が撮影に使われました。

 肝心のお味の方ですが、正直、まぁお値段の割に普通に美味しいというところでしょうか。

 

 “The Ivy”と道を挟んですぐ目の前に“Surly Girl”と書かれた小さな店を発見です。革のカバンや小物アクセサリー、Tシャツなどが飾られ、品揃えは少ないながらもオリジナル感溢れる個性的な商品ばかり。

 ここのパーティーバッグを片手に、レッドカーペットで満面の笑顔をふりまくセレブの写真の数々が店内に飾られているではありませんか。これぞまさに私が求める“セレブ御用達”!!

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 聞くところによると元々ここのバッグ、ゴールデングローブ賞やエミー賞の授賞式で手にする女優さんが多く、あっという間に口コミで人気に火がついたのだとか。

 2005年に店を構え、以来キャメロン・ディアス、ブリトニー・スピアーズ、ビクトリア・ベッカム、パリス・ヒルトンらが“Surly Girl”の商品を手にした写真が度々ゴシップ誌などで掲載されています。

 

 セレブのイメージと言えばやはり華やかなパーティーです。ここは是非“Surly Girl”パーティーバッグをクリスタルの2連ブレスレットとセットでプレゼントしてしまおうではないか!と太っ腹な決定。

 ピンクやグリーンの革のバッグもちょっと変わっていて素敵だったけれど、やはりキラキラしたシルバーに目がいってしまうわたくし。イタリアから輸入した革を使い、アクセントにスワロフスキー社製クリスタルを一つずつ丁寧に埋め込んだハンドメイドのパーティーバッグは、輝きが違います。よし、これを購入してしまおう!

 

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 ところが、ランチついでに下見にきただけだったので財布に持ち合わせがなく出直すことに。閉店間近に再び店を訪ねると取り置きをお願いしていたバッグは銀色の粉が手につくことが判明したので売れません、と言うではありませんか。

 一目惚れした商品です。何としても手に入れたい!平気、平気、大丈夫、銀の粉くらい我慢しますからと食い下がってはみたものの、店員さん、首を縦に振ってはくれません。

「お客さまにお売りする商品は納得のいく品質でなければ」とのこと。偉い!

 こんなこだわりこそが、セレブの心を掴んでいるのかもしれませんね。

 でもご安心を。同じ材質の別のキラキラバッグを調達しました。ちょっとしたお出かけも、これがあればセレブゥ〜に変身できること間違いなしです。

 

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 追加で昨年好評だったランジェリーショップ“VICTORIA'S SECRET”の商品も入れて欲しいと東京スタッフ。どうやらここのボディーミストが日本で大人気とのことで、これを探して!と熱いリクエスト。ふ〜ん。そんなものが流行っているのね。

 うちの若手(?)スタッフから、日本未上陸、季節限定Beauty Rushシリーズのボディーミストがお勧めとの情報を入手したので、早速ビバリーヒルズ店へ向かいます。

 一番人気はパープルボトルのPunchsicle。こちらは在庫切れで入荷待ちですって。

 よくよく考えたら私はもらえないのだから、ここは潔く妥協して別の香りの商品でいいのです。全然構わないのです。さっさと購入して早いところ仕事を片付けてしまえばいいのです。

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 が、んが、売り切れと言われたら、買い物魂に火がついてしまうもの。在庫待ち?上等です。何週間でも待ちましょう。

 

 折角ならここはセットでと、同じPunchsicleのきらきらラメ入りボディークリームも購入です。しかもこちらは在庫有り。ルンルン気分で持ち帰ったら、何とク、ク、クリームが、蓋がパカっと開いて飛び出ちゃっているじゃありませんか!

 ビバリーヒルズからザ・シネマUSオフィスまでの道のりでこんなに簡単に中身がもれてしまっては、海を超えた長旅に耐えられるはずがありません。即返品です。

 アメリカ生活で嬉しいのが、この返品文化。気に入らなければ、すぐに返品も交換も快く応じてくれるところが大半です。そんなわけでクリームの代わりにボディーパウダーをゲットしました。これがまたニクい程に可愛い。キラキラした粉をつけるとほのかに香ります。

パジャマ&スリッパ.jpg
 

 赤やピンクがイメージカラーの“VICTORIA'S SECRET”らしい商品をと、★柄のついたパジャマスリッパもお揃いで選ばせて頂きました。

 これで日本の自宅にいながらにして、アメリカァンな気分でおくつろぎ頂けるはず。なかなか素敵なギフトセットになりました(嬉)。

 

 ショッピング無事終了。

 

 いや〜自分のものにならない買い物程寂しいものはございません。

 

 

 

 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 オフィスに戻ると再びの指令メール。今年は営業キャンペーン用にもギフトを用意したい、ということ。はい、はい。じゃあ同じものを追加調達ですね。お易い御用でございます。

 

 え?「豪華版で、セレブ御用達で、Surly Girlとかぶらない別の商品だと嬉しいワぁ」と、またしても気軽なコメントの東京スタッフ。だから何度も言いますが、庶民派なわたくしの対義語はセレブリティーです(困)。

 

 仕方ない。”豪華“を求めてビバリーヒルズへと参りましょうか。

 ビバリードライブ沿いを歩いていると気になる文字が目に入ってきました。

 

ブルーロマンスファーマシー.jpg
 “The Organic Pharmacy”、そうオーガニック薬局です。ハリウッドでもオーガニックはちょっとした流行で、レストランやスーパーマーケットなどでオーガニック製品を専門に取り扱う店がここ数年グッと増えています。

 早速店の中を覗いてみると、小さなボトルで目の飛び出るような値札がついた基礎化粧品の数々。こんな高価な化粧水、一体どんな客層が使っているのでしょうか。聞いてみると、トビー・マグワイアエディー・マーフィーの奥さま達が頻繁に購入していくとのこと。う〜ん、納得。

 

 イギリスはロンドン生まれの“The Organic Pharmacy”マドンナグウィネス・パルトロウがここの大ファンで、毎回かなりの大人買いをしていくので有名だとか。本国では既に5店舗を展開中で、遂に一昨年アメリカに進出、ビバリーヒルズに1号店を開いたばかり。

 店員さんはイギリスからの駐在員ということ、ブリティッシュアクセントの強い英語で

「先月ロンドンでグウィネスに会ったけど、彼女肌が透き通る様に白いのよ。しかも高飛車なところが全くなくてフレンドリーで、すっかりファンになっちゃったァ〜」

 と興奮しておりました。

 

 それにしても商品の全てが何だかとっても使い心地が良さそう。試しに手の甲に塗ったクリームはスゥーッと肌に吸い込み柑橘系フルーツの爽やかな匂い。手触りがサラリとしているのに不思議とモッチリと潤う。ミストをシュッと一吹きすると、本物のバラの花を身にまとったかの様に、ふんわりと上品な香りが漂うのです。ほ、欲しい、とっても欲しい。

 

 数ある気になる商品の中からプレゼントに選んだのは…

 

クレオパトラ.jpg ゴージャスなくつろぎを演出するのにピッタリのスパセット、その名もクレオパトラのミルクバス&ボディースクラブ

 ミルクバスは粉末でバラやジャスミンが含まれバスタブにスプーン2杯程入れて溶かして使います。

 スクラブにはハチミツやオリーブオイル、ひまわりのオイルなどが調合され、見た目にも美味しそう。これを入浴前に手足に塗って円を描くようにマッサージした後サッとお湯で流すだけ。

 

 
 バスタイムの雰囲気を盛り上げるのに欠かせないキャンドルもこの際ギフトに入れちゃいましょう。ユーカリやセージなどが含まれたオーガニックキャンドルを灯しながら、クレオパトラのスパセットでリラックス、贅沢なバスタイムこそがセレブへの道の第一歩です。

 

 店内の商品はどれもこれも欲しいものばかり。自腹で買ってしまおうと真剣に悩みつつも、お財布と相談したところ「断念した方がいいよ」と小さな心の声が聞こえました。あぁセレブはこんな製品を使っているから、あんなにも輝いているのでしょうか。

 

 CATV局視聴者キャンペーン用にも話題の“VICTORIA'S SECRET”のボディーミストは差し上げたいとのこと。何ならここはお風呂上がりにサッと羽織れるワイン色のショート丈ローブスリッパもセットにしてあげちゃおうか?というビックリな決定に、誰より一番驚いているのは購入担当のこのわたくし。こ、こんなにゴージャスなギフトで大丈夫ですか??? ま、目標に掲げた“昨年にも増してパワーアップ”が達成できたので、何より。

 

 これらを手にできる方々を思うと、羨ましいやら、恨めしいやら、恨めしいやら。

 いいなぁ、これをもらえるあなた。

 

 少しでも憧れのセレブに近づければと遠きハリウッドまで遊びにくるのはちょっぴり大変。ならばせめてハリウッドの香りと空気感をお届けできれば、そんな思いと愛をこめて、今年もザ・シネマからあなたへ素敵なホワイトデーの贈り物です。

 

Wishing You A Happy Valentine’s Day!

 

(ザ・シネマ LAオフィス S.K.)

※写真は賞品イメージのため、実物と異なる場合がございます。ご了承ください。

 前回書きかけた、『マトリックス』が大っっっっっっっっキライだった、ということの続きを、今回は書きます。

 

 まずワタクシ、基本、エンターテイメントが好きなんです。好きっつーか、スゴいと思う。心から感心する。感動すらする。

 

 より多くの人たちに、より満足度の高い娯楽を供給する、っつーミッション・インポッシブルを、商売柄、ワタクシも日々課せられてますんで、常にそれにチャレンジしつづけてる(で、ちゃんと結果だしてる)ハリウッドを、ワタクシ、心底リスペクトしてるんですわ。

 

 100人いたら100人全員を楽しませるってことが、実は一番ムズかしい。

 

 逆に、100人全員を楽しませなくていいんだ、って開き直っちゃったような映画、「ミーの高尚なアートがユーに理解できるザマすか?」的な芸術映画だとか、「解るヤツだけオレ様についてこい!ついてこれん落伍者は容赦なく置き去りにするぞ!」的な難解オレ様映画だとかに、まるっきし興味ないです。エゴだよそれは(byアムロ)

 

 そんなワケでして、実はワタクシ、『マトリックス』、好きじゃなかったんです…。

 

 公開時にリアルタイムで見てんですが、1は確かに面白かった! 1はまごうかたなきエンターテイメント映画でしたから。お客さんに楽しんでもらって、喜んで映画館から帰ってもらおう、っつう、まっとうな商売人としての低姿勢さが、ちゃ~んと感じられた。

 

 2で、つまらなくなった。ってか、監督兄弟が本当にやりたかったのは、エンターテイメントじゃなかったんだ、“オレ様映画”がやりたかったんだ、ってことが、2で分かっちゃった。

 

 2公開時、「ストーリー、意味わかんない。でも、最終作の3で全てのナゾが解けるんでしょ?」、的な、むなしい期待論もささやかれてました。でも、そりゃありえないって!とワタクシ思ったもんですわ。もはや明らかに2で方向転換してるじゃんか、「解るヤツだけオレ様についてこい」路線に。

 

 で、3公開。ワタクシは期待せずに見に行ったワケですが、案の定、ますますワケわからない状態で、シリーズは終わっちゃった。こうなる未来は2の時すでにワタクシにゃ見えてたのだよ。オラクルのようにね!

 

 とまぁ、ここまでは、ワタクシ個人の感想と思い出です。ただ、世間一般的にも、この、「1面白い、2つまらない」という感想は、皆様がかなり共通に抱いたようでして、2がワケわからなすぎて3見る気が失せちゃって、結局、3見ず終い、っつう人が、ワタクシの回りじゃけっこう多かった。ネットで調べてもそういう声は多いようです。

 

 今回のザ・シネマでの放送では、そういう人が多いっつう仮説にのっとり、かつて2まで見てやめちゃった人や、今回初めて『マトリックス』を見るんだけど、やっぱり2で見るのやめちゃうであろう人たちを、いかにして3までつなげるか、という点を、実はウチら的には課題としてたんです。

 

マトリ3.jpg
 とにかく問題となるのは、2がワケわからなすぎる、っつーこと。特に終盤ですよね。アーキテクトっつうナゾの白髪翁(マトリックスを作ったヤツ?)が出てきますが、そいつとネオとの、TVモニターがいっぱいある変な部屋(ソース?なにソースって)でのやりとりが、まるで禅問答みたいでMAX意味不明。さらに中盤での、予言者とネオの会話も、かなりワケわかりません。

 

 そこらへんが分かって、2で何が描かれ、何が語られたかぜんぶ分かって、はじめて、3を見る気が起こる。3も、見終わった後に意味不明感や消化不良感が残るようじゃ、「面白かった!」っつう評価にはならんだろ、ここは疑問を残させないぐらいの解説が必要だ!っつう結論に達したんですわ。

 

 そこでまず、シリーズ3本一挙にやる!ことにしました。これ、民放なんかでバラバラに放送されたりしてましたが、ただでさえ難解なものが、それをやっちゃあ致命的に分からなくなる。イッキ見は最低限マストでしょう!!

 

 さらに、ウチでは特番つくりました。本編後にはストーリーのおさらいも付けました。あれらは全て、主に、そういう意図にもとづいて作られてたんです。

 

 実は、特番などを作るに際し、ワタクシ、『マトリックス』シリーズを通しで8回見ました!1回見ただけじゃ意味分からない。2回目にやっと「そっか!これって、もしかしてこういう意味!?」みたいな発見があり、その漠然とした発見を補強するために、さらに立て続けに見返して、8回目にしてようやく、悟りの境地に達したのであります。

 

 後日、番組制作のための打ち合わせの席で、ディレクターの解釈とワタクシの解釈では、かなり喰い違う部分が出てきた。で、そっから議論が勃発!トータルで10時間以上は激論を戦わせましたねぇ。

 

 この時から、『マトリックス』はワタクシにとって、映画史上もっとも面白いSF映画となったのです!

 

 ディレクターとの激論バトル、これが、何年かぶりぐらいに面白い映画体験だった! そういや学生だった頃、映画ヲタクのワタクシは、よくそんな議論をヲタク仲間どもと繰り広げたもんです。何時間も、とか、夜通し、とか、電話の子機(その時代は家電ってのがあって子機ってもんがあった)の充電が無くなるまで、とかね。

 

 映画好きの人の中には、そういう経験がある人って、少なからずいると思うんすよね。ケンケンガクガクの映画談義。いや~、今となっては遠い日の思い出っすわ。

 

 でも、社会に出て働きだして、あれやこれやで忙しくなると、そんなことしてるヒマがなくなっちゃった。

 

 いや、実は、ヒマなんていくらでもあるのかも。ただ人として萎えてきただけなのかも。

 

   「議論なんか面倒だ」
   「疲れるだけだ」
   「たかが映画じゃないか」
   「映画ごときで声を嗄らして議論するのもバカらしい」

 

 …我ながら、イヤ~な年のとり方をしちまいました。悲しいぐらいつまんねーオトナになっちゃってます…。

 

 その映画に何が描かれてるか理解するため、全神経を集中させ、頭をフル回転させて、緊張して映画と向き合う。

 何度も繰り返し見て、どうにかして理解しようと努める。

 そうやって築いた自分なりの理解も、他人のそれとは喰い違ってるかもしれない。

 その場合、双方の相違点をとことん徹底的にぶつけ合う。恐れず逃げず、議論する。

 

 エキサイティングっすよ、これって! っていうか、それがエキサイティングだったっつう遠い日の記憶を、ほんと十何年かぶりに思い出させてもらいましたわ、『マトリックス』に!

 

 100人中100人を喜ばせるエンターテインメントをリスペクトする、っつう気持ちは今も変わりません。が、知性を挑発してくるような、知的格闘を強いられるような、“手強い映画”だけが持ってる、楽しさと興奮。

 

 そうした楽しさと興奮ってのは、古びる、色褪せる、っつうことがありません。

 

 『マトリックス』はアクションも売りです。VFXも売りです。ただ残念ながら、それらにゃ賞味期限っつうもんがありますよね。特にVFXなんて日進月歩ですから、いずれは色褪せてく運命です。『マトリックス』は作られて10年ぐらいなんで、2009年現在まだ迫力は感じますが、さらに10年、20年、30年と時がたてば、『マトリックス』の特撮やアクションなんて、特に目新しさもなく、大して迫力も感じさせないものなってくことでしょう。

 

 でも、知的興奮、知的スリル、その面白さは、けっして賞味期限切れで腐ってくことはない。2020年、2030年、2040年の未来に生きる映画ファンたちも、『マトリックス』が持っている、そうした魅力に興奮させられるだろうことは、間違いないと確信しますね、ワタクシは。

 

 『マトリックス』は、まさに、知的に挑発してくる映画です。知的格闘を強いられる映画です。1度見ただけでは分からないと思います(分かったらスゴい!)。けど、2度・3度と見るごとに、どんどんと面白く感じられるようになるハズです。

 

 「もう見飽きたよ」ということに、永遠にならない、奇跡のような映画なのです。

 

 歴代SF映画のベストに、『マトリックス』を推す人ってのが、けっこういます。つまらない(2以降)という声がある一方、一部で評価が異常に高い!

 

 ちなみにアメリカの権威ある映画(などのエンタメ全般)情報誌「エンターテイメント・ウィークリー」誌が、オフィシャルサイトで2007年に選出したベストSF1位も、実は『マトリックス』だったんです。

 

 それは、以上のようなワケなんでしょうな。あの、超有名SF大作『×××・××××』も、あの、大ヒットしたSFシリーズ『××××××××』も、ランキング圏外でした。それは、映像の迫力だけに依存しすぎてて、数十年たてば色褪せてくっつーうら寂しい末路が、なんとなく予想できちゃうからなんでしょう。

 

 『マトリックス』は、誰が見ても同じ解釈にはならない映画です。それでいいんです。

 視聴者の皆々様もきっと、それぞれの解釈(ワタクシのとはまるっきし違う)をお持ちになると思います。それでいいんです。

 

 だからこそ、『マトリックス』こそ映画史上最高のSF映画だ、なんです。

 

 今日日、ネットで探せば、『マトリックス』の解釈を記してるサイトなんて、山ほど出てきます。そんなのを参考程度に読みつつ、当チャンネルで『マトリックス』シリーズをご覧になった後は、ぜひ、あなた独自の解釈ってのを、試みてみてください。

 

 できれば、あなたの解釈を、誰かを相手に、ツバを引っかけ合うような議論でぶっつけてみてください。

 

 映画見るってこんなにエキサイティングな行為だったのか!と、『マトリックス』は、あらためて思い出させてくれると思いますよ。

 

『マトリックス レボリューションズ』™ & © Warner Bros. Entertainment Inc.

(編成部 飯森盛良)

 

【『マトリックス』三部作12月一挙放送】 4日18日19日20日

【『マトリックス』三部作一挙放送特設サイト】 コチラ

 いっや~、当チャンネル、ありがたい賞をいただいちゃいましたよ!

  

 「日本最大のコンテンツの祭典」を公言する「スカパー!アワード2009」で、映画賞にワタクシどもザ・シネマの「マトリックス三部作一挙放送」が選ばれちゃいました!

 

 ちなみに、この「スカパー!アワード2009」っつーのは、

 

 
スカパー!アワード2009.jpg
昨年11月から今年10月までの一年にスカパー!、スカパー!e2、スカパー!光、で放送された番組の中からあなた(スカパー!視聴者の皆様)が「もう一度観たい!」、「観てみたい!」と思う番組を選んで投票していただく、まさに日本最大級のコンテンツの祭典です。

 

 だそうです。詳しくはリンク先をご覧ください。

 

 ちなみに、去年は当チャンネル、懐かしの昭和の吹き替え発掘プロジェクトを引っさげて参戦し、見事に玉と砕け散ったのでした。去年のブログはコチラ。にしても、そういやワタクシはまだクビにはなってないな。

 

 でもって今年はリベンジ。マニア狙いの吹き替え企画で勝負かけんのはさすがに無理があったと猛省し、今回は、天下御免のハリウッド超大作を引っさげて雪辱戦に挑み、見事、部門賞に輝いたってワケです。

 

 スカパー!以外でご覧の皆様でも投票できましたので、まさに、こたびの栄冠は、様々なサービスでザ・シネマをご覧いただいている視聴者の皆様にお授けいただいたものだと、感じております。

 

 ここに、ザ・シネマ一同、視聴者様に、三跪九叩頭の礼をとらせていただきます(意味分からん人は山川の世界史用語集で調べよう)。

 

 さて、昨日11月12日の木曜日、東京は後楽園遊園地そばのJCBホールにて、授賞式が催されました。

 

 ザ・シネマからは、マトリックスの解説番組でナビゲーターを務めていただいた、女優の川村ゆきえさん、映画史研究者で、番組の解説だけでなく監修までお願いした、早稲田大学大学院・谷川建司教授のお2人と、当チャンネルの関係者らが出席しました。

 

 ここでは速報として、授賞式の模様をリポートします。

 

 映画賞の発表は序盤の方でした。まず、ノミネート作品が次々に紹介されてきます。プレゼンターは何故かジローラモ。寅さん好きとか子連れ狼はイタリアでも大人気とか、ワタクシども的には全然別方向なトークで司会の小倉さんとジローラモがひとしきり盛り上がり、ワタクシども一同、非常にヒヤヒヤさせられたのですが…

 

 最終的にはウチが受賞!してやったり!!

 

 川村さんが壇上に上がって、トロフィーを受け取ります。

 

川村さん「ほんとに光栄で嬉しいです。マトリックスは世界観もすばらしくて、その世界観を崩したくなかったので、衣装も『マトリックス』でキメてきたんです」

 

 とのコメント。う~ん、なるほど素晴らしい衣装だ!

 

川村ゆきえ.jpg
 この、ビニールっぽいケミカル系な素材感の、チャコールグレーのローブドソワレと、ディープグリーンでちょい玉虫色がかった光沢感あるオーガンジーのショール、まさに、まさに、『マトリックス』の世界そのものじゃないっすか!なんつーか、バーチャルっぽい感じ?

 

 ただ黒と緑の服を持ってくりゃマトリっぽくなる、ってもんでもありません。スタイリストさん、ナイスジョブっす!

 

 いやはや、もっと生でジーーーーーーーッと眺めさせてもらえば一生の眼福になったんすけど(控え室とかで)、川村さんご本人を前にすると、あまりのセレブ感と圧倒的ナイスバディさに、ワタクシのような穢れ多き身の者は、太陽光にさらされたゴブリンさながらにどうしたって恐れ入っちゃうんですなぁ。

 

 目は泳ぎ、あらぬ方向をキョロキョロ見回し、もったいなくて直視ができない…。実に惜しいことをした!が、まぁ、独自に撮影した写真を社用PCのデスクトップピクチャに設定することで、良しとしときましょう。

 

 続けます。

 

 司会の小倉さんに、

 

「もともと『マトリックス』は好きな作品だったんですか?」

 

 と質問されると、

 

川村さん「SF映画は実は苦手な分野なんですけれども、『マトリックス』は恋愛もあるんですよ。なので、女性も見やすい作品でした」

 

 とのこと。川村さんは、この夏、『マトリックス』で特番を作ろうと決めて、最初に打ち合わせに来ていただいた時から、ラブストーリーとしての『マトリックス』、アクションと特撮だけじゃない、間口の広い『マトリックス』に魅せられた、と、一貫して話されてました。

 

 『マトリックス』は、深い哲学性を持ったSF映画でもあります(哲学を描いたSFって、実はすごく多いんです)。ただ、究極的には、『マトリックス』って、川村さんの言う通り、まさしく“愛”についての映画なんです!

 

 意外かもしれませんが、そうなんです(少なくとも、ウチのチャンネルはそういう見解です)。

 

 なぜ『マトリックス』が“愛”の映画なのか、は、川村さんがナビゲーターを務めるコチラの解説番組で触れられてますんで、ぜひご覧ください。

 

川村さん「初めて見る方にもわかりやすいようにナビゲートをしました。それも12月に再放送されるので(映画三部作も再放送します)、ぜひ初めて見る方はご覧くださぃ。いちど見た方も、いろんな発見が何度もある作品だと思うので、皆さんまた見ていただけたら嬉しいです」

 

 そうそう、見るたびにいろんな発見がある映画ですよねぇ、『マトリックス』って。1回目よりも2回目見た時の方が確実に楽しい。どんどんハマっちゃう。つまり、奥が深い。上っツラだけの娯楽作じゃないんです。

 

 だから、SF映画の最高傑作、って言われるんですねぇ(別にウチだけが言ってるワケじゃないですよ)。

 

 過去に(夏の当チャンネルでの放送も含めて)見て、「なんだか難しい映画だな…」、と若干ひき気味になっちゃった人も、ぜひ、もう1回ご覧ください!1回目よりも2回目見た時の方が楽しい、このポイントは、『マトリックス』に関しては、徹底的に強調しときたい点なんです!!

 

 なんせ、今では「『マトリックス』は映画史上最高のSFである!」と断言しているワタクシ、仕事で三部作を8回連続で見るハメになるまで、『マトリックス』って、大っっっっっっキライでしたから!

 

 そこらへんの話は、次回書かせていただきましょう。

 

(編成部 飯森盛良)

マトリックスバナー.jpg

拝啓

トム・クルーズ様


 突然このような公の場で、お会いしたこともないあなたについて、ブログを書く無礼をお許し下さい。


 僕があなたを初めて観たのは、86年の大ヒット作『トップガン』でした。生意気そうで、でもどこかナイーブな雰囲気漂うあなたに、僕の母や姉をはじめ、世の女性はメロメロ(死語?)になりました。この作品はあなたにとっても、スターダムを駆け上がるきっかけとなった思い出深い作品だと思います。


トップ・ガン.jpg

 いま改めて『トップガン』を観ると、ケニー・ロギンスの歌う「デンジャーゾーン」からも、そして極めてわかりやすい起承転結の上に描かれた若々しいあなたの姿からも、80年代特有のノー天気さを感じずにはいられません。


 もちろん、これはあなたの映画をけなしているわけではありません。


 なぜならあの頃、つまりバブル期の私たちが求めていたのは、観ているときは楽しくて、終わった後は気分爽快!! ストーリーはエンドロールと共に綺麗さっぱり記憶から消えてしまう、そんな娯楽映画のお手本のような映画だったのです。


 あなたは見事にその期待と要求に応えてくれました。そして当時、まだ少年だった僕にも大きな影響を与えました。F14トムキャットを操れない代わりに、僕は映画をベースにしたファミコンソフト(もちろんシューティングゲーム!!)で遊ぶことで、あなたに近づこうとしました。


『トップガン』を機に、あなたはハリウッドスターとして確固たる地位を手に入れ、あなたの出演作のほとんどは、繰り返しテレビで放送されました。おそらく、あの頃青春時代を過ごした人のなかで、あなたの出演作を観たことのない人はいないのではないでしょうか? それほど80年代から90年代前半にかけてのあなたはすごかった。『ハスラー2』『カクテル』『レインマン』『74日に生まれて』『デイズ・オブ・サンダー』などなど、駄作、傑作の両方がありましたが、あなた以上に"スター"という言葉が似合う俳優はあの頃誰一人としていませんでした。


 だからこそ、『マグノリア』でフランクを演じるあなたを見たとき、僕は最初、その姿を素直に受け入れることができなかったのです。


 それはどう見ても、少年時代の僕に大きな影響を与えた、トム・クルーズが演じるべき役ではないように感じました。


マグノリア.jpg

「女を誘惑してねじ伏せろ!」と卑猥な言葉と仕草で男達を煽りつつ、モテる秘訣を記した自著を教典のごとくかかげるフランク。その胡散臭さは、持って生まれたあなたの甘いマスクと、大げさな身振り手振りの演技によってさらに輪をかけたものになっていました。


 フランクを演じたあなたの姿に、驚いた人はけして少なくなかったでしょう。なぜなら、それは多くの人々が抱く、甘く優しい"トム・クルーズ"像をまっこうから否定するものだったからです。


 しかも『マグノリア』であなたが演じたフランクは、始終作品の中心にいるわけではなく、群像劇の一部を担う役に過ぎませんでした。つまり『マグノリア』はあなたがいなくても成立するとさえ感じました。


 でも、映画を見終わった後、僕はその考えが間違っていたことに気づいたのです。


『マグノリア』では、あなたを含む10人の男女の人生が、ラストに向けて不思議に絡み合っていきます。彼らの人生は、映画を観る人の多くと同じように、それぞれに深刻で、滑稽な問題を抱えています。でも問題解決の糸口が、物語の中でとくに提示されるわけでもありません。


『マグノリア』で提示されるのはただ一つ。人生の教訓です。


 親との確執、過去との決別、死と向き合うこと、などなどなど。それらは言葉に置き換えにくい、生きるヒントみたいなものです。誰かが身をもって体験する。それを私たちは、見たり聞いたりすることで、自分の教訓とします。


 あなたは映画のなかで、とてもハリウッドスター的でない男を演じることによって、そんな教訓の一つを僕に教えてくれたのです。


 正直に申し上げて、90年代半ばからあなたの活躍を目に、耳にする機会はずいぶん減ったように感じていました。もちろん僕が、少年から青年へと成長するにつれ、映画の好みが変わったこともあるでしょう。


 でもそれだけではありません。


 天才子役が、いつまでも子役を演じ続けられないのと同じように、90年代のあなたは時代に消費されるアイドル的ハリウッドスターから、人生の重みと深みを表現できる映画俳優へステップアップしようと試みている時期だったように思います。


 僭越ながら、『マグノリア』からは、そんなあなたのチャレンジ精神を感じました。


 今回、では、アイドル的ハリウッドスターから映画俳優へと転身していくあなたの様子を『トップガン』『ア・フュー・グッドメン』『マグノリア』『コラテラル』4作品で放送します。


『トップガン』では、初々しいあなたを。

『ア・フュー・グッドメン』ではアイドル的薫りを残しつつ、硬派な芝居を見せたあなたを。

『マグノリア』では、長年僕たちが抱いていたトム・クルーズ像を見事に壊したあなたを。

 そして『コラテラル』では『マグノリア』以降の、一皮むけたあなたを観ることができます。

 これらは、きっと多くの視聴者の方に楽しんでいただけるでしょう。

 

 そうそう、ついでに申し上げると『マグノリア』で演技派俳優としてのステップを踏み出すかのように見えるあなたが、2000年代に突入しても『宇宙戦争』や『M:i:III』のように限りなくベタなハリウッド映画で、これまたお決まりの主人公を演じてしまうところに、僕は尊敬の念すらおぼえます。かの有名な「ジャンプ・ザ・カウチ」をはじめ、まだまだ書き足りないことは多いのですが、長くなりますので、ここらで切り上げます。


 ますますのご活躍を極東のカタスミからお祈り申し上げます。


『トップガン』Copyright © 2009 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

『マグノリア』©MCMXCIX NEW LINE PRODUCTIONS, INC.ALL RIGHTS RESERVED.

(映画ライター 奥田高大)


 「あなたの大好きなイケメン俳優にチョコレートを贈ろう!」と書かれたバレンタイン特集の企画書がロサンゼルスのオフィスに届いたのは11月上旬のこと。

 

 実は、ザ・シネマには米国オフィスがあります。ビバリーヒルズとハリウッドに挟まれたところに位置し、6階のパティオから眺めるロサンゼルスの街並は絶景!

 

 すぐご近所の“Urth Caffé”ではブラピがブランチ、ロバート・デニーロの経営するイタリアンレストラン“AGO”ではレオ様がディナーと、流石は映画の街!気をつけて見ていれば、スクリーンのイケメン達とばったり遭遇の嬉しいチャンスが街のあちこちに転がっています!

 

 と、ここまで書いたら

 

「おぉ!そんなに簡単に会えるなら、是非チョコレートを本人に手渡してくれないか?」

 

 と東京スタッフからの無謀な(?)指令。

 

 まぁ何事もダメもとです。というわけで大手タレント事務所に片っ端から電話攻撃しました。そして見事に砕け散りました。

 第一アメリカではバレンタインは男性から女性に贈るというのが一般的。日本の乙女たちが俳優にチョコレートを贈りたいということ自体、説明しても、なんだそりゃ?という反応でございました。

 

 ま、そうですよね。

 

 というわけで、その想いはセレブには届けられないけれど、せめてハリウッドセレブの気分だけでも味わって頂こうじゃあないか!と強引に路線を変更し「ハリウッド直送便でお届けします」企画が決行されることとなりました。

 

 

ハリウッド・セレブ賞の賞品買い出しリポート

 何かセレブ感のあるものが手に入るといいなぁと思いを巡らしながら、ハリウッドの街をぶらり。まずはウィンドウショッピングで下見へ。

 

 最初に向かったのはカップケーキ店“Sprinkles Cupcakes”。2005年にオープンと比較的新しいお店で、奥様のケイティーの大好物と知ったサービス精神旺盛なトム(クルーズ)が頻繁に買いにくることでも有名(家庭でもトムはスィートなんですね〜)。

 メディアでも度々取り上げられ、45分待ちの長蛇の列ということも。一度食べたら病み付きとジェシカ・アルバルーシー・リュー州知事のシュワちゃんまでがここのカップケーキの大ファンだとか。

 オスカーパーティーにも登場で何かと話題のカップケーキ。そのお値段、手のひらに乗っかる小さめサイズで1個$3.25とお高め。某庶民派店の2倍のお値段でサイズは半分。特別な時のご褒美カップケーキです。

 

 同じ通り沿いに目立たなく店舗を構えるのはチョコレート店“K CHOCOLATIER”。こちらもエンターテイメント業界では知る人ぞ知る有名店です。

 1970年代にニューヨークでご主人と一緒に手作りチョコレート店を始めたオーナーのダイアンさん。当時の顧客リストには、キャサリーン・ヘップバーングレゴリー・ペックジャックリーン・ケネディーなど聞いただけでキラキラと目映いばかりのゴージャスなお名前ばかり。

 現在はビバリーヒルズと高級住宅地マリブのみで店舗展開。手作りで一つずつ丁寧に作られたトリュフは絶品です。

 ハリウッドの映画スタジオやイケメン俳優達が所属する大手タレント事務所などがお土産用に大量購入することもあるのだとか。

 お店にいくと「試食していいわよ〜」と、とても感じよく迎えてくれるダイアンさん。これまた庶民には痛いお値段ばかりで、毎回試食だけして「また来るね」と言いながら笑顔でそっと後ろ歩きで退散します。

 

 と、甘いものに目がないわたしの下見の旅は食べ物ばかり。でもこれらギフトが日本に届く頃には賞味期限切れ、なんてことになっても、ね。

 

 何か他にもプレゼント候補はないかしらん、とキーワードの“セレブ”を呪文の様に何度も唱えながら次に向ったのは今一番ホットなストリートとして知られるロバートソン・ブルーバード。

 中でもセレクトショップ、“kitson”の人気と勢いは留まることを知らず。次々にチェーン展開中で来年にはお洒落スポットで知られるメルローズアベニューにも店をオープンするようです。

 ここ、パリス・ヒルトンニコール・リッチが度々出没することでも知られています。スパンコールが散りばめられたオリジナルのコスメバックやパーカーを始め、話題のジャンク・フードのTシャツなども並んでいます。「こんな可愛いものがあるよ!」と東京のスタッフに教えてあげようとデジカメを持ち込んだら、セキュリティーの兄ちゃんが速攻飛んできて「撮影禁止!」と怒られてしまいました。

 

Fred Segal.jpg

 セレブ御用達ショップと言えば、忘れてはいけないのが老舗“Fred Segal”

 こちらもセレクトショップですが、比較的若い世代向けの“kitson”に比べると、落ち着いた高級感溢れる商品が多いのが特徴。

 オープンは1960年と意外にも歴史が長いのだけど、コンサバティブなところがなく半歩先をゆく感じが今も人気の秘訣なのでしょう。

 ベン・アフレックジョージ・クルーニーレオナルド・ディカプリオとイケメン達も訪れるというのだから、頻繁に通えばいつか出会えてしまうかも、と密かに期待を抱きつつ。

 ちなみにジュリア・ロバーツグィネス・パルトローニコール・キッドマンなどオスカー女優もここの常連です。

 

ボディーアロマ.jpg

 コスメコーナーの扉を押すと最初に目に入ってきたのがスタイリッシュなデザインのボディーウォッシュ。

 ボトルは全8種。“Fred Segal”の元オーナーが立ち上げたブランドなのだとか。バーニーズ・ニューヨークなど一部の高級デパートとここでしか手に入らないのよ、と言われたら、何だかとっても欲しくなってしまいました。

 

 そしてもう一つ一目惚れしてしまったのがアロマキャンドル。何と言っても傘をひっくり返したようなデザインの器が可愛い!!

 柑橘系とサンダルウッドをブレンドした香りはストレスを和らげる効果があるそうです。薄暗くしたバスルームでこのキャンドルを灯してゆっくりお湯につかった後はボディーウォッシュで女に磨きをかける!なんだか想像しただけでセレブな気分になってきました。

 

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 さて、今回はバレンタイン企画。セレブ感だけでなく、何か“バレンタイン”というテーマに沿ったものも探したいなぁとウンウン考えていたら浮かんできたのがランジェリー。

 先にも書きましたが、嬉しいことにアメリカでは男性から女性へというのが一般的。日本でOLをしていた頃は、義理チョコばかりを買い漁っていたわたしも、ロスで暮らすようになってからは、会社の男の子から義理チョコをもらうようになりました(嬉)。なんていい国なんでしょう。

 こちらの本命パターンはチョコレートとバラの花束を贈るというのが王道ですが、中にはジュエリーやランジェリーを添える男性も多いようです。

 

Victoria's Secret.jpg
 というわけで、バレンタイン前には男性客で一杯になる下着の専門店“VICTORIA'S SECRET”へ足を運ぶことに。

 アメリカ人女性定番の人気ブランドなだけに、赤やピンクと派手な色ばかり。セクシーランジェリーにしよう!と声を大にして東京のスタッフにお勧めしましたが、サイズや好みもあるしねぇ、、、どうやら渋い反応。ならば、なかなか日本では手にしないと思われるバスローブの赤をあえて選んでみようということになりました。

 

バスローブ.jpg
 ギフトはどれもワタシが欲しいくらいです、本当に。贅沢なセレブセットをハリウッドから直送便であなたのご自宅にお贈りしますので、大好きなあの人の映画で心ときめいた後は、ちょっぴりセレブな気分でバスタイムを演出して頂けたら嬉しいですね。Happy Valentine’s Day!

 

 

〜イケメン・スター賞の裏話〜
 当初ギフトは写真集にしたい!という熱〜い要望があり

 

「あ、そんなのすぐ見つかりますよ、余裕。余裕。」

 

 と気軽に引き受けてしまった年の瀬。

 大手書店を歩いて、歩いて、更に歩いて。

 小さな書店だって覗きました。

 飲み屋ならず、本屋のハシゴ。

 ところが、これが見当たらないのです。驚くことに1冊も。

 それらしきしょぼい雑誌の様なものはあっても、立派な装丁のそれが見つからない。

 どうやら日本で言うところの「写真集」というもの自体がほとんど出版されていない様子。

 気にしたこともなかったけれど、言われてみれば日本の書店で必ず目にする写真集コーナーの一角、アメリカで見たことがない!

 そこでアメリカ人スタッフにも聞いてみたところ「へ?そんなものが日本にはあるのね?」と感心の声。

 そうか、見つけられないわけだ。。。ああああ困った。

特注額.jpg
 というわけで、結局代替案としてポスターにしましょうということに決まったわけですが、「高級感を忘れないでね」との指令再び。イケメンナンバー1が決定した暁には、カスタムメイド発注のフレームに入れて、こちらもハリウッドから直送便でお届けします!

 お部屋のインテリアとしてもきっと素敵だと思いますよ。

 

 ※イケメンへの投票はコチラ

 

(ザ・シネマ LAオフィス S.K.)

※写真は賞品イメージのため、実物と異なる場合がございます。ご了承ください。

 

 

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【紹介した店のアドレス】

Urth Caffe
8565 Melrose Ave. West Hollywood, CA 90069

 

Ago Restaurant
8478 Melrose Ave.West Hollywood, CA 90069

 

kitson
115 S. Robertson Blvd. Los Angeles, CA 90048

 

FRED SEGAL
8100 Melrose Ave. West Hollywood, CA 90046

 

K Chocolatier
9606 Little Santa Monica Blvd. Beverly Hills, CA 90209

 

Victoria’s Secret (Beverly Hills)
328 N Beverly Dr. Beverly Hills, CA 90210

 

Sprinkles Cupcakes (Beverly Hills)
9635 Little Santa Monica Blvd. Beverly Hills, CA 90210

 年の瀬ですね……今年ももう終わり。
 すみません!! そうです、私が悪いんです。
 すっかり前回から間が空いてしまいました!!

 

 もう皆様、3大ファンタジーご覧になりました?
 ナルニアのビーバー夫妻の愛らしさも、指輪物語の壮大なスケールにも増して、目から鱗が落ちるかのごとき衝撃をもたらしてくれたのが、今回ご紹介する……そう、ゲド戦記。
 「あのゲド戦記が映像に?!」とワクワクして見ていた私は、冒頭数分でひっくり返りました。

 

 ゲドが!!
 ゲドって呼ばれている?!

 

ゲド戦記.jpg
 原作をお読みなっていない方には、何が何だかわからないですよね。
 ゲド戦記の舞台となるアースシーでは、ものはみな真の名を持っています。真の名を知ることは、そのものを支配すること。なので人々は皆、通り名で呼び合います。

 

 日本で言う、言霊のような。
 ゲド戦記の中では、この真の名と通り名がとても重要な働きをします。

 

 ゲドの通り名は、ハイタカ。
 ハイタカの真の名は、ゲド。

 

 そう、真逆なの。
 ちゃんとカラスノエンドウは、エスタリオルって真の名を持っているのに。
 なんだかゲド一人だけ、ズボンを履き忘れて出てきちゃったかのような、違和感。しばらくして慣れたかなと思っても、「ゲド!!」って呼ばれると、びくっとしちゃう。

 「あぁ、そうだった!! この人ズボン履いてなかった!!」

 ここは、この作品最大の不思議点でした。
 カラスノエンドウが漁師の息子になっているよりも、ロークの学院が共学になっているよりも、腕輪が謎のお守りになっていることよりも、1巻と2巻がくっついているよりも。

 

 でも、原作をそのまま映像化しようとすると、すっごく地味な観念的な物になってしまうので、エンターテインメントとしては、多少の脚色はやむを得ないところなんでしょうね。

 

 三大ファンタジーの中でも、ゲド戦記は際だって、土の匂いのする作品です。
 ナルニアがルイスの作り出した、キリスト教的な箱庭。
 指輪物語が、トールキンの描く、一大事叙事だとしたら。
 ゲド戦記は、ル・グインによる、遠眼鏡。
 垣間見える景色は素敵。でも、その向こうにもっともっと深い、リアルな世界を感じさせる不思議な遠眼鏡です。
 一人一人の人物に、それぞれに物語があって、人生がある。ル・グインが描き出したかったのは、ゲドでもテナーでもなく、アースシーという世界そのものだったのではないかと思います。

 

 第一巻「影との戦い」。青年ゲドは、己の慢心から影を呼び出し、それと向かい合い克服することを余儀なくされます。昨今のファンタシーやゲームに溢れかえっている、アイデンティティーの再発見というテーマを、ル・グインならではの重厚な筆致で描ききった傑作。

 

 続く第二巻「壊れた腕輪」では、アチュアンの巫女アルハの元へ、成長して現れたゲド。食らわれたる者アルハに、真の名テナーを取り戻すと共に、長らく世界から失われていた腕輪を全きものへとします。この第二巻の主人公はテナー。失われた自己、信頼と愛情を取り戻す物語。

 

 そして第三巻「さいはての島へ」。初老にさしかかったゲドは、世界の均衡を取り戻すため、若き王子とさいはての島へ出かけます。生きることと、死ぬことの意味、そして若き少年の成長の物語。

 

 第四巻「帰還」が出るまでには、18年の歳月を要しました。ジュブナイルとして世に出たゲド戦記、でも、この第四巻はけして子供のための物語ではありません。魔法の力を失ったゲド、一人の女として生きることを選んだテナー、そして全てを奪われた少女テルー。それぞれの弱さを抱えた三人が、その弱さを抱えたまま、どう人として生きるか。今までの三部作とはがらりと変わった、ル・グインと世界、双方の変化が18年分詰まった作品。

 

 そしてまた11年後、第五巻「アースシーの風」。この第五巻だけは、短編集となっています。新しい世代、新しい流れ。さまざまな愛の形と、それと呼応する死。全ての流れが収束して、ひとつにまとまる、完結編。

 

 今回、実写版を見てゲド戦記をお知りになった方は、ぜひ原作を手に取ってみていただきたいのです。
 けしてわかりやすいとは言えない、むしろ非常に晦渋な世界ではありますが。
 でも、ゲド戦記を知っているのと知らないのでは、確実に人生の重みが違う。そう断言できるほど、深い作品です。
 ゲドとテナーの関係も、いわゆるラブロマンスではなく、酸いも甘いもかみ分けた大人の男女が、人生を一周巡って、ようやく落ち着く感じ。
 一人一人の人物に、それぞれに物語があって、人生がある。
 そして、その全てを、時に厳しく、時に優しく包むアースシーという世界。
 実写版との違いに、ちょっと度肝を抜かれるかもしれないけれど……。

 

 それにしても……。
 テナー役のクリスティン・クルックの可愛らしいこと。『スノー・ホワイト』では白雪姫、そして『ストリート・ファイター』ではチュンリーを演じているそうですよ。
 アジア系の馴染みやすい顔立ちだけど、エキゾチックさもあり。そう言う意味では、正に日本人の理想のヒロイン像なのかも。
 後半はすっかり「可愛いテナーに惚れ惚れする」作品になっておりました。

 

 今回、「ナルニア物語」「指輪物語」そして「ゲド戦記」と、私の大好きな三つの作品を語らせていただくことが出来、とてもとても幸せでした。
 少しでも作品の魅力をお伝えすることができれば。
 より多くの方に、この世界に触れていただくことができれば。
 このような機会を与えて下さったザ・シネマさんに感謝。そして、すみません、ブログが大幅に遅れて……。
 来年も、ザ・シネマをよろしくお願いいたします。
 そして、心の片隅で、ワタクシ、池澤春菜のことも、よければ……。
 では皆様、良いお年を。


 

【1月 吹き替え版 放送日】

『(吹)ゲド/戦いのはじまり(前編)』2日18日

『(吹)ゲド/戦いのはじまり(後編)』2日18日

※編成部注:池澤さん特別寄稿第一弾はコチラ

池澤さん特別寄稿第二弾はコチラ

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