10周年記念連載 男たちのシネマ愛[完全版]

ザ・シネマ編成 飯森盛良×雑食系ライターなかざわひでゆき 映画に生涯を捧げた2人の男が、熱くディープな想いを通わせる─!!

  • 12月 愛すべき、未DVD・ブルーレイ作品
  • 1月 愛すべき、味わい深い吹き替え映画
  • 2月 愛すべき、ボロフチック監督作品
  • 3月 愛すべき、キラキラ★ソフィアたん
  • 4月 愛すべき、極私的偏愛映画たち
  • 5月 愛すべき、クレイグ・ボンド。そして、愛すべき洋画の未来。

取材・文/なかざわひでゆき

愛すべき、未DVD・ブルーレイ化作品

リクエストがあればゲットするために汗をかきます(飯森)

ザ・シネマ編成部 飯森盛良

ザ・シネマ編成部 飯森盛良
「10年前のザ・シネマ開局準備段階から異動もなくずっと居座り続けている唯一のスタッフでヌシ的存在。シネマ解放区担当」

雑食系映画ライター なかざわひでゆき

雑食系映画ライター なかざわひでゆき
「’60年代ユーロスパイ映画を彷彿とさせる『コードネームU.N.C.L.E.』が最近のお気に入り」

なかざわ:今回はザ・シネマで12月に放送される未DVD・ブルーレイ化作品についてお話しさせて頂ければと思います。12月は6つの未DVD・ブルーレイ化作品、「スパニッシュ・アフェア」「ザ・キープ」「世界殺人公社」「黄金の眼」「くちづけ」「ウォーキング・トール」がラインアップされていますが、どれも日本ではほとんど見る機会がない映画ばかりですよね。その大きな理由の1つとして、地上波の洋画番組がほとんどなくなってしまったことがあると思います。例えば、「ウォーキング・トール」や「世界殺人公社」などは、昔は地上波でも放送がありましたよね。

飯森:こういう作品も、昔なら民放さんが放送権をまとめ買いするときに一緒に付いてきたんじゃないかな。実は「ザ・キープ」は1月に吹き替え版を放送する予定で、テープを取り寄せてみたところ、確か1989年に日テレ系だかの「特選シネマ」っていう洋画枠で放送しているんですよ。聞いたことあります?

なかざわ:ないですねー。

飯森:昔はテレビにも映画放送枠がいっぱいありましたからね。VHSバブルの時はなんでもかんでもVHSで出ましたし。

雑食系映画ライター なかざわひでゆき

雑食系映画ライター なかざわひでゆき
「’60年代ユーロスパイ映画を彷彿とさせる『コードネームU.N.C.L.E.』が最近のお気に入り」

ザ・シネマ編成部 飯森盛良

ザ・シネマ編成部 飯森盛良
「10年前のザ・シネマ開局準備段階から異動もなくずっと居座り続けている唯一のスタッフでヌシ的存在。シネマ解放区担当」

なかざわ:あと、ザ・シネマを含めてCSの洋画専門チャンネルは幾つもありますが、どうしても最近の映画に比重が置かれてしまいますから、古い映画はこぼれ落ちちゃいますよね。

飯森:お金があれば全米ナンバーワン・ヒットみたいな映画、なければ次に視聴率の稼げそうなアクションで新しいやつ。例えば、「ウォーキング・トール」のジョー・ドン・ベイカー(注1)と言っても今の若い人にはピンと来ないから、説明が必要になる。でも、リメイク版「ワイルド・タウン/英雄伝説」(注2)のザ・ロック(注3)なら一発で分かる。だから、どうしてもそっちの方に偏りがちになりますよね。ただ、それじゃいかんと。映画専門チャンネルとして、映画の面白さをお伝えしていくのに、映画好きの方々が「昔見たけどもう一度見たかったんだ」とか、「なんとしても見たかったけど手段がなかったんだ」という作品も汲み取らないといけない。それに、そういう映画が1本でもあれば加入してくれる方は必ずいらっしゃると思います。

なかざわ:昔マニア系の映画ショップで仕入れを担当していたことがあるんですが、実際、既にDVDが普及しているのに、DVDになってなく、レアな映画の高額なVHSテープを喜んで買っていかれるお客さんもいましたよ。ファン心理ってそういうものですよね。

飯森:僕もいまだにネットのオークションで高いVHSを落としますもん。映画ファンの飢餓感というのはよく分かってますから、さすがにそういう映画ばかりで埋め尽くすわけにはいきませんけど、たとえ全体の5%でも10%でも常に用意するようにしたい。放送が実現するかどうかは別にして、リクエストがあればゲットするために汗はかきますし。映画ライターの皆さんにもヒアリングをして、どうしても見たい映画のリストを回収した結果、12月はこの放送ラインアップだったわけです。実際は、候補として未DVD・ブルーレイ化作品はもっとあったんですが、さまざまな事情からふるい落とされて、今回の6本になりました。

なかざわ:今回、ラインアップを決めるにあたって、特に印象深かった作品は何ですか?

飯森:ドン・シーゲル監督(注4)の「スパニッシュ・アフェア」ですね。シーゲルについてずっと書かれている映画評論家の桑野仁さん(注5)が、これだけは見たことがないと。

なかざわ:アメリカでもソフト化されていませんしね。

飯森:もしかすると、本邦初公開の可能性があるんですよ。ドン・シーゲル絡みの仕事を長年やってきたけれど、これだけが日本へ入ってきた形跡がないので、是非とも紹介したいんだという熱心なメールを桑野さんから頂きまして、そこまでおっしゃるならば最優先の事案として動きましょう、ということで入手したんです。

なかざわ:映画ファンであれば、もちろん自分が見たいということもありますけど、同時に世の中にはきっと自分と同じような人がいるはずだから、そういう人たちにも見てもらいたいという気持ちにはなりますよね。

飯森:あと「ザ・キープ」の放送告知をした際、ザ・シネマとしては異例と言えるくらいの大反響がありましたね。主にツイッター上ですけれど。

なかざわ:これはもう一度見たいと思っていたファン、多いはずですよ。私も含めて。海外でもDVD化されていませんし。人間って、多感な時期であったり、ある特定の年代に見て「これは!」と感じた映画に対する思い入れは強いと思うんです。で、そういうのに限って見られないことが多くて。その“飢え”と“渇き”でみんな悶々とするという…(笑)。

飯森:映画の本質ですからね。「スター・ウォーズ」のように大勢が待ち焦がれて劇場へ足を運んで行列する作品もあれば、そうではないけれど忘れ難い映画というものもあるわけじゃないですか。ザ・シネマとしては、そうした部分もちゃんとカバーできないだろうかと考え、作品を調達しているわけです。

なかざわ:「そういうチャンネルがないとマジで困るよ!」という映画ファンは多いと思います。

注1:1936年生まれ。俳優。「007 リビング・デイライツ」(’87)と「007 ゴールデンアイ」(’95)にも出演。
注2:2004年製作。退役軍人が故郷で保安官になって地元の悪を正す。ザ・ロック主演。
注3:1972年生まれ。元プロレスラーの俳優。別名ドウェイン・ジョンソンでもお馴染み。代表作は「ワイルド・スピード」シリーズなど。
注4:1912年生まれ。監督。代表作「ダーティ・ハリー」(’71)など。クリント・イーストウッドの師匠でもある。1991年死去。
注5:著書「ロバート・アルドリッチ大全」「フィルム・ノワールの光と影」など

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