ストックホルムの労働街で配達係をする青年ハリーは、ある日、モニカという17歳の少女と知り合う。不満を抱えて生活していた二人は、互いに心の内を打ち明け合い、すぐに恋に落ちた。ある日、モニカは酒に酔った父親と口論し、家を飛び出す。ハリーもモニカと一緒に家を出る決心をし、二人はボートで島々を巡りながら享楽的な生活を始める。やがてモニカは妊娠し、幸福な結婚生活を夢見るのだが…。
ある小さな漁村の牧師トマスは、妻に先立たれてから、失意の中で淡々と務めをこなしていた。ある日曜のミサの後、漁師ヨナスの妻が相談にやって来た。夫が中国の核開発に怯え、鬱状態だと言う。妻亡き後、身の回りの世話をしてくれている女教師マルタの押し付けがましい愛にうんざりし、また牧師としての自信が揺らいでいたトマスは、気の利いた教えを説くことができなかった。それから間もなくヨナスは川辺でピストル自殺を図る…
10年にもおよぶ十字軍の遠征で疲れ果てた騎士アントニウスが、従者を伴ってスウェーデンに帰還した。帰国早々に不気味な死神と対面したアントニウスは、自らの命を賭けたチェス対決を挑み、決着がつくまでの猶予を得る。その間、荒廃した祖国を旅するアントニウスが目の当たりにしたのは、ある女性が魔女として処刑されようとしている悲惨な現実だった。死神とのチェスが続くなか、アントニウスは純朴な旅芸人の一家と出会うが……。
研究に生涯を捧げてきた医師のイサクは、その功績を讃えられ名誉博士の称号を授与されることになる。授与式の前夜、自分が棺に横たわる不吉な夢を見る。車で会場へ向かう途中、イサクは青年時代を過ごした旧宅へ立ち寄る。懐かしい屋敷の原っぱで野いちごを目にしたイサクは、弟に奪われた婚約者、妻の裏切りなど、若き日の様々な心の痛みを想い出した。名声とは裏腹に、愛に飢えた孤独な人生が走馬灯のように甦ってきたのだった…
16世紀のスウェーデン。ある集落の豪農の一人娘カリンは、敬虔なクリスチャンの父母と暮らす。ある日、カリンは下女のインゲリを伴い教会へ蝋燭を届けに行くが、二人は途中で口論となり、カリンは一人で道を急いだ。道中、貧しそうな羊飼いの三人兄弟に遭遇したカリンは、同情し食糧を分け与えてやる。ところが無垢なカリンに魅了された兄弟は、カリンを犯し、殺害してしまう…。
結婚10年目を迎えたユーハンとマリアンは、それぞれ仕事をこなしながら、友人もうらやむほど順風満帆の夫婦生活を送っていた。ところがそんなある日突然、ユーハンが自らの浮気を告白。マリアンはショックを受けながらも関係修復を訴えるが、ユーハンは激しい口論を交わしたのちに荷物をまとめて家を出てしまう。それからしばらく経って対面した2人は、じっくりと本音で語り合うが、彼らの間に生じた溝は深まるばかりだった……。
2年前に妻を亡くした裕福な弁護士フレデリックは、今は若妻アン、先妻との息子ヘンリックと仲むつまじく暮らしていたが、かつて愛し合った女優デジレにも未練を抱いていた。そんなある日、彼らはデジレの母親の別荘で催されるパーティーに招かれるが、デジレの現在の愛人であるマルコム伯爵らが加わり、次々と思わぬトラブルが発生。セクシーなメイドのペトラに心奪われていたヘンリックは、思いあまって自殺を図るのだが…。
突然、出血が始まったため、夫に大病院に連れてこられた妊娠3ヶ月のセシリア。夫と不仲のため、子供を産みたくないと考えていた彼女は、結局、流産してしまい、2人の患者と同室で入院する。1人は妊娠したせいで男に捨てられ、母から帰ってくるなと言われたヨルディス。もう1人は子煩悩そうな夫とともに、初めての子供の誕生を心待ちにする陽気なスチーナ。そうしていよいよスチーナに陣痛がやってきて、彼女は産室へと向うが・・・。
ノルウェーの田園地帯。夫とともに牧師館で暮らすエヴァが、長らく疎遠だったピアニストの母親シャルロッテを自宅に招く。再会を喜ぶ2人だったが、エヴァが脳性麻痺を患う妹ヘレナをこっそり引き取って看護していることを知ったシャルロッテは苛立ちを隠せない。これをきっかけに長年にわたる母と娘の確執が露わになり、真夜中に酒に酔ったエヴァは幼い頃からの母への不満を吐き出し、シャルロッテも自らの苦悩をぶちまけていく。