車!仲間!女!絶対ハマるワイルド・スピードの世界 車!仲間!女!絶対ハマるワイルド・スピードの世界

 ストリートレースに生きる男たちのドラマから、スーパーカーを駆使してミッションを遂行する超絶アクション映画へと進化した『ワイスピ』こと『ワイルド・スピード』シリーズ。続きも続いたり、15年間で合計7本! もはや一見さんには踏み込めない、ディープな世界を形成しているように思えるが、どっこい作りは単純明快、かつ観客の嗜好を満たす娯楽純度の高いシリーズだ。なので、新規参入をいまからでも暖かく迎えてくれる。

 もともと1作目の『ワイルド・スピード』(01)は、路上の走り屋が改造車でスピードを競うストリートレースを舞台に、ポール・ウォーカー演じる潜入捜査官ブライアンと、ヴィン・ディーゼル演じる走り屋の王ドミニクのライバル関係を描くカーバトル映画だった。
しかしヴィン・ディーゼルのシリーズ復帰と、彼が演じるドミニクとブライアンが手を組む4作目の『ワイルド・スピード MAX』(09)から、『ワイスピ』は2人を中心に、過去シリーズに登場したアウトローたちを仲間として取り込んでいき、現在の“チームミッションもの”の形を成していったのである。ああ、なんという少年漫画イズム!

 そんな変化のいっぽうで「車」「美女」そして「アクション」という、男の好物を三点盛りにしたシリーズの構成要素は、昔から徹底した魅力を発し続けている。

 たとえば「車」――。カーバトル映画の出自を持つ『ワイスピ』は、日本車によるアメリカ市場の制圧や、それに対抗するアメ車といった、製作当時の車事情を反映していた。しかし回を重ねて物語が壮大になるにつれ、ド派手な高級車や特殊車両がガンガン登場し、それらが容赦なく破壊されるなど、シリーズにおける車の役割は変質化している。が、
「仲間を重んじる人情派のドミニクは、ローテクで硬質なアメ車」
「切れ味するどい運転テクを持つブライアンは、ハイテク志向の日本車」
というふうに、登場車がそれぞれのキャラクターを体現するといった、車種に対するこだわりは1作目から熱く継受されているのだ。

 そして「美女」――。ドミニクのパートナー、レティ(ミシェル・ロドリゲス)や妹ミア(ジョーダナ・ブリュースター)など、男たちを取り巻く『ワイスピ』ヒロインはエキゾチックな美女がそろっている。いずれも修羅場をくぐってきただけに、うかつに手を出すと骨を折られそうな強者ばかりだが、そんな浮世離れした彼女たちだからこそ、映画の華としていっそうの輝きを放つ。
またセミレギュラー、イレギュラーで登場するヒロインも注目のひとつで、昨年『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(15)でワンダーウーマンを演じ、話題をさらったガル・ガドットや、日本を発祥とするドリフトバトルを盛り込んだ3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(06)の北川景子など、当世話題の美女たちの初々しい姿を拝めるのも『ワイスピ』ならではの楽しみだ。

 さらにダメ押しは「アクション」――。流麗なドライブテクを駆使して繰り広げられるカーバトルはシリーズ名物の見せ場だが、時代を経てアクションのスタイルもアクロバティックに、そしてエクストリームに激化し、もはや車で空中を駆けるようなシチュエーションさえ珍しくない。
また、ヴィン・ディーゼルのアクションスターとしてのキャリアと共にあるシリーズだけに、映画はカーバトルを越えた肉体アクションを見せることもある。特に5作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(11)におけるドウェイン・ジョンソンの参戦は衝撃的で、ヴィンとロック様、アクション界のツートップが、怪獣映画もかくやの直接対決を披露してくれるのだ。

 もちろん、ストリートレースやドリフトバトルに軸足を置いた初期作も、爆走描写の快感は未だ色褪せることはなく、こうした作品ごとの推移をまとめ見して実感するのも、シリーズものならではの醍醐味といえるだろう。現在、最新作となる8作目が製作中の『ワイスピ』、いまならまだまだ十分間に合うぞ!

尾崎一男
映画評論家&ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「特撮秘宝」、Webメディアに「映画.com」「ザ・シネマ」「cinefil」などがある。併せて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントにも顔を出す。
ページトップへ