▼イベント名:ザ・シネマ『トラスト・ミー』放送記念特別試写会

▼登壇ゲスト(上部写真左より):

村山章(映画ライター)、嶺川貴子(ミュージシャン)、深田晃司(映画監督)

▼日時:2018年3月28日(水)

▼場所:神楽座(東京・飯田橋)

▼「NYインディーズ界最後のイノセンス ハル・ハートリーの世界」

特設サイト:https://www.thecinema.jp/special/halhartley/

 

司会を務める村山

 

村山:皆様こんばんは。本日はザ・シネマ主催の『トラスト・ミー』上映イベントにお越し下さいましてありがとうございます。

本日司会進行を務めさせていただきます、映画ライターの村山章と申します。

ザ・シネマでは、90年代のインディーズシーン、ミニシアター、音楽シーンなどにも影響を与えた、ハル・ハートリーの作品3作品を放送するにあたって、多分、ハル・ハートリー作品の中でも一番愛されていた作品『トラスト・ミー』を皆様にご覧頂きます。

その前に、豪華なゲストをお招きしてトークセッションを行いたいと思います。短い時間ですが、皆様お付き合い頂けますようお願いします。

では早速一人目のゲストをお迎え致します。『淵に立つ』でカンヌ映画祭を受賞された映画監督です。カンヌ受賞と言えばハル・ハートリーとカンヌ仲間かと思いますが、現在新作『海を駆ける』で大忙しの中駆けつけて下さいました、深田晃司監督です。拍手でお迎えください。

村山:実は深田監督は先ほどから「ハル・ハートリー初心者だ」とおっしゃっていました。

深田:はい、ハル・ハートリー初心者です!

村山:ハル・ハートリー監督は日本で初公開されたのが92年12月に第3作目の『シンプルメン』。順番が逆になって、翌1月から2カ月連続で2作目『トラスト・ミー』が公開されてこの時が劇場で公開された最初だったんですけど、深田監督はこの時はおいくつでした?

深田:1980年生まれなので、日本で公開された時は12歳くらいですね。

比較的映画を見るようになったのは、中2、中3くらいの時に自分で好んで映画を見るようになって、古典映画とかを中心に見るようになったんですけど、まだ映画館に行く財力がなかったので、映画館にハル・ハートリーを見に行くなんてことが当然なくて、いわゆるケーブルテレビとか、映画の評論の本とか読んで、そういうところに出てくる映画を追っかけようとしていたら、当然ジム・ジャームッシュとかがポンポン出てきて、当時の映画評論の中でもハル・ハートリーはまだちょっと追いついていなかったような印象があって、10代の頃には耳に入ってこなかったです。2000年代になってようやく見たという感じです。

村山:2014年にリバイバル公開があったんですよね。

深田:はい、その時に劇場では初めて見ました。ただ、2000年代にケーブルテレビかなんかでやっていたのを見てたと思います。ちょっと、記憶があいまいですけど。

村山:さっき、僕が一番愛されている映画だと言いました『トラスト・ミー』は、93年に劇場公開されたんだけど、その後VHSが出ただけで、名画座とかではたまにやっていたかもしれないけど、ここ十数年は渋谷ツタヤ規模のレンタル屋でVHSを借りるしか見る方法がなかった訳なんです。

お客さんで、『トラスト・ミー』を見たことがあるという方、どのくらいいますか?

(10人程度手が上がる)

村山・深田:おーー、凄い!結構いる!

村山:待ってましたよね?もう一回スクリーンで見たいって思ってましたよね?

(観客うなずく)

深田:東京中のハル・ハートリーファンがここに集結したっていう感じ。

村山:もっといて欲しいなぁ(笑)。

映画監督本人がクラウドファンディングをやる・・・!?

 

村山:去年、クラウドファンディングをハル・ハートリーがやってたんですけど。『ヘンリー・フール3部作』の日本語字幕を付けたいっていうクラウドファンディングを映画監督本人がやるっていう。

深田:珍しいですよね。日本のインディペンデントならよくある話ですけど、アメリカといえばハリウッドのイメージが強い中で、アメリカとは言えインディペンデントは大変なのかな(笑)。

村山:深田監督と言えば、日本のインディーズの鬼!っていう感じですけど。

深田:いえいえ(笑)。

村山:やっぱり聞いたことないですよね。例えば、深田監督が自分の作品をフランスの観客に見せたいから俺がフランス語字幕を付ける。そして、俺の個人事務所からリリース(発売)するぞっていう話ですからね。

深田:日本だとあんまり珍しいかなって思うけど、一方で欧米の作家さんとかは自立的に動いている人も多いので、そういうのもありうるのかなって思いますけど。

ハル・ハートリーがそういうことをやりたいって時に、日本語字幕が入っていなかったんですね?

村山:入れたいってことですね。正確に言うと、日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、英語の5か国語入れたいという。そのための、クラウドファンディングだったんです。

深田:村山さん、結構その旗振り役になったとか。

村山:そうですね。皆様にとって映画ライター村山って何者だって思われるかと思うので、ちょっと説明させてもらうと、最初は、映画ライターとか全く関係なく、ハル・ハートリーのファンだったので、クラウドファンディングに申し込んだんですよね。

『ヘンリー・フール』3部作って、3部作あるんですけど『ヘンリー・フール』だけしか日本で公開されていなかったんです。その後足掛け17年で完結しているんですけど、ハル・ハートリーの長編っていうのは99年の『ヘンリー・フール』が最後に公開されただけで、それ以降一切公開されていなかったので、風の噂で続編、3本目も出来たって聞いてたけど、それこそ『トラスト・ミー』以上に見る方法がなかった。

だから「あ!日本語字幕入れるんだ」って思って申し込んだら、クラウドファンディングって本人名義で返事が来るんですよね。「ありがとう!日本語字幕が付くことを、日本の人たちにもっと知ってほしいんだ」って書いてあるのに、一切日本語の情報がないんですよ。

深田:あぁ、その辺が、個人事務所故の痒い所に手が届かない感じ(笑)。

村山:Kickstarterっていうクラウドファンディングのサービスで、去年の6月にクラウドファンディングが立ち上がって、去年の後半にやっと日本語化されたんですけど、間が悪いですよね。英語の情報しかないサイトで「日本の人に知ってほしいんだ」って言われてもね。

深田:日本語字幕を欲している人は英語読めない人でしょうからね。

村山:だから、その時メールをダメ元で返したんです。

「映画ライターをやっている者ですので、プレスリリースとかくれれば、知り合いの映画サイトとかに訳して送りますよ。」って。そうしたら「是非やってくれ!」って英語のリリースがついて返事がきて、「マジか!?」って。

 

 

「頼むから、この字幕ボツにしてくれ」ってお願いして。

 

徹夜で訳して関係各位に撒いたりしているうちに、あれよあれよと、告知であったり宣伝を手伝ったりして。その後、「字幕の翻訳が上がってきたんだけど、ちょっと見てくれない?」って言われて、見てみたら、海外の翻訳会社に頼んだみたいで、明らかにおかしいんですよ。

皆さん日本語字幕って、句読点って見たことないでしょ?それなのに、めっちゃ句読点打ってあるんですよ(笑)。で、字幕って一秒4文字でしたっけ?それ以上文字を入れると読みきれないから一秒に何文字までしか入れないっていうルールがあるんですけど、一秒の台詞に2行くらい書いているっていう(笑)。

深田:それは読めないですね。

村山:日本語は分かるかもしれないけど、映画の字幕は絶対にやったことがない人だと思って。で、「頼むから、この字幕ボツにしてくれ」ってお願いして。

深田:(笑)。

村山:僕は、映画ライターだけど字幕屋さんではないから字幕のことは知らないわけですよ。それで、アマゾンで字幕についての本を2冊くらい買って。

深田:凄いですね。そこまでやったんですね。

村山:本を読みながら日本語字幕のルールをリストアップして、それを送ろうと。でも、それでも分かってくれないと思って、『ヘンリー・フール』のVHSを渋谷ツタヤで借りてきて、全部の字幕をテキストで打ったんです。「これが正解だから!」って(笑)。

ハル・ハートリーって、ご存知の方はいるかもしれないけど、奥さんが二階堂美穂さんっていう日本人なんですよ。ハル・ハートリーは分からないかもしれないけど、奥さんならわかってもらえるかもと思って。そうしたら、二階堂さんが「確かに、日本語字幕のルールが分かったわ。じゃぁ、やり直しましょう」って。そうして、結果的にきちんとした日本語字幕が付いたっていう。実は僕は、そういうことに関わっていた人間なんです。

そして、ハル・ハートリーから「パッケージにお前の名前を乗せるから」って言われて、「Thanks」くらいかなって思ってたら、「Foreign Ambassador」って書いてあって、俺なんなの?(笑)って思って。別に雇われているわけでもないし、「アンバサダーって俺の乏しい知識だと外交官って意味だけど、どういうニュアンス?」ってハル・ハートリーに聞いたら、「うちの事務所は国みたいなものだよ。ハハハハ・・・」って書いてあった(笑)。

もし、パッケージを買って下さった方は、Akira Murayamaって書いてあると思うんだけど、「Foreign Ambassador」は僕が名乗ったわけではないです(笑)。

深田:それは今日、強調して頂いて(笑)。

 

あの大物プロデューサーに気に入られたタランティーノと突っぱねたハル・ハートリー!?

 

深田:そういえばさっき、楽屋で聞いていい話だなって思ったのは、ハル・ハートリーの一作目『アンビリーバブル・トゥルース』って、あれは今話題のあの大物プロデューサーだっていう話!

村山:そう。ミラマックスを創業し、ワインスタインカンパニーを運営して、セクハラ騒動で大変なことになっている、ハーヴェイ・ワインスタインっていう人がハル・ハートリーのデビューのきっかけを実は作ってくれたっていう。『アンビリーバブル・トゥルース』をサンダンスだったかな?どこかの映画祭で上映されているのを見て、当時ミラマックスってまだ駆け出しの会社だったんですけど、「俺の会社で公開してやるって」でも「ヌードが足りない」って言ったらしいですよ。

深田:セクハラのワインスタインさんが!

村山:ほんとぶれてないっていう(笑)。

深田:それで、ハル・ハートリーはそれを拒否したってことですね?

村山:そうそう、突っぱねたんだって。だから、新人の若者にしてはすごい度胸がある。

深田:それで、インディーズまっしぐらになったんですかね(笑)。

村山:だから、ハル・ハートリーのキャリアを追っかけていると、一回もメジャーと妥協しようとした節がない。大人げないという言い方もできますし、すごく若い時から自分に自信があるともいえるのかも。深田監督はそういうのありますか?

深田:いや、どこからがメジャーかというのもありますが、別にメジャーと言われる人たちともやれることはやれると思います。どこまで自分のオリジナルというか自分の主導権が取れるかどうかというところだと思っていて、多分アメリカだと日本より厳しいでしょうね。アメリカのメジャーと言われるところは多分編集権とかもプロデューサーだったり会社に持って行かれちゃうんで、「ファイナルカット権」ていうんですけど、最終的にどういう編集するかっていうところが監督はできないことが多いので、アメリカでインディペンデントをやろうとすると、多分中途半端なことは出来ない。事実的に、メジャーと向き合うということができないかもしれない。

村山:作家性を守ることが大変だということでしょうね。

(Part.2に続く。近日掲載予定)

 

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「NYインディーズ界最後のイノセンス ハル・ハートリーの世界」

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