ブロンソン大陸に乗りたくて みうらじゅん

 チャールズ・ブロンソン。

 その男気の大権化を初めて目の当たりにしたのは中学二年生の時だった。

 「うーん、マンダム」

 日本で大ブレイクしたそのセリフは、男性化粧品メーカーのCMでブロンソンが発したもの。しゃがれた声に“個性派”だけでは到底、補えないフェース。後にも先にもあんな男気溢れる顔は見たことがない。

 あくまでいい意味での“ブチャムクレ”。それが化粧品のCMキャラクターなんだから、ものすごい革命であったことは確か。

 僕のような文科系丸出しな軟弱中学生までもがその化粧品を買って、ブロンソンのように成りたいと思った。

 ちなみに僕はその頃、その化粧品を口のまわりに塗るとブロンソンのようなリッパな髭が生えてくると勘違いしていたほどのボンヤリぶり。初めて“男らしさ”について考えたのだった。

 CMのブレイクで、かつてブロンソンが出演した映画のリバイバルが上映された。『荒野の七人』はその最たるもので、映画館前の看板にはなんと、ブロンソンに髭が描き加えてある仕末。実際には『荒野の七人』も『大脱走』もまだ、脇役だったブロンソン。彼のアイコンである髭は生やしていなかった。

 髭期は後の『狼の挽歌』から。当時、映画館で買ったパンフには、マンダムで使用した時のスナップ(テンガロンに白スーツ姿)の折り込みポスターが付いていた。

 それから始まったブロンソン・ブーム。当時、世界一イケメンと噂されたフランスの男優、アラン・ドロンとの共演作『さらば友よ』では、すっかりブチャムクレの勝ち。その印象深いラストシーンでのブロンソンの演技が渋いこと渋いこと。僕らは(って、ここから複数形になるけど)、ブロンソンズの相方・田口トモロヲも時を同じくして、ブロンソンこそが男毛の大権化と認識してた。

 二人は30代半ばに知り合ったのだが、そんなブロンソン革命話をよく歌舞伎町で語ったものだ。酒が入ると鼻息も荒く、「ブチンスキー!!」と叫んだのは、それが大権化の本命だったから。当然、出回ってる中古ブロンソン作品は二人で片っ端から買い漁った。

 そして、全てを観るとブロンソンにも少なからず紆余曲折はあったものの、アクション映画一筋でほとんどブレのない人生が見えてきた。公私混同と言っちゃえばそれまでなのだが、妻との共演作の多いこと多いこと。いや、これはブロンソン道の“ファミリー第一主義”と、我々は思ったし、ともすれば途中で文芸大作に出そうなものだがB級一筋!いや、この“B”はブロンソンのBだから。

 本当に男がやらなければならないことは何か?それをブロンソンは作品を通して教えて下さる。「分かるか?」「はいっ!!」

 いつの日かブロンソンの住む『ブロンソン大陸』に我々も乗りたくて仕方ないのである。

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≪放送情報≫

『ロサンぜルスブロンソンズによるオーディオコメンタリー】』

放送日:12/14(土)25:30~、12/31(火)13:30~

https://www.thecinema.jp/tag/116

●「狼よさらば」シリーズ作品 12/31()一挙放送

10:00~ 『狼よさらば 』

11:45 ~『ロサンゼルス』

15:15 ~『スーパー・マグナム 』

17:00~ 『バトルガンM‐16 』

19:00 ~『DEATH WISH/キング・オブ・リベンジ』

https://www.thecinema.jp/tag/102