10月の
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 土曜の深夜は、アートフィルムやカルトムービーの傑作を、ヨーロッパはじめ世界から厳選してお届けする、映画ファン垂涎枠。
10月のラインナップは…
(文/映画ライター 高橋諭治)

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 研究者のヨハンと弁護士のマリアンヌは、結婚10年目を迎えた夫婦。順風満帆だった彼らの関係にヒビが入り、激しい口論を繰り返したのちに離婚へと至る過程を描く。

 巨匠I・ベルイマン監督が手がけた5時間のTVシリーズを、劇場向けに再編集した人間ドラマ。ひと組の夫婦の関係性に焦点を絞り、愛の本質を見つめ直した野心作だ。

 全6章構成のドラマの大半は夫婦の対話シーンで占められる。彼らの感情がすれ違い、エゴをぶつけ合う様は圧巻の迫力で、このうえなくリアルで濃密な心理劇となった。

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第七の封印[HDデジタルリマスター版].jpg
10/12『第七の封印[HDデジタルリマスター版]』
 十字軍の遠征からスウェーデンに帰還した騎士が、疫病や魔女狩りで荒廃した祖国の現実を目の当たりにする。そんな騎士の行く手には不気味な死神が現れるのだった。

 中世ヨーロッパに死神を出現させ、信仰や人生の意味といった根源的なテーマを問いかける異色作。I・ベルイマン監督のファンに熱狂的に支持されている寓話である。

 幻想的なイメージと哲学的な思索に富んだ映像世界は、巨匠のフィルモグラフィの中でも異彩を放つ。“死神とのチェス”や“死の舞踏”などの名場面も鮮烈な印象を残す。

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ベティ・ブルー 愛と激情の日々[HDデジタルリマスター版].jpg
10/19『ベティ・ブルー/愛と激情の日々[HDデジタルリマスター版]』
 海辺のバンガロー暮らしの青年ゾルグと、風変わりなまでに野性的な少女ベティ。仏のJ=J・ベネックス監督が2人の激しくも切ない純愛を綴ったラブ・ストーリー。

 当時新人のB・ダル演じるベティは、恋愛映画史上希にみる激情のヒロイン。その一途な愛情表現には異様な凄みがみなぎり、世界的なセンセーションを巻き起こした。

 ベネックスが斬新な色彩感覚を発揮した映像世界を、監督自身の監修によるHDリマスター版で放映。情熱的な恋人たちが思いがけない運命をたどるラストも衝撃的だ。

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ブラインドネス.jpg
10/26『ブラインドネス』
 ブラジルのF・メイレレス監督による異色サスペンス。ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説「白の闇」を原作に、人間を失明させる奇病が蔓延した終末世界を描く。

 視力を失った人々は政府によって隔離され、収容所に押し込められる。やがて権力闘争やパニックが勃発する密室内の人間模様を、息づまる緊迫感をこめて映し出す。

 国際色豊かなキャストが結集し、日本からは伊勢谷友介と木村佳乃が夫婦役で参加。かすかな希望を感じさせながらも、謎めいた余韻を残すエンディングに注目を。

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『ある結婚の風景[HDデジタルリマスター版]』©1973 AB Svensk Filmindustri 『第七の封印[HDデジタルリマスター版]』© 1957 AB Svensk Filmindustri 『ベティ・ブルー/愛と激情の日々[HDデジタルリマスター版]』©Cargo Films / Gaumont All Rights Reserved. 『ブラインドネス』(c)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures

洋画専門チャンネル ザ・シネマの編成部スタッフが、1人1本、きわめて個人的にオススメしたい作品をご紹介!

 

ある結婚の風景.jpgスウェーデン家具にもご注目!

 

ある結婚の風景

〔HDデジタルリマスター版〕

 

 【10月放送日】5日、18日、24日

©1973 AB Svensk Filmindustri

 

スウェーデンの国営放送で放映されたイングマール・ベルイマンのミニTVシリーズ(6話)を再編集し映画化した本作。結婚10年を迎えた幸せな夫婦に突如として訪れる夫婦の危機とその後の人生を描く。夫婦の会話を中心に物語は進むが、話の展開は秀逸。怒涛の会話劇でありながらも、決して冗長なところはなく、観る者に愛の不確かさや脆さを気付かせる作品となっています。そしてもう一つの見所ポイントは、所々に映るハイセンスなスウェーデン家具やキッチン用品たち。どれもよさげな感じのものが多くて、とても1970年代の作品とは思えません。ザ・シネマでは10月、11月にスウェーデンが生んだ巨匠ベルイマンの特集放送「ディレクターズ・ファイル 2ヶ月連続 北欧の巨匠 イングマール・ベルイマン」も併せて放送しますのでこちらもお見逃しなく!

銀輪次郎

 

 

クロコダイル・ダンディー.jpg愛すべきオーストラリア男、クロコダイル・ダンディー

 

クロコダイル・ダンディー

 

【10月放送日】4日、12日、17日

Copyright © 2013 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

 

初めて彼に出会った時の衝撃を今でも忘れません。ウォークアバウト・クリークからNYへやって来た男。そう、クロコダイル・ダンディーです。新聞記者のスーは、オーストラリアの奥地に住む、クロコダイル相手に連戦連勝のツワモノ「クロコダイル・ダンディー」の取材に赴きます。そこには、都会育ちのスーとは全く異次元の世界で生きる男が!!太陽の位置で時間を計り、指先1本で牛を眠らせ、素手で毒蛇を殺し、棒きれ1本で魚を獲り、虫を美味しそうに食べる男。そしてものすごく訛っている!!しかし、その飾らない、温かみのある、底抜けに明るい人柄にスーは惹かれていきます。彼を大都会NYに招いてみたらどうだろう?スーはミックをNYを連れて帰ります。今度はミックが異世界に迷い込む事に。しかしどこに行ってもマイペースで全く先入観のないマインドのミック。NYのカルチャー、そこに住む人々を大いに楽しみ、またNYの方もミックを大いに歓迎します。「Australian in NY」 的な笑いも掛け値なしに楽しめますが、何をおいても、この映画の魅力は、本当に愛すべき男・ミック・ダンディーのキャラクターにあります。観終わった後、ミックを愛さずにいられないはずです!!

にしこ

 

 

 

さらば愛しき女よ (4).jpg シャーロット・ランプリングの猫眼に秒殺。 

 

さらば愛しき女よ(1975)』

 

【10月放送日】12日、22日

 © Copyright ITV plc (Granada International)

 

ハードボイルド小説の代名詞、レイモンド・チャンドラー原作の傑作ミステリーの映画化作品。主人公のフィリップ・マーロウを演じるのは、ロバート・ミッチャム。マーロウと言えば、ボギーことハンフリー・ボガートが有名ですが、この作品でミッチャムが作り出したマーロウ像はそのちょっとくたびれた感が、映画のけだるい、ミステリアスな雰囲気にマッチして魅力的です。でも、ハードボイルド映画には欠かせないファム・ファタール(悪女=運命の女)役のシャーロット・ランプリングの魅力がこの映画が大ヒットした最大の理由かもしれません。彼女の、殺人光線のような妖しい眼差しにはたぶん、どんな男性もあらがえないでしょう。彼女に秒殺されて、転落していく、ひどい目に合う哀れな男性キャストたちに同情しきりです。だまされるのもしょうがないと思わせる女性の魅力。久しぶりに見ましたが、こんな女優さんは他には思い当たらない。また、彼女が着ているファッションがとてもステキなんです。1940年代のヴィンテージなんですが、クラシカルなんだけど、華があってセクシーで。こんな洋服は自分では着られないけど、憧れます。この映画では、こういったファッションや美術セットがとても凝っていて1940年代の空気を見事に再現していますが、大物プロデューサー「アルマゲドン]や「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジェリー・ブラッカイマーが若き日に手がけていたことも今回クレジットで知りました。チョット彼の株があがりました。

招きネコ

 

 

 

バンコック・デンジャラス.jpgクールに仕事を決めるヒットマン役のニコラス・ケイジ! 

 

バンコック・デンジャラス

 

【10月放送日】14日、25日、30日

 © 2007 Bangkok Dangerous, Inc. All Rights Reserved.

 

自身で決めたルールを遵守し100パーセントの成功率を誇る凄腕ヒットマン役のニコラス・ケイジ。しかし、引退を悟ったニコラス・ケイジは、最後の仕事としてバンコクへ。いつものように現地で若いチンピラの相棒を調達し、クールに仕事をこなしていく。しかし、チンピラに若かれし日々の自分を重ね、相棒は消すという自分のルールを破り、チンピラを一人前に育て始める。そんな中、仕事で手負いを負ったケイジに優しく接する薬や店員に心惹かれていく。そんなヒットマンとしての心の綻びが、彼を追い詰めていく。タイの気鋭監督として知られるパン兄弟が、初期の代表作『レイン』をハリウッドでリメイク!。9月はザ・シネマでニコラスケイジ特集もやってます!

うず潮

 

 

月の
シネマ・ソムリエ(ブログ用).jpg




 土曜の深夜は、アートフィルムやカルトムービーの傑作を、ヨーロッパはじめ世界から厳選してお届けする、映画ファン垂涎枠。
9月のラインナップは…
(文/映画ライター 高橋諭治)

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白いカラス.jpg
 講義中の何気ない発言が黒人への差別だと糾弾され、辞職に追い込まれた古典学の大学教授コールマン。実は彼自身も“肌の色”にまつわる重大な秘密を隠し持っていた。

 現代米国文学の巨匠フィリップ・ロスの小説「ヒューマン・ステイン」を映画化。主人公の数奇な人生を通して、人種差別問題の根深さ、複雑さを描く人間ドラマだ。

 実力派の豪華俳優陣が、癒しようのない心の傷を抱えた男女の悲痛な運命を体現。田舎町の荒涼とした冬景色と相まって、静謐にして重厚な緊迫感みなぎる一作である。

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9/14『ファンタスティック Mr.FOX』
 『ムーンライズ・キングダム』の若き鬼才、W・アンダーソン監督が初めて手がけた長編アニメ映画である。原作はロアルド・ダールの児童文学「すばらしき父さん狐」。

 元泥棒の野生キツネが仲間を率いて、農場を営む傲慢な人間とのバトルを展開。昔ながらのコマ撮りアニメの手作り感を生かした活劇シーンは、胸弾むスリルと痛快さ!

 主人公のキツネ夫婦の声を担当するのはG・クルーニーとM・ストリープ。アンダーソン監督のユニークな美学と遊び心が全開のカメラワーク、美術、音楽もご堪能あれ。

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9/21『シングルマン
 世界的なトップデザイナー、トム・フォードの監督デビュー作。同性の恋人を事故で亡くしたことで生きる意味を失い、自殺を決意した大学教授のある一日を映し出す。

 TVドラマ「マッドメン」の美術デザイナーを起用し、1960年代L.A.の風俗を再現。主人公のガラス張りの邸宅や衣装など、あらゆる細部に繊細な美意識が感じられる。

 死へのカウントダウンのサスペンス、幻想的な悪夢や回想シーンを織り交ぜ、喪失と孤独の痛みをスタイリッシュに表現。冷たい色気が香り立つ映像美が見事である。


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9/28『サラの鍵
 フランス人作家タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説を映画化。1942年、ナチス占領下のパリで起こった衝撃的なユダヤ人迫害事件を、現代からの視点で描き出す。

 現代のパリに住む女性ジャーナリストが、戦時中に家族とともに連れ去れたユダヤ人少女サラの消息を追う。そのミステリーに隠された痛切な人間模様に胸を打たれる。

 歴史の重い真実と向き合おうとするジャーナリストの微妙な心の移ろいを、K・スコット・トーマスが好演。東京国際映画祭で監督賞、観客賞を受賞した作品でもある。

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『白いカラス』©2003 FILMPRODUKTIONGESELLSCHAFT MBH&CO .1.BETEILIGUNGS KG 『ファンタスティック Mr.FOX』© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Indian Paintbrush Productions LLC. All rights reserved. 『シングルマン』©2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved. 『サラの鍵』© 2010 - Hugo Productions - Studio 37 -TF1 Droits Audiovisuel - France2 Cinéma

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