ドラマ『コーヒープリンス1号店』や『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』などで知られる、韓国俳優コン・ユさん主演、ヨン・サンホ監督による韓国ゾンビ映画の傑作『新感染 ファイナル・エクスプレス』。本作の製作10周年と、ヨン・サンホ監督の最新作『顔 -かお-』の日本公開(2026年8月28日)を記念し、国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」では、8月21日より1週間限定で、『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4Kリバイバル上映が決定しています。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.
ザ・シネマではリバイバル上映を記念し、一大ジャンルへと成長を遂げた韓国のアクション映画を年代順に特集放送。「韓国アクション映画の系譜」をテーマに掲げ、フェーズ1では韓国アクション映画の夜明けとして『シュリ』『JSA』『シルミド/SILMIDO』、フェーズ2では、『新感染 ファイナル・エクスプレス』で一躍有名となったマ・ドンソクさんに焦点を当て、主演作『守護教師』『無双の鉄拳』という、歴史を辿るラインナップを一挙放送いたします。
今回ザ・シネマでは、Filmarksの配給事業の立ち上げ人であり、リバイバル上映の主宰である渡辺順也さんへインタビュー。韓国映画の変遷や、リバイバル上映とザ・シネマの特集放送がもたらす追い風、リバイバル上映にかける熱い思いなどをたっぷりと伺いました。

<プロフィール>
渡辺 順也(わたなべ・じゅんや)
Filmarksリバイバルの立ち上げ、映画館でのリバイバル上映企画をプロデュース。『サマーウォーズ』記念日上映、スタジオジブリ『海がきこえる』初の全国リバイバル上映、90年代の名作シリーズ「Filmarks90’s」(フィルマークス ナインティーズ)として『トレインスポッティング』30周年ほか、『かもめ食堂』20周年記念リバイバルなど、邦画・洋画・アニメの名作を全国の映画館で上映することを日々企画中。
- 製作から10年経った今でも『新感染 ファイナル・エクスプレス』が熱く支持されている理由・背景には何があるとお考えですか? また、Filmarksのレビュー・盛り上がりに特色はありますか?
渡辺さん(以下、敬称略):
新作で『新感染 ファイナル・エクスプレス』を公開した2017年当時、Filmarksでも試写会やプロモーションをお手伝いさせていただいたんです。その時にすごく盛り上がったんですよね。コン・ユっていう主演が一番スターなので、“コン・ユ目的の韓流ファン”がメイン層だと思いきや、全然そこじゃなくて。“新しいゾンビ映画として若い映画ファンが熱狂した”という盛り上がり方だったんです。そういうところがFilmarksユーザーとすごく相性がよかったんだと思います。若い映画ファンから「新しいゾンビ映画がやってきた」みたいな、そういう捉えられ方をして、「ムチムチのお兄さんすごい!」みたいになって(笑)当時無名だったマ・ドンソクにすごく注目が集まって、彼はこの作品きっかけでスターになっていきましたね。
なので、今回のリバイバル上映の企画にあたって、“マ・ドンソクが主演を食う”くらいの活躍ぶりで、若い映画ファン層にも人気を呼んだというベースがあったので、Filmarksとの相性の良さを僕は感じていました。それでこの10周年に、ヨン・サンホ監督の新作の公開もあり、タイミング的にはすごく良いのではないかと思い、今回のリバイバル上映に至りました。
配信で観てもおもしろい作品だと思うので、配信や放送で好きになった人も多いと思うんです。そういう人には劇場の大スクリーンで、4K版を味わえる機会なので、ぜひこのタイミングで劇場に足を運んでいただけたらいいなと思っています。


『新感染 ファイナル・エクスプレス』(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.
渡辺:
普通ゾンビっていうと、夜にうごめくっていうイメージだったのが、真っ昼間に猛ダッシュしてくる新しさと、“新幹線”という密室、逃れることができないシチュエーションでどう乗り切れるのかというストーリーは、何回観てもハラハラします。そのへんの見どころは変わらず、楽しめるんじゃないかなと。
あとは、見返してみて思ったのは、この10年で我々が変わったところでいうと、パンデミックを体験したことですよね。未知のウィルスが蔓延して起こる恐怖とか、情報の遮断とか、デマが流れて疑心暗鬼になることって、コロナ禍で僕らも実際に体験したことだったりするので。そのへんが“ただの物語の世界”っていうのではなくて、“より身近に起こりうる現実”みたいな、そういう捉えられ方が今だったらできるんじゃないかと思いまして。
今世の中は、“自分ファースト” な風潮になってきていますけど、この映画は自己犠牲をテーマのひとつとして描いていて、そのテーマっていうのは、公開当時よりもコロナ禍を経た今だからこそ、より深く味わい、受け止められるんじゃないかと。「今、改めて観る価値がそこにあるんじゃないか」という思いも、リバイバル上映を企画した意図です。
- 『新感染 ファイナル・エクスプレス』による、韓国コンテンツに対する影響はありましたか?
渡辺:
“韓国映画だから、韓国ファンだから観に行く”という枠が一気に取っ払われた作品だったなと思いますね。特に、韓国映画だから観に行くのではなくて、“おもしろいと評判の映画だから観に行く”という、そういう感覚を持つきっかけになった作品のひとつだなと思います。
- 渡辺さんから見たマ・ドンソクの魅力は?
渡辺:
やっぱり、剛腕でなんでも解決してくれるという絶対的安心感が魅力ですよね。
- いろいろなアクション俳優がいますが、例えば西洋人のアクションスター、ジェイソン・ステイサムとマ・ドンソクの違いはありますか?
渡辺:
マ・ドンソクって“かっこいい文脈”じゃないところが違いますよね。格好つけてないし、かっこいいスターとして描かれているわけじゃない。剛腕がありつつ、人間味があって、ちょっとチャーミングなところもある。そのへんがステイサムとは違う印象です。


『新感染 ファイナル・エクスプレス』(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved.
- Filmarksリバイバル連動企画「韓国アクション映画の系譜」について、率直なご感想としていかがでしょうか?
渡辺:
フェーズ1とフェーズ2は意図が明確というか、すごくわかりやすい企画だなと思いました。フェーズ1はこの3作品(『シュリ』『JSA』『シルミド/SILMIDO』)で、韓国映画が世界にその存在を知らしめた名作たちですよね。(韓国)ドラマはすでに日本に入ってきていましたけど、映画はそこまで“これ”というのがなかったので。
何年か前に4K版で『シュリ』がリバイバルをやっていたんですけど、それを僕も改めて観に行って「やっぱすごいな」って、「あの時代に、これほど政治的・歴史的問題をやったというのは本当にすごいな」と思ったんです。ハリウッド仕込みのスタッフたちが韓国に帰ってきて、あのスケール感を韓国映画として、韓国を舞台に、韓国人でやったすごさがやっぱりあったなと。
『シュリ デジタルリマスター』


『シュリ デジタルリマスター』(C) Samsung Entertainment
アクションをやる設定として北朝鮮を扱うっていう、それがフェーズ1の3作品に共通しているテーマだと思うんですよね。それもやっぱり、韓国の政治的な背景として、対・北朝鮮の方針が変わって、融和政策になって、その政権下だったからできた。「北朝鮮は敵でしかない」っていう考えだったら映画ではきっと触れなかったと思うんですけど、「仲良くやっていこう」という方針になったらからこそ描いて、“ただの敵じゃなくて、相手も人間なんだ”というところを描けるようになったことでドラマ性が一気に広がって。
それから、日本だと、韓国映画のようなガンアクションってなかなか現実味がないですけど、韓国映画はそれ(ガンアクション)が使えていいなって、あれ観て当時思いました。「あのネタ使えるのすごいな」っていう3作品なので、この3作品から入って“韓国映画のすごさを知る”というのがすごくわかりやすいなと思いましたね。
『JSA』


『JSA』(C) myungfilm2000
フェーズ2も“マ・ドンソクが剛腕に解決してくれる”っていう、その魅力一点でいく思い切りのいい作品ラインナップですよね。マ・ドンソクの映画って、その後そういう系統の作品が多いですけど、みんなそこが好きなんだなって。水戸黄門の印籠みたいに、最後はマ・ドンソクの剛腕が全部解決してくれるっていう爽快感と安心感。それをみんな期待していると思うので、そういう魅力が伝わる企画だなと思いました。
『守護教師』


『守護教師』(C) 2018 CJ ENM & DAYDREAM. All Rights Reserved.
- 今回の特集の中で特に思い入れのある作品はありますか?
渡辺:
『シュリ』はやっぱりすごく映画史的にもインパクトがありましたし、この3作品(『シュリ』『JSA』『シルミド/SILMIDO』)は、ひとりの映画ファンとしてどれも思い入れ深いです。脚本もめちゃくちゃ練られていて、北朝鮮側の視点をちゃんと描いたっていうのも、たぶん初なんじゃないかなと思います。見応えもあるし、エンタメとしても充分におもしろい傑作ですよね。
- リバイバル上映をされる上で、作品の選定で大切にしていることや、今後やりたいことは何でしょうか?
渡辺:
「Filmarksで人気だから」という要素もありつつ、やっぱり「今、なんでこの作品なのか」という観点をもって、作品を選んでいます。あとは、昨年でいうと"映画業界として、トータルした興行成績が最高だった”という嬉しいニュースが報じられた年ではあったんですが、ただ内訳としては“一部のアニメと邦画がとても盛り上がっていて、その影で洋画が元気ない” という実情もあったりするんです。過去最高だったというニュースだけ聞くと「映画業界全体が盛り上がっているんでしょう」と捉えられるかもしれないんですけど、実は洋画が全然売れていないという現状もあったりして。そういう“洋画離れ”に対する危惧もすごく感じているので、そこはリバイバル上映を企画する身として何かできないかなと思っていて、積極的に洋画をメインで企画するスタンスはあったりします。
なので「アニメやったら人が入るだろう」というビジネス的な狙いはありつつも、アニメのリバイバルを乱発することは絶対にしないと決めていて、一番僕らが今注力しているのは洋画なので、大前提として。洋画もおもしろい作品がいっぱいありますし、「このタイミングだからこれがいい」という意図を持って丁寧に届けていくことで、「洋画もおもしろいね」と若い人に思ってもらいたい。“洋画にもこんなおもしろい作品があるんだ” という興味から「この監督のほかの作品も観てみよう」と映画を楽しんでもらえると嬉しい。
そういうひとつのきっかけだったり、取っ掛かりになったらいいなという思いです。とはいえ、あんまりマニアックすぎても人が来なかったりするので、あまり独りよがりになりすぎない、その絶妙なバランスを探りつつ 、リバイバル上映を企画してます。その点は、Filmarksのレビューやデータを活かして、今の時代の空気とかを考えながら組み立てているという感じですかね。
- これから特集放送、リバイバル上映を楽しんでいただく視聴者へひとこと。
渡辺:
映画を観て「その映画がおもしろかった」というのが一番だと思うんですけど、“映画館で観る良さ” は、また別の体験だとも思ってます。とはいえ、ある映画を観て、そこから関連して、”もっとこの監督や俳優を掘り下げてみたい”と思った時に、「ザ・シネマ」の放送だったり、配信だったりで、関連作品を観るのはいい体験ですよね。今回のように、韓国映画という軸で、放送・配信、劇場上映を楽しめる機会があるのはすごくいいことだと思います。
「韓国映画ってここから有名になったんだ」という発見があって、「その先に『新感染』があったんだ」って。「新感染でマ・ドンソクが有名になって、それからマ・ドンソク主演のこんな映画が出てきたんだ」みたいに、体系的にも学べるっていうのは、今の韓国映画を楽しめるきっかけになるんじゃないかなと思うので。
僕も韓国映画が好きなので結構観ているんですけど、マ・ドンソクって脇役でちょいちょいは出ていたんですよね、刑事Bみたいな感じで、ゴツそうな現場のデカ(刑事)がいるなみたいな。それまで彼に主演作ってなかったと思うんですけど、『新感染』をきっかけに主演作がバンバン生まれて、剛腕でみんなぶっ飛ばすみたいな。拳銃じゃなくてパンチでぶっ飛ばすっていうそっちの方向で、そのままハリウッドまで行きましたからね。そういう過程もわかるのも面白い。なので、こういう企画はすごくいいと思いますので、ぜひ系統立てて、ひとりの俳優から立体的に楽しんでいただければなと思いました。
『無双の鉄拳』


『無双の鉄拳』(C) 2018 SHOWBOX, PLUSMEDIA ENTERTAINMENT AND B.A. ENTERTAINMENT ALL RIGHTS RESERVED.
【公開情報】
『新感染 ファイナル・エクスプレス 4K』
2026年8月21日(金)より1週間限定上映
新宿ピカデリーほか全国公開
配給:ツイン、Filmarks
>>詳しくはこちら
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【放送情報】
特集:Filmarksリバイバル連動企画 『新感染 ファイナル・エクスプレス』4K上映記念~韓国アクション映画の系譜
8/23(日)午後1:00から一挙放送
Filmarksリバイバルとは
Filmarksリバイバルは、国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」が企画・主催するリバイバル上映プロジェクトです。「名作を未来へつなぐ」という理念のもと、多くの人々に愛された過去の名作や、これまで埋もれていた多様な作品に新たな光を当て、映画館で鑑賞する機会を創出します。
【HP】 https://revival.filmarks.com/
【X(旧Twitter)】 https://x.com/filmarks_ticket
【Instagram】 https://www.instagram.com/filmarks_revival/
Filmarksリバイバル ×ザ・シネマ:90’s


ザ・シネマとFilmarksリバイバルによる、初のコラボレーション企画。近年、ファッションや音楽などカルチャー全般において再評価が加速し、当時を知る世代にはどこか懐かしく、若い世代には“新しいもの”として熱狂的に受け入れられている90年代の名作群。本編成企画では、新進気鋭の作家たちが次々と台頭し、革新的な映像表現やストーリーテリング、独自の世界観が際立った当時の傑作を厳選してピックアップし、ザ・シネマの放送を通じて全国の映画ファンへお届けしています。
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