今年のシルバーウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか。
久しぶりの大型連休にも関わらずあいにくの天気でしたが、シルバーウィークの特別編成はお楽しみいただけましたでしょうか。早朝から放送していた【激レア香港映画大放出!】はたくさんの反響をいただきありがとうございました。香港映画のみならず、長らく視聴が叶わなかった作品はこれからもディグり続けます。気長にお待ちください。
さて、今回のコラムはいつもとは違って、私がシルバーウィークを使って参加した「トロント国際映画祭」について簡単にレポートしたいと思います。秋は映画祭シーズンで、9月上旬には世界三大映画祭の1つであるヴェネツィア国際映画祭、中下旬にはオスカーの前哨戦とも称されるトロント国際映画祭が開催され、10月には釜山国際映画祭を経て、10月末の東京国際映画祭へと続きます。
映画祭で公開されるような作品は、ザ・シネマが普段放送している作品とは異なり、日本での劇場公開を狙う配給各社が、権利の購入に向けて商談をするような最新の作品ばかりです。そのため、私は映画祭のマーケットで商談をするために参加したわけではなく、ただただ映画を観に行った一般客です。一方で、そういったほやほやの新作をザ・シネマですぐに放送できる機会は多くはありませんが、門外不出とされた名作の4Kリマスターが映画祭でお披露目されたり、有名監督の新作情報が公開されるや否や過去作品の需要が日本で高まったり、我々にも有益な情報が結構飛び交ったりしているので、うかうかとスルーはできません。何より、コンペティションに出品されたラインナップをチェックしたり、その結果を追ったりするのが楽しくてしゃあないのです。
私もいつかはカンヌ国際映画祭にどっぷりと参加してみたい‥と思っていますが、この円安禍ではなかなか難しいです。そんな中、今年の9月にたまたまカナダのトロントに行く機会があり、トロント国際映画祭の期間とも被ったので、少しだけ潜入することができました。その様子をお伝えします!
トロントで実施される国際的な映画イベント。開催地のトロントはカナダの経済・金融・文化の主要拠点で、北米で上位の人口規模を誇る多民族・多言語の大都市でもある。
この映画祭は1976年に創設。国際映画製作者連盟が認可する非コンペ方式で、「映画祭の中の映画祭」とも称される。北米随一のプレミア本数を掲げ、会期11日間で長編・短編あわせて約300本を上映し、動員は約70万人にのぼる。観客投票による最高賞「People’s Choice Award(観客賞)」の受賞作は、「ラ・ラ・ランド」「スリー・ビルボード」など、アカデミー賞をはじめ主要アワードで高評価を得ており、賞レースの指標として定評がある。
まずは出発前に今年のラインナップを吟味し、日程とマッチする作品のチケットを狙いました。マーティン・マクドナーの待望の新作『ワイルド・ホース・ナイン』を第一候補とし、ナンニ・モレッティ、ロドリゴ・ソロゴイェン、マシュー・ランキン、ジェシー・アイゼンバーグ、ヴェルナー・ヘルツォークあたりの監督からウォッチリストに追加。最終的にはここに挙げた数の倍くらいの監督をマークしたりして、収集がつかなくなりました。
チケット販売開始時刻は日本の深夜。PCにかじりついて準備万全の状態です。しかしチケット争奪戦に慣れてなさすぎて、事前のログインやら何やらに失敗。その間に『ワイルド・ホース・ナイン』は完売してしまいました。まあ日本での公開も決まっていることだし…と自分を慰めつつ、紆余曲折を経て『The Man I Love』という作品のチケットを確保しました。
今年のトロントは晴天続きでとても過ごしやすい日が続きました。近くの公園にはtiffロゴの大きなオブジェやレッドカーペットのエリアなどがあり、街全体に映画祭の雰囲気が充満しています。tiff運営の本拠地には色々な映画グッズが売っていたりして鼻息が荒くなりましたが、その辺を歩いている有名俳優を発見したりもして、さらに鼻息が荒くなりました。

プレゼンターの前説に黄色い歓声や雄叫びが飛び交いました。


こんな感じで映画館のほかにもクラシックな劇場で上映される作品もあり、何ともゴージャスな鑑賞体験でした。プレゼンターに元気よく反応したり、上映中もゲラゲラと笑い声が響いたり、日本とは違う熱気を感じました。ちなみにエンドロールに突入した瞬間にみんな帰り始めます。おかげで場内の写真が撮り放題でした。
作品の感想も簡単に残しておきます。『The Man I Love』はアイラ・サックスという監督の最新作です。私はこれまで観たことがなかったのですが、ゲイであることを公表しているクィア映画の名手ということで観てみました。この新作は『ボヘミアン・ラプソディ』で圧倒的な演技を見せてくれたラミ・マレックが再びクィアな役を演じた、1980年代のニューヨークを舞台とした恋愛ドラマです。これからの日本公開を期待してストーリーの詳細は伏せますが、80年代のNYで盛り上がりを見せたLGBTQカルチャーと、それに付きまとうHIVという病について、さも一般的なロマンスのように実に飄々と、しかし同時にゲイコミュニティ内での恋愛模様であるからこそという意義も感じさせる秀作でした。日本でも公開されますように!
トロントは多民族都市と言われていて、とにかく色々な人たちがいます。『The Man I Love』の会場には同性カップルと思われる観客も多数いて、土地柄まで含めた映画体験として考えると、この映画を選んでよかった!と思いました。去年、東京国際映画祭で『MISHIMA』の上映で界隈が騒然としたように、映画祭ならではの盛り上がりや独特の空気感を味わうのも醍醐味のひとつだと感じます。東京以外にも日本各地で映画祭は開催されていますので、私もこれを機に各地の映画祭に足を運んでみたくなりました。映画祭TAMA CINEMA FORUMとか、なら国際映画祭とか、山形国際ドキュメンタリー映画祭とか。行ってみたい映画祭がたくさんありますが、ひとまずは東京国際映画祭のチケット争奪戦に臨みます。ちょうど今年のトロント国際映画祭で最高賞にあたる観客投票で1位を獲得した『La Bola Negra』という作品も、東京国際映画祭で上映されるようです。すでに日本公開の配給も決まっているようですが、いち早く観られる貴重なチャンス間違いなしです。
以上、いつもザ・シネマで放送している作品とは毛色の違うレポートでした。放送でも、映画館でも、映画祭でも、やっぱり映画を観るという体験は特別です。我々は放送というフィールドからみなさまに特別な映画体験をお届けできるように、これからもがんばります!
最後に、2001年のトロント国際映画祭で最高賞<ピープルズ・チョイス・アワード>を受賞した作品『アメリ』の放送予定をお知らせします。今年は『アメリ』公開から25周年のアニバーサリー・イヤーなのです!はじめての方も、何度も観ている方も、この機会にぜひご覧ください。
【放送情報】
『アメリ』 10月24日(土)深夜3:55~、
11月3日(祝・火)朝7:30~


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観る人みんなが幸せになる!日本でも大ブームを巻き起こした「ミニシアター」系を代表する大ヒット作。
パリを舞台に、夢見がちなアメリが人々を幸せにしようとするロマンチックコメディ!フランスはもちろん世界中でヒット、日本でも社会現象級の大ヒットとなって「ミニシアター」ブームの代表作となった。
(2001年・フランス・121分・カラー)
【監督】ジャン=ピエール・ジュネ
【出演】オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ドミニク・ピノン、イザベル・ナンティほか