唯一、ゲオルギア(オタール・イオセリアーニ フランス 1994年)
ジョージア出身のオタール・イオセリアーニ監督が、ソ連崩壊から激動の渦中にあった祖国の歴史と文化を記録しようと製作したドキュメンタリー3部作。
第一部では伝統や文化を中心にジョージアの歴史が語られる。豊饒な国土に恵まれた東欧の国ジョージア。4世紀ごろからキリスト教が国教となり、見事な建築の修道院が各地に建てられ、貴重な壁画とともに現代まで残っている。一方、ジョージアはトルコ、モンゴル、ロシアなど大国に次々と侵攻され、激しい攻撃を受けてきた。しかしそれでも、パン作りやワインの醸造など地域の伝統・風習に基づいた生活、そして踊りやポリフォニーなどの文化・芸術は、決して絶えることなく受け継がれてきた。
第二部ではソ連併合後のジョージアを豊富な資料映像で映し出す。1921年にソ連に併合されてから、ジョージアでは生産、労働、教育、そして人々の暮らしに至るまで“ソ連化”していき、自国の様々な文化が失われていく。そんな中、映画界には優秀な人材が次々と集まり、国民にとって映画が重要なものとなっていった。そうした歴史を、アレクサンドル・レフヴィアシヴィリやメラブ・ココチャシヴィリらジョージアの映画監督たちのコメント、そして数々の映画の1シーンを交えて振り返る。
第三部では独立前後から内戦に至るまでの過程が語られる。伝統音楽ポリフォニーの紹介から、本編は1980年代ジョージアの激動を伝えていく。かつて国教だったキリスト教が復権して集会が各地で開かれるようになり、やがて有力な指導者たちが現れて政治運動が加熱。するとソ連軍が弾圧に乗り出し、多くの犠牲者が生まれる悲劇へと至ってしまう。その後、1991年にソ連が崩壊したことに伴ってジョージアは共和国として独立するが、内戦によって国民が引き裂かれていく。
パリ移住以降、祖国がなくなるかもしれないという思いからイオセリアーニがジョージアの歴史、文化、激動の歩みを自身のナレーションとともに編み、紹介する本作は、現在の社会情勢はもちろん、イオセリアーニの映画のなかにある核心の部分を理解するための最適な入門としても必見。
■出演
オタール・イオセリアーニ(ナレーション)
第一部では伝統や文化を中心にジョージアの歴史が語られる。豊饒な国土に恵まれた東欧の国ジョージア。4世紀ごろからキリスト教が国教となり、見事な建築の修道院が各地に建てられ、貴重な壁画とともに現代まで残っている。一方、ジョージアはトルコ、モンゴル、ロシアなど大国に次々と侵攻され、激しい攻撃を受けてきた。しかしそれでも、パン作りやワインの醸造など地域の伝統・風習に基づいた生活、そして踊りやポリフォニーなどの文化・芸術は、決して絶えることなく受け継がれてきた。
第二部ではソ連併合後のジョージアを豊富な資料映像で映し出す。1921年にソ連に併合されてから、ジョージアでは生産、労働、教育、そして人々の暮らしに至るまで“ソ連化”していき、自国の様々な文化が失われていく。そんな中、映画界には優秀な人材が次々と集まり、国民にとって映画が重要なものとなっていった。そうした歴史を、アレクサンドル・レフヴィアシヴィリやメラブ・ココチャシヴィリらジョージアの映画監督たちのコメント、そして数々の映画の1シーンを交えて振り返る。
第三部では独立前後から内戦に至るまでの過程が語られる。伝統音楽ポリフォニーの紹介から、本編は1980年代ジョージアの激動を伝えていく。かつて国教だったキリスト教が復権して集会が各地で開かれるようになり、やがて有力な指導者たちが現れて政治運動が加熱。するとソ連軍が弾圧に乗り出し、多くの犠牲者が生まれる悲劇へと至ってしまう。その後、1991年にソ連が崩壊したことに伴ってジョージアは共和国として独立するが、内戦によって国民が引き裂かれていく。
パリ移住以降、祖国がなくなるかもしれないという思いからイオセリアーニがジョージアの歴史、文化、激動の歩みを自身のナレーションとともに編み、紹介する本作は、現在の社会情勢はもちろん、イオセリアーニの映画のなかにある核心の部分を理解するための最適な入門としても必見。
■出演
オタール・イオセリアーニ(ナレーション)