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PROGRAM/放送作品
チャタレイ夫人の恋人(1993)[劇場公開版]
[R15+相当]鬼才ケン・ラッセルと名優ショーン・ビーンがタッグ!衝撃の官能ロマンスを3度目の映像化
センセーショナルな内容で物議を醸したD・H・ロレンスの同名小説を3度目の映像化。過去にも『恋する女たち』などロレンスの小説を映画化したケン・ラッセル監督が、独自の映像美で気品漂うドラマに仕上げている。
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COLUMN/コラム2020.01.31
20年代のイギリスを舞台に、歌と踊りを満喫させてくれるケン・ラッセル監督の異色ミュージカル!
今回の映画は1971年の『ボーイフレンド』。主演はツィッギー。1966年にミニスカートを大ブームにしたイギリスのファッション・モデルです。“ツィッギー”とは“小枝のような”という意味で、木の枝のように痩せてがりがりなんです。そして髪の毛はショートカットでボーイッシュ。中性的な容姿が画期的でした。ツィッギーはモデルを経て女優に転身し、その主演作として作られたのがこの『ボーイフレンド』です。 監督はケン・ラッセル。僕の世代には「変態ケンちゃん」と呼ばれていました(笑)。たとえば『肉体の悪魔』(71年)は17世紀フランスで修道女たちが集団で悪魔に憑かれた事件の映画化ですが、尼さんたちがオナニーしたり浣腸されたり、ムチャクチャな内容だったり、『リストマニア』(75年)も実在のピアニスト、フランツ・リストの伝記映画なんですが、巨大なペニスがダーン! と出てくるので、日本では公開できなかったり。それで、ラ ッセル自身が、世間からあまりにも変態だと思われてるから、そうじゃないところも見せようとしてミュージカル・ラブ・コメディの『ボーイフレンド』を撮ったそうです。だけどやっぱり……変態的な映画なんですよ(笑)! まず、作りがメチャクチャ複雑。もともと『ボーイフレンド』は、1953年にロンドンの舞台で上演されて、ジュリー・アンドリュースをスターにした同名のミュージカルの映画化です。そして、そのオリジナルの舞台の「ボーイフレンド」は、1926年の「ガー ルフレンド」というミュージカルのパロディなんです。その1953年の「ボーイフレンド」を1971年に映画化するにあたって、ケン・ラッセルは、1920年代を舞台にして「ボーイフレンド」を上演する劇団の話にしたんですよ。ややこしいでしょ? ツィッギーの役は、最初はアシスタントですが、グレンダ・ジャクソン扮する主演女優が足を怪我したので、彼女の代役を任されます。そして芝居の中で彼女と相手役をする俳優と恋に落ちてしまいます。さらに、ヒロイン以外の登場人物の想像や妄想も次々に映像化され、はっきり言って何が何だかわからない映画になっています。 それに1920年代当時の舞台では、照明は天井からではなく、足もとからライムライト(石灰灯)で照らしていたんですが、ケン・ラッセルはリアリズムにこだわって、その照明を使っています。でも、顔を下から懐中電灯で照らしたら、どんな顔になるかわかりますよね? みんな怖い顔になっちゃってます。とはいえ、製作はハリウッド・ミュージカルの老舗、MGMです。それでラッセルは、1930年代のMGMミュージカルの伝説的振付師だったバズビー・バークレーの手法を再現しました。シンクロナイズされたダンサーの動きを俯瞰で撮影して、万華鏡のような豪華絢爛の映像を作るんです。これは見ものですよ!■ (談/町山智浩) MORE★INFO. ●舞台の映画化権は1957年にMGMがすでに取得しており、当初の案ではドロシー・キングスリーとジョージ・ウェルズの脚本でデビー・レイノルズ主演、相手役にはデビッド・ニーブン、ドナルド・オコナーなどが検討されたが映画化には至らなかった。 ●監督のラッセルは映画化に当たって、有名なミュージカル監督バスビー・バークレーのスタイルを取り入れた。 ●映画デビューとなったツイッギーは、ポリー役を演じるため歌やタップを、ほぼ一から約9カ月にわたって練習したという。 ●1971年のロンドンでの初公開時には110分のカット版だったが、1987年の再公開時に135分の復元完全版に戻された。 © Warner Bros. Entertainment Inc.
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PROGRAM/放送作品
Tommy/トミー
ザ・フーの大ヒットアルバムが映画に!人気ミュージシャンたちの歌と演技で織りなす刺激的なロックオペラ
ロック・オペラの傑作として名高いザ・フーの同名アルバムを、カルト監督ケン・ラッセルが映画化。台詞がすべて歌で構成され、エルトン・ジョンやエリック・クラプトンら大物アーティストがパフォーマンスを魅せる。
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COLUMN/コラム2016.11.07
【未DVD化】天才ピアニストのリストがロケットに乗ってナチスと戦う! ケン・ラッセル屈指の珍作『リストマニア』は伝記映画が否か?
いくら真剣に話しても「そんなわけないでしょう」と一笑に付される映画がある。そんな代表例がケン・ラッセルの1975年作『リストマニア』だ。詳細に説明すればするほどにウソくさく、じゃあ実際に観てみてくれよと懇願しても、日本では劇場未公開でVHSビデオがリリースされたきり。ほとんど視聴する方法がなかったのだ。そんなカルト中のカルト映画がザ・シネマにお目見えするというから、いくら感謝しても足りないくらいである。 「リストマニア」とは19世紀の音楽家フランス・リストの熱狂的ファンを指す言葉。長身のイケメンで超絶技巧の天才ピアニストだったリストのコンサートでは、詰めかけた女性客が失神し(時にはリスト自身も失神し)、リストマニアたちがわれ先にステージに突進して贈り物を投げ与え、リストが使った後の風呂の湯を飲もうとした不届き者までいたという。言うなればリストは19世紀のロックスターで、世界初のアイドルでもあった。ビートルズ全盛期のファンの狂騒を「ビートルマニア」と呼ぶのも「リストマニア」から派生したバリエーションである。 そんなリストの生涯を鬼才ケン・ラッセルが映画化――と言うは易いが、完成した作品は伝記映画のカテゴリーに入れるにはあまりにもブッ飛び過ぎている。主演はラッセルの前作でもあるロックオペラ『トミー』(1975)に主演したザ・フーのボーカリスト、ロジャー・ダルトリー。音楽はプログレバンド、イエスのキーボーディストだったリック・ウェイクマンが担当。この時点で正統派のクラシック音楽に寄せる気がなかったのは明白だろう(ただし劇中曲の大半はリストやワーグナーの楽曲のアレンジ)。 舞台は19世紀のヨーロッパ。人気絶頂のピアニスト・リストは伯爵夫人マリー(フィオナ・ルイス)の間男になり伯爵に殺されかけるが、マリーと一緒に出奔して3人の子供に恵まれる。やがて倦怠期が訪れ、ロシア貴族のカロライン(サラ・ケッスルマン)に鞍替えするも、ローマ教皇(リンゴ・スター)に結婚を阻まれてしまう。一方リストの舎弟だったワーグナー(ポール・ニコラス)はリストの娘コジマ(ヴェロニカ・キリガン)を略奪婚して新興宗教の教祖に成り上がる。カギ十字マークの武装軍団を結成して世界征服に乗り出したワーグナーとコジマをリストは“愛の力”で止めることができるのか? 文字にすると本当にバカげている。でもふざけているわけでも盛っているわけでもないのだ。本当にこれが『リストマニア』のストーリーなのだ。もうちょっと簡潔にすると「セックス三昧のモテモテ音楽家リストが、悪の権化ワーグナーに戦いを挑む壮大なコント」ということになるだろうか。 もちろんナチスの台頭は20世紀なのでリストともワーグナーとも直接の繋がりはない。ただしヒトラーがワーグナーの音楽に心酔し、ワーグナーの遺族を援助したことは事実なので、ワーグナーとヒトラーを同一視したトンデモ描写を歴史への皮肉と解釈することはできる。しかしチョビ髭を付けたワーグナーがエレキギター型マシンガンで暴れまくるクライマックスを観て歴史の教訓を読み取ることは常人には至難の業だろう。 ケン・ラッセルのやりたい放題はまだまだある。ラッセルは『恋人たちの曲/悲愴』(1970)や『マーラー』(1974)でも音楽家の生涯を独自のスキャンダラスな解釈で描いているが、『リストマニア』では冒頭からメトロノームに合わせて伯爵夫人マリーのおっぱいを吸う下ネタギャグで幕を開ける。突然チャップリンの無声映画を完コピしたり、新興宗教の制服がスーパーマンのコスチュームだったり、ワーグナーが狼男とドラキュラとフランケンシュタインになってみたり、ジャンルの壁を飛び越えまくるアバンギャルド精神が尋常じゃない。 前作『トミー』では原作者であるピート・タウンゼントがラッセルの過剰な演出に不満を唱えていたと聞くが、自ら脚本も書いた『リストマニア』は『トミー』なんて目じゃないほどにイカレている。猥雑でデタラメでぶっ壊れていて、ある意味では作家主義の行きつく果てを教えてくれる啓示のような作品なのだ。 と、いかに『リストマニア』がムチャクチャかについて書いてみたが、リストの生涯や19世紀の音楽シーンを知るうちにデタラメな中にもラッセルなりの裏付けがあることがわかってきた。例えば映画の序盤に文化人でごった返すパリのサロンが登場する。そこにはなぜか男声で吹き替えられているSMの女王がいて、Mっ気のある男がすがりついている。この2人は誰あろう。天才音楽家フレデリック・ショパンと、ショパンの恋人で女性作家のジョルジュ・サンドなのだ。 ジョルジュ・サンドは男装で社交界に出入りしたゴリゴリのフェミニストとして知られ、ショパンは初めて彼女に会った時の印象を「男のような女」と書き残している。そういった史実をラッセルのけばけばしいフィルターを通すと、前述のようなSMカップルができあがるのだ。 また同じサロンのシーンで、ワーグナーがメンデルスゾーンのことを「金で音楽を作る男」と揶揄するセリフにも根拠がある。ワーグナーはユダヤ系のメンデルスゾーンを嫌っており、「音楽におけるユダヤ性」という論文で名指しで攻撃したことさえあるのだ。ヨーロッパにはユダヤ人を守銭奴扱いする伝統があり、その傾向が最も過剰な形を取ったのがナチスドイツによるホロコーストだったわけだが、この何気ないセリフの背景にはワーグナーからヒトラーへと繋がっていく反ユダヤ思想が横たわっているのである。 リストの伝記映画としても実はポイントポイントをちゃんと押さえている。リストが最初に不倫する伯爵夫人はパリの社交界の華だったマリー・ダグーで、リストとの間に3人の子供が生まれ、コジマ以外の2人が早世したのも史実の通りだし、カロラインとの結婚がバチカンに認められずに破局したのも現実そのまま。娘のコジマがリストの弟子で指揮者のハンス・フォン・ビューローと結婚していたのにワーグナーに奔ったドラマティックなエピソードはクラシック通以外にもよく知られた話だ。 ケン・ラッセルは前述したようにリスト、マーラー、チャイコフスキー、エドワード・エルガーと19世紀に活躍した音楽家の伝記ものを多く手がけており、当時の音楽事情にもっとも通じている映画監督だったろう。19世紀はブルジョワ階級が台頭し、サロン文化が花開いた。新しい価値観が現れて旧来の常識が良くも悪くも覆されていく。そんな世相や時代の空気を最もケン・ラッセル色を強めて映像化してみせたのが『リストマニア』ではなかったか。 本人が生きていれば深読みのし過ぎだと笑い飛ばすかも知れない。大好きな不謹慎ネタで歴史を混ぜっ返したかっただけかも知れない。しかしながら長らく底抜けのバカ映画だと信じてきた『リストマニア』が、実はアカデミックな教養と理解に裏打ちされた、もっと多角的に掘り下げられるべき作品であることは大きな発見だった。とにもかくにもこの貴重な機会を逃す手はない。未見の方には「こんな珍奇な映画には人生でも滅多に出会えない」という一点においてだけでも、ザ・シネマでの放送を目撃していただきたい。■ TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.
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PROGRAM/放送作品
ボーイフレンド【町山智浩撰】
町山智浩推薦。ミニスカートの女王・ツイッギーが女優として主演。戦前の豪華絢爛なミュージカル映画が甦る
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。戦前の“人間幾何学群舞”ミュージカル映画をケン・ラッセル監督が数十年ぶりに甦らせる。女優業に進出したミニの女王・モデルのツイッギーが主演し、歌い踊る。
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PROGRAM/放送作品
ストーリー・オブ・フィルム 第10回:革新的映画作家たち
映画史に隠された壮大な物語を、当時の映像や関係者へのインタビューなど全15話で辿るドキュメンタリー
1970年代に世界を変えた映画作家たちに迫る。ドイツのヴィム・ヴェンダース、イギリスのケン・ラッセル、イタリアのベルナルド・ベルトルッチ。監督自身や関係者へのインタビューを通じ、時代を読み解いていく。
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PROGRAM/放送作品
リストマニア
[R15相当]“ピアノの魔術師”リストに材をとりながら超お下品!ケン・ラッセル印ロック・ミュージカル
鬼才ケン・ラッセル監督は幾つかの伝記映画とミュージカル映画をものしたが、その中でもリストを主人公にした本作は、ロックな反骨精神が炸裂!シュールにして意味不明+エロねたつるべ打ちの、フザけきった1本だ。
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PROGRAM/放送作品
バレンチノ(1977)
奇才ケン・ラッセルが、初期ハリウッドの大スター、ルドルフ・ヴァレンチノの波乱万丈の人生を描く。
『Tommy/トミー』をはじめ、独特の世界観と芸術性で知られるケン・ラッセルが、若干31歳でこの世を去ったサイレント映画時代の伝説的スター、ルドルフ・ヴァレンチノの生涯を描いた伝記的映画。