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PROGRAM/放送作品
ザ・リング2 完全版
海を越えた“呪いのビデオ”の恐怖が再び…『リング』の中田秀夫監督が贈るハリウッド・リメイク版の続編
大ヒットJホラー『リング』の中田秀夫監督が、同作のリメイク版の続編でメガホンを握ってハリウッドデビュー。前作から半年後を舞台にした完全オリジナルストーリーで、親子愛を軸に新たな恐怖を描き出す。
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COLUMN/コラム2023.05.12
Jホラー世界へ!リメイク作品『ザ・リング』が成功した理由
時は2001年。「ドリームワークス・ピクチャーズ」のプロデューサーで共同代表者のウォルター・F・パークスとローリー・マクドナルドに、部下の社員から電話が入った「あんなに怖い映画はこれまで観たことがない。すぐに見るべきだ」 部下の勢いに気圧され、パークスとマクドナルドは予定をキャンセル。“ビデオ”でその作品を観ると、言われた通りにふたりとも恐怖に震え、すっかり魅了されてしまった。そして、そのリメイク版を製作することを決めたという。「ドリームワークス」が、1998年の日本の大ヒットホラー『リング』のリメイク権を買ったことは、本邦では大きなニュースとして伝えられた。94年に設立されたこの映画会社が、世界一のヒットメーカーであるスティーヴン・スピルバーグ監督を擁し、当時は新たなる“ハリウッドメジャー”の座を窺う存在と言われていたことも、その背景にはあったと思われる。 しかし一方で、この“吉報”に懐疑的な向きも少なくなかった。ハリウッドのスタジオが他国のヒット作をリメイクする権利を押さえても、実際には映画化に動かずじまいとなるケースは、山のようにある。増してや日本映画をリメイクした成功例となると、『七人の侍』(54)を翻案した『荒野の七人』(60)など、ごく僅かしか聞かない。 ところが翌2002年の11月には、『リング』のリメイク作品である『ザ・リング』が、早くも日本で公開される運びとなった。2週ほど先に公開されたアメリカでの“大ヒット”という、センセーショナルな話題を伴って。 この成功の主因は、プロデューサーを務めたパークスとマクドナルドの製作姿勢にあったと思われる。彼らはオリジナル版初見の際に自らが感じた“恐怖”を至極大切にして、このリメイク版を作り上げたのだ。 ***** シアトルの新聞記者レイチェル(演:ナオミ・ワッツ)は、変死した姪のケイティの死因を探ることとなる。 ケイティは死の1週間前、山小屋に出掛けていた。そこで一緒だった仲間3人も、彼女と同様に命を落としていた事実が判明。健康な4人の若者が、同日の同時刻に謎の死を遂げていたのだ。 レイチェルはケイティの同級生から、あるビデオテープに関する、こんな噂を聞く。「そのビデオを観た者は、7日後に死ぬ」 レイチェルは4人が泊まった山小屋で、そのビデオテープらしきものを発見。再生すると、血の波紋、鏡に映る女、梯子、馬の死体、燃え上がる木が次々と映し出される。そして、最後に映った井戸がノイズで消えると、背後の電話が鳴り響いた。 受話器を取ると、不気味な女の声で、「7日後…」と告げられる。 死んだ4人の若者がそうであったように、その日からレイチェルをカメラで撮ると、顔が醜く歪んで写るようになる。彼女は別れた夫ノア(演:マーティン・ヘンダーソン)に相談。ノアは当初、彼女の言うことを信じなかったが、やはりビデオを見た自分にも、同じ現象が振りかかってきたため、協力して「呪いのビデオ」の正体を追い始める。 ビデオに映っていたものや人物の正体を探る中、更に恐ろしいことが起こる。レイチェルの息子エイダン(演:デイヴィッド・ドーフマン)までもが、ビデオを再生。「死の呪い」に罹ってしまったのだ。 果たしてレイチェルは謎を解き、自分と元夫、そして息子に迫りくる死を避けることができるのか? ***** 本作『ザ・リング』では、原作として2作品がクレジットされる。鈴木光司の「リング」と、中田秀夫の『リング』だ。前者は鈴木が著し、1991年に出版された小説。後者は中田監督による、その映画化作品を指す。 鈴木の原作小説では、高校生の姪とその同級生の死の謎を追っている内に、「呪いのビデオ」を見てしまう主人公は、雑誌記者の浅川という男性。そしてその協力者となるのは、浅川の高校の同級生で、大学講師の高山竜司。30代の男性が2人で、ビデオの謎を追っていく。 浅川には、妻と1歳6か月になる女児がいる。そしてこの2人が誤って「呪いのビデオ」を見てしまう。 そのため浅川は、自分のみならず、愛する家族を何とか救おうと必死になる。そしてある意味、人倫にもとる行為に走っていく…。 この辺り、スティーヴン・キングの「ペット・セマタリー」(1989年と2019年に映画化された『ペット・セメタリー』の原作)などからの影響も感じる。この作品を執筆中は“主夫”でもあったという鈴木光司は、意識的に“父性愛”の物語を紡いだのだ。 鈴木の「リング」は、まずは95年にTVドラマ化された。私は未見なので詳細には触れられないが、比較的原作に忠実に作られた作品だったと言われる。 そして98年、中田秀夫監督による映画化作品が公開。こちらは「呪いのビデオ」の設定などは生かしながら、かなりの改変を施している。 代表的な変更点を挙げる。まずはキャラクター。映画化作品では浅川を、TV局の女性ディレクターに変えた。そして高山は、その元夫という設定。この元夫婦の調査行の合間に、誤って「呪いのビデオ」を見てしまうのは、浅川が引き取って女手一つで育てている、小学生の一人息子・陽一である。 因みに高山は超能力の持ち主であり、息子である陽一も、その能力を引き継いでいる描写がある。 これらは、『リング』の脚本家である高橋洋が、監督と相談しながら行った変更。当初から95分という上映時間が課せられていたため、複雑な因果関係を整理。鈴木こだわりの“父性愛”を、観客にも伝わり易いであろう、“母性愛”へとシフトチェンジした。 そしてこの設定は、ヒロインの元夫が超能力の持ち主という部分はカットしながらも、そのままリメイク版『ザ・リング』へと引き継がれる。 『リング』と言えば、この作品の内容を詳しく知らない者でも、その名を知っているのが、“貞子”であろう。「呪いのビデオ」は、山村貞子という、念じるだけで他者を殺害できるほどの、強大な超能力の持ち主の“怨念”によって生まれた。その設定は、原作からそのまま、映画化作品に引き継がれたものである。 しかしながら、すでに死者である貞子が、生きている人間をいかにして殺害するのか?原作と映画では、大きく違っている。 その違いを表すのに、まずは原作から一部抜粋する。高山竜司が「呪いのビデオ」を見てちょうど1週間後に、死に至る局面だ。 *** 「ヤベエ、やって来やがった……」 …渾然一体となった音の群れが、ふわふわと人魂のように揺れ出したのだ。現実感が遠のいていく……、 胸は早鐘を打った。何者かの手が胸の中にまで伸び、ぎゅっと心臓を摑まれたような気分であった。背骨がキリキリと痛んだ。首筋に冷たい感触があり、竜司は驚いて椅子から立ち上がりかけたが、胸から背中にかけての激しい痛みに襲われていて床に倒れ込んだ。 *** そして高山は鏡の中に、~頬は黄ばみ、干乾びてゴウゴウとひび割れ、次々と抜け落ちる毛髪の隙間には褐色のかさぶたが散在している~百年先の自分の姿を見て、遂には絶命してしまう。即ち高山は、「貞子の呪い」という概念に襲われて、命を落とす。 これをこのまま、映像にする手もあっただろうか?しかし映画化作品では、「貞子の呪い」を、極めて具体的な形を持ったものへと改変した。高橋洋による、シナリオの抜粋をする。 *** TVにあのビデオが、最後の井戸の場面が映っていた。激しく画面が乱れ、幾度も砂嵐が走りながら、井戸からズルズルはい上がる女の姿が見える。シャーッ……と音が高まってゆく。女はゆっくりとこちらに近づいて来る。 恐怖にすくみながらも、電話に向かおうとすると、女はブラウン管からズルズルとこちらの世界にはみ出してきた。まるであの世に通じる窓を乗り越えるように。 廊下へ逃れた竜司に女が迫って来る。首を捩れたように垂らし、時折ひきつるように振りながら、ズルリズルリと足を引きずる……、人間の動きではない。そして間近に迫り、顔を上げたのだ。髪の間から何も見ていない狂人のような眼が覗いた。竜司は断末魔の声と共に白い光に呑まれた。 *** 貞子ははっきり、“幽霊”として現れる。そして高山に襲いかかり、呪い殺してしまうのである。 リメイク版の『ザ・リング』では、貞子に当たるのは、サマラという少女。孤児であったサマラは引き取られた先で、義父母ら周囲に災厄をもたらす存在として描かれる。生前の貞子のような、超能力者ではない。印象としては、『オーメン』(76)に登場する“悪魔の子”ダミアンのような、邪悪な存在といった体だ。 そんなサマラだが、クライマックスでは、ほぼオリジナルと同じ形で、幽霊として実体化。TVのブラウン管から這いずりだして、高山ならぬノアの命を奪ってしまうのである。『ザ・リング』の監督を務めたゴア・ヴァービンスキーは、リメイクに当たって最も気を付けたのは、「…オリジナルを台無しにしないこと…」だったと語っている。そして、「…インパクトの強いところは、全部残すようにした…」という。 4,800万ドルの製作費で作られた『ザ・リング』は、全米で1億3,000万㌦、全世界では2億5,000万㌦近い興行収入を上げる大ヒット。いわゆる“Jホラー”が、世界に通用する証左となった。 余談であるが、「ドリームワークス」が、『リング』のリメイク権を買って、日本側に払ったのは、100万㌦。『リング』の製作費は1億5,000万円だったので、これだけでほぼペイしてしまう計算となる。 とはいえ、『ザ・リング』の売り上げを考えると、100万㌦などは微々たるもの。ところが契約の関係で、いくらアメリカで大当たりしても、日本側のプロデューサーや監督、脚本家には、ほとんど実入りはなかったという。 オリジナルのプロデューサーの1人、一瀬隆重はそれを教訓に、やはり“Jホラー”の『呪怨』をハリウッドリメイクする際には、成功報酬型の契約を結び、自らも参画。見事に大ヒットとなったこのリメイク作品の、純利益の3分の1という報酬を手にすることに、成功した。 さて日本の映画界では、『リング』第1作から四半世紀経っても、手を変え品を変え、未だにシリーズ…というか、貞子が登場するホラー作品が作り続けられている。それはもはや、鈴木光司の原作からは遠く離れたものとなっている。 ハリウッドでも、『ザ・リング』はシリーズ化。日本版とは違った独自の展開を見せる、『ザ・リング2』(2005)『ザ・リング リバース』(17)が製作されている。 ウィルスは形を変えて、生き残りを図るという。映画界に於ける“リング・ウィルス”も、また然りである。■ 『ザ・リング』TM & © 2002 DREAMWORKS LLC.
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PROGRAM/放送作品
キラー・インサイド・ミー
[R15+]ベストセラー犯罪小説を実力派マイケル・ウィンターボトム監督が映画化したクライムストーリー
異端の犯罪小説家として名高いジム・トンプソンのクライムノベルを映画化。誰にでも好かれる田舎町の保安官が、ある娼婦と出会ったことがきっかけで冷酷な連続殺人鬼に変貌してゆく…。驚愕のラストが待ち受ける!
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COLUMN/コラム2012.08.26
2012年9月シネマ・ソムリエ
■9月1日『ブーリン家の姉妹』 16世紀の英国王室を揺るがした一大スキャンダルを映画化。時のイングランド国王、ヘンリー8世の寵愛を受けた新興貴族の姉妹アンとメアリーの数奇な愛憎ドラマだ。野心家で執念深いアンに『ブラック・スワン』のN・ポートマン、心優しい妹メアリーにS・ヨハンソン。この二大女優がほとばしらせる激情が観る者を終始圧倒する。「クィーン」の脚本家ピーター・モーガンらの一流スタッフが参加し、重厚で奥行きある歴史劇を創造。エリザベス1世の時代の幕開けを告げる結末も深い余韻を残す。 ■9月8日『キラー・インサイド・ミー』 米国文学界の異端児ジム・トンプスンの代表作「おれの中の殺人鬼」。この特異な一人称形式の犯罪小説を、M・ウィンターボトム監督がドライなタッチで映画化した。1950年代のテキサスを舞台に、人当たりのいい保安官助手の青年が冷酷な連続殺人鬼に変貌していく姿を描出。人間の不可解さと倒錯的な愛の形が観る者を驚かせる。主人公の殺人衝動を目覚めさせてしまう娼婦役にジェシカ・アルバ。もうひとりのヒロインに扮したケイト・ハドソンとともに、新境地の汚れ役を体当たりで熱演した。 ■9月15日『ルドandクルシ』 メキシコ映画界を代表する才能たちが手を組み、世界に向けて放った一作。同国出身の国際的スター、G・ガルシア・ベルナルとD・ルナが兄弟に扮して主演を務めた。田舎のバナナ農園で働く兄弟が、スカウトに見出されてプロ・サッカー選手に。ルド(乱暴者)とクルシ(自惚れ屋)のあだ名を頂戴した彼らの波乱に満ちた運命を綴る。おおらかで脳天気なコメディ仕立てだが、ちょっぴりほろ苦くて後味は爽やか。兄弟がPKの直接対決に挑む終盤は、メキシカン・サッカーの猥雑な熱気も味わえる。 ■9月22日『CQ』 巨匠フランシス・F・コッポラの息子ロマン・コッポラの監督デビュー作。偉大な父のサポートを得て、CMや音楽ビデオの演出で培ってきた豊かな感性を花開かせた。1969年のパリで、未完成のSF冒険映画の監督に指名されたフィルム編集者ポール。若き主人公の自分探しや映画への夢を、洗練された映像&音楽センスで紡ぎ上げた。観る者の目を奪うのは『バーバレラ』を思わせるレトロポップな劇中劇。スーパーモデルのA・リンドヴァルが惜しみなく披露するセクシーなコスプレもお楽しみあれ! ■9月29日『ワンダーランド』 1981年7月、ハリウッドで男女4人の血まみれ死体が発見された。ポルノ界の伝説的な巨根俳優ジョン・ホームズが関与したとされる“ワンダーランド事件”の映画化だ。 事件発生当時のホームズは麻薬を常用し、ギャングとも親交があったという。『ブギーナイツ』の主人公のモデルにもなったポルノスターの哀れな凋落ぶりが描かれる。謎多き事件の関係者の食い違う証言をフラッシュバックで映像化。ホームズを愛した2人の女との関係も描かれ、クライマックスでは陰惨なバイオレンスが炸裂する。 『ブーリン家の姉妹』© 2008 Columbia Pictures Industries, Inc. and Universal City Studios Productions LLLP and GH Three LLC. All Rights Reserved 『キラー・インサイド・ミー』©Copyright 2010 KIM PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED. 『ルドandクルシ』© 2008 CHA CHA CHA, INC. All rights reserved. 『CQ』© 2001 CQ PRODUCTIONS,LLC.ALL RIGHTS RESERVED 『ワンダーランド』© 2003 Lions Gate Films,Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
(吹)ザ・リング2 完全版
海を越えた“呪いのビデオ”の恐怖が再び…『リング』の中田秀夫監督が贈るハリウッド・リメイク版の続編
大ヒットJホラー『リング』の中田秀夫監督が、同作のリメイク版の続編でメガホンを握ってハリウッドデビュー。前作から半年後を舞台にした完全オリジナルストーリーで、親子愛を軸に新たな恐怖を描き出す。
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COLUMN/コラム2012.08.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年9月】山田
ケイシー・アフレック演じる、誰にでも好かれる田舎町の保安官が、ジェシカ・アルバ演じる娼婦との出会いをきっかけに、隠されていた裏の顔を見せ、冷酷な連続殺人鬼に変貌していく姿を描いた本作。異端の犯罪小説家として名高いのジム・トンプソン原作のクライムノベルを、イギリスを代表する映画監督の一人であるマイケル・ウィンターボトムが映画化。ウィンターボトムらしからぬバイオレンス描写(と性描写)がふんだんに盛り込まれた作品に仕上がっており、主演のケイシー・アフレックがドクロちゃんのように武器を使うことなく、怖めず臆せずひたすら拳のみで殺すシーンはなかなかのもの。。娼婦役のジェシカ・アルバの生のお尻も拝めます。 (C) Copyright 2010 KIM PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.
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PROGRAM/放送作品
マリー・アントワネットの首飾り
一人の女の野心がフランス王朝を崩壊へと導いた!一大スキャンダルを新解釈で描く歴史ドラマ
革命前夜の18世紀フランスで起き、王室への世論を悪化させた“首飾り事件”。歴史の闇に包まれたその顛末を独自の解釈で描き出す。奪われた家名を取り戻すため策略を練るヒロインをヒラリー・スワンクが熱演。