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PROGRAM/放送作品
エクスペンダブルズ2
[PG12]シュワ、ブルース本格参戦!さらにチャック・ノリスも!80’sアクション・スター大進撃
前作で豪華競演した新旧アクション・スターが再集結し、さらに悪役としてジャン=クロード・ヴァン・ダムが新参戦。前作では顔見せ程度だったブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガーが大活躍する。
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COLUMN/コラム2023.03.01
ヴァン・ダムが双子の兄弟を演じた異色アクションは製作舞台裏も面白エピソードがいっぱい!『ダブル・インパクト』
原作はフランスの古典文学だった!? 当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでスター街道を爆走していたアクション俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダムが、1人2役で双子の兄弟を演じたことが話題となったマーシャルアーツ映画である。ご存知の通り、ベルギー出身の有名な格闘家だったヴァン・ダム。’80年に全欧プロ空手選手権のミドル級王座に輝いた彼は、’82年に選手生活にピリオドを打つと映画スターを目指してロサンゼルスへ拠点を移す。アルバイトと掛け持ちしながらスタントマンとして映画の仕事をこなし、虎視眈々とチャンスを狙っていたところ、その甲斐あってキャノン・フィルムズの名物社長メナハム・ゴーランへの売り込みに成功。香港を舞台にした初主演映画『ブラッドスポーツ』(’88)の大成功を皮切りに、『サイボーグ』(’89)や『キックボクサー』(’89)、『ブルージーン・コップ』(’90)など次々とヒットを重ねていく。 その『ブラッドスポーツ』で初めて知り合ったのが脚本家シェルドン・レティック。アメリカ海兵隊出身でベトナム戦争への従軍経験もあるレティックは、ストイックな元格闘家のヴァン・ダムとウマが合ったのだろう。すっかり意気投合した2人は、レティックの監督デビュー作である『ライオンハート』(’90)など数々の映画でコンビを組むこととなる。そのレティック監督によると、もともと本作『ダブル・インパクト』の企画がスタートしたのは『ブラッドスポーツ』の直後だったという。同作の想定外の大ヒットに上機嫌だったメナハム・ゴーランは、ヴァン・ダムとレティックを自身のオフィスへ呼び出し、棚に並べられた無数の脚本の中から次回作を自由に選ぶよう勧めた。そこでレティックの目に入ったのが「Corsican Brothers」というタイトルの脚本だった。 古典文学に明るい方なら御察しの通り、これはフランスの文豪アレクサンドル・デュマが1844年に発表した小説「コルシカの兄弟」をベースにした作品。原作は離ればなれで暮らすコルシカ島出身の双子の兄弟を主人公に、弟が決闘で殺されたことをテレパシーで察知した兄が復讐を果たすという物語だ。オリジナルの脚本がこれをどう料理していたのかは定かでないものの、リライトを手掛けたレティック監督とヴァン・ダムによれば、そこからさらに原型をとどめないくらい改変してしまったらしい。確かに、完成した映画本編を見ると「双子の兄弟」「復讐」という2つのキーワード以外、デュマの小説と共通するものはほぼないと言えるだろう。 かくしてリライト作業を進めている間に、キャノン・フィルムズは経営不振に陥ってメナハム・ゴーランが会社から追放され、レティックはヴァン・ダム主演の『ライオンハート』でひと足先に監督デビュー。そんな折、ヴァン・ダムは『クリーチャー』(’85)や『ザ・ニンジャ/復讐の誓い』(’85)などの低予算映画で注目され、当時『ブランケット城への招待』(’88)や『カンザス/カンザス経由→N.Y.行き』(’88)などでメジャー進出を図っていたトランス・ワールド・エンターテインメントの創業社長モシュ・ディアマントと契約を結び、「Night of the Leopard」という作品に主演する予定だったのだが、この企画が諸事情によって頓挫してしまう。それを知ったレティック監督がディアマントに「Corsican Brothers」の企画を売り込んだことから、『ダブル・インパクト』の企画にゴーサインが出たのである。 ちなみに、ディアマントは「Corsican Brothers」というタイトルを気に入らず変更を要求したのだが、その際に『ダブル・インパクト』を提案したのはヴァン・ダムだったという。当時『ライオンハート』の編集作業中だったレティック監督は、アクション・シーンにインパクトを付けるため、別角度から撮った同じカットを2度連続で編集していたのだが、ヴァン・ダムはそれをヒントにして新タイトルを思いついたらしい。 生き別れになった双子兄弟の復讐劇! 物語の始まりは1966年。香港でトンネル建設事業に携わった裕福な実業家ワグナーが共同経営者のグリフィス(アラン・スカーフ)に裏切られ、地元の中国系ギャングによって妻もろとも殺されてしまう。その際、まだ生後数か月の赤ん坊だった双子の息子たちだけは辛うじて難を逃れる。中国人のメイドに助けられたアレックスはカトリック系の養護施設へ預けられ、ボディガードのフランク(ジェフリー・ルイス)に助けられたチャドは逃亡先のフランスで育てられた。 それから25年後。明るく溌溂とした青年に成長したチャド(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は、育ての親であるフランクと共にアメリカの西海岸へ移住し、ロサンゼルスの高級住宅街ビバリーヒルズでエクササイズジム兼格闘技道場を経営していた。この間、ずっとアレックスの行方を探していたフランクは、依頼していた私立探偵からアレックスを香港で発見したとの報告を受け、何も知らないチャドを連れて25年ぶりに香港へと渡る。天涯孤独の身で育ったアレックス(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)は、それゆえ裏社会へ足を踏み入れて逞しく生き残り、現在は密輸業者として生計を立てていた。 お互いに自分と瓜二つの兄弟がいると知って困惑するアレックスとチャド。そんな2人にフランクは事情を説明する。かつて兄弟の両親がグリフィスに殺されて会社を奪われたこと、手を下したのが裏社会の元締めザング(フィリップ・チャン)であること、そして今こそ兄弟が団結して復讐を果たす時であること。しかし、シニカルで猜疑心の強い苦労人アレックスと、ノリの軽い遊び人チャドはまるで水と油。どうしてもお互いに反発してしまう。しかも、宿敵グリフィスは今や香港でも有数の大富豪で、おいそれと近付くことも出来ない。そのうえ、仲間のザングも巨大なファミリーを抱えている。兄弟とフランクの3人では多勢に無勢だ。 そこで心強い味方となったのがアレックスの恋人ダニエル(アロナ・ショウ)だ。実はグリフィスの会社で働いているダニエル。尊敬する社長がそんな極悪人だとは信じられないダニエルだったが、しかし愛するアレックスのため内部の機密情報を探っているうち、動かしがたい犯罪行為の証拠を見つけてしまう。ところが、そんな彼女の動向をグリフィスの女用心棒カーラ(コリー・エヴァーソン)が秘かに監視していた。アレックスとチャドの存在に気付き、亡き者にすべく追っ手を差し向けるグリフィスとザングの一味。果たして、兄弟は親の仇を取ることが出来るのか…!? ヴァン・ダムは成功しても義理人情に厚い男だった! 実は、主人公のアレックスとチャドには、それぞれ名前の由来となった人物がいる。まずアレックスの元ネタは、ヴァン・ダムの恩人であり芸名(本名はジャン=クロード・カミーユ・フランソワ・ヴァン・ヴァレンバーグ)の由来となった人物ポール・ヴァン・ダムの息子アレックス。ベルギーの裕福な実業家だったポール・ヴァン・ダム氏は大の格闘技マニアで、知り合った当時まだ17歳だったヴァン・ダムの実力を高く評価し、なにかと金銭的な面倒を見てくれていたらしい。一時期、彼は香港へ渡ってカンフー映画スターを目指したこともあるのだが、その渡航費などを提供してくれたのもヴァン・ダム氏だったようだ。その際、一緒に香港へ同行したのが氏の息子アレックス。君はいつか必ず有名な映画スターになる!と背中を押してくれた恩人に対する、ヴァン・ダムからのささやかなオマージュだったのだろう。 一方のチャドは、無名時代のヴァン・ダムと親友だったチャド・マックイーンが元ネタ。そう、あのスティーヴ・マックイーンの子息である。彼もまた下積み生活を送るヴァン・ダムを励まし、あちこち遊びにも連れ出してくれたという。受けた恩は決して忘れない。そんな義理堅いヴァン・ダムの真面目な性格を、主人公たちのネーミングから伺い知ることが出来ると言えよう。 ヴァン・ダムの義理堅さといえば、本作のキャストやスタッフの顔ぶれにもよく表れている。例えば、ザングの用心棒である怪力マッチョ男ムーンを演じている香港俳優ボロ・ヤン(ヤン・スエ)。『燃えよドラゴン』(’73)の悪漢ボロ役で世界的に知られ、筆者世代の日本人にはテレビドラマ『Gメン’75』の香港空手シリーズでもお馴染みのカンフー・スターだ。ヴァン・ダムとは前作『ブラッドスポーツ』でも共演。その際にヴァン・ダムは、「次は必ずもっと大きな映画で呼ぶから」と約束したそうだが、本作ではそれをちゃんと守ったのである。ちなみに、ボロは英語がほとんど喋れず、なおかつ優しいトーンの声だったため、セリフは全て別人がアフレコで吹き替えている。 また、アレックスが隠れ家にしている麻雀店の店長マーを演じているカメル・クリファは、ヴァン・ダムとは13歳の頃からの付き合いである長年の大親友。『ブラッドスポーツ』の大ヒットで名を成したヴァン・ダムは、当時ベルギーでレストランを経営していたクリファをパーソナル・トレーナーの名目でハリウッドへ呼び寄せ、『ライオンハート』以降の多くの出演作に役者としても起用。本作からはプロデューサーとして製作にも携わるようになった。レティック監督とのパートナーシップも同様だが、決して自らの成功を独り占めにはしない、それもまたヴァン・ダムの義理堅さである。 さらに、ウエスタン・ブーツのかかとに仕込んだ拍車を武器にするグリフィスの用心棒を演じるピーター・マロータは、アルバニア出身の有名なテコンドー師範。ヴァン・ダムとは以前から顔見知りだったそうだが、テコンドーの講習会を開くためパリに滞在していたところ、ちょうど『ライオンハート』のプロモーションで訪仏していたヴァン・ダムとたまたま遭遇し、本作の用心棒役およびスタント・コーディネーターをオファーされたという。彼もまた、これ以降『ユニバーサル・ソルジャー』(’92)や『ボディ・ターゲット』(’93)、『クエスト』(’96)などなど、俳優兼スタント・コーディネーターとしてヴァン・ダム作品に欠かせない常連組となり、『ジャン=クロード・ヴァン・ダム/ファイナル・ブラッド』(’17)では監督にまで進出している。 本国アメリカ側とロケ地・香港側でバトルが勃発!? 主なロケ地となったのは、ヴァン・ダムにとって個人的な思い入れも深い香港。現地での撮影コーディネートは『キックボクサー』でも組んだ地元プロデューサー、チャールズ・ワンが取り仕切り、観光客が足を踏み入れることのないディープなロケ地から格闘技の心得のあるエキストラまで、なんでも格安ですぐに調達してくれたという。ところが、この香港側のワン氏とアメリカ側のプロデューサー陣との間で対立が勃発し、撮影途中で香港から引き揚げなくてはならない事態となる。アメリカ側はワン氏のことが信用ならないと主張したのだが、しかしレティック監督によると本当の問題はアメリカ側にあったらしい。 本作の製作を手掛けたストーン・グループ・ピクチャーズは、先述したモシュ・ディアマントと俳優マイケル・ダグラスが共同出資して立ち上げた製作会社。当時、ストーン・グループでは元アメフト・スター選手ブライアン・ボスワース主演のアクション映画『ストーン・コールド』(’91)と『ダブル・インパクト』の2本を同時進行で製作していたのだが、会社的にはボスワースを第2のシュワルツェネッガーに育てるという目論見もあって、本作よりも『ストーン・コールド』の方に力を入れていたという。そのため、実は『ダブル・インパクト』の予算をこっそり『ストーン・コールド』に回していたらしく、それにワン氏が気付いてしまったことから対立に発展したというのだ。 事情を知ったヴァン・ダムもレティック監督もワン氏の味方に付いたものの、結局はアメリカ側の強引な独断によって香港から撮影隊を撤収することが決定。とりあえず屋外シーンのロケだけは全て香港で済ませ、残りの屋内シーンはロサンゼルスで撮影されたのである。ただし、蓋を開けてみれば予算2500万ドルの『ストーン・コールド』は世界興収900万ドルという超大赤字。ボスワースを第2のシュワルツェネッガーに育てることは叶わなかった。一方の『ダブル・インパクト』は予算1500万ドルに対して、世界興収3000万ドルというスマッシュヒットを記録。改めてヴァン・ダムのスター・パワーを見せつける結果となった。 ちなみに、本作には最終版でカットされた幻の別エンディングが存在する。全てが終わってアメリカへの帰路に就いたチャドとフランク。ロサンゼルス行きの旅客機に乗った2人に声をかける客室乗務員を見ると、なんとアレックスの恋人ダニエルと瓜二つではないか!えっ、もしかしてダニエルにも実は双子の姉妹がいたの…!?と、チャドとフランクがビックリ仰天したところでジ・エンドとなる。■ 『ダブル・インパクト』© 1991 Orion Pictures Corporation. All Rights Reserved.
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(吹)エクスペンダブルズ2
[PG12]シュワ、ブルース本格参戦!さらにチャック・ノリスも!80’sアクション・スター大進撃
前作で豪華競演した新旧アクション・スターが再集結し、さらに悪役としてジャン=クロード・ヴァン・ダムが新参戦。前作では顔見せ程度だったブルース・ウィリスとアーノルド・シュワルツェネッガーが大活躍する。
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COLUMN/コラム2020.09.04
ヴァン・ダムとハイアムズ監督が2度目のタッグを組んだアイスホッケー版“ダイ・ハード”!『サドン・デス』
巨大アリーナで繰り広げられるヴァン・ダムVSテロリストの攻防戦 ‘80年代半ばにチャック・ノリスが『地獄のヒーロー』(’84)で大ブレイクして以降、にわかにハリウッドで増えたのが格闘家出身のアクション映画スターである。ショー・コスギにドルフ・ラングレン、スティーブン・セガールにウェズリー・スナイプスなどなど。その中でも、セガールと並んで’80年代末~’90年代のハリウッド・アクションを牽引した存在がジャン=クロード・ヴァン・ダムだった。 ベルギーの出身で10代の頃から空手やキックボクシングの選手として国際大会で活躍し、チャック・ノリスの助太刀で映画界へ進出したヴァン・ダム。『サイボーグ』(’89)や『キックボクサー』(’89)などのB級映画で注目された彼は、ドルフ・ラングレンと組んだ『ユニバーサル・ソルジャー』(’92)の大成功でメジャー・スターの仲間入りを果たし、ピーター・ハイアムズ監督のSFアクション『タイムコップ』(’94)がキャリア最大の興行成績を稼ぐメガヒットを記録する。そのハイアムズ監督とヴァン・ダムが再びタッグを組んだ、アイスホッケー版『ダイ・ハード』とも呼ぶべき映画が、この『サドン・デス』(’95)である。 ヴァン・ダムが演じるのは、ピッツバーグのシビック・アリーナで消防管理の責任者を務める元消防士ダレン・マッコード。一時期メロン・アリーナとも呼ばれたシビック・アリーナは、かつてピッツバーグに実在した多目的アリーナで、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)所属のホッケーチーム、ピッツバーグ・ペンギンズが本拠地にしていた場所だ。2年前まで地元の消防署に勤務していたダレンだが、しかし火災現場で幼い少女を助けることができなかった。その精神的な苦しみから立ち直れず、妻と離婚することになった彼は、消防士の職も辞してシビック・リーナの消防管理官へ転職していたのだ。 時はNHLのプレイオフトーナメント優勝チームを決めるイベント、スタンレー・カップ・ファイナルの真っ最中。ピッツバーグ・ペンギンズとシカゴ・ブラックホークスの対戦チケットを2枚入手したダレンは、再婚した妻のもとで暮らす息子タイラー(ロス・マリンジャー)と娘エミリー(ウィットニー・ライト)を観戦に連れていく。ところが、この試合の裏では恐ろしい計画が人知れず進行していた。テロリストたちが秘密裏に警備員や場内スタッフを殺害して入れ替わり、来賓として招かれたアメリカ合衆国副大統領ダニエル・バインダー(レイモンド・J・バリー)を人質とすべく狙っていたのだ。 テロリスト集団のリーダーは元CIA捜査官ジョシュア・フォス(パワーズ・ブース)。バインダー副大統領やピッツバーグ市長夫妻が試合観戦するVIPルームを占拠した彼は、アメリカ政府に対して17億ドルの身代金を要求する。指示した手順通り3回に分けて指定口座へ金を振り込まなければ、人質を一人ずつ見せしめとして殺害し、最終的にはアリーナの各所に仕掛けた爆弾を爆発させて観客を皆殺しにするという。 その頃、兄タイラーと喧嘩をして思わず座席を離れたエミリーは、運の悪いことにテロリストが場内スタッフを殺害する現場を目撃してしまい、人質としてVIPルームに囚われてしまう。そんな娘の後を追ってテロリストの存在に気付いたダレン。外部と連絡を取ろうにも通信手段が断たれており、アリーナの出入りはテロリスト一味が監視している。ようやく無線でシークレット・サービスの責任者ホールマーク(ドリアン・ヘアウッド)と連絡が付いたものの、テロリストに対して手も足も出ない彼らを頼りなく感じたダレンは、自ら単独で会場内に仕掛けられた幾つもの爆弾を解除し、テロリスト一味に立ち向かって娘を助け出そうとする…。 本物のアリーナで本物のホッケー選手を使って撮影された舞台裏とは? ストーリーはまさしく『ダイ・ハード』そのもの。ただし、こちらは2万人近くの観客を収容できるドーム型の巨大アリーナが舞台で、少なくともスケール感に関しては『ダイ・ハード』を上回っていると言えるだろう。しかも、ピッツバーグ・ペンギンズにシカゴ・ブラックホークスという実在のホッケーチームによる対戦試合を、主人公ダレンとテロ集団の壮絶な攻防戦と同時並行でフューチャーする本格的なスポーツ映画でもある。実際にシビック・アリーナで爆薬を使用したり、スケートリンクにヘリが墜落するなどの大掛かりな見せ場も含まれているため、当初オファーを受けたハイアムズ監督は本当に実現可能なのか?と首を傾げたそうだが、その疑問と不安はすぐに解消する。実は本作のプロデューサーであるハワード・ボールドウィンは、なんとピッツバーグ・ペンギンズのオーナーだったのだ! もともとアイスホッケーの興行主だったボールドウィンは、’72年にハートフォード・ホエーラーズを創設したことを皮切りに、サンノゼ・シャークスやミネソタ・ノーススターズなどのオーナーを歴任し、本作が制作された当時はピッツバーグ・ペンギンズを所有していた。その傍ら、元女優の妻カレンと共に映画の制作会社を設立し、アカデミー作品賞候補になったレイ・チャールズの伝記映画『Ray/レイ』(’04)をはじめ、カルト・ホラー『ポップコーン』(’91)やスティーブン・セガール主演『沈黙の陰謀』(’98)、ジェームズ・ワン監督の犯罪アクション『狼たちの死刑宣告』(’07)など、数多くの映画を世に送り出している。本作のプロデューサーとしてはまさにうってつけの人物だと言えよう。 そのボールドウィン夫人カレン(本作では原案としてクレジットされている)の、「シビック・アリーナを舞台に『ダイハード』みたいな映画を作ったら面白いかも」という思いつきが企画の発端だったとのこと。大きな見せ場のひとつとなるホッケーの試合シーンは、’94年10月1日にシビック・アリーナで予定されていた、ピッツバーグ・ペンギンズVSシカゴ・ブラックホークスの本物の試合を撮影して本編に織り交ぜるはずだった。ところが、NHLの経営陣と選手の間で契約を巡る軋轢が起き、’94~’95年シーズンの前半試合が中止されてしまう。 そのため、制作陣はNHLの許可を得てペンギンズとマイナー・リーグのクリーヴランド・ランバージャックスとの練習試合をセッティングし、ランバージャックスの選手たちにブラックホークスのユニフォームを着せ、およそ1万人のエキストラを集めて撮影したのだが、いまひとつ迫力に乏しかったため、別のマイナー・チームにペンギンズとブラックホークスのふりをさせて撮り直ししたものの、そちらの試合映像もボツとなってしまう。結局、地元の元プロ選手や元大学リーグ選手をかき集め、およそ4カ月に渡って撮影された試合映像が最終的に使用されることとなったのだそうだ。 ヴァン・ダムはスケートが大の苦手だった!? とはいえ、本編にはリュック・ロバタイユやケン・レジェットなど、ペンギンズ所属の本物のスター選手たちが本人役で登場。面白いのは、当時現役を引退したばかりの選手ジェイ・コーフィールドが、ブラッド・トリヴァーという架空のゴールキーパー役で出演していること。性格的に少々問題のあるコワモテの選手という設定であるため、実在のゴールキーパーを使うわけにはいかなかったのかもしれない。 そのトリヴァーが試合中に体調を崩してロッカールームで休んでいたところ、テロリストに追われたダレンが寝ている彼のユニフォームとマスクをこっそり拝借して変装し、そのまま試合に出なければならなくなるシーンも本作のハイライトのひとつ。実はこれ、ソ連のホッケー選手が国際試合で敵チームの選手に化けて亡命を謀る…という、ボールドウィン夫妻が予てから温めつつも実現しなかった映画のプロットを流用したのだそうだ。ちなみに、ヴァン・ダムはスケートが大の苦手だったため、ホッケー靴ではなくテニスシューズを履いて撮影に臨み、ロングショットでは別人のスタントマンがダレン役を演じている。 また、ダレンが氷上から客席の息子へ「愛している」のハンドサインを送るシーンは、ハイアムズ監督が自らの希望で盛り込んだアイディア。実はこれ、監督の子供たちがまだ幼い頃、テレビ「セサミ・ストリート」を見て覚えたサインで、それ以来、ハイアムズ親子の間でずっと使われてきたのだという。劇中では、難しい年頃に差しかかった息子タイラーに手を焼いていた主人公ダレンが、我が子ばかりでなく大勢の人々をテロリストから守らねばならないという重責を担う中、改めて父親としての愛情をきちんと息子に伝えるべくハンドサインを送るわけだが、もしかするとハイアムズ監督はそんなダレンの親心に我が身を重ねていたのかもしれない。■ 正直なところ、欠点の少なくない作品ではある。主犯格フォスをはじめとするテロリストたちはマンガ的過ぎて嘘っぽいし、都合の良すぎる展開や回収しないまま放置された伏線も目立つ。それでもなお、孤高のヒーローVSテロリストの攻防戦と白熱するアイスホッケーの試合を同時進行で絡めながら展開するストーリーのスリルは格別だし、なによりも映画にとって肝心要となるアイスホッケーの描写に手抜きをせず、ちゃんとその道のプロや経験者を集め、手間と暇と予算を惜しまなかったことが、結果として功を奏したように思える。要するに、職人がちゃんと真面目に作ったB級エンターテインメントだ。 なお、劇場公開時はアメリカ国内よりも国外での評判が高く、興行的には『タイムコップ』ほどの成功には至らなかった本作だが、ヴァン・ダム・ファンの間では根強い人気を誇り、近々マイケル・ジェイ・ホワイト主演による続編「Welcome to Sudden Death」がNetflixオリジナル映画として配信される予定。また、デイヴ・バウティスタが主演と製作を兼ねた『ファイナル・スコア』(’18)が、アイスホッケーをサッカーに変えた以外はほぼ同じような内容で、『サドン・デス』に負けず劣らず良く出来た映画だった。そちらも併せておススメしたい。『サドン・デス』(C) 1995 Universal City Studios. Inc. ALL RIGHTS RESERVED.
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PROGRAM/放送作品
キックボクサー ザ・リベンジ
今度はマイク・タイソンも参戦!ジャン=クロード・ヴァン・ダムが主演した格闘アクションのリブート続編
ジャン=クロード・ヴァン・ダムの代表作をリブートした『キックボクサー リジェネレーション』の続編。ヴァン・ダムが前作に続き主人公の師匠に扮するほか、マイク・タイソンらスポーツ界のスーパースターが集結。
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COLUMN/コラム2013.08.30
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年9月】うず潮
マフィアに最愛の妻を殺され、ありえないくらい号泣するヴァン・ダムの姿はなかなか見られない!アクションスターが見せる苦悩する姿は、哀愁を感じます。さらに、落ち込むヴァン・ダムを献身的に助ける仲間の友情はぐっときます。でもそこはアクションスター。得意のマーシャルアーツ、バイク&カー・チェイス、銃撃戦で敵をぶった倒すその姿は、ほぼ最強!ハードなアクション映画が見たくなったらこの1本がお勧めです! © UKF3
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PROGRAM/放送作品
ダブル・インパクト
ジャン=クロード・ヴァン・ダム全開、親の仇を討つ兄弟を一人二役で演じたスーパー・アクション
一人二役を演じただけにとどまらず、脚本・製作にまで関わった、まさにジャン=クロード・ヴァン・ダム渾身の一作。武道あり、ガン・アクションあり、アクション・シーンとヴァン・ダムが盛りだくさんの映画。
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NEWS/ニュース2012.07.03
アクションスター列伝【対テロリスト対決】結果発表!
『ナイトホークス』(シルヴェスター・スタローン)ニューヨークの刑事ディークに扮するシルヴェスター・スタローンが国際テロリストに挑む! VS 『ダブルチーム』(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)CIAの対テロ秘密工作員だったクインに扮する、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが家族を守るために宿敵に挑む!果敢にテロリストに立ち向かうのはどっちだ!?いざ、対決!今秋劇場公開される『エクスペンダブルズ2』で、待望の共演を果たすシルヴェスター・スタローンとジャン=クロード・ヴァン・ダム。どちらもテロリストと戦うには貫録十分な、マッチョ・ボティのアクション・スター。はたして、勝者はどっちだ!? 今でこそアクション・スターのイメージが強いスタローンだが、『ナイトホークス』に主演した頃は『ロッキー』シリーズが軌道に乗るも、まだ『ランボー』は生まれておらず、いわばキャリアの模索期。ヨーロッパからやってきたカリスマ的なテロリストに挑む、NY市警のおとり捜査官にふんした本作では珍しくヒゲ面で、『ランボー』以後ほどヒロイズムが強調されているワケではなく、むしろ『セルピコ』のアル・パチーノを連想させる血の通ったキャラクターだ。実績を買われてインターポールの特別捜査チームに編入されるが、市警の刑事が切れ者のテロリストと対峙するのは荷が重い。しかも、テロリスト役のルトガー・ハウアーは、この後の『ブレードランナー』でのブレイクが必然であったことを証明するかのように手ごわさを見せつけるのだから。しかし、だからこそスタローンのいつにない人間臭さが光っているのも事実。不器用だがガッツのある主人公像に、見る側の判官びいきも刺激されるというモノだ。■ 対する『ダブルチーム』も、ヴァン・ダムふんする対テロ・エージェントの身重の妻が敵の脅威にさらされ、そのテロリストにミッキー・ロークというクセ者俳優がふんしており、これらの構図だけで面白くなる点は共通する。しかし、こちらはヴァン・ダム出世後の作品だから、誰もが見たがっている彼のアクションを大々的にフィーチャー。得意のマーシャルアーツはもちろん、開脚ポーズをはじめとするアクロバティックな立ち回りをこれでもかと繰り出す。元NBAのスーパースター、デニス・ロッドマンを相棒役に迎え、“ドラッグ・クイーンか!?”と見まがうそのルックスと同様にアクションもトコトン、派手。ローマを旅行中の観光客は銃撃戦の犠牲になり、歴史的な文化遺産も爆破で吹き飛ばしてしまう、やり過ぎなほどの凄まじさだ。人間味の『ナイトホークス』とド派手な『ダブルチーム』。こうもタイプが異なると、正直どちらに軍配を上げるべきか迷ってしまうが、期待どおりの活躍を見せるヴァン・ダムはやや予定調和的だが、スタローンには潜入捜査のための“女装”という驚きがある。そんなアクション・スターらしからぬレアな見せ場があるぶん、スタローンの勝ちとしたい。男臭くなること必至の『エクスペンダブルズ2』で、ヴァン・ダムはおそらく得意の開脚を披露してくれるだろうが、スタローンの女装は、もはやありえないだろうから。以上のように、【対テロリスト対決】を制したのは、「ナイトホークス」のシルヴェスター・スタローン! 明日7/4(水)の『アクションスター列伝』は【復讐対決】!こちらもお見逃しなく!■ © 1981 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.Copyright © 1997 Mandalay Entertainment. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
(吹)ダブル・インパクト 【日曜洋画劇場版】
ジャン=クロード・ヴァン・ダム全開、親の仇を討つ兄弟を一人二役で演じたスーパー・アクション
一人二役を演じただけにとどまらず、脚本・製作にまで関わった、まさにジャン=クロード・ヴァン・ダム渾身の一作。武道あり、ガン・アクションあり、アクション・シーンとヴァン・ダムが盛りだくさんの映画。
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COLUMN/コラム2008.06.12
6月の吹き替えの日は
まえにここのブログで「昭和の洋画吹き替えを無形文化財に指定せよ」という記事を書いてから、視聴者の皆様よりたくさんのご意見・ご要望をいただいてます。ありがとうございます! 「よくぞやってくれた!っていうか、いっそ吹き替え専門チャンネルになって」という激励(?)もあれば、「吹き替えなんて邪道だから字幕版だけでよい!」というご意見もあります。 結論として、ザ・シネマとしては、吹き替え専門にはなりません。けど、吹き替え特集に力は入れ続けます。 吹き替え版しかやらない、という作品が原則ないよう心がけてますので(ごくごくまれな例外中の例外はご勘弁ください)、吹き替え否定派のかたは、字幕版の放送のほうでお楽しみください。 また吹き替え肯定派のかたは、今後も特集「吹き替えの日」にご注目ください。その筋のひと的に価値ある吹き替え版を、これからも厳選してお届けします。 っていうか、その筋のエッジなひとたちのあいだで高まった吹き替え再評価の気運って、いま、広く一般ピープルのあいだにも「むかしは映画って夜9時からテレビの洋画劇場で見てたよなー、あの頃の吹き替えって懐かしいよなー」的な昭和ノスタルジアとして波及してるんですよね。 字幕のオリジナリティも良い。吹き替えの妙も捨てがたい。要はケース・バイ・ケースなのでは?という柔軟な立ち位置にザ・シネマはいますが、この気運がますます盛り上がればよいと願っており、吹き替え再評価ブームの一翼を担えれば、と思ってます。 そこで早速、またしても「6月20日は吹き替えの日」という24時間特集を組みます! 今度のラインナップは、 『レッドブル』…シュワ=玄田哲章 『ロックアップ』…スタも玄田哲章 『レッドソニア』…シュワ=今度は屋良有作 『インナースペース』…(後述) 『ユニバーサル・ソルジャー』…ヴァンダミング=山ちゃん、ドルフ・ラングレン=大塚明夫 『テキーラ・サンライズ』…(後述) というアクション系6タイトルです。 とくにご注目いただきたいのが、『レッドソニア』。これについては以前書いたとおり。 さらに追加で書くと、この映画は『コナン・ザ・グレート』の番外編だとまえに触れましたけど、正伝『コナン・ザ・グレート』でヒロインの女剣士バレリアをアテてた戸田恵子が、異伝『レッドソニア』ではヒロインの女剣士ソニアを担当してます。なるほど、『コナン』シリーズでの戸田恵子は、正義のヒロイン女剣士担当声優ってワケなんですね。 ちなみに、正伝『コナン・ザ・グレート』のヒロイン女剣士役サンダール・バーグマンは、異伝『レッドソニア』では悪の女王役です。ヒロインやった女優が今度は悪役で起用された。こういうキャスティングの遊びって、番外編ならではのお楽しみですよね。ただ、逆に言うと、戸田恵子はサンダール・バーグマンFIXの声優扱いをされなかった、ってことです。 個人的には、そうであって欲しかった!そうすれば正伝と異伝がきれいに日本語の声でもつながったのに、というらちもないマニア願望をいだかずにはいられない僕です…(すでにシュワ声優が玄田哲章と屋良有作で違っちゃってますから、その時点でつながらないのですが…)。 次に注目は『インナースペース』。DVDは、なんと『クライマーズ・ハイ』の原田眞人監督が吹き替え演出を担当、デニス・クエイド=上杉祥三、マーティン・ショート=野田秀樹、メグ・ライアン=斉藤慶子という、ある意味サプライズ人事ですが、まぁ、これに関しては各自、DVDでお楽しみください。 今回ザ・シネマで放送しますのは、見ようと思っても見れないレアなテレビ版です! こっちのバージョンですと、デニクエ=谷口節、マーティン・ショート=堀内賢雄、メグ・ライアン=佐々木優子と、手堅い人事になってて安心です。 さらに!きわめつけは『テキーラ・サンライズ』。あさ10時からはメル・ギブ=神谷明版、よる10時からは野沢那智版にて放送!(我ながらこんなマニアックな企画よくやるわ…) この映画でのメル・ギブソンは、ヤクのディーラーという「二枚目なヤバいひと」の役なんですが、メルギブの二枚目感は神谷明に、ヤバいひと感は野沢那智に、僕ならそれぞれ軍配を上げたい。ぜひ、聴き比べてみてください。 さらにさらに、『レッドブル』のジェームズ・ベルーシ=富山敬、『ロックアップ』のドナルド・サザーランド=家弓家正といった脇も、見逃せない(聴き逃せない?)配役です。 というわけで、全国の吹き替えファンの皆々様、6月20日も、ザ・シネマ吹き替えの日、ご堪能ください! コアな吹き替えマニアではない一般ピープルの皆様も、この日は、一昔前のテレビ洋画劇場、荻昌弘が、水野晴郎が、高島忠夫が、そして淀長翁が(むろん木村奈保子もですが)、夜ごとシネマの世界へと誘ってくれた、あの時代の夜の、あの雰囲気に囲まれて、幸福なノスタルジーに浸りきってみてはいかがでしょう? それにしても、いゃー、昔のテレビ洋画劇場って、本っ当にいいもんですね! 【特報!】そして盛夏8月、すごい品ぞろえで「吹き替えの日」を実施予定!詳細後日!! 乞う御期待!!!■