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[R15+]エロスとバイオレンスで彩られた壮絶な戦い!ウォシャウスキー姉妹の鮮烈な監督デビュー作
『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹がスタイリッシュな映像センスを監督デビュー作で存分に発揮。同性愛で結ばれた女2人の危険な関係をジェニファー・ティリーとジーナ・ガーションがハードに魅せる。
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COLUMN/コラム2020.10.28
“時”に囚われし男ビギニング『メメント』
左手が持つ、ポラロイド写真。そこには後頭部を撃たれて、倒れている者の姿が映っている。写真がせわしなく振られると、なぜか写っている者の姿が消えていく。 真っ白になった写真をポラロイドカメラの前面に差すと、本体へと吸い込まれながら、ストロボが光り、シャッターが切られる。カメラを持つのは、返り血を頬に浴びたらしい、細身で金髪の男(演;ガイ・ピアース)。 床には血が流れ、眼鏡が落ちている。そして写真の構図通りに、後頭部を撃たれて倒れている者が映る。 金髪の男の手元に、足元から吸い寄せられるように拳銃が収まり、転がっていた薬莢は拳銃本体へ。と同時に、倒れていた者の顔に眼鏡が戻り、銃声が鳴り響くと、弾が発射される前の瞬間に時間は逆行。眼鏡の男(演;ジョー・パントリアーノ)は振り返りながら、絶叫する…。 これが『メメント』の、2分ほどのファーストシーンである。これから本作が何を描こうとしているのかを、端的に表しているオープニングと言える。 金髪の男が、眼鏡の男の後頭部を撃って、殺害した。それは一体、なぜなのか?これから時間を逆行させながら、解き明かしていきます!クリストファー・ノーラン監督が、そのように宣言を行っているのである。 このオープニングに続いては、暫しモノクロのシーンとカラーのシーンが、交互に登場する。このモノクロのシーンの時制ははっきりとしないが、金髪の男=主人公のモノローグによって、彼のプロフィールが説明される。 彼の名は、レナード。元は保険調査員だったが、妻を目の前で強盗に殺された過去を持つ。その際に頭を強打され、“前向性健忘”=「新しい記憶が10分しかもたない」という、脳障害を持つ身となってしまった。そしてそれ以来、妻を殺した犯人への復讐を目的に生きている男であることが、わかる。 一方でカラーのシーンは、現在から過去へと遡っていくタイムラインとなっている。このカラーのパートが、レナードが「新しい記憶が10分しかもたない」ということを表現するのに、実に効果的な役割を果している。 カラーの各シーンは、大体3~5分程度の長さ。つまりそのシーンでの行動に関して、レナードはなぜそのように振舞うに至ったか、常に記憶が維持できずに、忘れてしまっている。 例えばこんなシーン。いきなり、レナードが走っている。でも何で全力疾走しているのか、自分でわからなくなっている。気付くと、離れて並走している男がいる。「この男を追っているのか?俺が追われているのか?」 そう思いながら、その男へと接近する。すると男はいきなり拳銃を取り出し、レナードに向けて発砲する。「俺の方が、追われていたんだ」 このシーンの場合、なぜその男に追われていたかということが、モノクロを挟んで、次のカラー、即ち時間的に逆行したシーンに進んで(=戻って)から、説明される。それまでは主人公が、どんな理由で誰に追われていたのか、観客にもわからない仕組みになっているのである。 映画の冒頭で、レナードはなぜ眼鏡の男=テディを殺害したのか?彼こそがレナードの妻殺しの犯人だったのか?この謎は、過去へと逆行する中で、徐々に明らかになっていく。そして最後に観客の前に、すべての真相が提示される。 そこには、それまで時制がはっきりしなかったモノクロのシーンも大きく絡んでくる。この辺り、正にアッと驚く仕掛けになっている。本作をこれから初見の方は、是非カラーとモノクロの使い分けにも、大いに注目いただきたい。 さて先に記したように、『メメント』は興行・評価両面で大成功!この後ノーランは、彼の才能を高く買ったスティーヴン・ソダーバーグらの協力で、アル・パチーノ主演、製作費4,600万㌦の『インソムニア』(02)を手掛け、その後には「ダークナイト・トリロジー」の第1作で製作費1億5,000万㌦の『バットマン・ビギンズ』(05)を監督した。製作費的には倍々ゲーム以上の勢いで、ブロックバスター監督への道を猛進していったのである。 その後の活躍はご存知の通りであるが、今に至るそのフィルモグラフィーのほとんどで、ノーランは「時間をどう操るか」にこだわり続けている。『インセプション』(10)『インターステラー』(14)『ダンケルク』(17)…。最新作『TENET テネット』(20)の“時間逆行”シーンを観て、『メメント』のファーストシーンを想起した方も少なくないだろう。 こうした趣向は、ノーランがこよなく愛する“探偵小説”“ハードボイルド小説”の影響が大きいと、指摘する向きがある。フラッシュバックや時間の移行に関して様々な仕掛けを使う、こうしたジャンルへのこだわり故に、ノーランは、“時系列”を自由に入れ替える「ノンリニア」な作風へと導かれたというわけだ。 出発点はそこにあるのだろうが、今のノーランは、「時間をどう操るか」にこだわるというよりは、もはや「囚われている」かのようにも映る。それが映画的な躍動に繋がっていかないという、批判の声も出てきてはいる。ノーマークの新人監督から、『メメント』の成功で一気にハリウッドの寵児へと駆け上がっていった歩みが起因する、固執なのかも知れない。 彼がかねてから監督することを熱望する、『007』シリーズを今後手掛ける夢がかなったとしても、やはりそこは変わらないのだろうか?■
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PROGRAM/放送作品
メメント
記憶障害になった男が直面する衝撃の真実とは?クリストファー・ノーラン監督の才気が光る逆回転サスペンス
記憶を10分間しか保てなくなった男の復讐劇の核心を、事態の結末から逆行しながら暴き出す異色作。記憶障害に陥った主人公の混乱を時間軸の入れ替えで疑似体験させる、クリストファー・ノーラン監督の演出が斬新。
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unknown アンノウン
人質と誘拐犯グループが全員記憶を失って…。自分はどちらで仲間は誰か、斬新な設定の新感覚スリラー
閉ざされた工場が舞台の密室シチュエーション・スリラー。目を引く設定のみならず、「パッション」のジェームズ・カヴィーゼル、「父親たちの星条旗」のバリー・ペッパーなど実力派俳優の共演も魅力。
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プルート・ナッシュ
エディ・マーフィが月世界でもクールにキメる! “直球エンターテイメント型”SF映画
コメディ界のプリンス、エディ・マーフィが今回も軽快で切れのいい演技を披露。“長いものに巻かれない”タフな役どころの彼と、彼に負けない存在感を放つ“用心棒ロボット”が笑いを誘うテンポの良い映画。