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PROGRAM/放送作品
ドリームガールズ
スター誕生を圧巻のパフォーマンスで描き出す!ショウビズ界の内幕をゴージャスに映すミュージカル
トニー賞6部門受賞の大ヒット・ミュージカルを映画化。新人ジェニファー・ハドソンがプロ歌手ビヨンセを圧倒するパワフルなパフォーマンスでアカデミー助演女優賞に。他にアカデミー音響賞(調整)も受賞。
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COLUMN/コラム2019.12.04
映画『ドリームガールズ』で、“夢”をつかんだ女、“夢”を見せてくれた男
本作『ドリームガールズ』(2006)のベースとなったのは、同名のブロードウェイ・ミュージカルである。原案・振付・演出を手掛けたのは、「コーラスライン」などで知られるマイケル・ベネット。1981年12月20日に、幕開けとなった。 その翌日、「ニューヨーク・タイムズ」に載った劇評は、次の通り。「ブロードウェイの歴史が作られるときは、客席にいても肌で感じられるものだ。それが、昨晩インペリアル・シアターで現実になったことを、私は報告したい」 激賞された「ドリームガールズ」は大ヒットとなり、翌82年の「トニー賞」では13部門にノミネートされ、6部門を受賞。その後85年まで、4年間のロングラン公演となった。 これだけの評判となった舞台である。ハリウッドからの“映画化”のオファーも多々あったと見られるが、映画会社の「ドリームワークス」創始者の1人で、『ドリームガールズ』の権利を持つデヴィッド・ゲフィンが、ヘタな“映画化”は「伝説的なショーとマイケル・ベネット(1987年に44歳で死去)の素晴らしい遺産を汚すことになりかねない」として、なかなか首を縦に振らなかった。 ゲフィンの心を動かしたのは。プロデューサーのローレンス・マークと、監督のビル・コンドン。ブロードウェイでのオープニング当日、後方の席で鑑賞していて「忘れがたい体験」をしたというコンドンによる、“映画化”へのアプローチは、ゲフィンから「やってみるべきだな」という一言を引き出した。 やはりブロードウェイの大ヒットミュージカルの“映画化”だった『シカゴ』(02)の脚本を担当し、オスカーを獲得したコンドンが語る、ミュージカルの舞台を映画にする上で「大切なこと」の一つは、「歌の間もストーリーは止めない」こと。映画の流れを止めて、出演者に歌うことだけをさせてしまうと、その曲が気に入らなかった観客は、歌が終わるまで置いてけぼりになってしまう。「歌の最初と最後で何かが変わっていなければいけない」というのが、コンドン流ミュージカル映画の演出法というわけだ。こうしたアプローチを基本にしつつ、本作の“映画化”に当たっては、マイケル・ベネットが残したものに「忠実であること」を、いつも心に留めていたという。 さてショービジネスの世界を描いた本作のストーリーが、「モータウン・レコーズ」とその関係者をモデルにしているのは、あまりにも有名な話。「モータウン」は、1960年代から70年代に掛けて、ソウルミュージックやブラックミュージックを世に広く伝播させる役割を果たした、伝説的なレコード・レーベルである。 本作では、「モータウン」ならぬ「レインボー・レコード」が、伝説的な音楽プロデューサーの“ベリー・ゴーディ・Jr”ならぬカーティス・テイラー・Jrによって、興隆の日を迎える姿が描かれる。実際のベリー・ゴーディ・Jrが、マーヴィン・ゲイ、スティービー・ワンダー、テンプテーションズ、コモドアーズ、そしてマイケル・ジャクソン等々、ブラックミュージックの数多のアーティストを発掘し、スターへと育てたように、劇中のカーティス・テイラー・Jrも、きらびやかなスター達を、何組も生み出していく。 そんな中で、本作の主軸となるアーティストは、「ザ・ドリームズ」。モデルは、3人組の女性ヴォーカル「ザ・シュープリームス」である。60年代中盤から後半に掛けて一時代を築き、「ビートルズと対抗できるのは、シュープリームスしか居ない」とまで言われた伝説のグループは、メインヴォーカルとして、後にブラックミュージックの大御所的な存在となる、ダイアナ・ロスを擁していた。 そんなこともあって、本作製作に当たっては、ベリー・ゴーディ・Jrに当たる“カーティス・テイラー・Jr”役と、アメリカで最も成功した黒人女性歌手の1人と言われる、ダイアナ・ロスに当たる“ディーナ・ジョーンズ”役を誰が演じるかに、大きな注目が集まった。そしてテイラーは、ジェイミー・フォックス、ディーナは、ビヨンセ・ノウルズが演じることとなった。 当時のジェイミー・フォックスは、『Ray/レイ』(04)で、“ソウルの神様”レイ・チャールズを演じて、アカデミー賞主演男優賞を獲得。シドニー・ポワチエ、デンゼル・ワシントンに続く、黒人俳優としては史上3人目の快挙を成し遂げたばかりで、正に上り調子であった。そのためギャラが高騰し、本作では1,500万ドルを要求したため、危うく出演がチャラになってしまう寸前だったという。 しかし結局テイラー役を演じることになったのは、ジェイミーがギャラのダンピングに応じたためである。なぜ彼が折れてまで、本作に出演したのか?その理由は後述する。 ディーナ役のビヨンセに関しては、説明するまでもないかも知れぬが、90年代からR&Bグループ「デスチャ」こと「デスティニーズ・チャイルド」のリードヴォーカルとして人気を博してきた、“ディーバ=歌姫”。女性ヴォーカルの4人組としてスタートし、内部でのイザコザでメンバーチェンジなどもあった「デスチャ」が、「シュープリームス」と重なる部分もあって、このキャスティングも大きな話題となった。 しかし実際に本作が公開となって、主演格のジェイミーやビヨンセ以上に注目を集めたのは、“助演”の2人だった。ジェニファー・ハドソンとエディ・マーフィーである。 ハドソンが演じたのは、「ザ・ドリームズ」の前身グループの頃から、パワフルな歌唱力でリードヴォーカルを務めていたエフィー役。主なモデルは、「シュープリームス」のメンバーだった、フローレンス・バラードとされる。 エフィーは、「ザ・ドリームズ」がメジャー路線に乗る際に、プロデューサーのテイラーによって、リードヴォーカルからバックへと回されてしまう。その上で、愛し合っていた筈のテイラーの視線が、リードヴォーカルとなったディーナに釘付けになっているのにも気付き、荒れてトラブルを起こすようになる。やがて「ザ・ドリームズ」を放逐されたエフィーは、波乱の人生を送ることになるが…。 ハドソンはこのエフィー役を、全米各地で6カ月間、780人以上を対象としたオーディションを勝ち抜いて、ゲットした。元々彼女は、有名な公開オーディション番組「アメリカン・アイドル」の“負け組”だったが、25才で得たこのエフィー役で、大ブレイク!主要映画賞の“助演女優賞”と“新人俳優賞”を総なめし、遂にはアカデミー賞の“最優秀助演女優賞”まで手にするに至った。 本作がデビュー作だったハドソンは、類いまれなる歌声を武器に、既にスーパースターだった主演のビヨンセを、見事に「喰ってしまった」わけである。ハドソンは本作の2年後の2008年には、歌手としてのデビューアルバムで、「ビルボード」誌のR&B/ヒップホップ・チャート第1位を獲得している。正に『ドリームガールズ』によって、夢を掴んだわけである。 ハドソンの“スター誕生”物語の一方で、長年スーパースターでありながらも、演技の面では、本作で初めて高く評価をされたと言えるのが、エディ・マーフィー。 エディは弱冠21歳にして、『48時間』(82)に出演以来、『大逆転』(83)『ビバリーヒルズコップ』シリーズ(84~)などで瞬く間にスターダムにのし上がった。一時期の低迷を経て、90年代後半には、『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』(96)や『ドクター・ドリトル』(98)など、特殊メイクを駆使したコメディで、人気が復活。『ムーラン』(98)や『シュレック』シリーズ(00~10)などで、声優としても高い評価を勝ち得ていった。しかしながら出演作品のジャンルやクオリティーなどもあって、その実力は不当なまでに、低く見られてきた感が強い。 本作で彼が演じたジェームズ“サンダー”アーリーは、誰か1人のアーティストをモデルにしたというわけではなく、リトル・リチャードやジェームス・ブラウン、サム・クック、ジャッキー・ウィルソン、ウィルソン・ピケット、マーヴィン・ゲイ等々の、ブラックミュージックの様々なレジェンド達にインスパイアされて出来上がったキャラクターと言える。ステージ上で圧倒的なパフォーマンスを見せつつ、オフ・ステージでは陽気に振舞いながらも、苦悩や寂寥感も滲ませて、やがてドラッグに溺れていく…。 ビル・コンドン監督は、オーディションで選んだハドソンとは対称的に、この役についてははじめからエディ一択で、他の俳優の起用は考えられなかったという。実はこのキャスティングは、本作に思わぬ成果をもたらしている。先に記した通り、高額ギャラを要求したために出演が取り止めになりかけたジェイミー・フォックスが、「エディが出演する」旨を耳にした途端に、態度を一変。憧れのエディと共演出来るならと、1,500万ドルだった提示額を引っ込め、出演が無事決まったのである。 ジェイミーにとっては、それほど「偉大な存在であった」エディーは、思えばまだ十代の頃に、TVの「サタデー・ナイト・ライブ」で、ジェームス・ブラウンのものまねを、見事にやってのけている。また、映画デビュー作の『48時間』では、のっけから歌声を披露していた。刑務所に収監されている囚人の彼が、ポリスの「ロクサーヌ」を絶叫しているのが、もはや「伝説」ともなっている、スクリーン初登場の瞬間である。 そんなエディーが、ブロードウェイ発の“A級”作品とも言える本作で、持てるポテンシャルを遺憾なく発揮した。ハドソンと並んで、ゴールデングローブ賞などの“助演男優賞”をゲットしたのは、至極当たり前の結果とも言える。 その勢いでハドソン同様、オスカーも手にするかと思いきや、この年度の“最優秀助演男優賞”は、『リトル・ミス・サンシャイン』のアラン・アーキンへと渡った。エディーは「唯一無二(!?)」のチャンスを惜しくも逃した。本人も相当なショックを受けたと、言われている。 余談になるがその後、2012年にエディは、“アカデミー賞”の司会を務めることが決まっていた。しかしこの年のプロデューサーだったブレット・ラトナー監督が、同性愛者への差別発言で降板を余儀なくされたのに伴い、エディも司会を降りるに至った。しみじみと、エディと“アカデミー賞”は、縁がないのかも知れない。 『ドリームガールズ』で一世一代の名演を見せた以降は、出演作品が再び「パッとしない」傾向に陥ったエディ。最近何度目かの“攻勢”の時を迎えたようで、今年Netflixで製作・主演した、実在のコメディアンの伝記映画『ルディ・レイ・ムーア』での演技は、絶賛をもって迎え入れられている。 この後は往年のヒット作『星の王子ニューヨークに行く』(88)の30余年ぶりの続編や、『ビバリーヒルズコップ』シリーズの復活などが予定されているが、まだ58才。稀代のエンターティナーにしてアクターとして、更なる“夢”を見せて欲しい。■ 『ドリームガールズ』© 2019 DW Studios LLC and Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
鹿撃ち帽をかぶらず盟友ワトスンもいない…見たことのない93歳のホームズが人生最後の謎解きに挑む!
既存のイメージを覆す名探偵シャーロック・ホームズの晩年を綴ったミッチ・カリンの同名小説を映画化。ホームズに扮するイアン・マッケランが30年前の中年期と現代の老年期を演じ分け、人間ドラマの滋味を深める。
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COLUMN/コラム2013.10.01
「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイドその1
年に一度の映画界最大の式典といえばアカデミー賞授賞式。その年最高の映画が決まるとともに、その時を代表するセレブ達のトップが決まる授賞式でもある祭典でもある。そこで注目したいのは、そのときどきを刻む衣装。授賞式当日のセレブ達のきらびやかなドレスもそうだけど、最優秀衣装デザイン賞を受賞した作品は、有名デザイナーがデザインした衣装がズラリ。 たとえば、古くは1956年の『泥棒成金』は、『ローマの休日』などの衣装デザインを担当したハリウッド映画衣裳デザインの第一人者であったイデス・ヘッドが担当(彼女は衣装デザイン賞を8回も受賞している)。衣装をポイントにして映画を観ると、その時代のトレンドや、描かれた時代の再解釈、そしてデザイナーの本気が見えてくる。 忘れられないのが、1977年の大ヒット作『サタデー・ナイト・フィーバー』のような作品。この映画で出てきた衣装は70年代アメリカの若者達のトレンドが浮き彫りになったことでも知られる。これは当時の流行のメインではなく、サブカルチャーの中で流行ったものだけど、それが後にメインになり、そして廃れ、また近年のヒップホップシーンにおいて再解釈されていることを考えると、その影響力は計り知れないことがわかるだろう。 同様の作品としては2006年のノミネート作『ドリームガールズ』も60年代アメリカのR&B界のファッションシーンが映し出されているが、これまた流行は一巡して、今観ても新しい衣装に見えるから不思議。また、時代ものの映画はストーリーもさることながら、コスプレならではの華麗な衣装から観た方が、よほど親しみやすいというもの。 オリビア・ハッセー・ブームを巻き起こした1968年の受賞作『ロミオとジュリエット』なんて、衣装の魅力がジュリエットの可憐な美しさを引き立ててるし、2010年のノミネート作『英国王のスピーチ』も今ほどオープンではなかった戦前の英国王室の荘厳さを、宮殿や社交界のシーンで実感できる。 そういった中でも特筆すべきは、石岡瑛子にオスカーをもたらした1992年の『ドラキュラ』は必見作。以後の彼女が手がけた「ザ・セル」やこちらもアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた「白雪姫と鏡の女王」にも観られる、西洋のゴシック様式と日本の着物や甲冑からモチーフを得たデザインの原点ともいえる衣装の数々が目にできるのだから。 そして忘れてはならないのは、有名デザイナーたちによる衣装! 今年リメイク版が公開された1974年の受賞作『華麗なるギャツビー』は、ラルフ・ローレンが衣装デザインを担当。1920年代アメリカン上流社会を舞台にしたこの作品は、いかに上流社会の人々の優雅さを表現するかで、我々がよく知るラルフ・ローレンが貢献していたというだけで、興味がわくところ(ちなみにリメイク版はブルックス・ブラザーズとプラダが担当した)。 有名デザイナーが担当してオスカーを得た作品でいえば、当時既にファッション界のカリスマであったエマニュエル・ウンガロが担当した1980年の『グロリア』あたりもチェックを。 また、受賞こそ逃したが、元グッチ、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターで現代ファッション界を代表するトム・フォードが監督と衣装デザインを担当した2009年の『シングルマン』は、ファッション・デザイナーのセンスで描かれた映画だけに、おしゃれ好きの人のマスト・リスト。「これが衣装デザイン賞を逃すなんて、どうかしてるよアカデミー! だって、トム・フォードだよ?」と、授賞式当時は現地マスコミの間でもヤジが飛んだほど。彼が常に提案しているトラッドとセクシーの見事な融合を、一編の映像にまとめた希有な作品だ。映画に詳しくない人も、たくさんは観ていないという人も、衣装から観ると映画、そしてアカデミー賞が楽しく見えてくる。ちょっと視点を変えてみてはいかが?■ ■ ■【特集「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド】は最終回「デザイナー編」へと続きます。次回の更新は10月16日を予定しております。最終回も、ファッションのプロである田口淑子さんに引き続き、映画とファッションの「深い関係」を解説していただきます。乞うご期待下さい!そして、10月特集「映画はファッションの教科書!」は10/17(木)-20(日) 【再放送】 10/28(月)-31(木)の日程で 下記11作品でお送りします! ドラキュラ(1992)ロミオとジュリエット(1968)陽のあたる場所英国王のスピーチグロリア(1980)華麗なるギャツビー(1974)ドリームガールズサタデー・ナイト・フィーバーラブソングができるまでシングルマン泥棒成金 ぜひ映画本編でも、数々のファッションをお楽しみ下さいませ!■
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PROGRAM/放送作品
(吹)ドリームガールズ
スター誕生を圧巻のパフォーマンスで描き出す!ショウビズ界の内幕をゴージャスに映すミュージカル
トニー賞6部門受賞の大ヒット・ミュージカルを映画化。新人ジェニファー・ハドソンがプロ歌手ビヨンセを圧倒するパワフルなパフォーマンスでアカデミー助演女優賞に。他にアカデミー音響賞(調整)も受賞。