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PROGRAM/放送作品
軽蔑(1963)
映画製作の裏側で夫婦の愛憎が渦巻く…鬼才ゴダールがブリジット・バルドーを主演に迎えた傑作メロドラマ
ジャン=リュック・ゴダール監督が初期に手がけた傑作メロドラマ。芸術と商業の間に挟まれ、妻との関係にも苦悩する脚本家の姿に自らを投影する一方、ブリジット・バルドーの美しい姿態を鮮やかに刻み込んでいる。
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COLUMN/コラム2020.03.21
禁酒法時代のカリブ海を舞台に、酒密輸船船長と映画スターのつかの間の恋と冒険を、名匠アンリコ監督がノスタルジックに描く“夢”の映画!
今回ご紹介する映画は『ラムの大通り』というフランス映画です。 『ラムの大通り』というのは、キューバの首都ハバナに実在した地名なんです。舞台となる1920年代にはアメリカで“禁酒法”が施行されていて、キューバなどカリブ海の島々では、“ラム酒”を作ってはアメリカに持ち込む密輸業者が沢山いて、密輸の儲けで栄えた通りが“ラムの大通り”と呼ばれていたんです。 主人公は密輸入者のオッサン、コルニー。演じているのはリノ・ヴァンチュラという元プロレスラーだったフランスのタフガイ役者です。デビュー当時からギャング役で有名で、ジャン=ピエール・メルヴィル監督のフィルム・ノワールなどでおなじみですね。そんな彼が、本作の監督ロベール・アンリコと組んだ冒険ロマン『冒険者たち』(67年)は日本でもすごい人気ですね。アンリコもヴァンチュラもイタリア系フランス人で、それで意気投合したらしいですね。 そんな二人が、1971年にフランスの大手映画会社ゴーモンから莫大な資金を得て、そのころ大スターだったブリジット・バルドーを相手役に招いて、メキシコ、カリブ海、スペインなど世界各国でロケをして撮った、言わば豪華なリゾート観光映画が本作『ラムの大通り』という大作なんですね。 ヴァンチュラ扮する密輸業者はホントに命知らずの男で、“暗闇撃ち”という賭けで大金を得て、密輸船を手に入れます。そんななか、彼は映画館でサイレント映画を見て、その主演女優に恋をしちゃうんですね。それで密輸業者は、バルドー扮する映画女優リンダ・ラルーを追いかけて行くんです。最初は密輸業者を主人公にしたハードなアクションものかと思っていたら、だんだん中年男の、しかもやくざな中年男の恋物語になって行きます。 ヴァンチュラは本作の中で“キングコング”と呼ばれてるんですね。力が強くて、喧嘩にも酒にも強くて、命知らずのキングコングのような荒くれ者が、映画女優に恋をしたとたん、恋する中学生みたいになっちゃうという、映画ファンにとっては自分を鏡で見るようなね、非常にロマンチックな映画になっています。 『ラムの大通り』、ちょっと映画としてはのんびりし過ぎだと思う人も多いでしょうね。こういうリゾート映画ってそうなるものなんですよ。アンリコ監督としては珍しい作品ですよ。監督はずっとハードな冒険ロマン映画を撮り続けていた人で、第二次世界大戦ではナチスドイツに酷い目にあってるんで、戦争描写などは激烈なんですよ。例えば『追想』(75年)は、戦時中に実際に起きた出来事の映画化なんですが、火炎放射器による残酷描写が本当にリアルでした。だから本来こんな緩めのロマンス映画を作る監督ではないんですよ。 でも僕は子供のころに『ラムの大通り』をTVで見て、このヌルさがとても心地よかったんですよ。吹替だったんですけど、バルドーの声を小原乃梨子さんが演ってらっしゃって、アニメ『タイムボカンシリーズ ヤッターマン』(1977~78年)のドロンジョの声ですよ! ヴァンチュラの声は森山周一郎さん、あの渋い『刑事コジャック』(1973~78年)の森山さんが演ってました。そんなギャング俳優のヴァンチュラが映画女優に恋しちゃうんですよ! それが僕にはすごく楽しかったんですね。 ヴァンチュラが“キングコング”と呼ばれているのも重要で、キングコングは美女のために身を滅ぼして行く、この『ラムの大通り』は『キング・コング』(33年)、そして元を正せば“美女と野獣”の話なんですよ。 この映画、好きな人も多くて、たとえば鈴木慶一さん。彼のムーン・ライダーズの歌『ラム亭のママ』は、この『ラムの大通り』をそのまま歌にしたものですね。 それにもうひとつ、『ラムの大通り』の終わり方は、アンリコ監督の『ふくろうの河』(61年)にちょっと似てるんですね。つまりヴァンチュラの恋は、実は彼が映画を観ている間に見た夢だったんじゃないか、という。すべての映画ファンがヴァンチュラなんじゃないか、という。そんなところが僕は好きなんですね。 (談/町山智浩) MORE★INFO. ●原作となる『ラムの大通り』(未訳)は、革命家・ジャーナリストとして、3カ国の政府転覆を企て、3度も死刑判決を受けながら、波瀾万丈の末にいずれも脱獄に成功したという、ジャック・ペシュラルの自伝的小説。 ●アンリコはコルニー役に『冒険者たち』(67年)でも組んだヴァンチュラを「コルニー役はヴァンチュラ本来の性格、情熱にあふれたヒューマニスト、に近い」として選んだ。 ●アンリコはリンダ役を、「あの“佳き時代”の女優のムードに難なく溶け込んでゆく女優を他に知らない」とブリジット・バルドーにオファーし、バルドーも、アンリコ監督は「とても感じのいい人」で、役柄も「チャーミングないたずらっ娘で歌まで歌うシーンがある」と喜んで契約書にサインした。両者の初コラボ映画である。 ●アンリコの伝記によると、この映画の撮影中、リノ・バンチェラとブリジット・バルドーは、最後まで親しくはなれなかったそうな。 ●バルドーの伝記によると「バンチェラの契約書には“ラブシーンはしない、どの共演者ともキスシーンはしない”と明記されていた」とおかしそうに書いている。
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PROGRAM/放送作品
(吹)ラムの大通り【日曜洋画劇場版】【町山智浩撰】
町山智浩推薦。むくつけき船長が銀幕の女優に恋をした…ユルさ心地好い本作は夢か現か映画ファンの妄想か?
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。『冒険者たち』の監督が20年代カリブ海を舞台に懐古情緒たっぷりに描く、リノ・ヴァンチュラの船長×ブリジット・バルドーの女優の、一場の夢のような恋物語。
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PROGRAM/放送作品
ラムの大通り【町山智浩撰】
町山智浩推薦。むくつけき船長が銀幕の女優に恋をした…ユルさ心地好い本作は夢か現か映画ファンの妄想か?
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。『冒険者たち』の監督が20年代カリブ海を舞台に懐古情緒たっぷりに描く、リノ・ヴァンチュラの船長×ブリジット・バルドーの女優の、一場の夢のような恋物語。
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PROGRAM/放送作品
ビバ!マリア
フランス2大女優が美の競演!艶やかなお色気と歌、名匠ルイ・マルのユーモアが光るコメディ西部劇
ブリジット・バルドーとジャンヌ・モローが歌って踊る旅芸人コンビで美の競演。2人の魅力を凝縮したショーから、美女2人が革命を先導する急展開まで、ルイ・マル監督らしいスラップスティックなユーモアが光る。
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PROGRAM/放送作品
男性・女性
仕事と恋ですれ違う60年代パリの若者たちを、ヌーヴェル・ヴァーグの鬼才ゴダールが綴る青春群像
ジャン=リュック・ゴダール監督が“15の明白な事実”と銘打ち、60年代パリの若者たちの青春群像をドキュメントタッチのシネマ・ヴェリテ形式で綴る。ジャン=ピエール・レオがベルリン国際映画祭男優賞を受賞。
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PROGRAM/放送作品
華麗なる対決
セクシー女優、ブリジット・バルドーとクラウディア・カルディナーレが共演するウエスタン・コメディ
60年代を代表するセクシー女優、ブリジット・バルドーとクラウディア・カルディナーレが共演するフレンチ・ウエスタン・コメディ。2人の美女があの手この手を使って油田を手に入れようとする様子を軽快に描く。
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PROGRAM/放送作品
ザ・カンヌ・レジェンズ/栄光の歴史1
世界三大映画祭の一つであるカンヌ国際映画祭。その栄光と激動の歴史を描いたドキュメンタリー・シリーズ
カンヌ国際映画祭の栄光と激動の歴史を、貴重な映像やインタビューなどを交えて描くドキュメンタリー・シリーズ。第1回はヴェネツィア国際映画祭に対抗すべく創立されたカンヌ国際映画祭の草創期を描く。
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PROGRAM/放送作品
ブリジット・バルドー ~フランスのアイコン~
コケティッシュなフランスのセックス・シンボル、ブリジット・バルドーのバイオグラフィ
セックス・シンボルとしてスターになったバルドーの半生を描くドキュメンタリー。一流監督との仕事、世界的名声、そして華麗なる男性遍歴や動物愛護活動家となった今日までをたどる30分。