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PROGRAM/放送作品
戦火の勇気
食い違う証言…女性軍人が戦死した真実は?デンゼル・ワシントン&メグ・ライアン競演の戦争ドラマ
ハリウッドで初めて湾岸戦争を題材にした作品。女性大尉が戦死した真相を巡って複数の証言が食い違う、『羅生門』形式の語り口が秀逸。証言に合わせて3パターンの人物像を演じるメグ・ライアンの熱演も必見。
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COLUMN/コラム2022.05.24
『トップガン』 - 革命的なジェット戦闘機アクション誕生の背景 -
◆戦闘機版『地獄の黙示録』を起点とした企画 インパクトと主張の強さを覚えるタイトルは、アメリカ海軍パイロットのエリート養成訓練校を示す俗称だ。この一握の精鋭たちが属するアカデミーが舞台の映画『トップガン』は、海軍飛行兵の精鋭ピート“マーヴェリック”ミッチェル(トム・クルーズ)を主人公に、彼が戦闘機訓練や軍人としての人間関係を経て成長していく姿を描いた、1986年製作のアクションロマンスである。 ロックとポップソングで構成されたサウンドトラック、そして洗練されたビジュアルスタイルやハイテンポな編集はMTVカルチャーとの並走により築き上げられたもので、このアプローチを牽引力に、本作は視覚的にも音響的にも現代アクションのメルクマールとなった。結果として映画はヤング層を魅了し、世界規模において大ヒットを記録。当時はまだ駆け出しの若手俳優だったトム・クルーズのキャリアを一気にスーパースターへと押し上げた。同時にその口当たりのいい表層的なアプローチが「ポップコーンムービー」などと称され、外観に凝り中身のない作品だと揶揄される言説も過去にはうかがえた。だが映画史において画期的な作品であることは、改めてここで示しておかないといけないだろう。 なによりも『トップガン』は、ジェット戦闘機をフィーチャーしたミリタリーものとして最大の特徴を有し、同ジャンルを開拓した映画として並々ならぬ価値を放つ。当時、現物のジェット戦闘機を主体とした作品自体が少なく、かろうじて挙げられるのはデヴィッド・リーン(『アラビアのロレンス』(62)『ドクトル・ジバゴ(65))が1952年に発表した『超音ジェット機』か、あるいはロケット機ベルX-1が音速の壁を破るシーンを描いた米宇宙開拓史映画『ライトスタッフ』(83)くらいしかなかった。理由は複合的なもので、大きくは映画に必要な現用機は軍事機密の塊で、商業映画に用いるのに米国防総省=ペンタゴンが難色を示していたこと。そして技術的な点では、飛行ショットをカメラに収めるのが非常に難しいことなどが挙げられた。 この企画を始動させたのは、当時『フラッシュダンス』(83)『ビバリーヒルズ・コップ』(84)などの慧眼に満ちた諸作で、パラマウント映画のヒットに貢献していたプロデューサーのジェリー・ブラッカイマー。彼は1983年、米カリフォルニア・マガジン5月号に掲載されたエフド・ヨネイのノンフィクションルポ「TOP GUNS」を目にし、海軍戦闘機兵学校の訓練プログラムを受けるF-14パイロットに迫ったその内容に惹かれ、映画化を切望。ペンタゴンを説得し、映画の実現へとこぎつけていったのだ。 そして本作が視覚性を重視することから、監督はトニー・スコットに白羽の矢を立てた。スコットは当時、テレビコマーシャルの世界を経て優れた映像スタイリストであることを示しており、またデヴィッド・ボウイ主演の吸血鬼映画『ハンガー』(83)で商業長編映画デビューを果たしている。だがその内容は観念的で重苦しく、およそ娯楽的な要素からはかけ離れたものだった。そのため戦闘機アクションというテーマに難色を示していたが、先に商業映画デビューを果たしていた兄リドリー・スコット(『エイリアン』(79)『ブレードランナー』(82))に触発され、自身もメジャーの大きな舞台に立とうとプロジェクトに挑んだのだ。 しかしやはりというか、プリプロダクションの時点では『ハンガー』に程近い、戦いのためのエリート部隊の苦衷を描く暗いテイストの内容だったようだ。ヨネイの記事がリアリティを重視した迫真的なものだったことから、企画当初はフランシス・コッポラが手がけたベトナム戦争映画『地獄の黙示録』(79)のように混沌とした戦闘スペクタクルが検討されていたともいう。しかしペンタゴンの協力を経るため、幾度かのプロット見直しがはかられ、海軍への入隊を促進させるような、プロパガンダ的な性質を持つストーリーへと加工ががなされていったのである。 ◆困難だった機内撮影を可能にしたもの そんな『トップガン』が『地獄の黙示録』志向の戦争スペクタクルだったことを示すものとして、作品のフォーマットが挙げられる。加えてそれが前掲の、困難といわれた機内撮影への突破口を開いたのだ。 契機となったのは、スーパー35mmという規格のフィルムである。ブラッカイマーとスコットは、同作の空戦シーンをダイナミックな幅広のワイドスクリーンで展開しようと企図していた。そのため65mmフィルムでの撮影や、圧縮した撮像をレンズで戻して横長画面を得るアナモルフィックレンズでの全編撮影が検討されたのだ。しかし前者は65m撮影用の大型カメラがコクピット内に収められず、後者は6Gにも達する飛行時の圧力によってカメラレンズが歪み、まったく使い物にならなかったのだ。 そこで用いられたのがスーパー35mmである。同フィルムは1コマに露光される撮像領域を最大限に活かした撮影が可能で、そこから用途に応じたアスペクト比を切り出すことができる。これによって本作は通常の35mmカメラでのコクピット撮影を可能にし、ワイドスクリーンを実現のものとしたのである。 ちなみに当時のスーパー35mmは通常の35mmとの混同を避けるため、歪像に対して平面ということから「フラット・ネガ」とも呼称されていた。当時、製作元のパラマウントはビデオ市場への目配りとして、同フィルムでの撮影を推奨しており、まさにうってつけの題材が見つかったというわけだ。 ちなみにトニーが本作で同フォーマットの有効性を示したことに感化され、兄リドリーが日本を舞台にした刑事アクション『ブラック・レイン』(89)で自らもスーパー35を使用。兄からトム・クルーズを自作に紹介してもらったことに対し、技術供与という形で返礼を果たしている(本作におけるトム・クルーズの起用は、以前に筆者が手がけた『レジェンド/光と闇の伝説』(85)のコラム[リンク]に詳しい)。 こうして『トップガン』は制作上の大きな問題点を克服したが、リアリティを追求した結果、あまりいい効果を得られなかった部分もある。それは可変翼戦闘機F-14の聴覚を刺激する飛行音など、サウンドエフェクト面でのことだ。 音響編集のジョン・ファサルと共に、本作の音響の共同監修をつとめたセシリア・ホールは、実際のF−14の飛行音や駆動音を採取したものの、意図にそぐわぬ退屈で味気ないものだったとドキュメンタリー映画『ようこそ映画音響の世界へ』の作中で述懐している。そこで彼女は動物の咆哮を転調させてエンジン音と重ねることにより、迫力と攻撃性の高いサウンド効果を創造したのだ。 この大胆な試行によって、ホールは女性の音響効果担当として初の米アカデミー賞にノミネートされ、女性がこの分野において貢献的な役割を果たす先駆けとなった。サウンド面でのこうしたこだわりは36年ぶりの続編となった『トップガン:マーヴェリック』でも受け継がれ、同作はオーディオの没入感と臨場感をより高めるために、サウンドデザイナーの大家であるゲイリー・ライドストロームがコンサルタントとなり、ホールの偉業を発展させる形で迫力のあるサウンドデザインに取り組んでいる。 ◆その意志は、36年ぶりの続編へと受け継がれる 他にも『トップガン:マーヴェリック』にこのタイミングで触れるのならば、無視できない要素がある。タイトルキャラクターであるマーヴェリックが教官となり、古巣に戻ってくる同タイトルは、新世代のアカデミー卒業生たちに焦点を定め、無人化する軍事において戦闘パイロットの存在を再定義していく。 監督のジョセフ・コシンスキーは、今回の主要機となる戦闘機F/A-18のコックピット内に、ソニーと共同開発したVENICE 6K シネマカメラを実装。そして世界で最も規格の大きな視覚フォーマット、IMAXを本作に導入している。これは機内撮影を成功させた『トップガン』のコクピット撮影を発展させたものであり、スーパー35mmで問題解決を得た、前作の技術的挑戦を反復するものと言えるだろう。コシンスキーは続編の撮影にあたり、偉大な前作への賞賛を惜しまない。 「トニーは大作を製作していたが、それをまるでアート映画のように撮ったんだ。照明やグラデーションフィルター、そしてフレーミング。この映画には、彼の映画のスタイルに対するオマージュのような瞬間がいくつかある」 『トップガン:マーヴェリック』は、トニー・スコットに謝意が捧げられている。彼の存在無くしては、この画期的な戦闘機映画は生まれなかったのだ。■ 『トップガン』© 2022 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
(吹)戦火の勇気 【日曜洋画劇場版】
食い違う証言…女性軍人が戦死した真実は?デンゼル・ワシントン&メグ・ライアン競演の戦争ドラマ
ハリウッドで初めて湾岸戦争を題材にした作品。女性大尉が戦死した真相を巡って複数の証言が食い違う、『羅生門』形式の語り口が秀逸。証言に合わせて3パターンの人物像を演じるメグ・ライアンの熱演も必見。
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COLUMN/コラム2021.11.10
“ロマコメ女王”2人を生んだ、未だ色褪せないおとなの恋愛映画『恋人たちの予感』
恋愛をテーマにしたコメディ映画“ロマンティック・コメディ”、略して“ロマコメ”。『或る夜の出来事』(1934)『ローマの休日』(53)『アパートの鍵貸します』(60)等々、ハリウッドでは古より、このジャンルから数多くの名作が生み出されている。 1989年に製作された本作『恋人たちの予感』も、そんな系譜に連なる、“ロマコメ”マスターピースの1本。この後90年代を席捲する、2人の“ロマコメ女王”を生み出したという意味でも、記念すべき作品である。 2人の“ロマコメ女王”の1人目は、もちろんメグ・ライアン(1961~ )。『トップガン』(86)『インナースペース』(87)などで若手女優として売り出し中だった折りに、本作の主演で、その人気が決定的なものとなった。 以降、『キスへのプレリュード』(92)『めぐり逢えたら』(93)『フレンチ・キス』(95)『恋におぼれて』(97)『ユー・ガット・メール』(98)『ニューヨークの恋人』(2001)といった、同ジャンルの作品に次々と主演。齢四十に至る頃まで10年強に渡って、キュートな魅力を全開に、“ロマコメの女王”の名を恣にした。 “ロマコメ女王”のもう一人は、本作の脚本を担当したノーラ・エフロン(1941~2012)である。脚本家になる前には、ホワイトハウスのインターン、「ニューヨーク・ポスト」紙の記者、コラムニストなどの多彩な職歴がある彼女だが、実は両親のヘンリー&フィービー・エフロンが、名作『ショウほどすてきな商売はない』(54)などのシナリオをコンビで書いた、有名脚本家夫婦。蛙の子は蛙と言うべきか、転身後には、アリス・アーレンと共同で脚本を書いた社会派の秀作『シルクウッド』(83)が、アカデミー賞の候補になるなど、気鋭の脚本家として注目の存在となった。 本作以降、90年代は監督としても活躍。特にメグ・ライアン主演で、エフロンが脚本・監督を担当した『めぐり逢えたら』『ユー・ガット・メール』は、本作と合わせて、エフロン&メグの“ロマコメ3部作”などと謳われる。 この2人の“女王”の誕生のきっかけを作ったのは、本作のプロデューサーであり、監督のロブ・ライナー(1945~ )。『スタンド・バイ・ミー』(86)『ミザリー』(90)といった、スティーヴン・キング原作の映画化作品などで知られるライナーのフィルモグラフィーを覗くと、本作のような“ロマコメ”の監督の印象は、ほとんどない。 ではなぜ、『恋人たちの予感』を手掛けるに至ったのか?実は本作は、彼の実体験をベースにして作られたものなのである。 ***** 1977年、シカゴ大学を卒業したサリー(演:メグ・ライアン)は、同じく卒業したてで、親友の彼氏であるハリー(演:ビリー・クリスタル)を車に同乗させて、ニューヨークへと移る旅に出る。2人の初対面は、ほぼ「最悪の部類」。18時間もの道中で会話を交わすも、何かにつけて意見が合わない。 しかしその時にハリーがサリーに言った、「男と女はセックスが邪魔をして、友達になれない」という言葉が、その後の人生に大きな影響をもたらすとは、2人とも思ってもみなかった。 5年後ニューヨークの空港で、サリーは付き合い始めたばかりの恋人の男性に見送られて出張先に向かおうとしている時に、偶然ハリーと再会。搭乗する飛行機まで同じだった2人は、5年前と同じように、機内で口論になってしまう。ハリーから近々結婚するという話を聞きながら、サリーはまたも彼と、喧嘩別れのような形となる。 更に5年後。ハリーは妻に浮気されて、やむなく離婚し、サリーも5年前から付き合っていた彼氏と、破局に至った。お互いにそんな傷心の状態にあるタイミングで、3度目の出会いが訪れた。 ようやく友達同士になれて、頻繁にデートするようになる2人だったが、話題になるのは、お互いの恋愛の悩みばかり。時にはロマンティックなムードになりかかることもあったが、“友情”を守るのが第一と、その度にお互いのそうした気持ちは振り払っていた。 そんな付き合いをずっと続けていこうと、ハリーはジェス(演:ブルーノ・カービィ)、サリーはマリー(演:キャリー・フィッシャー)という、お互いの同性の親友を紹介し合って、交際させようとする。しかし目論見は見事に外れて、ジェスとマリーが意気投合。ハリーとサリーは、お互いの親友同士が結婚することになってしまう。 そんな予想外の出来事もありながら、「セックスはしない」ことで、あくまでもお互いの友人関係を守り続けていこうとする2人。しかし遂に、一線を越えてしまう局面が訪れて…。 ***** 監督のロブ・ライナーは、自分のことを“ピーターパン・シンドローム”であると自己分析していた。即ち、彼の心の中にはいつまでも子どもでいたいという気持ちが潜んでいて、己が年をとったことをなかなか受け入れられない…。 12歳の少年が姿かたちだけ大人になってしまう、『ビッグ』(88)という作品がある。当時30代だったトム・ハンクスが演じたこの主人公のモデルとなったのが、実はライナー。そしてこの作品を作ったのは、ライナーの元妻である、女性監督のペニー・マーシャルだった。 ライナーとマーシャルの10年続いた結婚生活は、81年に終わりを告げる。“ピーターパン”である彼にとって、自分の結婚がうまくいかなかったという現実を受け入れるのは、非常に困難なことであった。 そしてそんなタイミングで、本作『恋人たちの予感』の構想が浮かび上がる。「男女の友情は成立するのか?」「そのときセックスはどうなるのか?」といったモチーフが、ライナーの中に湧き出てきたのである。 そうしたアイディアが、具体的に動き出すのは、84年。ノーラ・エフロンがライナーのチームに呼び出され、新しい映画のプロジェクトについて話し合いを持つようになってから。 幾つかの企画が挙がったが、決め手に欠けた。そんな中で、ライナーたち男性陣とエフロンの雑談中に、盛り上がった話題があった。 ライナーたちは、「女性とは絶対に友人関係になれない」と主張。その理由は、「セックスの問題が必ず入り込んで、友情関係の邪魔をする」というものだった。それに対してエフロンは、そんなはずはないと反論。両者の間で応酬が繰り広げられた。 ライナーはこの雑談の内容を受けて、「友情を育む男女の物語」を映画化しようと提案。物語を具体的に編む上で、主人公たちは親友であり続けるために、「決してセックスをしない」のを決め事にした。 その提案にエフロンが乗って、脚本作りがスタート。主人公の男の方に関しては、エフロンはライナーのキャラクターをベースにした。こうして、ひょうきんな半面、陰気で内省的な部分の持ち主でもある“ハリー”が生まれた。 一方で女性の方の“サリー”には、エフロン自身が投影されているところが多い。ライナーによればエフロンは、陽気で楽観的で、ある種の完璧主義者だった。サリーがレストランで、パンやベーコンの焼き方やマヨネーズの添え方などについて細々と注文を付けるのは、完全にエフロン本人の流儀であることを、彼女自身が認めている。 さてこのようにしてシナリオが出来上がり、キャスティングの段階になって、ライナーは必然的に、自分の身近な人間から俳優を選ぶこととなった。彼にとって、自身がモデルとなったハリー役のビリー・クリスタル(1948~ )は、長年の親友。ハリーとサリーが、それぞれのベッドから電話して慰め合うシーンがあるが、あれはライナーとクリスタルが、お互いの離婚後にやっていたことそのままだという。 ハリーの同性の親友ジェスを演じたブルーノ・カービィ(1949~2006)も、そうだ。彼はライナーが離婚で打ちのめされている時に、ジェスがハリーにしたように、優しく接してくれた人物だった。 一方でメグ・ライアンに関しては、それまでにライナーの過去作のオーディションを受けていたことが、きっかけになった。ライナーが“サリー”役に彼女はどうかと思い付き、先に決まっていたクリスタルに会わせたところ、2人の雰囲気がぴったりだったので、ヒロインに決めたという。 サリーの同性の親友マリー役に、キャリー・フィッシャー(1956~2016)を決めたのも、ライナー。こうして主要なキャスティングが、固まった。 因みに映画の冒頭から何組も出てくるのが、長年連れ添った老夫婦のインタビュー。リアルな装いなので、この部分はドキュメンタリーかと思うが、実は違う。エピソードだけを集めて、俳優たちをキャスティングして撮影した。その方が、実話の面白さをより伝えられるという判断だった。 余談はさて置き、このようにして決まった俳優陣、特にハリーとサリー役の2人が、いかに奇跡のような組み合わせであったか! エフロンの脚本、ライナーの演出を大きく広げる役割を果たした。 例えばメグ・ライアンが演じるに当たっての解釈は、「ハリーもサリーも、初めて会った瞬間からお互いに激しい恋心を抱いていたと思う。ただそのことに気づくまで11年もかかってしまっている」というもの。この考えをベースにした役作りが、長年に渡る2人の関係性の変化を描く上で、見事に機能している。 本作で最も有名だと言っても良いのが、ニューヨークのマンハッタンにあるカッツ・デリカテッセンで繰り広げられる「フェイクオーガズム」のシーンである。これは元々、脚本の打合せの際に、「女性の多くは(セックスの際に)オーガズムの“フリ”をした経験があるはず」と、エフロンが語ったことに衝撃を受けたライナーたちが、是非脚本に盛り込んでくれとオーダーしたことから生まれたもの。 しかしエフロンの脚本だと、自分とセックスした女性はすべてオーガズムに達していると自信満々に語るハリーと、それを否定するサリーという、食事中の会話止まりだった。ところが実際に撮影されたのは、店内が満席なのにも拘わらず、堂々とオーガズムでイッテるふりを演じて見せ、女性がセックス中に演技していても、男性には見分けがつかないことを、サリーがハリーに見せつけるというシーンだった。 これはメグ・ライアンが脚本を読んで、サリーが会話の最後に、その“フリ”を実演するようにしたいと提案したのを受けて、アレンジしたものだった。更にはこのシーンのオチとして、隣席の女性が「あの女性と同じものを」と注文する絶妙なギャグが入るが、これはコメディアンであるビリー・クリスタルのアイディア。因みにその女性を演じているのは、ロブ・ライナーの実の母親である。 こんなエピソードからも本作では、脚本の作成段階から撮影現場まで、今で言うジェンダー間のギャップを乗り越えようとする努力が行われていた様が窺える。80年代末という時代を考えれば、かなり先進的な試みだったと言える。そしてそれ故に本作は、「男女が出会って喧嘩して、しかし時の経過と共に離れられない間柄になっていく」という、“ロマコメ”の王道のような、ある意味古くさい構成でありながら、製作から32年経った今でも、色褪せない作品になったのである。 さて先に記した通り、ライナーの実体験を基にスタートした本作。ラストに訪れるハリーとサリーの“結末”も、撮影中にライナーの身に訪れた僥倖によって決まった。 当初ライナーは、離婚によって深く傷ついたハリーが、もう一度結婚してみようという気になるのには、あれだけの時間では無理なのではないかと考えていた。ところがライナー本人が、本作の撮影中に知り合った女性と、再婚することになったのだ。 そこで彼は、自分に出来ることならば、ハリーにも出来ないわけはないという気持ちになった。そして“ラスト”が、今の形に決まったのだという。 エフロンが書いた脚本には、こうした奇跡のような出来事を呼び起こす、魔法のような力があったのかも知れない。■ 『恋人たちの予感』© 1989 CASTLE ROCK ENTERTAINMENT. All Rights Reserved
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PROGRAM/放送作品
ユー・ガット・メール
トム・ハンクス&メグ・ライアン主演。インターネットから始まる恋を描いたロマンティック・ラブ・ストーリー
『めぐり逢えたら』の監督ノーラ・エフロンとトム・ハンクス+メグ・ライアンコンビが再集結!インターネットで偶然知り合った、見ず知らずの男女が恋に落ちていく様を描く。
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COLUMN/コラム2014.12.01
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2014年12月】にしこ
「ロマンチック・コメディの女王」と言えば、古くはメグ・ライアン、現役続行中のキャメロン・ディアス、実力派リース・ウィザースプーン、はたまたエマ・ストーン?と名前が挙がってくるのでしょうが、真にこの名にふさわしいのはこの人しかいません。ノーラ・エフロン。2012年に急逝されたこの偉大なロマンチック・コメディ界の巨星の最高傑作と言い切りたい!それが『恋人たちの予感』です。彼女はこの作品の脚本家でありますが(監督は『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー。ノーラが監督し、大ヒットした『めぐり逢えたら』に、トム・ハンクスの親友役としても出演しています)、この作品は会話劇と言っても過言ではないほど、登場人物がしゃべるしゃべるしゃべる。ずばりと男女の考え方の違いをウィットに富んだ表現でしゃべるしゃべる。ハリーとサリーはシカゴ大学を卒業し、就職の為にNYへと向かう車の相乗り相手として知り合います。サリーは理想主義の優等生タイプ。ハリーは世の中を斜に構えて見ているペシミスト。自分は恋人の友人であるにも関わらず口説いてくるハリーにサリーは嫌悪感を抱きつつ、合うはずもない2人、NYに到着し「もう二度とお会いすることもないでしょう」的お別れをします。車の中での会話も男女の考え方をユニークでありながら、端的に主役二人に語らせます。「男女の友情なんて存在しない。男は女に魅力を感じた時点でヤリたいと思ってる」「そんな事はない、私には男友達が沢山いる」という2人の会話が後半部分の伏線となっていきます。それから5年後、2人はばったり空港で再会。サリーがハリーの友人の恋人だった為気づいたものの、それがなければ気づかなかった程、相手に関心のない2人。挨拶のみでさようなら。さらに6年後、ハリーの離婚直後にNYの本屋で再会。ちょうどサリーも恋人と別れたばかり。最初の出会いから11年経って初めて、お互いに心を開き合い、2人は親友になります。「魅力的だけど寝たいと思わない初めての女性だ」。ハリーはサリーに言います。数々の名シーンはあれど、1つあげるのであれば、伝説の名シーン。「自分の過去の彼女は皆、自分とのセックスに満足していた!」と言い張るハリーにサリーが「女は誰でも人生に1度はオーガズムに達するフリをした事がある」と主張。「そんなばかな事あるか!」と取り合わないハリーに、お客が大勢いるカフェの中で、あられもないオーガズムの演技を披露する。というアレです。サリーが大熱演を終えた後、1人の中年の女性にカメラが。オーダーを取りに来た店員に「彼女(サリー)と同じものをちょうだい」というシーンがあります。その中年の女性を演じているのは監督、ロブ・ライナーの実のお母様!!お互いの違うところを理解した上で受け入れ、嬉しいことはもちろん、悲しいことも何でも共有したいと思う間柄になった2人。そんな2人の素晴らしい親友ライフは、2人がなんとなく流れでセックスしてしまった事件によってぎくしゃくしたものに…「男女の友情は成立するのか?」映画+「男女の頭の中のギャップ」映画でもある本作。テーマは男女の性差、ですが、性別関係なく、確実に楽しめます!そして必ずやハッピーな気持ちになれる事請け合い!!いつ見ても楽しめますが、ぜひクリスマスに観ていただきたい1本。 WHEN HARRY MET SALLY © 1989 CASTLE ROCK ENTERTAINMENT. All Rights Reserved
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PROGRAM/放送作品
(吹)ユー・ガット・メール 【ゴールデン洋画劇場版】
トム・ハンクス&メグ・ライアン主演。インターネットから始まる恋を描いたロマンティック・ストーリー
『めぐり逢えたら』の監督ノーラ・エフロンとトム・ハンクス+メグ・ライアンコンビが再集結!インターネットで偶然知り合った、見ず知らずの男女が恋に落ちていく様を描く。
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COLUMN/コラム2014.06.03
映画の中のリゾートガイド
■『マンマ・ミーア!』 『マンマ・ミーア!』は、伝説のポップグループABBAの大ヒットナンバーでつづられた、最高にハートフルなミュージカル映画!結婚式を目前に控えた20歳の娘・ソフィと、メリル・ストリープ演じる母親のドナ、そして父親を名乗る3人の男性が繰り広げる騒動を描いた作品です。 舞台は、ギリシャの架空の小島・カロカイリ島。撮影の多くはエーゲ海に浮かぶ美しいリゾート地・スコペロス島で行われました。澄み切った海と白い砂、松やオリーブの木にいだかれたこの美しい島は、隠れ家的なリゾートとして、世界中の人々に愛されている場所。ソフィや婚約者のスカイたちが砂浜で激しく踊るシーン、ドナの親友・ターニャと島の若者のダンスシーンなど、美しい海辺の場面が撮られたのは、島の西側にあるカスタニビーチ。透明な海に浮かぶ印象的な桟橋は、撮影時に特別に作られたということです。ギリシャの青い空と海、そしてさんさんと降り注ぐ明るい太陽の下で繰り広げられる名シーンの数々は、見ているだけでハッピーな気分になれること請け合いです! ※『マンマ・ミーア!』桟橋シーン ※スコペロス島の風景 ▼「スコペロス島」プチ情報スコペロス島は、エーゲ海北西部のスポラデス諸島にあるギリシャの島。スコペロスはギリシャ語で「岩」の意味だが、肥沃な土地で緑も多く、アーモンドの産地として知られている。島内には350もの教会が点在している。 ▼アクセス方法日本からは、ヨーロッパの都市を経由してアテネへ向かい、国内線でスキアトス島へ。スキアトス島からスコペロス島へは船で1時間。(ほかに、ヨーロッパの都市からスキアトス島への直行便もある)ギリシャ中央に位置する港町・ヴォロスからスコペロス島へは船で2時間ほど。 ■『食べて、祈って、恋をして』 『食べて、祈って、恋をして』は、ジャーナリストとして活躍するヒロインが、離婚と失恋の後に、自分を見つめ直すために出かけた旅の日々を描いた作品です。 おいしい料理を堪能したイタリア、ヨガと瞑想に励んだインド…そしてジュリア・ロバーツ演じる主人公のリズが旅の最後に訪れたのが、「神々の島」と呼ばれるインドネシアのバリ島。彼女が過ごしたのが、バリ島の文化の中心地でもある山あいのリゾート地・ウブドです。ウブドでは稲作が盛んで、あちこちで青々とした美しいライステラス(棚田)を見ることができます。さらにはジュリアが颯爽と自転車で通り抜けるヤシの林、野生の猿が200匹も生息するという自然保護区「モンキーフォレスト」など、あふれる豊かな自然が人々を癒してくれるんです。パワフルなウブドの生活を肌で感じたければ、村のランドマーク、お土産や雑貨が揃う「パサール・ウブド」もはずせません! 見ているだけでリゾート地・バリ島の空気を満喫出来る、オススメの一本です! ※『食べて、祈って、恋をして』美しいライステラスシーン ※バリ島 ▼「ウブド」プチ情報ウブドは、バリ島中部にある古くからのリゾート地であり、バリ文化の中心地。ガムラン、バリ舞踊、バリ絵画、木彫り、石彫り、銀細工など、あらゆるバリの芸能・芸術を堪能出来る。豊かな自然でも知られ、素朴な田園風景や渓谷も大きな魅力。 ▼アクセス方法日本からはバリ島・デンパサール国際空港へ。空港から車で1時間。南部のリゾートエリアのクタまで車で1時間。さらにヌサドゥアから車で1時間半。 ■『黒いオルフェ』 『黒いオルフェ』は、ギリシャ神話の悲劇「オルフェウス伝説」を、現代のブラジルによみがえらせ、カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた名作です。舞台は、今年2014年、サッカーワールドカップが開催される情熱の街・ブラジルのリオデジャネイロ。作品では、この地で行われる世界最大の真夏の祭典・リオのカーニバルを軸での出来事が描かれています。 カーニバルは世界各地で行われていますが、その中でリオのカーニバルはもっとも熱狂的といわれています。年に一回、2月から3月上旬、土曜日から火曜日にかけての4日間にわたって繰り広げられるこのカーニバルには、世界中から観光客が押し寄せます。お目当ては、ほかでは体験できないダイナミックな音楽とリズム、そして華やかな衣装であふれるパレード!この作品では、随所に実際のカーニバルの映像が使われ、サンバのリズムに合わせて歌い、踊る人々の熱気がスクリーンから伝わってきます。地球の裏側で行われる華麗なカーニバルの気分を楽しむにはもってこいの映画です。 ※『黒いオルフェ』リオのカーニバルシーン ※リオのカーニバル ▼「リオデジャネイロ」プチ情報リオ・デ・ジャネイロは、サン・パウロに次ぐブラジル第二の都市。華やかなカーニバル、ビーチリゾート、世界三大美港のひとつと言われるグアナバラ湾の景観などで知られる観光地。2014年のサッカーワールドカップ、2016年の夏季オリンピックの開催地にも選ばれた。 ▼アクセス方法日本からはアメリカやカナダ、ヨーロッパの都市を経由してリオデジャネイロ国際空港へ。所要時間は25〜30時間ほど。 ■『マレーナ』 『マレーナ』は、第二次大戦中のシチリア島を舞台に、悲劇的な運命をたどる女性・マレーナの生き様を、彼女に恋する少年の目を通して描いた人間ドラマです。撮影の多くが行われたのは、地中海のリゾート・シチリア島にあるシラクーサ。美しいリゾート地として知られると同時に、3000年以上の歴史を持つ古都の魅力も持ち合わせています。随所に見られるギリシャ・ローマ時代の遺跡の多くは、2005年、世界遺産にも登録されました。シラクーサは、大きな橋をはさんで、新市街と旧市街のオルティージャに分かれています。オルティージャは、町の発祥の地といわれ、石造りの建物が立ち並ぶ風情あふれる場所です。オルティージャの中心にあるのが、街のシンボル・ドゥオーモ広場です。バロック様式の荘厳なドゥオーモが見下ろすこの広場は、少年がモニカ・ベルッチ演じるマレーナの思い出を心に刻み付ける印象的な場所として登場します。ゆったりとした時間が流れるロマンチックなリゾート・シラクーサを、作品を通じて味わってみては? ※『マレーナ』のワンシーン ※シラクーサ ドゥオーモ広場 ▼「シラクーサ」プチ情報シラクーサは、イタリアのシチリア島南東部に位置する都市。古代ギリシャ時代にアテネと共に繁栄を誇ったと言われ、数学者アルキメデスの生地でもある。太宰治の『走れメロス』の舞台としても知られる。ギリシャ・ローマ時代の遺跡が数多く残り、世界遺産にも認定された。 ▼アクセス方法日本からはローマ、ミラノ経由でシチリア島のカターニャ空港へ。空港からシラクーサへはバスで1時間20分ほど。 ■『フレンチ・キス(1995)』 『フレンチ・キス(1995)』は、旅先で恋に落ちた婚約者を追いかけて、フランスをめぐるアメリカ人女性を描いたロマンチック・コメディです。メグ・ライアン演じる主人公・ケイトが、詐欺師のリュックと一緒に婚約者を追いかけた先は、南仏のカンヌ。国際映画祭が開催される街としても世界的に知られています。カンヌをふくむ地中海に面した一帯は「コート・ダジュール」=「紺碧海岸」と呼ばれ、その名の通り、紺碧の海に明るい太陽がふりそそぐ、ヨーロッパ随一のリゾート地!ケイトが大騒動を巻き起こすのが、カンヌの中心にそびえ立つセレブ御用達の豪華なリゾートホテル、インターコンチネンタル・カールトン・カンヌ。映画祭の開催期間中は著名な映画人がこぞって宿泊するとか。美しい建物とビーチ。その明るく開放的な空間が、ケイトとリュックの距離を急速に縮める大きな役割を果たしていると言えそうです。恋も実る憧れのリゾート、コート・ダジュール。あなたもぜひ一度、映画で体験してください。 ※『フレンチ・キス(1995)』様子を伺うメグ・ライアン ※コート・ダジュール ▼「カンヌ」プチ情報カンヌは、フランス南東部の地中海に面する都市のひとつ。もともとは小さな漁港だったが、今ではヨーロッパ有数のリゾート地として知られる。毎年5月のカンヌ国際映画祭の開催地として世界的に有名。 ▼アクセス方法日本からは、ヨーロッパの都市を経由してニース・コート・ダジュール国際空港へ。空港からカンヌへは車で1時間程度。 ■『太陽がいっぱい』 『太陽がいっぱい』は、アラン・ドロン演じる貧しい青年・トムが大富豪の放蕩息子・フィリップをねたんで犯罪を計画、彼になりすまして財産を奪おうと画策するサスペンス映画です。フィリップが住むというモンジベロは架空の町。撮影の多くは、ナポリ湾に浮かぶイスキア島で行われました。イスキア島は、青い海と輝く太陽、そしてリラックスを求める人々でにぎわう大人気のリゾート地です。この島に来たらはずせないのが、地中海の豊かな自然を満喫できるクルージング!トムとフィリップもヨットで美しい海へと繰り出しますが、眩しく明るい陽光と、その下で行われる恐ろしい犯罪が、見事な対比を生み出しています。魚市場の場面は、「ナポリを見て死ね」と言われるほど風光明媚な港町・ナポリで撮影されています。人々の活気と彩りに満ちた市場で、アラン・ドロンの持つ影と、憂いを帯びた美しさが際立つ名シーンが生まれました。スリリングな犯罪と一緒に味わう地中海の明るい大自然、いつもとひと味違うリゾート体験ができるのでは? ※『太陽がいっぱい』ヨットのワンシーン ※イスキア島 ▼「イスキア島」プチ情報イスキア島は、イタリア・ナポリ湾内で一番大きな島。火山活動で出来た島で、別名「緑の島」と呼ばれるほど自然が豊か。至る所にわく温泉でのんびりできるほか、ビーチも楽しめる人気のリゾート地。 ▼アクセス方法日本からは、ローマやミラノ経由でナポリ・カポディキーノ空港へ。ナポリ港からイスキア島へは高速船で50分ほど。 『マンマ・ミーア!』© 2008 Universal Studios. All Rights Reserved.『食べて、祈って、恋をして』© 2010 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.『黒いオルフェ』ORFEU NEGRO ©1959 Dispat Film. All Rights Reserved.『マレーナ』© 2000 Medusa Film spa—Roma『フレンチ・キス(1995)』FRENCH KISS ©1995 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved『太陽がいっぱい』© ROBERT ET RAYMOND HAKIM PRO. / Plaza Production International / Comstock Group
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PROGRAM/放送作品
めぐり逢えたら
運命的に引かれ合う2人をトム・ハンクスとメグ・ライアンが演じた大人のラブ・コメディ
運命的に“めぐり逢う”見知らぬ男女を『フォレスト・ガンプ』のトム・ハンクスと『ニューヨークの恋人』のメグ・ライアンが演じた大人のラブ・コメディ。監督・脚本は『恋人たちの予感』の脚本家ノーラ・エフロン。
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COLUMN/コラム2014.03.31
映画の中のパリガイド
■『パリの恋人』 パリでファッションモデルになった女性の恋物語をオードリー・ヘプバーン主演で描くミュージカルロマンス。カルーゼル凱旋門、ルーブル美術館など名所を紹介するシーンは、当時のパリの雰囲気が味わえます。そして、ジバンシィの衣装に身を包んだオードリーが美しい!パリという舞台が、彼女の魅力をさらに引き出しています。また、パリの北・シャンティイ近くにあるシャトー・レーヌ・ブランシュをバックに、アステアとヘプバーンがダンスナンバー”He Loves and She Loves”を踊るシーンは、要チェックです。 ※『パリの恋人』ルーブル美術館でのワンシーン ※ルーブル美術館の夜景 ■『麗しのサブリナ』 大富豪の兄弟と美しく変身した女性が繰り広げるオードリー・ヘプバーン主演のラブロマンス。ヘプバーン演じる主人公のサブリナは失恋のキズを癒すため、パリの有名な料理学校へ留学します。その舞台となったのが、100年以上にわたりフランス料理の伝統と技術を世界中に伝えている料理学校「ル・コルドン・ブルー」です。この留学を終え、洗練された女性に成長したヘプバーンの姿は、思わず見とれてしまいますのでご注意を! ■『赤い風車』 パリのキャバレーで夜ごと踊り子たちを描き続ける画家アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレックの過酷な運命を描いた伝記映画。舞台となったギャバレー「ムーラン・ルージュ」は、フランス語で「赤い風車」という意味で、赤い風車が印象的な実在するお店です。このキャバレーはパリで万国博覧会が開かれ、パリが世界の文化の中心となった1889年にモンマルトルで誕生しました。創業から100年以上たった今も営業を続けています。夜な夜な繰り広げられているフレンチ・カンカンなどの華麗なショーを、映画を通して是非お楽しみください! ※『赤い風車』ムーランルージュでのショーシーン ※『ムーラン・ルージュ』の赤い風車 ■『死刑台のエレベーター』 完全犯罪をくわだてた不倫関係にあるカップルが、欲望の果てに運命を狂わせていくサスペンス映画。殺人を犯した後にエレベーターに閉じ込められてしまった彼を探して、夜のシャンゼリゼ通りをジャンヌ・モロー演じる人妻・フロランスがさまよい歩きます。凱旋門からコンコルド広場へとのびる大通りとして美しい景観で有名ですが、そんなシャンゼリゼ通りの華やかさと対照的なフロランスの姿は、彼女の心の内を浮かび上がらせた名シーンです。 ※ジャンヌ・モロー演じる人妻・フロランス ※シャンゼリゼ通り ■『フレンチ・キス』 フランス美人と恋仲になってしまった婚約者を奪い返すべく、パリを訪れたアメリカ人女性を描いた、メグ・ライアン主演のロマンティック・コメディ。パリに着いた主人公が婚約者に会うために訪れたのが、シャンゼリゼ通りにある「ホテル・ジョルジュ・サンク」。この名の由来は、1928年の創業当時、フランスと良好な関係にあったイギリスの国王・ジョージ5世からとったそうです。現在は「フォーシーズンズホテル・ジョルジュ・サンク・パリ」と名前を変え、パリを訪れる誰もが一度は訪れたい憧れの豪華ホテルのひとつです。映画を通して、この豪華ホテルを訪れてみては? ※『フレンチ・キス』ホテルで途方に暮れるメグ・ライアン 『パリの恋人』TM & COPYRIGHT © 2014 BY PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.『麗しのサブリナ』TM & Copyright © 2014 by Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.『赤い風車』©ITV plc (Granada International)『死刑台のエレベーター』© 1958 Nouvelles Editions de Films『フレンチ・キス』FRENCH KISS ©1995 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved