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光と影が織りなす史上最高の
ジェームズ・ボンド映画、
ここに誕生!
007/スカイフォール
2016.5.7(sat), 5.8(sun), and more.
007/スカイフォール
5/7(土)21:00~
5/8(日)21:00~ほか
5/5(祝)16:30~   5/7(土)16:30~
三作品一挙放送 5/5(祝)16:30~   5/7(土)16:30~
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 快男児ジェームズ・ボンドが大活躍する『007』シリーズは、6代目ボンド俳優のダニエル・クレイグによって新たなステージに上がった。
 5代目ボンド俳優のピアーズ・ブロスナンは頭打ちになっていた『007』人気を復活させ、興行収入300~400億円のヒットシリーズにしたが、そのあとを継いだクレイグによってフレッシュさを取り戻した『007』シリーズのボンドは、人間的に未成熟で、怒り、悩み、悔やみながらも前に進もうとする人物として描かれ、それまでの超人ボンドに飽きつつあった観客に親近感と共感を抱かせることに成功。『カジノ・ロワイヤル』『慰めの報酬』はそれぞれ世界で約600億円の興行収入をたたき出し、『007』シリーズがいまだに市場競争力を発揮しうるポテンシャルを持つシリーズであることを証明してみせた。
 そして『慰め~』から4年を経て完成した『スカイフォール』は、前2作をはるかに上回るスケールと完成度を誇る恐るべき作品として我々の前に姿を現したのだった。
 『スカイフォール』の監督に抜擢されたのはサム・メンデス。監督デビュー作の『アメリカン・ビューティー』でいきなりアカデミー監督賞を受賞した気鋭で、『ロード・トゥ・パーディション』『ジャーヘッド』といったアクション寄りの作品も監督しているが、娯楽大作である『007』シリーズに起用されたというニュースは意外性をもって世界を駆け巡った。メンデスの起用によって『スカイフォール』の娯楽度は下がるのではないかとの懸念もあったが、完成した作品はそのような懸念を一蹴するほど大量のアクションを盛り込んだ大アクション巨編となっている。
 『007』シリーズ定番のアヴァンタイトルの舞台はトルコ。奪われたハードディスクを取り戻すため、トルコの入り組んだ市街地でのカーチェイスから始まり、銃撃戦を経てグランドバザールを駆け巡るバイクチェイスに移行。さらに列車の屋上での格闘アクションからバックホーを使った列車破壊アクションまで、10分間に濃縮したアクションを詰められるだけ詰め込んだ、シリーズ最高クラスのアヴァンタイトルに仕上がっている。
 また上海でのアクションシーンも、映画史上に残る芸術的な仕上がりだ。ノーカットでの20手以上のアクションを実現した振付けも素晴らしいが、何より本格的なアクション映画は初挑戦となる撮影監督のロジャー・ディーキンスが手掛けた撮影が感動的な素晴らしさ。ブルーライトの中でシルエットだけが浮かぶ映像美は、本作がただのアクション映画ではないことを再認識させてくれるのだ。またクライマックスとなるボンドの生家スカイフォールでの激闘でも、ディーキンスはデジタルな上海とはまったく異なるアプローチでの陰影際立つアクションシーンを撮っている。ディーキンスの存在が、本作成功の大きな推進力となっていることは間違いないだろう。
 もちろんメンデスが監督した本作は、ただのアクション娯楽作ではない。メンデス作品で常に重要なテーマとして位置づけられる「家族」は本作でも重要なテーマとなっており、ボンドと対峙するシルヴァはボンドの合わせ鏡的な存在として執拗にMを付けねらい、ボンドはMを守るために命を懸ける。
 もちろんこれまでのクレイグ版ボンドが積み重ねてきた人間臭いボンドのイメージをそのままに、我々がよく知るボンドへと変身していく「よっ!待ってました!」と喝采をあげたくなるような怒涛の展開もお見事としか言いようがない(アデルが歌う主題歌も最高!)。
 2012年に開催されたロンドンオリンピックの開会式でのプロモーションなどを経て、『スカイフォール』は12月に全世界で公開をスタート。最終的には世界興行収入1100億円、世界歴代興行収入上位に食い込む凄まじいギガヒットを記録した。
 『スカイフォール』は映画が必要とする様々な要素が完璧に融合したボンド映画史上最高傑作の1つであるだけでなく、興行的にもボンド映画史上最大級の成功を収め、このシリーズが未来永劫に続くフレッシュな作品であり続けることを証明した、最重要作品であるのだ。

ボンド+アストンマーチン

ボンドの愛車と言えばコレ!物語の後半で満を持して登場するアストンマーチンDB5の雄姿。

M

Mを演じたジュディ・デンチは、本作で7度目のM役。今回はアクションシーンも多めで身体を張ってます。

シルヴァ

ウィキリークスのジュリアン・アサンジっぽい風貌を持つシルヴァを演じたのはオスカー俳優ハビエル・バルデム。

Q

4代目のQはベン・ウィショー。本作のテーマの一つである、「旧世代と新世代」の新世代側の代表者だ。

高橋ターヤン
映画ライター、海外格闘技ライター。『映画秘宝』、映画の劇場用パンフレットなどに寄稿。 2015年はWEB漫画百科事典マンガペディア制作に参画してました。
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