洋画専門チャンネル ザ・シネマ

エイリアンシリーズ完全解説

2017年9月、新作『エイリアン:コヴェナント』公開にあわせてザ・シネマではシリーズ過去全作を総力特集。同時に徹底解説を試みる。

生体図鑑

人間に寄生し成長する、映画史上かつてない恐怖の完全生物エイリアン。
ここではその驚異ともいえるライフサイクルと、作品ごとに進化を遂げる、そのさまざまな種類について触れていこう。

エッグチェンバー

エイリアンクイーンによって産み出される卵。中には休眠状態のフェイスハガーが潜んでおり、寄生対象となる生物が近づくと上部の口が開き、中から寄生対象めがめて飛び出してくる(生物の存在を察知して自ら這い出してくるケースもある)。側面は透明状態になっており、フェイスハガーの動きや反応を外側からうかがうことができる。

フェイスハガー

ゼノモーフの成長第二段階。クモ綱、ならびにカブトガニのような節足動物に匹敵する外観で、8本の長い指にも似た脚を持つ。その脚を使って素早く這うことが可能で、長い尾をスプリングのように用いて跳躍することもできる。この個体の目的は寄生で、脚で対象者の頭部周辺をつかみ、宿主の口に寄生管を接触させ、胚を注入する。無理に剥がそうとして切断を試みると、酸性の血液を噴させてこれをガードし、移植を終えると早い段階で死に至る。

チェストバスター

ゼノモーフの成長第三段階。胚を宿された生物の内部で活動が可能なまでに育ち、寄生主の胸部を破って生まれてくる。宿主のDNAにしたがって身体構造や形状に差が出てくるが、基本は蛇のような外観で、行動は素早い。『エイリアン』のチェストバスターは手が確認できなかったが、以後のシリーズでは宿主体から這い出る行為を可能とするための手が見られる。

ゼノモーフ

エッグチェンバー、フェイスハガー、チェストバスターを経て至るエイリアンの成体。頭部の特殊な形状から「ビッグチャップ」とも呼称される。成長までのプロセスは極めて早く、脱皮を繰り返しながら、大人のサイズに数時間で到達する。『エイリアン』では身長2mにまで大きく育ち、ノストロモ号の乗組員を恐怖に陥れた。口が二重構造になっており、内部に金属製の第二の顎が存在し、素早く突き出て敵を射止める。動きは機敏で感情はなく冷酷非道。血液が強度な酸性のため、傷つけることさえ難しい。

ウォーリアー

『エイリアン2』に登場した、ゼノモーフの別形態。クイーンを守る兵隊エイリアンで、『エイリアン』のそれと比べて体色は黒めで、頭部を覆う半透明のカウル(フード)がなく、腕にカッターのような突起物が付属している。

クイーン

卵を産み、種を増やす身長約4.5メートルの大型エイリアン。下半身についた産卵管と産卵嚢を持ち、女王蜂と似た生態だが、昆虫の女王と違い受精させる必要はない。頭部はゼノモーフとは異なり、紋章のような特殊形状になっている。母性愛が強く、『エイリアン2』では卵に危害を加えたリプリーに対し、産卵嚢を切り離して攻撃を仕掛けてきた。

ドッグエイリアン

『エイリアン3』に登場した、四足歩行型のエイリアン(二足歩行も可)。宿主を犬(『完全版』では牛)としたため、その生態と容姿に他のゼノモーフとは違いが見られる。俊敏に行動でき、背中のパイプ状の突起がない。

ニューボーン

人間とエイリアンのDNAが交配された、両方の機能を併せ持つ新生命体。『エイリアン4』に登場。クイーンの子どもであり、リプリーの子孫にあたる。半透明の体とヒューマノイド型の頭蓋骨が特徴的で、エイリアンに見られた尻尾が存在しない。母体となったエイリアンクイーンを殺し、クローンリプリーを母親とみなしている。

尾崎一男(おざき・かずお)
映画評論家&ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」、Webメディアに「ザ・シネマ」「映画.com」などがある。併せて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントにも出没。

■参考文献・資料(発行順)
季刊シネフェックス3『エイリアン』バンダイ(1984)
H・R・ギーガー/田中克己 訳『ギーガーズ・エイリアン』トレヴィル(1986)
ロードショー11月号第一付録『エイリアン2大全集』集英社(1986)
DON SHAY“cinefex 27 ALIENS”(1986)
ザ・テレビジョン臨時増刊『エイリアン2』角川書店(1986)
CINEFEX 1『エイリアン3』トイズプレス(1993)
アンドリュー・マードック&レイチェル・エイバリー/石川順子・訳『メイキング・オブ・エイリアン4』ソニーマガジンズ(1998)
CINEFX18『エイリアン4』トイズプレス(1998)
アレック・ギリス&トム・ウッドラフ・Jr./村上清幸 訳『エイリアンvs.プレデターメイキングブック ーADIのクリーチャー・エフェクトー』エフエックス(2004)
レベッカ・キーガン/吉田俊太郎 訳『ジェームズ・キャメロン 世界の終わりから未来を見つめる男』フィルムアート社(2010)
イアン・ネイサン/富永和子 他 訳『エイリアン・コンプリートブック』竹書房(2011)
ポール・スキャンロン&マイケル・グロス/池谷律代 訳『ブック・オブ・エイリアン』小学館集英社プロダクション(2012)
マーク・サリスバリー『プロメテウス アート・オブ・フィルム』ヴィレッジブックス(2012)
シネフェックス日本版NUMBER26『プロメテウス』ボーンデジタル(2012)
H.R.Giger“ALIEN DIARIE 7|8”PATRICK FREY(2013)
マーク・ソールズバーリー『エイリアン|アーカイブ』ボーンデジタル(2014)
SIMON WARD“ALIENS THE SET PHOTOGRAPHY”TITAN BOOKS(1016)

■映像資料(リリース順)
スペシャルコレクションLD『エイリアン』パイオニアLDC(1995)
スペシャルコレクションLD『エイリアン2 完全版』パイオニアLDC(1992)
Blu-ray『エイリアン・アンソロジー』20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2010)
Blu-ray『エイリアンVS.プレデター』20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2012)
Blu-ray『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2012)
Blu-ray『プロメテウス 4枚組コレクターズ・エディション』20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン(2012)
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