洋画専門チャンネル ザ・シネマ

The Godfather 徹底解剖

蘇る野沢那智TV吹き替え版

昭和50年代、日本テレビの金曜ロードSHOW!の前身の前身、水曜ロードショーにて放映された、PART IとII。そして時を越えて、主要キャラクターの声優は変更なしに、平成6年にフジテレビのゴールデン洋画劇場でオンエアされたPART III。日本人にいちばん馴染み深いアル・パチーノのフィックス声優、今は亡き野沢那智によるこの吹き替えを、今回ザ・シネマではHD化してお届けする。

昭和51年 日本テレビ 水曜ロードショー版 ゴッドファーザー

公開版オリジナル尺175分/今回放送尺175分(半端尺を繰り上げると176分) ノーカット放送

PART Iは昭和51年の水曜ロードショーで2週にわたって放送された。それが限りなくノーカットに近かったので、今回ザ・シネマではそれをもとに完全ノーカット版の再現を目指すことにした。テレビ洋画劇場の場合、いくらノーカットとは言えどうしてもカットされてしまうオープニングのコーポレート・ロゴ(本作はパラマウント作品なのであのお馴染みの山のマーク)まで完全復元。絵の素材に用いたのは、コッポラ自らが監修したデジタル・リストア(修復)版だ。「なんてことだ!私の記憶よりずっと美しい!」と監督自身が思わず感嘆したというほど美麗な映像に、カットなく全シーン録音されている昭和51年の奇跡の音源が乗ることで、日本人にとっての究極の『ゴッドファーザーPART I』が今、初めて誕生することになった。ザ・シネマHDでご覧の方はHD画質で楽しめる。

昭和55年 日本テレビ 水曜ロードショー版 ゴッドファーザーPART II

公開版オリジナル尺202分/今回放送尺179分(20分強カット版)

極めて惜しまれることに、この昭和55年初回放送版の台本のタイムを確認すると20分ちかくカットされており、つまり、『ゴッドファーザーPART II』の野沢那智版はそもそもはじめからノーカット版が作られたことがなかったようだ。オリジナル尺とまったく違わぬ完全復元とは残念ながらいかず、また、どっぷりと余韻にひたれるエンドロールも地上波での放送と同じく付いてはいないが、いまの時代にあわせてHD化・ワイド化(ノートリミングのビスタサイズ)だけはして、今回はお届けすることにした。PARTIから多くの俳優が続投している本作だが、吹き替えキャストも再集結させた当時の吹き替え制作スタッフに感謝したい。

平成6年 フジテレビ ゴールデン洋画劇場版 ゴッドファーザーPART III

公開版オリジナル尺162分/今回放送尺142分(20分弱カット版)

PARTIIIで局がフジテレビに移りゴールデン洋画劇場にて放送されたが、マイケルの野沢那智、ケイの鈴木弘子が続投。コニー役の声優だけは交替しているが、前作までと違って本作でコニーは一族のゴッドマザーのような気の強い黒幕のような存在になってしまっており、交替に違和感は無い。なお、物語後半、一家がシチリアに旅行し、マイケルが息子・娘3人で散歩しながら、娘が従兄と付き合うことに反対するシーンは、平成6年のテレビ放映時と、今回、絵の素材用にと取り寄せた字幕の入っていない英語版とで、編集がかなり食い違っているが、権利元の方でもその原因は判っていない。そのままでは絵と音が一致しないことになるので、仕方なく、当チャンネルで今回放送するバージョンは前記2バージョンどちらとも微妙に編集が異なる“折衷バージョン”のような編集処理をせざるをえなかったことをお断りしておく。なおこのPARTIIIも初回放送の時点で約20分カットされており、II同様、過去に野沢那智版でノーカット版は制作されなかったものと思われ、同じくHD化・ワイド化だけしてお届けすることにした。
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