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PROGRAM/放送作品
マッケンナの黄金
『ナバロンの要塞』のJ・リー・トンプソン監督&グレゴリー・ペック主演コンビでおくるウエスタン冒険活劇
アカデミー特殊効果賞を受賞した『ナバロンの要塞』の監督&主演コンビが、西部劇に壮大なスケールのアドベンチャー要素を盛り込んだスペクタクル西部劇。オマー・シャリフ、テリー・サヴァラスら共演陣も豪華。
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COLUMN/コラム2017.12.15
地下浸水が巻き起こす大スペクタクル! ロシア映画が放つ自国初のディザスター超大作!!『メトロ42』~12月5日(火)ほか
前々回、このコーナーでは「ロシア映画史上最大規模のSFファンタジー」と銘打ち、同国初となるエンタテインメント大作『プリズナー・オブ・パワー 囚われの惑星』(08)について触れた。その先陣に連なるがごとく、というワケではないが、今回の『メトロ42』。ロシア映画史上初のディザスター大作として『プリズナー〜』から5年後の、2013年に製作された作品である。 ある日、モスクワの中心にある新建物の大規模工事によって、地下鉄トンネルの壁に亀裂が生じ、首都を貫流するモスクワ川からの水が内部に流入。数千人に及ぶ乗客が洪水に巻き込まれてしまう。しかもその水流は地下鉄トンネルの崩壊だけでなく、都市全体の破壊を招きかねない事態へと及んでいくーー。物語はこうした未曾有の危機に立ち向かう現場のプロフェッショナルたちの戦いと、災害に巻き込まれた市井の人々のサバイバルを大迫力で展開させていく。災害描写もこの手のジャンルが不慣れにしては堂に入ったもので、濁流の衝撃を受け、電車内の乗客がミキサーのように撹拌されるショットや、漏電によって死体が折り重なるショットなど、観る者はそれらの、悲壮にしてスケアリーなパニック描写に心底驚かされるだろう。 ■ロシア映画、エンタテインメント大作化への流れ だが、なによりも驚かされるのは、ロシアでは『メトロ42』のようなディザスター映画がこれまで作ってこられなかったことだ。 こうした疑問は同国内でも共通のものとしてあったようで、本作の完成記者会見で監督や製作スタッフらはマスコミから「なぜロシアではディザスター映画が製作されないのか?」という質問を受けている。その問いに対して監督のアントン・メゲルディチェフは「映画に対する国家支援のシステムの変化」と「ロシアでディザスター映画を展開させられる適切なプロットを見つけることが難しい」のふたつを回答として挙げている。 前者の「国家支援のシステムの変化」関しては、少し解説が必要かもしれない。旧ソビエト時代の映画はソ連邦国家映画委員会、通称「ゴスキノ」と呼ばれる中央行政機関が、同国内の映画製作を管理していた。しかし1980年代後半のペレストロイカ(政治改革)以降、国の統制を受けていた映画製作は独立採算制の導入によって民営化が推し進められ、同時にアメリカ映画の市場制圧に対抗すべく、ロシア映画もハリウッドスタイルの大がかりなアクションを導入した作品を手がけるようになったのだ。そして1990年代の変換期を経て、2000年にはプーチン大統領就任以後の経済成長と同時に映画の国策化、ならびに保護育成を目的に、ゴスキノは文化省へと吸収。そこからの援助資金だけで製作される作品が増加したのである。 こうした映画の変革は、韓国と同じ傾向にある。1996年、韓国では憲法裁判所が検閲行為を違憲とし、脚本と完成作品の提出を義務とした検閲システムが廃止となった。韓国民主化を旗印とする金大中は、国益のために映画産業を政府がバックアップすることを選挙公約として掲げ、98年に大統領当選が決まると、それまで国の機関だった「映画振興公社」を民間に委ね、映画の改革を始めるのである。こうした改革が大きな原動力となり、韓国映画は飛躍的な進化を遂げていったのだ。日本における韓流ブームの嚆矢となった『シュリ』(99)は、まさにこの“韓国映画ルネッサンス”と呼ぶべき変容の象徴として生まれたのだ。先述のこうした状況を踏まえてみると、おのずとロシア映画における『メトロ42』の立ち位置がわかるだろう。 そして後者の「ロシアでディザスター映画を展開させることへの困難」という事情だが、ロシアは地震などの自然災害が少なく、地域によっては寒波などの設定は考慮できても、それが多くの観客の実感を伴わせるとはいいにくい。事故などの人災に関しては1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故のような実例も挙げられるが、娯楽映画の題材に採り入れるほど、同事件に対する自国の傷は癒えていない。 そこで着目されたのが、地下鉄だったのである。ロシアでは交通量の増大に対してインフラ整理が追いつかず、モスクワ市内での車の遅延や渋滞が常態化しており、その緩和手段として地下鉄が市民の重要な足代わりとなっている。また2009年以降、高速鉄道の開業によって鉄道網が大きく拡張されるなど、より鉄道が利便性や安全性を高めていることも手伝い、ロシア人の多くがいちばんリアリティを感じられる設定といえる。じっさい本作の企画は2010年に成立したというから、時代的にも符号が合う。 しかし地下鉄当局からは「ありえない設定」だとして、いっさいの協力を得ることはできず、また大量の水を撮影に用いることから、必然的に地下鉄運施設の使用は無理と判断。すべてをロケセットで再現するアプローチがとられた。そのため本作では全長118メートルのトンネルのセットを建造し、加えて車両などは現物大のラージスケールモデルと、水の質感を損ねないために3分の1縮尺寸の小スケールモデル(といってもその大きさは軽トラくらいはある)が撮影に併用されている。すなわちCGなどのデジタルエフェクトは副次的にとどめ、プラクティカルエフェクトを主体とした特撮が用いられたのだ。また役者たちの演技を中心とした本編ショットでは、機微に応じた撮像を得るために高解像度のRED epicをメインカメラとして使い、パニックシーンや視覚効果の素材ショット撮影には機動性に優れたARRI Alexaを用いるなど、用途に応じた撮影機材の選択がなされている。 こうした撮影手法が「ありえない設定」として地下鉄当局に否定された同作に「ありえる」かのような説得力をもたらしているのである。 ■ハリウッドスタイルの中に見え隠れするお国柄 いっぽうのドラマに関しても、初めて本格的なディザスター映画を製作するにあたり、ハリウッド映画のスキルをヒントに作劇がなされた。古くは『ポセイドン・アドベンチャー』(72)や『タワーリング・インフェルノ』(74)といったアーウィン・アレン製作のものから、『デイ・アフター・トゥモロー』(04)『2012』(09)などディザスター映画の職人ローランド・エメリッヒ監督が手がける近年のものまで、こうした作品に顕著な、パブリックな出来事と個人ドラマの融合によるスタイルを模範として作られている。 ただちょっと我々的に違和感を覚えるのが、主人公の医師アンドレイ(セルゲイ・プスケパリス)と、彼の妻イリーナ(スベトラーナ・コドチェンコワ)と不倫関係にあったブラト(アナトーリー・ベリィ)が同じ列車内に乗り合わせるという、穏やかでない人間関係だ。これは他でもない、ロシアの高い離婚率を象徴する設定といっていい。およそ70%といわれる同国の離婚率の高さは、こうした男女関係のもつれとなって映画に反映され、むしろ地下鉄の事故設定よりも多くのロシア人が実感をともなう要素かもしれない。 グルーバルなハリウッドスタイルを標榜しつつ、映画は根のところでお国の事情が垣間見える。そうした点からも『メトロ42』は、味わい深いディザスター映画といえるだろう。 © LLC PRODUCTION COMPANY OF IGOR TOLSTUNOV, 2012
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PROGRAM/放送作品
ハモンハモン
その乳房は黄金の林檎!スペインの美人女優ペネロペ・クルスの映画デビュー作!
『それでも恋するバルセロナ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したペネロペ・クルスの初主演作品。共演には、アカデミー賞受賞作品『ノーカントリー』で助演男優賞に輝いたハビエル・バルデム。
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COLUMN/コラム2017.05.20
同業者からリスペクトされるジョージ・クルーニーの映画人としての使命感が映像に結実した、入魂の『グッドナイト&グッドラック』〜05月09日(火)ほか
『シリアナ』(05)でアカデミー助演男優賞を受賞した時、壇上に上がったジョージ・クルーニーのスピーチに耳を傾ける同業者たちの、尊敬と憧れに満ちた表情が今でも忘れられない。クルーニーはこう言い切った。『映画に携わる仲間の一員であることを誇りに思う』と。場内に割れんばかりの拍手と歓声が沸き上がったことは言うまでもない。 同年、クルーニーが2度目の監督作に選んだ『グッドナイト&グッドラック』を見ると、まさしくオスカーナイトでの言葉通り、彼が映画人としての使命にいかに忠実であるかがよく分かる。選んだネタは、1950年代のアメリカ社会で吹き荒れたマッカーシー上院議員による反共産主義活動、いわゆる赤狩りに敢然と挑み、マーカーシズムの悪夢を終焉へと導くきっかけになったTVマンたちのリアルストーリーだ。宗教や思想の自由を束縛する政治の横暴に立ち向かおうとした人々を映像で蘇らせること。それはそのまま、今のハリウッドに求められるミッションだと、彼は確信したに違いない。その決断が、10年後のまさに今の今、これほど重い意味を持つことになるとは、当時のクルーニー自身、想像だにしていなかったかも知れないが。 物語のキーマンは、アメリカ3大ネットワークの1つ、CBSの人気ニュース番組"シー・イット・ナウ"のキャスター、エド・マローだ。ある空軍兵士が赤狩りによって不当に除隊処分されようとしている事実を掴んだマローと番組スタッフが、マッカーシー側の圧力を受けながらも、虚偽と策謀の実態を生放送の中で告発していくプロセスを、クルーニーは当時のニュースフィルムと自ら撮った映像とを交えて構成。そこまでなら、多くの監督が取ってきた既存の手段だ。1950年代にはモノクロだったTV番組を克明に再現するため、カラーで撮ったフィルムをポスト・プロダクションであえて彩度を落としてモノクロに変える方法も、さほど珍しくはない。 監督としてのジョージ・クルーニーが同業他者と少し違うのは、その徹底した美意識だ。マローはCBS入社後、第二次大戦下のロンドンでラジオ・ジャーナリストとして番組を担当していた時、毎夜ナチスの空襲に脅えるロンドン市民に対して、番組終了間際に『グッドナイト、アンド、グッドラック』と呼びかけることで知られていた。もしかして就寝後、爆死するかも知れない人々の耳に『おやすみ、そして、幸運を祈ります』がどう届いたか?想像に難くないが、"シー・イット・ナウ"でもその決まり文句が番組の結びにも使われていたことから、クルーニーは映画のタイトルとして流用。しかし、そんなキザな文句を台詞としてかっこよく決められる俳優はそう多くない。 そこで、発案段階から監督のファースト・チョイスだったのがデヴィッド・ストラザーンだ。映画デビュー前の数年間を舞台俳優として全米各地を巡演したこともあるストラザーンの口跡の良さを見抜いていたクルーニーは、信念を持って彼を主役に抜擢。一語一語が視聴者の心に届くようなその紳士的な抑揚と発音は、社会を覆う赤狩りの暗雲を切り裂く鋭利な刃物のようで、監督の狙いはどんぴしゃだったはず。声だけじゃない。ストラザーンの顔の輪郭、特に美しい眉と目が、本番中、左下に置かれた原稿とカメラの間をゆっくりと往復する時、観客は思わず惹きつけられて当時のTV視聴者になったような錯覚を覚えるほど。実物のマローはストラザーンとは似ても似つかぬルックスだが、左下と正面を往復する目線は全く同じ。監督が事実を忠実にコピーしていることが伺える。『シリアナ』でクルーニーと組み、後に『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)でオスカーに輝くカメラマン、ロバート・エルスウィットの、ストラザーンの輪郭を熟知したアングルとライティングにも注目して欲しい。 クルーニーは脇役にもこだわった。台詞がある役には1950年代のアメリカ人らしい顔と雰囲気を持った俳優たちが集められた。番組スタッフ役のロハート・ダウニーJr(『アベジャーズ』の前は『チャーリー』(92)で赤狩りでハリウッドを追われたチャップリンを好演)、同じくパトリシア・クラークソン(『エデンより彼方に』(02)で'50年代のブルジョワ主婦役)、同じくテイト・ドノヴァン(『メンフィス・ベル』(90)で第2次大戦を戦った米軍パイロット役)、放送局幹部役のジェフ・ダニエルズ(『カイロの紫のバラ』(85)で往年の映画スター役)、そして、プロデューサー役にはクラシックビューティの権化とも言うべきジョージ・クルーニー本人という、まさにパーフェクトな布陣である。 音楽も粋だ。シークエンスとシークエンスを繋ぐグッド&オールドなジャズナンバーを歌うのは、現役最高峰のジャズシンガーと言われるダイアン・リーヴス。劇中でリーヴスのバッグハンドを務め、映画で使われる全曲のアレンジを担当しているのは、監督の叔母で歌手兼女優だったローズマリー・クルーニー(02年に他界)のラスト・アルバムをプロデュースしたマット・カティンガブだ。 マローが"シー・イット・ナウ"と同じくホストを務めるインタビュー番組"パーソン・トゥ・パーソン"で、伝説のピアニストでワケありのリベラーチェに白々しく結婚観を質問した直後の気まずい表情、同番組で話題に上がるミッキー・ルーニーのほぼレギュラー化していた新婚生活情報(ルーニーは93年の生涯で計8回結婚)等、クルーニーとグラント・ヘスロブが執筆した脚本には、けっこうな毒も含まれている。その最たるものは、劇中のほぼ全ショットにタバコの煙が充満している点だ。番組スタッフは四六時中タバコを吹かし、マローに至っては本番間際にプロデューサーから火を点けて貰い、カメラが回り始めても吸い続けていると言った具合だ(ストラザーンはノンスモーカーらしいが)。これには理由があって、CBSのオーナー、ウィリアム・ペイリーがタバコ会社の御曹司で、社会の喫煙には寛容だったようなのだ。 つまり、ペイリーは反マッカーシズムを貫いた結果、スポンサー離れを招いた"シー・イット・ナウ"のスタッフを危険視しつつも、社員の健康には無頓着だったということになる。そんな、ある意味古き良き企業の矛盾を炙り出しながら、赤狩り時代のTV界をヒントに、ニュース番組の、ひいては映画産業のあるべき姿を問い質そうとしたとした監督・脚本・出演のジョージ・クルーニーは、やはり業界人にとって眩しい存在に違いないという、再び冒頭の結論に立ち戻ってしまう。 結婚以来、俳優としてはどうやら一段落つき、今秋の全米公開に向けて製作中の最新監督作『Suburbicon(原題)』は、マット・デイモンを主役に迎えた初のミステリーだとか。そんなクルーニーに新たなラックが訪れることを祈りたいと思う。■ ©2005 Good Night Good Luck, LLC. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
ボルベール <帰郷>
悲しい秘密を抱えながらたくましく生きる3世代の女たち──鬼才ペドロ・アルモドバルが描く女性賛歌
ペドロ・アルモドバル監督の“女性賛歌3部作”最終章。娘に注ぐ母性と母に寄せる複雑な愛情を強く繊細に体現したペネロペ・クルスら、3世代の出演女優6人がカンヌ国際映画祭女優賞を獲得。他に脚本賞も受賞。
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COLUMN/コラム2015.12.15
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2016年1月】うず潮
『007 スペクター』でボンドガールに抜擢された旬の女優レア・セドゥがマリー・アントワネットを慕うヒロイン役に!マリー・アントワネット役を『ナショナル・トレジャー』でブレイクしたダイアン・クルーガーが演じ、フランス革命前夜の様子を王妃に仕える朗読役のヒロインを通して描いた歴史愛憎劇。豪華絢爛な衣装はもちろん、一般非公開の部屋で撮影されたベルサイユ宮殿のシーンも必見! 王妃を想い慕う健気な朗読役のヒロインを演じた、レア・セドゥのどこか悲しげな瞳が印象的。死の影が迫った女たちの愛憎がうごめく中、王妃は自分を慕う彼女の気持ちを利用してある指令を下します。思わず「断れよ!」と突っ込みたくなりますが、王妃の気持ちを受け入れて、覚悟決めたレア・セドゥの凛とした姿は儚い美しさを感じずにはいられません… 死の恐怖に怯えながらもどこか優雅に振る舞う王族たち、そんな主人を見捨て始める給仕たち…本作は歴史の裏側を垣間見たような気分になれる1本。男女問わず、お楽しみ頂けます!また、フランス屈指の女優が競う「トリコロール」3部作も1月に放送。こちらもぜひ! ©2012 GMT PRODUCTIONS - LES FILMS DU LENDEMAIN - MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA - EURO MEDIA FRANCE - INVEST IMAGE
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PROGRAM/放送作品
ウォーターワールド
ケヴィン・コスナー×デニス・ホッパー共演で贈る、史上空前のSFスペクタクル!
世界が海の底に沈んでしまった未来の地球。人々は皆、人工浮遊都市の上で生き延びていた。伝説の陸地を求め、海賊との壮絶な戦いに巻き込まれてゆく男の旅を描いた、近未来海上アクション・アドベンチャー。
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COLUMN/コラム2013.06.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年7月】飯森盛良
アレクサンドリアは古代のエジプトの学芸都市だ。この映画の舞台となる4世紀にはローマ文化圏に組み込まれていた。その街に実在した女性天文学者が本作の主人公。だがその頃、街では狂信的な宗教勢力による、彼女たち知識人への大弾圧が始まろうとしていた…。 この映画では初期キリスト教団が恐ろしげに描かれるが、逆に「ローマ帝国に弾圧され虐殺される初期キリスト教徒たち」の物語は、欧米文化圏では繰り返し描かれてきた経緯があり、「彼らは気の毒な被害者だ」という前提がすでに十分共有されている。我々日本人もこの前提を共有しておかないと、偏った映画の受け取り方をしてしまう恐れがある。その上で本作は、「一方的な被害者というだけではない、加害者としての彼ら(キリスト教圏の先祖)の側面」を新鮮に描いているのだ。 また、あえて現代のテロリストと意図的に似たいでたちに初期キリスト教徒を描いているように見えたが、「今日のテロリストと同様の行為を、かつては我々キリスト教徒も行っていたのだ」と、欧米キリスト教文化圏に向けて訴えるような作りも、たいへん挑戦的に思えた。人類は、共通の欠点を持っている、と言いたいのだろう。重厚な歴史スペクタクルであるだけにとどまらない、必見の超問題作である。 © 2009 MOD Producciones,S.L.ALL Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
アトラクション 制圧
巨大宇宙船の墜落、異星人との三角関係…予想外のパニック劇を最新VFXで描くロシア製スペクタクルSF
『第9地区』『エリジウム』のVFXスタッフが参加し、巨大宇宙船の墜落やパワードスーツを装着した異星人のアクションをリアルに描写。人間の少女と異星人との間に芽生えるロマンスなどヒューマンドラマも濃密。
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COLUMN/コラム2013.02.01
2013年2月のシネマ・ソムリエ
■2月2日『ダニエラという女』 平凡な男フランソワが宝くじを当て、美しい娼婦ダニエラとの同棲を実現させる。しかしフランソワは心臓に持病を抱えているうえに、思わぬ珍客が次々と現れて…。イタリアの宝石たるモニカ・ベルッチが、トップブランドの衣装に身を包み、ゴージャスな魅力を惜しみなく発揮。その豊満な肢体、蠱惑的な仕種には圧倒されるばかり。『美しすぎて』のフランス人監督B・ブリエらしい皮肉満載の喜劇。主人公の主治医や隣人の女性らを巻き込んだ愛と欲望の物語が、シュールかつ哀歓豊かに展開する。 ■2月9日『SOMEWHERE』