PROGRAM

放送作品情報

さざなみ

45 YEARS 2015年 イギリス / 96分 ドラマ

結婚45年目に突然訪れた亀裂…ベルリン国際映画祭銀熊賞をダブル受賞した辛口の夫婦ドラマ
放送日時
2019年06月02日(日) 深夜 04:15 - 06:00
2019年06月04日(火) 15:15 - 17:15
2019年06月10日(月) 深夜 04:00 - 06:00
2019年06月19日(水) 08:45 - 10:30
解説

一通の手紙から熟年夫婦の間に生まれていく埋めようのない溝を、シャーロット・ランプリングとトム・コートネイが静かな円熟味で熱演。ベルリン国際映画祭銀熊賞(男優賞・女優賞)をダブル受賞するなど絶賛された。

ストーリー

英国郊外の静かな町に暮らす元教師ケイトは、長年連れ添ってきた夫ジェフとの結婚45周年記念パーティーを週末の土曜日に控えていた。その直前の月曜日、ジェフに一通の手紙が届く。それは、結婚前にスイスの雪山で遭難した元恋人の遺体が発見されたという知らせだった。ジェフの気持ちが元恋人へと向かっていく中、パーティーの準備に追われるケイトは夫への不信感や元恋人への嫉妬を募らせていく。

監督・脚本

アンドリュー・ヘイ

出演

シャーロット・ランプリング
トム・コートネイ
ジェラルディン・ジェームズ
ドリー・ウェルズ
ほか

字幕/吹替
字幕
掲載制限
なし
カラー/白黒
カラー
画面サイズ
ワイド画面
HD
※【ザ・シネマHD】にご加入の方は、
HD画質でご覧頂けます。

オススメキーワード

  • 鑑賞日 2019/5/12

    男と女の分かり合えなさ。

    もう前半が退屈で退屈で。そんな昔のことをうだうだとグズグズと…。こんな歳になって今更何なの?あまりにもナーバスに反応するケイトに呆れてしまった。ただまあ確かに夫・ジェフは無神経すぎた。悪気はないんだろうけど余計なことを口にする。それがいけなかった。 夫の記憶の中で永遠に若いままで、さらに思い出補正でいいことばかりが記憶されているであろう昔の彼女と、長く一緒にいて空気のような存在になり、しかも老いてしまった自分とが、ずっと比べられていたのではという思い。妻としてのプライドは崩壊し、そこにあると信じてきた夫婦の確かな絆もあやふやになっていく。このへんの過程は、さすがのシャーロット・ランプリング。小さな感情の起伏を丁寧に演じ、閉じかけた私の瞼を徐々に開かせていった。 そして結婚45周年パーティーでの衝撃のラスト。穏やかな笑顔がすっと冷め、さらに嫌悪さえ滲ませて夫の手を振りほどくケイトの表情が怖い。ここまできても多分夫は何も気づかないままなんだろうな。夫には夫の言い分があるんだろうけどね。男と女の間の川はやっぱり深い。

  • 鑑賞日

    老爺と老婆による今更な『ロミオとジュリエット』

     原題"45 Yesrs"。デヴィッド・コンスタンティンの短編"In Another Country" が原作。  結婚45周年パーティーを迎えようとしている老年夫婦に起きる「さざ波」を描く。そのさざ波というのが、夫(トム・コートネイ)への50年前にスイスの雪山で遭難した女の氷結死体が見つかったという警察からの連絡で、妻が50年前の夫の恋人に嫉妬するというのが大筋。  この娘のようにロマンチックな老婆をシャーロット・ランプリングが演じるので、なんとなく見れてしまうが、50年も前の夫の恋人に今更嫉妬する年齢でもあるまいにというのが率直な感想。ラストのパーティでの、50年前の氷結死体への思いよりも、45年間の妻との愛の方が大事と落涙する老爺の予定調和な挨拶も、ロマンチックすぎて引いてしまう。  50年前の雪山遭難にはもう一人男が絡んでいて、登山中に夫の恋人と仲良くなったというエピソードから、さてはクレパスに突き落としたのではないか? それとも犯人はもう一人の男? とミステリーを期待してしまうのだが、そうならないのが何とも肩透かしで、楽しみにしていた氷結死体も見られないとあっては、老爺と老婆による今更ながらの『ロミオとジュリエット』に少々閉口してしまう。

  • 鑑賞日 2018/7/13

    サファイア婚

    夫婦も長く連れそうといろいろあるもの。男は昔の夢だけを覚えているが、女はわずかな変化にも敏感だ。結婚前の彼女の思い出にも、心がざわざわする。45周年の結婚記念パーティーも心ときめかず。外国では45年を盛大に祝うものですか。私たち夫婦も40年経過、さざなみくらいは仕方ないか。

  • 鑑賞日 2018/7/4

    シャーロット・ランプリングの名演

    予備知識なくて見たので、スイスの高山で50年前に付き合っていた女性の死体が発見されたという冒頭の部分で、これはサスペンス映画なのかと思って見ていたせいか、単に夫が結婚前に付き合っていた女性をめぐってのいざこざを描いただけの映画だったので、正直少しがっかりした。 唯一のポイントは、若い頃好きだったシャーロット・ランプリングの演技が素晴らしかったこと(ただ、個人的には、「地獄に堕ちた勇者ども」の彼女が一番、脇役だが )。

  • 鑑賞日 2018/1/27

    原題は「45years」。日本語タイトルはイマイチなケースが多いけど、この映画「さざなみ」はいいタイトルだと思った。 結婚45周年お祝いパーティに向けての、老夫婦の一週間。 夫のスピーチは感動的でも、思い出の「Smoke Gets In Your Eyes」で踊っても、それだけで夫婦の溝が埋まるかというと、どっこいそう簡単にはいかない。 この辺の夫婦の機微が、非常によく画面に映し出された映画でした。

  • 鑑賞日 2018/1/24

    淡々と起伏のある小品

  • 鑑賞日 2017/11/23

    2015年ベルリン映画祭銀熊賞受賞って事で、懐かしいシャーロットランプリング主演「さざなみ」 昔は妖艶なシャーロットだったけど、今も綺麗なのには驚いた。 結婚45周年記念パーティーを週末にするオシドリ夫婦。 その5日前に夫の元カノの遺体が半世紀ぶりに氷河の中で昔のまま発見されたという知らせから夫婦の間にわずかなさざなみが立ち始める。 その5日間をシャーロットの好演と丁寧な脚本で描いているけど、グッとは来なかったな

  • 鑑賞日 2017/11/2

    70代の熟年夫婦の話。この手の作品にありがちな子供や孫に囲まれてというのが一切なく、会話にも出てこない。完全な夫と妻の二人だけの舞台設定である。 結婚45周年記念パーティ前の一週間の話で特に大きな事件もなく、淡々とした流れで最後は晴れの舞台で終わる。 アカデミー賞はノミネートだけだったが、シャーロット・ランプリングはこの年の数々の主演女優賞を受賞。スタイルが若い頃と殆ど変わらないのが凄い。 夫役のトム・コートネイは『ドクトル・ジバゴ』でラーラの最初の結婚相手の革命軍の学生役だった人で懐かしい。 50~60年代洋楽懐メロが数曲使われているが、エンドロールにムーディ・ブルースの名曲『Go Now』をチョイスするとはセンスがいい。

  • 鑑賞日 2017/9/9

    おばあちゃんのナイスバデー

    日本もしくは韓国もそうだが、リメイクしても成立しないだろう。かくも欧米の特に女性のエゴは計り知れないほど深く人格すべてといってもいいほど大きいのだなあ。ラストはさすがにゾッとしたが。

  • 鑑賞日 2017/9/6

    妻といっしょに観てはいけません!

    いつまでたってもオトコとオンナですね。 この作品、凡百のホラー映画よりずっと怖いです。もうラストのS・ランプリングにはゾゾ〜ッとさせられました。 いつまでも過去の女に縛られていて、ほんとに男はダメですね。 迂闊なことは妻に言わないように気をつけなければ、と改めて肝に銘じました。くわばらくわばら。

  • 鑑賞日 2016/12/13

    結婚45年が煙となって目にしみる。

    原作未読で申し訳ないが、元の小説があり、三人称かケイト(S・ランプリング)の 一人称か、内面の心理の書き込みで成り立っている小説ではないか。 つまり映像化は難しい作品だ。それもジェフ(T・コートネイ)の若かりし頃の山岳場面を 割愛し、ケイト視点で一週間にも満たない日々で、再構成している。これが映画として凄い。 ジェフは温暖化のために、山岳地帯で氷河が溶け、遭難したかつての恋人が流れ出す 稀有な経験に直面した。邦題のように、さざ波が夫婦の中に立った。 ケイトの知らないジェフの恋愛は、ロフトでたびたび見られていていたであろう、 スライド映写機で再現される。このシーンのランプリングのジェラシーの表現が白眉だ。 (実は私もここで恋人の妊娠姿を確認できなかった) ジェフはケイトに問い詰められ、彼女と結婚してたであろうと告白する。 45年の結婚生活の果てに、初恋の人が忘れられない、とは残酷そのもの。 ここで全ホラー映画は、この一篇にひざまずくのだ。 ラストシーンのブルーのライトに照らされた二人のダンスは実に美しい。 映画が文学を凌駕する瞬間が映像に焼き付かれた。

  • 鑑賞日 2017/5/28

    人生における小さな不満

    イギリスの地方都市で暮らす老夫婦。近々結婚45周年の記念パーティーを開くということで、奥さんはその準備に忙しい。そうした平穏な日常に、かつて夫が結婚前に付き合っていた女性(山で遭難して行方不明だった)が氷りつけで見つかったという知らせが来る。夫は動揺して、かつての恋人の身元確認に行こうとしたり、彼女の写真を眺めたりする。そうした夫の様子を見て、妻にもかすかなゆらぎ(さざなみ)が走る。それは実にさりげないものだが、徐々に蓄積して、ラストシーンに至る。 老夫婦の日常をきちんと描いている。SEXの描写などはなかなか見れないシーンだ。夫がパーティーで涙ながらに妻に感謝をささげるシーンで、シャーロット・ランプリングが実に冷ややかな表情を見せる。ここで終わっても良かったのだが、駄目押しで夫とのダンスの後、夫の手をはねつける。いや、男女の仲はいつまでたっても複雑である。

  • 鑑賞日 2017/5/2

    繊細且つ普遍的

    老夫婦の一週間ほどの話だが、 これがまぁ深い。 役者の演技、そしてシナリオ(この場合はささやかなト書きまで)、実によく出来ている。 「全然大丈夫」は大丈夫じゃない。 若いカップルなら距離を置く事も出来ただろう。 でも、もうそういう歳でもない。 けど、心の中はザワザワする。 そのザワザワは日に日に大きくなる。 この場合、旦那も悪いけど。 ちょっと素直過ぎる。 もう少し、別れた元カノを思い出す事を隠しても良かったんじゃないかなぁ~と。 それにしても、 最初から最後まで、短いのにずっしり詰まった傑作である。

  • 鑑賞日 2017/4/22

    【観た:さざなみ】……めっちゃ居心地悪いラスト。この後どうなったか考えたくない。さざなみどころか大波だよこれ。旦那の気持ちも分からなくはないんだけど、45年以上経ってるのにねぇ…。シャーロット・ランプリングの独壇場といってもいいくらいの存在感。それも静かに静かに抑えれば抑えるほどに貫禄を感じさせるような。観て良かった。ラスト怖いけど。おすすめ。

  • 鑑賞日 2017/4/13

    なぜ45年も、さざなみが立たなかったんだろう?

    「ミラクル・ニール」が85分、これは95分。短くていいです。ダニー・ボイルの作品も短いの多いし(テレビ映画として作られたからかな)、イギリス映画の伝統だとしたら大歓迎です。 シャーロット・ランプリングいいですね。往年の色気を感じさせつつ、きれいに枯れてる。 若い頃エロい役で印象的だった女優さんが歳を重ねたのって、素敵。 シャーロット・ランプリングといえば「愛の嵐」。倍賞美津子なんかもシワの一つ一つが美しいです。 静かな草地の風景も素敵。 それにしても邦題がすばらしい。原題は「45 Years」、彼女たち夫婦の45周年。それよりも妻の心に立った小さな波に着目した方がいい。日本語の予告編の、”妻の心はめざめ、夫は眠りつづける”ってコピーも秀逸。 本当に深いいい映画なんだけど、これを初めて気付くような顔で見るのは眠り続けていた夫の方だろうなぁ。 妻は(みんなじゃないのかもしれないけど)夫の心が自分以外の人に動いていくのを、まるで重力でりんごが落ちるのを見るように、はっきりと正確に認知してるものだと思う。だからたいがいの女性は、ラストの妻の表情を見て、ああ自分も鏡の中に同じ表情を見たことがあるわ、と思うんだ。 誰かと45年間しあわせな結婚生活を送るのって、どんな感じなんだろう。 なぜ45年も、さざなみが立たなかったんだろう? 「7ファクターズ」だと苦情かな。 (注)7ファクタータグは以下の7つの指標で映画の特徴を客観的に表現しようとしたもの。 「美」美しさ、「黒」 腹黒さや悪徳、「苦」人生の辛さや哀しさ、 「楽」愉快・楽しい、「情」情感、温かさ、「新」表現、技術、アイデアの斬新さ、「謎」引き込む謎がある

  • 鑑賞日 2016/6/1

    たいへんね

    シャーロット・ランブリングの細かい演技に見応えあり。 最後の手を振りほどくところ、ベストです。 簡単に言うと、いくつになっても男は、単純で子ども。 女は、思慮深くて乙女。 昔の女のことを、いつまでも思うんじゃないっ! 夫婦間だけじゃなく、生きていく中で、小さな「さざなみ」は起こるもの、 大波にならないように、努力するのも、これまた人生。 この夫婦、別れないで欲しい。この場合、妻の努力かぁ...。たいへんね。

  • 鑑賞日 2017/4/2

    衝撃的な結末

    シャーロット・ランプリングの演技が絶品。脚本も無駄が無く、カメラも彼女の心の細かな変化を心象風景や構図で見事に表現している。 テーマは普遍性は有るが国民性や個々の夫婦の在り方によって捉え方は違うだろうし、ジェフが終始、無頓着であるように女性が観たほうが共感出来るように感じた。私は"嫉妬"というより無神経な夫に対する"怒り"の側面を強く感じたのだが…。 とはいえ、ラストの掲げた手をシャーロットが振りほどくシーンは背筋が凍る程の迫力。魅せますね。

  • 鑑賞日 2017/3/11

    美化される思い出

    シャーロット・ランプリングが時折見せる夜叉っぽい表情にゾクゾクさせられました。ケイトが味わっている気持ち、勝ち負けではないと理屈で言うのはやさしいけれど、落としどころを見つけられないことは想像にかたくないので。 屋根裏部屋でのシーンがとても残酷。男って本当に愚かですね…忘れたくない想い出は時と共に美化されてゆく上に、45年間磨き続けていたなんて。 ラストのケイトの行為、この後どうするのかとても気になり余韻が残りました。

  • 鑑賞日 2017/3/9

    熟年夫婦の心の機微

    ふとしたことから45年も付き添ってた夫婦の関係に、今までと違う葛藤ができてしまうストーリーですが、気楽に見てる側にしてみれば、その程度で問題になるよな今日昨日の間柄じゃないだろーって思う反面、いくら齢を重ねても気になるものは気になるのか、それとも今まで積もり積もって隠れてものがこれを機に噴出したのかなあ、いろいろ想像させてくれる作品です。熟年お二人の抑えた演技は、まさにいぶし銀のようで素晴らしい。

  • 鑑賞日 2017/2/20

    シャーロット・ランプリング!

    シャーロット・ランプリングのセリフに表れないところの演技が素晴らしい。 何度か気持ちを「抑えている」とセリフが出てきたが 作品自体もセリフを抑え、表情やしぐさで心情を表しているようだった。 デリカシーのない夫の言葉に加え 昔の彼女が「当時のまま」というところが相当堪える話だ。 おまけに重大な事実も見つけてしまったら あの衝撃のラストもありだよなぁと思ってしまう。 よくよく考えれば昔懐かしいメロディーの流れるパーティーも酷だよなぁ。 このあとどうなるのかと考えてしまう終わり方で一層余韻の残る作品になった。

  • 鑑賞日 2017/2/14

    カチャ50年

    結婚45周年のパーティを控えた子どものいない老夫婦。 妻は元気で日常に何の支障もない。夫は衰えが進んでいる。 夫の封じられていた過去が手紙によって蘇る。 秘密。45年の夫婦生活。培ったもの。持ち続けていたもの。キルケゴール。 1962年の山岳事故の模様。 失われた恋人と未来。スイスからの依頼。 屋根裏。夜が来てついぞ無かった孤独な時間が生まれる。 したこと・しなかったこと。揺らぎと喪失感。 田園を妻が歩く遠景が彼女の心の旅路を象徴している。 ダンスシーンの「煙が目にしみる」は「アメリカン・グラフィティ」を思い出す。 あれは1962年夏の物語だった。

  • 鑑賞日 2017/2/12

    センスを感じる

    色んな方向からセンスを感じる映画でした。 山場というわかりやすい山場もなく、淡々と過ぎていく1週間の中で、見えない所で揺れ動く夫婦⋯もとい妻の心情を見事に演じきっている。 人の内面が顔に現れるというのをここまで見る側に感じさせてくれるのかといわんばかりに、心にちょっとしたヒビが入った瞬間からの変わっていく表情の変化は唸るものがあります。 また、細かい部分が丁寧に描かれていなごら、かつ見る者の想像力に委ねる余白を遺している部分もなかなか。 自分と出会う前の、しかも今は存在しない亡くなった恋人に嫉妬するなんてどうか、という男性側の見方もあるだろうなと思う。 当然女性から見てもそれは思わなくはないのだが、これが単なる過去の恋人への嫉妬なのかといわれるとそれで片付かないのが45年という歳月なのだろう。 おそらくこれで心乱れる時点で、この夫婦にはこれまでさほど大きな夫婦の危機は訪れてはこなかったのではないかと推察される。 旦那のほうは浮気もせず、子供もいなかったので教育方針で喧嘩する事もなければ育児にかまけて旦那をないがしろにするようなことも恐らくなく、この年まで小さな喧嘩程度で割と仲睦まじく暮らしてきたのに違いない。 本来ならば夫婦、男女の枠も超え、ひとつの家族としての繋がりや自信もうまれてくるのだろうが、この夫婦には子供もいないので、家族というよりあくまで45年を男女、夫婦として一定の距離感で過ごしてきた。 だからこそ女性として、過去の恋人とそれを知らなかった事実に嫉妬しただけのようにも見えかねないが、裏を返せばそれは、彼女が45年培ってきた全てのものを奪い兼ねない存在だったのだろうということがなんとなくわかる。 子供や孫のいる友人を羨ましがる様子から、恐らく子供が欲しかったけど出来なかったのか、どちらかが何かしらの理由で作らなかったのか、ここにもある程度の余白があるが、子供がいない事は彼女が望んだわけではないのだろう事は感じられる。 つまり、彼女にとってはこの45年は親として、家族という絆の45年ではなく、あくまでも夫婦2人の繋がりに対する自信とプライドのようなものがあったはず。 ところが、過去を懐かしんでそこへ引き戻され、悪気なく長年連れ添った妻に過去の自分の思いを共有してほしいかのようにデリカシーなく昔の恋人について語り出す夫の様は、妻の心に小さな穴を開けるには十分すぎるように思う。 あくまでも夫の話を「夫婦 」で語る「過去の恋人」というスタンスで語るように話を返す努力をしている妻に対し、夫は無意識に境界線を引き「僕とカチャ」と「その話をきく妻」というスタンスで接するため、噛み合わず、妻の心に開いた穴はじわじわとヒビを広げていく。45年間夫婦、男女という繋がりを頼りに生きてきた彼女にとって、根底を揺るがすにはありあまる態度だっただろうなと感じる。 「死ななければ結婚していただろう」という言葉も、単なるたられば論にも思えるし、男から見れば「今はお前が妻なんだから」程度の認識なのだろうが、ずっと屋根裏に眠っていた写真やフィルムで、彼女が妊娠していたであろう事実を知ってしまえば、たられば論ではすまないだろう。そっちの未来を望んでいたのでは、という、自分たちの歴史を根底から覆された妻のショックはひしひしと伝わる。 「私に満足していない」という台詞も、ここにつながるかもしれないと考えると深い。子供をもてなかったことへの圧倒的なコンプレックスみたいなものが、顔を出してしまった。 これらが淡々と描かれていて、はたからみるとほんの小さなバタフライ・エフェクトのような感じなのだが、小さな心の揺らぎがどんどん後戻りできない感じに自分の内を支配していくのはすごく絶妙で、さざなみという邦題にかなりセンスを感じた。 そしてある程度のオチを期待したところにあのラストはなかなかの不完全燃焼を与えられる。最後のスピーチのあとの笑顔でほっとしたのも束の間、すぐにコロッと変化する表情に、「あれ、今の響かなかったんだ⋯」とざわざわさせられる。 あれが響かないのであればあとは何が響くのだろうか?もうだめなんじゃ?どうするの?と思わせたままでのラスト。 このあと彼女がどうするのか、誰もわからない。 「周りに知られないように」短い老い先を仮面夫婦を演じていくのか、自分の心に正直に熟年離婚に踏み出すのか、それとも自分の中で折り合いをつけ、話し合うことで夫婦の絆を取り戻せるのか。 この先どうなるだろう、どうあってほしいか、とどんな未来を想像するかは、見る側の人間性と人生の価値観によって大きく変わって来る気がするので面白い。

  • 鑑賞日 2017/2/11

    見事な邦題

    イギリスの田舎町に暮らす結婚45周年(原題の「45 YEARS」)の夫のところに来た1通の手紙から夫婦に「さざなみ」がたっていく様を描く話。「ラスト15秒に世界が驚愕!」という宣伝コピーはやや大げさだが、クライマックスの結婚45周年記念パーティーで、何が起こるのか?というサスペンスは確かにあった。シャーロット・ランプリングにアカデミー賞主演女優賞を獲らせてあげたかったなあ。「愛の嵐」('73)と二本立てで観たら面白いだろうなあ。

  • 鑑賞日

    何が一番残酷か

    このストーリーで一番残酷なのは、45年もの間、旦那は昔の恋人とこの家にずっと住んでいて「どんな犬を飼うか」とか「どんな曲を聴くか」もその恋人の嗜好で決めていて、実はその恋人の匂いに包まれていたんだけど、妻がそのことを45年後に知らされるということだ。最後のダンスシーンは「それを知ったからといってこの先どうなる」という諦めと「これまでの自分の人生とは」という怒りの感情の交錯が見事に描かれていて、地味に手を振りほどくラストシーンが観る者に「あなただったらこの後どうする?」と問うているような気がしてならない。

  • 鑑賞日 2016/4/17

    ザ・女優映画。ザ・シャーロット・ランプリング映画。

    映画の序盤、犬の散歩から帰ったシャーロット・ランプリングがキッチンで夫と会うシーンがあります。このストーリーのキーマンである夫が初めて登場するシーンですが、カメラはシャーロット・ランプリングを写したままなんですね。普通、夫のアップのワンカットも挿入したくなるところです。でもそれをしない。監督の意図は明確です。 この映画は、夫婦の物語なんかじゃないんです。シャーロット・ランプリングの気持ちの流れの物語なのです。 そういった意味では『さざなみ』という邦題は悪くないのかもしれません。 さらに言えば、この時点でシャーロット・ランプリングにすらカメラは寄らない。アップの一つも撮らない。 この監督は、一定の距離をもって主人公を見つめるのです。 アレクサンドル・ソクーロフほど冷たく突き放して“観察”するわけじゃありませんが、主人公との距離を保って“見つめる”のです。 中盤、何だか分かりませんが、観光ボート的なものにシャーロット・ランプリングが乗ってるシーンがあります。 そこで流れる観光案内アナウンス「もしも別な場所に炭鉱が発見されていたら、この運河はなかったウンヌン(全然うろ覚え)」。 これは「もしもこの人と結婚していなかったら」というシャーロット・ランプリングの気持ちと重なるのです。さらに“川”というのが時の流れも想起させます。 こうなってくると邦題『さざなみ』よりも、原題『45 Years』の方がグッと重みが出てきます。 監督が主人公と一定の距離を保った結果、映画は感傷的、感情的になりません。シャーロット・ランプリングも露骨な感情表現をほとんどしません。 それだけに観客側にの想像力が要求される映画なんですが、最後どう解釈するかは人それぞれ。性別や人生観で受け止め方が変わりそうです。

  • 鑑賞日 2016/10/30

    心のさざなみ

    シャーロット・ランプリングが心のさざなみを上手く表現した佳作だった。 物語は、ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)の老夫婦が、結婚45周年パーティをするのだが、その1週間ぐらい前に「老いた夫の結婚前の女=カチャがスイスの氷河の中で見つかった」なる連絡あり、心揺れる老いた妻ケイト。 老年夫婦のセックスを描いたり、連絡あってから夫ジェフの怪しげな行動(夜中に屋根裏部屋でゴソゴソ、止めていたタバコを吸い始めたり…)もあり、微妙な風景描写が上手い。 結婚45周年パーティでの夫ジェフのスピーチが素晴らしく、感動的。 また、先日観た映画『危険分子』と同様、プラターズの「煙が目にしみる(Smoke gets in your eyes)」という曲もイイ雰囲気出している。 個人的には、この「煙が目にしみる(Smoke gets in your eyes)」を自分が知ったのは、プラターズでなくてレッド・ツェッペリンのブートレッグ(超有名な1971年9月29日の大阪公演の多数あるバージョンのひとつ)から。 終幕の曲「ゴー・ナウ」も、以前、ポール・マッカートニーが歌っていた印象的な曲。 シャーロット・ランプリングは、老いても美しい。 素晴らしい作品であった。

  • 鑑賞日 2016/9/10

    夫婦って、そんなもの?

    夫ジェフの50年以上も前の昔の恋人の遺体確認の為、スイスに来て欲しいとの警察からの手紙で、妻ケイトの心に微かな胸騒ぎを感じ、次第に増幅して、夫婦の間に亀裂が生じていく物語。それにしても、45年も連れ添った夫婦と言えども、その歴史の中で震撼するような事象を、口にした方が良いのか、それとも一人心にひっそりと心に鍵をかけて封印しておくのが良いかは、あっても不思議ではない。しかし、この作品では妻ケイトは、心に亀裂を覚える。夫婦の絆とは、その程度なのか?それとも、この様に亀裂が起こること自体、もっとも人間らしいことなのか?もしかたら、是非を問う事が、出来ないかもしれないはず。 ところで、ラストシーンで、夫婦でのダンスが終わった際に、妻ケイトの顔の表情が、とても意味深に見えませんか?

  • 鑑賞日 2016/10/20

    一通の手紙で夫婦の間に亀裂が入る。結婚45周年のお祝いパーティーでも妻はまだわだかまりがあるようだが、それも含めて少しずつ日常に取り紛れていくのが夫婦ではないだろうか。ジェフの方は、ケイトと一緒に過ごせたことを心から喜んでいるようだ。シャーロットランプリング、いいなー。

  • 鑑賞日 2016/10/15

    死が2人を分かつまで…。その手は…、どこに向かってる?

    昨今、熟年?いや、老年を描く作品が多い。ちょっと前だと『ニューヨーク 眺めのいい部屋、売ります』 どちらも子供のいない夫婦。しかも犬をかわいがっている。なんか重ね合わせてしまう。自分のあと何十年後を… 長年連れ添っても、気持ちの奥底は分からないということなのか? 一度、冷めた気持ちは修復不可能なのか? なんか深いです。

  • 鑑賞日 2016/10/10

    不用意な夫の言葉が・・・

     原題は「45年」。それは老夫婦の結婚生活の年月からきている。週末に用意されている結婚45周年パーティに向けての数日間にちょっとしたきっかけからほころび始めてしまう夫婦間のひび割れを静かなタッチで描いた映画。静かだけど妻の内心に芽生えた嫉妬の心は簡単に消すことなどできないどころかますます夫に対する疑惑や不信が深くなっていく。夫の謎の過去を探ろうとし始める妻の行動の数々はまるで心理サスペンス映画でも見ているような気にさせる。静かだけど心の内は邦題のようにさざなみで揺れている。そんな夫婦の、というかこの場合妻の心の不安を巧みに映像化してみせる。シャーロット・ランプリングもいつもながらの名演技で内にくすぶり続ける嫉妬心を抱えた妻を演じてみせる。  夫は老齢からか記憶も定かでなく、体も大病を経験したせいかだいぶ弱っている。妻の気持ちも考えず平気で昔の女の話を懐かしそうにしてしまう。昔の記憶は何故か鮮明に覚えている(自分の経験からも確かにうなずける)。これがまだ若く妻への心配りができている間であれば口に出すことなどまずなかったであろうことども。それが歳をとると簡単に口から外へ出てしまう・・・夫婦の関係というのはどこの国も似たようなものなのだなと思う。夫にしてみれば懐かしさからつい口に出してしまった言葉が妻を不信と嫉妬の塊にさせてしまう。  映画はクライマックスの夫のスピーチとプラターズの「煙が目にしみる」でそれまでのくすぶりを見事に払いのけたかのように装う。でも愛想笑いの奥で自分のありえたであろうもうひとつの選択としての45年間を思った時、ランプリングは夫の手を振り払うしかできない。そのラストショットも見事だった。

  • 鑑賞日 2016/10/10

    語られない日曜日

    素晴らしい映画でした。 驚きました。 この語り口はサスペンスですね。 映画は静かに始まりますが、冒頭から混乱を呼び起こします。 夫が昔付き合っていた女性が死んだ、というドイツ語の手紙が届くのです。 ここから円満な夫婦関係がどんどん崩壊してゆきます。 週末の土曜日には45周年を迎える夫婦のパーティがあります。 そして刻一刻と2人の関係の亀裂がどんどん大きくなってゆく。 映画を見終えて予告編を見直すと、ドキッとします。 予告編のはじめに、スライドを切り替える音が入ります。 これはまさに、妻が夫の昔の女に写真を覗き見するシーンの音です。胸の鼓動が大きくなります。夫の知られざる秘密。このシーン、見事ですね。昔の女の顔と妻の顔が画面に重なるのね。スライドが次から次へと変わる。 すると、、、 その女のお腹が大きいのね。妊娠してたんです。ここで妻の心は大きく揺れます。 時間は刻々と過ぎ、パーティの日がやってくる。 妻は自らの心の乱れを隠すように、なんとか取り繕います。 しかし、しかし、、、 あのラストシーンはすごい! シャーロット・ランプリングはとにかくすごいです。本当にすごい。美しく、毅然としながら、女性らしい心の乱れを演じます。 結局、このドラマは最後を示しません。月曜日からパーティの土曜日までのお話。きっとこの後、語られない日曜日が存在しています。日曜日にこの2人がどうなるかは、見る側が考えるのですね。

  • 鑑賞日 2016/9/20

    こわいよこわいよ

    月並みですが、オナゴは怖い。

  • 鑑賞日 2016/9/14

    繊細で残酷で美しい

    イギリスの田舎町で、退職後の静かな生活を送る一組の夫婦。落ち着いて感じのいい住居、ふたりの間の細やかな愛情と信頼、知的なユーモアに満ちたやり取りは、彼らがともに積み重ねてきた時間を感じさせる。45年間。その確かな蓄積には今や亀裂が走り、静かに崩壊しようとしている。永遠に氷の中に閉じ込められた過去からの呼び声によって。 40年目は夫の病気で見送り、45年という中途半端な年に結婚記念日のパーティを開くことにしたふたりは、50年目はともに祝えないかもしれないという予感を感じている。残された時間は多くはないからこそ、ともに過ごせる日々を大切にしようと考えていただろうふたりに不意にもたらされたのは、滑落事故で亡くなった夫のかつての恋人が、45年前の姿のままで氷の中で発見されたという知らせだった。 封印されていた過去から鮮やかに浮上したその女性の記憶に誘われて、夫の心は彼女とスイスで過ごした日々、「勇敢」なまでに世間に背を向け、はっきりした目的のある毎日を過ごしていた時へと、否応なく彷徨い出していく。だが、映画が揺るぎなく焦点を当て続けるのは、彼を見つめる妻の心だ。ふたりが出会う前に亡くなった、若い姿のままの、かつての夫の恋人。この年になってもその存在に心をかき乱されるのは、果たして愚かな嫉妬に過ぎないのだろうか。 君を愛していると、君に結婚を申し込んだことは自分が人生で行った最良の選択だと、記念日のスピーチで語る夫の言葉に恐らく嘘はなく、妻もまたそれを知っている。にもかかわらず、彼女が目を逸らすことができないのは、ふたりがともに築いてきた45年間という時間の敗北なのだ。彼女を脅かすのは、若い姿のままで眠っている夫の恋人ではない。決して実現されることのなかった人生、違ったふうにありえた人生の可能性そのものがふるう力を、おそらく彼女自身もよく知っている。写真の中で膨らみかけたお腹を抱えて微笑んでいる若い女の姿は、彼女自身はわがものとしなかった別の可能性にほかならないのだから。その認識に至ったときに、45年間という時の蓄積は、明日からの一日は、もう同じようには見えない。 「煙が目に沁みる」「ハッピー・トゥギャザー」などの1960年代のヒットソングが、最後のパーティのシーンでは、なんと残酷に響くことだろうか。「写真を撮っておけばよかった」という願いは、叶えられた時には正反対の意味をもってしまう。語られる言葉や向けられる微笑みすべてが意味を裏切っていく。口元や目元のわずかな表情の動きでこの繊細で残酷な物語を語ってみせるシャーロット・ランプリングは、美しく緊張感に満ちて見事というほかない。

  • 鑑賞日 2016/8/4

    こわいよ、こわいよ、シャーロット

     70歳になったというのに、凛とした美しさが少しも揺るがないシャーロット・ランプリングの、その唇がぎゅっと閉じられたり、あるいはちょっとゆがんだり、その視線が冷ややかにこちらに向けられたり、その眉が小さくぴくっと動いたり、わずかな表情の動きだけで見事に心の内を表現して、観ている私の背筋がうすら寒ーくなってくる。もはや、こうつぶやくしかなかった。「こわいよ、こわいよ、シャーロット。もう許しておくれ!」 肝心の旦那の方は、一番近くにいるくせに、それに気がつかないのか、ノーテンキに昔の日記を読み耽ったりしている。  『さざなみ』という邦題は、中身をうまく捉えているけれど、原題はと言えば、そのままストレートに ”45 YEARS"" である。結婚45周年の記念パーティーを週末に控えた、優雅な老後生活を営む老夫婦のもとに、月曜日に一通の手紙が届く。そこに書かれていた事実から、夫婦の間に音もなく『さざなみ』が立ち、やがてふたりの関係が決定的に揺らいでしまう一週間となる。  うーん、できれば観たくなかったなあ。私たち夫婦ももうすぐ結婚40年を迎えるのだが、観ているうちに、いやーな感じが付きまとってくる。手紙の中身はと言えば、山で遭難した夫の元恋人の遺体が50年ぶりに氷漬けで発見されたというのだ。そこから夫は、昔の恋人の記憶に取り憑かれたように夢中になり、一方妻は、この世に存在しない女への嫉妬の炎をメラメラと燃やし始める。おいおい、シャーロット。相手はとっくに死んでるんだぜ。君と夫が出会う以前のお話だろうに。夫の方はといえば、そんな妻の内心をそれほど深刻とは思ってないようで、こちらはハラハラしてしまう。  記念のパーティーでスピーチする夫は、感激のあまり泣きながら「愛してるよ」なんてほざいていたけど、それを聞いた妻の顔をちゃんと見たのかい。ラストに流れるプラターズの『煙が目にしみる』が胸にも沁みた。

  • 鑑賞日 2016/5/10

    男性は昔の思い出をきれいなまま残しておきたいものなのかもしれない。氷河に閉じ込められた婚約者はその象徴のように思える。しかし、その氷が溶けたら、そしてそれが結婚45年を経た夫婦の間であったならば…。妻の嫉妬によって微妙に変わっていく夫婦の関係を繊細に描いている良作である。

  • 鑑賞日 2016/7/13

    女の人は、、、

    ラストシーンが印象的でした。ダンスが終わり、さっと手を切るように離した妻。。これからもよろしくとスピーチで語った夫。 パーティー会場か、帰宅してからか、それとも黙って家を出ていくのか

  • 鑑賞日 2016/6/23

    トラファルガーの戦いの戦勝記念パーティが行われているとき、ネルソン提督は死んでいた。結婚45周年記念パーティが行われているとき夫への愛は失われていた。

  • 鑑賞日 2016/6/10

    男と女

    つれあいは夫の気持ちが良くわかると申しておりました。男にとって、昔の彼女はいつまでもファイルされていて、美点だけが思い出になるそうな^^; 私は全てデリートする方で、過去なんざどうでも良いのですが。妻であるシャーロットが不安になり、苛立つのは子供がいないからかな? ヤキモチやくにはショボい旦那だなぁと思っていたら、やっぱり最後の妻の表情は冷めてましたねぇ〜。男性には肝の冷える映画だと思います。それにしても、シャーロット・ランプリング!ただの散歩ですら大きな犬を従えて、立ち姿、歩く姿勢のかっこいいことこの上なし。シワがあってもたるみがあっても毅然とした美しさは憧れです。

  • 鑑賞日 2016/4/26

    ざわめき立った心はすべてを押さえられないことを語る。。ランプリングの表情は必見の一作!

    アカデミー賞にノミネートされ続ける女性といえば、近年ではメリル・ストリープであったり、ジュディ・デンヂであったりすると思いますが、玄人好みといえば、シャーロット・ランプリングを忘れてはいけないでしょう。同じイギリス人俳優のデンヂとは違って、どこか陰のあるキャラクターを演じ続けるランプリング。本作も、長年教師として勤め、結婚45年の夫ジェフと幸せな引退生活を送っていながら、心に沸き立ったざわめきを押さえられない女性ケイトを好演しています。監督は、「ウィークエンド」のアンドリュー・ヘイ。 万年幸せな生活とは程遠い僕には分からないのですが、何もかも順風満帆な生活を送っている人にとって、その幸せに水を差すような疑念があったとき、それは大昔の些細なことであっても徐々に大きな心の渦となってざわめき立つものなのでしょう。本作では幸せな結婚生活を送っていたはずの夫婦に、突如持ち上がった夫の昔の彼女の存在に、ケイトの心はにわかにざわめき立つ。最初は古い昔話として聞き流していたケイトですが、その日からジェフが見せる奇妙な行動を見逃さずにはいられない。最も、この疑念さえ抱かねば、夫の行動は本当に普段と変わりなかったものと映ったかもしれない。しかし、ざわめき立った彼女の心はそれを押さえられず、夫が隠してきた過去を次々と発見していく。。 全ての行動には、その人の心の姿が反映されているといいます。その中で意識下にあることは何とかコントロールできるものの、無意識にやってしまうことはどうも制御が効かなくなるのが人間というもの。じゃあ、逆に意識外に置こう置こうと思うたびに、逆にそのことが気になって仕方がなくなる。世にいう、スキャンダルの面白さもこういうところに源泉があるのでしょう。本作のケイトのように、学校教師になるほどの聡明な人ほど、そうした心の動揺には歯止めが効かなくなるように思えてもきます。ラストで全てを悟ったケイトが見せる表情は、結婚45周年パーティーというハレの場でも抑えきれない感情がこもっていた。正直、ここ最近観た、どのホラー映画よりも驚がくな表情を魅せる彼女の演技は一見の価値があります。

  • 鑑賞日 2016/6/12

    こんなにも受け手によって感想が変わる映画も珍しいような

    映画や小説の魅力の一つに、年を取ると見方が変わることがあるというのが挙げられると思う。仕事だったり、恋愛だったり、あるいは他の映画を見てからその映画を見ると印象が変わったり…受け手の経験してきたことでその物語のとらえ方が変わったり、時代が変わることで物語を俯瞰して見ることができたり、自分の変化あるいは自分の周りの変化とともにもののとらえ方が変わり、自分の変化を相対化できるのが創作物の魅力だと思う。だからこそ多種多様な感想が生まれるし、多種多様な感想を生み出せる映画は奥行きがあってとても魅力的だ。 この「さざなみ」はまさに人によって多種多様な感想を生み出せる映画だと思う。この映画の原題は「45Years」というものだが、この「45年」をどう捉えるかは観客によって全く違うと思う。自分は今20代独身という状態でこの映画を見たけど、結婚したり、この映画の夫婦のように結婚45周年を迎えたような状態で鑑賞したらどういう感想を抱くんだろう。たどたどしくも泣きながらスピーチをする主人、リクエスト曲を懸命に話す妻、ラストの表情…どれもこれも今自分が感じている複雑な気持ちとは違う気持ちになるんじゃないかな。まさに人によって解釈が変わる映画なのでこの感情を100%理解するのは無理だなと思ったけど、もしかしたら45年後は100%理解できるようになっちゃうのだろうか。いずれにせよまた10年後とかに観たいなと思わせられる映画。まあでも何もしなくてもいつかこの映画を思い出すんだろうな。

  • 鑑賞日 2016/6/6

    さざなみ

    本日2本目〜。 なんというか、いたたまれない話でした。 人が共同生活を送るためには、相手に対しての気遣いやらなんやらが必要なんだろうなと思います。 どちらかがそれを怠った時点で、成り立たなくなる。 ずーっと一緒にいると、相手がどう思うのかとかを考える力が鈍くなるのかしら。 見てて、あー、噛み合ってないなーと寂しくなる映画でした。 奥さんは、家庭という自分のテリトリーに異物が入ってきてつらい。 旦那さんは、過去の美しいものが目の前に蘇ってきて、それが愛しい。 どっちも分かるんだけどなぁ。 私なら、どうするだろうと考えてしまいました。 相手に敬意を持って尊重する。 当たり前なんだけど、意外と難しいんだな。

  • 鑑賞日 2016/5/29

    シャーロット・ランプリングの演技がすごい

     イギリス映画。ジェフとケイトは結婚45周年のパーティーを週末にひかえている夫婦で、子供はおらず仕事も引退していた。そんな週初めにジェフにスイスからイッツの手紙が届く。スイス警察からで氷の下に50年以上前クレパスに滑落したジェフの当時の恋人カチャが見つかったので遺体の確認に来てくれというものだった。それ以来ジェフは足腰が弱っているにもかかわらずスイスの氷河へ行こうとしたり、過去の思い出に浸ることが多くなり、そんな姿を見るケイトは夫への愛に不信を抱き始め存在しないカチャに嫉妬を抱くようになる。そしてカチャが事故死しなければ彼女と結婚していたというジェフの言葉に失望を抱くのだった。ジェフは、今はケイトを愛していると自分では思っているが、ケイトの心が離れて行くのに気づいてはいなかった。パーティは無事に執り行われたが、ケイトの心はジェフのそばにはもういなかった。  過去に囚われるのは男だけではなく女も囚われるものだったか。過去に思いを馳せる夫を見て、過去に嫉妬し夫を愛する気持ちが揺らいでしまうというのはこれまで過ごしてきた45年の年月よりも重いものなんでしょうかねえ。夫の方はその45年の歳月があるから安心して過去を振り返っているようにも見えましたがね。イギリスでは結婚45周年って普通に祝うものかと思いましたが、劇中でも会場係から何で半端な45周年と訊かれていたように、実際には40周年が普通のようでした。丁度40周年の頃、ジェフが心臓の手術で闘病中だったので45周年にしたということでした。シャーロット・ランプリングの微笑みがはじめの頃と最後の方で全然違う表情になっていたのは、さすが大女優ですね、ケイトの心情を些細な表情とか振る舞いでしっかり表現していました。彼女の演技を見るだけでもこの映画の価値はありましたね。そしてイギリスの曇天で田舎町の活気のない雰囲気ってのがケイトの心情をあらわす風景でした。それにしてもイギリスやアイルランドの田舎で明るい映画ってあったっけかなあ。

  • 鑑賞日 2016/6/1

    男性にとってはホラー映画

    何気ない言動に潜む亀裂。男はその亀裂に気づかない。修復不可能な状態になっているなんて考えもしない。帰宅してから妻の様子をじっと見る。大丈夫か、俺。

  • 鑑賞日 2016/4/17

    主演女優賞もの

    「愛の嵐」の女優と「長距離ランナーの孤独」の男優による老夫婦映画は、結婚45周年を祝うパーティーが無事執り行われたという意味で、収まるべきところに丸く収まった美談のように見せて、パーティーに集まった友人たちには決して見せなかった、主演女優独特の、あの哀しみや絶望、諦めを湛えた目の力を、観客にはしっかりと印象付けたのであり、その目ヂカラは確かに主演賞ものだと思え、彼女を2015年の主演女優賞候補者に選出した(最優秀賞は「ルーム」の女優に譲ったとはいえ)米アカデミーの協会員は間違っていないと思いました。

  • 鑑賞日 2016/5/21

    シャーロット・ランプリングのための映画

    米国アカデミー賞の主演女優賞にシャーロット・ランプリングがノミネートされたことで、この映画の存在を知りました。 この映画はシャーロット・ランプリング扮する妻の気持ちと行動を丁寧に追いかけていく映画です。 ですので主演といえるのは彼女だけ、夫との会話も複数の人がいるときもカメラは彼女をとらえています。 イギリスの田舎で45年間連れ添って週末に記念のパーティを開こうとしていた夫妻。学校の先生をしていた妻は、今は気難しい夫とある意味達観して暮らしていた。そこに夫がはるか昔に付き合っていた彼女の遺体が、クレバスの中で見つかったという連絡をもらいます。 夫は確認に行きたいらしい。そわそわし始め、何かしら気持ちが動いている夫に妻は気づき不安を感じているようです。。 そこからその不安が何かさざなみのように彼女の心を揺らしていくさまが丁寧に描かれます。 夫にとっては些細なことでも、子供も作らず夫と暮らしてきた妻には、それはある種裏切りにも見えるようです。 何かみているとだんだん苦しくなってくる気がします。 昔の女を忘れられない、また老いが進んでいて頑固さに拍車がかかっている夫の姿は、見てていたたまれなくなりました。 シャーロット・ランプリングは「愛の嵐」や「スイミング・プール」などと同じく、このような不安で気持ちが揺らぐ演技をさせたらすばらしい輝きをみせます。 夫役のトム・コートネイは老いていっている男をうまく演じています。これもS・ランプリングを輝かせるためには効果的です。 やはり、これはS・ランプリングを見せるための映画のようです。

  • 鑑賞日 2016/5/9

    結構多くの夫婦にありがちなこと

    結婚45周年の夫婦の元に旦那の50年前に生き別れた恋人の遺体発見の報せが入り、夫の心に恋人に対する懐かしくも愛しい感情が沸き起こり、そんな夫と恋人に嫉妬していることに気付く妻、という熟年夫婦のそれぞれの心情を描いた作品で、お祝いの祝賀パーティの準備をしながら、妻は動揺を抑えることができずにいて、夫は思い出に浸ってそんな妻の気持ちに気付かない、という心理は、このような特殊な状況での六日間を、長年連れ添った夫婦の積年の感情を凝縮して描いているように思えて、こういうところからいわゆる熟年離婚なんて起こるのかな、と思いましたね。それにしても、自分の中だけで思いを完結させてしまう夫の姿というのは、外での仕事などの業績をいつまでも自分の誇りにして、長年連れ添った妻を当たり前にいる存在として、気持ちを感じ取ろうとはしない、ということが、結構多くの夫婦にありがちなことに思えてきて、観ていて肝に命じておきたくなりましたね。

  • 鑑賞日 2016/5/26

    じわりじわりとさざなみが立つように

    原題は「45years」 なかなか良い邦題だと思う。 結婚45周年のパーティを目前に、夫のかつての事故で亡くした恋人が氷河の中から発見されたという連絡が入る。長年連れ添ってきた夫婦関係が、じわりと歪んでいく。ほんの少しの些細なことが少しずつ生活や想いを侵食していく。 終わり方が秀逸。パーティで離れた心が縮まるのかと思いきやのあの行動。そして暗転。 この後どうなるんだろう。はらはら、にやにや、いろんなことが想像できて良い終わり方。

  • 鑑賞日 2016/5/24

    女はどれだけ歳をとっても、女であることをやめられない。 どうしようもできない自分の心に、余計に苦しくなってしまう。 二人の間の亀裂は、もう二度と埋まらない。 でも、彼は、あのスピーチで全て解決したと思ってる。 女は聡いから、きっとこれからも彼は気づかない。 虚しい、冷め切った生活を死ぬまで送ることになる。 ぞっとするなあ。 シャーロット・ランプリングが確かに素晴らしい。 彼女のキリッとした姿が、苛まれていく感情をより強く感じさせる。 立ち尽くした後ろ姿、ぎゅっと握った右手。 他の作品も見てみたいと思った。 平々凡々を体現したトム・コートネイも流石。 罪のないその言動が、まあ小憎たらしい。 男って、とことん愚かだ。 人と人が理解し合えるなんて、幻想だ。 まして男と女でなんて、絶対にあり得ない。 だから、45年を積み重ねようが、そこに何の保証もない。 そういう割り切りって必要だよね。 7日間の感情の動きを静かに描いた秀作だと思う。 〈パンフレット〉★★☆ B5縦、カラー、20p、700円 彩プロ/発行、大竹久美子・彩プロ/編集、大寿美デザイン/デザイン イントロダクション ストーリー 監督インタビュー エッセー/渡辺祥子、齋藤薫、オリジナルプレス資料から プロフィール/シャーロット・ランプリング、トム・コートネイ、アンドリュー・ヘイ監督 鑑賞コメント

  • 鑑賞日 2016/5/20

    彼女のスナップのスライドが物語るもの

    あなたは生きている。一緒に過ごした時間、現実にあることが素晴らしい。と、ケイトを励ましながら、みていた。 だけど、屋根裏で彼女のスナップのスライドは物語っていた。何枚も何枚も同じポーズ、同じまなざし。ケイトや私には見つけられないスナップの小さな違いがジェフにはわかるはず。濃密な記憶が残っている。過ごした時間だけでは測れない。彼女は特別だ。ジェフとケイトの写真が少ないことも苛立ちに拍車をかける。 結婚45周年の祝賀パーティー、ジェフのスピーチはみんなが望むような内容だった。ジェフが語った内容は本当のことだろう。しかし語られないもっと大きな思いがあるのではないか?ケイトはダンスを踊り終えて、つないでいた手を振り払った。

  • 鑑賞日 2016/5/21

    「水」をキーワードに夫婦を丹念に見つめた演出力

    非情に静かな物語であるが、一度抱いた疑念は45年間の互いの信頼にヒビを入れ、まるでダムから徐々に水が溢れ出し修復不可能なほどに決壊へと向かっていく様が丁寧に描かれる。シャーロットランプリングの表情による演技と、「水」をキーワードに邦題通り「さざなみ」がうねりを上げていく様を丹念に見つめた演出の勝利。見ごたえたっぷりである。

  • 鑑賞日 2016/5/20

    気づかない夫がもどかしい

    ”さざなみ”という邦題がぴったりの、妻の心のざわつきが次第に増幅されていく様子が静かに描かれていて最後には緊迫感すら漂ってくるが、気づかない夫がもどかしい。C.ランプリングがとにかく素晴らしい、表情、スタイル、仕草、そして演技。

  • 鑑賞日 2016/5/19

    「夫婦」であるとはかくも難しい

    よく見る映画レビューブログで紹介されていて、気になって10年ぶりぐらいにシネスイッチ銀座で鑑賞。 45年間も一緒にいて、幾度も大きな波を乗り越えてきたのに、さざなみのような感情は少しずつ砂浜を掻き取り、やがて地形すら変えてしまう。 最後のスピーチにきっと嘘は無い。だが今の妻を見てはいないのだ。だから最後のダンスシーンに繋がる。秀作。

  • 鑑賞日 2016/5/14

    さざなみというタイトル、お見事

    夫の元に届いた一通の手紙が事の発端となり 妻の嫉妬、疑念、戸惑いを呼び、二人の関係が大きく変わっていく。 月曜日から始まり、結婚45周年のパーティがある土曜日までを映し出す映像からは、主演女優の圧巻の演技が観れる。表現力が豊かだった。 そして、最後のパーティのシーン。 人それぞれだと思うけど、どう思ったのかっていうのはすっごく気になる映画でした。 面白い!!

  • 鑑賞日 2016/5/8

    もう、たくさん...

    舞台となる英国の静かな田舎町のたたずまい。結婚何年目かを祝うパーティを目前に控える1週間の物語。そして、唐突に夫の元へと舞い込む「昔の女」についての知らせ。長い年月を夫と平穏に過ごしてきた妻の心のゆらぎを描くに、本作のお膳立ては最初からつくり手の意図が過剰に見え過ぎる観もなかった。ただ、丁寧で細やかな夫婦の日常描写の積重ねとS・ランプリングのデリケートな表情変化による演技が観る者を画面に引き付ける。ラストショットは「ははあ、こうなるか」と思ったが、けっこう衝撃を受ける諸兄も多かったのでは。 同じランプリングが、長く連れ添った伴侶をある日忽然と失ってしまう初老の妻を演ずる "まぼろし" と見較べると湧き上がる興趣の底はさらに深くなるやも知れない。

  • 鑑賞日 2016/5/7

    昔話

    幼い頃父親に、アルプスの万年雪に落ちてしまった婚約者を待ち続けた男の話を聞いた。 万年雪は少しずつ移動し、男が老人になった頃、氷漬けとなった婚約者が若く美しいまま現れる。 ロマンティックな話だなぁと今だに覚えていたけれど、 待ち続けた男の、その妻となった女の人生とこんなところで出会おうとは。。。 45年間連れ添った夫婦の心情というのがまず私には遠い。 だが、ラストシーン、夫の手を振り払わずにはいられなかった妻の心情はなんとなく分かる。 追憶に溺れる夫の無神経な話も耐え難いのに、若く美しいまま逝った女性の姿を、その幸福をみてしまったら。。。 シャーロット・ランプリングはさすがの凛々しさでした。

  • 鑑賞日 2016/4/27

    「45年間」か、「さざなみ」か

    結婚45周年の記念パーティーを控えた夫婦に突然届いた夫の昔の恋人の消息についての手紙がもたらす波風、その後の一週間を描いた作品です。 シャーロット・ランプリングがアカデミー賞に初ノミネートされたということで注目されていたためか、映画館は大入りでほぼ満席でした。 結婚45周年のパーティーを結婚披露宴並みに盛大に開くという、日本ではあまりない風習といい、熟年夫婦の間の嫉妬や愛情表現といい、日本の熟年夫婦のありかたとはずいぶん違って見えました。 昔の恋人が亡くなっていたなら、ときどき思い出して懐かしんだりするのは自然なことだと思います。 もうすでに亡くなってしまった人に対して嫉妬する、という気持ちが起こるものなんでしょうか? そういう立場に立たないとわからないでしょうが、自分だったらそうはならないような気がします。 相手は亡くなっている人だし、そっと心の中で手を合わせる気持ちにならないものなのでしょうか? 感じ方は人それぞれですけれど。 ここで「さざなみ」が立たないことには、この作品自体が成り立たなくなってしまいますね。 でもやはり、現実の強み、というか、45年間の夫婦の歴史があるのです。 その歴史を否定することはできません。 この作品のような嫉妬に限らず、夫婦の歴史の中でいろいろな「さざなみ」が立ったとしても、です。 誰だって、現実に縛られて生きているんです。 主人公も、それを受け入れるしかないのでしょう。 ラストシーンで夫と妻の感じ方の違いが見えるのが興味深いところでした。 原題が""45 YEARS""で邦題が「さざなみ」です。 原題は夫婦の45年間のことを、邦題はその中に起きた波乱のことを言っているので、 原題と邦題では、どちら側に重点を置くのかの見方が逆のようで、面白いと思いました。 いかにもイギリスという風景の中に夫婦の生活が溶け込んでいるさまが美しかったです。 シャーロット・ランプリングといえば、「愛の嵐」のときのセクシー衣装が真っ先に思い浮かびますが、 今もスタイル抜群で、美しく歳をとった女優さんだと思いました。

  • 鑑賞日 2016/5/4

    実に魅力的なランプリング

    夫婦の関係に「さざなみ」がたつのは、必ずしも本作のようなリマインダーをきっかけとするばかりではないだろう。夫婦どちらかが気づかずある日突然に堰を切ったように訪れることもあるだろうから決して他人事とは思えない。「一体どうなるんだろう?」観賞の動機はこれだったのだが、それも忘れて今年70歳となったシャーロット・ランプリングの飾り気のない美しさと物静かな表現力に完全に魅了された。 今も変わらぬスレンダーなスタイルから日常を表現するため身に纏う普段着といったファッションまでともかく素晴らしい。中でも今回目をみはるのは静謐かつ繊細な感情表現。スイス山中の氷の中から結婚前の夫の恋人の遺体が発見された。事実を知った日から、週末の結婚45周年祝賀パーティーまでの間の彼女の表情が感情に合わせてどう移り変わっていくのか?静かな中にもきめ細かく演じ分けられていることがわかる。それをキャメラがアップでじっくりと観察するように彼女の顔を捉えていくのが実に圧巻で戦慄のラストを説得力あるものにしている。 夫役トム・コートネイの自分の世界しか見えていない姿は無神経というよりも醜悪。彼にとってはランプリングの存在は、あまりにも日常的すぎて眼前の妻の姿が見えていない。空気のような存在といえば聞こえはいいがそういうことではない。観ていて「自分もそうではないか」と自責の念に駆られた。 全編にわたり夫婦の暮らすイギリスの片田舎の静かな風景が挟み込まれる。この静かな光景が逆に大人であっても穏やかではいられない心理状態(邦題は、まさにこれを意味しているのだと思うが)をより一層際立たせる。彼女の心理とは裏腹に表向き静謐な作品に仕上げられているところが、観る側にとって見終えた後で身震いさせられるゆえんとなっている。

  • 鑑賞日 2016/4/30

    人生経験の厚みか生活臭か

    シャーロットランブリングの演技が絶賛された映画。 結婚45周年を直前に控えた老夫婦。旦那の昔の恋人の遺体が50年ぶりに発見された事で、旦那は想い出にひたりきって奥さんとの話はその事ばかり。それでいて奥さんの事を愛していて。 よくある情景なのかもしれないけど、おっさんダメすぎ。なんでこんなじーさんの面倒みてるんだろと。 長年暮らしてると愛情も恋愛感情から変わるのだなとは思う。男性は妻に母親像を求めるのかなあ。女性は現実的。 多分現実に結婚生活を送ってると単純に軽蔑とかアホとか思えないんだろうなあと。それがオトナの演技で上品に演じてるとちゃんと映画になるんだと思った。

  • 鑑賞日 2016/4/21

    結婚45年、残酷な本音

     ケイトはダンスの手をジェフから振りほどいた。けがらわしいものを払うように。嫉妬の炎が噴き出す。鬼気迫る表情に心が凍りついた。「君と結婚できたことが、僕の人生で最高の選択だった」。涙で声を詰まらせたジェフのスピーチで、結婚45周年の幸福感が最高潮に達した直後だった。衝撃の暗転。重すぎる結末が偽りの愛を無慈悲に打ちのめす。  老いと孤独。陰影の中にシャーロット・ランプリングの存在感が美しく際立つ。抑制の利いた静かな表情に、複雑で微妙な心の変化がにじみ出る。年輪を刻んでなお輝く優美な気品にため息が出た。トム・コートネイとの競演は上質で豊かな味わいを生み出す。  45年の結婚生活が、わずか1週間で崩れ去っていく。さざなみが次第に大きなうねりとなって防波堤さえ越えていくように。静かな映像に監督アンドリュー・ヘイの美意識が光る。  「僕のカチャ」。夫のひとことに、妻の嫉妬がめざめた。無防備な夫はそれに気づかない。27歳のときのまま山の氷河の中に凍りついた恋人の亡霊が、ふたりの心をかき乱す。  夜。ジェフは突然、ケイトの体を求めた。かつての恋人の面影が、忘れていた激情を呼び起こした。妻の体を抱いているのに、心の中に見えるのは昔の女。男のわがままをえぐり出すこの場面は、男にとって痛すぎる。すべてを察し、そしらぬ顔で受け入れる妻の氷のような冷たい表情にぞっとした。  屋根裏で見つけた古いスライドを見るケイトの顔が悲しみと苦痛にゆがむ。昔の恋人の輝くような若さと向き合うアングルが印象的だった。  深い嫉妬に、妻の心はめざめた。しかし夫は眠りつづけ、過去の甘美な夢の世界だけに迷い込んでいく。  「彼女が生きていたら結婚していた?」  「そのつもりだった」  夫の本音が、妻の45年をすべて否定した。愛の亀裂が足元をすくう。行き場を失ったジェフとケイトの姿がいつまでも胸を締めつけた。

  • 鑑賞日 2016/5/1

    45年

    夫の若い頃の彼女の事など、そんなに気にしなくていいのに。 自分だっていろいろあっただろうに。 それよりも、彼は彼女を選び、45年もの間夫婦を続けてきたことにもっと自信をもっていいと思う。 シャーロット・ランプリングといえば「愛の嵐」を思い浮かべてしまうけれど、年は取ったけれどスタイルもよく、美しい70歳だと思う。

  • 鑑賞日 2016/5/2

    夫婦間では時効は成立しない。

     夫の軽率な態度が妻を傷つけ、45年間の夫婦関係に大きな亀裂ができてしまう。男にとっては過去の恋愛は青春の記憶のひとつであって、妻とは直接繋がりのないことだと思っていることが、妻にとっては自分がないがしろにされたように感じてしまう。男女間の認識の違いが妻の最後の行動になって表れる。恋愛問題に限らず、夫婦間の認識のずれはいろんな場面で生じる可能性があるわけで、他人ごとではない怖さを感じた。ちなみに映画を観ている時には、奥さんが屋根裏部屋の写真を見て腹を立てた理由が私にはよく分からなかった。後になって写真の意味が分かって初めて彼女の最後の行為が理解できた。情報は最初に開示すべきで、後になるほど厄介なことになる、という教訓でした。

  • 鑑賞日 2016/5/1

    バツの悪いエンディング

    半世紀近く前にスイスの氷河に落下する事故で亡くなった恋人の遺体発見を知らせる手紙が結婚45周年を迎える夫のもとに届き、その瞬間から平静でいられなっくなった妻の胸中を描いた恋愛ドラマ。ある種の心理サスペンスの趣さえあった。 真夜中に屋根裏部屋の昔の写真を探し回る夫を見つけ、不意に大声をあげてしまう妻、さらに夫の留守中ネガを見つけ壁に事故死した恋人の姿を投影させる妻、旅行代理店を訪ねては夫がスイス行きのチケット買っていないか問い合わせる妻、このあたりの行動は明らかな嫉妬心である。一度もあったことのない女性、しかもすでに亡くなっているにも拘わらずその人に嫉妬心をもっている・・・。人間の記憶や感情は時間とともに薄れたりぼやけたり時には真実と違う方向に向いたりするものだが、この妻の嫉妬心は決して夫への愛情の裏返しではなく一人の女性への真っすぐな対抗心という点で強烈であった。 結婚45周年を祝うパーティー会場でスピーチし、感極まって泣き崩れる夫。その横で妻はどこか寂しそうでどこかバツが悪そうな表情を見せる。そしてジエンド。劇的な幕切れではなかったが、長く引きずるような後味の悪さが特徴的なエンディングだった。

  • 鑑賞日 2016/4/22

    45年間

    原題の方がいいなあ。結局さざなみは立たないのだもの。レビューの方々は深読みしすぎ・・・。思い出は甦るものの、ただそれだけでしかない。もうどうしようも出来ないものだもの!

  • 鑑賞日 2016/4/27

    凍りついた愛

     結婚45周年を迎える夫婦に届いた一通の手紙が、夫婦の関係を波立たせていく。手紙は、50年以上も前に死んだ、夫の昔の恋人の遺体が氷山の中から発見されたことを知らせてきた。手紙の内容こそ衝撃的だが、手紙が届いたこと以外は特段に何も起らない。一見すると、夫婦の穏やかな日常が、一日一日、日記のページをめくるように綴られているかに思える。毎朝、朝靄がかかったような屋外の光景が映し出されて始まるのが印象的だ。しかし、夫の心は静かに波立ち、夫の変化に気づいた妻も、最初は平静でいようとするが、次第に苛立ちを高じさせていく。主人公である妻の心の動きが緊迫感を持って描写されていて、引き込まれた。  挿入曲はストーリーに寄り添うように用いられているが、背景音楽となる曲はかからない。川の水音、風の音が、妻の心のざわめきを表わすように聞こえてくるのが効果的である。  「ゴーンガール」や「フレンチアルプスで起きたこと」に連なる、夫婦や恋人同士で観ると気まずくなりそうな映画である。どこの男女の関係にも起こりうる、ささいなことから広がっていく亀裂。その描写がリアルで、身につまされて、面白い。どの映画でも、男があまりに無防備だ。本作では、夫婦が思い出の曲でダンスを踊った夜、その後の夫の行動に、それはないだろう、と思ってしまった。  50年以上も前に死んだ女に嫉妬するのは、ばかばかしい。妻は、そう思いながらも、結婚45周年を人前で祝うパーティを間近に控えているというのに、夫の気持ちが氷山の中で凍りついた女のもとにあることが許せない。ついに夫に怒りをぶつけるが、その後の夫のフォローがあまりにもしらじらしく思える。クライマックスのパーティの場面では、鳥肌が立ちそうなくらい、心が凍てついた。  少ない台詞で、非常に生々しい人間の感情を静かに、しかし、スリリングに描いた、脚本と演出が光る。主人公を演じたシャーロット・ランプリングが素晴らしい。

  • 鑑賞日 2016/4/25

    女優の表情が物語る

     長年連れ添った相手が若き日の美しい記憶を持ち続けていた。そんな程度の秘密はどこの夫婦にも当てはまる。ただ、お互いにそのことには触れないようにしているという、世界中の夫婦が持っている知恵を、映画に登場するこの夫婦も持ち合わせている。  しかし、アルプスの氷河の下から遺体が発見されたという、一通の知らせにより、それを秘めておくことが出来なくなってしまう。  良き妻、温かき人、社交的な常識人を演じるシャーロット・ランプリングの表情が、そんな表情の合間に嫉妬で凍りついていく。  スライド写真で、夫の昔の恋人の腹部が膨らんでいるのを見たときの表情、説明的な台詞を吐かせることなく、この妻の心境の変化を語り尽している。  そして、ラストのシーンでは、彼女は夫と繋いだ手を決然と降ろす。残された夫婦の時間を、これまでとは全く異なる心境で過ごすことになることへの覚悟を決めた女の表情に圧倒される。  邦題の「さざなみ」どころか、45年間堆積したものを一気に流し去る津波である。

  • 鑑賞日 2016/4/24

    恋敵は永遠の20代。

    結婚45周年を迎える夫婦に、夫の昔の知人の遺体が発見されたとの知らせが。知人とは、恋人のこと。遭難した雪山の中、発見された姿は死んだ当時のままらしい。夫の心の中に住む恋人は、冷凍保存されたかのような永遠の20代だ。これは妻にとってなかなか勝てない戦いである。妻の微細な心の動きをランプリングが、表情だけで雄弁に表現しきっている。

  • 鑑賞日 2016/4/22

    男と女

    ヤバい!この夫婦。何も解決してないよ! 男と女。 嘘を突き通す優しさを知らず、自分だけが楽になる夫。怒り、哀しみを心の内に秘めたまま、それでも幸せな女を演じたい妻。 男と女。 いくつ歳を重ねても男と女は平行線なんだなぁ。 「物語」を楽しむではなく「心の機微」を感じとる作品。 ランプリングの演技がなるほど確かに素晴らしい。美しい風景と素敵なインテリアも見応えあり。

  • 鑑賞日 2016/4/22

    愛の物語に「ハッピーエンド」はあるのか?

    例えば若いカップルが苦難を乗り越えて、めでたく結婚。これは「ハッピーエンド」なのか?答えは「NO」だ。ここから再び物語は始まり、そうして45年も連れ添った熟年カップルに破局の危機をもたらしたりする。 イギリスの田舎町に暮らすジェフとケイトのカップルは、5日後の土曜日に結婚45周年祝賀パーティーを控える熟年夫婦だ。子供はいないが、互いに仕事をリタイアし、悠々自適に毎日を過ごしている。ジェフは数年前に心臓のバイパス手術を行っているが今は回復し、静かで満ち足りた生活を送っている。ケイトは毎朝愛犬と散歩に出かけ、自分の青春時代だった50年代のポップスを口ずさんだりする。ふたりは互いのことを熟知している。ケルレアックやキルケゴールなどが会話の端にのぼるような知的でセンスの良いライフスタイルだ。まさしく「理想の夫婦」とは彼らのことだ。そう、ジェフの元にある1通の手紙が届くまでは・・・。 それは、ジェフがケイトと知り合う前に、山岳事故で行方不明になった当時の恋人の遺体が、数十年たって発見されたため、その確認に来てほしいというスイス警察からの手紙だった。これによってジェフの心は、一気に若かりし日々の想い出に支配される。「僕のカチャ・・・」何気なくつぶやいた一言に、ケイトは敏感に“何か”を察知する。もちろんケイトは前に、そのことをジェフから聞いてはいたが、詳細は知らなかった。ケイトにはとっくの昔に過ぎたことだ。だが夫にはそうではなかったの・・・か・・・? カチャは氷河の奥に閉じ込められ、当時の若々しい姿のまま、スイスの山に眠っている。ジェフはこのロマンティックな感傷に浸り、自分がカチャとの想い出を語ることに全く悪気はない。しかし、その感傷がケイトをイラつかせる。この時点で二人は「夫婦」ではなく「男と女」となる。 ジェフは、それからソワソワと落ち着かず、夜中に屋根裏でカチャの写真を探したり、旅行会社を訪ねたりする(心臓の悪い自分がスイスの山など登れないと分かっていながら)。ケイトの心に芽生えたカチャへの嫉妬心。死んだ女、若いままの女、ジェフが結婚を約束した女・・・。 ケイトを演じるシャーロット・ランプリングがとにかく凄い。ふつふつと湧きあがった嫉妬心から夫への不信感を募らせる様を、ごくごく微細な変化で表現している。彼女が船上で河の流れを見つめるシーンの表情がなんとも言えない。心がざわめき、それが徐々に波立ち、広がり、いっぱいとなる心情の変化を、ほとんど無表情なのに確実に観る者に訴える。45年の月日が、あっと言う間に砕け、目の前の夫が“知らない男”になっていく。 ジェフはこの間、ケイトのことをないがしろにした訳ではない。ケイトに対して、「正直」に(誠実に)自分の想いを伝えたまでのことだ。だがいくら夫婦だからといって、何もかも打ち明けることが果たして誠実なのだろうか。「正直」であることが、どれほど相手への思いやりに欠けることか!だがジェフは、ケイトの変化には気付かない、45年も連れ添った夫婦なのに・・・。ある夜など、ケイトとの思い出の曲をかけて、ふたりであの頃のようにダンスをしたり、その甘いムードの流れに勢いづいて、久しぶりの愛の行為に突入したりもした(いかんせん年齢が年齢なのでうまくは行かなかったが・・・)。ケイトも一瞬甘いムードに流されてしまったが、その後夫がコソコソとカチャの写真を探していたりしたため、ぶち壊しになってしまった。 夫の留守中、たまらず屋根裏でカチャの写真を探すケイト。大切にしまってあったスライドに映し出される、ケイトの知らない「カチャ」という女の姿。それは幸福そうに微笑む「妊婦」の姿だった・・・!この事実にケイトは打ちのめされる。自分に子供はない。女として、妻として、完璧な敗北を喫してしまった。あのままカチャが生きていたら、ジェフは彼女と結婚し、子供のいる幸福な家庭を築けるはずだったのだ。本当にジェフは“そのつもり”だったのだ。 パーティー当日、ジェフはケイトにネックレスの贈り物を用意していた。しかしケイトは夫への贈り物として考えていたスイスの高級時計をどうしても買うことができなかった。ケイトへの感謝をスピーチするジェフは、途中で感極まって涙ぐみ、二人を祝福するために集まったゲストたちの涙と拍手を誘う。たしかに、この1週間の出来事がなければ、それは感動的なスピーチだったかもしれない、しかし今のケイトにはそらぞらしいだけだ。二人の思い出の曲でのダンスタイム。『煙が目にしみる』の甘くムーディーなメロディーにあわせて、得々と悦に入り、ノリノリで踊るジェフに対し、夫への激しい拒絶感にみまわれるケイト。それは、カチャへの嫉妬か、45年の結婚生活の虚しさか、夫への不信感か、それとも裏切りに対する憎悪か。ついにケイトはジェフの手を振りほどく。ラストシーンの彼女の貼りついたような表情の恐ろしさに思わず慄く。 愛の物語に「ハッピーエンド」はあるか。少なくともジェフとケイトの45年の物語に「ハッピーエンド」はない・・・。

  • 鑑賞日 2016/4/19

    幸せが崩れ始める

    ランプリングの姿勢の良い立ち居振る舞い。幸福が表情だけでなく体全体で表現されている。それが徐々に不信が覆い始めると姿勢が崩れ始める。言葉ではなく、体で表現する作品であった。

  • 鑑賞日 2016/4/21

    さざなみ、どころか大津波!

     45年間連れ添った最愛の夫に秘密があった。夫婦は他人同士だから、互いに墓場まで持ってゆく秘密の一つや二つあったとしても問題ない。しかし、その秘密が中途半端に開示された途端、それは夫婦の間にさざ波のような揺らぎをもたらす。この映画の夫婦、ジェフとケイトの間に起きたさざ波は、二人の愛の深さゆえに大津波となった。   ジェフはケイトに、二人の結婚前の恋人カチャとの秘密を隠していた。その彼女が、アルプスのクレバスに落ちたまま50年を経て見つかったとの知らせに、ジェフは驚く。しかし、ケイトとの45年間は揺るぎないものだと思うからこそ、正直に、「もしカチャが生きていれば結婚していた」と言ってしまう。ケイトにとって、さざ波のような彼の言葉は、やがて彼女の心の渚に激しく襲いかかることになる。  ジェフとケイトには子供がいない。だから二人の家の居間には、子や孫の写真が飾られていない。ケイトは時々それが寂しいと思う。ジェフが深夜ひそかに屋根裏に上がり古い写真を見ていることに気付いたケイトは、写真を見たいと思う。そこで見たものは、夫が隠し続けていたかつての恋人の妊娠した姿だった。  カチャがアルプスで死ななければ、自分はジェフの妻にはなれなかった。しかも、自分が叶えられなかったジェフとの子もカチャは儲けていた。45年連れ添った果ての、この敗北感に、ケイトは打ち拉がれる。  ケイトは、ジェフとカチャの秘密の核心部分を知っていることを、夫には告げなかった。告げればもう、二人の築いたものは音を立てて崩れるに違いないと思った。ジェフは、その核心を隠し通せたつもりでいる。いつだって男は女より単純だ。  結婚45年を祝うパーティーで二人は踊る。さざなみは引いた、二人の愛は深まったと、感謝の気持ちでいっぱいのジェフはケイトの手を取って高く掲げる。しかしケイトは、その手を離し、暗い表情で顔を背ける。何十年連れ添おうとも、夫婦は他人なのだ。

  • 鑑賞日 2016/4/20

    45年だけど

    うちも20周年です。そろそろ。もし同じようなことが起これば 同じようなことがおこるのではと思います。これが3周年くらい だったとしても同じです。結婚生活の時の重ねとは何なのでしょ う。いえることは長いこと一緒だから、その分、信頼や愛情がふ えるとか、そういうのはないと思います。人の繋りは、意外と 思っている以上に脆いものです。

  • 鑑賞日

    これは記録と記憶についての映画であり、フィルムやレコードが老夫婦のうすれゆく記憶とあいまいな不安にそっとさざなみを立てる。その瞬間の内なる表情を見ようとしている。主演ふたりのさすがの貫禄で全篇を見せきるが、人間の複雑な内面の襞を描くようで、じつはそれをかなり単純化している。このていどの人間理解は平凡だと思う。ふたりの老いかたもずいぶん理想化されていて、理屈で撮られた映画のように見える。シャーロット・ランプリングはときに彫像のように美しかった。

  • 鑑賞日

    学生時代に見た「長距離走者の孤独」でもトム・コートネイは、青年なのに年寄りのような顔つきが忘れられないが、この映画の彼はほんとうの老年で、ちょっとふやけた印象。結婚四十五周年をむかえる夫婦に小さな溝が生じるが、それによる気持のゆらぎをシャーロット・ランプリングが演じることで、静かだがひりひりするような映画的緊張が途切れない。邦題の「さざなみ」は見事に内容を切りとっている。出だしの部分で私は、久生十蘭の短篇小説『白雪姫』をすぐに思いうかべた。

  • 鑑賞日 2016/4/19

    さざ波が集まって津波となる

    結婚45年を迎えるジェフとケイトの老夫婦。独身時代のジェフの恋人の遭難死体が発見されたとの知らせが届き、ケイトは会ったこともない女性への嫉妬に心が徐々に侵され、夫婦関係が危ういものになろうとする。 長い年月をかけて積み重ねた夫婦関係が、ほんの1週間足らずで崩壊してゆく様を、正面衝突で描く訳でもなく、ケイトの過剰な反応や、ジェフの無神経な言葉で、引き返せないような価値観の相違があぶりだされる不条理が静かに恐怖を伴って迫る。 ただ、男の視点から見て、妻のありようを45年も共に暮らしていて気付かなかったのは、あまりに鈍感すぎるのではと思う気持ちがある。

  • 鑑賞日 2016/4/15

    抑制されたタッチ

    長年連れ添った熟年夫婦の日常生活を静かに描きながら、お互いの心の機微を抑制されたタッチで浮かび上がらせることに成功している。シャーロット・ランプリングが知的な女性を好演。

  • 鑑賞日 2016/4/15

    男と女の間には

    深くて暗い川がある、と本作のテーマ曲「煙が目にしみる」よりは「黒の舟唄」を口ずさみたくなる。イギリス郊外に暮らす結婚45年目の、大病後で鬱状態にも見える状態の夫(トム・コートネイ)と彼を支える妻(シャーロット・ランプリング)。スイス山岳事故で行方不明となった(結婚前の)夫の元恋人が氷河のなかに若い時の姿のまま見つかったという新聞記事が、彼らの静かな日々に波乱を巻き起こす。いまは近所の散歩すらしてなかった夫が妙に色めきはじめ、また隠し持ち続けていた元恋人との秘密が顕かになっていく事に、表面上は静かだが不信と怒りの炎を内に燃やしていく妻の姿がものすごくコワい。妻が主導する結婚45周年パーティが開けるかというサスペンスと華やかだが苦い結末も強く心に残る。

  • 鑑賞日 2016/4/13

    精緻な表現

    全体的に大きな起伏が無く、細かく刻まれていきます。シャーロット・ランプリングの表情がすべてを語りますが、それもとても微妙。それを使い分けているのもすごいと思います。最後は明るく終わるものの、ランプリングの表情は微妙。女優の表情で終わる映画は最近キャロルを見ましたが、それとはかなり趣が違います。 人生の一瞬を切り取ったストーリー。これが深い棘として刺さるかどうかは、これからの行動や時間の経過にゆだねられますが、良くも悪くも、45年の生活はいろいろな事件の積み重ねでここまで来たのではないか?と思いました。

  • 鑑賞日 2016/4/9

    煙が目にしみる

    結婚45周年記念パーティーを前に、夫婦の間に産まれる亀裂について描いております。 そのさざなみのように打ち寄せる不安な気持ちを、シャーロット・ランプリングが見事に演じております。 ただ、本作はストーリーで引き付けるものがなく、残念ながらシャーロット・ランプリングの演技だけの映画という印象です。 それでも感情高ぶる場面では「ブラッディ」とか、かなり汚ない台詞も言っており、字幕にならない言葉を聞いているのも面白かったです。 45年以上前の夫の彼女の話が雪融けのように現れますが、話が古すぎてピンときません。 恐らく、ケイとジェフの間に子供がいないことが、本作のポイントではないかと思います。 子供は作らなかったのか、それとも作れなかったのか。 ラストシーンも観客に委ねるようなイメージを持ちましたが、ストーリーが弱く感じ、その後の展開を想像するほどでもありませんでした。

  • 鑑賞日 2016/4/10

    作品紹介1(映画.com)より

    長年連れ添った夫婦の関係が1通の手紙によって揺らいでいく様子を通し、男女の結婚観や恋愛観の決定的な違いを浮かび上がらせていく人間ドラマ。結婚45周年を祝うパーティを土曜日に控え、準備に追われていた熟年夫婦ジェフとケイト。ところがその週の月曜日、彼らのもとに1通の手紙が届く。それは、50年前に氷山で行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたというものだった。その時からジェフは過去の恋愛の記憶を反芻するようになり、妻は存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく。「スイミング・プール」のシャーロット・ランプリングと「カルテット!人生のオペラハウス」のトム・コートネイが夫婦の心の機微を繊細に演じ、第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をそろって受賞した。 さざなみ 45 Years 2015年/イギリス 配給:彩プロ

  • 鑑賞日 2016/4/9

    妻が夫に抱いた不信の念の原因

    英国の田舎町に暮らすジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)のマーサー夫妻。 ふたりは45年連れ添っているが、ふたりの間に子供はない。 ジェフは近くの町の工場の管理部門で永年働き、ケイトは地元の教師を永年務めた。 週末の土曜日に結婚45周年のパーティを控えた月曜日、ジェフのもとにスイスから一通の手紙が届く。 ドイツ語で書かれた手紙の内容は、50年前にスイスの山をジェフと共に登山してクレバスに転落したまま行方不明となったジェフの恋人カチャの死体が氷河の中から発見されたというもの。 結婚する前にジェフに恋人がいたことはかすかに聞かされていたケイトであったが、ジェフの心は発見されたかつての恋人に奪われていく・・・というハナシ。 というか、そういう「永年連れ添った妻vs.死んでしまった若き日の元恋人」みたいなハナシだったら、まぁ普通のオジサンであるりゃんひさにもわかるところであるが、どうもそう簡単なハナシではないような感じ。 たしかに、はじめはジェフも突然現れた昔の恋人に心を奪われているのだけれど、それは一時の気の迷いだった、というように4日目あたりで気が付く。 中心になって描かれるのは、45年連れ添ったにもかかわらず、夫に不信の念を募らせていくケイトの変化。 当然はじめは、昔の恋人に心を奪われてしまう夫に対して、この45年間はなんだったのか、という戸惑いだったろうが、夫が隠れて観ていた当時の恋人の写真をみてからケイトの不信の念は決定的となり、夫との関係は修復不可能なものへと変貌してしまう。 実をいうと、観ているとき、観終わってからも、ケイトがジェフに対する不信を決定づけた理由がよく判らなかった。 ということで、一緒に観た妻に助け舟を出してもらうことにしたところ・・・ ケイトが観たカチャの写真(スライド)では、妊娠しているようにみえた、とのこと。 なるほど! そうすると、腑に落ちる。 45年間連れ添ったが子を生さなかった夫婦。 妻の側にしてみれば、かなりの後ろめたさのようなものを感じていたのだろう。 映画前半では、子どもに関する話題がさりげなく散りばめられている。 冒頭、朝の犬の散歩の帰り路にケイトが元教え子と出逢い、教え子に子どもが生まれたことが会話される。 翌日、ケイトの友人が娘を連れて土曜日のパーティについて話をするが、その際、友人から彼女が撮った孫の写真をみせられる。 また別の日、会社のOB会に参加したジェフから、バリバリの組合員だった同僚が銀行家になった息子とゴルフに興じているという話を聞かされて嫌になってしまった、と語られる。 そうなのね、上手く伏線は張られているけれど、すぐにはわかならなかったです。 元の恋人との間に子を生したという重要な事実を、夫からは一言も聴かされていない。 そして、そのことを隠したまま、つい先ごろ元の恋人に心を奪われてしまったことなどなかったことにして、これまでどおりの仲のいい夫婦に戻ろうとする夫。 そういうことに、自分もふたたび仮面を被って、いい夫婦のフリをすることに嫌気がさしてしまう・・・ そういうラストというわけか。 ふーむ、繊細な演出といえば繊細なのだけれど、勿体をつけすぎてわからなくしてしまったところも多いように感じました。 特に、ケイトがカチャの写真(スライド)を観るシーンは重要なので、シャーロット・ランプリングの演技を見せるだけでなく、もう少し事実を判り易く撮る必要があったのではありますまいか。 ということで、自分の理解力不足を反省しつつも、この評価としておきます。 <追記> そういえば、フレッド・ジンネマン監督の『氷壁の女』でも、大昔の恋人の死体が氷漬けで発見された云々というエピソードがありました。 あちらでは、そういうことが多いのかしらん。

  • 鑑賞日 2016/4/9

    45年目の「浮気」

    #0328 シネスイッチ銀座「さざなみ」。2015年ベルリン国際映画祭で主演のシャーロット・ランプリングとトム・コートネイが銀熊賞を受賞したアンドリュー・ヘイ監督作品。結婚45周年を控えた夫婦が夫の元恋人の遺体発見の手紙がきっかけでじわじわと溝を深めていく状況を描いたドラマである。