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PROGRAM/放送作品
ビートルジュース
これぞティム・バートン節!新婚幽霊カップルと”人間祓い”の“ビートルジュース”によるブラックコメディ
『シザーハンズ』『チャーリーとチョコレート工場』のティム・バートン監督の出世作。物語の鍵を握るビートルジュースを演じるのはマイケル・キートン。一人娘のウィノナ・ライダーもキュート!
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COLUMN/コラム2016.01.15
僕が結婚を決めたワケ
シカゴ。ベンチャー企業を営むロニー(ヴィンス・ヴォーン)は「会社が軌道に乗るまでは生活の安定が保証出来ないから」と、長年のガールフレンドのベス(ジェニファー・コネリー)に結婚を切り出せないでいた。しかし共同経営者で親友のニック(ケヴィン・ジェームズ)とその妻ジェニーヴァ(ウィノナ・ライダー)から「早くプロポーズをしないと彼女を失うぞ」と忠告され、ようやくゴールインする決意を固めたのだった。 ところがプロポーズの下見に訪れた植物園で、ロニーはジェニーヴァと年下のイケメン・マッチョ(チャニング・テイタム)の浮気現場を目撃してしまう。おりしも会社は存続の命運がかかったプレゼン準備の真っ最中。小心者のニックに真実を告げたら、仕事に影響が出てしまうことは間違いなしだ。友情と仕事にがんじがらめになったロニーは、ニックに何も言い出せなくなってしまうのだった……。 そんなプロットを持つ『僕が結婚を決めたワケ』の監督が、あの巨匠ロン・ハワードであることを知ったらビックリする映画ファンは多いんじゃないだろうか。しかもハワード、本作をトム・ハンクス主演のダン・ブラウン原作映画第二弾『天使と悪魔』(09年)と男気F1ドラマ『ラッシュ/プライドと友情』(13年)の間に撮っている。わけわかんない! でもよく考えてみればハワードの俳優時代の代表作は『アメリカン・グラフィティ』(73年)やテレビドラマ『ハッピーデイズ』(74〜84年)だったわけだし、監督業に進出してからも、主演を兼ねた『バニシングIN TURBO』(77年)、マイケル・キートンの出世作『ラブ IN ニューヨーク』(82年、キートンがパンツ一丁でニューヨークの街角を歩くシーンは『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14年)でオマージュを捧げられた)、そしてトム・ハンクスとの初タッグとなった『スプラッシュ』 (84年)といった初期作品はコメディばかりだった。 一見シリアス一辺倒になっていたように見える近年だって、ジェイソン・ベイトマンやマイケル・セラのブレイク作にもなったカルト・コメディ・シリーズ『ブル~ス一家は大暴走!』(03年〜)をプロデュース、慇懃無礼なトーンのナレーションまで担当して番組の生み出す笑いに貢献している。『僕が結婚を決めたワケ』はハワードにとって異色作ではなく原点回帰作なのだ。 そんなハワードにとっては重要な本作の主演俳優に彼が選んだのがヴィンス・ヴォーンだった。いや、コラボレイターといった方が相応しいかもしれない。というのもこの作品、製作総指揮にはヴォーンも関わっており、彼の過去のプロデュース兼主演作とも作風が似通っているからだ。 ここで、日本ではあまり語られることがないヴィンス・ヴォーンのキャリアを振り返ってみよう。ヴォーンは、70年ミネソタ生まれのシカゴ育ち。俳優デビュー作はアメフト青春映画『ルディ/涙のウイニング・ラン』(93年)だった。この作品の撮影現場で、彼はやはりこれがデビュー作だったジョン・ファヴローと出会って意気投合する。二人は、オーディションに挑戦しては失敗し、酒を飲みながら愚痴を言い合う生活をロサンゼルスで送るようになった。やがてファヴローはヴォーンとの日々を脚本化してスタジオに売り込みをかけ、映画化に成功する。それがファヴロー自ら主演も務めたコメディ『スウィンガーズ』(96年)だった。 この作品で、ファヴローの親友役を実生活そのままに演じたヴォーンは大ブレイク。精悍なルックスが買われて、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(97年)やリメイク版『サイコ』(98年)に出演。ジェニファー・ロペスと共演したSFXスリラー『ザ・セル 』(00年)は全米ナンバーワンに輝くなど、スター街道を駆け上がっていった。 当時の彼の呼び名は何と<ネクスト・マーロン・ブランド>! だが多くの俳優にとっては勲章のように感じられる呼び名は、ヴォーンにとっては嬉しくも何ともないものだった。むしろ<友情に厚いお気楽男<役でブレイクしたのに、ルックスばかりが騒がれて場違いな場所に来てしまったと思っていたに違いない。そんなところに救いの神が現れた。ベン・スティラーである。スティラー演じる主人公の兄役を演じた『ズーランダー』(01年)をきっかけに、彼はスティラー率いる俳優集団、所謂「フラットパック」との共演を繰り返し、コメディ映画に専念するようになっていった。 ルーク・ウィルソンやウィル・フェレルと共演した『アダルト♂スクール』(02年)、スティラーと共演した『ドッジボール』(04年)、そしてオーウェン・ウィルソンと組んだ『ウェディング・クラッシャーズ』(05年)といった大ヒット作でのヴィンス・ヴォーンのキャラクターは常に一貫している。それは<一見イイ加減だけど、恋愛よりも友情を選ぶ熱い男>だ。この頃急激に太ってしまい、女性ファンの多くを失ってしまったヴォーンだが、それ以上に同性からの圧倒的な支持を獲得。ヴォーンは一躍コメディ・スターの仲間入りをしたのだった。 そんなヴォーンが、プロデュースを兼務する形で発表した一連の主演作は、より同性のファンに向けて作られている。ジェニファー・アニストン演じる恋人と破局に至っていくまでを淡々と描いた『ハニーVS.ダーリン 2年目の駆け引き』(06年)、ヴォーンとリース・ウィザースプーン扮する夫婦がそれぞれの離婚した両親の家をクリスマスの日に巡り歩きながら人間関係に永遠など存在しないことを悟っていく『フォー・クリスマス』(08年)、大物監督になった旧友ジョン・ファヴローと共同で脚本も手がけた夫婦和合セミナーがテーマの『カップルズ・リトリート』(09年)、そして精子バンクに登録していたせいで独身でありながら何百人もの子どもの父親になっていたことを主人公が知る『人生、サイコー!』(13年)。どの作品も、男女関係を男の視点から本音で語ったビターなコメディばかりだ。 「自分勝手」「女性のことを分かっていない」そんな批判を受けてもヴォーンの視点は一切ブレない。作品の舞台の多くが今なお彼が暮らす地元シカゴ(ハリウッド・スターでロサンゼルスでもニューヨークでもない街に住んでいるのはとても珍しい)であることは、こうした作品のヴィジョンがヴォーン本人から生まれたものであることを象徴している。そんな側面からも『僕が結婚を決めたワケ』がロン・ハワードの監督作であると同時にヴィンス・ヴォーンの作品だということが、映画を観ると分かってもらえると思う。 最後に本作でヴォーンの<相手役>に扮したケヴィン・ジェームズについても触れておきたい。65年ニューヨーク生まれの彼はスタンダップ・コメディアンとしての活動を経て、シットコム『The King of Queens』(98〜07年)でブレイク。親友のアダム・サンドラーとは『チャックとラリー おかしな偽装結婚!?』(07年)や『アダルトボーイズ青春白書』(10年)、『ピクセル』(15年)などで再三共演しており、『モール★コップ』(09年)に始まる主演映画は全てサンドラー製作である。 ベン・スティラーとアダム・サンドラー自体は古くからの友人なのだが、それぞれがあまりにビッグだからか、二つの派閥が絡むことはあまり無い。そういった意味でも本作は画期的な作品である。これをきっかけに今後、色々な組み合せの共演作が実現することを期待したいものだ。
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PROGRAM/放送作品
リアリティ・バイツ
X世代の悩める若者たちのリアルがここに。ベン・スティラー監督&若手スターの豪華競演で綴る青春群像劇
人気俳優ベン・スティラーの長編初監督作。ジェネレーションXと呼ばれる1990年代の若者たちが、社会の現実の厳しさに悩みながら奮闘する姿を、ウィノナ・ライダーやイーサン・ホークら若手スターの競演で描く。
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COLUMN/コラム2013.10.01
「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイドその1
年に一度の映画界最大の式典といえばアカデミー賞授賞式。その年最高の映画が決まるとともに、その時を代表するセレブ達のトップが決まる授賞式でもある祭典でもある。そこで注目したいのは、そのときどきを刻む衣装。授賞式当日のセレブ達のきらびやかなドレスもそうだけど、最優秀衣装デザイン賞を受賞した作品は、有名デザイナーがデザインした衣装がズラリ。 たとえば、古くは1956年の『泥棒成金』は、『ローマの休日』などの衣装デザインを担当したハリウッド映画衣裳デザインの第一人者であったイデス・ヘッドが担当(彼女は衣装デザイン賞を8回も受賞している)。衣装をポイントにして映画を観ると、その時代のトレンドや、描かれた時代の再解釈、そしてデザイナーの本気が見えてくる。 忘れられないのが、1977年の大ヒット作『サタデー・ナイト・フィーバー』のような作品。この映画で出てきた衣装は70年代アメリカの若者達のトレンドが浮き彫りになったことでも知られる。これは当時の流行のメインではなく、サブカルチャーの中で流行ったものだけど、それが後にメインになり、そして廃れ、また近年のヒップホップシーンにおいて再解釈されていることを考えると、その影響力は計り知れないことがわかるだろう。 同様の作品としては2006年のノミネート作『ドリームガールズ』も60年代アメリカのR&B界のファッションシーンが映し出されているが、これまた流行は一巡して、今観ても新しい衣装に見えるから不思議。また、時代ものの映画はストーリーもさることながら、コスプレならではの華麗な衣装から観た方が、よほど親しみやすいというもの。 オリビア・ハッセー・ブームを巻き起こした1968年の受賞作『ロミオとジュリエット』なんて、衣装の魅力がジュリエットの可憐な美しさを引き立ててるし、2010年のノミネート作『英国王のスピーチ』も今ほどオープンではなかった戦前の英国王室の荘厳さを、宮殿や社交界のシーンで実感できる。 そういった中でも特筆すべきは、石岡瑛子にオスカーをもたらした1992年の『ドラキュラ』は必見作。以後の彼女が手がけた「ザ・セル」やこちらもアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた「白雪姫と鏡の女王」にも観られる、西洋のゴシック様式と日本の着物や甲冑からモチーフを得たデザインの原点ともいえる衣装の数々が目にできるのだから。 そして忘れてはならないのは、有名デザイナーたちによる衣装! 今年リメイク版が公開された1974年の受賞作『華麗なるギャツビー』は、ラルフ・ローレンが衣装デザインを担当。1920年代アメリカン上流社会を舞台にしたこの作品は、いかに上流社会の人々の優雅さを表現するかで、我々がよく知るラルフ・ローレンが貢献していたというだけで、興味がわくところ(ちなみにリメイク版はブルックス・ブラザーズとプラダが担当した)。 有名デザイナーが担当してオスカーを得た作品でいえば、当時既にファッション界のカリスマであったエマニュエル・ウンガロが担当した1980年の『グロリア』あたりもチェックを。 また、受賞こそ逃したが、元グッチ、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターで現代ファッション界を代表するトム・フォードが監督と衣装デザインを担当した2009年の『シングルマン』は、ファッション・デザイナーのセンスで描かれた映画だけに、おしゃれ好きの人のマスト・リスト。「これが衣装デザイン賞を逃すなんて、どうかしてるよアカデミー! だって、トム・フォードだよ?」と、授賞式当時は現地マスコミの間でもヤジが飛んだほど。彼が常に提案しているトラッドとセクシーの見事な融合を、一編の映像にまとめた希有な作品だ。映画に詳しくない人も、たくさんは観ていないという人も、衣装から観ると映画、そしてアカデミー賞が楽しく見えてくる。ちょっと視点を変えてみてはいかが?■ ■ ■【特集「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド】は最終回「デザイナー編」へと続きます。次回の更新は10月16日を予定しております。最終回も、ファッションのプロである田口淑子さんに引き続き、映画とファッションの「深い関係」を解説していただきます。乞うご期待下さい!そして、10月特集「映画はファッションの教科書!」は10/17(木)-20(日) 【再放送】 10/28(月)-31(木)の日程で 下記11作品でお送りします! ドラキュラ(1992)ロミオとジュリエット(1968)陽のあたる場所英国王のスピーチグロリア(1980)華麗なるギャツビー(1974)ドリームガールズサタデー・ナイト・フィーバーラブソングができるまでシングルマン泥棒成金 ぜひ映画本編でも、数々のファッションをお楽しみ下さいませ!■
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PROGRAM/放送作品
ダーウィン・アワード
人も呆れるおバカな死者に保険金はもったいない?!実在する賞をネタにしたロードムービー・コメディ
「ダーウィン賞」とはあまりに愚かな死に方をしたため、バカの遺伝子を後世に残さず、人類の進化に貢献した人に贈られる皮肉な賞。実際にダーウィン賞を受賞した人のエピソードが劇中でも描かれている。
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COLUMN/コラム2013.10.18
「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド最終回【デザイナー編】
長年モードの世界に身を置かれ、その歴史を見てこられた田口淑子さんに再び解説して頂きます。映画本編の華麗なるファッションの世界のエッセンスがちりばめられた必読ガイドです!! ■ライフスタイルを提案するラルフ・ローレン ラルフ・ローレンのメンズコレクションはミラノで開催されていた。「アルマーニ」や「グッチ」、際立つラグジュアリーブランドが多いミラノメンズの中でも、ラルフ・ローレンの演出は異色だった。門扉をくぐったところからすでに会場の演出は始まっていて、日常とは違う空間が出現する。玄関まで点々とキャンドルが灯され、前庭には布製のソファが点在。黒服のギャルソンが、銀のトレーでウエルカムシャンパンをサービスしてくれる。部屋の壁にはいくつもの肖像写真が飾られ、いたるところが花でいっぱい。客席の椅子も、カーテンも、全てがニューイングランドスタイル。「ギャッツビーの邸宅ようだ」と、私と同じ感想をもった、取材するジャーナリストはきっと多かったことと思う。 「華麗なるギャッツビー」はジャズエイジのアメリカ、ロングアイランドが舞台。女たちのドレスは、ラッフルやフレアのある典型的なフェミニンタイプ。シフォンやデシンの薄い布地にはビーズやフリンジがあしらわれ、キャップ型ヘッドドレス、オーストリッチのストール、シームのある絹のストッキングと、どれもが装飾的でデカダンなスタイルだ。 そしてギャツビーの衣裳はラルフ・ローレンがデザインしている。この映画を観る時は、三つ揃いのスーツの、衿のVゾーンに注目してほしい。シャツ、ネクタイ、ジャケット、三つのアイテムの色の配分とデイテールの遊び心の表現が、着る人によって微妙な違いを見せているのだ。この時代のスーツは今も古くなっていないどころか、アメリカントラッドのお手本の最高峰として、おしゃれ好きな男たちにとっては必見の、永遠の映画なのである。ジュエリーはカルティエが担当した。今年、ミウッチャ・プラダがレディス、ブルックス ブラザーズがメンズ、ジュエリーをティファニーが担当したリメーク版が公開されて話題になった。2つの作品を比較してみると、映画の制作年度である1974年当時と2012年の、それぞれの時代性が、‘20年代のファッションに、複層的に投影されているのがわかってきて興味深い。 ■アートとモードを融合させた石岡瑛子 「ドラキュラ」は石岡瑛子が衣装と美術を担当。冒頭の15世紀、まだ吸血鬼になる前のトランシルバニアの王ドラキュラが戦で装着する甲冑は、流線型の造形が未来的。衣裳というよりはもはやアート作品と言えるだろう。やがて舞台は400年後、19世紀末のロンドンに移る。ウイノナ・ライダー演ずる、ドラキュラが恋したミナのドレスは、いかにも貞淑な良家の子女風の控えめな色とデザイン。男たちの服装も時代考証にほぼ忠実に、フロックコートやシルクハットを再現している。石岡瑛子ならではのアート性を遺憾なく発揮したのが、ミナの友人ルーシーの「死のウエディングドレス」だ。純白のレースの、エリザベスカラーと、長くトレーンを引くヘッドドレスのボリューム感が息をのむほど美しく、「ドラキュラ」が1992年度のアカデミー賞、衣裳デザイン賞を受賞したのも大いにうなづける。 ■女優の衣装を革新した人、イデス・ヘッド 「泥棒成金」のグレース・ケリーの衣装デザインはイデス・ヘッド。彼女は「裏窓」以来の、ヒッチコックのお気に入りで常連スタッフ。オードリー・ヘプバーンの「ローマの休日」や、サブリナパンツが今も若い女性の定番ボトムスになっている、「麗しのサブリナ」の衣裳も彼女の手による。グレース・ケリーのクールビューティを最大限に引き出す、ゴテゴテと飾り立てない衣裳のシンプルさは、当時革命的だったろうと思う。イデスの写真を見ると、もし彼女が今生きていたらコムデギャルソンやヨウジヤマモトの前衛的なクリエーションに共感したに違いないと思わせる、知的で職人的な雰囲気の人だ。 ■トム・フォードの完璧な美学 トム・フォードの初監督作品、「シングルマン」。トムの経歴をたどると、1990年「グッチ」のデザイナーに就任。どちらかというとコンサバティブなハイクラスのマダム御用達だったブランドを、一躍世界のラグジュアリーファッションの筆頭ブランドに変革した立役者だ。その後、自分のブランド「トム・フォード」を設立し、ビジネスの規模を拡大するのが第一のテーマではなく、トム自身の美学のもと、真のラグジュアリーとは何かを追求し続けている。 「シングルマン」でコリン・ファース演ずる大学教授ジョージの隙のないワードローブ。スーツ、シャツ、ナイトガウン。アクセサリーでは、左手小指の指輪、靴、ブリーフケース、眼鏡。全てがトム・フォードならでは完成度だ。トムが自分のブランドで目指していることは、この映画で彼が表現したかったこととぴったりと重なっている。ジョージが着る何気ない白いシャツが、なぜこれほど存在感を持ち、ジョージの個性を表現し、視覚的な美しさを讃えているのか、その答えを映画を見ながら一考してみていただきたい。「シングルマン」はここ数年の映画の中で、最もファッション性が高く表現された作品と言えるだろう。 ■ ■ ■ 【特集「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド】 10月特集「映画はファッションの教科書!」は10/17(木)-20(日) 【再放送】 10/28(月)-31(木)の日程で 下記11作品でお送りします! ドラキュラ(1992)ロミオとジュリエット(1968)陽のあたる場所英国王のスピーチグロリア(1980)華麗なるギャツビー(1974)ドリームガールズサタデー・ナイト・フィーバーラブソングができるまでシングルマン泥棒成金 コラムで予習、映画本編で答え合わせ!!映画を教科書にして、ご自身の着こなしに取り入れてみてはいかがでしょうか?■
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PROGRAM/放送作品
シモーヌ
世界中を虜にさせた女優は実はCGだった!?ハリウッド最大のスキャンダルを描いた風刺コメディ
アル・パチーノやウィノナ・ライダーら豪華スター陣に加え、初の映画出演となる元スーパーモデルのレイチェル・ロバーツが完全無欠のCG女優を演じ、現代の映画業界を皮肉ったコメディ
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COLUMN/コラム2019.01.15
古典主義者か、革新派か? コッポラとの一問一答から見えてくる『ドラキュラ』の立ち位置
■原作に忠実なドラキュラ フランシス・フォード・コッポラは「映画作家の時代」と呼ばれた70年代アメリカ映画を牽引し、マーティン・スコセッシやジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグといった名だたる監督の兄貴分として、業界に轍を築いた偉大なフィルムメーカーだ。とまぁ、ここでかしこまった紹介はせずとも、その功績は『ゴッドファーザー』サーガ(72〜90)や『地獄の黙示録』(79)など、堂々たるフィルモグラフィがおのずと語っている。 そんなコッポラがキャリアの円熟期に手がけた『ドラキュラ』は「原作に忠実に描く」という明確なコンセプトを持った作品だ。それまでの映画におけるドラキュラは、作り手の解釈によって創意が加えられ、デフォルメされた吸血鬼(ヴァンパイア)像だけが一人歩きしてきた。もちろん、ベラ・ルゴシやクリストファー・リーといった怪優たちが演じ、築き上げてきたモンスターキャラクターとしての吸血鬼神話も捨てがたいが、コッポラはそれを起源にまでさかのぼり、ブラム・ストーカーが描いた耽美と恐怖のゴシック世界を映像化したのである。 また同作は、コッポラにとって『ディメンシャ13』(63)以来となるホラージャンルへの挑戦として注目に値する。もっともB級映画の帝王ロジャー・コーマンに師事していた駆け出しの頃とは違い、ドラクル公(ドラキュラ伯爵)にゲイリー・オールドマン、ヴァン・ヘルシング教授をアンソニー・ホプキンス、そしてウィノナ・ライダーにキアヌ・リーブスといった豪華キャストを配し、確立された演出スタイルをもって作劇にあたっている。最終的に本作は4000万ドルという予算に対して全米トータル2億1500万ドルを稼ぎ出し、また1993年の第65回アカデミー賞では特殊メイクアップ賞、音響効果編集賞、そして本作でコスチュームデザインを担った石岡瑛子が衣裳デザイン賞に輝くなど、興行的にも評価的にも成功を得た企画となったのだ。 この追い風に乗ってコッポラは、クラシックモンスターを再定義する第二弾として『フランケンシュタイン』(94)を製作(監督はケネス・ブラナー)。この映画も原作者であるメアリー・シェリーの精神を汲み、望まずして生まれた怪物の悲劇に迫った原作尊重の作品となっている。 ■作品の時代設定に合わせたローテク撮影 そんな『ドラキュラ』の大きな特徴として、コッポラは本作を設定時代と一致させるような、レトロな撮影技法で手がけたことが挙げられる。デジタルなど最新の特殊効果を控え、映画史の最初期に使われたトリック撮影を用いたのである。 例えば合成を必要とする場面では、俳優のバックスクリーンに背景画面を投影するリアプロジェクションを用いたり、あるいは前景と背景を多重露光によって合わせることを徹底。またミニチュアの館をフルサイズの敷地内に置き、あたかもそこに館が存在するかのような強制遠近法や、カメラを逆回転させて俳優の動きを不自然にしたり、奇妙な角度にして物理法則に反するオブジェクトを作成するなど、カメラ内だけで効果を作る「インカメラ」方式を駆使している。 こうした取り組みと、原作尊重の姿勢を例に挙げると、コッポラに「古典主義者」としての側面をうかがうことができる。もともと彼が映画監督を志したきっかけは、編集を理論によって言語生成させたセルゲイ・エイゼンシュテインの革命映画『十月』(28)を観たことが起因となっているし、なにより代表作『ゴッドファーザー』のクライマックスを飾るクロスカットの手法は、編集という概念を確立させた映画の父、D・W・グリフィスが『イントレランス』(1916)で嚆矢を放ったものだ。嫡流であるジョージ・ルーカスも『スター・ウォーズ』シリーズでクロスカットを多用していることからも明らかなように、流派的に古典主義の体質を受け継いでいるといえる。 しかしいっぽう、コッポラは1982年製作のミュージカル恋愛劇『ワン・フロム・ザ・ハート』において、大型トレーラーに音響と映像の編集機器を搭載し、それをスタジオと連動させることで撮影から編集までを一括のもとに創造する「エレクトロニック・シネマ」を実践するなど、先鋭的な「革新派」としての顔ものぞかせている。Avidデジタル編集システムの開発者をして「このコンセプトこそデジタル・ノンリニア編集の先駆け」と言わしめたそれは、原始的な技法を用いた『ドラキュラ』とは対極をなすものだ。 ■映画はインスピレーションを与え合う相互手段 原作を尊重し、古式にのっとった形で『ドラキュラ』を構築したコッポラ。筆者は現状、最後の監督作品である『Virginia/ヴァージニア』(12)の日本公開時、彼に電話インタビューをする機会を得た。同作はひとりの小説家の創作にまつわる怪奇と幻想を物語とし、コッポラが初のデジタル3Dに着手した作品だ。そこで先述した『ドラキュラ』との対極性を例に挙げ「あなたは古典主義者なのか革新者なのか?」という核心に迫ってみた。すると、 「それはどちらともいえない。デジタルによる映画製作は時代の趨勢だし、なによりわたしの作品が自主制作体制になったことも起因している。デジタルシネマはフィルムロスがなく、ケミカルな行程を経ることなく画面の色調をコントロールできるし、編集の利便性も高い。こうしたワークフローへのスムーズな移行が、製作コストの節制を可能にするからね」 と、にべもない答えを返されてしまった。同時に監督はデジタル3Dに対しても懐疑的なところがあると述べ、『Virginia/ヴァージニア』では最後に登場する時計塔のシーンだけ3Dで撮影したものの、これは効果として必要だったからにすぎないと言葉を加えている。 いやいや、ちょっと待って、こうしたデジタルシネマによるワークフローの簡略化とテクノロジー体制は『ワン・フロム・ザ・ハート』であなたが既に確立させようとしていたのでは? と執拗に食い下がると、 「『ワン・フロム・ザ・ハート』の製作スタイルは結果として、今のデジタルシネマのメイキングシステムを先取りしていたといえるかもしれない。だが実際のところ、あれは『サタデー・ナイト・ライブ』のようなライブTVの感覚を映画に持ち込みたかったことが最大の理由だ。スタジオセットで6台のカメラを回し、それをオンタイムで編集ルームに送り込み、撮りながら生で編集するような方式だ。残念なことに撮影監督のヴィットリオ・ストラーロが、カメラの重量や複雑なハードウェアの構成に対して異を唱えたりもしたんだけど、製作のあり方としてひとつの方法論を示したと思う」 と、当方の追及をさらりと交わすような返答でもって、革新派としての自身を照れ隠しにしている。『ドラキュラ』の原始的なトリック撮影への取り組みも、要は作品ごとによるアプローチであって、自身の一貫したスタイルではないと主張したのだ。 ただコッポラは『ドラキュラ』に話題が及んだことをさいわいに、同作ではロケをおこなわず、スタジオだけで撮影したことに触れ、同作の意義を自ら綺麗にまとめてくれた。 「『ドラキュラ』も『Virginia/ヴァージニア』も、映画作りを志す若い作家に有益な環境だと思うので、それを自ら実践しているといっていい。映画はインスピレーションを与え合う相互手段だ。みんなが自分の作品を観てくれることで、何か創作上のヒントになるだろうし、それによってわたしの映画も生きながらえていくことが可能になる」 まるで血を吸って生きながらえるドラキュラを地でいくような答えだが、そこにコッポラの映画製作の真意がある。『Virginia/ヴァージニア』の話題から逸脱し、プロモーションに貢献したとは言いがたいインタビューだったが、監督との『ドラキュラ』にまつわる忘れ難い思い出だ。■ インタビュー出典:ワールドフォトプレス「フィギュア王」2012年vol.174号 © 1992 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
1969
泥沼化するベトナム戦争を背景に若者たちのやり場のない怒りと葛藤を描いた青春ドラマ
『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jrとドラマ『24 TWENTY FOUR』のキーファー・サザーランドが主演。若かりし頃の2人が多感な青年を好演している。ラルフの妹役で出演のウィノナ・ライダーも可愛い!
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PROGRAM/放送作品
エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事
巨匠マーティン・スコセッシが19世紀社交界を舞台に許されぬ愛を描いた、大人のための恋愛文芸映画
ピューリッツァー賞受賞の同名小説をマーティン・スコセッシが映像化した恋愛文芸映画。19世紀を舞台に禁じられた男女の愛を描く。主演は『ギャング・オブ・ニューヨーク』のダニエル・デイ=ルイス。