第6作からスラグホーン教授役で加入した、オスカー俳優のジム・ブロードベント。シリーズ参加を喜んだのは、意外な人物だったという。
「4歳の孫がセットに遊びに来てくれたんだ。まだこの仕事の状況は理解できなかったけど、私にはほかに6人の義理の孫がいて、彼らは身内が『ハリー・ポッター』に関わったことを大喜びしてくれたよ」
好々爺という表情でそう語るブロードベントは、本作の直前にも「ナルニア国物語」や「インディ・ジョーンズ」シリーズでも教授を演じていた。大作で同じような役柄が続くことには、「私は学者肌じゃないんだけどね(笑)。そういえば『アイリス』でも教授役だった。そんなイメージなのかねぇ」とおどけた表情を見せてくれた。「ハリー・ポッター」シリーズに関わることについて、ブロードベントは知的かつ誠実なコメントで応じてくれた。
「原作は第1巻だけ呼んでいた。映画版は観ていたよ。現実と並行して存在する別世界を築き上げていると感じたね。キャラクターが困難と共に経験する旅が、観客の心をしっかり捉える作品だ。これだけの規模の映画になると一定の緊張感が付きものだが、本作の場合、セットのほとんどはすでにあり、現場のみんながお互いのことを知っている。私も家族の一員として迎えられたようでリラックスしたよ」
スクリーンに出てくるスラグホーンに比べ、実際のブロードベントは思いのほか、ほっそりした体型だ。
「実は太って見えるように、洋服にパッドを入れたんだ。原作ではカイゼルひげをたくわえているが、そこはやめて、少し老けたメイクを施したよ。原作そのもののイメージではないが、キャラクターの精神はそのまま受け継いだつもりだ。スラグホーンはとてもわかりやすい役だね。一度は定年退職したが、ひょんなことから復帰し、教えることに一生を懸けるタイプ。教え子も大切にして、時にはハリーやトム・リドルのような優等生を無意識にひいきすることもある。そんな先生には誰もが遭遇しているので、イメージを膨らませやすいのさ」
堅実な実力派俳優らしい、余裕のコメントを放つブロードベントだった。
取材・文/斉藤博昭
2011年7月13日発行「別冊シネコンウォーカーvol.2 角川ムックNo.39」より抜粋
『ハリー・ポッターと賢者の石』™ & © 2001 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』™ & © 2002 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』™ & © 2004 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』™ & © 2005 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.