最終2作をまとめて撮影したため、つねに現場は“ラスト”という雰囲気が漂っていたのか、ルーナ・ラブグッドを演じたイバンナ・リンチに訪ねた。
「映画が終わる気分をインタビューでよく聞かれるけど、私たちキャストは“最後”というのをあまり意識しないようにしてるの。だってそれを考えてたら、撮影の楽しさが台無しになるでしょう? たしかにセットを眺めてると寂しさも込み上げてくる。シリーズ終了ということで、時には小道具をこっそり持ち帰ってる人もいたわよ(笑)」
この『PART1』では、彼女が演じるルーナの父親も新登場。そのキャスト、リス・エヴァンスは、彼女の実際の父親とどんな違いがあるのだろう。
「本当の父とリスを、状況によって使い分けられたらいいと思う(笑)。リスは現場でもふらっと一人で歩いていたりして、クールで若々しいイメージよ。私の父はもっと年齢が上で学校の先生だから、まじめなタイプ。アイルランド出身じゃなかったら、リスみたいに自由な人だったかもね」
周りの生徒から浮いている存在のルーナは、イバンナにとっても少し違和感があったが、『PART1』での父親の登場に勇気づけられたという。
「ルーナを演じていると、その服装だけでまわりからの疎外感がある。死喰い人がホグワーツの生徒たちを行進させるシーンでは、みんなが制服を着ているなか、彼女だけが紫の服で、つねにアウトサイダーなのよ。だからリスが黄色いマントを着てセットに現れた時、私たち2人は親子の強い絆を感じられたわ。ダンスを披露するシーンでも、ラブグッド家らしい怪しいステップを私から提案して、リスト一緒にノリノリで踊ることができたの」
劇中のルーナはハリーやロンに対し、“友達以上”の関係をにおわせるシーンもある。ハリーとロン、どちらがタイプなのかという質問にもイバンナは素直に答えてくれた。
「意志の強い面や、自分をえらいと思っていないところでハリーを選ぶわね。シンプルな情熱でなにかに立ち向かっていく彼の姿がステキよ。楽しいし、エキサイティングな人物が私のタイプなの。でもハリー役のダン(ダニエル・ラドクリフ)は、最初のころ、私のことがちょっと怖かったと打ち明けてくれたわ。私って人見知りするタイプだし、間違ったことに対してキツい言葉で反論しちゃうのよ」
何事にも正直に発言する彼女は、役柄と同じようにキャストの中でも異色の存在。しかし、そうした彼女の“正義感”の強さが、シリーズのメンバーに愛されたのも事実だ。
取材・文/斉藤博昭
2011年7月13日発行「別冊シネコンウォーカーvol.2 角川ムックNo.39」より抜粋
『ハリー・ポッターと賢者の石』™ & © 2001 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.
『ハリー・ポッターと秘密の部屋』™ & © 2002 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.
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『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』™ & © 2005 Warner Bros. Ent. , Harry Potter Publishing Rights © J.K.R.