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インディ・ジョーンズ 123シリーズ一挙放送 満を持してザ・シネマについに登場! 誰もが愛する『インディ・ジョーンズ』シリーズから、あの頃、
皆が胸躍らせた123作を、シリーズ一挙放送としてお届け!!

インディー・ジョーンズと3つの秘宝

歴史的な秘宝を求め世界中で冒険を繰り広げるインディ・ジョーンズ。彼が追い求める秘宝とは一体どのようなものだったのか?その由来を解説する。

1.アーク in レイダース/失われたアーク《聖櫃》

 映画史に残る名作『十戒』は、旧約聖書にもとづいて描かれた、古代ユダヤ民族の指導者モーゼを主人公にした物語である。
 エジプトの地で差別されていたユダヤ人たちを率い、モーゼは安住の地を目指す。その道中のシナイ山で神が現れ、山頂にてモーゼは神から「汝、殺すなかれ」「汝、盗むなかれ」など10の戒律からなる「十戒」が記された石版を授かる。この戒律を守ることは、神と、神を信じる者との間の「契約」である。ここまでは、映画『十戒』に詳しく描かれている通りだ。
 さて、この「十戒」の石版を納めるための箱、「聖櫃(せいひつ)」、「契約の箱」とも呼ばれているのが、「アーク」である。
 「アーク」はその後も長くユダヤ民族とともにあったことが旧約聖書に記されているが、聖書では途中で「アーク」への言及が何故か無くなる。もちろん「アーク」は今日まで遺されてはいないので、どこかの時点で失われてしまったのだ。いつ、どうして失われたのかは、歴史上のミステリーであり、様々な説が唱えられている。『レイダース』に採用された、エジプトによる略奪とタニスへの安置という説はそのひとつである。

2.サンカラ・ストーン in インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説

 サンカラ(正しくはシャンカラ)は8世紀に実在した僧の名で、インド史上最大の哲学者とされる。彼は山に登り、シヴァ神から魔法の力を持つ5つの聖なる石を授かった。これが、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』で取り上げられる秘宝、村を守る聖なる石、盗まれた「サンカラ・ストーン」だ。
 インドには「シヴァリンガ」と呼ばれる石がある。聖なる川で採取される聖なる石で、インド中のシヴァ神殿でご神体として祀られている。日本でも購入可能で、日本のスピリチュアル肯定派の人たちからはいわゆる"パワー・ストーン"として珍重されている。
 『魔宮の伝説』劇中で、村の長老はサンカラ・ストーンを「シヴァリンガ」と呼んでいる。また、「サンカラ・ストーン」の特徴を、インディは「聖なる川の石のようなすべすべした石」と言っているが、実際の「シヴァリンガ」の特徴に見事に合致している。ただし「宇宙の3次元を示す3本線が入っ」ている、「石を互いに近づけると中のダイヤが光る」といった特徴は、少なくとも日本で買える「シヴァリンガ」には残念ながら無い。

3.聖杯 in インディ・ジョーンズ/最後の聖戦

 有名な「最後の晩餐」にてイエスが使ったカップで、このカップに注いだ葡萄酒を「私の血である」として弟子たちに飲ませたとされる。さらに十字架にはりつけにされたイエスの遺体が弟子たちに引き取られた際、遺体から流れ出た血を受けたとも言われる。
 このような宗教的な宝物を「聖遺物」と呼び、イエス関連では、死亡確認のためイエスの遺体を突いた「ロンギヌスの槍」やイエスの遺体を包んだ布「聖骸布」などが他に有名である。
 中世のキリスト教徒は「聖遺物」に宗教的ロマンを駆り立てられ、騎士が繰り広げる「聖遺物」探求の大冒険は、おとぎ話の騎士道物語の重要な要素となった。十字軍遠征の際には、ヨーロッパからイエスの故地であるパレスチナに大挙して向かった十字軍騎士たちの中に、この地に伝わる「聖遺物」を漁る者が現れた。
 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の原題は、Indiana Jones and the Last Crusadeだが、Crusadeとは狭義では十字軍(Crusは十字架を意味するクロスのこと)をさす。
 中世、十字軍の騎士が「聖杯」はじめ「聖遺物」漁りに躍起になった、という歴史的事実をふまえた上で、『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』はご覧いただきたい。

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