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                                COLUMN/コラム2009.07.04
こうして戦争は始まる>『13デイズ』
どういうわけか、当ブログではわりとまじめな作品について駄文を書くことの多い僕だが、その中身はというと、相当にいい加減で不真面目な性格である。それゆえに「社会派ドラマ」にカテゴライズされる作品を、積極的に観る機会がとりたてて多いということもない。むしろ、ちょっと近寄りにくい、肩がこりそう。そう考えるタチなのだ。大体において「社会派」と呼ばれるような作品は、コメディ映画とは異なり、観る側にもエネルギーがいる。ウヒャヒャと笑えばいいだけのコメディ映画に比べると、気を抜くとストーリーについていけなくなりそうなので、頭を回転させる必要もある。作品時間も長い傾向にある。それだけに駄作を観たときの落胆度は大きく、大きな後悔と損失を被ることになる。しかしながら、そんなひねくれた視点から観ても『13デイズ』は、間違いのない、きちんと作り込まれた社会派ドラマでありポリティカルサスペンスである。 今作の舞台は1962年、冷戦まっただなかのアメリカ。世界が核戦争に最も接近したと言われる13日間「キューバ危機」を描いている。時の大統領は、ジョン・F・ケネディ。ケネディを支える司法長官に実弟のロバート・ケネディがつき、大統領特別補佐官として、ケネス・オドネルがいた。言うまでもないことだが、冷戦時代のアメリカとソ連は同等の武力=核兵器を持ち合うことで均衡を保っていた。巨大な力を持つ二つの国の、どちらか一方だけが圧倒的な武力を持つことは、世界を危機にさらすことになると考えていたからである。キューバ危機はアメリカの侵攻を恐れたキューバが、友邦のソ連に武器の援助を申し込んだことに端を発する。しかし、戦争にも使われかねない武器を渡してしまうのはさすがにマズイと判断したソ連は、代わりに、核ミサイルをキューバ国内に配備した。核は戦争のための兵器ではなく戦争を抑止するための兵器である、という、冷戦時代特有の、今日では理解できない発想だ。だが結果として、これにアメリカが猛反発して、危ういバランスで成り立っていた均衡が崩れそうになるのである。『13デイズ』は“ケネディ・テープ”と呼ばれるケネディ大統領自ら13日間の会議の模様を録音したテープや、ロバート・F・ケネディの回想録『13日間』、機密文書、そしてケビン・コスナーが演じた実在の人物、ケネス・オドネルへの100時間にも及ぶロング・インタビューなどを基に練り上げられたという。もちろん、映画である点、そして極めて政治色の強い事件を扱っているだけに、事実と異なる点もあるはずだ。だがどのようにしてソ連とアメリカの緊張が高まり、どのようにして最悪の事態、つまり第三次世界大戦を免れることになったのかが、非常にわかりやすく、かつスリリングに描かれている。僕はこの映画を観るまで、結局のところ、戦争は圧倒的な権力を持った国家のリーダーの意思によって始まるものだと思い込んでいた。事実、ヒトラーのようにそういったケースもある。しかし『13デイズ』では、アメリカにとって「キューバ危機」は対ソ連であると同時に、アメリカ内部との戦いでもあった点が詳細に描かれており、それが非常に興味深い。アメリカ内部とは、国防総省やCIAなど、戦争回避=軟弱な態度として、空爆を主張する主戦派の人々のことである。彼らの強硬論をケネディ兄弟とオドネルが、いかにして抑えたか。それが『13デイズ』を緊迫感ある作品に仕立てている理由である。戦争の引き金となるのは、必ずしも対外的な要因ばかりではなく、部下や周囲に対する権力の誇示、自分の地位や立場を守るための見栄やプライドといった、誰もが持っている要因が積み重なって、大きな力となったものなのかもしれない。いつだったか忘れたが、こんな言葉を聞いたことがある。「一人一人の希望を聞いてできあがったものは、結局誰も望んでいないものである」もしかするとその一つが戦争なのかも知れない、と考えさせられる映画だった。ついでに言うと、主演のケビン・コスナーは1995年の『ウォーターワールド』で大コケする前後あたりから、『ボディ・ガード』のようなラブ&ヒーロー路線にいくのか、『フィールド・オブ・ドリームス』のようなヒューマンドラマ路線に行くのか、迷走が続いている感があるが、たぶん『JFK』や『パーフェクトワールド』、そして今作のようなわりとシリアスな作品で、ヒーローになりすぎない、ちょいシブメの役が一番しっくりくる気がする。そんなわけで、僕のように「政治・社会派」作品でミスはしたくない!と強い決意を持っている人にも、『13デイズ』は間違いなくオススメできる作品でありますので、ぜひご覧下さい!■(奥田高大) ©BEACON COMMUNICATIONS,LLC.ALL RIGHTS RESERVED
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                                COLUMN/コラム2009.06.26
人生いろいろ『フォレスト・ガンプ/一期一会』
ってのは、映画冒頭、主人公フォレスト・ガンプの最初のセリフなんですけど(母親の口癖の受け売りだけど)、この言葉が、作品のすべてを語り尽くしちゃってますね。この映画では、2、3の人生が描かれます。知能に障害を持つ男、フォレスト・ガンプ。子供の頃は身体も不自由で、補助具をつけないと歩くのも困難なほど。ただ、その補助具が星飛雄馬にとっての大リーグボール養成ギプス的な役割を果たしちゃって、ガンプの脚力は、気づかぬうちに常人をはるかに上回るものになっていた。 で、とあることがキッカケで、逆に韋駄天としての超人的能力を発揮することに。それ以来、この、「ムっチャクチャ足が速い」という特技のおかげで、ガンプの人生には次から次へと幸運が舞い込んできます。野心も野望も打算も下心もなく、ただ、その時その時の自分の人生を、バカ正直に生きた男の、夢のような成功物語。ヒューマン・ドラマであると同時に、一風変わったアメリカン・ドリームを描いたサクセス・ストーリーでもある。主人公のガンプを軸に見れば、これは、そんなお話です。いっぽう。ガンプの幼なじみの女の子でヒロインのジェニーは、ヒっドい人生を送ってます。子供の頃は父親に虐待され、女子大に入るとエロ本に出たことがバレて退学に。その後、成人してからも踏んだり蹴ったりの人生。ガンプとジェニーは、世代的には“団塊の世代”です(アメリカにゃないだろ)。1950年代に子供時代をすごし、60年代に青春時代を送って、70年代にオトナの仲間入りをした。まさしくアメリカ現代史を駆け抜けてきた、そんなジェネレーション。 ジェニーは、その時代感覚に染まりきって生きてる女。女子大生の頃はジョーン・バエズにあこがれてフォーク・シンガーになる夢をいだくものの、例の顔出しエロ本発覚事件のせいで場末のストリップ小屋に身を沈めることに。ビートニック・ビューティー“ボビー・ディロン”ってバカっぽいやっすい源氏名で、野郎どもにヤラしい野次をあびせられたり、触られたりしながら、全裸でギターを弾き語りします。その頃“ビート族”が流行ってたから、「ビートニック・ビューティー」。ボブ・ディランのブレイク直後だから、「ボビー・ディロン」。その後も、ビート族からヒッピーになって、みんながシスコに詣でればシスコに行き、みんながワシントンDCでベトナム反戦デモをすればそれに加わり、マリファナとかアシッドだとかの悪い草やクスリにも手を伸ばす。流行ってたから。そのうちヒッピーが時代遅れになって70年代ディスコ・ブームが到来すると、今度はそれ風のファッションに身をつつんで、コカインとかヘロインとかまでやっちゃって、いよいよもって廃人路線を転がり落ちてく。ただ時代に流されていくだけ。時代を生きるんじゃなくて、ただ流されるまま。ガンプの方は、時代という枠の中でも、あくまでマイペースで生きてくんですけど、そういうことが、このジェニーって女には、できない。で、どんどんドツボにはまってく。なんとか逃げ出したい。「鳥になってここから飛んでいきたい」と少女の頃からずーっと祈りつづけ、人生を自分の手にしっかりと掴みたいと必死で願ってるのに、掴めず、ただ流されるまま、けっきょく抜け出せずに、もがきつづけて、どんどん身を落としてく。でも、流されるだけのジェニーを、ゼメキス監督は、映画の中で罰してるワケじゃないと思うんです。罰として次々に不幸がふりかかってるワケじゃないだろうと思うんです。この映画って、ガンプは正直者だからラッキーな人生を送り、ジェニーはスレた女だから不幸になった、という「因果応報」の物語では全然ない、とワタクシは感じるのであります。人生の浮き沈みなんてもんは、しょせん運でしかありません。流される女ジェニーは、よくある人間類型です。むしろ、ガンプのように流されずマイペースを貫ける人間ってのの方が、実はレアな存在でしょう。俊足・強運・マイペース。ガンプこそ、現実には存在しない、実は“超人”なんであって、ジェニーのような人ってのは、いつの時代・どこの国でも見られる、よくいるタイプなんじゃないんでしょうか。日本で言うと、バブルの頃にブイブイいわせてたイケイケのオヤジギャル。または、10年ちょい前に品行よろしからぬ女子高生ライフを送ってた元コギャル。あの人たちって、いったい今、どうしてるんでしょうか?あの人たちのそんな生き様ってのも、べつに間違ってたってワケじゃない。その後の人生で罰を受けて当然というほどの罪など、犯してはいないはずです。ただ、ほんのちょっと運を逃しちゃったがために、ジェニーみたく、人生の底まで沈んで行き、いまだに浮き上がれずにもがき苦しんでいるかもしれません。この2009年の日本のどこかには、きっと、そんな和製ジェニーな感じの方たちが、少なからずいるような気がしてなりません。映画『フォレスト・ガンプ』では、そんな、運に見放された気の毒な人を代表しているヒロインの、逆サクセス・ストーリーが、主人公のサクセス・ストーリーの裏で、表裏一体の関係で描かれていきます。ヒューマン・ドラマであると同時に、挫折と転落と蹉跌のドラマでもあるんすわ、この映画は。つまり、結論としては「人生いろいろ」。運のいい人、悪い人、いろいろあります。それがテーマです。ってオイ、そんなナゲヤリなテーマあるかい!そう、それを踏まえた上で、この映画では大感動のポイントがちゃーんと設けられてるんすわ。超ラッキーな男ガンプが、子供の頃から一貫して、不幸なジェニーのことを一途に想いつづけてるって点。それがそのポイントです。ストーリーは実際のアメリカ現代史(リアル)を時代背景に展開しますが、2人がつむぐ物語って、はっきり言って、リアリティまるっきしありません。ヒューマン・ドラマって、いかに人間をリアルに掘り下げて描けるかっつうとこがキモなんすけどねぇ…。ラッキーな方がアンラッキーな方を何十年間も慕いつづけてる、幼なじみの何十年ごしの片想い、なんてのは、かなりメルヘンチック(非現実的)な筋立てでしょう?でも、非現実的だけど、かなり素敵ではある。これほどまでに素敵なメルヘンを、ワタクシは他に知らんのです。ヒューマン・ドラマであると同時に、いや、ヒューマン・ドラマである以上に、ワタクシに言わせりゃ、これは、映画史上もっとも美しいメルヘンなのです。そのメルヘン要素が、多くの人を泣かせたんじゃないでしょうかね。ほんとに、生まれてきた甲斐も無いってぐらいな不幸なジェニーの人生ですが、どんなドン底の時でも、離れててどこで何してても、純真無垢なガンプがずーっと彼女のことを想い続けてる、って事実が、彼女の人生の救いであり続けるんですな。映画を見てる方にとってもこれは救いです。この作品、純愛ストーリーでもあるんです。さらに。2つの人生がおりなすメルヘンとはちょっと離れたとこから、この映画では、3つめの人生を、追っかけてます。まずこの世にいなさそうな男、強運の持ち主、天然マイペースの“超人”ガンプ。流されるだけの女、よくいるタイプ(ここまで不幸なのは滅多にいないかも)なジェニー。そして、第3の人物の登場です。この人物こそ、もっともボクらに近い、いちばん普通の人生を歩んでるキャラなんじゃないでしょうか。運が良くもないけど、悪くもない。おおよそ普通。大過なく生きてきて、ある日ある時、思ってもみなかったような信じられないぐらいの災難に見舞われてしまう…。そういうことは、誰にでもありえます。愛する人が突然死んだ。深刻な病気だと宣告された。事故に巻き込まれた。いきなり解雇され生活が破綻した…。そういうことが自分の身にだけは絶対に起こらない!と言い切れる人なんて、誰もいやしません。豚インフルだ不景気だなんていってる今日日は、特にそうです。そういう目にあってしまった一人の人物が、我が身の不幸を嘆き、神を呪い、自暴自棄になり、死にたいなどとグチりながら、ちょっとずつ再生してく姿が、この映画の3番目の人生として、描かれます。いや、3つじゃなくて、4つ目の人生も描かれてるかもしれません。ここまでのこのブログの中で、いろいろと妙なカタカナ語を書いてきました。「ジョーン・バエズ」と「ボブ・ディラン(これは分かるか)」、「ビートニク(ビート族)」…etcつまりですねぇ、とりあえずガンプが物心ついてからはケネディ→ジョンソン→ニクソン→フォード→カーター→レーガンと、大統領が6代も替わってる(そのうち何人かとガンプは会って言葉をかわしてる。会ってなくても劇中にニュース映像としては出てくる)ぐらい、1960年代(少年時代を入れると1950年代)~80年代までの、文字どおりアメリカ現代史が、映画の時代背景として描かれてんですわ。その当時の世相とか、社会情勢とか、流行とか、ファッションとか、音楽とかも、この映画の中には、これでもかとテンコ盛りに盛り込まれています。ここ数十年、アメリカという国が歩んできた道のり。もしかしたら、それは映画の中で描かれてる、4つめの人生なのかもしれません。つまり、一国の人生(ヒューマン)ドラマでもある。こりゃアカデミー賞獲るワケだ!さて。映画と同じように、このブログも最後に冒頭1行目に戻りましょう。「人生はチョコレートの箱みたいなもの。食べてみるまで中身は分からない」このテーマを常に意識的に思い返しながら、以上の4つの人生を追いかけてみてください。この、映画史上たぶん十指に入るぐらい(ワタクシの独断)のヒューマン・ドラマの大傑作『フォレスト・ガンプ』を、より楽しめちゃうことでしょう。■ TM & Copyright? ©? 1994 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
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                                COLUMN/コラム2009.06.21
『クライシス・オブ・アメリカ』が描くアメリカの不安
体験や感情を言葉で説明することは難しい。映画を観て感動したとか、美味しかった料理の味とか、印象が鮮烈で強烈であればあるほど、その気持ちを人に伝えることは難しい。そのなかでも、いくら語ろうとしても語れない、伝えきれない最たるものが、不安や恐怖かもしれない。しかし『羊たちの沈黙』、『レイチェルの恋人』のジョナサン・デミが62年にも映画化されたリチャード・コンドンの原作小説『影なき狙撃者』を、現代風にアレンジして作り上げた『クライシス・オブ・アメリカ』は、アメリカが抱える漠とした不安を感じさせることに成功している。湾岸戦争下、ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)率いる小隊が、敵の奇襲攻撃に遭ってしまう。その危機を救ったのは他の隊員とは馴染めずにいた、いわば落ちこぼれの隊員レイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)。そして終戦後、ショーはその行為がきっかけで隊員時代には誰も予想していなかった時代を象徴する英雄になり、大物上院議員である母エレノアの強力な後ろ盾のもと、政界へと進出。若くして副大統領候補にまで選出される。一方、マルコはある悩みを抱えながら、終戦後も軍務を続けていた。その悩みとは、部隊の危機を救った英雄のショーが、仲間の隊員を殺している夢を観ることだった。事実とはまるで反対の夢を繰り返し見るマルコ。しかし、それがただの夢とはどうしても信じ切れず、ついに独自の調査を開始する。そうして、マルコはやがて自分たちの記憶が、“何かあったとき”のための個人情報、として体内に埋め込まれたチップによって書き換えられていたことを知り、やがて背後にある大きな陰謀に気づく・・・というのが今作のあらすじ。劇中、悪夢にうなされるマルコを、軍の上司が湾岸戦争症候群ではないのかと指摘するシーンがある。湾岸戦争の体験がトラウマとなり、それが不眠や記憶障害など様々な病状を引き起こしているのではないかというのである。『クライシス・オブ・アメリカ』が公開されたのは2005年。湾岸戦争が始まったのは1991年。ちょっと話がそれるが、この湾岸戦争症候群をもう少し詳しく説明すると、帰還兵のうち、一説では10万人以上がこの症状を経験したとされている。しかし、医学的にこの症状は十分に解明されていない。戦争体験という強烈なストレスによるものという意見もあれば、化学兵器や生物兵器など多数の有毒物質にさらされていたからという意見もある。なかには、そんな症候群はそもそも存在しないのだという意見さえある。『クライシス・オブ・アメリカ』は、同じサスペンスでも、ジョナサン・デミの代表作『羊たちの沈黙』のように、研ぎ澄まされたナイフのようなキレはない。前述した湾岸戦争症候群、一人の個人によって、国の方向性が大きく変化しかねないアメリカ大統領制が抱える問題、テロリズムへの恐怖など少々描きたいテーマを盛り込みすぎて、焦点がはっきりしない印象も否めない。でもそんな目に見えない不安を描こうとしているところにこそ、湾岸戦争、アメリカ同時多発テロ、イラク戦争を経たアメリカが抱える不安と、自分たちが正義だと思ってきたことが、必ずしも世界ではそう思われていない。そのことに、否応なく気づかされたアメリカという国の苦悩が見て取れる。そんなわけで、この映画を観て、ますますオバマ政権後のアメリカが気になった僕でありました。■(奥田高大) TM & copyright © 2005 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved
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                                COLUMN/コラム2009.06.13
トム・クルーズ様へ。あなたを変えた『マグノリア』
拝啓トム・クルーズ様突然このような公の場で、お会いしたこともないあなたについて、ブログを書く無礼をお許し下さい。僕があなたを初めて観たのは、86年の大ヒット作『トップガン』でした。生意気そうで、でもどこかナイーブな雰囲気漂うあなたに、僕の母や姉をはじめ、世の女性はメロメロ(死語?)になりました。この作品はあなたにとっても、スターダムを駆け上がるきっかけとなった思い出深い作品だと思います。いま改めて『トップガン』を観ると、ケニー・ロギンスの歌う「デンジャーゾーン」からも、そして極めてわかりやすい起承転結の上に描かれた若々しいあなたの姿からも、80年代特有のノー天気さを感じずにはいられません。もちろん、これはあなたの映画をけなしているわけではあ……x8Aません。なぜならあの頃、つまりバブル期の私たちが求めていたのは、観ているときは楽しくて、終わった後は気分爽快!! ストーリーはエンドロールと共に綺麗さっぱり記憶から消えてしまう、そんな娯楽映画のお手本のような映画だったのです。あなたは見事にその期待と要求に応えてくれました。そして当時、まだ少年だった僕にも大きな影響を与えました。F14トムキャットを操れない代わりに、僕は映画をベースにしたファミコンソフト(もちろんシューティングゲーム!!)で遊ぶことで、あなたに近づこうとしました。『トップガン』を機に、あなたはハリウッドスターとして確固たる地位を手に入れ、あなたの出演作のほとんどは、繰り返しテレビで放送されました。おそらく、あの頃青春時代を過ごした人のなかで、あなたの出演作を観たことのない人はいないのではないでしょうか? それほど80年代から90年代前半にかけてのあなたはすごかった。『ハスラー2』『カクテル』『レインマン』『7月4日に生まれて』『デイズ・オブ・サンダー』などなど、駄作、傑作の両方がありましたが、あなた以上に"スター"という言葉が似合う俳優はあの頃誰一人としていませんでした。だからこそ、『マグノリア』でフランクを演じるあなたを見たとき、僕は最初、その姿を素直に受け入れることができなかったのです。それはどう見ても、少年時代の僕に大きな影響を与えた、トム・クルーズが演じるべき役ではないように感じました。「女を誘惑してねじ伏せろ!」と卑猥な言葉と仕草で男達を煽りつつ、モテる秘訣を記した自著を教典のごとくかかげるフランク。その胡散臭さは、持って生まれたあなたの甘いマスクと、大げさな身振り手振りの演技によってさらに輪をかけたものになっていました。フランクを演じたあなたの姿に、驚いた人はけして少なくなかったでしょう。なぜなら、それは多くの人々が抱く、甘く優しい"トム・クルーズ"像をまっこうから否定するものだったからです。しかも『マグノリア』であなたが演じたフランクは、始終作品の中心にいるわけではなく、群像劇の一部を担う役に過ぎませんでした。つまり『マグノリア』はあなたがいなくても成立するとさえ感じました。でも、映画を見終わった後、僕はその考えが間違っていたことに気づいたのです。『マグノリア』では、あなたを含む10人の男女の人生が、ラストに向けて不思議に絡み合っていきます。彼らの人生は、映画を観る人の多くと同じように、それぞれに深刻で、滑稽な問題を抱えています。でも問題解決の糸口が、物語の中でとくに提示されるわけでもありません。『マグノリア』で提示されるのはただ一つ。人生の教訓です。親との確執、過去との決別、死と向き合うこと、などなどなど。それらは言葉に置き換えにくい、生きるヒントみたいなものです。誰かが身をもって体験する。それを私たちは、見たり聞いたりすることで、自分の教訓とします。あなたは映画のなかで、とてもハリウッドスター的でない男を演じることによって、そんな教訓の一つを僕に教えてくれたのです。正直に申し上げて、90年代半ばからあなたの活躍を目に、耳にする機会はずいぶん減ったように感じていました。もちろん僕が、少年から青年へと成長するにつれ、映画の好みが変わったこともあるでしょう。でもそれだけではありません。天才子役が、いつまでも子役を演じ続けられないのと同じように、90年代のあなたは時代に消費されるアイドル的ハリウッドスターから、人生の重みと深みを表現できる映画俳優へステップアップしようと試みている時期だったように思います。僭越ながら、『マグノリア』からは、そんなあなたのチャレンジ精神を感じました。今回、では、アイドル的ハリウッドスターから映画俳優へと転身していくあなたの様子を『トップガン』『ア・フュー・グッドメン』『マグノリア』『コラテラル』の4作品で放送します。『トップガン』では、初々しいあなたを。『ア・フュー・グッドメン』ではアイドル的薫りを残しつつ、硬派な芝居を見せたあなたを。『マグノリア』では、長年僕たちが抱いていたトム・クルーズ像を見事に壊したあなたを。そして『コラテラル』では『マグノリア』以降の、一皮むけたあなたを観ることができます。これらは、きっと多くの視聴者の方に楽しんでいただけるでしょう。そうそう、ついでに申し上げると『マグノリア』で演技派俳優としてのステップを踏み出すかのように見えるあなたが、2000年代に突入しても『宇宙戦争』や『M:i:III』のように限りなくベタなハリウッド映画で、これまたお決まりの主人公を演じてしまうところに、僕は尊敬の念すらおぼえます。かの有名な「ジャンプ・ザ・カウチ」をはじめ、まだまだ書き足りないことは多いのですが、長くなりますので、ここらで切り上げます。ますますのご活躍を極東のカタスミからお祈り申し上げます。 (奥田高大) 『トップガン』Copyright © 2009 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.『マグノリア』©MCMXCIX NEW LINE PRODUCTIONS, INC.ALL RIGHTS RESERVED.
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                                COLUMN/コラム2008.12.09
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』補足ブログ
本作のメイン舞台は、まずゴンドール国(の都ミナス・ティリス)。ここを舞台に、ガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリ、メリー&ピピン、さらには『2』に出てきたローハン騎馬軍団やゴンドールのお坊ちゃまファラミア隊長らが勢ぞろいで大活躍します。もうひとつのメイン舞台がモルドール国。とうとうフロドとサムはモルドール領内に足を踏み入れ、この壮大なる物語はついにクライマックスを迎えるワケっすわ!ゴンドール国の戦いはゴンドール防衛軍と援軍のローハン騎馬軍団、人間の軍隊だけで二勢力が出てきますが、どっちも鎧と盾って衣装なんで、よっぽどそういうのに興味がないと、どっちがどっちだか見た目で区別つかん、話がますます混乱する、という事態になるかもしれません。見分けるポイントとしては、バイキングみたいな戦士が馬に乗ってるのがローハン騎馬軍団です。色的には赤茶っぽい鎧に緑のマント。あと、だいたい金髪か明るい茶髪の人が多いですな。助けに来てくれる側がこっち。一方のゴンドール軍は、町の守備兵で、黒鉄色の甲冑を着てて(胸や盾に樹の紋章あり)、基本・徒歩だちで、黒髪かダーク茶髪の人が多いです。救援される側がこちらです。ゴンドール国の戦いは、この二国、助ける軍・助けられる軍の関係を把握しながら見れば、あんまし混乱しないですむかと。んじゃ、以下、ストーリーのおさらいです。警告:以下の文章には、致命的なネタバレ情報が含まれます。映画本編を見る前には、絶対に読まないでください!・ 騎馬民族国ローハンを救ったガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリは、ローハン軍と一緒に陥落したアイゼンガルドにやって来て、そこでメリー&ピピンと再会を果たす。ピピンは瓦礫の中から、悪の魔術師サルマンの持ち物だった黒い水晶玉みたいなのを発見する。 ↓・ この玉は悪のテレパシー装置みたいなもんで、素手でさわると、冥王サウロンと意識が直接つながっちゃって、未来が見えたりもする。トラブルメーカーのピピンがこれをさわってしまう。そして見たのは、燃え落ちるゴンドール国の都ミナス・ティリス市の幻影だった。 ↓・ 冥王サウロン軍の攻撃目標がミナス・ティリス市だと分かった一行は、その救援に向かおうって話に。でもローハン王セオデンは、『2』で自分たちが攻められてた時にゴンドール国が助けてくれなかったことを根に持ってて、救援を渋る。 ↓・ とりあえずガンダルフは、トラブルばっか起こしてるピピンを連れて、一足先にゴンドール国ミナス・ティリス市に警告するため先行して旅立つ。※ここにきて再び一行は2チームに分裂。以下、TEAMガンダルフとTEAMアラゴルン別々に見てきます。【TEAMガンダルフ】メンバー:ガンダルフ、ピピン ・ ゴンドール国ミナス・ティリス市に着き、執政デネソール候に謁見。このデネソール候って、『1』で死んじゃったボロミア・『2』でTEAMフロドを捕らえたファラミア隊長兄弟のパパで、いちおう王家の絶えたゴンドール国では代理トップの地位にいる人。この人、ピピンのことは気に入って自国の城兵として取り立てたりするが、「騎馬民族国ローハンに助けを求めれば?」ってガンダルフの提案は拒否。ってのもローハン軍には王家の末裔アラゴルンが参加してるからで、アラゴルンがここに帰ってきたら(=王の帰還)、権力の座を返さなきゃならない、ってことが気に入らない模様。ま、今年ブームの『篤姫』風に意味もなく例えりゃ、大政奉還・王政復古をイヤがってるワケですな。 ↓・ と、かたくなに助勢を拒否されても敵を利するだけなんで、TEAMガンダルフは勝手に救援狼煙に火をつけちゃう。この狼煙が上がるとローハン騎馬軍団が助けに来てくれるって約束が両国間には結ばれてる模様。 ↓・ ゴンドール国にはミナス・ティリス市より敵国モルドールに近い場所にオスギリアス市って町(廃墟。『2』でファラミア隊が戦ってた場所)がある。そこがモルドール国のオーク族軍団の攻撃を受けちゃって、陥落。 守備隊長のファラミアはどうにかミナス・ティリス市まで退却してきて、そこでTEAMガンダルフに会い、こないだTEAMフロドと会ったばっかだと伝える。 ↓・ デネソール候は、息子のうち故ボロミアをえこひいきしてて次男ファラミアを毛嫌いしてるんで、「おめおめ生きて帰って来やがって、兄さんとは大違いの、この不肖の息子めが。お前が死にゃよかったんだ、今からでも特攻してこい」的なヒドいことをファラミアに言う。凹んだファラミア、仕方なく寡兵でオーク族のオスギリアス市占領軍に向かって特攻するが、とうぜん全滅。 ↓・ ファラミアが死にかけて戻ってくると、自分のせいなのにパパのデネソール候はうろたえ、さらに、自国がついに敵軍に包囲されちゃった光景を目の当たりにして「なんでローハン騎馬軍団は救援に来てくんないんだ!」と完全に逆ギレ。「もう自殺する!!」などと言い出し、ファラミアと一緒に無理心中(焼身)するが、ファラミアだけがTEAMガンダルフに救出される。 ↓・ オーク族の包囲軍がミナス・ティリス市への攻撃を開始。さらに、空から翼竜みたいなのに乗って飛来した指輪の幽鬼ナズグルの親分に、ガンダルフが襲われる。 ちょうどその時、ローハン騎馬軍団の援軍が到着!ナズグル親分はそっちの戦場へ向かって飛び立ち、ガンダルフは助かる(こっから先の展開はTEAMアラゴルンの箇所を読まれたし)。【TEAMアラゴルン】メンバー:アラゴルン、レゴラス、ギムリ、メリーおよびローハン騎馬軍団(国王セオデン、青年将校エオメル、男勝りの姫エオウィンなど) ・ TEAMガンダルフが勝手に上げた狼煙を見て、救援に行くことを渋ってたローハン国王セオデンも考えを変える。かくして、中つ国最強の緑備えのローハン騎馬軍団、およびTEAMアラゴルンは、ゴンドールの都ミナス・ティリス市をめざすことに。 ↓・ 途中、アラゴルンの先祖に不義理を働いたため呪いをかけられて成仏(?)できないでいる亡霊どもを味方にできたら、戦局もちょい有利になるかもね、と思い立ったアラゴルンは、レゴラス・ギムリとともに、亡霊どものいる洞窟に向かう。この時点で一時的にローハン騎馬軍団から離脱。そして亡霊どもを「子孫のオレに加勢してくれたら先祖の呪いをオレが解いてやってもいいけど、どうよ?」的に誘って、連中を味方に引き入れることに成功する。 ↓・ ローハン騎馬軍団、ゴンドール国の都ミナス・ティリス市に到着。すでにゴンドール守備軍とモルドール国オーク軍団との間で戦端は開かれてたが、その敵軍の側背に騎馬突撃を敢行。その後、象の超巨大版みたいなバケモノや、翼竜みたいなのに乗った指輪の幽鬼ナズグルなどとも死闘を続ける。そのさなか、ローハン国王セオデン、討ち死に! ↓・亡霊軍団を率いたアラゴルンとレゴラス、ギムリは、まず敵国側についた傭兵海賊を倒して船を奪い、その船で河を進み戦場ミナス・ティリス市に馳せ参じ、敵の包囲軍や象の超巨大版みたいなのを攻撃。敵を全滅させた。かくして、善の勢力、勝利!ただし亡霊軍団は、約束どおり成仏(?)してしまい、以降の戦いでは加勢してくれず。※ここでTEAMガンダルフとTEAMアラゴルンは再合流をはたす。アラゴルンは王としてゴンドール国の指揮官となり(執政デネソール候の焼身自殺、その息子ファラミア隊長の負傷による戦線離脱のため)、ゴンドール軍、ローハン騎馬軍団、それにガンダルフ、レゴラス、ギムリ、ピピン&メリーらと、敵国モルドールをめざして進軍。モルドール国の玄関口「黒門」のところ(『2』でTEAMフロドが侵入をあきらめた場所)にて敵軍を挑発する。その目的は、敵軍の注意を最大限こちらにひきつけ、TEAMフロドの滅びの山突入作戦を容易にすること。 ↓・勝ち目のない陽動作戦だったが、TEAMフロドが任務を遂行し、指輪が破壊されたため、悪の魔力が消えて敵軍は壊滅し、ついに善の勢力は完全勝利をおさめる!【TEAMフロド】メンバー:フロド、サム、ついでにゴラム ・ モルドール国めざしてどんどん進む3人。途中、ミナス・モルグルという、指輪の幽鬼ナズグルの居城である、緑色に光ってるヤバそうな要塞みたいなとこの脇を通過(この時、ミナス・ティリス市攻撃のためナズグルとオーク軍団が出陣してく)。 ↓・ フロドとサムを仲たがいさせようというゴラムの悪だくみによって、フロドはサムの友情と誠実さを疑い、追い払ってしまう。 ↓・ 邪魔者サムがいなくなったことで、いよいよゴラムはフロドのことを罠にかける。「キリス・ウンゴルって峠のトンネルしか先に進める道はない」と言い、フロドをそこに誘い込んで、その中に巣を張ってる巨大グモに襲わせる計画。で、フロドが泡食ったところにすかさず襲いかかり、指輪をふんだくろうと試みるものの、フロドに蹴飛ばされ、ゴラム、崖の上から転落。 ↓・ フロドに追っ払われちゃったサムはトボトボもと来た道を帰ろうとするけど、その途中の道端にはゴラムが陰謀をめぐらしてる決定的な証拠が残されてた。それを見て、フロドを助けようと急ぎ引き返し、フロドが巨大グモに襲われてる現場に駆けつけ、どうにかこうにか巨大グモを撃退。だが時すでに遅く、フロドはクモの毒針に刺されて死んじゃってた…。 ↓・ フロドの死体は、その場にやって来たオーク族によって運ばれてく。でも、実は死んだんじゃなくて、毒針で麻痺してただけ。と、いうことを知って愕然となったサムは、フロドが運ばれてったオーク族の牢獄みたいなとこに突入、息を吹き返したフロドを救出する! ↓・ そっからモルドール国はすぐで、ついにフロドとサムはモルドール領内に足を踏み入れることに。そこには見渡すかぎりオーク族がウジャウジャいて、とても踏破できそうになかったが、なぜか急に、オークたちがどっかあさっての方向に向けて移動を開始。冥王サウロンの監視の目もそっちの方角に向けられ、2人はノーマークで先に進めるようになる(実はこの時、TEAMアラゴルンが「黒門」で陽動作戦を展開し、敵の注意がそらされたため)。 ↓・ ついに滅びの山に到着。だが、崖から落ちたはずのゴラムが実は生きてて、襲ってくる!で、取っ組み合い、くんずほぐれつのドツキ合いをしながら、ついにフロドは、指輪を奪い取ったゴラムごと、滅びの山のマグマの中に、指輪を叩き落すことに成功する。マグマの中で指輪は溶解、かくてミッション達成!ついに世界は救われた!!【エピローグ】旅の仲間全員は再会を果たし、アラゴルンはゴンドールの王位に就き、ハッピーなムードのうちに旅の仲間は解散。フロドらホビット族4人衆はホビット庄(シャイア)に無事に戻り、その後、サムは結婚。そして、何年かが過ぎる。フロドは例の養父ビルボが書いた『ホビットの冒険』の続編として、自身の回想録『指輪物語』を執筆するんだけど、その頃になっても『1』で指輪の幽鬼ナズグルに刺された古傷が癒えず、西の海の彼方、神々の土地に移住して養生しなきゃならなくなる。フロドは、エルフ族、ガンダルフ、養父ビルボ(指輪の超自然パワーが無くなってから急に老け込んだ)とともに、船に乗って西の方角へと旅立ち、二度と戻らなかったのでした。終劇!■いっやー、お疲れ様でした! このブログも異常な文章量になっちゃいましたけど、実はこれでも、覚えとかなくてもとりあえずストーリーについてく上で困らない固有名詞の解説やら、本筋に直接影響してこないサイドストーリー的なエピソードなんかは、極力、省いてるんですわ。が本当は、その細部にこそ、神は宿る!『指輪物語(LotR)』のほんとにほんとの魅力は、実はそこなんです。たとえば、ミナス・ティリス市と、ナズグルの居城だったミナス・モルグルって、なんとなく名前が似てるけどなんでだろ、とか、オスギリアス市はなぜ廃墟なんだろとか、こういったことにもちゃんとワケがある。フロドが去っていった西の海の方には何があるのか、その背景も、実はちゃーんと作られているんです。さすがにマニアうけのいい作品だけあって、ネット上には『指輪物語(LotR)』関連の情報、用語解説なんかがいくらでも載ってますんで、映画見て、この魅力にハマりそうだ、と思った人は、まずはネットでどんどん調べてみてはいかがでしょう?映画『LotR』は、小説では読んだ人が頭の中で想像するしかなかったシーンを、ワタクシのようなド凡人の乏しい想像力では無理なレベルの圧倒的ヴィジュアルに映像化してみせたって点で、本当にすばらしい! 原作ファンも、その点では100点満点をピージャック監督にあげられるんじゃないでしょうか?映画のヴィジュアルをまぶたに焼き付けた上で、ワタクシとしては、やっぱり原作も読まれることをオススメいたします。この長大な映画版より実はもっともっと情報量の多い超大河小説を、映画が見せてくれた圧巻のヴィジュアルイメージの記憶で補完しつつ読み進められりゃ、まさに鬼に金棒! 100%完璧にファンタジー文学の最高峰『指輪物語』の魅力を堪能できるだろうと思いますよ。長い小説ですけど、20世紀文学史の金字塔でもある大傑作ですんで、この年末年始の休みにでも、未読の人はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょ。©MMIIINew Line Productions, Inc.All Rights Reserved..
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                                COLUMN/コラム2008.12.07
『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』補足ブログ
さぁ、物語もいよいよ佳境に入る『2』こと『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』です。『二つの塔』とは、冥王サウロンの住むバラド=ドゥア塔と、裏切り者の魔法使いサルマンの本拠地アイゼンガルドにそびえるオルサンク塔のこと。いわば、悪の枢軸みたいなもんですな。しかし、本作で重要になるのはオルサンク塔の方で、それが『2』のメイン舞台のひとつ(バラド=ドゥア塔は『3』のメイン舞台です)。ここで活躍するのがメリー&ピピンの名コンビです。一方、もうひとつのメイン舞台が騎馬民族国ローハンで、こちらではアラゴルン、レゴラス、ギムリが活躍します。フロドとサムの2人は今作ではしゅくしゅくと滅びの山のそびえるモルドール国をめざして歩き続けます。『1』のラストで旅の仲間は3つに分裂、『2』では各チームがそれぞれの冒険を続けます。以下、TEAMフロド、TEAMメリー&ピピン、TEAMアラゴルンとして、『2』でのそれぞれの動きを追ってきましょう。警告:以下の文章には、致命的なネタバレ情報が含まれます。映画本編を見る前には、絶対に読まないでください!【TEAMフロド】メンバー:フロド、サム、ついでにゴラム・ 滅びの山がそびえるモルドール国めざして、ドヨーンと暗いムード漂う荒れ地を進む2人(暗いムードすぎてここがすでにモルドール領内かと勘違いする向きもありそうですが、全然モルドールの手前です。モルドール領の陰鬱さはこんなもんじゃありません!)。道中、2人はゴラムの襲撃を受ける。こいつ、現指輪所有者フロドの前の所有者ビルボの、そのまた前のオーナーだった奴で、まだ指輪に未練がある。 ※ 補足:なんだけど、そこらへんのいきさつ本編では詳しく描かれてません。描かれてるのが『ホビットの冒険』だってのは前回ブログにて既述のとおり。ゴラムの襲撃を撃退する際、フロドが「この剣は“つらぬき丸(スティング)”だ。見覚えあるだろ、ゴラム」とかミエ切ってますが、この剣も元は養父ビルボの物。『1』の時に“裂け谷”でフロドがビルボから譲られるシーン、ありましたよね。『ホビットの冒険』に、洞窟の中でゴラムがビルボの持つ“つらぬき丸(スティング)”にややビビり気味という記述があるんですが、それ知らなきゃこんなセリフ意味わからんって。 ↓・ ゴラム、その剣で脅され、指輪の奪回を断念。以後、下手に出てフロドにおもねる。TEAMフロドはこのゴラムを案内役に立てモルドール国を目指すことに。『1』で描かれてたとおり、ゴラムはモルドール国に拉致られて拷問うけた暗い過去があるんで、モルドールへの道はよく知ってる。 ↓・ 変な沼とかでいろいろあったけど、どうにかモルドール国の玄関口である「黒門」に到着。ただ、どう見ても突破なり潜入なりできるような状態じゃなかったんで、そこからのモルドール入りは断念。ゴラムが「別ルートがある。ヤバい道だけどそっちのがまだ可能性ある」とここにきて初めて明かしたんで、そっちルートに変更。 ↓・ 新ルートを進んでると、モルドール勢と対抗勢力との小競り合いに巻き込まれ、その対抗勢力の方にTEAMフロドは捕まってしまう。その対抗勢力ってのがゴンドール国。部隊を率いるのは例の死んじゃったボロミアの弟ファラミアだった。ゴンドール国はモルドール国と戦争してるんでTEAMフロドにしてみたら味方サイドのはずだけど、この国の連中、どうも禁じ手とされる「指輪使って一発逆転」狙いたがる悪いクセがあって、今度のファラミア隊長も兄貴のボロミアと同じことを考え、指輪を自国ゴンドールに持って帰ろうとする。 ↓・ でモルドールとの戦争の最前線にあるゴンドール国の町(といっても今は廃墟)オスギリアス市が攻撃を受けてるってんで、ファラミア隊に連行されてTEAMフロドもそこに行くハメに。ここでの戦闘では指輪の幽鬼ナズグルが翼竜みたいなのに乗って襲いかかってきて、そのさなかにフロドとサムの友情パワーの感動シーンが描かれたりする。その麗しい模様をコッソリ影で見てジーンときちゃったファラミア隊長は、2人を(ってか指輪を)ゴンドール国へ運ぶっていう禁じ手的な企みを断念。滅びの山への旅を続けていいと言い、TEAMフロドは無駄な足止めからやっと解放される。 ↓・ っていうか結局モルドール国に一歩も足を踏み入れられないまま、『2』終劇!しかもゴラムはしおらしく案内役を努めているようでいて、腹に一物ある模様…。【TEAMメリー&ピピン】メンバー:メリーとピピン ・ 悪に寝返った魔術師サルマンが放った強化オーク族“ウルク=ハイ”を中心としたオーク部隊に誘拐された(指輪を持ってるフロドと間違われて)2人だが、隙を見て逃げ出す。 ↓・ で、逃げ込んだ森で、木の精というか生きている樹というか樹木型二足歩行生命体というか、そんな感じのエント族と知り合い、実は死んでなかったガンダルフとも再会を果たす。ガンダルフの依頼で、エント族が2人をかくまうことに。 ↓・ メリーは、エント族も悪との戦いに加わるよう演説をぶつが、いまひとつ響かず。そこで今度はピピンが一計をめぐらし、エント族を悪に寝返った魔法使いサルマンの根拠地アイゼンガルド近くまで連れて行くことに。 ↓・ アイゼンガルド周辺はサルマンの富国強兵策によって豊かな森林が伐採され、一部、工業地域化されてた。それを見た森の守護者たるエント族は、ピピンの思惑どおり激ギレ!おりしもアイゼンガルドの10,000を下らないと言われる軍勢は騎馬民族国ローハン攻めのため出払っていて空城同然だった。その空城でエント族は大暴れを始め、堤防を決壊させて水攻めに。アイゼンガルドは床上浸水で復興不能状態、完膚なきまでに叩き壊されちゃう。それを自宅兼事務所(多分)である塔の上からなすすべもなく見てるしかない魔法使いサルマン、泣きそう…。「二つの塔」のうちの一方(オルサンク塔)、陥落!【TEAMアラゴルン】メンバー:アラゴルン、レゴラス、ギムリ ・ 誘拐されたTEAMメリー&ピピンを助けようと跡を追うが、森の中でガンダルフと再会。「あの2人はもう大丈夫」と聞いて一安心する。自分たちで救出はできなったが、結果よければすべて良しで、TEAMアラゴルンは別の戦いに身を投じることに。めざすは騎馬民族国ローハンだ。 ↓・ローハン国では国王セオデンが悪の魔法使いサルマンの魔法で廃人同然になっており、憂国の青年将校エオメルを国外追放するよう仕向けられるなど、魔法使いサルマンの意のままに操られてた。 ↓・ローハン国にやって来たガンダルフの善の魔法によってセオデン王の呪縛が解け、以後、ローハン軍は善の側として戦いに参戦。TEAMアラゴルンもこの軍に加勢する。 ↓・ 悪の魔法使いサルマンは冥王サウロンの指令に基づき人間絶滅のいくさを本格始動。その手始めに狙われたのが、自分のコントロール下から抜け出し反抗的になった騎馬民族国ローハンだった。ハンパない数の軍勢をローハン国に差し向ける魔法使いサルマン。ローハン国王セオデンは都を捨てて難攻不落の砦がある渓谷に全住民で立てこもると決める。TEAMアラゴルンも同行。ただしガンダルフは、例の追放された青年将校エオメルを呼び戻しに、どっかへ行っちゃう。 ↓・ アラゴルン、ローハン国の威勢のいいお姫様(セオデン王の姪)に片想いされちゃったり、崖から落ちたりといろいろあった後、渓谷の砦はいよいよ魔法使いサルマンが差し向けた軍勢に包囲される。彼我兵力差、なんと10,000vs300。スパルタ人でもなけりゃまず勝てない! ↓・ ローハン国王セオデンは「ウチには親しくしてる国なんて無いから、どうせどこも援軍には来てくれない」と捨て鉢ぎみだったが、 『1』に出てきたエルフ族が善の勢力同士ってよしみだけで援軍に来てくれて、人間のローハン国+エルフ族の混成軍が出来上がる。 ↓・ でもやっぱ多勢に無勢で勝てない。そもそも騎馬民族に篭城戦は向いてないってことで、最後は残った10騎ぐらいで騎乗カミカゼ特攻を敢行し華々しく散ろうとするが、ちょうどその時、ガンダルフが例の追放された憂国青年将校エオメルとその部隊2,000騎を引き連れて戻って来て敵攻囲軍の後背を突いたんで、形勢逆転!勝った!!とまぁ、こんな推移で『2』は終わり。『3』ブログに続く。■ ©MMII New Line Productions, Inc.All Rights Reserved.
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                                COLUMN/コラム2008.12.06
『ロード・オブ・ザ・リング(旅の仲間)』補足ブログ
『ロード・オブ・ザ・リング』の『1』についてちょいと補足します。ちなみに原作『指輪物語』ですと『旅の仲間』ってサブタイトルがちゃーんと付いてます。まずは、しょっぱな冒頭ですよね、『LotR』を初心者にとっつきにくくしてる元凶は。指輪がどうして世に生まれて、どうやってホビット族の手に入るに至ったのかを、ものすっごく駆け足でハショりまくって見て行くプロローグ的部分です。ここだけ補足説明しとけば『1』はまず完璧でしょう。ものの7分ちょいのプロローグなんですが、この7分間が超重要なんです!えー、この7分の中に、ホビット族のビルボ(主人公フロドの養父)が洞窟の中で指輪をたまたま拾うシーンがございますが、これ、実は『ホビットの冒険』っていう『指輪物語(LotR)』とは別の物語から引っぱってきた重要場面なんです。『ホビットの冒険』ってのは『指輪物語(LotR)』のいわゆる“エピソードI”的な前日譚です。これも前・後編でそのうち映画化されるらしいっすけどね『ホビットの冒険』の主人公はビルボで、13人のドワーフ族とともに大冒険を繰り広げるってお話なんですわ。ガンダルフとかエルロンドとか、ガンダルフを塔のてっぺんから救出した鷲とかも出てきます。映画『1』冒頭、ビルボとガンダルフが再会を喜ぶシーンがありますが、2人は『ホビットの冒険』時代に一緒に冒険した仲なんで、えらい懐かしかったんでしょう。そのシーンで、ビルボがガンダルフに「隠居してどこかで静かに本を書き終えたい」とかなんとか言ってますけど、本ってのはビルボの回想録のこと。それこそが『ホビットの冒険』なんです。つまり『ホビットの冒険』はビルボ・バギンズ著のノンフィクション、って設定になってるワケ(後で“裂け谷”のシーンで完成した本が出てくる)。さて、ビルボが指輪を拾った話に戻りますと、それがらみで『ホビットの冒険』に登場してくるキャラがゴラムです。さすがに重要すぎるキャラなんで映画『1』でもちょいちょい説明されてますが、かなり説明不足ですんで、ここで補足しときます。ゴラムは指輪の元の所有者で、指輪の魔性に魅入られ、洞窟の中で引きこもりな生活をしてた奴です。こいつがある時、大事な指輪をたまったま洞窟の中で落とすかなんかしたんです(っていうか、いつまでヒッキーに死蔵されててもラチ明かんと、冥王サウロンのもとに帰りたがってる指輪が、おのれの意志で逃げ出した)。で、その指輪を、大冒険のさなか、たまたま別件でゴラムのいる洞窟をさまよってたビルボが拾ったんですわ。直後、ビルボはゴラムと出会い、なぜか洞窟の真っ暗闇ん中でナゾナゾ対決をするハメになります。実はゴラムって、ナゾナゾ大好きという、意外にカワイイ一面があるんで。で、ビルボが勝てば洞窟の出口までゴラムに案内してもらえ、ゴラムが勝てばビルボを食ってもいいという、まさに生死を賭した勝負になったんです(『2』以降、ゴラムが刺身好きってのは描かれますが、平気で人も食っちゃうんです、実は)。で、押され気味だったビルボが最後にビルボ「いま私のポケットに入ってるものなーんだ?」ゴラム「分かるかそんなの!」(正論です)という反則技で逆転勝利(?)するんですが、ゴラムがその直後に大事な指輪を紛失したことに気づき、「指輪だな!?ポケットの中に入ってたのは指輪だな!お前が盗みやがったんだな!? 返せこのヤロー!!」という展開になるワケです。ビルボは指輪はめて透明になってその場を無事に切り抜けました(よく指輪はめた時のあの強烈な不快感に堪えれたな、ビルボは)。えー『1』の劇中、ビルボが旅立った後、主のいなくなったビルボの家で、主が残していった指輪を前に、ガンダルフがパイプをくゆらせつつ物思いに耽りながら「発端は“暗闇の謎問答”…」などとつぶやくシーンがございますが、このことを言ってたんですな。ナゾナゾ合戦のことは映画『LotR』劇中ではいっさい触れられてませんので、このセリフは『ホビットの冒険』を読んだことない人には完全に意味不明です。ちょいヒドいよな、この作りは。だから分かりにくい映画とか言われちゃうんだよ…。とにかくですね、このゴラムってのは『2』、『3』以降、フロドとの絡みで決定的に重要な役割を果たしていくキャラなんで、以上ながながと記した映画では言及されてない経緯、よーく把握しといてください。とまぁ、こんなところで『1』の補足説明は十分だと思います。あとはストーリーを簡単におさらいしときます。警告:以下の文章には、致命的なネタバレ情報が含まれます。映画本編を見る前には、絶対に読まないでください!・ 主人公フロド・バギンズが、隠居する養父ビルボ・バギンズから指輪を受け継ぐ。 ↓・ 魔法使いガンダルフの調査で、指輪が冥王サウロンのものと判明。これをサウロンが取り戻すとMAXパワーを発揮できるようになり、世界が滅ぼされる(蛇足ながら、『ロード・オブ・ザ・リング』とは「指輪の王」ってな意味で、つまりこのサウロンのことをさす)。 ↓・ 冥王サウロンはひっ捕らえたゴラムを拷問し「指輪は“ホビット庄(シャイアとも。ホビット族の村のこと)”のバギンズが持ってる」と聞き出し、恐ろしい指輪の幽鬼ナズグル9人衆を派遣。 ↓・ と、いう話をガンダルフに聞かされたフロドは、ホビット庄に居たらヤバそうだってんで、とりあえず指輪を持ってあわただしく逐電。ガンダルフは先輩魔法使いサルマンにアドバイスをもらうためサルマンが住むアイゼンガルドに向かう。フロドは独り、しばらく行った所にある村を目指し、後日そこでガンダルフと落ち合う、ってプラン。だが結局フロドには、庭師のサム、遠縁のピピン&メリーというホビット族仲間3人が同行することに。 ↓・ アイゼンガルドでサルマンと会うガンダルフ。だがサルマンは冥王の側に寝返っており、ガンダルフは監禁されてしまう。そのためフロドとの待ち合わせ場所に行けず。 ↓・ フロドらは待ち合わせ場所でガンダルフを待つが、一向に現れない。次第に追っ手ナズグルたちが迫ってくるが、その場にはアラゴルンがおり、以降、彼がフロドのことを護ってくれる。 ↓・ アラゴルンによって、フロドたちは、この待ち合わせ場所を出、エルフ族の領土“裂け谷”に導かれる。道中、ナズグルに攻撃されるが、なんとか“裂け谷”まで到着。そこには監禁から辛くも脱出してきたガンダルフの姿も。 ↓・ “裂け谷”のエルフ族領主エルロンドは、自分たちでは指輪を守りきれないので、指輪を“裂け谷”で管理することはできない、と言い、けっきょく指輪を今後どうするのか、各勢力の代表者を集めた会議にて決めることに。 ↓・ 会議の結果、指輪を破壊することに決まる。とは言え、この指輪は何をやっても破壊できず、唯一、指輪を作った滅びの山の業火だけがこれを物理的に破壊できると判明。ちなみに滅びの山は冥王サウロンの国モルドールにそびえてるんで、誰かビンボーくじ引いた奴が直接そこ(敵国の真っ只中で、かつ地獄の一丁目みたいな土地)まで行かにゃなんない。 ↓・ フロド、その超ビンボーくじ任務に志願。会議に出てた各勢力の代表者はフロドをサポートすることを誓い、ここに9人の“旅の仲間”が結成された。メンバーは、フロドサムメリーピピンガンダルフアラゴルン(実はゴンドール国の滅びだ王朝の末裔であることが判明)エルフ族のレゴラスドワーフ族のギムリゴンドール国執政の息子ボロミアって顔ぶれ。でもボロミアだけは指輪を破壊することには反対で、そのパワーで逆に冥王に対抗しようと主張する。彼の国ゴンドールは冥王の国モルドールに一番近くて、戦争状態にあるので、他の連中よりはるかに切羽詰ってて、そう考えるのもムリはないんですな。 あと、彼は執政の息子で、王家の絶えたゴンドール国の代理トップのご令息なんだけど、その王家の生き残り、ほんとのほんとのトップって血筋のアラゴルンがいきなし現れたんで、対抗意識ムキ出しになっちゃうのも、また仕方ないことです…。 ↓・ 滅びの山を目指し遥かな旅に出る仲間たち。途中、ドワーフ族の地下王国モリアを通るが、そこは今は廃墟と化しており、オーク族(この世界のザコキャラモンスター)がウジャウジャいて、その上、恐ろしいバケモノまで巣くってた。そのバケモノとの戦いで、ガンダルフ、死す! ↓・ エルフ族の国ロスロリアンを通過。女領主からいろいろ素敵なお土産をもらっちゃう。『2』以降の冒険でお役立ちアイテムとして活用されるので要チェック。 ↓・ 道中の森で、フロドとボロミアが2人きりになるシチュエーションがあり、その際にボロミアは自国ゴンドールを守るため、フロドから指輪を腕ずくで奪おうとする(そういう挙に出たのも指輪の魔力に操られたせい)。辛くも逃れたフロドは、他の仲間も指輪の魔力に惑わされ態度が豹変しちゃう恐れがある以上、ここから先は独りで旅を続けるしかない、と腹をくくる。正気に戻ったボロミアは後悔しきり。 ↓・ 寝返った魔法使いサルマンが作り出した強化オーク族“ウルク=ハイ(白い手の平マークが目印)”が旅の仲間の追跡に放たれる。その目的はフロドの拉致。旅の仲間たちもこの先の旅はフロド独りでしか続けられないことを納得し、それぞれが“ウルク=ハイ”からフロドを逃がそうと懸命に戦う。 ↓・ メリー&ピピンはフロドを逃がすため自らオトリとなり、助けに駆けつけたボロミアの奮戦もむなしく、“ウルク=ハイ”に拉致られてしまう(“ウルク=ハイ”はメリー&ピピンをフロドと勘違いした模様)。ボロミア、壮絶なる戦死!(ここ男泣きポイント) ↓・ フロドに同行すんのを断念したアラゴルン、レゴラス、ギムリは、拉致られたメリー&ピピンの身柄奪還のため、悪の魔法使いサルマンのもとに戻って行った“ウルク=ハイ”部隊を追撃することに。 ↓・ フロドは独りでモルドール国の滅びの山を目指そうとするが、忠実なる庭師のサムだけは死んでも同行すると言い張って聞かず、結局、この、主従であり親友でもあるコンビで、指輪を破壊するための旅を続けることに。 ↓・ 以上、『1』終劇!どうでしょう?『1』の展開は飲み込めました? 『2』以降はますます複雑な要素がからみ合うようになってきますが、このブログをご参考の一助にしてください。■ ©MM?New Line Productions, Inc.All Rights Reserved
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                                COLUMN/コラム2008.12.01
池澤春菜さん特別寄稿!第二弾『指輪物語』
前回勝手に続き物にしてしまって、ごめんなさい。だって書ききれなかったんですもの!!改めまして、池澤春菜です。「ナルニアも物語」に続き、今回は「指輪物語」のお話を。原題のThe Lord of the Ringsを「指輪物語」と訳してしまう、この直球にして豪快なセンス!!原作には、この翻訳マジックがいかんなく発揮されています。トールキン自身が「翻訳はその国の言葉で」と言っているのもあり、地名やあだ名がしっくりと私たちにも馴染むものに。ちょっと余談にはなりますが、こと翻訳物において、翻訳者の力量、翻訳者のカラーというものがどんだけ大事か!!今まで数々の作品を読みながら感じてきた微妙な思い。「……このしっくり来ない感じは、きっと原作にはないに違いない」とため息をついていた私としては、ここんとこは声を大にして言わせていただきたい!!ギブスンのサイバーパンク三部作は、黒丸尚さんじゃなきゃダメだったんです。タニス・リーの平たい地球は、誰がなんと言おうと浅羽莢子さんなんです。「ナルニア国物語」と「指輪物語」。瀬田貞二さんがいなかったら、私の人生に光なし。今回の「指輪物語」→映画版ロード・オブ・ザ・リングにも、数々の翻訳の苦労があったようで……。原作を読んできた人、まだ読んだことがない人、日本語の語感と、英語のとして正しさ、いろんなものを全部成立させるのは、至難の業ですよねぇ。確かに、ヴィゴ・モーテンセンに向かって「馳夫さん!!」と呼びかけるには、相当な勇気がいる気がします。でも、サルマンとサルーマンとサウロンには未だに混乱中。アイゼンガルドとイセンガルドも混乱中。伸ばす棒があるかないか、単語の始まりの音の雰囲気、細かいところでけっこう違うもんなんですね。でも、そんな原作フリークの些細な戸惑いすら吹っ飛ばすほど、映像化された指輪物語は素晴らしうございました。私が最初に指輪物語を読んだのは、小学生の時。六巻というボリュームにしびれ。活字のつまり方にしびれ。補足にしびれ。面白くて、しかも量もたっぷり、何度読んでも夢中になれる奥深さ。つまり、活字中毒の求める夢がそこには全部詰まっていたわけです。全世界にいる無数の指輪物語フリークを差し置いて、この私がのうのうと語れることではないと思うけど……でも、やっぱり、指輪物語は最高に面白い。壮大な物語と言えばオデュッセイアもイリアスも、三国志も、マビノギオンも、古事記もそうですが、それに比肩するここまで大きな世界を、個人で創造したのは、歴史的に見てもかなり希有なことでは? 気候や風俗は言うに及ばず、言葉まで作り上げてしまったトールキンの緻密な構成力。さすが古英語の教授!!奥深い歴史と広大な中つ国を背景に活躍する、生き生きとした登場人物達。その中でも、やっぱり私は馳夫さんことアラゴルンが一番のお気に入りでした。とはいえ、ファーストインプレッションは惨憺たるもの。旅の途中、宿屋の食堂で出会った馳夫さんは「変わった様子」「履き古し、泥のついたブーツ」「半白のもしゃもしゃ頭」とあからさまに怪しい風体。暗い隅っこで目深にフード、ひっそり座って、フロド達の話に聞き耳を立てています。うん、これは、怖い。小心者のフロドなんてさっそく、「きっと、ごろつきにお金を巻き上げられるんだ(泣)」と早合点。でもアラゴルンは、本当はとても凄い人。王の血筋に生まれ、ゆくゆくは二つの王国を統べる上級王に。人間とエルフの希望をつなぐ者としてエステル(希望)、星の鷲を意味するソロンギル、エルフの石を意味するエレッサール……とてもたくさんの名前を持っている、日本で言ったら寿限無みたいな人(ちょっと違う)。でも、フロド一行と会うまで実に70年(!!)近く荒野を彷徨っていたので、そりゃもう惨憺たる見た目に。暗くて、疑り深くて、割と陰湿。神経質で、秘密主義。でも、誇りと孤独の重さを、存分に知っている。どうもこの「孤高の」という存在に弱い私は、この時点でイチコロです。映画の方では、ちゃんとカッコイイ登場の仕方になっておりますので、ご安心を。原作のアラゴルンに馴染んでいる身としては、ちょっと二枚目過ぎる気もしますが……ま、逆のパターンに比べたら。優しくて温かくてユーモラス、でも強大な力と、力の持つ怖さをも存分に知っているガンダルフも、おひげが似合うイアン・マッケランがピッタリ(正直、X-MENのマグニートーはどうかと思ったけど)。原作で憧れていた、ガンダルフの愛馬飛蔭も、神々しい姿を見せてくれています。読んだ人それぞれの頭の中にある像を、誰も違和感を覚えることなく映像化するなんて絶対に無理だとは思うけれど、この映画はその最大公約数に限りなく近いんじゃないかなぁ。まだ原作を読んでいない方は、これを機に、じっくりたっぷり、指輪物語の世界に浸ってみて下さい。小さなところから興味を引かれ始め、どんどんと深みにはまり、読む度毎に新しい発見がある。私にとって指輪物語は、生涯に渡って飽きることなく、繰り返し読める魔法の本です。と、いうことで、次回はとうとう「ゲド戦記」!!■ 『ロード・オブ・ザ・リング』©MM?New Line Productions, Inc.All Rights Reserved.
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                                COLUMN/コラム2008.11.28
ミュージック・シネマ第3弾は『フェノミナン』ついにあの名曲が登場!
日本だけなのか、あるいは知らないだけで実は世界中に氾濫しているのかよくわからないもののひとつに「世界三大」ナンタラ・・・というのがあります。ホラ、よく言いますよね。たとえば世界三大映画祭はカンヌ、ベルリンの二つはデーンと腰掛けているものの、もうひとつの席には歴史の長いヴェネツィアが入ったり、規模の大きさでトロントが入ったりと、ものすごく曖昧。一般的に認知されている映画祭でさえ、こんな風なのですからほかの「世界三大」は言わずもがなですよ。こんなことなら、世界三大「最古」映画祭とか、世界三大(来場者)映画祭にしちゃえばいいのにとまで思ってしまいます。しかし!とかく怪しい「世界三大」シリーズにおいても、揺るぎない、いや揺らいではならないものが2つだけあるのです。ひとつは当チャンネルが12月に総力を挙げてお送りする「世界三大ファンタジー」。これはもう、説明するまでもなく『ナルニア国物語』と『ロード・オブ・ザ・リング』そして『ゲド戦記』に決まっております!え? 誰がきめたって?それは厳正なる審査の上、当チャンネルが決めたのです。テヘヘ。(きっとこういう風に、他の「世界三大」シリーズも決まっていったんでしょう・・・) ※編成部注:いやいやライターさん、これは世の中的にホントにあるんだってば!ウチが勝手に捏造したんじゃありませんから。そしてもうひとつが、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、エリック・クラプトンの三人からなる世界三大ギタリストなのです。10月より当チャンネルで始まった新企画「ミュージック・シネマ」が『ボディ・ガード』、『スペース・ジャム』に続き、満を持してお送りするのが、この三大ギタリストの一人、クラプトンの名曲と切っても切れない『フェノミナン』です。エリック・クラプトン。口にしただけで、ある人は遠い目をしながら「クリームの頃のあいつはさ・・・」と語りだし、ある人は「ベ?ル・ボト?ム・ブルース??」と歌い始めてしまう、まさにリヴィングレジェンド。これまでクラプトンの影響で家に連れてこられ、押し入れにつっこまれたギターは世の中にいった何本あるのでしょう・・・。そんなクラプトンが映画『フェノミナン』に提供したのが90年代を代表する名曲中の名曲「Change the World」なのです。当時のクラプトンはすでにライヴアルバム「アンプラグド」や「Tears in Heaven」をリリースした後。音楽ファンでなくとも十分すぎるほど知られた名前でしたが、その敷居をさらに下げたのがこの曲でしょう。映画は観たことなくとも、曲は知ってるという人も多いはず。なんつってもうちの母親でも知ってるぐらいですから。さて、そんな名曲を生むきっかけとなった映画『フェノミナン』は農家とディスコが似合うただ一人の男、ジョン・トラボルタ演じるジョージがある日、不思議な光を浴びて、スゴイ能力を手にしてしまうという物語。つまり突然すごい力を手に入れたために、彼自身が「Change the world」してしまうわけです。(←ベタ)光を浴びて以降、ジョージは突如発明や読書に目覚め、すごい勢いで知識を身につけていきます。最初はその能力を発揮して、周囲に歓迎と驚きをもって迎えられるジョージ。しかし、あまりに普通とかけ離れた能力に、いつしか人は彼を怖がり、近づかなくなってしまうのです。そうして、ある日ジョージに思いも寄らぬ来訪者が・・・というお話。当企画で放送するぐらいですから、『フェノミナン』には、数多くの名曲が効果的に使用されていますが、今回はとくに注目して欲しい見所を二つご紹介しましょう。まず一つ目はジョージが自分の能力に初めて気づくシーン。ペンを取ろうとすると、なんとペンがするすると近づいてくるんです。ええっ!! マジで?! さわってないけどペン動いてる!!と驚いた表情でペンを見つめるジョージ。ここに最高のタイミングでピーター・ガブリエルの「I Have The Touch」が流れてくる。「アイ・ハヴ・ザ・タッチ!」・・・・・・そのままっつうか、何というか。まあ、言いたいことは何となくわかりますけどね。そしてもうひとつは、ジョージが思いを寄せる女性、レイスが彼の家を訪れるシーン。このときのジョージはすでに、人から避けられて憔悴状態。ここでレイスは傷つき、疲れ果てているジョージの髪を洗い、ヒゲを剃ってあげるという、女神のような優しさをみせます。この場面は作品の中でもとりわけ美しいシーンなのですが、アマノジャクな僕としては、ここに至るまでの説明が少なく、「アレ!ちょっと唐突じゃない?!」って思ったりしたのです。というのもそれまでレイスはジョージと距離を置いて、お友達としてしか付き合っていなかったから。でも、そんなアマノジャク体質の僕でさえ、アーロン・ネヴィルによる甘〜いラヴソング「Crazy Love」がきこえた途端あぁっ! もうそんなのどうでもイイ!言葉や説明がなくても愛は伝わるんだぜ、クレージーラブだぜ。溢れる感情を抑えきれなくなったんだね、レイス・・・。とあっさり納得し、ささいなことはどうでも良くなってしまうのです。音楽が良い映画ってのは得だなあとつくづく思いますね。優れたミュージック・シネマに、余計な言葉はいらないのです!さて、こんな具合に名曲が至る所に散りばめられた『フェノミナン』ですが、サントラも充実しております。エグゼクティブ・サウンド・プロデューサーは「ザ・バンド」のロビー・ローバートソン。彼はクラプトンに勝るとも劣らないロック界の大物だけに、錚々たるメンバーの楽曲がずらりと並びます。と言っても、ここでポイントなのは、「知っている人には大物だけど、ふだん洋楽を聴かない人にはまったくキャッチーじゃない」セレクトなのがポイント。ブライアン・フェリーとか、ジュエルあたりはまだヨシとしよう。でもタジ・マハールとか、知ってます?絶対、インドの「タージ・マハル」を想像する人のほうが多いはず。しかも大ヒットしたサントラの宿命なのでしょうか、昨今の中古CDショップでは大抵「100円均一」コーナーに並んでたりします。映画ファン、音楽ファンとしては嬉しいような、悲しいような気分です。それと『フェノミナン』にはシェリル・クロウの「Everyday Is A Winding Road」も使用されているのですが、シェリル・クロウと言えば一時、クラプトンと付き合っていた美人ロッカー。それだけにクラプトン「ロビー、オレいま狙ってる美人ロッカーがいるんだけどさ、その子の曲も映画に使ってみてよ」ロビー・ロバートソン「エリック、おれたちゃいい歳なんだから、そろそろ、そういうことはさ・・・」クラプトン「いやー、そこを何とか」みたいな経緯を経て、映画に使われたのカモと想像するのも醍醐味かもしれません。(2人の名誉のために補足すると、この時点でシェリル・クロウはすでに大スター)ま、それはさておき映画の後には恒例のミュージック・クリップが愉しめますので、そちらもお見逃しなく。今回は言うまでもなく「Change the World」です。■ (奥田高大) © Touchstone Pictures. All rights reserved
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                                COLUMN/コラム2008.11.28
今さら人に聞けない『LotR』の基礎知識
っていうか『LotR』って何よ!? という人、そんな人のために、このブログを書いてますんでご安心を。まぁ、ただ単に『ロード・オブ・ザ・リング』の頭文字ってだけの話なんですけどね。そう略すのがナウいらしいんすわ。この12月、当チャンネルでは、世界三大ファンタジーを大特集するってことは既報のとおりであります。世界三大ファンタジー(文学)とは、『ナルニア国物語』、『指輪物語』、『ゲド戦記』のこと。それぞれ映画化もされてます。それを放送するってワケです。あ、ちなみに『ゲド戦記』って言っても、いろんな意味で話題になった例の宮さんの息子のアニメ版じゃありません。実写です。なんと実写あったんですねぇー。知らなかった…。 でも、ここではあくまで『指輪』限定で話します。あ、ちなみに『指輪物語』の映画版が『LotR』ですから。なんで『LotR』だけ特別扱いでブログに書くかって言いますと、『ナルニア』と『ゲド』って、ハッキリ言って、見りゃ分かる映画なんですわ。『LotR』も、いちおう見りゃ分かると言えば分かります。そのこと自体、実はスゴい!奇跡と言ってもいい!!と言うのも、原作『指輪』って、詰め込まれてる情報量がハンパじゃないんですよね。固有名詞多すぎ!イコール設定がすさまじく緻密ってことでもあるんですけどね。その情報の多さ・緻密さに、オタクな人々はイ・チ・コ・ロの模様(いや、自分自身を含めて)。それこそが『指輪物語』最大のウリであり、だからこそマニアうけするんですな、この作品は。あと、時間的な壮大さも魅力のひとつ。『指輪』世界の長大な時系列の一時点を切り取ったストーリーが『指輪物語』なんで、この物語以前にも物語があって、この物語以後にも物語があり、その断片情報が『指輪』の中にもチョイチョイ顔をのぞかせてくる。なので、今、自分が読んでいる『指輪』は氷山の一角で、その下にはさらに巨大な物語群、関連作なり関連情報なりが埋ずもれている。それも知りてー!というマニア願望をくすぐるようにできてるんです。まぁ、こういう『スター・ウォーズ』とか『ガンダム(宇宙世紀系の)』とかとも相通ずる(さすがにちょい強引か)ディープな魅力を持ったオタク向けの作品(の元祖的存在)なんで、ハマろうと思えばどこまでもズブズブとハマってける底なしの奥深さがあり、そこに首までドップリつかってるのがキモチいいんだ!っていうマニアな方たちのウケはすこぶる良いんですわ。でも、ズブズブが快感なんて理解不能!という一般大衆の皆様方には、手に余る作品なんじゃないかとも思うんです。それほど厄介な原作を、マニアも納得の奥深さを残しつつ、シロウトさんでも、いちおう見りゃ分かる、予備知識なしでも話についてけるレベルに映像化してみせ、最終的には誰が見ても楽しめる映画に仕上げたピージャック監督の手腕は、ほんと、神がかってるとしか言えませんわ。スゴい!奇跡だ!! というのは、そういうワケです。でも、「いちおう」見りゃ分かると書いてる通り、「いちおう」なんですな。たとえば見終わった後、マニアだけでなく一般大衆のほとんどの人もこの映画を「面白かった!」と感じるとは思うんです。エンターテインメント映画としても不世出の作品ですから。でも、じゃあどんなストーリーだったか思い出しながら説明してみてくれ、と言われて語れる人って、少ないんじゃないでしょうか?たとえば『ナルニア』なら、ふつう見た直後なら誰でもスラスラ言えちゃいますわ。良い意味で単純なお話なので。『LotR』だと、そうスラスラは言えないはずです。たぶん「結局、話的にはどういう話だったんだっけ!?」となる人が多いと思います。それぐらい複雑な話です。スラスラ言えなくたっていいんだよ講釈師じゃないんだから。ストーリー展開が頭に残らなくたって、見てる最中だけ楽しければ映画なんてそれでいいじゃん。というのは、もちろん正しい考え方です。でも、スラスラ言えちゃうぐらい内容をしっかり把握しつつ見ていくと、『LotR』はもっともっと面白く感じられるようになる、ってのもまた事実。掘り下げる気がなくても「いちおう」は楽しめるけど、掘り下げる気になれば、楽しさが質的に飛躍的に向上するハズなんですわ。そもそもが掘り下げて楽しむという楽しみ方ができるよう、奥深く作られてる作品なんですから。なんといっても大ヒット作ですから、ウチのチャンネルでやる前にどっかで三部作とっくに見てるよ、という人も大勢いらっしゃるかと思います。でも、その時は深く掘り下げるほどのモチベーションがなかったので、「いちおう」は楽しめた、でも所詮「いちおう」だった、という人、実際問題かなり多いんじゃありません?今回、年末のウチの放送は、その時よりもちょっと掘り下げたレベルで見てみませんか?そのお手伝いをする目的で、お節介を承知でこのブログを書くことにしました!もちろん、ヒット作ながら今まで見逃していたという人、今回が初見だという人。そういう人のこともケアしたい。映画本編を見て「複雑なストーリー展開だなー、2、3と見続けても話についていけるかなー」と気力が萎えかけても、大丈夫!後でこのブログの補足説明とかフォローとかを読んでいただければ、きっと、ついてけるハズです!これから、『1』、『2』、『3』各回のザックリとしたストーリー展開をここのブログに書き込んでいきますんで、それで大づかみで流れを把握しちゃってください。もっとも、文中には致命的ネタバレ情報も含まれますんで、必ず映画本編を見た後にしてください!『1』本編を見た後で『1』のブログを読み、理解を深めた上で、それから『2』本編を見る、というのが一番望ましいです。昔いちど『LotR』見てる、という人は、ネタバレも何もないので、本編前に予習的に読んでしまってもいいかと思います。その上でもう1度本編を見てみると、「これはこういうことだったのか!」と話がつながってくる部分も出てくるかと思います。とにかくですねえ、上辺だけサーッと見て、それだけでも楽しいは楽しい作品なんですが、それじゃもったいないワケですよ。やっぱ、最終的にはアカデミー賞とってますから!しかも史上最多部門とってますから!極論すれば、映画史上最高の作品(極論です!)とも言えるのかもしれません。さすがにこれは、できるかぎり深いレベルで堪能しといて惜しくはない作品でしょう。ということで、今さらながら感は若干残しつつも、当チャンネルで手厚く紹介しとくべきだよなーと思い、これから3回に分けて、三部作各話について書いてきますんで、おつきあいのほど、よろしくお願いいたします。■©MMI New Line Productions, Inc.All Rights Reserved.