本作のメイン舞台は、まずゴンドール国(の都ミナス・ティリス)。ここを舞台に、ガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリ、メリー&ピピン、さらには『2』に出てきたローハン騎馬軍団やゴンドールのお坊ちゃまファラミア隊長らが勢ぞろいで大活躍します。

もうひとつのメイン舞台がモルドール国。とうとうフロドとサムはモルドール領内に足を踏み入れ、この壮大なる物語はついにクライマックスを迎えるワケっすわ!

ゴンドール国の戦いはゴンドール防衛軍と援軍のローハン騎馬軍団、人間の軍隊だけで二勢力が出てきますが、どっちも鎧と盾って衣装なんで、よっぽどそういうのに興味がないと、どっちがどっちだか見た目で区別つかん、話がますます混乱する、という事態になるかもしれません。
見分けるポイントとしては、バイキングみたいな戦士が馬に乗ってるのがローハン騎馬軍団です。色的には赤茶っぽい鎧に緑のマント。あと、だいたい金髪か明るい茶髪の人が多いですな。助けに来てくれる側がこっち。

一方のゴンドール軍は、町の守備兵で、黒鉄色の甲冑を着てて(胸や盾に樹の紋章あり)、基本・徒歩だちで、黒髪かダーク茶髪の人が多いです。救援される側がこちらです。
ゴンドール国の戦いは、この二国、助ける軍・助けられる軍の関係を把握しながら見れば、あんまし混乱しないですむかと。

んじゃ、以下、ストーリーのおさらいです。



警告:以下の文章には、致命的なネタバレ情報が含まれます。映画本編を見る前には、絶対に読まないでください!



・ 騎馬民族国ローハンを救ったガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリは、ローハン軍と一緒に陥落したアイゼンガルドにやって来て、そこでメリー&ピピンと再会を果たす。ピピンは瓦礫の中から、悪の魔術師サルマンの持ち物だった黒い水晶玉みたいなのを発見する。
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・ この玉は悪のテレパシー装置みたいなもんで、素手でさわると、冥王サウロンと意識が直接つながっちゃって、未来が見えたりもする。トラブルメーカーのピピンがこれをさわってしまう。そして見たのは、燃え落ちるゴンドール国の都ミナス・ティリス市の幻影だった。
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・ 冥王サウロン軍の攻撃目標がミナス・ティリス市だと分かった一行は、その救援に向かおうって話に。でもローハン王セオデンは、『2』で自分たちが攻められてた時にゴンドール国が助けてくれなかったことを根に持ってて、救援を渋る。
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・ とりあえずガンダルフは、トラブルばっか起こしてるピピンを連れて、一足先にゴンドール国ミナス・ティリス市に警告するため先行して旅立つ。


※ここにきて再び一行は2チームに分裂。以下、TEAMガンダルフとTEAMアラゴルン別々に見てきます。


【TEAMガンダルフ】メンバー:ガンダルフ、ピピン

・ ゴンドール国ミナス・ティリス市に着き、執政デネソール候に謁見。このデネソール候って、『1』で死んじゃったボロミア・『2』でTEAMフロドを捕らえたファラミア隊長兄弟のパパで、いちおう王家の絶えたゴンドール国では代理トップの地位にいる人。
この人、ピピンのことは気に入って自国の城兵として取り立てたりするが、「騎馬民族国ローハンに助けを求めれば?」ってガンダルフの提案は拒否。ってのもローハン軍には王家の末裔アラゴルンが参加してるからで、アラゴルンがここに帰ってきたら(=王の帰還)、権力の座を返さなきゃならない、ってことが気に入らない模様。ま、今年ブームの『篤姫』風に意味もなく例えりゃ、大政奉還・王政復古をイヤがってるワケですな。
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・ と、かたくなに助勢を拒否されても敵を利するだけなんで、TEAMガンダルフは勝手に救援狼煙に火をつけちゃう。この狼煙が上がるとローハン騎馬軍団が助けに来てくれるって約束が両国間には結ばれてる模様。
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・ ゴンドール国にはミナス・ティリス市より敵国モルドールに近い場所にオスギリアス市って町(廃墟。『2』でファラミア隊が戦ってた場所)がある。そこがモルドール国のオーク族軍団の攻撃を受けちゃって、陥落。
 守備隊長のファラミアはどうにかミナス・ティリス市まで退却してきて、そこでTEAMガンダルフに会い、こないだTEAMフロドと会ったばっかだと伝える。
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・ デネソール候は、息子のうち故ボロミアをえこひいきしてて次男ファラミアを毛嫌いしてるんで、「おめおめ生きて帰って来やがって、兄さんとは大違いの、この不肖の息子めが。お前が死にゃよかったんだ、今からでも特攻してこい」的なヒドいことをファラミアに言う。凹んだファラミア、仕方なく寡兵でオーク族のオスギリアス市占領軍に向かって特攻するが、とうぜん全滅。
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・ ファラミアが死にかけて戻ってくると、自分のせいなのにパパのデネソール候はうろたえ、さらに、自国がついに敵軍に包囲されちゃった光景を目の当たりにして「なんでローハン騎馬軍団は救援に来てくんないんだ!」と完全に逆ギレ。「もう自殺する!!」などと言い出し、ファラミアと一緒に無理心中(焼身)するが、ファラミアだけがTEAMガンダルフに救出される。
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・ オーク族の包囲軍がミナス・ティリス市への攻撃を開始。さらに、空から翼竜みたいなのに乗って飛来した指輪の幽鬼ナズグルの親分に、ガンダルフが襲われる。
 ちょうどその時、ローハン騎馬軍団の援軍が到着!ナズグル親分はそっちの戦場へ向かって飛び立ち、ガンダルフは助かる(こっから先の展開はTEAMアラゴルンの箇所を読まれたし)。


【TEAMアラゴルン】メンバー:アラゴルン、レゴラス、ギムリ、メリーおよびローハン騎馬軍団(国王セオデン、青年将校エオメル、男勝りの姫エオウィンなど)

・ TEAMガンダルフが勝手に上げた狼煙を見て、救援に行くことを渋ってたローハン国王セオデンも考えを変える。かくして、中つ国最強の緑備えのローハン騎馬軍団、およびTEAMアラゴルンは、ゴンドールの都ミナス・ティリス市をめざすことに。
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・ 途中、アラゴルンの先祖に不義理を働いたため呪いをかけられて成仏(?)できないでいる亡霊どもを味方にできたら、戦局もちょい有利になるかもね、と思い立ったアラゴルンは、レゴラス・ギムリとともに、亡霊どものいる洞窟に向かう。この時点で一時的にローハン騎馬軍団から離脱。そして亡霊どもを「子孫のオレに加勢してくれたら先祖の呪いをオレが解いてやってもいいけど、どうよ?」的に誘って、連中を味方に引き入れることに成功する。
      ↓
・ ローハン騎馬軍団、ゴンドール国の都ミナス・ティリス市に到着。すでにゴンドール守備軍とモルドール国オーク軍団との間で戦端は開かれてたが、その敵軍の側背に騎馬突撃を敢行。その後、象の超巨大版みたいなバケモノや、翼竜みたいなのに乗った指輪の幽鬼ナズグルなどとも死闘を続ける。そのさなか、ローハン国王セオデン、討ち死に!
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・亡霊軍団を率いたアラゴルンとレゴラス、ギムリは、まず敵国側についた傭兵海賊を倒して船を奪い、その船で河を進み戦場ミナス・ティリス市に馳せ参じ、敵の包囲軍や象の超巨大版みたいなのを攻撃。敵を全滅させた。かくして、善の勢力、勝利!ただし亡霊軍団は、約束どおり成仏(?)してしまい、以降の戦いでは加勢してくれず。

※ここでTEAMガンダルフとTEAMアラゴルンは再合流をはたす。アラゴルンは王としてゴンドール国の指揮官となり(執政デネソール候の焼身自殺、その息子ファラミア隊長の負傷による戦線離脱のため)、ゴンドール軍、ローハン騎馬軍団、それにガンダルフ、レゴラス、ギムリ、ピピン&メリーらと、敵国モルドールをめざして進軍。モルドール国の玄関口「黒門」のところ(『2』でTEAMフロドが侵入をあきらめた場所)にて敵軍を挑発する。その目的は、敵軍の注意を最大限こちらにひきつけ、TEAMフロドの滅びの山突入作戦を容易にすること。
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・勝ち目のない陽動作戦だったが、TEAMフロドが任務を遂行し、指輪が破壊されたため、悪の魔力が消えて敵軍は壊滅し、ついに善の勢力は完全勝利をおさめる!


【TEAMフロド】メンバー:フロド、サム、ついでにゴラム

・ モルドール国めざしてどんどん進む3人。途中、ミナス・モルグルという、指輪の幽鬼ナズグルの居城である、緑色に光ってるヤバそうな要塞みたいなとこの脇を通過(この時、ミナス・ティリス市攻撃のためナズグルとオーク軍団が出陣してく)。
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・ フロドとサムを仲たがいさせようというゴラムの悪だくみによって、フロドはサムの友情と誠実さを疑い、追い払ってしまう。
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・ 邪魔者サムがいなくなったことで、いよいよゴラムはフロドのことを罠にかける。「キリス・ウンゴルって峠のトンネルしか先に進める道はない」と言い、フロドをそこに誘い込んで、その中に巣を張ってる巨大グモに襲わせる計画。で、フロドが泡食ったところにすかさず襲いかかり、指輪をふんだくろうと試みるものの、フロドに蹴飛ばされ、ゴラム、崖の上から転落。
      ↓
・ フロドに追っ払われちゃったサムはトボトボもと来た道を帰ろうとするけど、その途中の道端にはゴラムが陰謀をめぐらしてる決定的な証拠が残されてた。それを見て、フロドを助けようと急ぎ引き返し、フロドが巨大グモに襲われてる現場に駆けつけ、どうにかこうにか巨大グモを撃退。だが時すでに遅く、フロドはクモの毒針に刺されて死んじゃってた…。
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・ フロドの死体は、その場にやって来たオーク族によって運ばれてく。でも、実は死んだんじゃなくて、毒針で麻痺してただけ。と、いうことを知って愕然となったサムは、フロドが運ばれてったオーク族の牢獄みたいなとこに突入、息を吹き返したフロドを救出する!
      ↓
・ そっからモルドール国はすぐで、ついにフロドとサムはモルドール領内に足を踏み入れることに。そこには見渡すかぎりオーク族がウジャウジャいて、とても踏破できそうになかったが、なぜか急に、オークたちがどっかあさっての方向に向けて移動を開始。冥王サウロンの監視の目もそっちの方角に向けられ、2人はノーマークで先に進めるようになる(実はこの時、TEAMアラゴルンが「黒門」で陽動作戦を展開し、敵の注意がそらされたため)。
      ↓
・ ついに滅びの山に到着。だが、崖から落ちたはずのゴラムが実は生きてて、襲ってくる!で、取っ組み合い、くんずほぐれつのドツキ合いをしながら、ついにフロドは、指輪を奪い取ったゴラムごと、滅びの山のマグマの中に、指輪を叩き落すことに成功する。マグマの中で指輪は溶解、かくてミッション達成!ついに世界は救われた!!


【エピローグ】
旅の仲間全員は再会を果たし、アラゴルンはゴンドールの王位に就き、ハッピーなムードのうちに旅の仲間は解散。フロドらホビット族4人衆はホビット庄(シャイア)に無事に戻り、その後、サムは結婚。そして、何年かが過ぎる。
フロドは例の養父ビルボが書いた『ホビットの冒険』の続編として、自身の回想録『指輪物語』を執筆するんだけど、その頃になっても『1』で指輪の幽鬼ナズグルに刺された古傷が癒えず、西の海の彼方、神々の土地に移住して養生しなきゃならなくなる。フロドは、エルフ族、ガンダルフ、養父ビルボ(指輪の超自然パワーが無くなってから急に老け込んだ)とともに、船に乗って西の方角へと旅立ち、二度と戻らなかったのでした。

終劇!



いっやー、お疲れ様でした! 
このブログも異常な文章量になっちゃいましたけど、実はこれでも、覚えとかなくてもとりあえずストーリーについてく上で困らない固有名詞の解説やら、本筋に直接影響してこないサイドストーリー的なエピソードなんかは、極力、省いてるんですわ。
が本当は、その細部にこそ、神は宿る!『指輪物語(LotR)』のほんとにほんとの魅力は、実はそこなんです。たとえば、ミナス・ティリス市と、ナズグルの居城だったミナス・モルグルって、なんとなく名前が似てるけどなんでだろ、とか、オスギリアス市はなぜ廃墟なんだろとか、こういったことにもちゃんとワケがある。

フロドが去っていった西の海の方には何があるのか、その背景も、実はちゃーんと作られているんです。

さすがにマニアうけのいい作品だけあって、ネット上には『指輪物語(LotR)』関連の情報、用語解説なんかがいくらでも載ってますんで、映画見て、この魅力にハマりそうだ、と思った人は、まずはネットでどんどん調べてみてはいかがでしょう?

映画『LotR』は、小説では読んだ人が頭の中で想像するしかなかったシーンを、ワタクシのようなド凡人の乏しい想像力では無理なレベルの圧倒的ヴィジュアルに映像化してみせたって点で、本当にすばらしい! 原作ファンも、その点では100点満点をピージャック監督にあげられるんじゃないでしょうか?

映画のヴィジュアルをまぶたに焼き付けた上で、ワタクシとしては、やっぱり原作も読まれることをオススメいたします。この長大な映画版より実はもっともっと情報量の多い超大河小説を、映画が見せてくれた圧巻のヴィジュアルイメージの記憶で補完しつつ読み進められりゃ、まさに鬼に金棒! 100%完璧にファンタジー文学の最高峰『指輪物語』の魅力を堪能できるだろうと思いますよ。
長い小説ですけど、20世紀文学史の金字塔でもある大傑作ですんで、この年末年始の休みにでも、未読の人はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょ。


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