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                                COLUMN/コラム2008.11.28
池澤春菜さん特別寄稿!『ナルニア国物語』
みなさん、こんにちは。池澤春菜と申します。12月の特集「世界三大ファンタジー」のナビゲーター役を務めさせていただきました。自分でも大好きなこの三作品、これを機に少しでも多くの皆様にお届けできたら!!でも、スペシャル番組は15分、とても作品の魅力を語りきれるわけがない……と、いうことで、こちらに場を借りて、トコトンコッテリ語らせていただきます!!まずは、言わずと知れた「ナルニア国物語」。C.S.ルイスの手による、七作品からなるナルニア国にまつわる物語。時々名前がC.W.ニコルとごっちゃになるのは、ナイショ。第六巻の「魔術師のおい」でナルニアの創造を、そして第七巻の「さいごの戦い」でナルニアの終焉と再生を描く、不世出の児童文学です。子供に対する優しい目線。世界には善も悪もあるが、最後は必ず善が勝つ、という明確な観念。物言う獣と、フォーン、ユニコーンといったファンタジー世界の生き物たち。そして、圧倒的な存在感のアスラン。読めば読むほど、心に明るく温かいものが満ちてくる、そんなお話。あぁ、ナルニアのある世界に生まれてきて良かった!!!!!子供の頃、寝る前にナルニアを読んでは、夢の中でナルニアに行くのが一日の一番の楽しみでした。「ライオンと魔女」は正に目の前でナルニアの扉が開かれるような、入門編にはピッタリの一冊。初対面の人とはお茶、どんな緊急事態でもお茶、イギリスの方にとって(ビーバーにとっても)お茶がどんなに大切かが良くわかる一冊でもあります。お茶がなくては夜も明けぬ。「カスピアン王子のつのぶえ」は「ライオンと魔女」のなんと1000年後。あのビーバーご夫妻も、タムナスさんも、もはやチリも残っておりませぬ……むごい。でも、新登場のカスピアンは、素敵に頑張る少年です。なんとシリーズ最多の四作品に登場!!「朝びらき丸 東の海へ」は、そのカスピアンが少し成長して、東の海へ探求の旅に出る物語。「銀のいす」は作品中では、どちらかというと地味目の印象。だって荒野に、巨人の国に、地底国。そして、三人いる主要登場人物の一人の名前が「泥足にがえもん」。でも、このにがえもんさんのキャラ、ジワジワ来る中毒性アリ。「馬と少年」は唯一、ナルニアのお隣カロールメンの子供が主人公。異国的な雰囲気溢れる、作品中でも少し色彩の変わった一作です。自惚れ屋さんのものいう馬ブレーが最高。「魔術師のおい」は、ナルニア創世編。大人になっても駄目な人はダメ、との印象を幼い私に植え付けた一作でもあり。善良な馬車屋さんと、彼の馬イチゴの伏線には、仰天です。「さいごの戦い」で、ナルニアは一度終焉を迎えます。でもなくなってしまうわけではなく、箱庭のように展開されていたナルニアの世界の蓋が一度閉じられるような終わり方。そしてまたいつの日か、箱を開ければ、そこにはちゃんとナルニアはあるはずです。七作品どれも捨てがたいけれど、一番のお気に入りは「朝びらき丸 東の海へ」。もうあの、異国情緒溢れる青い表紙を見ただけで、今でもわき上がるパブロフの犬的なトキメキ。どちらかというと、ていうか完璧にイヤな子のユースチス(子供心になんて言いにくい名前かと)が、見事にギャフンと言わされて改心する様にもスッとしますし。各島の特徴ある魅力、船の生活。ちょっと大人になったカスピアン王子の「つのぶえ」時代とは打って変わった統率力。「お前、あんなに初々しかったのに……」と、その成長っぷりに一抹の淋しさを覚えたものです。リーピチープは微笑ましくも、凛々しいし。そうして最後にたどりついた、海の果て……ここの描写が圧巻!! 西の人は「東」にこんなにも憧れを持っているんですねぇ。現在映画は「カスピアン王子のつのぶえ」まで公開されているので、この「朝びらき丸」がもう、楽しみで楽しみで。リーピチープはやっぱり、ふるCGなのでしょうか……?ちなみに。余談ではありますが、C.S.ルイス、お友達でもあった「指輪物語」の作者、トールキンに第一巻を朗読して聞かせたところ、「サンタクロースが出てくるなんて変だよ!!」と言われ、しばらく凹んで続きがかけなかったそうです。あ、危ないところでした……トールキンったら余計なこと言って!! 私にとっての善きもの、明るいもの、幸せなものが何もかも詰まっているナルニア。文中で箱庭と例えましたが、正にそんな感じ。蓋を開ければ、そこはナルニアの箱庭。のぞき込んでいると、外界の憂さなんて綺麗サッパリ忘れて、この世界にひたすら没頭できちゃいます。原作を読んだことのある方は、また違った描き方をされている映画を楽しんでみてください。まだ原作を読んだことのない方は、ぜひこの機会に原作も読んでみて下さいね。で、以下「指輪物語」「ゲド戦記」と書き進めていこうと思ったのですが……とても字数が足りない!!以下次号……でも、良いですかね?良いって事に勝手にして……待て、以下次号!!!■ 『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』© Disney Enterprises. All rights reserved
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                                COLUMN/コラム2008.11.07
セクシー映画?ツンデレ萌え映画?さて、その正体は?
唐突ですが、「情婦」と聞くと世間一般の人はいったい何を思い浮かべるんでしょうね?僕は「情婦」っていうと、「婦」つながりで、ついつい「娼婦」とか「裸婦」といった、なまめかしいというか、ヤラシイというか、ヒワイというか、ともかくそんな言葉を連想してしまいました。こんな思考回路なので、『情婦』にも、古くはシャロン・ストーンの悩殺足組ポーズで一世を風靡した『氷の微笑』に代表されるR18級の妖艶な映画を期待したわけです。しかし、ご存じの方もいるかもしれませんが、ビリー・ワイルダー監督の『情婦』は、まったくもってそういう映画じゃないのです。そもそも製作されたのが1957年ですから、『氷の微笑』的セクシーシーンが出てくるわけない。モノクロだし!さらに追い打ちをかけるように、冒頭シーンは法廷。メインで出てくる男は、劇中で他のキャストからも指摘されるように、正真正銘の古ダヌキ的ジジイ。(演じたチャールズ・ロートンはこの作品でアカデミー賞にノミネートされました。)絶対に違う! セクシー映画なワケない! セクシーどころか、正義を貫くおカタイ法廷モノかよ?(←まだ勘違いしている)諦めが早い僕の性格も手伝って、当初抱いていたヒワイな期待は冒頭であっさり覆されました。ですが僕は途中で見るのをやめるわけでもなく、なかば羽を失った鳥のように絶望の淵に立ち、さも期待せずに、虚ろな目で『情婦』を見始めたワケです。もしまだこの時点でセクシーシーンを期待している輩がいるとしたら、相当にあきらめが悪いか根性のある人です、間違いなく。ところが、期待を裏切られた作品(←勝手に思い込んだだけ)にもかかわらず、この『情婦』相当に面白いです。ストーリーを簡単に説明すると、僕の期待を打ち砕いた古ダヌキってのは、病み上がりの重鎮弁護士。そこに退院早々、依頼人がやってくるわけです。話を聞いてみると、ふとしたきっかけで仲良くなった未亡人がある日殺されていて、疑いをかけられていると言う。依頼人はチョイ軽い感じのプレイボーイ風。でも話を聞いてみると、割とイイヒト。嘘をついている様子はないし、話も筋が通ってる。最初は乗り気じゃなかった古ダヌキも、依頼人を包むイイヒトパワーに負け、結局ヨッシャ!ワイに任せとけ!(←なぜか関西弁)と弁護を引き受けることに。で、ここからが面白い。古ダヌキは早速、依頼人のアリバイを立証しようと奥さんに話を聞くことにします。依頼人によると、夫婦仲はサイコー。しかし夫婦仲サイコーの場合、法廷で奥さんの証言は有力な証拠にはならない・・・。夫を愛していれば、彼を守ろうと奥さんがウソをつく可能性も高いですからね。でもとにかく話を聞いてみなくては。古ダヌキは考えます。そうして奥さん登場。「主人は殺してません!彼がそんなことするはずないわ!!」トーゼン、そんな台詞を期待(予想)する古ダヌキ+視聴者。ところが!奥さんチョー冷たい!エリカ様も真っ青の「別に・・・」的コメントが続きます。おいおい! 夫婦仲サイアクですよ。苦しい生活から救いだしてくれたはずの夫に、ぜんっぜん助けブネを出さない。もしやこれって、最近よく聞くツンデレ?! アカの他人(ここでは古ダヌキです)の前では素っ気ない態度で、まわりに人がいなくなった途端、カレシに甘えるタイプ?!夫が犯罪者になるかもしれないってときにツンデレてる場合じゃないですよ、奥さん。ところが奥さん、ツンデレでもない。というのも古ダヌキの前はおろか、法廷でも夫に不利な証言ばっかりしちゃうんですよ。しかも場外ホームラン級の決定打を何発も。おい! ツンデレじゃなくて、ただの冷たい女かよ! 殺人の容疑で逮捕されたうえに、最愛の妻にまで裏切られ、なんて哀れな依頼人。挙げ句の果てには、生前、遺産が依頼人へ相続されるように、被害者が遺言状を書き換えていたのが判明するわ、被害者宅で働いていたメイドが出てきて、自分が貰うはずだった遺産を横取りされた腹いせに、テキトーな証言をするわで、依頼人はさらに窮地に。財産目当てっていう動機も見つかったし、奥さんとメイドの証言もあるし。アリバイは立証できないし。もうダメ依頼人! 容疑確定!!しかしさすがは腕利き弁護士。哀れな依頼人の無実を立証しようと、古ダヌキはさらに頑張ります。そこへ依頼人を窮地から救う、思いがけない有力な情報が・・・。今作で哀れな依頼人を演じたのはタイロン・パワー。当時の二枚目スターなんですが、ほんと、その姿が同情を誘うんですよ。古ダヌキが彼を助けたくなる気持ち、痛いほど分かります。『がんばれ!ベアーズ』※もとい、頑張れ古ダヌキ! 「依頼人を助けてあげてくれ!」きっと誰もが、こう願うはずです。そうして物語はエンディングへと流れ込み、ラストには映画史上に残るどんでん返し!が待っています。うーん。参りました。しかもですね、このどんでん返しがひとつじゃないんですよ。僕もまんまとひっかかりました。見終わった後、気になったので「情婦」を調べると、「内縁関係にある女性」って意味を持つようです。つまり愛人のことですね。あ、常識?当初、僕はヒワイな言葉を連想しただけでなく、「情婦」が情け深い女性、一途な女性のことを意味する言葉だと思い込んでいたので、途中までツンデレ奥さんのことを「ぜんぜん、情婦じゃないぞ!」と勝手に憤ってました。でも映画を最後の最後まで見ると、タイトルが持つ意味もわかります。蛇足ですが僕が映画を観てとくに気になったのは裁判風景。検事とか、弁護士とかがみんなバッハみたいなカツラをかぶってるんです。気になったので調べてみると、イギリスの法廷ではカツラを着用するのが義務づけられており、驚くべきことにそれは今も続いているとのこと。しかしここ数年、イギリスでは伝統衣装というか、制服というか、このカツラを含む法廷での服装について議論しており、ついに昨年から民事裁判ではバッハ風カツラも廃止されることになったそうです。民事裁判では?つまり刑事裁判では引き続き今も、バッハな出で立ちで弁護したり、立証したりするわけですね。うーん面白い・・・すごく変だけど。 ちなみにこのカツラ、結構お高いそうですが、支給されるらしいです。日本では弁護士や検事にバッジが支給されますが、それと同じようなものなんでしょう。と、ここまでイギリスの裁判事情を知ると、他のバッハ風法廷シーンが観たくなりますよね!もしご存じの方は、このサイトの「ご意見・ご要望」のところからでもお知らせ下さい!それにしても近頃、ミステリー小説の旗手、東野圭吾さんの「ガリレオ」シリーズが相次いで映像化されたり、『このミス』大賞を受賞した『チーム・バチスタの栄光』が映画に続いてドラマになったりと、にわかに盛り上がりを見せるミステリー界ですが、この『情婦』も負けてませんよ。さすがはアガサ・クリスティ原作です。そんなわけでツンデレ女性好きだけでなく、イギリスのヘンテコな裁判風景も楽しめる『情婦』。でも、その正体は最高のミステリー映画なのです。■ (奥田高大)
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                                COLUMN/コラム2008.09.30
新企画『ミュージック・シネマ』開始!
ほんと突然ですがクイズです。 問題:次の映画の主題歌は誰が歌っていたでしょうか?1『フェノミナン』2『ボディガード』3『スペース・ジャム』※答えはこのブログ最後に書いてあります。簡単だったかなあ?答えがわかったひとも多いのではないでしょうか?映画からの大ヒット曲も過去から沢山あると思いますが、プロモーション・ビデオの隆盛で映画と音楽が、世間一般により直結しやすくなったのって80年代以降ですよね。早いものでかれこれ30年近くなります。月並みな言い方ですけど、それほど映画と音楽って密接な関係にいるわけですよ。映画はスベッたけれども、曲だけ一人歩きしたものも多いですし、逆もまたしかり。ある映画を見ていて挿入曲が気に入ってエンドロールで曲名控えたり、サウンドトラック買いにCD屋さんに買いに行ったりしたことのある貴方!そんな映画好き、音楽好きの貴方に朗報です。映画の主題歌プロモーション・ビデオを映画本編終了後に併せて放送する新企画『ミュージック・シネマ』が10月よりスタートいたします!月1作品、映画とともに大ヒットした選りすぐりの名曲を映画とあわせてお楽しみください。 記念すべき企画第1弾は前述したクイズの問5、ホイットニー・ヒューストンが歌った『ボディガード』の主題歌『I will always love you』をお送りします。決してこの映画、音楽だけがよかっただけじゃあございません。90年代を代表するラブ・ストーリーでもある本作は映画主題歌とともに大ヒットしましたよね。▼あらすじワガママ大物スターのホイットニーが何者かの脅迫を受けているんだけれど、現状の彼女への警備体制は穴だらけ。シークレットサービス出身のプロ中のプロ、ケヴィン・コスナーが、そんな彼女のボディガードを引き受けた。厳しい彼の存在を嫌がるホイットニー。しかしある事件がきっかけで頼りにするようになって、次第に惹かれ合うようになっていく?。この当時のケヴィン・コスナーも格好いいのなんのって。『ウォーターワールド』、『ワイアット・アープ』で世間からのダブルパンチを受けるまでの彼は無敵です。で、こういう映画を見てしまうとサウンド・トラックが欲しくなるのが、人の心理と言うもの。プロモーション・ビデオ以外の映画挿入曲もどれも秀逸で、CDもブックオフとか行けば簡単に手に入ります。見つけたら即買いですよ。チャカ・カーンのカヴァーとか今聞いても鳥肌ものですよ。オリジナルより好きです、僕。とにかくこの企画、非常にバラエティに富んだ選曲で、音楽系のチャンネルでもが中々見ることが出来ない曲も今後予定しています。お楽しみに。まずは今月『ボディガード』で涙してください!■(しじみ)※問題の答え1、エリック・クラプトン"Change The World"(12月放送)2、ホイットニー・ヒューストン"I will always Love You"(10月放送)3、R.ケリー”I Believe I Can Fly”(11月放送)他SEAL等も可
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                                NEWS/ニュース2008.09.29
08年アメコミヒーロー映画フィーバー、いよいよ真打『アイアンマン』登場!
いやいやーアメコミヒーロー映画の公開、夏の間じゅう立て続きましたなぁ。『インクレディブル・ハルク』、『ダークナイト』、『ハンコック』(アメコミじゃないけど、それ風のスーパーヒーロー映画ではある)ときて、さぁ、いよいよ、『アイアンマン』ですよ! 特に『ダークナイト』と『アイアンマン』の2作って、本国で興収ウン億ドルを記録したとか、それが歴代興収ナン位とか、数字で語られちゃうぐらいの物凄いヒットの仕方だったらしいですな。数字が嫌いなワタクシ的には、何億で何位とか、まるっきし興味ないのですが、とにかく、面白いということだけはこの目で確かめたんで分かった!(と言いながらマイベストは『ハンコック』だったりしますが) で、その『アイアンマン』なんですが、これも、個人的にはいたく気に入りましたねぇ。いや、スーパーヒーローものなので、クライマックスはセオリー通りの硬いラスボスが出てきて、そいつと我らがヒーロー・アイアンマンがガチな死闘を演じるワケですが、そこに至るまでの中盤ですよ、僕がいたく気に入ったのは! アイアンマンの正体は、軍事企業の社長のオッサンです。しかも、一昔前に流行った“ちょいワルおやじ”系な。商才あってリッチでメカに明るくて頭良いけど、軽薄でスケベでニキータな女をお持ち帰りしてはコマす(誰なんだよニキータってのは)、っていうような輩です。あ、ちなみにこの写真はおやじランニング姿ですが、普段はちょいワルルックでキメてて、ギラギラした感じがジローラモ級にかっこよいです。このオッサンが冒頭、新兵器のデモンストレーションのためアフガンに飛びます。軍産複合体の一翼を担う大企業の社長とあって、現地米軍の方でも、下にも置かない接待っぷりです。しかし、米軍のHMMWV(と書いて「ハンビー」と読む)に乗っけてもらって悪ノリしながら移動中に、案の定、テロリストが仕掛けたIEDが炸裂!同乗してた護衛の米兵たちは銃撃してきたテロリストどもに殺され、社長だけが拉致られ、アジトに連行されます。で、テロリストのボス(これ中ボス)から、大量破壊兵器を製造するよう脅迫されるのです。アジトには彼の会社の兵器のパーツが山積みで、社長は技術畑の人なんで、これだけ材料がありゃ作ろうと思えば何でも作れちゃうんですな。そこで社長は、テロリストどもの目をごまかしながら、大量破壊兵器じゃない、別の物を作っちゃうのです。それがアイアンマンのパワードスーツ(の言うなりゃ零号機)。で、テロリストにバレる寸前にこれを完成させ、蒸着!ここからです、いたく気に入ったのは!いやー気持ちいいのなんのって!! テロリストをやっつけるやっつける!それも超一方的に!! 連中がAK(と書いて「アーカー」と読む)とかでパラパラ撃ってきても、屁のツッパリにもならない。で、手製火炎放射器で倍返し!痛快だわーこれ!!連中のアジトを完膚なきまでにブッ潰し(はぁースカっとした)、無事、アメリカに生還。そこで、自分のビジネスが世界を平和にするどころかますます危険にしてると遅まきながら悟り(早く悟れよアメリカ人)、アイアンマン・スーツの改良を重ね、初号機、弐号機とバージョンアップさせていきます。 で、いよいよテロとの戦いを個人で開催。満を持して弐号機、赤射!今度はわざわざ好きこのんで紛争地帯まで飛び(空飛べます)、武装勢力を徹底的にブチのめし(またワンサイドゲーム)、避難民を助けます。このように、ラスボスが出てくるまでは、常にアイアンマンのワンサイドゲームなのです。『ロボコップ』でラスボスED-209が出てくるまでの、ロボコップが町にはびこる犯罪者どもを片っ端から退治しまくった中盤、あの痛快感と相通ずるものがありますな。我が心の師・セガール親爺が、その高邁なる作品群を通じて教えてくださったことのひとつに、敵キャラが強い必要はない、正義のヒーローだけが強けりゃいい、敵キャラは、ヒーローが繰り出すセガール拳でただ叩きのめされてりゃそれでいいんだ、という映画の真理があります。そういう構造を持った映画って、たしかに、見ててムっチャクチャ気持ちいいんですよね!しかも本作の悪党(ラスボス以外)というのは、あの、人質のクビ切ってビデオで流しちゃうような鬼畜テロ集団。情状酌量の余地もない絶対悪ですからね。21世紀の現代を生きる人なら誰もが許せないと思ってる連中が、バッタバッタと斃されるワケですから、見てて血沸き肉踊るのですよ。ということで、映画見ててこんなに痛快感を覚えたのは、かなり久しぶり。個人的にはいたく気に入りましたねー。さてさて。主役のちょいワルCEOを演じたロバート・ダウニーJr.が、公開を前に来日しましたんで、先に本編をマスコミ試写で見て興奮冷めやらぬワタクシ、彼の会見の取材にもノコノコ行ってきました。ここからはその模様をお伝えしましょう。 ロバート・ダウニーJr.、『チャーリー』以来、実に15年ぶりの来日なんですなぁ。まず、15年ぶりの日本の感想を求められ、「…別に。前回と変わらない」と、エリカ様ばりのコメント。しかし、目が笑ってるのでシャレと分かり、報道陣もひと安心。『アイアンマン』大ヒットの秘訣について聞かれると、「こんな映画なのに女性にもウケたってのが勝因だな。いやホント、これがオレの回りの女どもにウケてるんだって。なんだっけ、SATCだっけ?あれにも男客が入ってるみたいだけど、あの男どもは、ただ女に引っぱり出されたきただけだろ」と、のっけから飛ばしまくり(そういやあんた、むかしSJPと付き合ってなかったか!?)。もう止まりませんぞこのオッサンは!エリカ様も、こういうブラックユーモアを学ばないとね。でも、こういう人、どっかで見たことあるな…「いゃー、最近のオレってノッてるよね。25年この商売やってて今が一番いい。これまで、つまんねー映画ばっか出てたからなー。ここ数年はなんか冴えてるよ。ま、冴えてたこと自体が25年間で初なんだけどな」などとますます舌も滑らかに自虐トークをかまし、ここらへんからは報道陣も大ウケ!たしかにアンタにゃこれまでいろいろありましたよねぇ…。ちょいワルどころか大ワルおやじ、どころか服役してましたよねぇ…深くは書きませんけど。にしても、ますます見たことあるぞ、こういうキャラのオッサンを。オッサンと言えば、アイアンマンってのも、普段はスーツ着たただのオッサンです。で、そのスーツ(背広)脱いで、パワードスーツ(メカ)を装着すると、一個の戦闘兵器と化し、マッハで空飛んで、アメリカ様がウチの国の自衛隊には売ってくれないF-22ラプター(しかも2機)とも互角に渡り合えちゃうし、旧東側の兵器で固めたテロリストどももギッタンギッタンのバッタンバッタンにのせちゃえる。パワードスーツ脱いだら、なんの超能力も無いただの中年なんですけどね。「そこらへんの設定に男も燃えるのさ。クモに噛まれてスーパーパワーとか、そんなもんありえないだろ。こちとらテクノロジーなんだよ、テ・ク・ノ・ロ・ジ・ー!」確かにスーパーパワーをゲットする過程がアメコミにしてはリアルなので、オトナの男性客も自己投影とか感情移入をしやすいですし、男だけでなく女性にウケたってのも、男子感ただよう突拍子もない変身方法じゃなかった点が大きいのかも。「最後に最近元気ない日本のオッサンにエールを送ってくれってか?…40歳なんてまだまだ人生半分。これからだよ、これから!昔の映画とかだと、オッサンのスターが自分の半分ぐらいの年頃の娘と恋に落ちたりとか、普通にあったぐらいだし。もっとも今あれやったら完璧ペドだけどな。まぁ、とりあえず頑張れや」あーなんか思い出してきたぞ…この人、日本で言うと陣内孝則なんだ!あの人も軽口でドラマの会見とか完全にさらっていきますね。「どうせ脇役の私のコメントはあまり載らないでしょうから、こうなったら好きなことを適当に喋ります!」って公言して会見をワンマントークショーにしたりとか。ハンパな若手芸人が同席しててもそっちより全然トークが面白い!あの人も報道陣ウケはいいですな(で、肝心の主役の人のコメントが少なくて、後で大いに困ったりする)。決定! 今後、ロバート・ダウニーJr.は「ハリウッドの陣内孝則」ということで。報道関係者はまた来日してくれるのを楽しみに待ってますぞ。15年も間を空けずにチョイチョイ来て下さい。■ © 2008 MVLFFLLC. TM & © 2008 Marvel Entertainment. All Rights Reserved.
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                                COLUMN/コラム2008.08.29
これぞ正しいアイドル映画、『リジー・マグワイア・ムービー』
「イヤねぇー、最近のアメリカのアイドルって下卑たスキャンダルにまみれまくりで」 「そこがいいんじゃない!」 と、みうらじゅん風に始めてみました。ドラッグ、アルコール、セックス、奇行、逮捕などなどのスキャンダル渦巻くアメリカのショウビズ界において、とうに絶滅したはずの太古の種の生き残り、オゴポゴやモケーレ・ムベンベ等とならぶUMAの一種とされる、「清純派アイドル」。 スキャンダルなど無縁。エロい話題はご法度。清く正しく美しい萌えな、品行方正の美少女。オナラもしなきゃトイレにも行かない、という特異な生理を持つとの学説もある、謎の超自然生命体「清純派アイドル」でありますが、その実在がアメリカでついに確認されたのは、21世紀初頭のことでした。それが、ヒラリー・ダフ。略して“ヒラダフ”なのであります! ブリトニー・スピアーズの下、いま現地で大ブレイク中のマイリー・サイラス(日本で言えば平成生まれ)の上の世代。リンジー・ローハンとは同世代のライバル関係で、まさに、ゼロ年代を代表するアイドルです。上で名前をあげたみなさんは、スキャンダルにまみれておいでの、自由奔放なちょっと困ったチャンたちなんですが、唯一ヒラダフ嬢だけ、これまでスキャンダルらしいスキャンダルも無く、純潔のイメージを守り抜いてきたのですな。最近の彼女は、ディズニー・モバイルのCMで日本のお茶の間でもすっかりおなじみですね。っていうか彼女もふくめ、上記のスキャンダラスなみなさんも全員が、実は某ディズニー・チャンネルから出た人たちなのです!すごいぞ某ディズニー・チャンネル!!ここ10年の某ディズニー・チャンネルって、トップアイドル輩出機関的な役割をはたしてて、そっち方面が好きな御仁は要チェックなのです。日本で言えば、70年代の『スタ誕』か、80年代の『ミスマガジン』か、90年代の『ボクたちのドラマシリーズ』&『月曜ドラマ・イン』状態。そのヒラダフ嬢がローティーンのころに出演し、ブレイクするきっかけとなったのが、連続ドラマ『リジー&Lizzie』。中学生のリジーを中心に、彼女の学校生活や家族模様なんかをコミカルに描いた、ティーン向けのドラマです。で、今回ウチで放送する『リジー・マグワイア・ムービー』とは、何を隠そう、その『リジー&Lizzie』の映画版なのです(あー回りくどい!)。 この映画で、冒頭リジーは中学校(あの、ファンにとっても思い出深い)を卒業。いつもの仲間たちと一緒に、卒業旅行ならぬ高校の入学旅行でローマに行きます。そこで、イタリアのイケメンとのロマンスが待っている、という、豪華映画版なのです。学校行事の旅行ながら、おなじみのマグワイアファミリーももちろん登場します。 もう、これぞまさしく、正統派アイドルムービー!ってかんじですな。かなりムチャな話の運びやマンガチックな展開が目立つティーン向け映画ですが、そこはまぁ、あげ足とらんと、相好くずしっぱなしでヒラダフ嬢のかわいさを愛でる、というのが、オトナゲある鑑賞態度でしょう。 ちなみに、連ドラの方を一度も見たことなくても楽しめる作りになってますが、補足説明しときたいところが一ヶ所だけ。冒頭、慣れない卒業式用衣装を着たリジーとゴード(っていう仲良しの男子)の、 「ゴード、私の見た目、OK?」 「リジー、僕は君の男の親友だ。その手のことならミランダに聞いた方が確かだよ」 「あの子、今、メキシコ・シティよ」 「あぁ、そうだったっけ」 といったようなやりとりがありますが、「ミランダ」なる人物、“不在”の理由がこの短いセリフで説明されただけで、それっきり、この映画には出てきませんし、二度と触れられもしません。 連ドラでは、ドジっ娘(萌え)白人のリジーと、ユダヤ系お利口男子のゴード、そして、そのミランダってヒスパニック系のおきゃんな女の子が、仲良し3人組でワンセットなのです。リジーにはほんとは、異性の親友と同性の親友がいたんですねぇ。 連ドラ版ファンにとって、この栄えある映画版(連ドラ版の完結編でもある)にミランダが出ないなんて、まったくもって、けしくりからん事態!たとえるなら、『ドラえもん』最終回劇場版に、なぜかスネ夫だけ「家族でおフランスでバカンス中」とか、ジャイアンだけ「カアちゃんにお使いたのまれた」とかのしょうもない理由で、1シーンも出番が無い、というのに匹敵する、断じてあってはならん、ファン置き去りの許しがたい事態なのです!! でも、連ドラを見たことない人にとっては、そんなのどうでもいい話。そこで引っかからない分、連ドラからのファンよりこの映画を素直に楽しめちゃうかもしれません。 ところで、そのミランダも出るけど、ミランダの妹が主役(それがなんと『ウェイバリー通りのウィザードたち』のセレーナ・ゴメスなんだとか)、っていうファン垂涎の『リジー&Lizzie』スピンオフ・ドラマが、アメリカで作られたとか作られてないとか、作られたけども放送のメドが立ってないとか…。ってそれ絶対都市伝説だろ!ぐらいあやふやで不確かな話が、米本国ではここ数年ささやかれてる模様。それ、見れるもんなら激しく見たい!某ディズニー・チャンネル様、おがみます!!で、最後は、例によって吹き替えの話。もとが連ドラなので、それを見てたファンはもちろん字幕よりも吹き替えの方に耳が馴染んじゃってるワケです。そこは吹き替え尊重チャンネルザ・シネマ、抜かりありません。字幕版とあわせて吹き替え版も、当たり前にお届けいたします!(9月字幕、10月吹き替え) ただ、「いゃー、吹き替えって、本っ当にいいもんですね!それではまたザ・シネマでお会いしましょう」が口癖の僕ではありますが、なんでもかんでも吹き替えが良いと思ってるワケでもないんです。この『リジー』は吹き替えもいいのですが(っていうかそっちに耳が慣れてるのですが)、あわせて字幕でも見たい作品なのです。 なぜなら、ヒラダフって子は、声がかわいらしいから。向こうの女優さんにはめずらしい、日本人好みのアニメ声といいますか。歌手としての彼女の歌も、曲の良し悪しより声質のかわいさで聴けてしまいます(ワタクシだけ?)。こういう女優は、本人の声も聞きたい! ついでに言うと、ヒラダフが清純派アイドルとしたら“ヨゴれアイドル”(いゃ、良い意味で)なイメージがすっかり定着してしまったお騒がせセレブ、ハスキーキュートなズベ公ボイスのリンジー・ローハンとか、あの迫力ボディとはあまりにチグハグな舌ったらずで甘ったるい声のJ.Loなんかも、ぜひとも本人の声で聞きたい女優さんです(またもワタクシだけ?)。にしても、なぜか歌手兼業な人ばっかですな。 ワタクシだとどうしても野郎目線になってしまいますが、女性のみなさん的にも「この俳優の重低音ボイスはシビレるわ」みたいなこだわりがある人って、けっこういるのではないでしょうか。 まさに、字幕がいいか吹き替えがいいかはケース・バイ・ケースってことでしょう。■ ©Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
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                                COLUMN/コラム2008.08.26
【ロック・スター】祝!ジューダス・プリースト来日記念 ヘヴィ・メタルを愛する全ての人に
1980年代末から5年間程買っていた『ミュージック・ライフ』誌が出てきてパラパラ懐かしく捲っていた時のこと。 思えば、90年とかってガンズ・アンド・ローゼス、MR.BIG、モトリー・クルーとかが表紙を飾っていたんですよね。91-92年頃になると、なんか暗い雰囲気を持つ人達がネルシャツきて(むしろこの手の音楽の方が僕は主食だったりしますが)、汚いジーパン履いて紙面を賑わせていました。アソコを極端に誇張した革パン、鋲を打ったジャケットを羽織った人の比率は極端に減っていきました。いきなり過去の音楽として葬り去られてしまった感じで、臭いものには蓋をするような音楽シーンの変動は、当時中学生だった僕にとても衝撃的でした。今、読み返してみて、政治に対する怒りとか、偽善的平和を願って歌に託してみたりだとか、そんなものは微塵も感じさせず、酒だ、女だ、パーティーだ、と声高らかに歌っているこんなバカ・ロックは、極めて健康的だと僕は感じます。前置きが長くなりましたが、そんなハード・ロック/ヘヴィ・メタル賛歌を掲げる映画『ロック・スター』が、ザ・シネマに登場します。『あの頃ペニーレインと』に近いのかな。記者からの視点からだったペニーレインに対し、こっちの方はバンド・メンバー自身の映画ですけれど。あらすじは簡単。スティール・ドラゴンっていうアメリカ屈指のHMバンドがありました。彼らの人気はアリーナクラスの会場でも超満員。トリビュート・バンドをするほど崇拝しているマーク・ウォールバーグ君がひょんな事からそのバンドのヴォーカリストになりアメリカン・ドリームを叶えるのだけれど、まあスターともなると、色々ごたごたもあるわけで、っていうお話。ストーリー的にはそんなに大したことはないのですが、何しろ『BURRN!』誌を読んで成長した人達にはたまらない面子がてんこ盛り登場なのです。なんたって、架空のHMバンド、スティール・ドラゴンのメンバーがGuitar/ザック・ワイルド(ご存知元オジーのG)初代Vocal/ジェフ・スコット・ソート(イングヴェイ、タリスマンのVo)Drums/ジェイソン・ボーナム(ツェッペリンのボンゾの息子で当然Dr)Bass/ジェフ・ピルソン(ドッケンのB) なんです。こんなロックな人達が普通に演技しています(笑) 酒、女、ドラッグ、パーティーとバックステージではハチャメチャです。バイクでホテルの中乗り回したり、見ていてニヤニヤできます。加入したてのウォールバーグ君に 「お前の役目はファンの夢を生きる事だ」 って!21世紀には中々お目にかかれない名言です。 挿入歌もデフ・レパード、KISS、モトリー・クルー他80年代のヒット曲満載でお送りいたしております。是非ご覧になっていただいて、大いに興奮して下さい。余談ですが、バンドの音はB級メタルバンド、スティールハートに似ていると思ったのは僕だけでしょうか?映画にもちらりと出てくるし、曲も彼らが作っているのかなぁ。『BURRN!』誌読者だったR40世代の熱いご感想おまちしております。 9月下旬にはジューダス・プリーストも来日しますし、9月はメタル三昧ですね。■ (編成部 しじみ)
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                                NEWS/ニュース2008.08.05
08年アメコミ夏の陣、トップバッターは『インクレディブル・ハルク』
みなさん暑いですねぇ、『インクレディブル・ハルク』、もう見ました? この夏から秋にかけて、アメコミ・ヒーロー映画が波状攻撃的にやっくるワケですが、その最初を飾るのがこの『インクレディブル・ハルク』なのです。映画史的に見て、「2008年ってのはアメコミ・ヒーロー映画大豊作の年だったね」と言われること、もはや確実な情勢(今後も続々と公開されますが、それについては近日また書きます)。将来、「あの夏、私はその熱きムーヴメントの真っ只中にいて、すべてを体験し、目撃したのだ」と、遠くを見るまなざしで子孫に語り継ぐイカした年寄りになるためには、まずこの『インクレディブル・ハルク』を見なきゃ始まりませんよ。 今回ワタクシ、この映画に出演したエドワード・ノートンとリヴ・タイラーの2人にインタビューする栄光に浴しました。その模様のダイジェスト版がすでに当チャンネルでは流れておりますが、例によって、ここでは文字起こしして全文を掲載しましょう。 せっかちにも早速インタビューを始めようとするワタクシ。その、常人には計り知れないハイセンスな横山やすし師匠か『ケープ・フィアー』のデニーロ風なファッションを見たリヴ・タイラーから、「あなたの服キュートね。ベリー・スタイリッシュよ。私もメイン州に住んでた小さい頃、そんなような靴(デッキ・シューズ)履いてよく遊んだわ」との、み、み、み言葉が! Let’s 小躍り!夕星(ゆうづつ)姫アルウェン様にキュートって言われちった!! 嗚呼、かたじけなやもったいなや。前の夜、『魅せられて』DVDを見てギンギンにモチベーション高めてのぞんだ甲斐があったというもんだ。 …と、浮かれてばかりもいられません。限られた取材時間が惜しくて、リヴがせっかく気を使ってくれた“場なごませコメント”をあえて拾いには行かずに、いきなり本題に入る僕。しかもリヴを無視してまず主演のエドワード・ノートン相手に(リヴ・タイラーさんごめんなさい、そしてアイラブユー)。 で、早速ですがノートンさん。あなたは演技派、実力派、スゴい役者、というイメージが日本では定着してて、アメコミ・アクションの娯楽映画に出るって聞いた時はちょっと意外だったんですけど。 「だろうね。っていうか自分がいちばん意外。でもこのテの映画に出るってことは、自分的にかつてない経験なので、いつもと違うことができて良かったと思ってるよ。それに、ガキの頃にハマってた話に出られたのは、役者としてハッピーなことだしね」 (エドワード・ノートンでも子供の頃はハルクにハマってたんだ…) でも、あの天下のエドワード・ノートン主演ときたら、普通のアメコミ・アクションじゃないんでしょ? ハルクっていったら過去に何度も映像化されてるけど、やっぱり今作はちゃんとノートン印になってんでしょ? 「そりゃそうさ。ただのアメコミ映画じゃない。いろんな人に楽しんでもらえる作品に仕上がったと思うよ。それと、あれだね、言ってみりゃこれってシェイクスピアみたいなもんでさ、むかしっから何度となく再演されてるけど、そのつど何らか新しい要素が加わって生まれ変わり、次の時代に伝えられていく。ハルクの物語もそうやって伝えていきたいと思ってね。それに、世間でよく知られた作品をまた新たな創造世界に導くってことも、これまた役者としてはハッピーなことだしね」 なるほど。まさに、この人をして言わしめる、ってトコですな。 さて、お待たせしてすいませんリヴ・タイラーさん。どうも貴女が演じたベティって役のおかげで、今回のこの『インクレディブル・ハルク』はずいぶんとLOVEの要素が濃くなってると聞いてますが。 「そうね。たとえばTVシリーズのハルクって、根は優しいんだけど、すっごく孤独な存在で、独りぼっちで闘っているキャラだったでしょ?社会と関わっていきたいのに、自分がモンスターになってしまうって引け目があって、ジレンマを抱え込んでた。でもこの映画では、ベティの愛・ベティへの愛によって、そんなハルクが変わっていくの」 そうそう、肝心のストーリーを書き忘れてました。ブルース(エドワード・ノートン)は科学者で、アメリカ軍ロス将軍が指揮する人体強化薬の極秘開発プロジェクトにたずさわってたんだけど、自分自身に人体実験したその薬をオーバードーズしてしまい、モンスター化(このモンスターがハルクと呼ばれる)。緑の巨人に変身してバーサークし、秘密研究所をぶっ壊したあげくのはてに、同僚で恋人で将軍の娘でもあるベティ(リヴ・タイラー)にもケガを負わせた上、脱走してしまう。 一定時間たつと変身は解けて元のブルースに戻れるんですけど、体質的には永久に変わってしまって、以降、心拍数が特定値をこえるとハルク化する体になっちゃったんですねぇ。とくに、怒るのが一番よくない。心拍数が上がってヤバい事態になる。 そこでブラジルに渡って、怒りをコントロールするためヒクソン・グレイシーに呼吸法を習う、というかなり飛躍した思いつきを実行に移し、400戦無敗の男に横っツラを張られながらも必死に怒りをこらえる、というお笑いウルトラクイズすれすれな特訓をつうじて精神修養を積みます。 ただ研究プロジェクトをつぶされたロス将軍も黙ってません(娘をモノにした男ということで必要以上にブルースを目のカタキにしている模様)。ブルース=ハルクを生け捕ろうと特殊部隊をブラジルに送り込み、ブルースはその追っ手から逃げ回りながら「早く人間になりたーい」とばかりにキレイな体に戻るための科学的方法を研究しつづけ、ついに、結局はアメリカの大学で教鞭をとってるベティと再会することになるんですねぇ。 ブルースとベティ、焼けボックイについた火はメラメラと燃えあがり、一方でロス将軍の執拗な追跡は2人を着実に追い詰め、そのうえ将軍の部下の特殊部隊隊長が「おら、ハルクより強くなりてぇ。おらは宇宙いち強くなりてぇ」とドラゴンボール(しかもZ)的嫉妬にかられて暴走しだす。と、いよいよもって物語はドラマチックかつジェットコースターのような展開を見せていくのであります!さて、リヴ・タイラーのコメントを再開しますと、 「原作では、ベティとブルースを結婚させようって試みも何度かあったらしいの。それは悲恋に終わったんだけど、今回の映画では、そんな悲しいカップルをなんとか一緒にして、美しい物語に作ってあげたい、という気持ちがこめられていると思うわ」 そんなLOVE要素、そして、たたみかけるがごときアクション要素、そのうえ、クスっと笑わせるコメディ要素も案外ふんだんに盛り込まれていて、笑って、泣けて、手に汗握る、ありとあらゆる娯楽の要素をテンコ盛りにした、これぞエンターテインメント幕の内弁当状態なのですな、この映画は。 まさに、“2008年アメコミ・ヒーロー映画の夏”の口火を切るのにふさわしいトップ・バッター『インクレディブル・ハルク』。みなさん、ぜひ劇場に足を運びましょう!■
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                                COLUMN/コラム2008.07.28
【珍説明 歴シネマB】『メンフィス・ベル』という戦争美談について思う
映画『メンフィス・ベル』は、第二次大戦中の美談を描いている。実話が、下敷きになっていると聞く。このメンフィス・ベルとは、戦時中、アメリカ陸軍航空軍に所属していた1機のB-17爆撃機につけられたニックネームである。イギリスにあった基地から飛び立ち、敵国ドイツを空襲する任務についていた。その機に乗り込んだ、個性的な、しかしごくごく普通のアメリカ青年たちのドラマを描いた青春群像劇である本作を、当チャンネルでは8月15日の終戦の日にお届けする。■1943年、すでにメンフィス・ベル号は幾度もの作戦に参加しており、あと1回でクルーは退役、帰国が許される。しかし、この最後の作戦は熾烈をきわめ、友軍機は敵の対空砲火の弾幕や迎撃戦闘機の襲来で、次々に撃墜されていく。 早く作戦を終わらせてイギリスの基地に帰投したい。そうすれば故郷アメリカに帰れるのだ。だが、死線を越えて到達した爆撃目標のドイツ軍需工場上空は、運悪く、雲に閉ざされていた。標的を目視確認できない。目標ちかくには民家や学校があるが、そんなことに構ってぐずぐずしていたら命取りになるかもしれないのだ。とっとと爆弾を投下して引きあげたい。早く終わりにしたい。死にたくない…。その誘惑は強烈だったが、物語の主人公であるアメリカの青年たちは、踏みとどまる。目標上空を旋回し、危険を承知で雲が切れるのを待つ。無辜のドイツ市民を戦火に巻き込む訳にはいかない、という良心に基づいて。米軍の戦略爆撃は、当初、この映画で描かれるような白昼の精密爆撃であった。あくまで敵国の産業基盤や交通の要衝をピンポイントで狙ったのである。敵国の市街の住宅地を爆撃し、老若男女の一般市民を無差別に殺戮するような非道な真似を、米軍はしなかった。米軍は、日本陸海軍の重慶爆撃やナチスのコンドル軍団によるゲルニカ空襲、さらには同盟国であるイギリス王立空軍によるドイツ都市への無差別爆撃に対してさえ、つねに批判的であった(無論、大編隊が爆弾を湯水のように使う“数撃ちゃ当たる”戦法より、少数部隊が数発の爆弾で目標を過不足なく破壊する方が経済的だ、という打算もあったが)。映画『メンフィス・ベル』で描かれるのは、このアメリカの良心、このアメリカの正義である。たしかに、彼らの良心、彼らの正義は、見る者の胸に熱いものをこみ上げさせずにはおかない。実話だというこの美談にふれて、さわやかな感動にひたる。目がしらを熱くする。それこそが、この映画本来の鑑賞法であるには違いない。だが、映画で描かれた時代のわずか1年半後である1945年、すなわち大戦末期、アメリカは、その良心と正義を、捨てる。米軍もついに、無差別絨毯爆撃に手を染めるのである。その歴史的事実も知った上で、我々日本人は、映画『メンフィス・ベル』を鑑賞すべきだろう。■アメリカにはアメリカの言い分もあった。精密爆撃では大した戦果があがらなかったし、また、映画でも描かれている通り、昼間の作戦では自軍の損害も甚大だった。 だから夜間、敵国の市街の住宅地を爆撃し、老若男女の一般市民を無差別に殺戮することで、敵の戦意をくじき、国土を焦土にして戦争継続を不可能ならしめるしかない、との結論にいたったのだ。映画『メンフィス・ベル』の主人公たちが敵国市民の生命に危険を及ぼすまいとした命がけの努力は、実は徒労だったのである。死ぬ思いで良心を守り抜いた彼らこそ、いい面の皮だろう。1945年2月、ドイツの歴史ある都市ドレスデンは瓦礫の山と化し、何万とも十何万とも知れない人々が殺された。これは無差別爆撃の先達である英国王立空軍と、“ルーキー”アメリカ陸軍航空軍との合同作戦だったが、翌3月の東京大空襲は、米軍単独の作戦であった。米軍は、木造家屋が密集する日本の都市に対し絶大な威力を発揮するだろう「E46集束焼夷弾」をわざわざ開発した。これは爆弾ではなく、“束にした数十本の火炎瓶”のようなものである。投下すると空中で束がほどけ、数十本がバラバラに火の雨のように広範囲に降り注ぎ、それぞれが地上に着弾すると破裂し、中身のネトネトの油脂が燃えさかりながら四方八方に飛び散るのである。ネトネトと粘度がある油だけに、水をかけた程度では容易に鎮火しない。これを、「火が簡単に燃え広がりそうだから」という観点から選んだ四地点にこれでもかと大量投下した。四隅に火をかけられては、その内側にいる人々は逃げ場を失って、ただ焼け死ぬのを待つばかりとなる。結果、8万とも10万人ともされる東京都民が焼き殺され、東京の1/3が焼失した。東京の街はドレスデンと違い、瓦礫の山にすらなれなかった。全て焼き尽くされてしまったからである。この時期のアメリカ陸軍航空軍は、まっとうな軍隊と言うよりは“放火魔団”と呼ぶのが妥当な組織であった。古来、戦争に放火はつきものである。「兵燹(へいせん)」という古い漢語がある。「燹」の語は野焼きや山火事の際、わざと逆側からも火を放ち延焼を防ぐことを意味し、したがって「兵燹(へいせん)」の語には、戦時、たとえば敵城を丸裸にするといった目的を持って城下町に火を放つ、その結果として起こった火災、といったニュアンスが、僅かながら含まれるように思う。かくして古今、住人が大八車に家財を積んで着の身着のまま逃げまどうといった光景が繰り広げられることになる訳だが、まさにその住人を焼き殺すことをこそ目的として1945年の米軍は東京の四方に放火したのであり、どう控えめに言っても戦争犯罪であることは論を俟たない。大空襲の2ヵ月後、東京は米軍の空襲標的リストから外された。これ以上もう燃える物が何一つ無くなり、放火のしようがなくなったからである。そして同1945年、すなわち今から63年前の8月に、ヒロシマ・ナガサキへと、我が歴史上未曾有の惨劇の舞台は移される。『メンフィス・ベル』は、人間の良心と誠実さを描き、見る者に爽やかで心地よい感動を与えてくれる戦争映画だ。つまりは、美談である。その感動に水を差すようだが、小生は、あえて水を差さずにはおられない。『メンフィス・ベル』の物語の延長上に、それもそれからごくごく近い時点に、ドレスデンがあり、東京大空襲があり、また、ヒロシマ・ナガサキがある。そこでは、この映画の中では一切写されない民間人の幾十万の死体の山が、累々と積み上げられた。良心と正義を胸に戦った爆撃機の搭乗クルーは、わずか1年半後には、史上にも稀な“大放火魔団”と化した。戦争が美談で終わることなど、もちろん、あろうはずがないのである。■(聴濤斎帆遊) TM & ©Warner Bros.Entertainment Inc.
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                                COLUMN/コラム2008.07.09
全米に続いて日本でも注目度上昇中の最先端コメディ集団“フラット・パック”の爆笑3作品がザ・シネマに到着!
コメディ・ファンは7月21日p.m.07:00からa.m.00:45、ザ・シネマから目が離せない。p.m. 07:00からの『俺たちニュースキャスター』、p.m.09:00からの『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』、p.m.11:00からの『アダルト♂スクール』、これら3本に共通するキーワードが“フラット・パック(Frat Pack)”である。 『ナイト ミュージアム』のベン・スティラー 『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラック 『俺たちフィギュアスケーター』のウィル・フェレル 『40歳の童貞男』のスティーヴ・カレル 『Gガール 破壊的な彼女』のルーク・ウィルソン 『シャンハイ・ヌーン』のオーウェン・ウィルソン 『ドッジボール』のヴィンス・ヴォーン という、7人の侍ならぬ“7人のお笑い”からなるフラット・パック。1950から60年代にはフランク・シナトラ中心の “ラット・パック(Rat Pack)”、1980年代には若手スター集団の“ブラット・パック(Brat Pack)”があったが、21世紀のハリウッドで大人気なのがフラット・パックだ。 全米興行ランキングでトップになっても、全米興収が1億ドル突破の大ヒットでも、米国のコメディが劇場公開されにくい日本。コメディ系スターの知名度はいつまで経っても上がらず、したがって彼らの次回作も公開されないという悪循環に陥っているが、むしろ本国ではコメディ系スターのブランド=フラット・パックが、面白かったとの観客の評判が彼らの次回作にも注目を集めるという、日本とは逆の現象を生んでいるのに! ここでは、駆け足だが、フラット・パックの魅力について語ってみたい。 まずフラット・パックの面々は、それぞれキャラが立っている。それを理解するのは彼らの各作品を見るほうが手っ取り早いが、ハイテンションのスティラー、ブラック、フェレル、普通っぽいウィルソン兄弟、ハイテンションも普通っぽいキャラもどちらもイケるカレルとヴォーン、彼らを組み合わせることで、只のバカ騒ぎに終わらない人間関係が描ける。『スクール・オブ・ロック』でのブラックのハイテンションとロックを学びだす子供たちのコントラストが分かりやすい例ではないか。キャラたちの対比があるからこそドラマとしての豊かさも生まれ、各作品を見ごたえあるものにしている。 またフラット・パックの映画にはいくつか共通項があり、それが“お約束”として機能する。 まず「パッと見一発で笑えること」。いい大人が子供の遊びに熱を上げる『ドッジボール』、どう見てもモデルに見えないスティラーがスーパーモデル兼スパイに扮した『ズーランダー』など、分かりやすくてとっつきやすい。 また、「“大きな男の子”の感性」も大事だ。大人になった男たちが学生クラブごっこを始める『アダルト♂スクール』や、40歳まで童貞を守った男性が主人公の『40歳の童貞男』など、思春期の男の子のように“モテたい!”と願うキャラたちは、誰もが共感できるはずだし、彼らの成長を祈りたくなる(TVであまりシモネタを見られないという米国のお国柄もあるが)。 そして「やんちゃなまでのヒーロー志向」。中でもフェレルやスティラーが得意とする役どころだが、フラット・パックの映画では、自分をヒーローだとカンちがいした主人公が一度挫折し、復活するパターンが多い(『ロッキー』世代だからか)。その前向きさも、見る者を元気にする。 そしてフラット・パックの7人は、上は1962年生まれのカレルから下は1971年生まれのルーク・ウィルソンまで、いずれもこの年代生まれ。だから各時代の“あれはカッコよかった・カッコ悪かった”“あれは笑えた・感動した”というセンスを共有している。自分たちが好きなモノにこだわる大人って、サマになるならチャーミングでカッコいいぞ。 一方、フラット・パックは只のお笑いスターの集まりではない。スティラーは監督やプロデューサーも、O・ウィルソンは脚本もこなす知性の持ち主だし、若いクリエイターやキャストと組んで新しいものを生み出そうという気概もある。今やハリウッドではフラット・パック人脈は拡大中だ。フラット・パックとの共演が多いドリュー・バリモアや、フラット・パックと関係ないが(ライバル?)戦略は近いと思わせるアダム・サンドラーなど、フラット・パックを中心に目を離せない顔ぶれは増殖中だ。 さて、今回放送の3作品だが、男女格差があった1970年代を懐かしがりながらもマチズモ(男性優位主義)を笑い飛ばす『俺たちニュースキャスター』、『天才マックスの世界』で注目された新鋭ウェス・アンダーソン監督の第2作だが、スティラーの赤いジャージ姿などフラット・パックらしさが強い『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』、Fraternity(男子学生クラブ/米国の大学によくある)を題材にしたことでフラット・パックというニックネームを生むきっかけとなった『アダルト♂スクール』と、多彩な作品がずらりと勢揃い。 日本でも昨年から今年にかけて、『ナイト ミュージアム』(スティラー、O・ウィルソンら出演)、『俺たちフィギュアスケーター』(フェレル主演)がヒットし、今夏からは『テネイシャスD 運命のピックをさがせ!』(ブラック主演、スティラー製作総指揮)、『俺たちダンクシューター』(フェレル主演)、『ゲット・スマート』(カレル主演)、『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(スティラー監督・主演、ブラック共演)、『僕らのミライへ逆回転』(ブラック主演)が次々と公開される予定で、日本における“フラット・パック元年”になるかも? その前に、ぜひザ・シネマの本特集で予習しておこう!■
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                                COLUMN/コラム2008.06.12
6月の吹き替えの日は
まえにここのブログで「昭和の洋画吹き替えを無形文化財に指定せよ」という記事を書いてから、視聴者の皆様よりたくさんのご意見・ご要望をいただいてます。ありがとうございます! 「よくぞやってくれた!っていうか、いっそ吹き替え専門チャンネルになって」という激励(?)もあれば、「吹き替えなんて邪道だから字幕版だけでよい!」というご意見もあります。 結論として、ザ・シネマとしては、吹き替え専門にはなりません。けど、吹き替え特集に力は入れ続けます。 吹き替え版しかやらない、という作品が原則ないよう心がけてますので(ごくごくまれな例外中の例外はご勘弁ください)、吹き替え否定派のかたは、字幕版の放送のほうでお楽しみください。 また吹き替え肯定派のかたは、今後も特集「吹き替えの日」にご注目ください。その筋のひと的に価値ある吹き替え版を、これからも厳選してお届けします。 っていうか、その筋のエッジなひとたちのあいだで高まった吹き替え再評価の気運って、いま、広く一般ピープルのあいだにも「むかしは映画って夜9時からテレビの洋画劇場で見てたよなー、あの頃の吹き替えって懐かしいよなー」的な昭和ノスタルジアとして波及してるんですよね。 字幕のオリジナリティも良い。吹き替えの妙も捨てがたい。要はケース・バイ・ケースなのでは?という柔軟な立ち位置にザ・シネマはいますが、この気運がますます盛り上がればよいと願っており、吹き替え再評価ブームの一翼を担えれば、と思ってます。 そこで早速、またしても「6月20日は吹き替えの日」という24時間特集を組みます! 今度のラインナップは、 『レッドブル』…シュワ=玄田哲章 『ロックアップ』…スタも玄田哲章 『レッドソニア』…シュワ=今度は屋良有作 『インナースペース』…(後述) 『ユニバーサル・ソルジャー』…ヴァンダミング=山ちゃん、ドルフ・ラングレン=大塚明夫 『テキーラ・サンライズ』…(後述) というアクション系6タイトルです。 とくにご注目いただきたいのが、『レッドソニア』。これについては以前書いたとおり。 さらに追加で書くと、この映画は『コナン・ザ・グレート』の番外編だとまえに触れましたけど、正伝『コナン・ザ・グレート』でヒロインの女剣士バレリアをアテてた戸田恵子が、異伝『レッドソニア』ではヒロインの女剣士ソニアを担当してます。なるほど、『コナン』シリーズでの戸田恵子は、正義のヒロイン女剣士担当声優ってワケなんですね。 ちなみに、正伝『コナン・ザ・グレート』のヒロイン女剣士役サンダール・バーグマンは、異伝『レッドソニア』では悪の女王役です。ヒロインやった女優が今度は悪役で起用された。こういうキャスティングの遊びって、番外編ならではのお楽しみですよね。ただ、逆に言うと、戸田恵子はサンダール・バーグマンFIXの声優扱いをされなかった、ってことです。 個人的には、そうであって欲しかった!そうすれば正伝と異伝がきれいに日本語の声でもつながったのに、というらちもないマニア願望をいだかずにはいられない僕です…(すでにシュワ声優が玄田哲章と屋良有作で違っちゃってますから、その時点でつながらないのですが…)。 次に注目は『インナースペース』。DVDは、なんと『クライマーズ・ハイ』の原田眞人監督が吹き替え演出を担当、デニス・クエイド=上杉祥三、マーティン・ショート=野田秀樹、メグ・ライアン=斉藤慶子という、ある意味サプライズ人事ですが、まぁ、これに関しては各自、DVDでお楽しみください。 今回ザ・シネマで放送しますのは、見ようと思っても見れないレアなテレビ版です! こっちのバージョンですと、デニクエ=谷口節、マーティン・ショート=堀内賢雄、メグ・ライアン=佐々木優子と、手堅い人事になってて安心です。 さらに!きわめつけは『テキーラ・サンライズ』。あさ10時からはメル・ギブ=神谷明版、よる10時からは野沢那智版にて放送!(我ながらこんなマニアックな企画よくやるわ…) この映画でのメル・ギブソンは、ヤクのディーラーという「二枚目なヤバいひと」の役なんですが、メルギブの二枚目感は神谷明に、ヤバいひと感は野沢那智に、僕ならそれぞれ軍配を上げたい。ぜひ、聴き比べてみてください。 さらにさらに、『レッドブル』のジェームズ・ベルーシ=富山敬、『ロックアップ』のドナルド・サザーランド=家弓家正といった脇も、見逃せない(聴き逃せない?)配役です。 というわけで、全国の吹き替えファンの皆々様、6月20日も、ザ・シネマ吹き替えの日、ご堪能ください! コアな吹き替えマニアではない一般ピープルの皆様も、この日は、一昔前のテレビ洋画劇場、荻昌弘が、水野晴郎が、高島忠夫が、そして淀長翁が(むろん木村奈保子もですが)、夜ごとシネマの世界へと誘ってくれた、あの時代の夜の、あの雰囲気に囲まれて、幸福なノスタルジーに浸りきってみてはいかがでしょう? それにしても、いゃー、昔のテレビ洋画劇場って、本っ当にいいもんですね! 【特報!】そして盛夏8月、すごい品ぞろえで「吹き替えの日」を実施予定!詳細後日!! 乞う御期待!!!■