「イヤねぇー、最近のアメリカのアイドルって下卑たスキャンダルにまみれまくりで」
「そこがいいんじゃない!」

と、みうらじゅん風に始めてみました。ドラッグ、アルコール、セックス、奇行、逮捕などなどのスキャンダル渦巻くアメリカのショウビズ界において、とうに絶滅したはずの太古の種の生き残り、オゴポゴやモケーレ・ムベンベ等とならぶUMAの一種とされる、「清純派アイドル」。
 
スキャンダルなど無縁。エロい話題はご法度。清く正しく美しい萌えな、品行方正の美少女。オナラもしなきゃトイレにも行かない、という特異な生理を持つとの学説もある、謎の超自然生命体「清純派アイドル」でありますが、その実在がアメリカでついに確認されたのは、21世紀初頭のことでした。

それが、ヒラリー・ダフ。略して“ヒラダフ”なのであります!


ブリトニー・スピアーズの下、いま現地で大ブレイク中のマイリー・サイラス(日本で言えば平成生まれ)の上の世代。リンジー・ローハンとは同世代のライバル関係で、まさに、ゼロ年代を代表するアイドルです。

上で名前をあげたみなさんは、スキャンダルにまみれておいでの、自由奔放なちょっと困ったチャンたちなんですが、唯一ヒラダフ嬢だけ、これまでスキャンダルらしいスキャンダルも無く、純潔のイメージを守り抜いてきたのですな。

最近の彼女は、ディズニー・モバイルのCMで日本のお茶の間でもすっかりおなじみですね。っていうか彼女もふくめ、上記のスキャンダラスなみなさんも全員が、実は某ディズニー・チャンネルから出た人たちなのです!すごいぞ某ディズニー・チャンネル!!

ここ10年の某ディズニー・チャンネルって、トップアイドル輩出機関的な役割をはたしてて、そっち方面が好きな御仁は要チェックなのです。日本で言えば、70年代の『スタ誕』か、80年代の『ミスマガジン』か、90年代の『ボクたちのドラマシリーズ』&『月曜ドラマ・イン』状態。

そのヒラダフ嬢がローティーンのころに出演し、ブレイクするきっかけとなったのが、連続ドラマ『リジー&Lizzie』。中学生のリジーを中心に、彼女の学校生活や家族模様なんかをコミカルに描いた、ティーン向けのドラマです。

で、今回ウチで放送する『リジー・マグワイア・ムービー』とは、何を隠そう、その『リジー&Lizzie』の映画版なのです(あー回りくどい!)。

この映画で、冒頭リジーは中学校(あの、ファンにとっても思い出深い)を卒業。いつもの仲間たちと一緒に、卒業旅行ならぬ高校の入学旅行でローマに行きます。そこで、イタリアのイケメンとのロマンスが待っている、という、豪華映画版なのです。学校行事の旅行ながら、おなじみのマグワイアファミリーももちろん登場します。
 
もう、これぞまさしく、正統派アイドルムービー!ってかんじですな。かなりムチャな話の運びやマンガチックな展開が目立つティーン向け映画ですが、そこはまぁ、あげ足とらんと、相好くずしっぱなしでヒラダフ嬢のかわいさを愛でる、というのが、オトナゲある鑑賞態度でしょう。
 
ちなみに、連ドラの方を一度も見たことなくても楽しめる作りになってますが、補足説明しときたいところが一ヶ所だけ。冒頭、慣れない卒業式用衣装を着たリジーとゴード(っていう仲良しの男子)の、
 
「ゴード、私の見た目、OK?」
「リジー、僕は君の男の親友だ。その手のことならミランダに聞いた方が確かだよ」
「あの子、今、メキシコ・シティよ」
「あぁ、そうだったっけ」
 
といったようなやりとりがありますが、「ミランダ」なる人物、“不在”の理由がこの短いセリフで説明されただけで、それっきり、この映画には出てきませんし、二度と触れられもしません。
 
連ドラでは、ドジっ娘(萌え)白人のリジーと、ユダヤ系お利口男子のゴード、そして、そのミランダってヒスパニック系のおきゃんな女の子が、仲良し3人組でワンセットなのです。リジーにはほんとは、異性の親友と同性の親友がいたんですねぇ。
 
連ドラ版ファンにとって、この栄えある映画版(連ドラ版の完結編でもある)にミランダが出ないなんて、まったくもって、けしくりからん事態!たとえるなら、『ドラえもん』最終回劇場版に、なぜかスネ夫だけ「家族でおフランスでバカンス中」とか、ジャイアンだけ「カアちゃんにお使いたのまれた」とかのしょうもない理由で、1シーンも出番が無い、というのに匹敵する、断じてあってはならん、ファン置き去りの許しがたい事態なのです!!
 
でも、連ドラを見たことない人にとっては、そんなのどうでもいい話。そこで引っかからない分、連ドラからのファンよりこの映画を素直に楽しめちゃうかもしれません。
 
ところで、そのミランダも出るけど、ミランダの妹が主役(それがなんと『ウェイバリー通りのウィザードたち』のセレーナ・ゴメスなんだとか)、っていうファン垂涎の『リジー&Lizzie』スピンオフ・ドラマが、アメリカで作られたとか作られてないとか、作られたけども放送のメドが立ってないとか…。ってそれ絶対都市伝説だろ!ぐらいあやふやで不確かな話が、米本国ではここ数年ささやかれてる模様。それ、見れるもんなら激しく見たい!某ディズニー・チャンネル様、おがみます!!

で、最後は、例によって吹き替えの話。もとが連ドラなので、それを見てたファンはもちろん字幕よりも吹き替えの方に耳が馴染んじゃってるワケです。そこは吹き替え尊重チャンネルザ・シネマ、抜かりありません。字幕版とあわせて吹き替え版も、当たり前にお届けいたします!(9月字幕、10月吹き替え)

ただ、「いゃー、吹き替えって、本っ当にいいもんですね!それではまたザ・シネマでお会いしましょう」が口癖の僕ではありますが、なんでもかんでも吹き替えが良いと思ってるワケでもないんです。この『リジー』は吹き替えもいいのですが(っていうかそっちに耳が慣れてるのですが)、あわせて字幕でも見たい作品なのです。
 
なぜなら、ヒラダフって子は、声がかわいらしいから。向こうの女優さんにはめずらしい、日本人好みのアニメ声といいますか。歌手としての彼女の歌も、曲の良し悪しより声質のかわいさで聴けてしまいます(ワタクシだけ?)。こういう女優は、本人の声も聞きたい!
 
ついでに言うと、ヒラダフが清純派アイドルとしたら“ヨゴれアイドル”(いゃ、良い意味で)なイメージがすっかり定着してしまったお騒がせセレブ、ハスキーキュートなズベ公ボイスのリンジー・ローハンとか、あの迫力ボディとはあまりにチグハグな舌ったらずで甘ったるい声のJ.Loなんかも、ぜひとも本人の声で聞きたい女優さんです(またもワタクシだけ?)。にしても、なぜか歌手兼業な人ばっかですな。
 
ワタクシだとどうしても野郎目線になってしまいますが、女性のみなさん的にも「この俳優の重低音ボイスはシビレるわ」みたいなこだわりがある人って、けっこういるのではないでしょうか。
 
まさに、字幕がいいか吹き替えがいいかはケース・バイ・ケースってことでしょう。■

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