STシリーズは1966年にテレビで始まり、以降、多くの作品が作られてきました。 息の長いシリーズなだけに、逆に途中からファンになるという方は、過去作を追いかけるだけも大変です。
そこで考えられたのがリブート(※シリーズにおける連続性を捨てて、新たに一から仕切り直す)版の本作でした。
キャラクターはお馴染みですが、演じる俳優は総て一新。さらにメカデザインや美術なども、過去作のイメージを大切にしながら新たなものに生まれ変わらせています。
この作品の魅力は、過去のSTにはなかったスピード感とアクションが満載であるという点。
STシリーズを一度も観たことがない方、SFは苦手という方にも楽しめる一本になっています。
逆に、本作を観てSTを気に入っていただけるケースもあるようです。
ちなみに、この劇場版は最初のテレビシリーズと同じ23世紀が舞台ですが、これより以前の22世紀を舞台にしたテレビシリーズ『スタートレック エンタープライズ』も存在します。そのシリーズが製作された動機も、本作と同じく、新たなファンを開拓するためでした。
なお、J・J・エイブラムズによってリブートされたSTシリーズは、ファンの間では"ケルヴィン・タイムライン"と呼ばれています。これはUSSケルヴィンの破壊に、端を発した新たなタイムラインの世界を舞台にしているからです。
ヒットメーカーの J・J・エイブラムズによってリブートされた新生ST劇場版の2作目は、『SHERLOCK(シャーロック)』で一躍、人気俳優の仲間入りをしたベネディクト・カンバーバッチが謎のキャラクター(といってもファンにはおなじみ)を演じています。
本作の特徴は、なんといってもスピード感溢れるアクションが多い多い点です。宇宙艦隊本部への襲撃シーン、クリンゴンの母星クロノスでの死闘、さらにクライマックスの宇宙戦闘シーンと、怒濤の展開と緩急をたくみに使い分けたアクションに、思わず唸ること必至です。もちろん、カンバーバッチの熱演も必見です。
また、本編前には007シリーズと同じように、アバンタイトル(※オープニングに入る前に流れるプロローグ)が入るのもリブート版の特徴です。この手法は最新作『スター・トレック BEYOND』でも踏襲されています。興味深いのは、そのアバンタイトルで描かれたことが、その後の本編とリンクしているということです。
ところで、本作は前作以上にSTファン向けの濃いネタを仕込んであるため、ファンは何度でも楽しむことが出来ます。そのあたりが、昔の映画と違って、作品をソフトや録画などで、繰り返し楽しめるようになった時代にマッチしているのではないでしょうか?
もちろん、スター・トレックを覧になっていない方にも、作品世界が楽しめるよう製作されているので安心です。シリーズ未見の方もぜひ!
STの魅力とはなんでしょう? そもそも魅力がないのなら、これほどまでに膨大な作品が作られ続けることは無かったでしょう。
STには、古今東西の物語のエッセンスが詰まっています。それは伝説であったり、神話であったり、または普遍的な人間ドラマでもあるのです。
そうした物語は、SFという体裁をとっていても実は普遍的なものなのです。
SFがお好きな方はもちろん、SFは苦手という方にこそ、是非、ご覧いただきたいのが本シリーズなのです。