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「ワイルド・スピード」(以下、「ワイスピ」)でドミニクの相棒としても登場するマッスルカー。
今回、マッスルカーの輸入販売・メンテナンスを手掛けるポモナカンパニーに取材を敢行!
思春期にマッスルカーにハマり、魅了され続けてきた同店代表・伊藤敏久さんに、その真髄や「ワイスピ」が業界に与えた影響などをプロ目線で語ってもらった。

「ワイスピ」をきっかけにマッスルカー文化が後世に正しく継承されることを願っています

伊藤さんが子どもの頃からのお気に入りだというマスタングの前で

「ワイスピ」シリーズの登場によって、マッスルカー業界の事情は変わりましたか?
伊藤「10年ぐらい前からアメリカ本国でマッスルカーの価値が上がり始めたんです。アメリカ人の古き良き物(品)を愛するというステータスが、クラッシックカー・マッスルカーでもあるので、数限りある希少な車たちの価格が上がるのは当然のことだと思います。また『ワイスピ』の公開で、日本での需要がさらに増え、西海岸を中心に多くのマッスルカーが買い付けられたこともあり、本国での台数が減っているのも現状です。あれだけの車に特化した映画なので、車好きはたまらなく乗りたくなりますよね(笑)。当社でも『ワイスピ』関連の車を注文いただくことも多くなって、6作目に出てくるダッジ・チャージャー・デイトナの兄弟車プリムス・スーパーバードなども入庫したり、70年式のダッジ・チャージャーやダッジ・チャレンジャーの注文が増えたのも、『ワイスピ』の影響もあるかと思います」
劇中ではタフさが売りのドミニクがダッジ・チャージャーに乗っていますが、実際のオーナーの方はどういう方が多いですか?
伊藤「今回、当社で納車させていただいたチャージャーのオーナー様も『ワイスピ』狂いで、映画に登場したシルビアからワイスピのグッズやミニカー関係までほとんどお持ちのマニアな方なんです。そのほかのダッジ・チャージャーのオーナーさんたちも、ワイルドという感じではなく、どちらかというとジェントルな方が多く、ドミニクとは全然違います(笑)」
伊藤さんがマッスルカーを好きになったきっかけを教えてください。
伊藤「30年くらい前、アメ車は“クズ鉄”扱いされていて、0〜30万円くらいで買える車もあったんです。当時はパーツが充実していなかったので、何とか動かすためにいじって遊んでいて、そこから興味を持って自分で直すようになったのがきっかけですね」
ほかの車にはない、マッスルカーならではの魅力は何だと思いますか?
伊藤「昔のアメ車はエンジンから内装まで様々なグレードがあって、その中で特にハイパフォーマンス・ハイグレードの車だけをマッスルカーと呼ぶんですけど、まずはそのプレミア感や大きなV8エンジンに心惹かれますね。マッスルカーは50年前の産物なので現代の道路事情には不便はありますが、そのストレスすら楽しく感じるというか…。車を降りた後も乗っていた時の胸の高鳴りが止まらない、あるいは面倒でもまた乗りたいと思わせる中毒性があって。マッスルカーは言ってしまえば“無駄の塊”なんです(笑)。でもその無駄こそが魅力だと思います」
日本でのマッスルカーの現状についてどう思いますか?
伊藤「車離れが進んでいますが、イキのいい親父たちがこういう車に乗らないと、それをカッコいいと思う若い世代がいなくなってしまう。カッコいい、というのは大切なことです。映画を観て、形から入ってくる人も大歓迎ですが、私たちはマッスルカーに正しく乗ってもらいたいと思いますし、それが後世にも繋がって、マッスルカー文化が正しく継承されていくことを願っているんです」
そもそもマッスルカーってなに?
簡単に言うと1968〜71年に作られたハイパフォーマンス・ハイグレードなアメ車を指す。伊藤さん曰く「由緒正しきマッスルカーには出生届けがあり、作られた日時まで分かるようになっている。昔からアメリカでは裕福な家庭のステータスとして所有する人も多いんです」とのこと。

年式:1970 メーカー:クライスラー 
「ワイスピ」で1、4、5作目と複数作品で登場するドミニクの愛車ダッジ・チャージャー。「悪そうな見た目が特徴です(笑)」と伊藤さんが語るように、そのルックスはとにかくいかつく、サイズも特大。最大クラスのV8 440エンジンが搭載されており、その排気量はなんと7200cc!実際にエンジンをかけてもらうと、そのサウンドは迫力満点で、周囲の音をかき消してしまうほど。

  • ボンネットを開けると、そこには特大サイズのエンジンが!

  • ドミニクが身に着ける十字架のネックレスも完備した驚きの再現度

年式:1970 メーカー:クライスラー 
E-BODYと呼ばれるサイズが特徴のダッジ・チャレンジャー。クーペに区分される小さめのボディだが、その走りはかなりパワフル。「ワイスピ」では、ローマンがストリートレースで手に入れる車として2作目に登場する。

年式:1969 メーカー:フォード 
“マック1”“マッハ1”の愛称で親しまれる1台。当時アメリカで爆発的に売れたマスタングの中でも最上級クラス。6作目、高速道路のシーンでローマンが乗車するが、敵の戦車に踏みつぶされてしまう…もったいない!

デイトナは状態が良ければ約1億円の高値で取引されることも!

「6作目のダッジ・チャージャー・デイトナです。ほかのどの登場車よりもレアで、価格もとんでもなく高いんですけど、いつか乗ってみたい“憧れ”ですね。僕は映画を観て整備士になったくらい『ワイスピ』が好きなんですけど、デイトナはやはり別格です」
(整備士・田邊さん)

Pomona, co. 有限会社 ポモナカンパニー
代表取締役 伊藤 敏久

ADDRESS:〒339-0025 埼玉県さいたま市
岩槻区釣上新田1420-1
TEL:048-798-7955
FAX:048-798-7956
HP:http://pomonaco.net
E-Mail:pomona@mva.biglobe.ne.jp
定休日:火曜日
営業時間:10:00〜19:00

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