余分なお金と、陰湿な感情を持ち合わせた蝶コレクターの青年が、蝶よりももっとキレイなもの“女性”を監禁して、眺める、ストーカー男の倒錯した愛の物語。

『コレクター』といって、『コレクター』モーガン・フリーマンを思い出された方、ごめんなさい。これはその『コレクター』より10年も前に、『ローマの休日』や『ベン・ハー』を手がけた監督、ウィリアム・ワイラーが撮ったサイコ・スリラーなのです。

『ローマの休日』で、当時無名だったオードリー・ヘプバーンを見出し、永遠の妖精と謳われるきっかけを生んだウィリアム・ワイラー監督。幅広いジャンルの映画を手がけ、それぞれで一級の作品を残した彼が、異常心理男の気持ち悪さ爆発の映画をも撮っていたのです。

七三分けで、会社では同僚にいじられる日々を送る青年が、偶然大金を手に入れたことをきっかけに、一軒家を購入。そして、ずーっと好きだったけど声をかけることも出来なかった女性を、「知り合いたかったから…」といって誘拐してしまいます。

女性の好みに応じた部屋を用意し、できるかぎりの要望を聞き、至れり尽くせりするのですが、そんな出会い方で相手が恋心を抱くはずもなく、誘拐された女性はあの手この手で脱出を試みます。

じと~とした目で、「どうして僕の気持ちが分かってくれないんだ」と嘆くストーカー男の、ゆがんだ愛の結末はどうなるのか?ぜひザ・シネマでご覧ください。■

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