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コラム・ニュース一覧
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COLUMN/コラム2013.08.20
ザ・シネマ LAオフィスレポート!特集「映画の中のロサンゼルス」のロケ地取材!
■素顔のロサンゼルスここロサンゼルス(L.A.)は、言わずと知れた映画の都。普段はロケ地として様々な舞台に早変わりしますが、この町がL.A.としてそのままの顔で登場する映画も沢山あります。甘いロマンスに渋いクライム・サスペンス。ジャンルを問わずこなせるのは、豊かな自然と、多様な文化を持つL.A.ならでは。名所と呼ばれる観光スポットから何の変哲もない交差点まで、映画マニアなら押さえておきたい、あのシーンのあの台詞が生まれた場所へ、いざ出発です。 <鉄道>訪れた土地をより身近に感じさせてくれる鉄道は、スクリーンでも観る者の旅心を誘います。車社会でありながら、実は意外なほど電車の線が延びているL.A.。ダウンタウンのユニオンステーション(1)は、長距離列車やメトロ(地下鉄)が乗り入れるターミナル駅として、その中核を担っています。風格あるスパニッシュ・コロニアル・スタイルの建物は、これまで数々の映画に登場。「ニック・オブ・タイム」では、ジョニー・デップ演じる主人公の悪夢の始発駅となります。 1.ユニオンステーション※シンボルの時計台が、迫るタイムリミットを知らせる 2.ターミナル・アネックス郵便局 ちなみに、姉妹ビルのような隣の建物は、駅と同時期に建てられた、かつての中央郵便局。今でもターミナル・アネックス郵便局(2)として機能する一方、「シティ・オブ・エンジェル」でメグ・ライアンが働く病院として使われるなど、ロケ地としても活躍しています。 3.7thStreet 駅 さて、ユニオンステーションから3つ目、ダウンタウンのビジネス街にある7th Street駅(3)は、2004年の「コラテラル」に登場。ロングビーチ行きの地下鉄は、物語の重要な役割を果たしています。 4.レドンド・ビーチ駅 ただし、実際にエンディングの舞台となったのは、グリーンラインの終点レドンド・ビーチ駅(4)。実はマイケル・マンがこの駅を使用するのは「ヒート」に続き2回目ですが、夜明けのL.A.+無機質なホームは、さすがマン監督。哀愁漂うドラマを描かせたら右に出る者はいません。 <ホテル>L.A.のホテルは、映画関連のイベントに使われたりスターが宿泊したりと、華やかな話題に事欠きません。中でも、ハリウッドのど真ん中、チャイニーズ・シアターの向かいにあるハリウッド ルーズベルト ホテル(5)は、記念すべき第1回アカデミー賞授賞式が行われた由緒あるホテル。あのマリリン・モンローが2年間暮らしていたこともあったそう。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でレオナルド・ディカプリオが泊まる”トロピカーナ・モーテル”は、ここの裏玄関です。 5-1.ハリウッド ルーズベルト ホテル正面 5-2.ハリウッド ルーズベルト ホテル裏側 6.Wホテル レトロ・フューチャー的なガラスの塔が摩天楼で一際目を引くのは、ダウンタウンのウェスティン ボナベンチャー ホテル アンド スイーツ(7)。その特徴的な構造から、「トゥルー・ライズ」や「リーサル・ウェポン2」など、多くの映画の舞台となってきました。そして、ほぼ全編が撮影された「ニック・オブ・タイム」では、ジョニー・デップとクリストファー・ウォーケンが、緊迫感ある対決を繰り広げます。 7.ウェスティン ボナベンチャー ホテル アンド スイーツ 同じくダウンタウンにあるスタンダード ホテル(8)は、逆さまのロゴが印象的。デザイナーズ家具にこだわったこのブティックホテルは、カリフォルニアでは他にサンセット通りのみ。「コラテラル」で、ジェイミー・フォックスが通行人から携帯電話を強奪するのが、このホテル前です。 8-1.スタンダードホテルロゴ 8-2.スタンダードホテル前 <レストランカフェ>食も映画のムードを演出する大事な小道具。映画のちょっとした台詞からも、ヘルシー志向で流行に敏感なL.A.っ子の食生活を垣間みる事ができます。「抱きたいカンケイ」でアシュトン・カッチャーとその友人達が溜まり場として使っているのは、カルバー・シティーのレストラン、アカシャ(9)。ジャンルに縛られず、素材を活かした料理が人気で、ランチ時には近くのソニー・スタジオ関係者で賑わいます。 9.レストラン・アカシャ また、カッチャーがナタリー・ポートマンとばったり出くわし、勝手に運命を感じてしまうのが、トースト・ベーカリー・カフェ(10)です。お洒落なカフェの並ぶサード・ストリートの中でも特に人気店で、セレブ出没率も高いと評判。パティオ席で太陽を浴びながら通りを眺めるのも、L.A.ならではの楽しみ? 10.トースト・ベーカリー・カフェ さらに一瞬だけれど見逃せないのが、スプリンクルズ(11)。始めは追い返されたカッチャーがナタリーのアパートに入れてもらえたのは、ここのカップケーキのお陰。ここ数年、L.A.は空前のカップケーキブームですが、その火付け役となったのが、ビバリーヒルズのスプリンクルズ。それまで愚痴をこぼしていたナタリーやルームメイト達が一瞬にして黙ってしまうほどの威力は凄い。 11-1.スプリンクルズ 11-1.カップケーキ <文化>ロマン・ポランスキーの傑作「チャイナタウン」のタイトルになっている伝説的なチャイナタウン(12)は、ダウンタウンの北端に位置します。途中何度も台詞に登場させながら、あえてラストシーンまでは見せないところが、この映画の絶妙さ。「忘れろ、チャイナタウンなのだから」と言わしめるミステリアスな町の雰囲気を一層高めています。残念ながら、今は当時の面影は全くありませんが、近年のチャイナタウンは、「ラッシュアワー」や「グリーン・ホーネット」などの舞台になっています。 12.チャイタウン 広大なキャンパスを持つアメリカの大学は、それだけでも一見の価値ありですが、撮影にも頻繁に使われるため、ロケ地として訪れる楽しさも。「抱きたいカンケイ」でナタリーが勤める病院として登場するのは、ウエストウッドにある名門校UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)(13)。ハリウッドとの関係も深く、映画学科の卒業生にフランシス・F・コッポラやアレクサンダー・ペインらが名を連ねるほか、近くの映画館では毎月のように映画のプレミアが催されています。 13.ULCA ウエストウッドからウィルシャー通りを東に向かい、ビバリーヒルズを抜けたところにあるLACMA (ロサンゼルスカウンティ美術館) は、アメリカ西海岸最大の美術館。その充実した展示はもちろん必見ですが、ここでの注目は1920年代頃の街灯を200本以上集めた屋外アートのアーバン・ライト(14)。通りから気軽に入って楽しむことができるため、特に夜は絶好の写真スポットとして人気です。「抱きたいカンケイ」では、セックスだけの関係だった二人が記念すべき初デートとしてバレンタインの夜に訪れます。でも、デートの締めだったはずが、ナタリーにはロマンチックすぎて逆にプレッシャーだったよう。喧嘩になった挙げ句、警備員に追い出されるという残念な結果に。 <ビーチ・公園>ロサンゼルスといえば、やっぱり広い空、青い海のイメージ。スターの豪邸が立ち並び、数々の映画やコマーシャルで知られるマリブビーチ(15)は、ベニス・ビーチやサンタモニカを更に北上した所にあります。「シティ・オブ・エンジェル」でニコラス・ケイジと仲間の天使達が浜辺に佇む幻想的なシーンは、ここの夕焼けをバックに撮影されたものです。 15.マリブビーチ マリブビーチからL.A.空港付近まで下ると、人工としては世界最大のヨットハーバーであるマリナ・デル・レイがあります。湾内には、「抱きたいカンケイ」でアシュトン・カッチャーが焼きもちを焼くバーベキューのシーンで出てくるバートン・チェイス・パーク(16)が。海風と緑が心地よい公園では、週末にピクニックや結婚式を楽しむ人々で賑わいます。 16.バートン・チェイス・パーク 海だけでなく、L.A.では気軽に行ける山や公園にも不自由しません。チャイナタウンに隣接するエリジアン・パークは地元の景観スポット。晴れていれば、「シティ・オブ・エンジェル」のように天使の気分でL.A.の町を一望できること間違いなしです。 また、そのすぐ近くにあるエコ・パークは、「チャイナタウン」に登場。明らかに場違いなジャック・ニコルソンと助手が手漕ぎボートでターゲットを尾行する池は、今年6月に2年間の工事を終えて生まれ変わったばかり。蓮の花が咲き誇り、噴水の向こうにはダウンタウンの摩天楼を見渡すこともできる、これまたフォトジェニックなポイントです。 いかがでしたか?ロケ地を訪れる機会があれば、その空気を肌で感じることで映画との距離もぐっと縮まるはず。映画を知って町を楽しみ、町を知って映画を楽しむ——それがロケ地巡りの醍醐味ではないでしょうか。■(ザ・シネマ LAオフィス/Nao)
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COLUMN/コラム2013.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年8月】招きネコ
映画館で号泣してエンドクレジットが流れる暗闇の中で明るくなる前に必死に涙を拭いた記憶ってありますよね?この作品を映画館で見た25年前のその記憶がまだ鮮明にあります。この作品のエンディングを私は生涯決して忘れないでしょう。 1944年、第二次世界大戦末期のナチス占領下のフランス。パリから田舎のカトリックの寄宿学校に疎開している12歳の少年ジュリアンは、転校生のジャンと仲良くなる。だが、ジャンは実はユダヤ人でナチスの探索の手を逃れて学校に匿われていたのだった。そして、ある事件をきっかけに密告があり、学校にナチスがやってくる・・・。 「死刑台のエレベーター」の巨匠ルイ・マルは自らの少年時代の生涯忘れられない記憶を約半世紀の時を経て遂に映画化しました。彼自身、この体験があまりに重くて、撮影中本当に辛かったと語っています。いわば、この作品はそんな思いをしても映像化しなければならなかった、彼が伝えなければいけないメッセージを持った作品なのです。それは、「戦争のむなしさ」そして「人間の素晴らしさ」。この映画は静かで美しい、一切戦闘シーンのない反戦映画です。殺伐とした昨今の世情の中、ぜひ多くの人に見て欲しい。 © 1987 Nouvelles Editions de Films
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COLUMN/コラム2013.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年8月】にしこ
ひょんなことからフセインが密かにもっているという金塊の存在を知った米軍兵たちが、一攫千金を目指してお宝探しに乗り出すところから物語は始まります。シニカルかつテンポ良く物語は進んでいきますが、作品のテーマはやはり「戦争の理不尽さ」。随所に織り込まれるコミカルだけれど、皮肉たっぷりな戦争へのアンチテーゼは押しつけがましくなく、それゆえ観る人に訴えかけるものがあります。「いい車が欲しい!」「金持ちになりたい!」とヨコシマな気持ちから始めた冒険。旅の終わりに彼ら心に起きる変化とは?必見です!! TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.
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COLUMN/コラム2013.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年8月】うず潮
アル・パチーノといえば、マフィア役のイメージがありますが、若かれし頃には警察官も演じおります。不正は絶対に許さない正義感丸出しの熱い警察官!70年代の映画だけにビッシっとスーツで決めたアル・パチーノではなく、髭もじゃのヒッピー姿の私服警官で、周りからの不正の甘いお誘いには目もくれず、ひたすら自分の仕事に邁進。やがて、同じ志を持つ仲間たちと警察の不正の膿を出すべく動くのですが、警察上層部はどの時代も手強かった!若々しいアル・パチーノの鬼気迫る演技と、シドニー・ルメット監督が実話を元に描く実録タッチな映像が絡み合う秀逸な作品です。アル・パチーノのファンじゃなくても見てほしい1本です! © 1973 STUDIOCANAL
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COLUMN/コラム2013.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年8月】飯森盛良
ザ・シネマ恒例の懐かし吹き替え企画、8月はアンコールとゆーことで、以前放送したタイトルを蔵出ししちゃうゾ。 いっちゃんおススメしたいのは、ネアカな凸凹刑事2人組がMANZAIみたいにアホな掛け合いばっかしてる、ごキゲンなアクションもの『デッドフォール』! 悪役が超アッタマ悪いのもケッサクですゾ!レイト80’sコップ・アクションの、このバカっぽさ。よっぽどドーカしてるウカレた平和な時代でなけりゃ、こんな映画は生まれてきっこない。それが、今のネクラな時代には、逆にキモちEのデス! そんな本作の持ち味を際立たせるのが、ささきいさおスタローン&安原義人カート・ラッセルの妙技。特に、公開時やVHS化時、知名度がスタより劣るためポスターやジャケでの扱いが失礼なぐらい小さかったカート・ラッセルが、吹き替えだとサイコーなんだもんね!FIX声優・安原サンのかもすチャラっチャラ感によって、活きまくってて、立ちまくってて、もう、オリジナルよりかオモロくなっちゃってるかもよ。(筆者注:本作公開時には、以上のような昭和軽薄体による文体はすでに流行遅れとなっており、実際には使われなくなっていましたが、時代精神として通ずるものがあると考え、此の度採用いたしました。なお、レイト80'sコップ・アクションも、前年のエポック・メイク作『ダイ・ハード』のリアリズム路線の登場により一気に時代遅れとなり、本作公開時は若干のイタさも漂っていました。時代が一巡した今こそ、正当にバカが再評価されて欲しいと切に願います。バカでなぜ悪い!)
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COLUMN/コラム2013.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年8月】銀輪次郎
巨大昆虫が暴れまわるパニック&ホラームービー。巨大な異音で意識を失う人類。目が覚めると人々は昆虫の繭に包まれていた。突如、人類に訪れる危機。そして始まる人間vs巨大昆虫の戦い。虫ってこんなにも怖いものだったか。私は震え上がりました。当然ながら巨大昆虫はCGですが、妙に生々しく、そしてやたらと凶暴。これだけだと単なる巨大昆虫のパニック&ホラーとなるのですが、それだけで終わらせないのがこの映画をオススメしたいところ。怖い中にも、ところどころに散りばめられたコメディ要素に、ついついニヤニヤしてしまいます。恐怖一辺倒なストーリーに終始せず、コメディのほかに恋愛の要素も加えたりと、なかなか盛りだくさんの展開。とはいえ、いずれも観る者を置き去りにせず、しっかりとまとめているところは秀逸な作品です。(※大前提として、昆虫が苦手な方には視聴をお控え頂いたほうが良い内容ですのであしからず。) ©2008 ICON DISTRIBUTION,LLC.All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2013.07.27
2013年8月のシネマ・ソムリエ
■8月3日『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』 スティーグ・ラーソンの世界的なベストセラー小説「ミレニアム」3部作の第1作を映画化。原作者の母国スウェーデンなど3ヵ国合作によるオリジナル版である。大財閥一族の少女が40年前に失踪した怪事件。社会や人間の闇に切り込みながら、その解明に挑むジャーナリストと異形の女性天才ハッカー、リスベットの姿を描き出す。リスベットの人物像を強調したハリウッド・リメイク版(11)よりも謎解きのパートが充実。手がかりの写真や暗号の解析場面など、随所に魅惑のサスペンスが宿っている。 ■8月10日『さよなら子供たち』 『死刑台のエレベーター』の名匠ルイ・マルが、ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した後期の秀作。1944年、ナチス占領下のフランスを舞台にした自伝的な物語である。 主人公は親元を離れ、カトリック系寄宿学校に疎開してきたジュリアン。12歳になっても寝小便の癖が抜けない彼は、偽名を使って転入してきたユダヤ人少年と出会う。あえて劇的な起伏を抑えた詩情豊かな映像世界は、終盤に急展開を迎える。子供の目線にこだわった友情の尊さ、そして戦争の不条理に胸締めつけられずにいられない。 ■8月17日『ブラック・スネーク・モーン』 米国南部を舞台に、妻に捨てられた黒人の元ブルースマンとセックス依存症の若い白人女性の交流を描く異色作。S・L・ジャクソン、C・リッチが衝撃的な役柄に挑んだ。主人公が半狂乱のヒロインを極太の鎖で監禁する場面など、序盤から驚愕シーンが続出。その半面、ブルース音楽や信仰を題材に、愛の喪失と再生を描いた寓話でもある。 ジャクソンが渋い歌声を聴かせ、リッチが血まみれシーンやヌードも辞さない熱演を披露。傷だらけの男女の“魂の叫び”を体現した、彼らの渾身の演技に圧倒される。 ■8月24日『さよなら、僕らの夏』 米国の新人監督J・A・エステスが発表した青春映画である。いじめっ子への復讐のためにボートでの川下りを計画した少年少女5人が、思わぬ悲劇を招き寄せてしまう。 主人公たちが直面するのは、友人の“死”というこのうえなく痛切な現実。夏の陽光きらめくオレゴン州のノスタルジックな情景とのコントラストが鮮烈な印象を残す。 思春期の子供たちの無邪気さと背中合わせの残酷さを、緊迫感をこめて繊細かつリアルに描出。一日の出来事の中に、その劇的な感情の移ろいを刻み込んだ演出が見事だ。 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』© Yellow Bird Millennium Rights AB, Nordisk Film, Sveriges Television AB, Film I Väst 2009 『さよなら子供たち』© 1987 Nouvelles Editions de Films 『ブラック・スネーク・モーン』COPYRIGHT © 2013 BY PARAMOUNT VANTAGE, A DIVISION OF PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. 『さよなら、僕らの夏』©2004 Whitewater films
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NEWS/ニュース2013.07.22
特番「That's ハリウッド」ナビゲーターの石井竜也氏が映画愛を語る!
7・8月と2カ月連続企画としてお届けする「ザ・シネマ、That’s ハリウッド」キャンペーン。ザ・シネマはヨーロッパのアートフィルムやクラシックの名画なども放送しておりますが、何といってもメインはハリウッド!大作志向とスター主義、ハリウッド・リスペクトを公言して憚らないチャンネルであることを、この夏は改めて宣言します!!さて、「ハリウッド」をテーマに、7月はアメコミ特集、8月はトム・クルーズ特集と2つの特集を柱に様々なハリウッド映画をお届けしていきますが、あわせて「特番:That’s ハリウッド」を制作。7月のPart1 「アメコミ・ヒーロー編」、8月のPart2 「トップ・スター トム・クルーズ編」と2ヶ月にわたってお届けします。 番組ナビゲーターに迎えたのは、アーティストでありミュージシャンの、あの石井竜也氏! 石井氏といえば大の映画好きとしても有名で、ご本人によると「LDは7000枚、DVDは5000枚持っています」(!)とのことですから、半端ではありません。それだけにとどまらず、90年代には『河童』、『ACRI』と自ら2作品を撮った映画監督でもあります。というわけで石井氏にナビゲーター役をお願いしました。その番組はぜひオンエアをチェックしていただくとして、ここでは、番組収録後に行われた取材会での石井氏のコメントをご紹介します。 Q : 本日の収録を終えられた感想を教えてください。 A: ハリウッド全般について話すことは難しい部分もありましたが、意外なことを知ることができて自分自身の勉強にもなりました。例えば7月放送の『300』がアメコミ原作だということを知りませんでした。映画になるアメコミというのはヒーローものばかりだと思っていましたから、まだ知らないことがあるな、と学ばせて頂きました。 それから、1人の役者さんの育ち方の変遷についても発見する事がありました。例えばジョン・ウェインの様な昔の役者さんは、日本で言う「寅さん」の様な感じで絶対的な立ち位置というものがあって、その位置から絶対に出ないようにしていた様に思えます。 でも、今の役者さんは近未来作品にも出れば、悪役にもなるという様に、色んなジャンルに出演する。自分を変幻自在にすることで飽きられないようにしている。今と昔どちらが大変かと考えてみると、どちらも大変だと思いますが、やはり今の様な時代を生き残っていくというのは、すごく大変だろうな、と思いましたね。 Q : 映画をたくさん観てこられたとのことですが、映画から学んだものがあれば教えてください。 A : 今回の放送作品で言うと『ハルク』からいろいろと気づかされることがありましたね。「スーパーモデルになってみたい」とか「変わりたい」という願望は誰もが持っていると思うんです。変身をテーマにした映画というのも、たくさんあります。『ハルク』もそうですよね。 ただ、日本だと、どこか「正義感を持った少年が正義のヒーローに変わる」といった様に、“変身”そのものがどこか順当に描かれることが多いと思うんです。でも、アメコミではスパイダーマンみたいに、いじめられっ子が正義のヒーローに変身しますし、“逆”の方向へ持っていくストーリー展開が多くて、それが面白いところだと思います。 私も米米CLUBに入って人生が変わりました。昔は母親の後ろに隠れる様な子供で、ステージの上に立つなんてとてもじゃないけれど考えられなかった。だから絵を描いていたわけで、鬱憤は絵でしか晴らせなかった。喧嘩も出来なかったし。けれど、今こうなっているのですから、どうなるか分からないですよね。 皆さんもそうだと思うんです、最初に会社に入ったときは何も分からなかったけれど、やっていくうちに職業に特化していけますよね。人間ってそうやって長い時間をかけて変貌していくものだと思うんです。 でも、映画っていうのはその変貌を数分で飛び越えるし、人生が変わる様なことが数分で起こる。そんなこと人生ではあり得ないけれど、それが映画では可能なわけで、それが映画の面白さですよね。 Q : 石井さんなりの映画の楽しみ方はありますか? A : 映画は必ず3回観ます。どうしてそんなに同じ映画を何度も見るの?と家族やスタッフにも聞かれたりしますが、見方を変えてみているんです。例えば主人公が泣いているときに横で笑っている人がいるとか、それって1回見ただけでは見えないですから。最初は、主役中心の視点で見ていますが、2回目以降は主役以外の脇役や、ライティングや撮影方法、衣装等に注目して見るようにしています。やはり、“作る”ということに興味があるので、そういう点も気になってしまうんです。 Q : 今回の番組について聞かせてください。番組では、どんなお話をされているのですか? A : 今回、ものすごくたくさんの映画を紹介するので、その全てを1つ1つ解説するわけにも行きませんから、「ハリウッド」という場所の持つ特殊性や「ハリウッド・スタイル」と呼ばれる、ハリウッド映画を作る上での特殊な分業制、という点からもお話させて頂いています。 ハリウッドは、夢を紡ぐにはとても大変な思いをする場所ですよね。僕自身『ACRI』という映画をオーストラリアで撮影していますから、ハリウッド映画の撮り方というものについて分かるのですが、アクション映画なんて、どれだけ大変なんだろう、と思いますね。映画監督の仕事を通して、現地の雰囲気というものが分かるので、そんな話もさせて頂いたりしています。幅広く話をするのは、ある意味難しかったですけれど、とても楽しくやらせてもらいました。 Q : 浅野忠信さんが出演される『マイティ・ソー』も放送されますが、ハリウッドでの日本人の活躍については、どう思われますか? A : これからもっと多くなるのではないでしょうか。震災後、「日本人を見直そう」という潮流がヨーロッパで広がっていますし、アジアの中でも日本は「侍魂」を持った国として見直されていると感じます。すごく嬉しく思います。今の若い人は英語も学んでいますから、これからどんどん、若い日本人が世界に行ってくれれば良いなと思います。監督が世界に行くのはなかなか難しいけれど、役者さんはそれを飛び越えて世界に行けますから、日本人の役者さんにはどんどん外国のスクリーンに出ていって欲しいです。 Q : 具体的に海外進出をしてほしい俳優さんはいらっしゃいますか。 A : 才能のある方という意味で、宮沢りえさんに出て欲しいですね。女優としての素晴らしいキャリアも積んでいらっしゃいますし、日本人らしい情緒と海外の血が混じっているだけの大胆な演技ができるのではないかと思います。 Q : ところで、好きなアメコミはありますか? A : 50代のヒーローものといえばスーパーマンとかバットマンになりますよね。最近のバットマンはまるで悪者というか、ダークヒーローの様に描かれていますよね。今のアメリカの風潮やアメリカのヒーロー像が変わってきているのかなと感じます。映画というのはその時代を映す鏡の様な存在でもありますから、今のアメリカの“暗”の部分を反映しているのかな、と感じますし、時代の変遷も感じますね。 Q : 今回のアメコミ特集の中ですと一番好きな作品は何ですか? A : 『300』です。本当に大好きな作品で、何かにぶつかるとあの作品を見ます。 日本人は少数派が大勢に立ち向かうものや、弱い者が頭を使って強い者を倒すような物語が好きなのだと思います。ただ力技で戦うのではなくて、頭を使って技や五感や下手したら第六感まで使って戦う。何かのために命をかけることや、特攻隊のような物語は、日本人に受け入れられるのだと思いますね。 自分も空手をやっていて高校時代に2段を取ってすごく自信があったんですよ。ある時、県大会で160cmくらいの相手と戦うことになって「冗談かよ」と思って余裕でいたら、試合開始の次の瞬間に医務室で目が覚めた経験があります(笑)。小さい人は小さい人なりの攻撃法を考えているわけで、人を見下げちゃいけないな、とあの時学びましたね。だから、『300』の、小さい人間たちが大きい人を相手に戦うようなストーリーに惹かれます。日本のそういった精神も、世界を動かしていけるんじゃないかなと思いますね。 Q : 8月にはトム・クルーズ特集が組まれますが、トム・クルーズについてはどう思われますか? A : トム・クルーズとは同世代なんです。『トップガン』を見ていた頃は、女性に人気のアイドルといったイメージがありましたが、『コラテラル』や『マイノリティ・リポート』の頃からはダークな彼が見えてきました。どんどん俳優としての迫力が出てきたなぁと感じます。 最近の彼の面立ちは、なんというか「作っていない」感じがするんですよね。だらしない父親を演じればそんな顔になりますし、演じている感じがしない。彼自身が、“トム・クルーズ”を演じることを辞めて、一人のアーティストとして、映画人として独り立ちしたのではないかな、と思います。 彼にはアメリカ人の持っている根性というものを感じますね。ヒットすると、周囲から求められるものが増えてきますけど、そんな中でも、それを振り払って自分らしく演じている彼は人格者だと思いますよ。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ この取材会でも映画愛あふれる楽しいお話をしていただきましたが、実は番組内でも、アドリブが炸裂。ミュージシャン・映画監督、石井竜也氏ならではの見地と体験談が制作サイドの思惑をこえてたっぷりと盛り込まれた番組となりました。 さらに、石井氏といえば芸術家としても有名。メディアを通じて氏の独特のアート作品をご存知の方も多いかと思いますが、今回のスタジオ・セットに使われたオブジェ、実は石井氏の作品です。そこにも注目して、「特番:That’s ハリウッド」、7月のPart1 「アメコミ・ヒーロー編」、8月のPart2 「トップ・スター トム・クルーズ編」を、ぜひご覧ください! 『300 <スリーハンドレッド>』TM & © Warner Bros. Entertainment Inc. 『コラテラル』TM & © 2013 DREAMWORKS LLC AND PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED
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COLUMN/コラム2013.07.08
LA発リポート!ハリウッド?それは映画と聞いて誰もが思い浮かべる映画の都
映画の盛衰の歴史と共に、メジャースタジオの顔ぶれも変遷を重ねてきましたが、現在は一般的にメジャースタジオと言えば、パラマウント、20世紀フォックス、ディズニー、ユニバーサル、ワーナー・ブラザーズ、ソニーの6大スタジオを指します。どのスタジオも東京ドームが何個も入るような広大な敷地を持ち、防音スタジオはもちろん、屋外セットの町並み、レストランからスターバックスまでが撮影所内に揃っています。また、往年の映画人にちなんで名付けられた通りや建物も多く、一歩足を踏み入れるだけでそこには映画の世界が広がっているのです。今回は、そんな夢膨らむ場所を垣間みることのできる見学ツアーを中心に、6つのスタジオ情報をザ・シネマのロサンゼルスオフィスからお届けします。 ■パラマウント まず始めは個人的にもおすすめのパラマウント。代表作に「ゴッドファーザー」、「ローマの休日」などがあり、昨年 100周年を迎えた同スタジオは、メジャースタジオの中でも一番の伝統を誇ると言っていいでしょう。未だに文字通りハリウッドに撮影所を構える唯一のメジャースタジオでもあります。2時間ツアーなら48ドル、4時間半の豪華ツアーなら150ドル、どちらもガイド付きで、ニューヨークやシカゴの町並みを再現したセットや、衣装、小道具の見学など、映画の世界を堪能することができます。もちろん、スターや実際の撮影に遭遇することも。ただし全ては貴方の運次第。ついていれば、一生の思い出になること間違い無しです。パラマウントでもう一つ特徴的なのが、隣に墓地があること。というよりむしろ、墓地の一部に建てられたのがこの撮影所だったのです。カリフォルニアの史跡にも指定されているHollywood Forever Cemeteryには、ダグラス・フェアバンクスやタイロン・パワーといった往年のスターが数多く眠っています。しかもさすがハリウッド。墓地なのに今ではコンサートや野外映画にも使われています。墓地は入場無料、お墓マップもあるので、パラマウント見学のついでに一見の価値あり。また、近くにはショッピングで有名なメルローズ通りもあり、スタジオ・墓地と合わせた観光コースにぴったりです。 ■20世紀フォックス 1935年に誕生した20世紀フォックスの撮影所は、ビバリーヒルズに隣接するセンチュリー・シティーにあります。その名前からも窺い知れるように、かつてはセンチュリー・シティー全体が20世紀フォックスの土地でしたが、財政難に陥った同社が土地の一部を売却。現在は、トム・クルーズやブラピなどの大物スターばかりを抱えるタレントエージェンシー、CAA(Creative Artists Agency)を始めとするオフィスビルやホテルなどが立ち並び、ごく最近までは、MGMのオフィスもここにありました。さて、残念ながら撮影所自体はツアーが行われていないため中に入る事はできませんが、真横にそびえ立つ、あの「ダイ・ハード」で有名なナカトミビルことフォックスプラザビルを見上げることができます。撮影所敷地内はと言うと、屋外セットが他のスタジオと比べて小さく、ニューヨークの一角ほど。それもツアーが行われていない所以かもしれません。印象的なのは防音スタジオなどに描かれた大きな壁画。入るとまず駐車場の壁に描かれた「サウンド・オブ・ミュージック」冒頭シーンのジュリー・アンドリュースが迎えてくれます。他にも「シンプソンズ」や「スター・ウォーズ」の巨大な絵は間近で見ると迫力たっぷりですので、撮影所が公開された暁には探してみてください。 ■ディズニー 20世紀フォックス同様に一般向けツアーを行っていないのがディズニー。しかし!諦める事なかれ。全く手がない訳ではなく、オフィシャルファンクラブであるD23に入会すれば、VIPツアーに参加することもできるのです。敷地内には巨大な7人の小人たち が支えるビルがでんと構え、そこかしこにミッキーやその他のキャラクターが隠れているので、ファンにはたまらないはず。ただ、やはり元々がアニメーションスタジオのためか、セットらしいセットは古い町並みが通りの片側に並ぶのみで、実写映画ファンにとっては少々寂しいところ。 ■ユニバーサル パラマウントと並んで昨年100周年を迎えたユニバーサルは、USJのお陰で日本でも比較的馴染みのあるスタジオではないでしょうか。敷地内にテーマパークが併設されていることもあり、その規模は6スタジオの中で最大。2008年には火事で「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に使われた時計塔など、撮影所の一部が消失してしまいましたが、「ジュラシック・パーク」などで同スタジオと縁の深いスティーブン・スピルバーグも協力するなど、2億ドルを費やして2年後に新セットが見事完成しました。実はユニバーサル、約20年前にも、そして今年の初頭にも火事の被害に遭うなど災難続き。それでも、生まれ変わったニューヨークの町並みはもちろん、以前からある西部の町、デスパレートな妻たちが住んでいたウィステリア通りなど、セットの充実度は抜群。そんなセットは、69ドル(オンライン価格)の一般ツアーや 、299ドルの豪華VIPツアー(ランチ付き)で見学可能。そして、どちらもテーマパークの入場料が含まれているため、お得感も抜群なのです。 ■ワーナー 1923年に設立されたワーナー・ブラザーズは、これまでDCコミック原作のバットマンシリーズやスーパーマンシリーズ、さらにハリーポッターシリーズなどの超大作を生み出してきました。ディズニーとユニバーサルの間に位置する撮影所には、30もの防音スタジオがあり、屋外セットも数種類の町並みと住宅街が揃っています。中にはセットでありながら実際に機能する大型劇場なども。こうしたセットなどは、52ドルで約2時間のVIPツアーで見る事ができます。また、250ドルというお値段も凄ければ、何と5時間もの長丁場というランチ付きデラックスツアーでは、セット見学に加え、小道具・衣装などの製作現場やサウンド収録現場なども見学する事ができます。そして個人的イチオシショップ。人気ドラマ「フレンズ」に登場したカフェCentral Perkを模したスタジオショップとVIPツアーショップには、スタジオグッズを始め、アメコミヒーローやハリポタのグッズが並べられ、取り揃えは6スタジオ中随一ではないでしょうか。 ■ソニー 1989年にコロンビア・ピクチャーズを買収し、ハリウッド黄金期に栄華を誇ったMGMの敷地に建てられたのが、メジャースタジオで唯一日本産のソニーです。20世紀フォックスやディズニーより大きい屋外セットを持つ撮影所は、2時間35ドルのツアーで見学することが可能。夏場のみ実施される夜のツアーは、正に”マジックアワー”のスタジオを楽しむ絶好の機会です。ソニーのあるカルバー・シティーは、その昔幾つもの映画スタジオが存在していた映画の町。名作「風と共に去りぬ」や「市民ケーン」なども撮影されたカルバー・スタジオや、1947年に建てられたカーク・ダグラス・シアターが、当時の町の面影を伝えます。また、市内に点在する映画にちなんだアートを探して歩くのも、この町の一つの楽しみ方です。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■さて、華やかな映画の都に君臨する6つのメジャースタジオ、いかがでしたか?夢の工場の裏側は見たいけれど今すぐはちょっと無理、という方のために、ザ・シネマではスタジオに行った気分になれるお土産をご用意しました。中身は届いてからのお楽しみ。そして是非いつかハリウッドスタジオを訪れてみてください!
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COLUMN/コラム2013.06.30
2013年7月のシネマ・ソムリエ
■7月6日『リアル・ブロンド』 売れない役者ジョーとヘアメイクアーティスト、メアリーは同棲中のカップル。倦怠期に陥った彼らのトラブル続きの日々を、シニカルなユーモア満載で綴るコメディだ。 主演のM・モディン、C・キーナーが、何をやっても空回りしてしまう男女を絶妙なコミカル演技で体現。ダメ人間たちの切実な奮闘ぶりが笑いと共感を呼び起こす。 監督はジム・ジャームッシュらと親交が深く、米国インディーズ界で活動するT・ディチロ。昼メロ撮影現場などの芸能界の内幕を見せる、軽妙なギャグ・センスに注目。 ■7月13日『歌う大捜査線』 かつて薬物問題で保護観察処分を受けたR・ダウニーJr.が、その復帰作として主演した異色コメディ。英国製のTVドラマ「The Singing Detective」の映画化である。主人公は謎の皮膚病に冒された小説家ダン・ダーク。そんな彼が病院でセラピーを受ける現実と、“歌う探偵”として活躍する妄想の中の出来事がシュールに錯綜していく。ノワールとミュージカルの要素をはらむ映像世界は遊び心たっぷり。不気味な特殊メイクを施したダウニーJr.と、意外な役柄に扮したM・ギブソンの共演も見ものだ。 ■7月20日『エビータ』 アンドリュー・ロイド=ウェバーの大ヒット・ミュージカルの映画化。アルゼンチン国民の絶大な支持を得た実在のファーストレディ、エバ・ペロンの生き様を描く。数々の音楽映画の秀作を手がけてきた名匠A・パーカーが、その実力を遺憾なく発揮。セリフを排除し、楽曲のメロディとリズムを前面に押し出した映像世界は圧巻である。大物女優たちを押しのけて大役を射止めたマドンナが、A・バンデラスとともに見事な歌唱力を披露。とりわけマドンナが歌う「アルゼンチンよ泣かないで」は感動的だ。 ■7月27日『幻の女』 『光年のかなた』『白い町で』などで世界的に注目されたスイスの映画作家アラン・タネール。1980年代末のミニシアター隆盛期に日本公開された味わい深い小品である。創作意欲を失った映画監督が若い助手を雇い、新作の女優探しを始める。スイスからイタリアの港町へ。そのあてどもない旅は、映画と人生をめぐる“製作日誌”のよう。主人公の情熱を呼び覚ます“幻の女”役は『息子の部屋』などのイタリア人女優ラウラ・モランテ。その端正な貌立ちと、謎めいた美しさは一度見たら忘れられない。 『リアル・ブロンド』© 1997 Lakeshore Entertainment Corp. All Rights Reserved 『歌う大捜査線』TM & Copyright © 2013 by Paramount Classics, a division of Paramount Pictures. All Rights Reserved 『エビータ』COPYRIGHT © 2013 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. 『幻の女(1987)』1987 Filmograph/MK2 Productions