PROGRAM

放送作品情報

アメリカン・スナイパー

AMERICAN SNIPER 2014年 アメリカ / 132分 アクション 戦争 ドラマ

[R15+]160人も射殺したら人生どうなる?伝説の米軍シールズ狙撃手の実話をイーストウッドが映画化
放送日時
2018年12月01日(土) 21:00 - 23:30
2018年12月02日(日) 12:15 - 14:45
2018年12月02日(日) 21:00 - 23:30
2018年12月06日(木) 13:00 - 15:30
2018年12月06日(木) 21:00 - 23:30
解説

ネイビー・シールズ所属、イラク戦争4度従軍、米軍最多射殺記録を持つクリス・カイルの自伝を映画化。ヤサ男系の二枚目ブラッドリー・クーパーが激太り増量し肉体改造。屈強な軍人になりきりオスカーにノミネート。

ストーリー

イラク戦争中、シールズの狙撃手クリス・カイルは、占領地で家宅捜索する海兵隊員を屋上から見守り、襲撃の危険がある場合には敵を射殺する任務に就いた。不意に、海兵隊の百メートルほど手前に若い女と子供が現れる。隠し持っている爆発物をクリスの照準器がとらえた。その時彼は…。そこから時間は一旦、ロデオ乗りに憧れていた少年時代にさかのぼる。そして軍に入隊、シールズの過酷な試験、結婚と、彼の前半生が描かれていく。

出演

※(声優)は吹き替え版作品が放送される場合の情報です。
字幕版、吹き替え版については、放送日時横のアイコンでご確認ください。

ブラッドリー・クーパー (桐本琢也)
シエナ・ミラー (渋谷はるか)
ルーク・グライムス (中川慶一)
ほか

字幕/吹替
字幕 吹替
掲載制限
R15+
カラー/白黒
カラー
画面サイズ
ワイド画面
HD
※【ザ・シネマHD】にご加入の方は、
HD画質でご覧頂けます。

オススメキーワード

  • 鑑賞日 2018/12/8

    期待のし過ぎ?

    結局、主人公は治ったの? 最後の意味深な鉄砲持ったシーンは何? でも、殺されちゃう 事実だから仕方ないんだけど 途中まで、とても緊張感のある映像だっただけに残念。 テロップに、マルカソカンパニーという名前があり、とても懐かしかった。まだあったんだ。

  • 鑑賞日

    レジェンド…

    戦地で多くの人の命を奪い「英雄」と言われた人の話。 ネットで「最悪のラスト」を紹介するリストに入ってたから見たわけだが、確かにこれは最悪のラスト。

  • 鑑賞日 2018/3/8

    これからやっとまっとうな生活が送れるところだったのに。。。

  • 鑑賞日 2018/8/2

    実話を元にした映画

    良いと感じた点 空気感が良かった 無駄なBGMない、カメラワークも良かった 悪いと感じた点 特にないが、全体的に陰鬱

  • 鑑賞日 2018/7/27

    人間らしさとは

    アルカイダとの戦いに従事するスナイパーとその妻タヤの心の葛藤を描く。 戦闘場面も手に汗握る出来だし、最後の砂嵐での脱出は見ている方もどんな様子か分からなくてハラハラ感が半端ではない。心理的にはもっぱら留守をするタヤの側からの描写が多く、クリス(ブラッドリー・クーパー)の戦争による心理の変化は十分に描写できたとは言いがたい。「戦争の影響を受けない人はいない、いつか心を蝕まれる」というタヤの言葉は次第にクリスに実感として分かってくる。子供が狙撃された男の武器を手にした時のクリスの心境がその絶頂だったのかもしれない。この辺りは旨い描写だ。 この場面と砂嵐の場面がいちばん好きだ。

  • 鑑賞日 2018/7/21

    国を守る事が家族を守る事なのか?

    国を守る事が家族を守る事なのか?そんな葛藤を実在した一人の狙撃兵を中心に描いている。 911アメリカ同時多発テロ事件後、イラク戦争へ狙撃兵として携わるが、4度の出兵でレジェンドと呼ばれ伝説的な仕事を行う。 度重なるイラクへの出兵で狙撃を続けていくがやがて心が蝕まれていく。守るべきは何かを考えさせられる強烈な戦争映画だ。 テキサス生まれのクリス・カイルの自伝の映画化。

  • 鑑賞日 2018/7/11

    戦勝国、止まれず

    演出の細工は控えられており、キャラクターとの距離も一定を保っている。 確かに物語の狂気を増幅させてはいるが、鑑賞時に日本人という人種の差異がもどかしく感じ、とてもストレスだった。 願わくば、狙いを絞り視野を狭める世でなく、気ままに草を食む馬の様に。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    スライス・オブ・ライフ

    典型的なスライス・オブ・ライフ。スナイパー映画としてはクオリティ高っ!冒頭、TAC-338Aを構えるB.クーパーのアップが完璧なスナイパーで説得力あった。厳格な父親の教えは「獲物を仕留めても銃を置くな」「人は羊、狼、番犬の3種類。番犬になれ」って。多用されるスコープ越しのショットは緊張感たっぷり。の「続・荒野の1ドル銀貨」の曲で締め。

  • 鑑賞日 2018/6/25

    イラク戦争とは何だったのかを考える上で貴重な映画

    4回イラクに派遣され、160人以上を射殺した伝説の米軍兵の実話を元にした映画。米軍の正義とは何なのかを改めて考えさせられます。ベテランのクリントイーストウッド監督らしく、戦争の明と暗をきっちり描いています。戦う側の迷いや家族達の戸惑い、不安も余すことなく見せており、いたずらな戦争賛美映画ではありません。名作「ハートロッカー」にも似た印象です。

  • 鑑賞日 2018/5/13

    スナイパー

    ◎ 冒頭のディア・ハントの場面をはじめとして、イラクとアメリカのシーンのつなぎ方が絶妙だ。戦場と平和な家庭とを携帯電話でつなぐシーンも印象深い。 ◎ イラク側のスナイパーのあっさりとした描き方もいい。前日にスピルバーグの『プライベート・ライアン』を観たが、この映画でもスナイパーのキャラが立っていた。

  • 鑑賞日 2016/3/13

    クリント・イーストウッドが放つ、実話を基にした戦争アクション。 米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として派遣されたクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは“レジェンド”の異名をとる。 しかし、敵にもその腕前が知れ渡り、彼の首には18万ドルの賞金が掛けられる。 一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。 終わりのない戦争へクリスは四度も駆り出される。度重なる戦地への遠征は、彼の心を徐々に蝕んでゆく…。 天才というと、常人では及びもつかない世界に生きる人、というイメージがつきまとう。クリス・カイルは周囲から“レジェンド”と呼ばれるとおり、まさに孤高の「天才」。 しかし、英雄視すればするほど、周囲との距離はかけ離れ、互いの理解が難しくなっていく。 彼が度重なる出征で精神をかき乱されていく様は、天才も凡人もない、人間らしさの裏返しではないか。

  • 鑑賞日 2018/5/13

    トイレも行けない

    スナイパーは孤独 狙いを定める分、相手をよく確認して考える時間があり、そこにドラマがある 戦争による怪我や流血は最小限にし、スナイパーの葛藤を中心に描かれている

  • 鑑賞日 2018/5/5

    また観た

    テレビでじっくり鑑賞。映画が進むにつれて、イラクの戦場の緊張感が、アメリカでの主人公と妻の幸せな家庭に侵蝕してくる場面は、監督の静かな反戦メッセージなのか。映画館で観た時は、戦場のシーンの印象が強かったが、今回は主人公と妻や子供たちとの関係が印象に残った。

  • 鑑賞日 2018/5/5

    良くあるテーマだが。

    封切り時に観られず、テレビでようやく観た。 戦争の無情、無常観がテーマで、良くある映画ではある。 ただ、つい最近のアルカイダとの闘いを扱っていることから、妙にリアルに感じた。それ以上に、狙撃手同士の闘いに緊迫感があって引き込まれる。 だから主人公には、敵側と同じように狙撃手としての闘いに徹して欲しかったかなあ。もっとクールに。 まあ、実話の限界かなあ。

  • 鑑賞日 2018/5/3

    イーストウッド監督の実在した戦争英雄もの。 もう少し捻りのあるものを期待したが、結局良く出来たイラク戦争の実録に終始したので物足りなさも感じるが、銃撃戦シーンはなかなかの迫力だった。 映画では完全スルーされていたが主人公のクリス・ライルという元兵士、退役後は民間軍事会社なるものを立ち上げて儲けようとしたり、尾ヒレを付けた発言をして裁判沙汰になり敗訴したりと、キナ臭い面もあったようだ。なので戦地の英雄時代よりも、帰国後の話の方が興味あるし面白いと思うのだけど。 本編ではさんざん持ち上げられてはいるけど、最期はあっさりとナレ死みたいな扱いなのに、イーストウッド監督の皮肉が込められているというのは考えすぎだろうか?

  • 鑑賞日 2018/4/30

    イーストウッドの反戦メッセージ

     冒頭からイラク市街での緊迫したシーンから始まり、スナイパーのクリスが銃の引き金を引こうとすると、銃声と共に場面が切り替わり、クリスの少年時代に戻り、彼の生い立ちが紹介される。前回、観た時もこの手法に感心したが、今回も改めて感心した。ナレーションや字幕に頼ることなく、全く異なる時代や場所に一瞬で切り替えてしまうのは映画でしかできない表現で、監督の腕の見せ所でもあろう。  イーストウッドの最近の作品は実在する人物や実際に起きた事件を題材にしたものが多いが、本作のクリスも実在の人物だ。ロデオに熱中するテキサスの暴れん坊が、テレビニュースでアメリカが無残にテロに攻撃された事実を目にしたことで、彼の愛国心に火がつき、軍隊に志願する。軍隊で撤退的に鍛え上げられ、射撃の腕を上げ、スナイパーとしてイラクに派遣される。  軍隊の苛酷な訓練シーンはこの手の映画ではよく目にするが、共通して言えることは、指導教官はサディスティックに訓練生に罵声を浴びせ人格を奪い、祖国愛と闘争心を植え付け、屈強な殺人マシンを作り上げて行く。訓練生はマインドコントロールされてしまうのだが、純粋に国を守るという使命感を持って入隊した若者にとっては疑念を持つ余地もない。この非人道的な訓練シーンだけでも反戦映画と言えるのではないか。  クリスは4回のイラク派遣で160人を射殺し、仲間から”レジェンド”と呼ばれるようになるが、派遣のたびに精神を病んで行く。最後となる4度目の派遣で命からがら逃げる時にようやく除隊を決意する。しかし、せっかく生きて愛する家族のもとに帰れたのに、その結末はあまりにも悲惨で皮肉だ。  この結末の不条理さが最大の反戦メッセージだろう。

  • 鑑賞日 2018/4/7

    相次ぐ銃の乱射事件。数多くの犠牲者に銃の規制を見直すべきだと世論が動いているアメリカ。そんな中でもこの映画の存在は大きい。4度にわたるイラク派遣を生き延びた男がようやく本国へ帰還して銃に撃たれた死ぬ・・・。イラクでの戦いがアメリカを守ると信じていた男は狙撃手で160人の敵を殺した英雄。心のよりどころとしていた妻とも生まれてきた子供たちにも心の隔たりがある。戦争は兵士たちは勿論その家族さえも犠牲にする。そこには何のための・・・誰のための大義があるのだろう?イーストウッドの抑制の聞いた演出が光る傑作。

  • 鑑賞日

    観ていて辛くなります

    長い映画ですが、最初から最後まで緊張の連続でした。いい映画だとは思いますが、観ていて辛くなります。特に、現実でも起こっていることを思うとなおさらです。ベトナム戦争の後遺症を描いた「ディアハンター」を観たときの感じに似ています。 クリントイーストウッドの映画って、いい作品が多いと思いますが、大体において観終わった後、暗い気分になります。この映画もそうでした。 あと、面白い、といっては語弊がありますが、最近の戦争は戦闘中でも奥さんと電話ができるんですね。

  • 鑑賞日

    唐突

    エンディングが唐突!呆気に取られ終わってしまった。 戦争というテーマで、その緊迫感や、研ぎ澄まされるような空気感、ヒリヒリとした状況が鮮明に伝わってくる。 個人的に、抑揚の強い映画が好きなので、内容は好みではないが、映画として、映画館で興奮出来る作品かと思う

  • 鑑賞日 2018/3/3

    イラク戦争で160人射殺したという

    凄腕スナイパーがいたそうだ。彼の自伝に基づいた伝記映画である。中心になるのはイラク戦争。 愛国心からシールズに入隊。射撃の才で実績を挙げ、伝説のスナイパーと呼ばれる。除隊しても日常生活に馴染めないが、PTSDに悩む帰還兵のリハビリを手助けする事で自身は立ち直る。帰還兵の一人に殺される。理由は分からない。英雄として埋葬される。 人物像は単純です。9.11のテロリストは絶対悪。イラク戦争への疑問はない。戦場への適応力が高く、ただひたすら目前の敵を撃ち殺し続ける。結果、大多数の米国人から英雄視される。 描写は主人公視点に沿っていて、作り手の考え方はほぼ表現されない。主人公、つまりは普通の米国人の価値観、戦争観を理解させてくれる映画です。単に戦争アクションとしてみれば、狙撃手視点に新味があります。

  • 鑑賞日 2018/2/23

    近頃のイーストウッド監督作品らしくかなり厳しいシーンも含めて淡々と自然体で撮られています。それはそのような状況もこの世の中には当たり前に存在しているという事なのでしょうか。

  • 鑑賞日 2018/1/20

    しっかりした反戦映画

    いつもながらに感心するのが、クリント・イーストウッド監督の作り方です。 近年の劣化した某大河ドラマのように、登場人物に 「平和が一番」だとか「なんで男は戦争ばかり~」とか陳腐なセリフは一切言わせません。 そして戦争シーンはしっかりとしたアクション性や緊張感もあります。 にも関わらず、観終わった後に自然と戦争の虚しさを感じさせて「戦争は嫌だなぁ、虚しいなぁ」という気分にさせてくれます。

  • 鑑賞日 2017/12/15

    平和な日常と死と隣合わせの戦場を行き来してたらそりゃ誰でも心が追いつかなくなりますよね。 でもそんなこと考えたこともなかった。 WWⅡとかとは違って現代の戦争はもっと民間人を巻き込んでたり、家族の声を戦場で聞いたり、色々違うんだなと思いました。 エンドロールは本当に泣きそうになりました。

  • 鑑賞日 2017/10/30

    戦争は人の心を蝕む

    ちょっとしたジョークが入ったりすることはあるものの、全体を通してとても重い戦争映画。戦争がどのように人々の心を蝕んでいくのかが克明に描かれている。この映画を見て戦争を美化している、というような感想を持つ人もいるようだが、自分は逆に戦争による被害や犠牲を描いた反戦映画だと思った。一度は見てほしい作品

  • 鑑賞日 2017/8/20

    現代の戦場

    戦場から携帯で妻に電話する、これが現代の戦場なんだと実感した。戦場と家庭を行き交うという経験は、映画で見ても心が付いていけない。現実の主人公の心情が、映画の観客でも疑似体験できるような作りになっていた。

  • 鑑賞日 2017/8/14

    戦争の傷痕

    イランでの戦争時に、護衛兵として、多くのアメリカ兵を援護した伝説のスナイパーについての映画。クリント・イーストウッドの職人技が光る。 自らのカウボーイ精神と愛国心が相混じって、シーズに入隊し、過酷な訓練を経て、主人公カイルはイランへ派兵される。その派遣を「TOUR1」と表示するのがすごい。射撃の腕前に優れていたカイルは、いきなり爆弾を隠し持った少年がアメリカ軍に向かっていく(母親らしき女性が少年に爆弾を持たせて送り出す。これがイランの現実だ)のを発見して、少年を射殺する。そして、少年の落とした爆弾を拾って、アメリカ兵に投げつけようとする母親も射殺する。射殺によって、アメリカ兵は命を救われるが、二つの命が奪われる、それが戦争だということを痛烈に示している。 物語は、戦場でのカイルの苛烈な戦いと、アメリカに戻っての日常が交互に描かれる。奥さん、それから生まれてくる子供は、彼にアメリカで一緒に暮らしてほしいと望むが、彼は繰り返し戦場に戻っていく。何故、彼は過酷な戦場に戻っていくのか。愛国心もあるだろう、仲間を守りたい、アメリカを救いたいという思いもあるはずだ。しかし、何よりも自らの価値を最大化できる戦場こそが、彼のアイデンティティーを充足する場所だからだと思う。しかし、仲間を救う、アメリカを守る為とは言っても、実際にはスコープ越しに覗く人を次々に射殺することが、彼のやっている行為であり、160人以上を射殺するという行為に、完全に慣れることは誰にも出来ない。彼は、平穏なアメリカの家族の元に戻っても、音に怯え、自分の中に閉じこもる。 戦闘シーンはスリリングに描かれており、行き詰まるような展開を見せる。それだけにアメリカでの主人公の苦悩が浮き彫りとなる。アメリカとイランを行き来するシナリオもさすがにうまいが、やはりイーストウッドの演出が素晴らしい。カット割りもオーソドックス、カメラ位置もオーソドックスだが、テンポがあり、無駄がない。 ようやく日常に馴染んできたカイルが迎える最期は本当に悲劇だが、それも含めて映画製作の意味というものがある。さすがである。

  • 鑑賞日

    こんなにもリアル

    血とか全く見れない私には苦でしたが それでも頑張ってみてよかったと思える作品です 少し痛い所が多すぎましたが 見て時間が経ってもずっと鮮明に覚えています。 もう一回見れないが、見たいです。

  • 鑑賞日 2017/7/6

    陰影に富む

     クリント・イーストウッドの特集上映で本作を観た。併映は「ハドソン川の奇跡」。両作品とも公開時には異なる理由により観に行かなかったので初めての鑑賞である。  本作は、ネイビー・シールズの狙撃手としてイラク戦争に従軍したクリス・カイルを主人公とした物語である。新聞記事などで主人公を知っており公開時には気が重く観に行かなかった。  本作は4度のイラク遠征を中軸としている。複数回の戦地への遠征(TOUR)ということは、戦時と平時が交互に訪れ主人公は心の平衡を保つことを強いられる。これは戦場での経験の強度とともに序々に主人公の精神を蝕んでゆく。  さらに、遠征(TOUR)ということは、「アメリカを守る」という建前からも遠くなってしまう。  本作は戦士の物語であるがTOURというテロップに様々な影を仕込んでいるような陰影に富んだ戦争映画である。

  • 鑑賞日 2017/7/6

    意外と余白のある映画

    2014年にアメリカで公開され、翌年日本でも評価の高かった映画。新文芸坐のクリント・イーストウッド監督特集で、ハドソン川の奇跡とともに観た。 エンターテインメントな戦争アクション映画にも見えるし、戦争で心に傷を負った兵士の物語のようにも、また戦場が傷つけた家族の絆の再生のドラマのようでもある。見る者にどう捉えるか、鑑賞の余白が施されている。 印象深いのは主人公クリスが、彼の父親から銃の手ほどきを受けるとともに、この世には羊と狼と番犬の3種類しかいない、お前は希少な番犬になれと教え込まれるシーンだ。それが銃を手にする自由を主張する人々の考え方に違いない。悪意を持った人間が現れたとき、お前は逃げるのか戦うのか。アメリカ社会そのものを凝縮した映画でもある。

  • 鑑賞日

    リアル戦場

    息苦しいリアルな戦闘シーンが続く。最近の戦争映画はこういうタイプのものが多いがとれわけ完成度が高い。スナイパー対決、ゴルゴ13VSゴルゴ13のような話で興味深いのだが、普通に行動していてもフイに被弾するのが痛々しい。イラク戦争が舞台と比較的新しいのでリアルさが増す。 一方で、奥さんとの出会いから子ども出産までの家族のシーンも丁寧に撮られていて、これは何か起きるなと思ったら意外なラストだった。もっともこれは事実を元にした話でアメリカでは有名なことなんだろう。 好戦的ということで賛否両論あるそうだが、クリント・イーストウッド監督は中立的等身大に描きたかったような気がする。アメリカのためにという思いが、結局は哀しみに終わることの理不尽さという意味では反戦的かもしれない。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    リトマス試験紙

    米軍の伝説的スナイパーを主人公とした戦争映画。クリント・イーストウッド監督の見事な作劇により、それぞれの側から好感をもたれて、反戦映画とも好戦映画とも受け取られるという怪現象を起こした。 冒頭のシークェンスがすごい。いきなり、主人公が銃のスコープの先に見ているのが少年とその母親と思われる女の二人で、少年が対戦車手榴弾を保持し、米軍に投擲しようとしているらしい。ことがうかがえる。少年を撃つかどうかは主人公の判断に任される。子供を撃ち殺すのかどうか。観客はいきなり、とんでもない場面に遭遇してしまう。そして、銃声とともに、主人公の少年時代の鹿狩の場面へ転換する。あの銃声は、子供か、鹿か?プロローグの結末が無いまま、観客は放り出される。 このプロローグでは、武器をもっている(その武器を使用するかもしれない)「少年」を「軍人」が銃で撃つかどうかを検討していることに衝撃をうけうのだが、相手が「成人男性」であっても、どんな理由があっても、命を奪うことを相容れない感情を人間は根源的に有する。だから、主人公も後に心的正常を逸脱するのである。そこにのみ、過去、画面の中で大勢の人間を殺戮してきたイーストウッド監督のメッセージがある。 主人公のクリス・カイル、敵役のムスタファを生み出す「モノ」がこの世界にはあり、残念ながら、それは増殖している。そのことを我々はよく認識すべきであり、それを糾弾するなにかをしなければならない。 イーストウッドは戦争への賛否の主張を込めてはおらず、事実を淡々と描いてみせただけであるのだが、何も足さず何も引かないからこそ、戦争の持つ非人間性を浮彫りにしているのである。見る者の立場によって、評価が分かれるのは当然で、リトマス試験紙のような不思議な映画になった。

  • 鑑賞日

    戦争が人から奪うものとは?

    イーストウッド監督の戦争映画ですから、スゴい作品を期待しておりました。予想通りに奥の深い出来になっております。 冒頭、自爆用の爆弾を抱えてアメリカ軍に向かっていく子供が映し出されました。主人公クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)はネイビーシールズの狙撃手です。状況的には撃つべきなんですが、クリスの子供を撃ちたくないという葛藤が映像を通して伝わってきます。 一つの狙撃で、人間の内面をこれだけ見せるイーストウッド監督の手腕に心を掴まれました。 日本人の私たちが戦場を経験することなんて、まずありません。戦闘シーンのリアルさなんて分かるはずもないのですが、戦争によって、兵士とその家族が何を犠牲にするかというリアリティが本作にはあったと思います。 クリスはアメリカの田舎に住む普通の若者でしたが、愛国心故にネイビーシールズに志願します。その訓練中に妻となるタヤとの出逢いがあり、結婚することになりました。 戦地への赴任と家族の主という二足のわらじ、相反する人を守る立場と人を殺す立場。これをクリスが心の中で、どう消化しているのか?戦場に行くのも「愛する家族や祖国を守るため」という大義名分に明らかに矛盾があります。 戦争があるが故に、大事な家族を守ることができないのです。誰が何と言っても正論のはずです。クリスが精神的に破綻していく様子が痛々しくて、現実を見せつけられました。 ベトナム戦争で多くの教訓を得たはずのアメリカが、イラク戦争で再び同じことを繰り返しました。アメリカ目線に片寄った作品とは思いますが、戦争が泥沼化するほどにアメリカ人が傷ついていく描写は秀逸でした。 その象徴となる出来事が、クリスが戦場でないところで命を落としたことです。この現実に目を背けてはいけない、イーストウッド監督のメッセージは強く響きます。 見方を変えれば、イラクの市民も同じ辛さを経験してるということです。対極をなすイラクのスナイパーの存在も、クリスと同じだったと思いますね。 イーストウッド監督も公言されてますが、イラク目線の作品も期待してます!! 最後に苦言を…。日本の映画配給会社の方々、大丈夫ですか?「160人を狙撃した」というキャッチコピーは作品の趣旨から大きく外れてますよ。これを売り文句にする神経を疑います。

  • 鑑賞日 2017/5/22

    「アメリカン・スナイパー」

    「アメリカン・スナイパー」(監督:クリント・イーストウッド 132分) 映像出る前の戦車の音で始まるオープニングが良かった。 ライフルのスコープからの映像は、不可視の視線を可視化していて良かった(「ダーティーハリー」(監督:ドン・シーゲル)の狙撃者スコルピオンの狙撃状況を調べるハリーが、双眼鏡で建物を除くシーンと「裏窓」(監督:アルフレッド・ヒッチコック)のカメラのファインダー越しのシーンを思い出した) 軍隊の訓練での指導官たちの厳しい人種差別ツッコミとその返しがオモロかった。 口説き方も凄かった。 おネェちゃんがベッピンさんなのも良かった。 主人公もとっても良かった(ハマり役だった)。 狙撃のエピソードの連続ショットも凄い。 民家へのイラクNo2捜索侵入のエピソードも凄い。 名前が大事。 ライバルのシリア人敵スナイパーもとっても良かった。 虐殺者の、子供に対するドリル攻撃も凄い。酷いやっちゃな~という感じを良く出していた 捜索侵入してきた米兵士たちを食事で歓待するエピソードの緊迫感が凄かった。 選択肢、選べるのも大事。 その後の虐殺者を仕留めるシーンの銃撃戦が無茶苦茶凄かった。 兵士たちの軽口までオモロイ。 シールズの仲間をライバルのシリア人狙撃手にやられた時に「目には目を」と米兵がイスラムの教義を言って報復するのが無茶苦茶凄かった。そして感情的になって突入したら、仲間がさらに死ぬのも凄かった(理に適った演出だった)。 子供がランチャー拾うシーンの緊迫感が凄かった。ランチャー捨てて主人公に撃たれなくて本当に良かった。 シリア狙撃手は1000メートル、主人公は最後ライフルの性能の違いはあるが1930メートルの狙撃を成功させるのが凄かった(標的もボヤけていたのに射殺したのが凄かった) 砂嵐、ヘリからの援護と最後までスゴスギル!! 砂嵐のボヤけてかすかにしか見えない戦闘シーンが最高だった(ゴダールが「東風」で画面全体を無茶苦茶にして真っ黒にした演出を、さらに進化させ、映画的にもオモシロくした演出だとボクは思った。) アメリカに帰って来てからの、タバコを吸ったおかげで右腕が残ったという負傷兵のエピソードが良かった。 息子との狩りは、「ディア・ハンター」(監督:マイケル・チミノ)を踏まえているとボクは思った。 最後のサイレントのエンドロールもとっても良かった。 全般的に サミュエル・フラーは「最前線物語」でフラー自身の戦地での戦闘体験から戦場を描いたが、イーストウッドは主人公の狙撃手の原作の本を基に映画化。よくここまで戦場の緊迫感・悲惨さを再現できるなぁと驚かされた。「エクスペンダブル」シリーズのような不必要な爆破もなく必要最小限の攻撃しかない(「エクスペンダブルズ」がプロレスショーなら「アメリカン・スナイパー」は実践空手みたいなアクション)。静かな暴力は北野武映画にも通じる所がある。人間ドラマも、アクションも、シーンも、映画としてのオモシロさ(ライバルシリア人狙撃手との対決や最後の砂嵐など)も兼ね備え、戦場のシーンは「最前線物語」の強度に近い(ただし最前線物語は最前線の戦場だけなので、最前線物語の戦争を描く凄さや強度には及ばない)、21世紀の戦争映画の大傑作・決定版!! 「映画館公開当時落ち込みがちのeverydayで、映画館に観に行かなかった。「アメリカン・スナイパー」とゴダールの最新作3D映画を公開時に映画館で観なかった事が自称シネフィルママデュークの一生の後悔」心にそう願うどこかの映画館がゴダール3D映画とこの「アメリカン・スナイパー」を今かけて欲しいと思う長七郎であった。公式ホームページでプロダクションノート全部読んだけど、パンフレットも買いたい!!

  • 鑑賞日 2015/2/21

    この薄味こそが狙い

    狙撃手として戦地に赴き敵から仲間を守る非日常と、戦地から帰り家族と寄り添う日常。いつからかその日常と非日常が逆転することで彼が彼でなくなり始める…。 のような書き方をするとそれなりにドラマチックな展開が待ってるような気もするけど、そこまで演出面での派手さはなく淡々を描かれていく。 あえて戦争賛美も反戦も謳わず、ただただ事実を突きつけられている感じ。この薄味こそがクリント・イーストウッドの狙いのような気もするけど、ハリウッド式戦争映画を見慣れた人ほど物足りなさを感じてしまうかもしれない。当初監督予定だったスピルバーグなら、まったく違った作品になったんだろうなと。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    イーストウッドの職人技

    映画冒頭から最後まで抜けることのない緊迫感! いつ誰が死ぬか分からない

  • 鑑賞日

    英雄と呼ばれる人間も実は普通の人間と同じように生活し悩んでいるとな。言葉で訴えるわけではなく、淡々と物語が進んでゆくところが良い。

  • 鑑賞日 2017/3/11

    鳥肌立った。

    最後の通る道に人が集まって見送るのがやばい。ほんと鳥肌が立った。 エンディングの無音の演出もなんか考えさせられて、いいなって思った。 内容はイーサン・ホークのドローン・オブ・ウォーみたいに軍人の心の葛藤を描いちゅう話し。 伝説的なスナイパーながやけど、戦争から帰ってきても、心は戦地にあって家族とうまくいかんなる。けど戦友の死を経験して家族の大切さを再認識するやけど・・・ やっぱ戦争って良くないよな。人をダメにするだけやし、こんな英雄もおるんかもしれんけど、やっぱ戦争はよくないよな。 人一人死んだとこで終わるもんでもないね。

  • 鑑賞日 2017/2/13

    胸が痛い

    手に汗握った。プライベートライアンの時も衝撃だったが、やはり時代が近くリアルなため今でもこんなことが実際に起こっているということをまざまざと思い知らされた。

  • 鑑賞日 2015/7/19

    戦争で人が壊れていく話。戦争賛美でもないし、イラク戦争の善し悪しは関係ないし、英雄扱いしてるわけでもないし、ただ戦争の悲惨さと、人とその生活に与える影響を描いたものだと思った。とにかく演出や演技のリアリティが徹底されていた印象で、見応えあった。ブラッドリークーパーのおかしくなった演技が自然で、素晴らしい俳優さんだと思った。

  • 鑑賞日 2015/3/4

    クリスは彼の父の言うように、羊を襲う邪悪な狼を狩る番犬であろうとした。それを「正義」としてクリスは国のため家族のためと繰り返し言葉にする。しかし、彼は本当に番犬だったのか?撃っていたのは狼だったのか?終盤、子供に噛みついたペットの犬を彼が殺そうとするシーンはなんとも象徴的で印象に残った。そしてハングオーバーのイケメン悪友と全く違うブラッドリー・クーパーの役作りに脱帽。

  • 鑑賞日 2015/3/3

    愛国でも反戦でもない

    明らかなヒーローものではない、かと言って反戦ものでもない。どちらかを期待してみると、その期待どうりに見えるかもしれないし、あるいはその正反対に見えるかも。監督は作品自体は中立かつ客観的でどう解釈するかは観客次第とでも言うだろうか。しかし今このテーマについて人々が求めているのは、中立性でも客観性でもはなく、この非人間的な状況からいかにリカバーするかだ。この作品にはそれが全く示されていない。マッチョなイーストウッドにそれを望むのは見当違いと言われればそれまでだが、少し期待していたのでがっかりした。

  • 鑑賞日 2016/10/21

    ちょっと帰る道すがらだったんで、きちんと見切れてないところもある気がするけど、とりあえずアメリカンスナイパー終了。 映画上の演出なんだろうけど、バーで会うところから夫婦の会話がいちいち大変かわいらしくキュートでその後のPTSDの酷さが際立つ。 自分でびっくりしたのは映画見てて、とにかく現地の人というかですね、民族衣装っぽいのとか着てるからまー現地の人ですな。 これが撃たれたり倒されたりすると自分でびっくりするぐらい腹が立つんですよ。 子どもにインパクトで足と頭に穴開けるのは現地の過激派っぽいいでたちの人でシールズというかアメリカ軍じゃないんだけど、それも含めてもっすごい腹が立つんですよ。 なんで自分は「アメリカンスナイパー」として見れてなかったですね、たぶん。 エンディングはロールも含めてとても良かったです。 出来ればシリアが終戦してから見たかったなー

  • 鑑賞日 2015/3/1

    最高!

    映画作りの情熱を感じた。無音のエンドロールに泣いてしまった。

  • 鑑賞日 2016/9/24

    ああ

    プライベートライアンに続いて戦争を題材にした映画。 そしてまたこれも実話に基づいたお話。 プライベートライアンでは戦争の生々しさ、戦ってくれた人がいたから生き残れた人がいる、というのを感じたんですが、アメリカンスナイパーはまた違う感じ。 戦争に行ったことで、影響を受ける人たち、精神的障害だったり、怪我だったり、死ぬことに対して考えさせられました。 かといって仲間を守るためといって人を簡単に殺すシーンもあったり、好戦的なのか、反戦的なのか、どっちともとれるなぁと。イーストウッド監督の意図なのかな。 ブラッドリークーパーの心情の動きもすごく伝わってきて、なんというか圧巻の映画でした。 いろんな捉え方できますね そういうの作るのってすごく難しいと思う 何よりイラク戦争っていう最近のものを題材にするのも難しいと思う、イラクの人が観たらどう映るのか。

  • 鑑賞日 2016/9/18

    殺さないと自分も仲間も殺される、だから殺す

    ブログ・ケンタウロスの巣(http://blog.livedoor.jp/kentaurs696/archives/1061183116.html)より 良くも悪くも「アメリカ」な映画だと思います。 イラク戦争は有志連合によるイラクへの軍事介入した戦争ですが、その中心はアメリカ軍であり正に当時アメリカは戦時中の国であったわけです。 「世界のリーダー」「世界の守護者」「世界最強」なアメリカなので、常にどこかと戦争しているか、戦争に関わっているわけで、アメリカ人にとっての「戦争」というものは平和ボケしている日本人にとっての感覚と大きく異なるものがあるのではないでしょうか。 イラクで任務遂行中にアメリカにいる奥さんと夫婦の会話してるのなんか、唖然としてしまいます。 出張先の仕事の合間に電話で「今なにしてる~?」って話すのと同じレベル。 兵士たちにとってみれば戦うことが仕事ですから確かに同じことかもしれませんが、いつでも狙撃できるようにスコープを覗きながらですから。 そう、兵士たちは戦うこと、常に命の危険にさらされている状況が仕事であり、日常なんですね。 やがて戦場にいる時の方がリラックスできて、任務を終えて自宅に帰って過ごす方がストレスを感じるという逆転現象を起こすほどに「戦争」に順応してしまうほどに。 クリス・カイルは「アメリカ軍史上最高のスナイパー」であり、ある意味ヒーローですが、それは戦争という異常な状況でこそ光り輝く才能であり、本来は望まれない存在です。 逆にイラク側からは「ラマーディーの悪魔」と言われるように、「史上最高のスナイパー」はつまり「最も多くの人間を狙撃し射殺した男」であり、その中には女性も子供も含まれています。 殺さないと自分も仲間も殺される、だから殺す。 それは確かにその通りです、戦争ですから。ただ、それは「いいこと」なんでしょうか。 一つ言えるのは「いい」戦争なんて無い、ということ。 この映画は戦争を肯定する人にはそのように、否定する人にはそのように、どちらにもとらえることが出来るように思います。 ただそこには戦争によって傷ついたり、死んだり、大事な人を失ったり、精神を病んだりしている人達がいて、戦争で幸せな人は写っていません。 それがクリント・イーストウッドが描きたかったことではないでしょうか。 実際、クリント・イーストウッドはクリス・カイルをヒーローとして表現しているわけではありません。 ただ、彼の半生と周りの人達をそのままフラットに描いただけです。 大事なのはこれを観た人間がどうとらえるのか、ということを問うているのではないでしょうか。

  • 鑑賞日 2016/5/29

    受け取り方は様々

    IMDbとかのレビュー観ると評判通り意見がガッツリ割れてますが、私がアメリカ人としてこれを見てたら星1/10の低評価付けてたかもしれません 観る人によっては、戦争による犠牲や成果を礼賛するようなアメリカのプロパガンダとして受け取ってしまってもしょうがないかなと 近年の戦争映画としてずば抜けて秀作だと思うけど、見る人の人種や国や立場によって秀作にも駄作にもそれどころか憎むべき作品にもなりうる映画なのは間違いない 戦争映画自体がそういうものなのかもしれないけど、なにせ現在進行形の現実問題だから観た後の意見も慎重になります でもわからないと言って投げ出すのだけは良くないなと思ったし、自分の立ち位置は外野でもないなと思わされました 蛇足ですが日本のこのポスターのキャッチコピー、映画見た後じゃ全く好きになれないどころかなんかイライラする…他の国もこれがコピーなのかな

  • 鑑賞日 2015/2/25

    戦場シーンの迫力が凄まじかった。セリフもなく、ただ銃声とヘリの音がしてるだけなのに見入ってしまった。戦争で負った心の傷に悩む描写がもう少し欲しかった… 戦争は過酷なものだと改めて感じました。 最後の葬儀は実際の映像?カウボーイズのスタジアムで行われたんだね。

  • 鑑賞日 2015/3/20

    息つく間もない

    今だからこそ、より観た方がいいと思える作品。 戦争とはなんなのか、戦場を経験したことのない私達がそれを知るには十分なリアリティ。息つく間もなく進んでいくのは、自国にいるときにも心が戦場から戻ってこれない事に感情移入してるのかも。 実在の人物の描き方、そもそも取り上げることについての賛否両論はあるようだけど、カイルという人を通じて、今まさに戦いがどこかで起こってる、戦うことで苦しんでいる人がいるという現実を知るのがまず大事だと思う。 とてもイーストウッドらしい戦争映画でした。

  • 鑑賞日 2016/8/18

    安定のイーストウッド節

    やっぱりイーストウッド 秀作だった 体重増やして肉体改造して臨んだ ブラッドリー・クーパー なんか可愛いクマちゃんみたい どんなにマッチョに変身しても目がつぶらなのよ 真面目な映画なのに不謹慎極まりない私 イーストウッドは映画を撮る前にとことん下調べをするとラジオ番組で聞いた そのつもりで今作を鑑賞すると 戦争の恐ろしさを改めて 思い知らされるのだ 狙撃手としてイラクに派遣され 帰還する度に心が壊れていくのを ジワジワと見せられる 本人にしてみれば至って普通と思い込んでるのが一番恐ろしい 何かの音でスイッチが入ったら じゃれてるだけの愛犬さえ殴ろうとする 彼らにとっての「普通」が 戦場なのか故郷なのか 区別がつかなくなっているのか? 何年か前に鑑賞した『ハートロッカー』の主人公と重なってみえる 運命に捕まった結末と 無音のエンドロールで 私の心にずっしりとした重さを残した戦争映画であった

  • 鑑賞日 2016/7/29

    戦争が心に与える影響

    戦争が心に与える影響を上手く表現した作品。 史実に基づいているということで、ドラマチックな展開こそないものの、戦争に携わった者の心の闇を見事に表現している。 結末は悲しいものとなってしまったが、この映画を観て「戦争とは?」を改めて考えることも必要と感じる作品でした。

  • 鑑賞日 2016/7/5

    思ってた内容とはちがった

    米軍で 活躍したスナイパーが心身ともに疲弊した、後の話かと思ってたら違った。 戦争ジャンキーの話だった。 内容はワクワクするものだったけどなんか肩透かしだった。 戦争ってリアルに描くとほんと残酷...

  • 鑑賞日 2016/7/2

    現代戦の様子も伝えてくれる

     実際の人物をモデルにした映画、実はこの主人公は私と同い年だったらしい。イラク戦争で狙撃手として活躍した人物を描いているが、戦場でヒーロー、伝説と言われたことだけではなくて、帰国してから家族との関係やPTSDなどに悩まされる様子が描かれている。現代戦がどのような雰囲気なのかも、新聞やニュースで見る以上に伝えてくれる気がする。その点では「ゼロ・ダーク・サーティ」と似ていると感じた。

  • 鑑賞日 2015/9/24

    人間味を無くしていく主人公。取り戻した後の悲劇。 人を殺すことはやはりどんな理由があっても精神的にいいわけがない。 メッセージ性の強い映画。

  • 鑑賞日 2015/12/19

    戦争を多角的に捉えた良作

    人を殺すこと、親しい人を殺されること、平和を守るということ、戦士のトラウマ、戦士の家族の気持ち。戦争映画に付随する様々なテーマをきっちり描いている良い作品。 アクションシーンの迫力もなかなかのものだった。

  • 鑑賞日

    父でもあり、軍人でもある葛藤がリアルに描かれている。

  • 鑑賞日 2016/1/31

    レジェンドスナイパー

    アメリカ海兵隊の伝説のスナイパー クリス・カイルの実話。劇中では160人を狙撃したとなっているがクリス本人の話では255人らしい… どちらにしても凄い数だ。背景も湾岸戦争。ベトナムや太平洋戦争と違い自身もニュースなどでリアルタイムの映像を見ていただけにリアリティーを感じる。愛国心が強く伝説と呼ばれる事を嫌ったクリスだが その強い愛国心が自分の死期を早めたとは全くもって皮肉なものだ。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    狼か?牧羊犬か?

    同じイラク戦争を扱った映画『ハート・ロッカー』とどうしても重ね合わせて観てしまった。爆弾処理班と狙撃手、どちらも最前線の兵士を一歩手前の立ち位置から援護し救出する立場の人間を描いている。 この作品でも非日常である戦場から戻ってきた彼らにとって日常生活の方がより悲惨でより過酷である事が描かれる。次第にカイルから生気は失くなり目も虚ろ、ちょっとした物音にも反応して身構えてしまう有様(その変化をブラッドリー・クーパーは確かな演技力で見事に表現)そしてまた彼は仲間を救う為という使命感以上の何かに突き動かされ戦場に戻って行くという皮肉な展開。 しかし彼はその後退役し家族の支えもあり徐々に人間性を取り戻し、今度は同じ苦しみを持つ退役軍人達の心のケアに勤しむ事になるのだが…。 この作品は主人公を単なる戦争の英雄として描くだけでなく、その裏にはらむ狂気や矛盾もきちんと描いている事が分かる。それは第二次世界大戦を日米両方の視点から捉えた作品を2作同時に製作したクリント・イーストウッドならではの戦争自体に対する彼なりの考え方に因るもの。それを踏まえると公開当時本国アメリカで本作が保守・リベラルを巻き込む騒動になっていたのは滑稽に思えて仕方がなかった。 そして無音のエンドロール… 私の頭の中にも銃声や叫び声が聞こえてきた…。退役後、何も映っていないテレビ画面を見つめながら戦場を思い返し、彼の頭の中に鳴り響いていた幻聴と同じように。

  • 鑑賞日 2016/3/8

    イーストウッド監督

    アメリカ歴代最高狙撃記録を持つ男の実話。 退屈だなぁと思わせる淡々とした展開から気付けば食い入るように見てしまった。 イーストウッド監督は気持ちの演技の伝えかたが素晴らしい。

  • 鑑賞日

    真実は見方で変わる

    これもまた一つの真実。答のないエンディング。押しつけがましくなく淡々とした表現がよい。

  • 鑑賞日 2016/5/5

    実話

    実話なので映画に入りやすかったです。最後の映像は実際の映像かな…?

  • 鑑賞日 2015/2/21

    ノンフィクションだけど話の流れとかはわりと綺麗に見せてくれました。 最後の釈然としない感はさすがノンフィクション…。 心理描写に重きを置いてドヤドヤしてくる感はないのだけど、滾々と染みてくる感じが切ない気持ちになる映画でした。

  • 鑑賞日

    伝説の男

    戦争によって精神を蝕まれる男を描いているけど、明確な目的を持って成し遂げる男でもある。伝説の狙撃手と呼ばれながら、確かに英雄的に活躍していく。それを皮肉として描いているのかどうか、グレーに見える。

  • 鑑賞日 2016/3/12

    ハッピーでもないけど、おもしろい映画だった、精神状態のうつりかわりが見える。

  • 鑑賞日 2016/4/21

    Liar

    名誉のために、何を失うか。何を求め、何を受け入れるか。戦争の痛みは当事者にしかわからないだろうけれど、この映画を観るということはその痛みを理解しようとする努力と言えるかもしれない。

  • 鑑賞日 2016/4/6

    スナイパーの心の葛藤に重きを置いた映画かと思っていたが、イラクとの戦闘がメインだった。戦闘シーンが長く、狙撃シーンはかっこよかった。敵にもちゃんと強キャラがいて、そいつを倒すという目的が明確で分かりやすい戦争ものだ。人間ドラマも一応あるのだが、こちらはあまり深く描かれていないように感じた…時々帰国して妻にあって妻が帰ってこないのを寂しがるが、それが特に生かされているようには見えず。弟がもう嫌だみたいに言っていたシーンがあったのに、それ以降弟が出なくて逆にビックリ。戦争に出てきた人の心が荒んでいくことを描きたかったのだろうが、主人公がノリノリなので、なんとも。最後は突然もう辞めると言い出したように見えた。退役後に重要なことが描かれると思いきや他の退役軍人と話してアッサリ心も回復、にこやかな生活が訪れ、心を病んだ退役軍人に殺されて、おしまい。なんだっこれ。最後の最後で実話を基にしているときづく。この英雄の一生を描きたかったのだなぁと。深み、なし。まぁおもろかったんだけど。 そして気になった点が一つ。主人公は最初に子供を殺して落ち込み、後半でも子供を撃たざるをえなくなりそうで震える。まあ気持ちはわかる。子供が死ぬのは残酷だ。とは思うけど、大人の男を躊躇いもなく殺すのに、子供のときだけ震えるのってどうなんだ。子供だろうが大人だろうが殺された側としては一緒なんだし、大人をバンバン殺すなら子供も容赦することないと思ってしまった。女子供は殺さないという風潮があるが、大人の男は良いみたいな感じになってるぞ。

  • 鑑賞日 2016/3/21

    戦争で生き残っても

    クリント・イーストウッド作品らしいテーマの映画だな、と思った。戦争を経験して、帰国した後の人生の苦しさみたいなのを描いたもので、「父親たちの星条旗」とか「グラン・トリノ」なんてのが有りましたな。でも、この映画は戦場でスーパーマン的活躍を見せた実在の人物の話だから、映画の構造としてはかなりだいぶ異なっていて、ちょっと狙いがはっきりしない気もする。ジュード・ロウの「スターリングラード」みたいに娯楽作に徹していたら、もっと気楽に観ることが出来るんだけど、イラク戦争自体がアレだから、なかなかそういう話にも出来ないしねえ。 それにしても、最後に主人公が帰国後にあっさりと殺されてしまうところは、なんか想像が付く感じではあったけれども、これが実話ってところが非常に虚しいですな。 残念ながらDolby ATMOSで観られるブルレイではなく、WOWOWで放送したものの録画で観たので、音声スペックとしては不利なんだけど、それでも銃声の響きとか特筆すべき素晴らしさ。良い音で鑑賞したい映画として屈指のものと言っていい。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    評判のアメリカンスナイパーを観てきました。個人的な結論から言うと同じイーストウッド監督のジャージーボーイズの方が面白かった。 良かった点を先に言うと戦闘シーンは迫力があるし砂嵐の中の脱出シーンは自分もまるでその中に居るようだった。 戦争の英雄で戦友のために命をかけ祖国を愛し後遺症から精神を病むも家族のために立ち直り、同じように後遺症に悩む人たちの役に立とうとする。なんというアメリカンヒーロー。 彼は言う「仲間を救うため野蛮人(イラク人)を殺した。悔いは無い。(だったかな)」この映画をイラク人が観たら何て思うだろうと考えた。そう思うと辛くなった。 エンドロールは「無音」。その直前が、エンニオモリコーネのお葬式の音楽。アメリカ人のオラがヒーローへの感情の詰まったラストだと思った。 そうだ、もう一つ思ったことがある。アメリカは懐の深い国だ。いろんな映画がある。愛国も反戦も家族愛も裏切りもある。 国として様々な経験がある。経験からの反省もある。それがいろんな映画を産む。僕は、それらを通じて擬似体験に似た考えを持つことができる。恵まれてるなあ、きっと(^_^)

  • 鑑賞日 2016/2/14

    アメリカ人の戦争

    「アメリカンスナイパー」を見た。 監督は、元俳優のクリント・イーストウッドです。 もうご老体なのですが、監督としては、オスカーを2度も取る実力者です。 なんというのか、細部にこだわらない鷹揚な演出で、映画的省略の仕方が素晴らしいです。 今回もイラク戦争で160人を狙撃した超絶技術のスナイパーという実話に基づいた映画ですが、特段ヒーロー扱いせず、かといって特段に反戦色も露わにせず、淡々と描いていきます。 イーストウッドはもちろん娯楽作品も撮るのですが、フォークランド紛争が舞台の「ハートブレイクリッジ」のころは、確かタカ派と呼ばれていたと思います。しかし、ここんとこ「父親たちの星条旗」「グラン・トリノ」なんかでちょっと路線 変更かと思わせてくれましたが、間違いでした。 主人公の視点とはいえ、イラクで現地の人を「邪悪な蛮人」としか描いていません。 ですが、まあ実はイーストウッドの興味はその辺ではなく(そんなところで誤解を受けてもどーでもええけんね、といった感すらある)、前掲2作と同様に、普通というあたりまえというか、まっとうなアメリカ人が「戦争」でいかに変わってしまうのか、てところにのみ焦点を置き、淡々と描いていきます。

  • 鑑賞日 2016/2/7

    アメリカ

    アメリカ人の自由って イスラムのコーランと 日本の天皇みたいなもの

  • 鑑賞日 2016/2/5

    少年に狙いを定める、緊迫した冒頭から砂嵐の中での銃撃戦まで、見せる魅せる。潜伏先の民家の主の正体を明かしていくシーンなど、サスペンスとしてもイケる。だが、全編通して漂う虚無感はどうだろう。祖国の為、友の仇を討つ為という名目があっても、これは戦争であり、不毛な行為であることが頭から離れない。レジェンドと呼ばれる主人公の、並外れた強さをもつ心臓でさえも、少しずつ正気を失っていく。 ヒロイズムの物語でもあり、家族の物語でもある。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    CGが嘘くさくなってしまっていて残念

    敵のスナイパーを殺すときに銃弾がスローモーションになるけど、それがCGっぽい感じが出ちゃっててすごく残念。もっとリアルにできなかったのか。というかそういうアクション映画みたいな演出は必要なかったと思う。淡々と敵を倒すことを描いてほしかった。主人公の苦しみもなんだか嘘くさくなってしまう。 イラクに言った兵士は本当にアメリカと戦場を行ったり来たりしているのか。自分だったら途中で本国に戻らずに戦争が終結まで戦場にいたい。でないと感覚が変になってしまう。昔だったらこんなに家に頻繁に帰れないだろう。 エンドロールで無音になるのは意外だった。 とにかくCGが残念だった。この映画はアクションヒーロー映画でないのに。

  • 鑑賞日 2015/3/7

    つい最近の実在の英雄・・

    ・・アメリカだと思う。 現代日本では絶対あり得ない、存在しない人物像だ。 クレジットタイトルに実際の映像が流れる。つい最近の話だよ、これ。

  • 鑑賞日 2015/7/21

    感情移入し辛い映画

    日本で暮らしている以上、戦争は遠い世界のものだと感じてしまう。そのため感情移入しが辛い。

  • 鑑賞日 2015/2/25

    苦しい

    戦争全体ではなくその個人の苦しみ 日常と戦争の紙一重さ 生きるという大切さ 最後は涙が止まらなかった 戦争の傷跡が生んだ悲劇 何でもない日常に訪れる傷跡

  • 鑑賞日 2015/10/6

    火に引き寄せられる蛾。

     共和党も民主党もない、ここには現代戦争をみつめるイーストウッドの眼があるだけだ。これは愛国映画では決してない。    いわゆるイラク戦争映画だ。いつもゲンナリしながら見ている一番苦手なジャンルだが、ここまで映像に引き付けられ見た作品は初めてだ。見事という他ない。    交互に挟まるアメリカでの、日常が、心が、徐々に崩れていく様が恐い。  最後の無音のタイトルにイーストウッドの良識と品格をみた。   戦争に男も女も子供も民間人もない、あるのは殺す者と殺される者だけだ。  どうやったら、戦争のない世の中が来るのだろう。    なお、ラストに流れる心に沁みる曲は、モリコーネの作曲らしいのだが、昔からのニニ・ロッソの名曲「夜空のトランペット」、そのままのように思えた。(厳密には違う曲なんですけど。)

  • 鑑賞日 2015/10/4

    スマートな愛国映画

    静謐な雰囲気が、血なまぐさい戦争の現場とは異なる不思議な緊張感を生んでいる。「プライベート・ライアン」や「ブラックホーク・ダウン」とは明らかに異なる戦争映画だ。 戦争映画としてはクリーンすぎるし、父親と兵士という立場での葛藤という意味では掘り下げが足りないように感じる。米国は、こういう映画を作ることで十分に自分たちの戦争を自問していると思っては困る。 とはいえ、これは戦争とは何かを考えるための映画なのだろうか? 最後に導かれる結末とこの映画が実話に基づいているという事実が、却って結論を出すことを回避しているようにも感じた。

  • 鑑賞日 2015/10/3

    こんなにシンプルでいいのかな?

    イラクの戦場で「レジェンド」と呼ばれた狙撃手の話 わかりやすさのためか シンプルな話になっているのが、なんだか残念だった

  • 鑑賞日 2015/9/26

    価値観の違う2種の世界

    緊迫感のある戦場シーンと家族との接点 交互に表現されるが明らかに文化・価値観の違う2種の世界に見ている側も戸惑い、程度はまるっきり違うが自分の職場の世界と家庭とのギャップに照らし合わせて鑑賞した。 何れにしても解決すべく答えはないよなあと思いつつ、映画の結末も解決できたのか不明なまま終息を迎えてしまう。 その点、映画としてのエンターテイメントとしては不満足

  • 鑑賞日 2015/4/1

    職業としての狙撃者

     スナイパーというのは狙われていることに気がついていない相手を狙撃する仕事である。 戦場で撃たれる側にしてみれば卑怯者かもしれないが味方にとっては守護霊である。これまで戦争映画やスパイ映画などで狙撃者を描いた作品は数多くあるが、この映画のように狙撃者の家庭や内面に迫ったものは少ない。しかも、これは事実に基づいた話である。  アメリカの戦争映画ということで国粋主義的なあるいは戦争の英雄を賛美するかのような印象を持たれる場合がある。この映画も見方によってはそう決めつけてしまう人もいるだろう。しかし、監督であるクリント・イーストウッドは「伝説」の狙撃手クリス・カイルを英雄視することなく、どちらかというと静かに醒めた目で職業として狙撃という仕事をこなす男の仕事ぶりを丹念に描いている。そのような描き方でもイラク戦争が誤った戦争であるが故に過度に兵士を英雄扱いするべきではないと否定的な見方をする者もいるかもしれない。だが、誤ったのは兵士ではなく政治家である。  この映画は家族の映画でもある。夫を戦場に見送る妻、戦場で妻や子を思う夫、イーストウッドは極限の戦闘を描きつつ、彼らに家庭があり、そこに葛藤があることをきちんと伝えている。それは戦場でなくても、生命の危機にさらされる職場に勤務する家族への思いと変わらないのではないだろうか。  狙撃者という職業は、戦場や闇の社会でしか存在しない。戦場でなければ犯罪である。職業としての狙撃者が伝説の人物となり、伝説化された人物はもはや普通の生活を送ることはできなかった。そのような仕事をさせたのは誰なのか。そのような仕事は善なのか悪なのか。結論づけることなく、彼の死をもって映画は終わる。顔の見える相手の銃撃によって。

  • 鑑賞日 2015/9/4

    何を感じるべきか。

    この映画を見終わった直後、何を感じるべきなのか、 よく分からない自分がいた。 アメリカが戦争をしていることは知っている。 当然、そこに兵士が派遣されていることも知っている。 ただ、その事があまりに非現実的すぎて、 そのことが物語として語られる時に、心のどこで 感じていいか、判断が出来ないからだ。 しかし、エンドロールをじっくりと見ていくうちに、 少しずつではあるが、この物語で語りたいことを 感じる事ができるようになってきた。 1人の兵士の姿を通して、戦争大国とも言われるアメリカの 現在の姿を描きたかったのではないか、と。 他のレビューを見ると、美化して描かれている、なんてものも あったりするんだけれど、自分の感想としてはむしろ逆で、 これだけ残酷にアメリカの姿を描き出している作品も ないのではないか。 うまく言えないんだけど、戦争というものがもたらす悪夢、 みたいなものが、今もまだ続いていて、最終的にまっているものは 滅亡。そんな感じ。 うーん、数日経ったらまた感想変わるかもしれないけど、 とにかく、ヒロイズムとかそういうのを描いてる風で、 実際は残酷なまでの現実を浮かびあがらせている、みたいな 感じかな。

  • 鑑賞日

    神、国家、家族

    2014年アメリカ映画。イラクを舞台にした戦争映画。主演のブラッドリー・クーパーのパワフルな熱演が見事でした♪

  • 鑑賞日 2015/8/30

    フューリーの後に観た。

    フューリーの後に観たが違った視点で描写され面白い。 こっちのほうがヒューマンドラマであること。 最強のスナイパーが人間味が弱いところなんて なかなか面白い。まあ自伝なんで多少は脚色されてるかもだが。 いずれにせよフューリーに並ぶ名作である。

  • 鑑賞日 2015/2/28

    命を捧げ、心を壊しても守りたいものとは

    確かに黒煙を上げ、崩れ落ちる象徴を目の当たりにすれば誰だって思うだろう。 『私達の日常が脅かされる』 『愛する家族が明日無事に生きていられるだろうか』 『誰かが守らなければならないのなら、その役目はオレが担ってみせる』 厳しい訓練に耐え 戦う術を叩きこまれて いざ最前線へ。 守るために戦う場所は遠い異国で 傷つき、倒れ、心を壊しながら、およそ敵とは思えない相手を殺す事も求められる。 安らげるはずの家族との生活の中でも 物音に怯え、神経質になり、家族から哀しい目を向けられる。 それでも仲間を守っている充実感が支えとなる………はず……… 主人公の父親が言った『番犬になれ』という教えを忠実に守って 戦い続けた代償は? 傷つき倒れていく仲間を見 自分が引いたトリガーの先で倒れる人がいて 傷ついた体を引きずり 自らの心を壊してしまう それが何を誇れるのだろうか。 ただ悲しいだけじゃないのか? クリント・イーストウッド監督が描きだした戦争の現実。 『戦う』という事は? 『守る』という事は? 感情を高ぶらせるものでもなく かといって悲しませるだけのものでもない。 最高のスナイパーが見た現実と体験した現実。 それらをスクリーンを通じて感じさせてくれます。 映画を見る前に新聞記事で作品の主人公が殺害されているという事を知り 彼の人生って一体………と思わずにはいられませんでした。 愛国心ってなんだろう。 戦争と平和とはなんだろう。 戦いの犠牲になった多くの人々の魂の鎮魂を願うばかりです。

  • 鑑賞日 2015/8/14

    番犬になった男

     イラク戦争での“伝説”的ヒーロー、クリス・カイルを描いたイーストウッドの戦争映画であり伝記映画でもある。しかしかつての「ヨーク軍曹」(同じクーパーだ)のような手放しの英雄譚として描かれているわけではない。それはときおりクリス(ブラッドリー・クーパー)が見せる虚ろな表情に見て取れる。口を開けば愛国的な言葉しか出てこないけど、イーストウッドはそんな彼でさえも戦場での過酷な状況に精神の破綻を来たしてしまうということを映像で語らせている。  父親から羊ではなく番犬のような強い男として育てられた彼は自ら愛国心に燃えてシールズに志願し、戦地に赴き背後から部隊を援護し多くの味方兵士の命を救う。まるで父親の教えを忠実に実行するような人生。しかし妻や子を持ったことからその重心の置き場に迷いが生じる。このあたりは多くのアメリカ兵の共感を呼ぶところだろう。  最前線でのクリスが遠く離れた故国の妻と衛星電話で会話するシーンが何度か挟まる。これまでの戦争ではまず有り得ない設定だ。遠く手の届かない相手とのやり取りは彼の狙撃という仕事と同様、実体の薄い、まさにゲーム感覚の戦争という特徴をも図らずも炙りだしていた。  イーストウッドの演出、編集テクニックはもう円熟の域といってよいほど淀みがなく快調なテンポで展開していくのであっという間に最後まで付き合ってしまうのはいつものとおり。あまりに流れがスムーズ過ぎてかつて見せたような心に重くのしかかるようなものは大分薄くなったかもしれない。高齢からくる淡白さだろうか。

  • 鑑賞日 2015/8/12

    「いいか、世の中には羊と、狼と、羊を守る番犬しかいないんだ」。子どもの頃に父親に聞かされた通りのシンプルな世界観を抱いたまま大人になり、9.11に衝撃を受けると、その背景を考えることもなく「国を守るため」という国家の呼び声に応えて軍に入隊、しかももっともマッチョだからという理由でSEALDSに入ってしまうという、まあ根は素朴でいい人なんだろうけど、国家にとってはまことに都合のよすぎるヒーローのお話です。 「俺が国を守る!」というシンプルな正義感を抱く男が、実際には大量破壊兵器が存在しなかったイラク侵略戦争に投入され、大量殺人者になることで英雄になってしまうという矛盾は追求されることなく、ただ愛する妻との関係という、徹底してパーソナルな危機の問題に還元されてしまいます。しかもこの主人公、家ではいい父親だわ、きちんと仲間の敵もとるわ、最後は仲間の兵士を助けようとして殺されるわと、立派すぎる人。主人公の弱さや脆さを描く描写がないわけではないけれど、それらをさらけ出す場面ですら抑制がきいていて、無駄な殺害は一つもしていないと胸を張る彼は、「理性的かつ人間的に暴力を使うことのできるアメリカの軍人」という、非常に古典的な理想像に収まっています。一方、イラク側のゲリラはリーダーは幼い子どもや老人までもドリルで残虐に殺害するという「理性なき野蛮な暴力」という対立的な形で描かれているし、元オリンピックメダリトのシリア出身のスナイパーも、なぜ名声を捨てて反米ゲリラ闘争に加わったのか、その背景が描かれることはなく、最後に主人公に花を持たせる強力なライバルでしかない。だからこそ、このいろいろと矛盾をはらんでいる物語は、あのアメリカ国旗で埋め尽くされる一面的なラストシーンの中に気持ち良く回収されていくことになります。 イーストウッドって、もう少しひねりや皮肉のある知性的映画も撮っていたはずなのに、なんたる体たらく。そしてこの映画が日本で高く評価されてしまうことに、いっそうの空恐ろしさを感じます。

  • 鑑賞日 2015/8/2

    アメリカ人のための映画。

    話の展開として、そんなに感動するものではない。部分的にはスリルがある。しかし、ストーリーの展開は全体として大雑把で単純すぎる。そもそも、実在の主人公は英雄なのか。戦争に行って帰還した人を責めるつもりはないし、苦労は労うべきだろうが、この映画で何を伝えたかったのか、何を訴えたかったのか。それが露骨のような気がした。そして共感できない。この程度のお涙頂戴的な映画なら、戦争を舞台にしなくても良い。個人的には製作、監督がクリント・イーストウッドであるのが残念な映画。

  • 鑑賞日 2015/8/12

    80歳を過ぎたイーストウッドの答え

    作品は、中東の戦地に4回赴いた主人公の心の移ろいを、スクリーンに映し出していく。始めは微かだが、徐々に大きい影となって心を蝕ばんでいく。そんな恐怖感、あるいはそれに魅入られていく喪失感が、見事に表現される。主人公が、戦場に魂を吸い取られたように、放心状態で家族と過ごす様子は、独特の緊張感が漂う。そのブラッドリー・クーパーの演技は、息をのむ。 戦場の英雄は、突出して、敵を倒すのだから、それだけ神経的にやられてしまうのだろう。160人以上も人を撃ち殺した、と思うと想像に余りある。その苦しみをどう吐き出していくのか、戦争後遺症は、深刻な社会現象だ。 戦争で人間らしさを失ったのは、何も主人公のクリスだけではない。それが、ラストの結末に繋がっていく。戦争の根深さは、中東で終わらない。戦争後遺症は、戦場だけでなく、ウイルスのように平和な社会にもはびこっていく。宗教や民族のために戦争するなら、強いアメリカは、人のために平和であって欲しい。イーストウッドのメッセージだった。

  • 鑑賞日 2015/8/11

    リアルすぎる

    リアルすぎる。見事な描写だ。戦争もそうだけど、兵士の深層心理がよくわかる。本当にむごい。

  • 鑑賞日

    息詰まる傑作

    スコープ越しに交換される1発の弾と1つの命。同じ1でも重みは違う。兵士として敵を殺し父親として家族を愛するクリスカイルの表情の変化に辛いものを感じる。

  • 鑑賞日 2015/8/10

    クリント・イーストウッドの描く反戦映画

    クリント・イーストウッドの最新作。 キネ旬ベスト10での予告編で観て、興味をもつていた作品。 前作の『ジャージーボーイズ』が、ものすごくよく、わたし的に大絶賛だったので期待して鑑賞! 期待しすぎた? 戦争とは、なにかを変える。いや、なにもかも かもしれない。失うものしかない。得るものはない。 この主人公も、戦場に心を置いてきたまま、彷徨っていた。同じように彷徨っている人を助けようとて、全てを失った。 実話で、ラストは唐突で、衝撃的でした。

  • 鑑賞日 2015/8/2

    条件反射の狙撃手

    封切直後に鑑賞したが、回顧するシーンが多く、ちょっとついていけなかった。 そんな状況で、再鑑賞をした次第。今回は、全てのシーンでの心のうつろいを手に取る様にバツチリでした。 とにかく世界の警察と自負している米国の恥部でしょうネ。派兵した後がどうなっているかは、表に出てこないし、更にその家族でどういう事が起きているのかを思うと、いかに戦争は何も良い事はなく、不幸な事だけしか生まれない事を痛感した。 クリスが1回から4回まで派兵するたびに、心が蝕まれ、単に仲間を守る狙撃から、条件反射の狙撃手になっていく。そして、自分でも抜け出したいが、自分の日常生活で戦争を忘れさせない環境に変化している事に憤りを感じている。でも、どうしようも無い。そして、ラストは、命にもしもの事があるかもしれないが、ライフルのレッスンを請け負ってしまう。妻のタヤも感じているが・・・。 前回のレビューにも書いたが、徴兵制のない日本に生まれて良かったと思うのは、私だけでしょうか? ※ただ、政治の社会では、何かと物議を醸し出している昨今なんだよね。

  • 鑑賞日 2015/7/26

    戦争のむなしさ

    やったからやり返す、やり返されたからさらにやり返す、こんなことがことが延々と続くのが戦争なんですね。勝者も敗者もいない、ただただ不毛な殺し合い。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    心を置き忘れるなら戦場よりも家族のもとだ

    ストーリーとしては、なんら目新しいところはない。 まぁ、イラク側に元オリンピック選手のシリア人射撃手がおり、そやつに仲間の命を奪われることが多々あって、執念深くそやつを倒そうとするあたりは、少々娯楽アクションの趣があるといったところ。 この娯楽的要素が、クリント・イーストウッド主演作『ザ・シークレット・サービス』のように単純に善悪がつけられていれば、それなりに愉しめるのだけれど、いかんせん、実話というのは重い。 米軍を狙って攻撃をしてくるなかには、女性や幼い子どもまでいるのだから、遣る瀬無い。 それを(多少の)良心の呵責はあるとはいえ、クリス・カイルは容赦なく撃ち殺していく。 うーむ、ここまで状況を追いこんでしまったのは、どういことなんだろう。 哀しくて悲しくて遣り切れない。 その上、都合4回の現地イラク赴任でクリス・カイルは人間性を喪って、殺人マシーンを化していく。 妻が何度も繰り返す「あなたは戦地に心を置き忘れた」という言葉が痛々しい。 目新しいところはないが、イーストウッド監督の演出・語り口は流れるようで、一瞬たりとも気を抜けない。 なので「傑作」。 といいたいところだけれど、ベトナム戦争以降のアメリカ映画で散々観てきた内容でもあり、 「もう、わかった。とにかく、アメリカ、なにか反省したところはあるのかい」 なんて思ってしまったのが正直なところ。 エンドクレジットで流れるクリス・カイル本人の葬儀は国を挙げてというのにふさわしい内容。 そこへ流れる弔いの音楽(エンリオ・モリコーネ!)とそれに続く無音のスタッフ・キャストののクレジット。 その無音の3分間ほどは、大切なひととのこと、そして未来のことを想う時間だそうだ。 このときは、憂慮憂慮の3分間でした。

  • 鑑賞日 2015/7/22

    最大の敵は心の中にあり

    4度にわたってイラク戦争に加わり、160人の「敵」を射殺した伝説の狙撃兵クリス・カイルの実話に基いた作品だが、ストーリーそのものは極めて単純で、天才的狙撃手が次々と敵を倒し、イラク人は野蛮人だとみなし彼らの立場は一顧だにしない前半の、高慢な考えに立った行動に共感を覚えることは難しい。 戦争肯定とも見て取れるシーンを多く取り入れ、アメリカ国内でヒーローとされた人物を貶める描写をする事に、おそらくためらいのあったイーストウッドは、クリスが自分の不安を隠して危険な任務に自分の判断で従事するシーンを何度か見せ、帰国してからも心の中に傷を抱え、悩んでいる姿を通して反戦の意図を透けて見せている事も見逃せない。 その意味からこの映画の主題は、後半のクリスの抱えたPTSDにあると思われ、彼が屋外パーティで飼犬に凶暴性を表わし、人格破壊したかと思わせるシーンも見せるなどするが、実話モデルの作品の限界で、どうしても扱いは抑制され、前半の「イラク=悪」の部分が強調された印象になってしまい、インディアンを倒す騎兵隊が活躍する西部劇の流れを感じてしまい、イーストウッド監督の狙いとは異なった結果になってしまったのではないかと思ってしまう。

  • 鑑賞日 2015/7/23

    アメリカ社会が抱え持つ病理

    生死を分かつ戦場での体験が、いかに兵士の心を蝕んでいくか、こうしたテーマの映画はこれまでにも幾度となく繰り返されてきたが、こうした映画を観る度に、アメリカ社会が抱え持つ病理の根の深さを思い知らされる。

  • 鑑賞日 2015/7/21

    なんでこれを撮ったんだろう、というもやもや ひとりの命がだれにもあって、どの命も同じようにただ存在していることをこんなにも強調しながら、ひとりの命だけをこんなにも強調している。なんか不思議な感じ。

  • 鑑賞日 2015/7/20

    イーストウッドは、「硫黄島からの手紙」をもう一度撮るだろうか?

     戦場を淡々とリアルに描いているように見えるのは、「蛮族から仲間を守るため」と自らを割り切ったように答えるクリス・カイルの視点だろうか。  この場合「蛮族」とはイラクのテロリストなのだが、「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」を撮ったクリント・イーストウッドであるから、きっとイラク側からの視点でも撮ってくれるだろうと期待しながらの鑑賞だった。

  • 鑑賞日 2015/3/9

    爽快感なし

    私はクリント・イーストウッド監督の作品は「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」しか観ていない。硫黄島二部作と共通しているなと思ったのが、戦闘シーンに爽快感がないこと。YouTubeで見れる現実の戦争は悲惨だが、フィクションの戦争には、楽しさや爽快感があると思う。 破壊という行為にはある種のカタルシスがある。戦史、兵器、銃器は男心をくすぐる。だからこそ、世界中で戦争を題材とした映画やゲームの人気が高いわけだ。フィクションと現実は違うと理解した上で楽しんでいるのだ。 「アメリカン・スナイパー」は実在の人物の伝記が原作とはいえ、作り物のフィクションだ。にもかかわらず戦闘シーンにカタルシスはなく、ただただ怖い。とてもじゃないが戦場へ行きたいとは思わない。 「アメリカン・スナイパー」が描いているのは、息が詰まるような、限りなく現実に近い戦場だと思う。 だが、そんな戦場に身を置いたことで心を侵されてしまった兵士達がいる……。 このような映画が作られ、ヒットするアメリカという国に驚いた。 戦争は悲惨だと言っても戦争はなくならない。戦争が悲惨なことくらい皆んな知っている。知っているけど、21世紀になっても戦争はなくならない。 今この瞬間もISIL(イスラム国)によって無実の人々が殺されているかもしれない。ISILと戦えば傷を受ける兵士がいるだろう。だが、誰かが戦わなければ命は救えず、犠牲は増え続ける……。 ありきたりな感想だが、戦争について色々と考えさせられた。

  • 鑑賞日 2015/4/30

    アメリカの映画界とジャーナリズムは前進してる

    最近、戦争映画も名作と呼ばれるものは怖がらずに見るようにしてるので、私の中でこれはそのシリーズ中最新作。アメリカの中での戦争の捉え方の変遷を私なりに感じています。 「タクシー・ドライバー」の中のロバート・デニーロは、戦争から戻っても普通の生活に馴染めない、少し不器用な男として描かれていましたが、この映画の主人公は、戦争の英雄であり、アメリカにいても実力と人格で成功し、かつみんなから慕われる、”勝ち組”です。アメリカはとうとう、戦争による勝者も疑う勇気を持つようになったんだ、と思いました。そして、彼らが戦場で「女性や子供は守り、戦闘員だけを撃った」のではなく、「武装していない人はともかく、戦意を見せるものは一般市民でも、老若男女を問わず撃った」ことを認める勇気をとうとう持った。さて、この次にはどんな映画が来るんだろう?英雄不在の戦争をプロデュースしている人たちにメスを入れて暴き出す?あるいは逆に、「戦争反対と人は言うけれど、本当は戦わずにはいられない生き物なんじゃないか」とか?いずれにしても、目を背けたくなる現状に、おそるおそるではあるけれどしっかりと目を向けるアメリカの映画界は、確実に前に進んでいて、戦争の中にある美醜を感覚的に描くところにとどまっている日本とは比較にならないくらい、ジャーナリズムがちゃんと働いているなぁと感じます。

  • 鑑賞日 2015/4/20

    エンド・クレジットの無音は鎮魂歌

    この映画がアメリカ万歳と解釈する人の気持ちが良く判らない。 主人公がこの戦争に参加するのは国を守るため、という台詞が出てくるけれど、愛国のために戦争に行った兵士の内面が壊れていく様を描いている。 権力者や愛国主義者がお国のために命を落としたのだから、その兵士を批判せずにその尊い犠牲を敬えというようなことは度々言われる。 だけど、我々は戦争で命を落とした兵士を卑しめているのではない。国防のためだ、といって戦地に送り込んだお偉いさんの責任をそれでうやむやにするな、と言いたいのだ。 国を守るために人を殺し、自分も殺される恐怖に怯え、肉体的にも精神的にもとんでもない犠牲を払わせる政治家は一体何だ、という怒りがある。 その責任をボカすから、今またこの国の政治家は戦争する国に変えようとしている。恐ろしいことである。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    無言の鎮魂歌

     本邦では概ね好評だが本国では賛否両論、激しい非難の声もあるという。対イラク戦で160人もの敵を射殺した実在の狙撃手の物語である。標準器を覗くその先に、爆弾を隠し持つ母子の姿。撃つか撃たぬか、その判断に一刻の猶予もない。戦場の切迫した状況を活写するイーストウッドの演出に異様な緊迫感が画面を支配する。前作『ジャージー・ボーイズ』の鮮やかなラストシーンからはとても想像できないイーストウッド映画の奥深さに驚かされる。  一転して映画は時代を遡り、父から狩猟を教わった少年時代、カウボーイとして過ごした青年時代、軍隊に志願し厳しい訓練を受けた新兵の頃、そうした彼の人となりを短いシーンの積み重ねであっさりと描く序盤は、語り口の早い正攻法な展開で、この人物が決して殺人鬼などではなく、むしろどこにでもいる普通の男、愛すべきアメリカ人の一つのタイプであることを印象付ける。  家庭では良き夫、良き父であるその彼が、どのようにして戦場で「伝説」と呼ばれるまでになっていったのか。一度は帰国しながらも、その後何度も繰り返し戦場に戻るのは、彼があまりにも優秀な狙撃手だったからなのか。祖国のため戦友のため黙々と任務に就くその姿にヒロイズムは見て取れるのだろうか。何度目かの派遣の後、まっすぐ家に帰れない彼の苦悩はなにゆえか。この映画は、戦争の英雄を称賛する作品なのだろうか。どちらかといえばイーストウッドはタカ派であろう。しかしこの映画は、戦争で心を蝕まれてゆく一人の男の姿を淡々と提示するばかりなのである。  かつてイーストウッドは、『グラントリノ』のエンドロールでデトロイトの湖岸通りを延々と写し続けた。それはまるで、ハリー・キャラハンに別れを告げる鎮魂歌のようであった。そして本作では、無音のエンドロールが延々と続く。それはまるで、何も色を付けずにただ一途に、伝説として死んでいった一人のアメリカ人を悼む鎮魂歌のように思えてならないのだ。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    吐き気を催す不快感

     冒頭近く、少年時代の教会体験も描かれる狙撃名手の話、ときたら、誰もがこれは「ヨーク軍曹」ではないかと気付くはずですが、あのゲイリー・クーパーが人の良さそうな顔で敵を撃ってゆく、あっけらかんとしたホークスらしい映画とは全く違って、21世紀の戦争は過酷そのものであり、胸に重く響く映画です。  イーストウッド自身が作曲したピアノ曲がうっすら流れるほか、勇壮なドラムソロ、そしてエンニオ・モリコーネの名前がクレジットされたトランペットマーチが流れるだけだった映画は、エンドクレジットの間も長い沈黙に耐えるほかないのですが、あそこにはどんな曲も似合わないし、沈黙だけが相応しいと思わせます。そして、あの長いエンドクレジットの間に一切の音を付けず、沈黙で通したところに、この映画におけるイーストウッドの並々ならぬ決意が、はっきりと刻印されていたでしょう。  “これぞ愛国精神の鑑”などと、どこぞの好戦的な為政者に利用されかねないという危うさを持っていることは事実でしょうが、この映画に満ちているのは、人を射抜くことの吐き気を催すような不快感にほかならず、その過酷さがまさに21世紀の戦争なのだということは、忘れてはいけないと思います。

  • 鑑賞日 2015/4/4

    羊と狼と番犬

    淡々と進む 最初のシーン、いきなり衝撃的な流れにグッと心を掴まれる 後は、意外と淡々と過去と戦争と日常が描かれていく すごいなぁと思うのは、ジャージー・ボーイズでもそうやけど、 そういう淡々とした描写やのに何かこっちが観ることについて惹きつけられる 特に反戦って訳でもなかったし、物凄く悲惨だって訳でもない、英雄みたいな自己犠牲でもない 敵も味方も色んな側面がちょこちょこ映され、猛烈に誰かに感情移入するでもない 凄く身近に銃やら砲台やらがあって、人が死んでいく状況がある そんな環境で従軍する人達とその家族の話だった てなわけで、いきなり死ぬのはキツイなぁとか、そんな所に夫が行ってしまうとか耐えられないのではとか、愛国心のなせるものなのかとか、そんな感想を持ったのでした 主人公がマッチョになったりちょっと痩せたりヒゲ生えたり、変化が面白い あのバーでの一気合戦、いまいちルールが分からんけど、質問するのお互いに2つ3つが限界ではないか…

  • 鑑賞日 2015/3/20

    すごい

    気持ちの移り変わりを上手く表現した作品

  • 鑑賞日 2015/2/28

    クリント・イーストウッドは

    何を言いたかったのだろう!?すごく悩みます。 単純に「戦争はいけない」というメッセージだけではないのでは…ハリウッド的なアメリカ万歳映画では、確実にありませんよね。クリス・カイルの盲目的な愛国心に悲しさとむなしさを感じました。観終わった後に「面白かった~感動した~」と簡単に口にできない重さがありました。 にしても、ブラッドリー・クーパーの変わりようがスゴイ!!!こんな演技が出来る役者さんだったのですね。(ハングオーバーのイメージが強いのでw)

  • 鑑賞日 2015/3/27

    アメリカン・スナイパー

     米軍史上最多の160人を射殺したスナイパーの短い生涯を描いた、イーストウッドの力作だ。「一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。」というチャップリンの言葉を思い出した。  冒頭、戦車を護衛するスナイパーが、建物から出て来た親子を捉えた。黒い民族衣装に全身を包んだ母親は、対戦車手榴弾を衣装の中から取り出し、男の子に渡す。男の子は、それを持って戦車に向かって走り出す。スナイパーが照準を男の子に合わせると、画面が、鹿を撃つ親子に切り替わり、スナイパーの生い立ちから、ネイビー・シールズに志願する動機が描かれる。この手法は、効果的で見事だ。  スナイパーの名はクリスといい、テキサスで、二人兄弟の長男として、マッチョな父親から厳しく育てられる。その結果、彼は、力が全ての乱暴な青年に育ってしまう。そんな彼が、イスラムから祖国を守るために、ネイビー・シールズに志願する。彼は素晴らしい伴侶を得て、1回目のイラクに派遣される。  ここで、再び画面が冒頭のシーンに切り替わり、クリスは、男の子を撃つ。倒れた男の子に母親が駆け寄るが、彼女は男の子を抱き起こすかと思いきや、手榴弾を拾い上げると、戦車に向かって走り出す。クリスは、彼女をも撃ち抜く。こうして、クリスのスナイパーとしての仕事が始まり、彼の戦功が広まりるにつれ、仲間からは、“レジェンド ”と呼ばれ、賞賛される。その一方で、彼は精神を病んで行く。せっかく帰国できても、心ここにあらず。妻の反対を押しきって、戦地に赴く。4回の派遣を経て、ようやく退役の決心をする。精神の病も癒えたかに見えたが、実は治っていないことを妻は見抜いている。我々も、彼の目に狂気がはらんでいることが、見て取れる。戦地で生き残ったのに、平和なアメリカ国内で殺されてしまうという結末が、皮肉な悲劇だ。  アメリカは、ベトナム戦争の過ちをまた、繰り返すのか? 武力以外に、解決方法はないのか? 無音のまま流れるエンドロールに、考えさせられた。

  • 鑑賞日 2015/4/6

    映画館で観てよかった。

    二時間の間、戦場のシーンと内地のシーンを交互に観せられ続ける映画です。結果、戦場と内地を往復する混乱と、体が戦場を求めてしまう感覚を否が応でも追体験させられ、その意味ではしんどい映画でした。しかし裏を返せば、それは暗闇の中のスクリーンを2時間観続けないと体験することのできない体験であって、映画館で観て本当に良かったと思えた作品でした。

  • 鑑賞日

    戦争の狂気

    迫力満点の戦場場面と、戦争の狂気が描かれておりました。ハートロッカーを連想させる内容ですが実話でることから、本作の方が説得力があったか・・・。戦争が人から普通の生活を奪うと言う点で、このような作品が評価されることで、考えさせるものとなれば良いと思う。

  • 鑑賞日 2015/2/8

    アメリカン・スナイパー

    これがテレビの向こうのいわゆる中東情勢。傍観する自分に罪悪感を感じる生々しさ。。 ここまでのリアリティはどうして伝わってくるのだろう。 まずは大々的な戦闘シーンが狭い世界で描かれている印象。手榴弾のデティールや、ヨリすぎて分かんない!パニック!って感じさせる砂嵐、この緊迫感がリアルさを伝えていると思う。 そして、帰還したクリス・カイルに対してずいぶん客観的。。戦闘中はカイルの正義感や、やるせなさや怒りをカイルと同じようにヒシヒシと感じるのに、帰還したカイルを観て「あれ、この人、戦争に取り憑かれて何か様子がおかしい・・・」という感情的に近寄りがたい不穏さを感じさせる。 戦争を間近で見せつけられて完全にアテられて、戦争に行った人にしか分からない苦しみを、「戦争に行った人にしか解らないんだよ」と結論づけて突き放すこの感じ。。そのシビアさがリアル。。? クリント・イーストウッド監督はとっても厳しい人だと思いました。 武器の殺傷能力は日進月歩で高まり、ネットワークは世界をぐんぐん狭め、、、 技術は進歩を早めるばかり、それに反比例して戦争を起こす人間たちの理由はアナログで根源的で解りやすくなってきたのかも知れない。いや、昔は国対国の大義名分で隠されていたけど、今は戦争を起こす単位が必ずしも国っていう単位じゃないからそれが浮き彫りにされただけかも知れない。 アメリカはあくまで国という単位で現代の戦争に臨むけれども。 ラスト、おびただしい人、星条旗に送られて行くカイルの映像がなんだか白々しく感じてしまって、あの呆然感はすごい刻まれました。

  • 鑑賞日 2015/4/2

    少し狂ってるくらいが、戦場ではちょうどいいのか

    鑑賞後に受けた感じとしては、『ハート・ロッカー』の方がインパクトが強かったのだけれど、主人公の心情描写や戦場の臨場感のクオリティとバランスは、やはりイーストウッド監督!という感じでした。 国を守るという使命が、戦う目的と同時に重い十字架になっている。優秀な兵士であるがゆえに自分で自分を追い込んでダメになってしまう矛盾。戦地で人間的にまっとうであることよりも、少し狂っていた方が本人のためなのかもしれない。

  • 鑑賞日 2015/3/12

    重く、せつないイラク戦争の真実

     引き金に指をかけ、標的をとらえたクリス・カイルは呼吸を整える。腕、指先、全身がライフル銃と一体になる。照準器の向こうに若い母親と子供。長い服の下に爆弾らしきものを抱えている。撃つか、見逃すか。  映像だけで、極限の緊張感が体を貫く。実際の戦場で直面したら、とても正常でいられないだろう。米軍史上最多の160人を射殺した伝説の狙撃手。米軍の戦車に向かって一歩を踏み出した瞬間、母親はクリスの「獲物」となった。敵とはいえ倒したのは女性と子供。罪の意識が重く苦くのしかかる。  残像は消えない。市街戦の最中だった。今度は銃撃で倒れた父親の対戦車砲を少年が必死に拾い上げ、米軍の車両を狙おうとする。「拾うな、拾うんじゃない」。少年は重すぎる対戦車砲を持ち上げることができなかった。クリスもぎりぎりで踏みとどまったが、想像を絶する地獄の追体験に息をのむ。照準器を通して、戦争の狂気と人間性の葛藤が、残酷なほどくっきりと浮かび上がる。  帰国したクリスが家に帰ろうとせず、ぽつんとバーの片隅に座っている姿が印象深い。戦争体験を引きずったまま抜け出せなくなったクリス。平穏な生活に居場所が見つからない。心的外傷後ストレス障害(PTSD)。そのひとことで片付けてしまうのはあまりにせつないが、苦悩にゆがむ横顔は、まるで戦争の亡霊にとりつかれているかのようだった。  人間クリス・カイルの実像をクリント・イーストウッド監督は、余分な修飾のないドキュメンタリーのような映像で再現した。クリス・カイルを等身大で再現したブラッドリー・クーパーも素晴らしい。  無音のエンドクレジットが、クリス・カイルと彼が射殺した160人の犠牲者への鎮魂とともに、人はなぜ戦争を繰り返すのかを自問する貴重な時間となった。「伝説」となったイラク戦争の英雄。とんでもない。クリス・カイルも、間違いなく戦争の犠牲者だったと思う。

  • 鑑賞日 2015/3/28

    エンドロール

    エンドロールで音楽が無音、なんかもったいない

  • 鑑賞日 2015/3/21

    イーストウッド監督作品らしい映画だけど、、ジャージーボーイズの方が好き。だけど、反戦映画とも好戦映画とも、両極端の間でここまで騒がれるのは、実話ベースということもあり、いろいろ誤解されているところもあるのだろう。イーストウッドの思想は、敵味方を描いた、「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」を作った監督だと思えば明らかだと思うね。

  • 鑑賞日 2015/2/28

    ドスンと来る

    反米・反戦映画若しくは戦意高揚・シールズプロパガンダ映画の単純な二元論に落とし込まない。それ故、重たかったです。 しかし、クリントイーストウッド映画にハズレ無し。むしろコンスタントに良作を撮るのとほぼ毎回主演俳優を替えながらも彼ら彼女らが悉く名演するのに恐ろしさを感じる。

  • 鑑賞日 2015/3/26

    銃後も描いた戦争映画

    自分が観てきた戦争映画は、大体主人公が一兵士として戦場を転戦しながら戦うなど、一度戦場に行ったら故郷の方生活は言うほど描かれないものが多かったが これは戦場と故郷を同時に描いているという珍しい戦争映画になっている。(だから妻の普通の日常と夫の戦場が電話でリンクするというリアルも見せ付けられる事になる) そのおかげで戦争だけを描いた戦争映画とは異なり 「戦争を行う人間社会そのもの」を包括的に捉えることの出来た名作になったんだと思った。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    戦争の真実

    アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)はイラク戦争に出征した。スナイパーである彼は、仲間を援護するために働いていた。クリス・カイルの自叙伝を実写化。クリント・イーストウッド監督。 戦争は本当にいいことなんてない。戦死する人より帰還者の自殺者の方が多いとのこと。それが全て。 体を作り上げていたブラッドリー・クーパーにはびっくりw(*゜o゜*)w誰かと思いました。とてもシリアスな役を演じきっていて、アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたのも納得。奥さん役シエナ・ミラーもよかった。最近観た、「フォックス・キャッチャー」よりインパクトがあった。黒髪が似合うのかな。 戦争のシーンはほんとうにドキドキし、話の渋さというかシビア加減が「ハート・ロッカー」を彷彿とさせた。

  • 鑑賞日 2015/3/24

    反戦か厭戦か

    戦闘シーンは圧倒的。C.Cは反戦を伝える為、戦場における頑張りが、精神をむしばむ形で表見したであろう。戦争をしてはいけない、人を壊すことは十分に表現されていた。しかし、戦場から離れてのカイルの心情をより詰めて欲しかった。戦場の場面は、「厭戦気分」でいっぱいになった。それにしてもすごい作品。

  • 鑑賞日 2015/3/23

    さすがイーストウッドの手腕というか、スナイパーのバトルなどを真っ当に面白く撮りすぎな所などがあり、反戦と戦意高揚を行き来するため、政治的な危うさを含む映画なことは間違いない。でも全体としてはその揺らぎを許容させるようなバランスになっており、評価は「とても良い」。そしてブラッドリー・クーパーのあの肉体マジかよ。パネェ。

  • 鑑賞日 2015/3/22

    天国と地獄の分水嶺

    もはや巨匠という名が当然のごとくになったC・イーストウッド監督だが、今回もその演出は冴えわたっている。イラク戦争で英雄、レジェンドとなった狙撃主とその家族の物語。戦争という狂気に染められて、嫌々ながらもその狂気が麻薬のように作用してしまい、何度でも戦場に戻っていく。最後には平和な国で普通の生活が出来なくなってしまう人達がいることは知っていたし、戦争のトラウマから逃れられない悲劇を描いた作品はこれまでにも多くある。最近では2008年のアカデミー作品賞を取った「ハートロッカー」もその一つだが、今作のクリス・カイルもある意味戦争という狂気の犠牲者の一人。味方の命を守る為には相手が女子供であっても非情に撃ち殺さなければならない辛さ。おそらく悪夢に魘されることも決して少なくなかっただろう。自らの神経を麻痺でもさせない限り直視することの出来ない悲惨な世界に長く浸かっていれば、精神に破綻を来さない方がおかしいのかもしれない。抜け殻のようになって家に戻ってくるカイルに対し、残された妻子の方も愛情と不安の綯い交ぜになった精神状態に耐えがたくなっていく。このあたりの心の動きの表し方が何とも上手い。 もちろん、戦闘シーンも見事で、ただ単に派手な銃撃戦ということではなく、緊迫感、迫力の盛り上げ方はさすが。ラスト近くの積年のライバルであるイラク側のスーパースナイパーとの対決とそれに続く砂嵐の中での戦闘、退避シーンはその最たるもので、思わず身体に力が入り前のめりになってしまった。トラウマからも解放され、ようやく普通の生活に戻った彼を殺した元軍人の背景、理由は良く分からぬも、任務とはいえ160人もの人命を奪ってしまったことの陰影と償いのようなものもあったように思えてならない。合掌。

  • 鑑賞日 2015/3/22

    眠る

    戦争映画って苦手で。 クリント・イーストウッドはグラントリノ以来、尊敬してるし、評判も良すぎるし、見に行ってきた。 さすが。というか、忘れてた。 この人の映画は戦争をしつこいくらいしっかりと書いているんだよね。 ずーっと先が見えなくて、眠気襲ってきました。 まじねみーと思っていたら終わったの。 この奥さん美人すぎないって思っていたらシエナとは!! 気付かなかったよ。 まじ美人!!!

  • 鑑賞日 2015/3/19

    アメリカという国の狂気

    決して裕福ではなさそうな主人公は、アメリカという怪物に飲み込まれて行く。安部政権下の日本はどうなる❓

  • 鑑賞日 2015/2/27

    誰のために

    カウボーイの純朴純粋な男が戦争で壊れていく様を淡々と、客観的に描く。純粋故の愛国心。仲間のために160人殺し、それでももっと仲間を助けたかったと言う。帰国後も仲間を助け、仲間に殺される。ラストのたくさんの星条旗が悲しくて怒りも覚える。アメリカに殺されたようなものじゃん。相手もアメリカの犠牲者。このタイトルもそういう国の皮肉を象徴しているのかなとも思った。 反戦、愛国、そういう次元のものではない。英雄、悪人、これも違う。そういうことじゃなく、純粋な男の生き様がそこにあった。砂嵐のシーンが最高。エンドロールの無音もイーストウッドに見つめられている気がした。相手側のスナイパーも鏡のように描かれていたのも印象深い。

  • 鑑賞日 2015/2/28

    戦争に身も心もささげた男の生涯

    ネイビー・シールズ(米海軍特殊部隊)のスナイパーとして、イラク戦争に従軍したクリス・カイルの回顧録をクリント・イーストウッドが映画化した作品。今年(2015年)のアカデミー賞にも主演男優賞をはじめ、いくつかノミネートされていたので知っている方も多いかもしれません。本作を観て、僕はイーストウッド監督との相性が微妙だなと痛感しました。「スペース・カウボーイ」や昨年の「ジャージー・ボーイズ」のような傑作と思える作品もあれば、「ミリオンダラー・ベイビー」や「父親たちの星条旗」など、よくできてはいるんだけど作品のテーマとして相容れないところがあると一歩引いてみてしまう作品もあるという感じです。本作は、残念ながら後者かな。すごいと思えるシーンは多々あるのですが、全体を通すと少し一歩引いてみてしまう自分がいるのです。 まず、本作の凄いと思うのは、スナイパーという特殊な職務を忠実に描いているところです。味方の作戦遂行を高所から支援すると同時に、索敵にも近いところが任務としてもあり、危ういと思ったら自らの決断で引き金を引かなければならない。瞬時な判断力とともに、長時間の任務遂行にも耐えられる持久力もいる。特に、排せつの処理も二の次で、スコープをずっと見続けないといけないところなどは地味に大変さをよく描いているところだと思います。 それに中盤にある砂嵐が襲う中での作戦場面などは、まるでゲームのような没入感あふれる映像。この絵づくりに、本作にかけるイーストウッド監督の想いを見ることができます。冒頭から、帰還した後と作戦下の様子が交互にフラッシュバックする形で描かれるのは、時系列としては少し混乱するきらいもなくはないのですが、主人公カイルの心が戦争によってかき乱される形がよく表現されていると思います。 作品としては、クリス・カイルという人物がアメリカにとって、偉大な英雄であると同時に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされていた孤高のヒーローとして描かれています。どうも戦争におけるヒーローという扱いが、個人的にはしっくりとこない部分かなと思います。カイル自身も、映画の中でヒーローとして描かれるよりは、むしろいろいろな苦しみを抱えながら戦争下を乗り越えた一人の男として描かれたかったのではないか。映画のラストシーンとなる当時のドキュメント映像を見ながら、そういう想いに駆られてしまいました。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    生々しい臨場感

    台詞は無いながらも、相手にも守るべき妻や子どもがいるってことを示した何気ない情景描写が秀逸で、敵兵もまたひとりの人間なんだ、ってことを今更ながらに再認識する。また、主人公の悲惨な顛末にやりきれない思いが滲む終幕からは、戦争って結局は敵も味方も自分も家族も傷つける、ってことを改めて実感する。 ただ、戦争がもたらす惨禍の中にもグラデーションはあって、帰るべき平穏な母国がある米兵に比べると、戦場そのものが日常であるイラク人の方がより過酷だと思うし、敵地で戦闘する米国に対して、自国に攻め込まれたイラクの方が国としてより大きなダメージを蒙ったのは明らかだし、大量兵器が無いにもかかわらず、あると偽る米国よりは、自国防衛という観点から戦いの大義はイラクに分があるようにも感じる。 そして、そんなアレヤコレヤを斟酌すると、ブッシュの戦争とも揶揄される利権がらみの殺戮に沸々と怒りが込み上げてくると同時に、米国とイラクは一体全体どちらが野蛮なのかってことをつらつらと考えさせられたりもした。 伝説のスナイパーたる主人公の激しくも儚い人生譚を通して、戦争についての様々な問題を照射し、事の善し悪しを観る者に問いかける名匠C・イーストウッドの懐深い語り口が光る出色の社会派戦争映画だった。 あと、突然どこからともなく弾が飛んでくる戦闘シーンの生々しい臨場感はさすがといったところで、ともすれば淡々としがちなドラマ展開を要所でサスペンスフルに引き締めていた。

  • 鑑賞日 2015/3/16

    心は帰ってこない

    CGの多いハリウッド映画にうんざりの中で実写感(現実のイラクではないが)の強く、迫力のある映画。銃声の臨場感にカイルでなくても血圧は上がる。死や負傷しないと国に戻れなく、何度も戦場に戻ってしまう「愛国心依存症」の人間は米国には多いのでは?やはり戦争は悪である。エンドクレジットが終始無音であることは、雑誌などで知っていたが、「銃の音やドリルのいやな音から一度心を落ち着かせて帰ってください」とのメッセージだったかも。

  • 鑑賞日 2015/3/3

    静寂が意味するもの

    クリントイーストウッドは、まだまだ挑戦し続けている。ドキュメンタリーを見ている様なアングルもあり、緊迫感が凄い。なんで、こんなことが起こっているんだと思ってしまう。エンドロールの無音が、より現実味を帯び、スナイパーが感じた静寂を体感しているようだった。

  • 鑑賞日 2015/3/15

    エンディングロール

    無音のエンディングロールが延々と続く。この時間はとっても 大きなインパクトがあった。

  • 鑑賞日 2015/3/13

    戦争が日常の世界と、それがテレビで映し出される世界の対比

     アメリカ映画。イラク戦争で味方からは伝説の狙撃手と英雄視され、イラクの武装勢力からはラマディの悪魔と恐れられたクリス・カイルの半生を描いた映画。カウボーイを夢見ていたクリスは、アメリカ大使館爆破事件や9.11から愛国心が噴出し軍を志願する。入隊受付でシールズを薦められ入隊するが、シールズの訓練は過酷だった。それに耐えイラクに派兵されると、射撃の精度の良さからクリスは狙撃手となり多くのゲリラを射殺した。仲間からは伝説ともてはやされ、敵からは悪魔と称され賞金もかけられた。アルカイダ掃討作戦の中、敵の狙撃手によってしばしば被害を被っていたが、この狙撃手もありえない距離から射殺した。しかし、故郷の自宅で待つ妻は常に死と隣り合わせのクリスを不安な思いで待っていた。家族の思いに気付いたクリスは除隊を決めたが、心の整理はなかなかつくものではなかった。そういう自分の体験をもとに、困っている帰還兵の相談に乗ったりするようになったが、ある日一人の精神を病んだ帰還兵によって射殺されてしまう。  戦争の狂気と言えはそれまで。戦場では、仲間を殺させないという思いだけでいっぱいになったクリスの心に、家族をおもいやる余裕はなかった。帰還後にはそれを思い出すが、シールズとしての使命感や戦場での高揚感が忘れられずイラクに舞い戻ってしまう。イーストウッドの描くカイルは、いつも迷っていたけど戦場での迷いは命取りではないのか。あの迷いは映像ではかなりの時間をとっていたけど本来はもっと瞬間的な時間だったのだろうか。あの戦争がキリスト教徒イスラム教の決定的な分かれ道になってしまった感があるけど、最前線の当事者にとってみればどんな戦争でも同じ。生きるか死ぬかだし仲間を見捨てても生き残るか、仲間とともに死を覚悟するかという究極に近い選択だって迫られただろう。そんな時間を過ごしてしまうと、帰還後の平和な生活にうまく戻れない人間が沢山いておかしくない。クリスは短期間で復活できたように描かれていたが、そう単純に解決する問題ではないでしょうね。最近の戦争映画は暗に平和を訴えるものが多い中、イーストウッドのこの映画は、そういったことには一切触れず、戦争が日常の世界と、戦争がテレビで映し出される世界との対比に終始していたように思われました。結局何を言いたかったのだろう。退役軍人に対するケアが貧弱であることを訴えていたのかなあ。

  • 鑑賞日 2015/3/15

    病めるアメリカと言ったところだ。

    戦争映画、いや派兵映画としては、ズシリとする作品。そこに、夫婦愛、家族愛、仲間への思い、国家に対しての忠誠心、更に4回の戦地派兵で心が蝕まれていくのが盛り込まれている。私は、戦争に関わった人は、全て被害者で、人類から戦争が無くなる事を強くアピールしている点に感銘を受けた。クリスは、肉体的より精神的に不安定となっていく姿は、現実のアメリカを表現しているだろうナ。正直言って、戦争しない日本人として生まれてきた事を幸せと感じました。

  • 鑑賞日 2015/3/14

    衝撃的な導入部の後、主人公の少年時代から慌てることなく、じっくりと描く。 「人間には三種類ある。羊と狼と番犬だ」という父親のセリフ、人よりも遅いシールズへの入隊。 描かれているのは主人公の「平凡さ」である。 そして怒濤の戦場シーン。子供にも容赦ない凄惨な殺害。 ライバル的な敵スナイパーとの死闘もあり、エンターテイメント性も申し分ない。 砂嵐の中での敵陣突破はすごい迫力。

  • 鑑賞日 2015/3/13

    ディア・ハンターから40年近く経ってるのにそこからさらに後退している印象を受けた。クリス・カイルは子供を撃つことに葛藤を覚えるが、イラクの兵士を殺すことに良心の呵責を抱いておらず、彼らからすれば自分のほうが悪であるという善悪の相対的な面を直視していない。 クリスがなぜ愛国心に目覚めたのかがわからない。愛国心というものはいつの間にか芽生えるものであるとしても、彼がなぜそこまでしてアメリカを守りたいという強迫観念に支配されているのかがわからず、しかも監督の方はその不気味さに気づかずにクリスと同じ立場で愛国心を捉えてしまっているがゆえにちぐはぐな作品になってしまっている。 あそこまでターゲットの姿が視認できない照準の映像は観たことがなかったので新鮮だった。

  • 鑑賞日 2015/3/13

    「神、国家、家族の為に土人を殺す!何が悪い?」

    退役した狙撃兵クリス・カイルが自宅のリビングのソファーに座ってテレビを観ている。切れ目ない銃声が聞こえる。カメラはクリスの後ろにまわりこむ。テレビには何も映ってはいない。銃声は彼の頭の中に鳴り響いていたのだ。 音と映像がクリスの精神状態を見事に描き出す。 ストーリーを要約すると戦争の英雄の悲劇という戦意高揚映画に見えるが、終わってみると暴力によって人間の精神が滅ぼされていく様子が克明に描かれている。戦争とは子供と母を射殺する事で、戦友が跳弾で失明する事で、少年がドリルで頭に穴を開けられることで、右手を残して手足を吹き飛ばされる事で、バーベキューパーティーで、いつの間にか犬を殴り殺そうとしている自分を発見する事だ。 映画監督は晩年になるとストーリーの整合性より自分が観たい画面を並べた様な作品を撮る事が多い。クロサワもフェリーニもミヤザキも夢を具体化した様な作品を残した。 しかし今年85歳のイーストウッド監督は常に分かりやすく具体的だ。彼を育んだ50年代のハリウッドの西部劇のように。何ら幻想的な映像を使わずに具体的描写によって心の中を描き出す。 アカデミー賞では音響編集賞のみの受賞。愛国的な戦争の英雄が精神を病んでいくという非愛国的映画なので保守的な白人男性が7割を占めるアカデミー会員のお気に召さなかったのだろうか?

  • 鑑賞日 2015/3/4

    戦争映画の傑作だと思うが・・・

    映画としての完成度は高く、イーストウッド監督が言うように「家族の映画」になっていると思う。子供を撃つか撃たないかのシーンが二度あるが、最初から最後まで緊迫感があり、「ハート・ロッカー」('08)や「ゼロ・ダーク・サーティ」('12)に続く戦争映画の傑作だと思う。しかし、「アメリカが始めたこの戦争は、何のための戦争なのか?」という点がどうしてもひっかかってしまう。映画を観終わって、中東情勢等の現実を考えるとともに、アメリカ映画には「硫黄島の砂」('49)等戦争を題材にした「戦争映画」というひとつのジャンヌがあり、この映画はその一本であるということも認識した。

  • 鑑賞日 2015/3/10

    無音のエンドロールは黙祷

     「ミスティック・リバー」(2003)あたりから、ほぼ1年1作毎年のようにキネ旬ベストテン常連の傑作映画を作り出しているクリント・イーストウッドも、本作を撮った時にはなんと84歳になっていたそうだ。なのにこの作品も例外ではなく、尋常でないほどクオリティが高い。冒頭から「子どもの抱えているのは爆弾か? ほんとうに子どもを狙撃することができるのか?」という息を飲むような場面で観客の目を釘付けにし、戦争に魅入られたような主人公クリス・カイルの度重なる戦いを、緊迫した画面の連続でストレートに描き切っていた。各方面から、八十過ぎのじいさんが撮れる映画ではない、と驚嘆の声が上がっているのも不思議ではない。「モテキ」の大根仁監督などは、きっと「クリント・イーストウッド工房」といったものがあるに違いない(TV Bros.誌)とまで語っている。そうだよなあ。古くは運慶工房(慶派工房)とか、エミール・ガレ工房とかもあったしなあ。でももしそうだとしたら、彼の死後でも「クリント・イーストウッド監督作品」が、確実に毎年1作、延々と観ることができるということになったりして、それはそれで映画ファンとしては幸せと言えるかも知れないけれどね。 アメリカは常に戦時中であり、犬扱いの歩兵の戦闘シーンや後遺症で精神を病む話など、つくづく戦争はいやだなあ、と思わせる。しかしそれだけではなく、スナイパー同士のスリリングな戦いなど、映画としての面白さもちゃんと盛り込んでいることも見事と言うほかない。それにしても、それをポップコーンを食べながら気楽に観ている日本人ってなんなのだろう。とにかく戦争よりも、やっぱり平和がいいよね、ってことだけは確かだけど。 無音のエンドロールは、クリス・カイルおよび数多の戦死者に対する黙祷の意味だったのだろうが、ぞろぞろと途中退席した観客には、監督のメッセージが伝わらなかったのだろうか。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    もとに戻らない心

    体のキズは癒えても心の傷はもとには戻らない。あとはどう 自分と付き合っていけるか。同じ傷を持つ帰還兵を助け、 新しい道を進み始めた彼が、その元兵士に撃たれてその一生 を終えるとはなんと皮肉なことか。残された家族のその空虚 感はいったい誰が埋められるのか。

  • 鑑賞日 2015/3/11

    レジェンド

     八四歳にしてなお、かくも完成度の高い映画を短期間で創り続けるクリント。映画のスナイパーは三九歳で非業の死を遂げるが、クリントは今後も永遠に名作を世に届け続けるのではないかと思えるほどの、まさにレジェンドだ。  アメリカは、なぜ戦争をし続けるのか。政治や経済の側面から、いろいろな理由をあげることはできるだろう。しかし、戦場の兵士を支配している感情は、「やられたらやり返せ」「仲間の仇を討て」である。この映画の戦闘も、同じような感情に操られ果てしなくエスカレートして行く。七〇年前の第二次世界大戦を描いた名作「史上最大の作戦」や近作「フューリー」でも、結局は、恨みを晴らしたいという思いが兵士を駆り立てたことが描かれる。満州事変に始まる日中戦争でも、抵抗する中国兵に殺された仲間の仇を討つために、日本陸軍は残虐な行為に走るのだ。  この映画の初めの方で、教会のシーンがある。スナイパー・クリスは、平均的なアメリカの家庭で、子供のころから父親にキリスト教の考え方を叩き込まれた。か弱い羊を襲う狼を懲らしめる番犬になれと。伝説のスナイパーとなったクリスは、出陣の時いつも胸に新約聖書をおさめていた。同僚は「胸の聖書は弾除けか?」と聞くが、クリスは何も答えない。  映画の後半で、攻撃がエスカレートするきっかけは、クリスの部隊の仲間が撃たれたことであり、そこでも「目には目を」という旧約聖書の言葉が語られる。子供を撃つことをためらうクリスは、七〇年間戦争をしていない私たち日本人と同じ心を持っている。しかし、それでも敵であることが明確になれば、迷わず狙撃する。番犬として仲間を救うことは神の思し召しだと信じているからだ。本当は赦されることではないと知っているのに。  彼らは、神と国家と家族のために、戦う。その信仰がある限り、戦争をやめないだろう。私たちは、神と国家と家族のために、永遠に戦争を放棄する日本人であり続けたい。

  • 鑑賞日 2015/3/5

    イーストウッドは若い頃は人を撃ってきたが、今では観客の心を打つ。

    スナイパー映画の緊張感は計り知れない。 銃撃すら予想も出来ない対象者、スコープ内の音なしの標的を見つめるスナイパー、そして展開を読めない観客。 本作では少年を撃つ場面が2回繰り返される。その緊張感は空前絶後のもの。 引き金と狙撃手、演ずるブラッドリー・クーパーと息が同調する重苦しさ。そして結果までもが登場人物と同調する。 この結果の違った二つの場面だけでも、秀作の誉れを受けるに値するであろう。 「ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場」などでは保守的な気質のイーストウッドを良く表している。 「硫黄島からの手紙」では国を守る、家族を守るという点において、栗林中将にシンパシーをおくる。 スピルバーグとは、心理の闇の部分で解釈が異なる。明と暗の両極のセンサーが違う。 キューブリックはあくまでも戦争の狂気を突きつめたが、イーストウッドは戦争の「罪と罰」を描く。 PTSDに悩む兵士でも、身体の一部を失った帰還兵にも、距離を置いた描写が続く。あくまでも実相を追う姿勢だ。 確固たる結論を出さないのがイーストウッド流で、キューブリックやコッポラとは作家性が異なるのだろう。 ともかくヘビー級の貫録で、これからも様々に論議され、語られていく重要な作品となった。

  • 鑑賞日

    顔面に受けた傷には報復しなければならない。作中人物のこのシンプルな行動原理において、クリント・イーストウッドは「アメリカ」とは何かを思考してきたのであり、本作が関をむかえるのもまた、主人公の戦友が顔に銃撃を負ったときである。「ミスティック・リバー」でもイラク戦争への応答を暗示していたが、ここまでストレートに描かせたのは、やはり実在人物の存在ゆえだろうか。無音のエンドロールは喪の時間である。それはこの米国の狙撃手への、そしてイラクで逝った人びとへの。

  • 鑑賞日

    イーストウッドは現代アメリカの光と影を切り取る監督だ。題材のイラク戦争が一段と身近になった日本でも大ヒットするだろう。「神、国家、家族」のためにスナイパーとして戦った伝説のヒーローが、映画の準備中に戦争の後遺症で精神を病んだ青年に射殺されたこともあって、主人公に感情移入した作品だ。最後のタイトル部分も哀悼の意を表するサイレントになっている。敵対する元オリンピック選手の狙撃手や暗殺者の心の闇はイーストウッドにあらためて映画化してもらいたい。

  • 鑑賞日

    製作にも参加するブラッドリー・クーパーの映画。登場した瞬間から、そのよく知る面影は消え、完全に、主人公「クリス・カイル」であることに息を呑む。試写で隣席した米人が中盤から嗚咽していたが、彼らにとって著名人であるクリスの、不慮の死後すぐの映画化は、否応なしに参加者全員の士気を高めたことを肌に感じる志の高い戦争&家族映画。行けば地獄、帰れば別世界。そんな見知らぬ国への戦争遠征のなくなる日を早く獲得せねば。戦場にさせられる国の為にも。現代人必見の一作。

  • 鑑賞日 2015/3/9

    「救う」話

    よく、この主人公は英雄か、はたまた犯罪者かみたいな宣伝を見かけるし実際それで論争が起こっているらしいのだけれども、この映画は主人公を英雄とも悪者とも描いていないように思った。あくまでひとりの人間。初めて射殺したのが女子供であったことに苦しみ、仲間の死に怒り、日常に戻ってもPTSDになってしまいささいな音でビビってしまう。 これは英雄とか犯罪者とか、イラクを悪者に描くとかそういう意図は全くなく、一人の人間が戦争で変わってしまう物語だと思う。そういった一人の兵士の悲劇的な物語なら今までも「ランボー」等で取り扱われているが、この映画はこの一人の男の人生に「神」という要素を取り入れる。 彼は精神科医に対して、「自分が人を殺したことに負い目はないが、もっと多くの仲間を救ってやれなかったのが心残りだ」と語る。そんな彼がイラク戦争で足を失うなどといった障害を持つ男たちと触れ合うことで心を取り戻していく。なんで家族のもとに帰らないんだと聞かれても、助けあわなくちゃいけないからとだけ答える。彼は「救う」という意識によって「救われていた」のだと思う。聖書を常に持ち歩いているがそれを開くことはないことから、彼は「フューリー」に出てくるバイブルみたいに、神が救ってくださっているといった意識はないのだろう。むしろ自分が神様であるかのような感覚を持っているように思った。そう思わなければやっていけなかっただろうし、そう思わなければ彼の弟のように病んでいく一方だったのだろう。 しかし、彼は結局神にはなれなかったのだ。彼は同じように病んでしまった人間を救うことができず、殺されてしまう。「救いを求めるもの」を「救おう」としたが「救えなかった」という「救われない」物語。彼は神様でもなんでもないというラストは、この人物を否定はしないが、神格化しないというイーストウッドの強い意識の表れのように思う。 思えばここ最近のイーストウッドは「英雄の裏側」という物語を常に撮り続けているように思う。「父親たちの星条旗」、「J・エドガー」、「ジャージー・ボーイス」…かつて栄光を手にした者たちの、英雄的でない部分を常にピックアップして映画を作っている。彼が俳優引退を宣言した「グラン・トリノ」は、かつてガンマンとして映画の中で英雄視された自らの否定(戦争で人を殺したのを悔いている、…)が盛り込まれていったのだと思うし、特に現在進行形で英雄扱いされている男をこのように描写するのには必然性があったように思う。共和党信者だがイラク戦争には反対という立場のイーストウッドが撮った、一兵士を英雄扱いしてはならないというメッセージ。日本はどうだろう。 この映画は「ハート・ロッカー」と話が似ている。アカデミー賞を受賞した「ハート・ロッカー」は「戦争自体は否定するが、そこで頑張っている人は肯定する」という物語だったが、そこからさらにこういった視点でイラク戦争を見つめる映画が出てきたのは非常に興味深いと思う。 最後に…この映画もアカデミー賞の音響編集賞を受賞したが、戦地の描写はもちろん、彼が日常のささいな音に驚いてしまうのも音響によってうまく描写されていて面白かった!

  • 鑑賞日 2015/3/7

    戦争の狂気はベトナム戦争の頃と何も変わってはいない

    クリント・イーストウッド監督が84歳で挑んだ本作は、興行的には監督史上かつてない大ヒットとなった。3月8日までで全米興行収入3億3720万9000ドル(3月8日現在)は、イーストウッド監督作品最大ヒットとなったことはもとより、2014年公開作品の中で年間全米興行収入1位となってしまった。また全米を含む世界興行収入は5億ドルの大台を突破。さらに戦争映画としては「プライベート・ライアン」の記録を17年ぶりに塗り替え、歴代最高となった。公開3週目となる日本でも、3月8日までで観客動員数114万757人、興行収入14億5878万6900円の大ヒットだ。 ……この世界中の大ヒットぶりはいったい何に起因するのだろうか。一方で勇敢なアメリカンヒーローを痛快に描きながら、一方でその狂気にむしばまれていく肉体と精神と家庭を描いていく。どちらに重きを置くでもなく、乾いたタッチでごく当たり前の日常を記すがごとく綴られる。アメリカ映画が戦争がもたらす人間崩壊をテーマにするとき、そのスタンスはもしかするとアメリカンニュ―シネマのころから何一つ変わっていないのかもしれない。「強いアメリカ、強いアメリカ人」はもはや幻想であることを誰もが知りながら、今もいつまでも夢を見る。それでいながら、実在した、そしてつい最近の英雄であったクリス・カイルの実話をベースに、イーストウッドがこんな映画を作り上げることこそがアメリカという国の奥深さ、底力なのか。なんだか作品の感想というよりも、戦争とアメリカとそこにいる人間を考えさせられた映画だった。

  • 鑑賞日 2015/3/9

    イーストウッド最高傑作!

    俳優・監督、全てのイーストウッド作品の最高傑作である。 本作品は他の映画関係者に対し、CGに頼るな!映画はこう演じ、こう撮って、こう編集し、この完成度を持って観衆に見せるんだ!と語っている、いや語って来る迫力がある。 特にカメラワークは特筆した物があり、戦場の兵士の目線の如く、見下ろしたり見上げたり、傾斜を付けて物であったり。 やはりロケと優れたセット、プラス製作サイドの作品に対する熱意、これこそが見る者の心に残ると改めて思った。 年齢的に後が無いイーストウッド、1本でも多くの作品を残して貰いたい。

  • 鑑賞日 2015/3/4

    シエナ・ミラーとブラッドリー・クーパー

    ◎ 『フォックスキャッチャー』を観たとき、イーストウッドの映画みたいだという感想を持った。この『アメリカン・スナイパー』も『フォックスキャッチャー』も実際にあったことに基づいている。どちらの映画も静かだ。また、ラストに殺される男の妻の役を、どちらもシエナ・ミラーが演じている。好演だ。『アメリカン・スナイパー』の方がずっと出番が多い。『フォックスキャッチャー』では典型的な良妻賢母。『アメリカン・スナイパー』では、さらに色っぽさも付け加えている。2本とも男くささの強い映画だが、紅一点として好感度が高い演技を見せている。 ◎ ブラッドリー・クーパーは、つい最近飛行機の中で観た『世界にひとつのプレイブック』でも主演していたが、とても同一人物に見えない。『……プレイブック』に続いて観ていて、観終わる前に羽田に着陸してしまった『バレンタインデー』でも、飛行機の乗客役を演じていた。この2作品の中の彼と比べると、クーパーが実在したクリス・カイルになりきるために、いかに肉体を改造したかが分かる。

  • 鑑賞日 2015/3/7

    愛国と反戦と

    米国でも主要紙や各界の著名人による評価が分かれ、それによってさらに大変なことになっていますが、「愛国=右的立位置」「反戦=左的立位置」のような単純なものではないのでは?とクリント・イーストウッド監督が、静かにエンドロールで再度訴えている気がして、感慨深く涙が止まらなかった。何度も見返すと思う、この映画は。過激でオーバーな愛のシーンとしての、性描写もないので子供(中学生以降か)と一緒に観られるかもしれないが、人が死んでいく悲惨なシーンは、ライフルのスコープの向こうで確実に起こっているので、刺激も強く注意が必要。でも子供たちにも知って欲しい、この現実を。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    揺らぐ、星条旗

    狼から羊を守る番犬の物語に正解はない。もはや何が正義なのか分からない。この映画に分かりやすいメッセージ性はない。 いっそ分かりやすい反戦・厭戦映画だったら、分かりやすい娯楽・英雄映画だったら、どんなに楽だろう。 「星条旗を描き続ける作家」クリント・イーストウッド。 この映画は星条旗=アメリカが揺らぐ物語なのではないかと思う。

  • 鑑賞日 2015/3/7

    よくできた

    よくできた戦争映画。映画のことをよく知った人が作ってるなあと感じさせる。あっという間に、2時間あまりの時間が過ぎてしまった。でも、内容は悲しさしか残さない。

  • 鑑賞日 2015/3/6

    クリント・イーストウッドが監督というのを知らずに見に行っていた。いきなり彼の名前が出て、何となく雰囲気がイメージされた。観客は平日ということもありそれほど多くはなかったが、シネコンでエンドロール最終まで半数以上が席を立たなかったのは久しぶり。

  • 鑑賞日 2015/3/6

    んー期待しすぎちゃつたかな?!

    前評判が良かっただけにハートロッカーに似てたけど話が飛び飛びで繋がってない!なぜ志願制の国で身重の妻もいる高齢の彼が好き好んで入隊したのか?どんな状況でなぜ殺害されたのかもう少し細かな突っ込みも描いて欲しかった!!!!

  • 鑑賞日 2015/2/28

    9.11の悲劇を見て、国のために立ち上がったカウボーイが、射撃の腕前で英雄になったという、実話のサクセスストーリーで、戦場での極限の緊張感がリアルに写し出されますが、映画から伝わってきたのは、戦争によって精神が蝕まれていく兵士の姿や、子供の頃から銃の扱いを学び生活に密着しているアメリカの姿でしたねぇ。全ての人が犠牲者に見えました。

  • 鑑賞日 2015/3/5

    白人から見たら。

    白人から見たら、有色人種は蛮族で虫けらのように殺しても何とも 思わないのだろう。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    圧倒的な戦場、現実体験。 衝撃の結末と無音演出にあなたは何を思うか。

     良い戦争映画って  心底戦争が嫌だなと思う映画だと思うのですが、 (エンターテイメントの戦争映画も良いと思いますが。)  本作はまさに心底戦争が嫌だなと思う映画でした。  究極の反戦映画なのではないかと思った!  戦争映画として100点!  戦争イヤ!という理由が、殺し合うとか  そういうレベルの話ではなくて、  生きて帰ってきても、  まして英雄として帰ってきても  ダメなんだ…。  じゃあもうどうなってもダメじゃん…。  だから戦争は絶対駄目だ…。  という風に自分は思いました。  むしろ英雄となる過程でより多く活躍=人を殺したから  余計に苦しむ事になるのかもしれない。  と改めて考えさせられ…。  戦争の犠牲者は戦場で亡くなった人だけじゃない。  クリス・カイル自らもイラクへ行くにつれてPTSDが酷くなり、  除隊後は自らも苦しむPTSDを支援する活動を行う。  だがその活動を行ったばっかりに…。  異様に高い血圧、病院で怒鳴る、音に過剰反応、  犬を殺しそうになる、  テレビでイラク戦争を見てるのかと思いきや、  テレビ消えてる…という悪化していくPTSD演出が良い!  ただアメリカではアメリカンスナイパーに対して、  イラク戦争を賛美する映画だ!という批判と  クリス・カイルという英雄を賛美する声  両方に別れているみたいですが、  どっちにも見えない。 (町山さんの前情報が無くてもそう観れた筈!)  戦争という究極の異常状態がもたらすPTSDの話なのに   そう捉えているアメリカ人がほとんどという事は  人は自分が都合の良いように物事を見てしまうという  ことが表れていると感じる。  クリント・イーストウッド(御年84歳)凄い!  この前に撮ったのがキネマ旬報ベストワンと高評価の  ジャージー・ボーイズというのがまた凄い!  このイーストウッドの振り幅!!  硫黄島からの手紙、父親たちの星条旗も観たい。  1,9キロ先の標的を射抜いたとは文字面的には  知っていたのですが、映像で見るとこれがどれだけ  凄い狙撃だということかがよく分かる。  スナイパーライフルの規格狙撃距離?を超えてて、  少なくとも映画内ではスナイパーライフルの照準に  敵の姿は見えない。ほぼ見えない点を狙撃という描写。  このスナイパーライフル描写も素晴らしかった。  キャプテン・フィリップスの同時狙撃、  ローン・サバイバーのスコープのピントが合うと…演出と、  最近見た映画の狙撃描写はどれも素晴らしい!  狙撃後のラストの砂嵐アクションシーンがまた凄かった。  演出で一カ所気になったのは予告でもある冒頭の  母親が子どもに対戦車手榴弾を渡すシーン。  あんな場所で渡すか?家の中で渡さないか?  しかも映画だと米軍の前線部隊から見える位置で  手榴弾を渡してるように見えるので  ここはあんまり上手くないのでは?と思った。  前線部隊からは見えないけど、  スナイパーからは見えるところで手榴弾を渡してて、  そこを狙撃する描写の方が良くないかなー。  戦争の狂気に取り憑かれつつ家族を愛する主人公の  光と影を演じたブラッドリー・クーパーも素晴らしかった。  一回目のイラク遠征から帰ってきてからの  ブラッドリー・クーパーの体つき、特に胸板の厚さの  説得力も素晴らしいし、クリス・カイルに顔が似てる。  自ら映画化権を買って映画を制作しただけあって気合十分。  アカデミー賞主演男優賞受賞してたとしても納得するレベル!  ポスター、パンフレットのアートワークが超カッコいい!  今年ベストアートワークの予感!  パンフレットは中身も超充実してるのでオススメ!  特報も予告も素晴らしい!  今年ベスト予告の予感。  やっぱりIMAX2Dで見たおかげで  映画への没入度が高いです。  一緒に見た一人は吐きそうになりながら  これは目を背けてはいけないと頑張って見た結果、  放心状態で帰りの道中、一点を見つめたまま  一言も喋らず帰りました。しばらく引きずったようです。  完全にイラクの戦場とそこで起こる現実を体感していた。  人のトラウマ映画を目撃した瞬間でした。  衝撃の結末とその後の無音演出に  あなたは何を思うか…。  イーストウッドは言う 「人を殺すってのは地獄さ。」 「戦争を美しく語るものを信用するな。  彼らは決まって戦場にいなかったものなのだから。」と…。 コピー  米軍史上最多、160人を射殺した、  ひとりの優しい父親。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    守ること、の果て

    テキサス生まれの壮健な肉体と精神を持ったシンプルな男が、“守ること”をつきつめていった、その果て。 彼らほどシンプルでない者たちが作り上げた世界で、シンプルな男たちは“愛する者を守る男らしさ”に染め上げられ、疲弊していく。 ラスト、沿道に星条旗がなびく実際の葬儀の映像と、無音のエンドロールの対比が見事。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    終わらない戦争

    この映画を観て、イラク戦争を肯定しているとか、狙撃手を英雄視しているなどの批判が一部であるようだが、実情はその真逆だろう。 確かに、本作の主人公クリス・カイルは、愛国心の名のもとに、戦場で市民を射殺していく。 しかし、自身も家族を持ち、母国と戦場を往復していくうちに、狙撃という行為に対して感覚が麻痺していくのではなく、苦悩が大きくなっていくことを見ても、彼が戦争の犠牲者に他ならないことがわかる。 また、イーストウッドは、米側の視点だけではなく、戦場で暮らす市民をも映し、なおかつ、敵側の狙撃手すら描写するのを忘れない。 敵側の狙撃手ムスタファは、まさしくカイルの鏡に映った姿である。 敵味方、善と悪、そんな二元論では到底測れない、戦争の闇がここには描かれている。 戦場から帰っても、カイルの地獄は終わらない。 PTSDに悩まされ、葛藤する彼は、母国にいてなお、未だ戦場にいるのだ。 そしてそれは、戦場に赴いた兵士すべてに言えることなのだろう。 『アメリカン・スナイパー』は、伝説の狙撃手と呼ばれた一人の兵士の姿を借りて、戦争の愚かさを痛烈に描いている。

  • 鑑賞日 2015/3/4

    仲間が殺され、その敵を討つ。戦争に参加してる者は当然のことをしてるのかもしれない。家に帰ってきても何も感じられない。平和に気ままな生活を送ってる人々を見て「人は自分のことしか考えていない」そう思うのも当然かもしれない。 人によったら、戦争の中に熱い志を感じることもあるのではないか。

  • 鑑賞日 2015/3/4

    イラク戦争で160人を殺した伝説の狙撃手を描いた伝記映画。イラク戦争を舞台とし、戦地から戻った兵士が再び戦場に戻るという点では『ハート・ロッカー』に共通する部分はあるけれど、映画のテーマはかなり異なる。本作は『ハート・ロッカー』のようにイラク戦争を仕掛けたアメリカ政府への批判は無い。あくまでもクリス・カイルという人物の物語として描くのみだ。語られるのは彼の人生が戦争によってどう翻弄されたか、人間は戦争という異常な状況でどのような影響を受けるのか、ということだ。それを戦争に対するアンチとして受け取るのかどうかは見た者に委ねられる。イーストウッドは常にそうした判断を見る者に突き付けてくる。クリス・カイルの人生は唐突に終焉を迎える。この映画もしかり。無音のままのエンドロールは、あまりにも重い余韻。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    よい

    カット尻が余韻残さずばしっばしっ。聞いてる顔のアップで次のシーンとかなし。好感。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    ラク戦争の勇敢な英雄としての姿。こういう愛国者がいるからこそ我々は生きていけるのだというある種の高揚感。 PTSD に苛まれる一人の男、日常に溶け込めないダメな父親としての姿。戦争の不毛さと徒労感。 そんな映像が交互に絡み合い繰り返されるからグラグラくる。 けど、重要な存在であるはずの赤ちゃんが明らかに人形で冷めるんだよなあ。 とはいえエンドロールにかけてのある種の突き放し方に呆然。砂嵐の中の戦闘シーンは白眉だし、ブラッドリー・クーパーの抑えた演技、屈強な肉体も素晴らしい。 好きな映画でした。 近年の傑作、『ローン・サバイバー』『ゼロ・ダーク・サーティ』ほどじゃないというのは同意だなあ。主人公がああなったので、この話を今どうしてもと一気に作ったであろうイーストウッド御大には尊敬しかないが。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    それほど響かず

    残念ながら、私にはそれほど響きませんでした。 戦闘シーンが長すぎて途中で疲れてしまった、というのが正直なところ。 人間ドラマ部分の描写も、思っていたより淡白だったのが拍子抜けしました。 国民感情のある米でなら理解できますが、この話が日本でも評価が高いというのはちょっと不思議。 粗暴者だった若者時代や、弟の存在をあえて描いているのも意図が判りません。 (後へと繋がるエピソードも特にありませんでしたし) もともと戦争映画は好きなジャンルではないこともあり、単に理解できていないだけかも知れません。 シエナ・ミラーを久々にスクリーンで観られたのは良かった。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    娯楽としての映画

    スナイパー対決が好きです。実在の人物を題材にしながらも、娯楽としての映画を忘れていない作品でした。

  • 鑑賞日 2015/3/2

    良かった

    かなり期待して見に行ったが期待通りよかった、ブラッドリークーパーがクリスカイルを熱演しており体重増量により見た目もそっくりに仕上がってた。 戦場後の苦悩なども感じ取れるし戦場のシーンも手に汗握る展開が多々あったしイラク戦争を全面的に肯定してないとこにも好感が持てた。 最後の葬式のシーンが実際の映像を使用している点も見逃せない。

  • 鑑賞日 2015/3/2

    奇しくも“完成”された映画

    クリス・カイルは企画立ち上げ当初、まだ存命だったという。しかし制作半ばで殺されて(事故?)しまったわけだが、不謹慎にも、この映画はその死で以て完成したのだと感じてしまう。 エンドロールを完全無音にしたのは、イーストウッド監督の英断といえよう。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    クリント・イーストウッド監督が描いた現代の

    クリント・イーストウッド監督が描いた現代の戦い、イラク戦争を描いた作品。 米海軍特殊部隊ネイビーシールズの一員で伝説の史上最強の狙撃手と呼ばれた実在の人物クリス・カイルの回顧録が原作だが、イーストウッドは、戦争とはいかに空しい負の連鎖なのか、また人の人生を大きく変えてしまうということを強調している。 いつもながら、イーストウッド監督のストーリーテラーの巧さを感じた作品となっている。そして、原作にほれ込み、プロデュースもした主演のブラッドリー・クーパーの成り切り度と熱演が凄い。インテリ青年風のクーパーが大幅に増量し、見事海兵隊員の体つきになっていたのには驚いた。 2時間13分の尺の中で、まずクリス・カイルの生い立ち、海軍に入るまでをテンポ良く描き、スナイパーとなる彼の資質、テキサス人としての彼の人間性を浮き立たせる。 そして、厳しい訓練のもと、ネイビーシールズの一員となり、家庭も持つが、9.11テロにより、戦いの場、最前線のイラクへと従軍する。 ここからは、戦場の場面となる。現在の地上戦がいかに過酷で、精神的に極限の状態の中で展開されていくのかが、とてもリアルである。都合クリスは4度派兵されるのだが、仲間との過酷な戦場と故郷での家族との生活のエピソードを交互に描いて行くことで、彼が次第に精神のバランスを崩していく様をまるでライブ感覚のように傍観することとなる。 これだけで最後まで続くと観客は疲れてしまい、しんどくなってしまう。 そこはさすがイーストウッドである。悲惨な戦場の中で、元オリンピックメダリストのイラクの射撃手という好敵手との戦いを挿入することで、ドラマチックにし、フィクション性を高めている。1000メートルの標的を射抜く、ライバルとの手に汗握る攻防は、まるで西部劇のようで、本エピソードが異質のようにも感じるが、私はこの話が入ったことで映画としての虚構性が感じられ、全体としてはバランスが良くなったと感じている。 ネイビーシールズを扱った同じ実録映画マーク・ウォルバーグの「サバイバー」は生還で終わるが、本作の場合、妻や子との暮らしを再生するために、除隊し家族のもとに戻った彼にハッピーに終われなかった現実があったことが、作品をより重く、深いものにしている感じがする。 従軍経験のあるアメリカの若者たち、その家族たちがいかに心に大きな痛手を負っているのか、現代アメリカの持つ病巣を強く表わしている。 サイレントで流れる、真黒な地でのクレジットは、イーストウッドの全米に捧げる鎮魂歌なのだろう。

  • 鑑賞日

    This is the end, My only friend, the end・・・♪

    ♪This is the end, Beautiful friend This is the end, My only friend, the end・・・♪ イーストウッド作品は毎回積極的に見に行こうとは思わない。 巧みな攻撃、完璧な守備、華麗なパスワークだけど終わってみたら 0対0のサッカーの試合を見たような気分になるからだ。 だが、今回は少し違った。 プレイヤー(主人公)が逝ってしまったからだ。 意図せずプレイヤーは神格化され、プレイヤー側のチームは勝利したかのような錯覚に陥る。作品はあくまでも0対0のサスペンデッドゲームなのに。 自分の記憶の中では主人公が逝ってしまうのは、監督・主演作品でいうと『センチメンタル・アドベンチャー』『グラン・トリノ』 だけのような気がする。 この国の原罪やPTSDの蔓延の事実だけを放り投げて、 あからさまな糾弾をしないのは嫌いではないし、 『ミスティック・リバー』のような反旗(半旗ではなく)の象徴として の国旗の出し方などはむしろ好みの演出である。 しかし本作単体でみると、明らかな主張をしない0対0は図らずとも一方の勝利という誤解を招く。 ましてや渦中のテロリストの顔写真なんか出すと、確信犯的戦争肯定派に利用されてしまっては、ダーティ・リバタリアンの44マグナムでも解決できない。 最後にちょっと待った、そうはさせまいと、無言のエンドロールや、 鎮魂曲としてはニニ・ロッソのトランペット1本の方が効果的ではあるが、あえてそうはしないでモリコーネのオーケストラ版で震える心を沈静させたりとか、ラストを文字だけの表現にした所で、もう抑えられはしないだろう。 「イーストウッドさんこの状況をどう考えているの?」 「わざとだよ、わざと、戦略大作戦だよ make my day」 「しっつれいしました!」 ♪じーーすいずじーえーーんd♪

  • 鑑賞日 2015/2/27

    最大の敵は心の中にあり

    4度にわたってイラク戦争に加わり、160人の「敵」を射殺した伝説の狙撃兵クリス・カイルの実話に基いた作品だが、ストーリーそのものは極めて単純で、天才的狙撃手が次々と敵を倒し、イラク人は野蛮人だとみなし彼らの立場は一顧だにしない前半の、高慢な考えに立った行動に共感を覚えることは難しい。 戦争肯定とも見て取れるシーンを多く取り入れ、アメリカ国内でヒーローとされた人物を貶める描写をする事に、おそらくためらいのあったイーストウッドは、クリスが自分の不安を隠して危険な任務に自分の判断で従事するシーンを何度か見せ、帰国してからも心の中に傷を抱え、悩んでいる姿を通して反戦の意図を透けて見せている事も見逃せない。 その意味からこの映画の主題は、後半のクリスの抱えたPTSDにあると思われ、彼が屋外パーティで飼犬に凶暴性を表わし、人格破壊したかと思わせるシーンも見せるなどするが、実話モデルの作品の限界で、どうしても扱いは抑制され、前半の「イラク=悪」の部分が強調された印象になってしまい、インディアンを倒す騎兵隊が活躍する西部劇の流れを感じてしまい、イーストウッド監督の狙いとは異なった結果になってしまったのではないかと思ってしまう。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    事実を知らなかったのでラストは衝撃

    戦場では”伝説の”スナイパー。敵に懸賞金をかけられるほどの腕を持つ。 国に帰れば愛する妻と子どもがいるのに、こころは戦場に置いてきたまま、どこかぼんやりとしている。戦場と日常でうまく切り替えができず、本人が気づかないうちに心が蝕まれていく様は妙にリアルで背筋がヒンヤリする。誰が始めた戦争か、何が悪か。敵方の元選手だったスナイパーにも小さな子どもがいるあたり、悪とはなにかと考えてしまう。 誰かのためになりたい、という気持ちで闘い続けた彼に共鳴する。 砂嵐のシーンは圧巻。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    “正義”に対する問いかけは多くの戦争映画と較べてもとりわけて緊迫感を持って投げかけられる。リアルな家庭とリアルな戦場の乖離があまりにも痛々しい。「遠く離れた戦地」は果たして日本ではどうイメージされているのか、ふと考える。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    継承される「魂」は、戦争を止められない

    イーストウッドの演出力に改めて脱帽。戦争アクションとしても、家族ドラマとしても超一級品。それでいて国家と個人、さらには善と悪といった相反する二項から適度なバランスを取って物語を進める語り口が実にスマート。だが、今回はエレガントで老獪な演出というよりは、驚くほどに若々しい。 主人公の狙撃手は幼い頃から父親に、恐ろしいものから逃げ出す「羊」ではなく、暴力をふるう「狼」ではなく、弱きものを守り助ける「番犬」になるよう教育された。そして、そんな生き方を貫くために戦場に赴き、幼き息子にも魂を伝える。この世代間で継承されていく「大義」はイーストウッド映画で繰り返し描かれてきた重要なテーマだ。だが、そんな考えを継承していけば、永遠に戦争に終わりは来ない。身近な家族こそ守るべき存在なのではないかという視点も入れ込む。ここがイーストウッドの進化だ。 主人公もそんな「大義」に縛られているのがよく分かる。PDSDである自分の中にセットされている「時限爆弾」がいつ爆発するか分からないことを自覚しているからこそ、帰国して真っ先に会いたいはずの家族のもとには行かず、ひとり泣きながらバーで酒を飲む。なんと切ない場面なのだろうか。帰国した日常の生活でPDSD症状が発生してしまう描写も身に迫ってくる。 戦場の描写も本当にスリリングで見事。たとえ女や子供でも、アメリカ軍に危害を加える危険分子の可能性があれば、その芽を摘み取るために引き金を引かないといけない。人間としての倫理観と危険性を瞬時に判断し任務を遂行しなければならない葛藤がオープニングからいきなり身に迫ってくるその他にも家宅捜索をして大量の武器が出現する場面、敵陣の中を砂嵐にまぎれて命からがら逃げだす場面など、アクション映画としての見せ場のつるべ打ち。エンターテインメント作品としても面白い。それでいて主人公と相手の狙撃手を対比して描くことで、同じ境遇にいる個と個に焦点を絞って描いたことも大正解。このあたりのバランス感覚は「硫黄島の手紙」「父親たちの星条旗」を撮ったイーストウッドならではである。 エンドロールの無音が引き立てる虚無感。せっかくこれから家族水入らず幸せに過ごせるはずだったのに。それでいて同志たちを戦場で守れなかった贖罪の最中にその出来事が起こったことが哀しい。これを愛国者の英雄伝として批判している人間が信じられない。これは間違いなく素晴らしい反戦映画だ。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    重たい映画だ

    結局のところ戦争は悲劇しかもたらさない。そう感じさせる,ひたすら重たい映画。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    またもや予想通りの傑作。イーストウッド作品に過不足はない。戦争の不条理と緊迫、兵士の葛藤と家族の不安が必要にして十分なセリフとシーンで見事に描かれる。クリスを見送る最後のタヤの表情と無音のエンドロールが喪失感と虚しさを増幅する。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    PTSDになるまでが焦点

    二時間という長尺から、戦争で心を病んだ英雄がそれを乗り越えるまでの物語と予想していたが、PTSDを自覚してから治るまでに割かれる時間は最後のほんの一部だった。大部分は重苦しい戦闘と作戦の行く末でなりたっている。現在と過去の見せ方が巧みで飽きることもなく、二時間は長く感じなかった。国のために仲間を守るために戦っていると主人公は繰り返すが、戦争の中でどんな選択をしても殺されなければならなかった何人ものイラク人も、決して悪としては描かれていない。特に惨たらしく殺されていく子どもたちの姿は、絶対的な正義などないことを強く訴えてきた。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    「ディア・ハンター」「ハートロッカー」そして

    国を守るため特殊部隊ネイビー・シールズに入った男が、イラク戦争で狙撃兵となって活躍、やがてアルカイダの幹部の側近を追う命令が下される…。 実在の人物の話だ。戦場の迫力、緊張、恐怖、厳しさに圧倒される。 圧倒は冒頭から迫ってくる。狙撃兵が構える銃のスコープに映ったのは、イラク人の子供とその母親。手にしているのは対戦車用の爆弾だ。非情な選択に迫られたところで、画面は一転、狙撃兵の過去を語る。育ち、志願の動機、派遣された由来などがわかってくる。そして画面は冒頭の続きへ。彼は非情な決断を下す…下さざるをえなくて、下す。 この冒頭部分が作品を語っている。非情にならざるを得ない戦争という現実と、そうしなければならない人間の心との葛藤だ。淡々と任務をこなしていく裏には、心の痛みがある。除隊後はPTSDに悩まされるほどだ。 戦場に行った兵士の心の痛みが語られる作品として僕が思い浮かべるのは、「ディア・ハンター」と「ハートロッカー」だ。いずれも戦場での体験が兵士の心に重くのしかかり、その人生に大きく影響してしまうという話だった。名目は何であれ、国家のとった戦争という行動が、個人の、それも若者の人生の色々な可能性を奪い取ってしまう。 この作品も同じ系列で僕の心に残るだろう。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    クリス・カイルの壮絶な半生

    あらすじは以下の通り。 米海軍特殊部隊ネイビー・シールズに入隊し、イラク戦争に狙撃手として派遣されたクリス。その任務は“どんなに過酷な状況でも仲間を必ず守ること”。狙撃精度の高さで多くの仲間を救ったクリスは “レジェンド”の異名を轟かせるまでになる。しかし、敵の間にもその腕前が知れ渡り、“悪魔”と恐れられるようになった彼の首には18万ドルの賞金が掛けられ、彼自身が標的となってしまう。一方、家族はクリスの無事を願い続けていた。家族との平穏な生活と、想像を絶する極限状況の戦地。愛する家族を国に残し、終わりのない戦争は幾度となく彼を戦場に向かわせる。過酷なイラク遠征は4度。度重なる戦地への遠征は、クリスの心を序々に蝕んでゆく……。 クリス・カイルがなぜ軍隊に入ることにしたのかなどクリス・カイルの半生を描いている。 クリスがイラクでした壮絶な経験が彼を変えてしまったが、本国に戻り家族と接する事で元の彼の姿に戻った矢先のラスト。 想像してなかっただけにやるせない。同じ退役軍人の仲間を救おうとしただけなのに。 クリスの苦悩を中心に描いた映画かと思いきや戦闘シーンが7割ぐらいあったのは意外だった。 妻が「戦争は人を変える」と言ったけどあれだけの経験をして人生観が変わらない人はいないだろう。 特定の思想を押し付けているわけではないが戦争は何も生み出さない事が伝わる良作。 無音のエンドロール中に「戦争」や「生死」と向き合うことができる。

  • 鑑賞日 2015/3/1

    兵士の心的被害

    クリス・カイルの人生ドラマです。彼が生まれて育った環境と、彼が兵士として志願する経緯がこのこまかく描かれてます。劇的な表現を極力抑えて、現実をただただ突きつける。前作『ジャージーボーイズ』とはうって変わって、戦争と戦争で被害を受ける兵士たちの精神世界を見事に示しました。さすがですね。クリント・イーストウッド。 兵士が埋葬されるシーンは『父親たちの星条旗』がかぶりますが、映画全体は『硫黄島からの手紙』に近いかもしれませんね。 音楽を極力排して、最後のテロップも音楽なし。ミヒャエル・ハネケの方式ですね。完全なる黙祷を観客に求めてますね。 戦争で国を守るという目的が、どんどんヒーローになって伝説になる。そして、敵軍のスナイパー、それは五輪選手の腕前ですが、このムスタファという男を射殺するところがひとつのクライマックスです。彼はミッションを超えて、仲間を殺した相手のスナイパーを射殺します。戦争という目的が、いつの間にか個人の恨みが先立つことになる。この恐怖。 戦争で心を病んだクリスは、祖国に帰ってもなかなか戦争から抜け出せない。そこに911のテロが起こる。この時のアメリカ人の心境が絶妙に描かれてます。うまいです。 最後に、退役軍人のために力を尽くすクリスですが、同じ病の人に殺される。これは字幕で説明されるだけなんですが、妻がドア越しに笑顔で見送るシーンが胸をかきむしります。 4度も戦争に赴いてなお、祖国で戦争が染みついている。この現実が映画の中心にある。戦うことは自らを傷つけること。戦争は何も生み出さない。そんな無常感を感じさせる映画でした。

  • 鑑賞日 2015/2/28

    戦争において真に英雄は存在し得るのか

    「一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。」と言ったのはチャップリンだ。果たして戦争において、真に英雄は存在し得るのか?本作はそれを問いかけている。愛国心のため、四度も戦地に赴いた名うての狙撃兵は、その功績から英雄視される。だが、無事に帰還した彼は、PTSDに苛まれることになる。傷ついた彼とその家族にとって、英雄の称号は如何なる意味があるのか。イーストウッドは、戦争の不条理さや無慈悲さを、静かだが鮮烈に問いかける。無音のエンド・ロールは、観客に熟慮する時間を与えるためのものか。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    羊、狼、番犬

    作中に羊、狼、番犬の例え話が出てくる。純粋無垢で弱い羊、欲望のままに力をふるって羊を傷つける狼、そんな狼から羊を守る為に力を行使する番犬。主人公は親から番犬であれと言われて以来その教えをずっと守り続けた。 しかし戦場で主人公が対峙した相手は狼だけではない。敵側のスナイパーは米国にとっては狼かもしれないが敵側にとっては番犬である。それを明確にする為に彼にも主人公と同じように奥さんと子どもがいる事が描かれていた。 また本来守るべき対象である筈の羊に対して力を行使しなければいけない時もあった。予告でも使われている女性と子どもが爆薬を持って米軍に近づく場面である。彼らは本来羊である筈の存在だ。しかし番犬である主人公は彼らを撃つ。彼は自分達に危害を加える可能性のあるもの全てを狼とする事を迷わない。迷えば仲間が死ぬし、何より戦い続ける事が出来ないからだ。 考えない主人公と違って私達観客は嫌でも羊と狼と番犬の違いの曖昧さ、守る為に殺す事の是非、何よりもそんな風に考える事を禁じられ人を殺すしかない戦争という状態の愚かさについて嫌でも考えさせられてしまう。 最近教師がイスラム国の写真や動画を授業で見せた行為が問題になったが、行為の是非はともかくそうした事が世界で起こっているという事実を認識して考える事は必要なはずだ。 今作は淡々と進んでいく。顔をしかめたくなるシーンでも過剰な演出はない。また殊更に誰かをヒーローや悪役にしたりせず、愛する女性と結婚して子どもが出来たり、仲間と下品なジョークで笑いあったりする姿と同じ比率で戦場と死を描いている。 本物ではなく作りものの映画であれば描かれる死も嘘だと割り切って観る事が出来るし、今作は特定の考えを押し付けられる事も無い。「戦争」や「死と生」を真剣に考える機会はそうないはずだ。主人公の人間ドラマを楽しむと共にそうした事を考えてみて欲しい。その為に無音のエンドロールが用意されているのだから。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    アメリカン・スナイパー

    アメリカ海軍最強のスナイパーとして米国で愛されながらも一夫として男としては輝ける場と自身との葛藤の場がはっきり分かれており壮絶な人生を送ってきたクリス・カイル。そんな彼を巨匠クリント・イーストウッド監督が描いている。イーストウッドが過去に実在の人物を基にした「J・エドガー」や「ヒアアフター」とは一味違う。一味どころではないかもしれないが、イーストウッドが描くカイル像は彼自身の人生で学んできた監督業の礎がとこせましとつまっている感じがする。予告でもあった少年とカイルとの間合いのシーンを見ていても、勿論カイルを演じたブラッドリー・クーパーの演技、表情どれをとっても戦場での緊迫感に圧倒されっぱなしだが演出や撮り方に注目するとより高揚感が高まってくる。カイルと少年の表情を交互にカット替わりさせるタイミングとそれぞれの表情の捉え方。子供の戦闘員とのこういったやり取りは本編内でいくつかあるがカイルの表情のアップの描き方は監督の真骨頂だと誰もが感じるだろう。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    メッセージの受け取り方と背景がそもそも違う。日本人にはわからない部分もある

    思ったより戦闘シーンが多くて少しびっくり。予告だとスナイパー父さんの苦悩にスポット当てられてたけど、ここの比率が戦闘7:日常3くらいなのが少し悩みの種。 周りの同僚は心のバランスが崩れてイラクへ行きたくなくなる。だが自身は愛国心から敵の蛮人を殺害することを生き甲斐のようにも思えるわけだが…。 正直、主人公の心変りが全く伝わらなかったんだなぁ~。そこに至るまでの日常パートが少し淡白で、最前線で戦うことによる心の変化(攻撃的になる)は描かれてても、自身の考え・苦悩といった内面は描かれてない気がする。 そして戦闘パートの多さが更に主人公の強さの証明になってしまって、予告の売り文句には結びつかなかった。 テーマもいいし、演出もいい。展開やアクションも緊迫感も水準を大きく超えている。ただ、イーストウッド爺の映画はどうにも淡白に見える。 これに関しては史実だから感動話や過剰な演出は避けるべき映画なのでなんの問題もないが。映画として見ると何かが足りないようにみえてしょうがない。 アメリカで大ヒットなのは、こういう部分が無くても、イラク戦争の捉え方。国民の根底に『愛国心』といった物があってある程度ストーリーで語る必要がないからなのかもな。 そもそも戦争をテーマにした映画のメッセージを受け取る周波数って、自国が体験したか否かで全然違うもんだしね。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    事前情報でPTSDものと聞いていて、重い内容を想像していたが、そちらのほうはやや薄めで敵のスナイパーと対決するといった娯楽性にほうが勝っていたように思える。ただ「羊・狼・番犬」を引き合いに出したオープニングや、エンディングの描き方などを観ると度重なる戦地への派遣による後遺症や家族の苦悩といったものを狙っていたのではと考えられる。 そういえばこれと同じように今年のアカデミー賞作品賞ノミネートされた「フォックス・キャッチャー」も「愛国」がキーワードの一つだったかと思うが、描かれ方は全然違う。見比べてみるのも面白い。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    アメリカではこの作品が戦争賛美であるとか、アメリカ至上主義的であるなどとしてオバマ大統領夫人も巻き込んで論争になっているらしい。一体どんな見方をしたらそんな真逆なメッセージを受け取るのだろうか。私が思うにこの作品は、いま、再び世界の緊張感が高まっていく中で神がアメリカに示した啓示だ。 伝説のスナイパーを決して英雄ではなく、むしろ戦場に囚われた哀れな男として描いているイーストウッドの懐の深さに只々感心するしかない。 イーストウッド作品はいつも控えめでいながらも強烈なメッセージを叩きつけてくる。決して過度な装飾や宣伝で作品をひけらかしたりしない。本作もそれに違わず。いわゆる保守派として知られるイーストウッドのアメリカに対する強烈な警告だ。 この作品ではオスカーは獲れない。いや、イーストウッドは多分獲れないことを分かっていてこの作品を作ったはずだ。なぜなら今のアメリカにはこの作品に賞を与えるほどの希望もないのだから。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    真の英雄

    どれほど戦い続けても得る事が出来ない達成感。史上最高と呼ばれるような戦果を挙げたのにも関わらず、どうしても後ろめたさを拭えないでいる。クリス(ブラッドリー・クーパー)も永遠に戦えない事は分かっている。それでも収まりきれない感情の奔流になす術がない。 彼はありがちな酒やドラッグに溺れるような現実逃避の道を選ばず、苦しい心情を抱えながらボランティア活動に従事していた事に感銘を受ける。結果として、それが災いを呼ぶ事になったが、その真摯な戦いこそ、真の英雄と呼ぶに相応しいと感じ入る。

  • 鑑賞日

    期待値はMAX

    話題が大きかったので期待値が上がっていたのか、若干物足りなく感じた。 プライベート・ライアンと地獄の黙示録を足して2で割った感覚。 全体的にまとまりすぎなのか、淡白に感じてしまいマイナス。 ガツンと来る程の衝撃は無かった。 ブラッドリー・クーパーは素晴らしい! ラストシーンの演出は◎。

  • 鑑賞日 2015/2/27

    that's the best movie taking up war I've ever seen.

    I wasn't expecting that the movie was so excited or shocked me. As you know, I was totally wrong. That was ridiculous expectation. This one is.I think,the best war movie.it didn't focus on just Iraq war but particular person.That is the reason for the best. One's background,mind,words,attitude,breath and so on gave me into it.the movie doesn't tell what the war is or what the Iraq war was.However,in my opinion,the movie is telling us that how we could be,caused of the war. About two hours though,they were giving us nerves,fatigues,sweating,thoughts and impression. Almost in full time of the movie, I had to handle with these feelings with excitement.So after the movie finished, you might gonna get exhausted. Also ending credit was fresh to me. it gave me lingering on messages of the movie. Anyway,back down to general talking, MUST SEE MOVIE OF THE YEAR! !

  • 鑑賞日 2015/2/21

    家族を愛する男

    一人の伝説のスナイパーを通じて、戦争について描いている。 事実でありながら、クリスや奥さんを通じて、戦争の非情さや心の葛藤がよく伝わってきました。 「もし、人を撃つことになったら?」というタヤの問いに「任務を遂行するだけ」と答えるクリス。 しかし、最初の標的は少年でした。 多くのアメリカ兵を救ったが、これが戦争なのかと痛感させられた場面でした。 数多くの敵を殺して、数多くの味方を救って伝説に祭り上げられたクリスでしたが、そのこと自体に違和感を感じていたと思われる。 クリスの戦いは相手を殺すことではなく、味方を守ることだから。 また、戦地に行った兵士の残された家族。 彼等もまた、戦争の犠牲者だと思います。 戦地にいる夫との電話の最中に襲われる。 電話の向こうから聞こえてくるのは銃声だけ。 この不安さは、当人にしかわからない。 心の傷を負うのは、クリスやその家族だけではなく、戦地に行った全ての人達だと思います。 クリント・イーストウッドは、なんでこう人の心の奥に静かに訴えかけるのが上手いのでしょうか。 家族を愛するごく普通の男を通じて、戦争と心の傷と戦う姿に心揺さぶられました。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    緊張が心臓に悪かった ラストの実録映像と無音のエンドロールで涙が溢れてきた 最後までエンドロールを観て余韻に浸って欲しい(というかすぐには体を動かせなかった)

  • 鑑賞日 2015/2/25

    戦争とは

    悲惨な物ですね。結局は同じPTSDの仲間に撃たれるという最後。原作も読みました。スナイパーの関係所を少し読んだりしました。原作は結構長く、心が壊れていく様がもっと書かれていたように思います。しかし、脚本もよかったように思います。最後には本人達の写真が出てきて、さらにエンドロールが無声で過ぎて行くが何かを暗示しているようで映画の内容をいろいろ考えるのにはいい時間となりました。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    エンドロールは問いかけ

    クリント・イーストウッド監督流の静かな語り口が その積み重ねが エンドロールにズシンと沁みてきます。 反戦映画なのか、英雄を描いたのかは 無音になるエンドロールで 観賞者の私達が判断するものなのでしょう。 イーストウッド監督の投げかけですね。 160人以上を倒した伝説のスナイパーと言われた男 3・11や大使館爆破テロで 軍隊を志望する「愛国者」です。 「私が祖国を守る」 「あなたが今守るのは家族でしょう。気付いて!」 子供が誕生した妻が男に何度も投げかけます。 仲間が敵のスナイパーに殺される。 復讐が復讐を生む。 家族より復讐の、怒りの感情でつき動く そして殺害を重ねて行くうちに破壊されていく精神。。。 正攻法を積み重ねる監督の手法・・・そこになぜあれほどの緊迫感があるのか。 引退して良き家庭人にやっと戻れた男は 同じ帰還兵の精神的な苦しみに寄り添おうと 病院の集まりに行くのだが 伝説のスナイパーという肩書がやがて 男を悲運に導く。 映画は芝居です。 映画で感じて現実の世界を省みて 目を背けるわけではなく平和をイメージする。 戦場が精神を蝕む異常の世界である事が充分伝わります。 あなたはこの映画を観て彼の人生をどう捉えますか? 投げかけに答えをっしっかり持ちたいです。 記憶に残る映画です。

  • 鑑賞日 2015/2/25

     これは、クリント・イーストウッド監督の新作。  戦果として公認されただけでも160人以上を撃ち斃した“伝説野郎”ことクリス・カイルの自伝小説「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」を元にした映画です。  この映画、公開前からオバマ大統領夫人まで巻き込んだ大論争を呼び起こし、アメリカでは「プライベート・ライアン」越える大ヒットとなって、アメリカ戦争映画史上最高の興行成績を上げたそうです。  「世界には無力な羊と、羊を襲う狼と、羊を守る番犬がいる。お前は何になる?」と父親に問われ、テキサス育ちの少年クリスの心は決まった。  成人し、弟と共にロデオカウボーイとして米西部を転戦するようになったクリスだが、大使館爆破事件をきっかけにアメリカを守るためネイビー・シールズに志願。厳しい訓練の中、射撃センスを認められて狙撃手となる。  訓練の合間に出会った女性タヤと愛し合い、やがて結婚するが、皮肉にも結婚式の日に部隊のイラク派遣が決まり戦場に送られて……  アメリカでは、この映画を「好戦的」とか「アメリカ軍を正当化し、戦争を美化している」と言うリベラル派の批判がある一方で、保守派は保守派で、「愛国的」と好評価をしており、リベラル派と保守派で論争となっているそうですが、映画を観ると、論点がいささかおかしいのではないか、と思います。  クリント・イーストウッドの映画キャリアを見れば、彼が脳天気に「アメリカ万歳」を謳い上げる事などないのは判る事でしょう。  少なくともこれは、アメリカを讃える映画ではありませんし、クリント・イーストウッドはクリス・カイルを決して手放しに英雄として描きません。反戦ではなくとも、厭戦と言うのがこの映画の持つスタンスではないでしょうか?  勿論、強靱な肉体と気高いスピリットを備えたクリスは英雄となる資質を持つ人物なのですが、これは、そんな彼が砂漠の戦場で彼の思い描く英雄像を破壊されていく様を描くものなのです。  イラク戦争の初陣で彼が射殺したのは年端もいかない少年と、息子を殺されて一矢報いようとしたその母親です。  敵役として現れるイラク過激派の“虐殺者”と呼ばれる男が、カイルらの目前で見せしめとして米軍協力者の息子をドリルでなぶり殺すシーンがありますが、実はクリスもやってる事は変わりません。そうして事態は相対化され、クリスと、そして観客に疑問を投げかけるのです。  果たしてクリスは思い描く番犬になり得たのか、いや、他人の土地に乗り込んで女子供まで殺すと言うのは、それこそ狼の仕業ではないのか、と……  ただ、これを「好戦的」との見方が出来てしまうのは、皮肉にもこれまたクリント・イーストウッド監督ならではのサービス精神。  原作では出て来ない、イラク側の元オリンピック選手と言うスゴ腕狙撃手を登場させ、クリスとの対決ムードを高めていくのです。クライマックスの戦闘など、見方によっては西部劇ばりの“決闘”であり、こうした部分が批判されるのは頷ける所です。  クリスを演じるのはブラッドリー・クーパー。  本作の製作をも務めるブラッドリー・クーパーは、増量して体格までクリスに近付けると言う徹底した役作りにより、クリス・カイル本人(エンドロールに本人の写真が出ます)と見紛うばかりの風貌を備えるに至り、それは、遺族に涙さえさせるものだったとか。  そしてこの映画、製作中に起きたクリスの死により、正に運命的な完成度を持つに至ります。  あたかもベートーヴェンの交響曲「英雄」が、その栄光だけでなく死と葬送が必要としたように、この映画も、戦場から戻ったクリスを描き、その死と葬送までを描く事で、正に神がかり的な完成度を得ました。  これは、クリント・イーストウッド監督の描く「英雄」であり、そして、それはアメリカ人の思い描く英雄がアメリカそのものによって破壊され、死に至るまでを描くものなのです。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    「我等の生涯の最良の年」の現代版という見方

    クリント・イーストウッドがイラク戦争で実在した伝説のスナイパーの生き様を描いた作品で、911をきっかけに父親から習った射撃の腕前を活かして国の為に働こうとシールズに志願してイラクに出征するけど、民間人にしか見えない女子供もテロを仕掛けるので、アメリカ兵を護るためにそのような人達も射殺していかなくてはならなくなる戦場の現実に苦しみながらも、ひたすら国の為兵士の為という大義を貫こうとして、新婚間もない家庭も犠牲になる、という中で、敵側にいる元オリンピック選手のスナイパーを倒すことを目標にしてがむしゃらになるけど、目的を遂げた頃にはもはや以前の彼では無くなっていた、と自分も周りも分かっている現実に愕然とする、というお話しは、イラク戦争の現実をリアルに描きながらも、戦争後遺症を描いた「我等の生涯の最良の年」の現代版という見方もできると思いましたね。イーストウッドの節度があって切れ味もシャープな場面転換は相変わらず見事で見応えがありましたね。

  • 鑑賞日 2015/2/25

    C・イーストウッドの得意不得意

    どうしても何よりもまずクリント・イーストウッドが監督というところから入ってしまったので、この映画で彼が『描けるもの』、『描けないもの』が見えた気がした。 『描けるもの』は父親と息子の関係。これは言うまでもない。イーストウッドの十八番である。まだ10歳にもなっていない息子に父親のことをSirとか言わしちゃったり、ハンティングで獲物を仕留めて喜んで銃を地面に置いた息子に『銃を地面に置くな』とか言っちゃうあたりにニヤリ。また、ロデオで優勝して獲得したバックルを女にあれの最中に見せるんだとか出てくるテキサス男が大体カウボーイハット被ってたりだとか、南部の男を描かせたらそれはそれは男らしい。そうなのである。イーストウッドは男らしい映画を撮るのである。 だから、私が思った『描けないもの』はその男らしさによって失われたものである。きっとスティーブン・スピルバーグやキャスリン・ビグローだったらもっと描けた戦争の悲哀さがあるはずだ。 真正面からの戦争映画としてはいいのだろうが、足りないものもあると私は思う。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    ラスト5分からエンドロール、こらえてないと号泣しそうでした。ただ、できればエンドロール最後まで音を入れててほしかったです(ToT)→それが、無音なのは黙祷の意なのではないかという意見もあり、確かにとも思いました。

  • 鑑賞日 2015/2/25

    レジェンドが指し示す方向

     レジェンドとは“伝説となる英雄”の意味のほかに、地図などに付いてる北を指し示す方位マークの事をレジェンドと言うのだそうだ。皆が進んで行く方向を指し示すという意味合いがあるのだろう。そんな事を考えながら映画を見てると、成るほど主人公はスナイパーとして方角、距離、座標などを確認しながら戦っている。戦争というより緻密な仕事をしているという感が強い。それは見ていて格好いいし、戦力的過程を見る、知る事の面白さがある。でも、主人公にはどこか共感できないのだ。仲間の命を守るためとはいえ、逆に160人も殺してレジェンドに成る事は、アメリカ国家にとっては目指す方角には違いないのだろうが、力だけで報復の連鎖を断つ事が出来るのだろうかと疑念を持っている人々には、映画はプロパガンダ的な絵空事の様に思える。人は本当は誰も死んでいない作り物のように見えるのだ。戦争をテロを否定しようとしている人々は多い。少なくても私一人ではないと思うのだ。だからであろうか、スナイパーを英雄視する姿勢を信じることはできない。  主人公に共感出来るか、出来ないかでこの映画の評価が分かれるところであろう。職人的ともいえる技でレジェンドと呼ばれるスナイパーは、国に帰ればよき家族の父親であり普通のアメリカ市民だ。何故、そんな彼が戦場を選んだのか、遠因はいくつかある。子供の頃に教えられた父親の影響。鹿狩りでの体験。成長してから見た、ニューヨークでの同時多発テロ。そしてアメリカは主人公はテロとの戦いに入った。    アメリカが語るようにテロには屈せず、彼等は高い代償を払うだろう的な事だけで、平和が作れるのだろうか、私はそれだけでは足りないと思うのだ。映画の中で描かれているアメリカの視線は正しいのは自分だ。そんな立場では好戦的とも見える。映画の中では仲間の負傷や死亡。精神を病んでしまった兵士を描き反戦的な側面もある。特に主人公は戦場帰りの元兵士に殺されてしまったのはショッキングであった。 この映画の表現にはもちろん二面性があるのだ。過去の作品にはテンビン計りのように、両者を計りの上に乗せ等分に描く事が多かったイーストウッド監督には珍しくウェイトはアメリカ寄りだ。アメリカの良心はどこへ行ったのか、少々がっかり。しかしイーストウッド監督は観客に考えさそうとしているだけかもしれない。平和を考える良いテキストにはなっていると思う。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    事実と、作品としての狭間で。

    観ているときはあーこのどんぱち、もういいやーと思ってしまいましたが、あとからじわじわきてます。戦争そのものがよくない、と言ってしまえばそれまでなのですが、160人殺したことが国をあげての伝説、英雄となる。そして彼も、仲間と国を守るということでそのような自分を作り上げ、心が常に戦地にあったわけだから、なんというか、自分が戦争とともにあったわけだよね。なんだか複雑。善悪とかわからなくなる。冒頭の彼の幼少時、父、弟の存在のところだけもう一度観たい。確認したい。そのあたり後半薄かったけど、ちょっと確かめたかった。クリント・イーストウッド監督の作品はどこまでもアメリカで、一般的なアメリカ万歳映画っていうのはもちろん大嫌いなのですが、監督の作品にはなにかひとひねりを求めて鑑賞しています。でも今回のは好みとしては…微妙です。

  • 鑑賞日 2015/2/25

    ”伝説”のスナイパー

    凄まじい。シアター内が緊張感で包まれてた。「まるでクリスの生き写し」なブラッドリー・クーパーの演技が素晴らしすぎて、彼の一つ一つのストレスがピリピリと伝わってきて震えた。

  • 鑑賞日

    『荒野の用心棒』のイラク戦争実録版

     原題""American Sniper""で、クリス・カイル同名の自伝が原作。  イラク戦争に4回度従軍した狙撃手の話で、アルカイダのザルカーウィーを追って160人の敵を射殺する。信条はテロリストからアメリカを守るためで、実際多くの米兵が彼によって守られ、命を救われたことを感謝する。しかし妻子を家に置き去りにし、女子供を容赦なく狙撃することで心が蝕まれ、退役を決めて妻子との生活を取り戻した矢先に、PTSDを患う元海兵隊員に殺されてしまう。  クリント・イーストウッドはかつてのベトナム帰還兵同様に、イラク戦争の帰還兵の心の闇を淡々と描いていき、見終わると重くて深い悲しみが残る。  イーストウッドの演出は職人技を見せていて、冒頭の戦車のキャタピラが瓦礫の中を進むシーンから観客を一気にイラクの戦場に引き込む。その臨場感のあるカメラワークが上手い。  アルカイダの民兵を狙撃するシーンは息苦しくなるほどで、その卓越したカットと編集のワザに思わず固唾を飲む。敵のスナイパー、ムスタファとの息詰まる対決や砂嵐の中での銃撃戦は、第一級のサスペンスになっていて、これが実際の戦争でなければ『ダーティ・ハリー』や『荒野の用心棒』並みのアクション・エンタテイメントといいたいところ。  カイルとムスタファのチェイスはガンマン同士の対決に置き換えられ、イーストウッドが俳優として初期の娯楽作で培った経験は、この実録物の演出の随所に生きている。イラク戦争のシリアスな映画であるにもかかわらず、徹頭徹尾、サスペンス映画のような息をのむ展開で見せ切る。  そしてこれがエンタテイメントではなく、一人の男の悲しい実話なのだということを思い出させるために、戦争の悲劇と鎮魂の思いをエンディングロールに表す。本作のエンディングは音楽なしの無音で、黙祷を捧げるように黒地に白抜きのロールが静かに流れる。  イラク戦争の実話でなければ、これほどよくできたエンタテイメントはない。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    視野と角度と距離

    番犬、鹿、猟銃、ロデオ、バックル、パンフレット、浜辺の数珠繋ぎ、放水、リタイアの鐘、寝小便、電話、妊婦の腹、幾つものドアと窓、ドリル、赤い肘、ペルシャ絨毯、鎖、懸賞金広告、表彰台写真、新生児室、全盲、ドローン俯瞰、砂嵐、受像器、無音。建物外壁の角、屋上周縁の角。息詰まる装甲車内のジョーク。ガイコツ風の絵、“Tour 〜”の字幕、170/110、白馬、星条旗、的は小さく。 ムスタファとカイルの合わせ鏡を見るに『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』を一本化した映画でもあるかと。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    スナイパーとは精神的にタフでないとなれないとはきいてたけどそんな感じの映画。動物的カンが炸裂するスナイピングシーンや、緊迫感のある市街戦、砂嵐シーンが迫力があった。ローンサバイバーとどうしてもくらべてしまう。 終わり際にはクリントイーストウッド校長先生節炸裂。

  • 鑑賞日

    演出が的確で、感情の一歩手前で話が転がっていく。イーストウッドすごい。敵をある1人に集約した分かりやすい脚本の力もすごい。スローモーションの銃撃には笑ってしまったけれど。戦争から帰ってきた先の姿を、あれだけの短時間で感情の浮き沈みまで描き切るのは凄まじい。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    イーストウッド工房を暴け!(大根仁)

    愛国心。主語が私ではなく私達になるとそれは暴走を始める、と誰かが言ってた。万物すべてを鎮魂するような無音のエンドロール、正義の行方に悩むアメリカの良心を観た気がする。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    スナイパーという極限

    キリキリと神経がとがる戦場において、スナイパーという仕事の究極の精神状況が疑似体験できる。もちろん、現場での緊張感は比べるべくもないが、究極の選択を極限の状況で一瞬の判断の元にスナイパーの任務が遂行される。ターゲットが誰であれ、特に子供を標準にする時の精神状況は計り知れない。「このひとりを撃つことで、海兵隊10人の命を救う」という理屈が唯一の免罪符。愛国心に燃える青年が最強のスナイパーになるプロセスはその純真さゆえに残酷である。 平和な世界からキリキリと胃の痛む感覚を覚える映像を現実として経験し、平和な世界に舞い戻った兵士が、逆にその平和な世界に適応できず、そのギャップにいつまでも悩まされるのは当然ありうることだなと実感する。 どんな正当化された理由があっても戦争だけは起こしてはダメだ。戦後70年、武器を持たず戦争を回避してきた日本の叡智を誇りに思った。 同じ日の夜、「男はつらいよ」をみて、あまりの環境の違いに大いに混乱した。

  • 鑑賞日 2015/2/24

    新しさはさほどない

    でも、面白い。 ちゃんと観れる。 なぜなら、きっちり作ってるから。 ”伝説”呼ばわりされる男の葛藤。 強敵とのちゃんとしたサスペンス。 敵側の日常。 もう少し描いて欲しかったけど。 クライマックスの絶望感。 ラストの衝撃。 しっかり手を抜かずに作ってるから面白い。 勿論事実ベースなので、あのエンドクレジットもグッとくる。 ただ、やっぱり昨今よく見る題材から何か抜けてるかというと、 そこまで大きくその壁を乗り越えれているとも思えない。 同じ題材なら、ローン・サバイバーの方が上かなと。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    受け取り方が多様な「戦場」の映画

    アメリカ本国での大ヒット、クリント・イーストウッド、アカデミー賞にノミネート、という香ばしい宣伝文句を引っ提げて上映となった本作。 話題作ということで、鑑賞。 日本人はこの物語をどう解釈したのだろう?時世に絡めて言うと、イスラム国の脅威によってテロや戦争が一気に鮮明な現実となって顕在化した私たちにとっては、「戦争によるあらゆる不幸」ばかりが目につくような気もする。 アメリカ本国では、戦争礼賛、クリスカイル礼賛、反戦映画、と多様な捉えられ方がなされている。同時多発テロとイラク戦争という、私たちの記憶にも新しい悲劇を改めて語る上で、これほど素晴らしい題材はなかったのではないか。 物語は、ほぼ戦場で繰り広げられる。映画館で鳴り響くのは、けたたましい銃声。戦場描写が巧みで、残虐なシーンもわりと容赦なく描くため、飽きずにハラハラしながら観れた。妻とのシーンが、長く感じてしまったくらいに、戦場のシーンは魅力的だった。 私は基本的に話のスケールや孕むテーマが大きいものよりも、自分の小さい世界、目の行き届く範囲のことに夢中な人間なので、こういった映画は好みではない。自分の現実には肉薄してこないからだ。 しかし、「アメリカン・スナイパー」には国際的で普遍的な物語が描かれている。これを無視してずっと生きていくことは出来ないだろう。そういう意味では映画ファン以外の若い層にもぜひ観てほしい。これは現実を基にしたフィクションだが、登場人物が抱える問題はフィクションではないのだ。 それにしてもクリント・イーストウッド、すごい。 ジャージー・ボーイズから間を空けずにここまで高いクオリティの作品を創れるとは。 巨匠、恐るべし。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    86点

    最高でした。 イーストウッド御大の映画では一番好きな作品になりました。

  • 鑑賞日

    戦争をするアメリカの実態

    かの名作『素晴らしき哉、人生!』は、アメリカという新天地で理想を謳歌したイタリア系移民フランク・キャプラが、第二次大戦従軍で生まれた理想への疑念を、キャプラ風に描いた映画である。イーストウッドが、この『アメリカン・スナイパー』で描いたものは、その本質で似通っている。ただ、イーストウッドの場合は、理想なんて甘ったるいものは存在しない現代のアメリカを、実在したアメリカ軍人クリス・カイルの半生として描いたのだ。 クリスは、父親の教えである「人間は羊、狼、番犬の三種類があるとして、弱き羊を守る番犬であれ」と育てられ、テロをきっかけに「祖国を守る」為に軍人となり、祖国を脅かす「蛮人」を殺して伝説となった。その代償となったのは家族と自身の精神。家族のいる祖国の為と負傷した仲間の仇の為に、4度も遠く離れたイラクへ出征した。出征と帰還を繰り返すうち、彼はジレンマに陥ってゆく。戦場へいくのは家族を守るためだが、戦場へいくからこそ家族と過ごせない。妻、子供を殺させない為に女、子供をも殺す。彼の大義は「祖国を守ること」であるが、それが祖国にいる家族との軋轢になってしまう。このようなことを、ベトナム戦争のころからあるPTSDと一言で言ってしまうのは簡単だ。だが、その一言で片付けてしまっていいものだろうか?テロへの報復によって始まったイラク戦争、その大義は映画で描かれたクリスの経験そのものであり、彼の精神を蝕んだものの正体である。戦場で敵を殺す兵士自身も、その大義は偽善であると自覚しているにも関わらず、繰り返される暴力と報復。これが、現在も行われている戦争の真実であり、アメリカの実態なのではないだろうか。任務を終え、帰還しても、すぐに家族に会いにいけない彼の悲しさ。それが、キャプラのように理想に縋れないイーストウッドの描き出した結果だ。無音のエンドクレジットは、まさにイーストウッド精一杯の犠牲者への黙祷なのだろう。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    SF要素を含んだ戦争映画

    「番犬としての自分」、それがこの作品を通して主人公クリスの芯にあったように思います。主人公は幼いころ父親から、オオカミから羊を守る番犬のような人間になれと言われ育ってきた。それは敵から仲間・同志を守り、導く人間のことであり、これがクリスの理想の人物像であったのだと思います。クリスが自身を仲間を守る番犬と考えていると理解すると、この物語でのクリスの喜びや苦しみ、葛藤が理解しやすくなるのではないでしょうか。 作中ではイラク側の人々の描写がほとんどないため、クリスがイラク武装勢力から「ラマディの悪魔」と呼ばれていた事はわかりません。 軍の英雄として称えられたクリス、一方で彼には160人を殺害した殺戮者としての顔もあるということを頭の片隅においてこの作品を観てみると良いと思いますし、イーストウッド監督もクリスを称え敬うべき英雄として描ききっていないなと思ったのが正直なところだったので。 映画の演出は最後まで飽きずに緊張感を持って観ることができるものになっていました。史実に沿った重いテーマの作品ですがSFの要素も感じることができエンターテイメント作品としても秀逸な作品だと思います。 敵側であるイラク武装組織に超人的な狙撃能力を持つムスタフィという人物が主人公の天敵として登場します。主人公しか倒す事の出来ない天敵。この辺がSFっぽいです。この人物が存在することでイラクでの戦闘シーンに緊張感が増していました。 クライマックスシーンでの砂嵐の演出もSFの要素を感じました。CGで表現された巨大な砂嵐が兵士たちが戦っている戦場に迫りくる様子は圧巻でしたし、戦闘と砂嵐をどう切り抜けるか。観た人はハラハラしたと思います。 こんな感じでシリアスな雰囲気の中にも純粋に楽しめる部分があり最後まで集中して楽しめました。 戦争というテーマを真剣に考えることができ、終始演出を楽しめる素晴らしい作品だと思います。 ちなみにクリスカイルを射殺したルースの公判は現在行われているようです。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    言葉を失う余韻

    アメリカ人にしか理解できないだろう部分もあるけど、戦場の異常な緊張感と心を壊す闇の片鱗を感じる事は出来た。 なんでこんな事してるのか、何と戦ってるのか、砂嵐の中の様に分からなくなる。 何故だかスタッフロール中に涙が出たのは虚無感からかな。 あんなにシンと静まり返った劇場内は初めてだった。 重たく、余韻を引きずる、黙祷。 戦争賛美?どっからどう見ても反戦映画だよ。 ただ、ストーリーと関係ないけども、赤ん坊がどっからどう見てもモロ人形!なシーンがあって、やたら心に残ってしまったのはトホホ。 人形を抱いて迫真の演技を見せるブラッドリー・クーパーが面白すぎた。なんだあれ!

  • 鑑賞日 2015/2/23

    作品紹介1(映画情報myシアター)より

    米軍史上最強の狙撃手と言われた故クリス・カイルの自伝を、ブラッドリー・クーパーを主演に迎え、クリント・イーストウッド監督が映画化。一人の男の苦悩を描く。 ストーリー アメリカ海軍特殊部隊、ネイビー・シールズの隊員クリス・カイルは、狙撃手としてどんなに過酷な状況でも仲間を必ず守り、やがてその狙撃の腕前はレジェンドと称賛される。しかし同時にクリスの存在は賞金首として反乱兵の標的になり、命を狙われる。03年から09年にかけて4回にわたるイラク遠征を終え、カイルはアメリカにいる妻子の元へ戻るが、戦争の傷をぬぐえずに苦しむことになる。 監督:クリント・イーストウッド キャスト ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ジェイク・マクドーマン

  • 鑑賞日 2015/2/21

    中道の軸足

    本作はクリス・カイルという個人の足跡を追う体裁になっており、イラク戦争の是非や、イラク側の善悪には触れていない。ここがジョン・ウエインの「アラモ」「グリーン・ベレー」と大きく違う。しかし、それが左右派どちらからも都合のよい受け止め方をされているように思う。だが、イーストウッドが一方に都合のよいプロパガンダ映画にするわけがない。アルカイダのドリルを使った少年への拷問はイラク非難になる。だがそうさせたのは、米軍の住民に対する強引な接触があったからではないか、という批判にもなるのだ。そしてクリス・カイルが最初に少年を狙撃したことを苦々しく思うものの、仕事と割り切り、派兵を拒否しない。それでいて家族に早く逢いたいとの気持ちとの矛盾をそのまま提示している。周囲はクリスを伝説と英雄視しているが、イーストウッドはそう捉えているとは感じられないし、批判もしていない。「父親たちの星条旗」にように熱くないのだ。しかし、序盤の訓練シーンは「ハートブレイクリッジ」を思い出させるし、イーストウッド自身は演出を楽しんでいるのがわかる。オリヴェイラほどには枯れていないし、早撮りながら丁寧な作りはマキノ雅弘のような境地に達しているように思える。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    戦争ほど、残酷なものはない

     先の女性監督の秀作『ハート・ロッカー』も戦火を過ごした兵士の心の傷をクローズアップしていたが、本作もイーストウッドらしい骨太さを感じさせる出来。  銃声、被弾音、ドリルや電動工具などの音が重要な要素を持っており、主人公の心の傷の深さを十二分に感じさせる。  実在した人物を映画化することは困難だと思うが、丹念に取材し、準備したのだろう、ブラッドリー・クーパーの名演もあり、戦場というものを観る者に感じさせた。  喜劇ができる役者が本気を出すと、凄いと思った。  年齢、性別、国籍、宗教そういったもの何もかも地獄へ叩き落とすのが戦争であり、勝者も敗者もないのではないかと、監督は問いかけてくる。  余韻を味わうというか、考える時間となる、最後のクレジット・タイトルも大事なひと時になっている。

  • 鑑賞日 2015/2/23

    実話の制約

    2015年2月23日に鑑賞。割引 1100円。 反戦映画、それとも好戦映画?実話なので忠実に描くしかないのであろうが、特にラストの実際の葬儀の映像から好戦的と受け止められる可能性がある。トラウマを乗り越えて、良き夫・父親となり、PTSDに悩む帰還兵や傷痍軍人のケアに尽力していたが、帰還兵に殺されたというラストが「美談くささ」を醸し出している。まあ実話なのでしかたがないのでしょう。 以前見たような映像が続く。開巻のシールズの訓練の様子は「ローン・サバイバー」(2013)とそっくりである。射撃の訓練は「フルメタル・ジャケット」(1987)。「ハート・ロッカー」(2010)、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012)にも似ている。戦闘の話の展開は、マット・デイモンの「グリーン・ゾーン」(2010)で見たような話である。夜間のシールズの戦闘場面が似ている。ザルカウィの副官の「虐殺者」を追い詰める展開はいいが、結局はシリア人の元オリンピック選手の狙撃者を殺すに留まり「虐殺者」を殺すには至っていない。そこが弱い。カタルシスがない。 実際の彼はもっとマッチョなタカ派の人物では。父親に狩猟を習い、「羊・狼・番犬」の3種の人間の内、「番犬になれ」と教えられる。羊=飼いならされた人間、狼=悪人、番犬は「正義漢」ということであろう。ただ、「正義」を振りかざすのは如何でしょう。 ラスト、1900m離れたビルの屋上にいる狙撃手ムスタファを見つける場面。クリス「見つけた」というが、画面にはムスタファの姿が敢えて写らない。観客には見えない。観客をじらして、やっと狙撃手の姿を見せる。ここは実に上手い演出である。クリスが撃った弾がスローモーションで飛ぶのが見え、ゆっくりゆっくり飛んで狙撃手が倒れるのを見せる。上手い。  主人公の弟ジェフは生きて米国に帰還できたのだろうか。気になった。クリス・カイル1974年ー2013年2月2日死。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    イーストウッドの反戦

    冒頭、予告編にもあったシーンから、ハラハラさせられる。クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は子供を撃つのだろうか、と息を殺して観ていると、いきなり過去のシークエンスへと飛ぶ、見事な場面転換に感心されられる。そこからクリスがどのように育てられ、どうして軍隊に志願したかが要領よく語られ、無駄なくお見事な演出に唸った。シールズになる為の、人間性を奪い取られるような激しい訓練の様子、それにめげないクリスの信念も、実に手際よくまとめられている。 敵のライバルとしてのムスタファの存在が、物語に深みを増し、映画としても更に面白くなる。味方も次々とムスタファの凶弾に倒れて行く。これまで狙う側だったクリスが賞金首となり、狙われる立場になる展開にハラハラ。お互いを追いつめようとする、知力体力精神力の対決に心臓の鼓動が高鳴る。決戦となるその射程距離距離は驚愕ものだ。 シールズの男など愛するつもりもなかったのに、それでも愛さずにいられなかったタヤ(シエナ・ミラー)。それ故に夫の死を常に心配していなければならない妻としての心配する気持ちがやりきれない。電話の最中の銃撃の音。大きなお腹を抱えて、泣くことしかできないシーンの絶望感が堪らなく辛い。何度も出兵し、帰っている間も、夫は心を戦場に置いてきてしまったかのように生気が乏しい。戦場に行っている間の電話でのクリスの言葉の方が、タヤを求めているように感じられるのが皮肉だ。戦場で家族を想い、家庭では戦場を思う。クリスにとって、家族と戦場は同等だったのだろうか。 エンドクレジットの前半は実際の映像を流し、後半は無音となる。これにはイーストウッドの意図があり、観客はそれぞれの想いに浸ることになる。これは間違いなく、反戦映画である。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    伝説は主人公だけじゃない

    イラク戦争に従軍し伝説のスナイパーと呼ばれたクリス・カイルの半生をイーストウッド監督が手掛けたヒューマンドラマ。 死と隣り合わせの日々を送った主人公が徐々に精神のバランスを崩していくプロセスの克明な描写が秀逸。本土に帰還後、ドリルの音や犬の鳴き声に過敏に反応したり、テレビのブラウン管に戦場の悪夢を見たり、新生児室の看護師の態度に声を荒げたり、肉体的な面でも血圧の測定値が主人公の異変を物語っていた。 戦闘場面におけるサスペンス効果についても触れておきたい。まずはオープニングで一般市民を装った親子を主人公が狙撃するのかどうか逡巡し決断するまでの描写。引き金に指をかけた瞬間に銃声だけを聞かせると次の瞬間には少年時代に父親と狩りをしている主人公のフラッシュバックへと変わっている。戦場での生死の境という最高にドラマチックな場面の結論を棚上げ状態にし、しばらくの間観客の興味をそのまま持続させる演出は名人芸である。さらに後半の建物屋上での銃撃戦を無人探査機からの俯瞰映像をインサートさせることにより、テロリストたちの人数や武器の種類、アメリカ兵の位置と建物の構造を一目瞭然に描いていた。伝説と呼ばれるのは主人公だけではなく、イーストウッド自身もその名誉に十分値する存在である。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    スタッフロール含めての作品

    『許されざる者』などで特に顕著な、イーストウッドの死生観というか、死を請け負うものへの眼差しは一環してぶれてない。 ただし、戦場では伝説と呼ぶに相応しい主人公が、急に戦場を離れると言い出したり、PTSDを克服していく姿が少なかった点は薄さも感じた。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    素晴らしい

    戦争の表と裏を余すところなく描いていると思う。 音楽を最低限にして、全編に緊張感をもたらしてくれている。 衝撃的なラストからエンドロールには驚かされた。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    殺人マシーンと人間の境界

    スナイパーといえども人間。感情もあるし、家庭人としての役目もある。しかし職業は敵を殺すこと。主人公はそこにプロ意識を感じている分、職務の遂行と人間としての感情の狭間で苛まれる。本作はその心の揺れ動きを描写するという面ではちょっと弱かったけれど、戦場の現実を見つめる意味では見応え十分。戦争賛否でも反戦でもなく、これが現在進行形の戦場の真実。そして真の敵はそこにはいなかったという事実が心を刺す。

  • 鑑賞日 2015/2/22

    戦場と日常

    かなり良かった! 戦場と日常生活どちらも見応えがあった。 そして、エンディングロールの無音で色々考えさせられた。

  • 鑑賞日

    面白かった。

    ドキドキハラハラして楽しめた。 ただ事実を基にした作品なので ラストは切なかった。 家族と安心して暮らして欲しかった。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    84歳、外さない…。

    84歳の監督作品であることに先ず驚く。 それも我らがクリント・イーストウッドである。 前作の「ジャージー・ボーイズ」と云い、最近はまったく作品のレベルを外す気配がない。 まさに巨匠だ。 さらに驚くべき事にクリント・イーストウッド作品の中で最大の興行収入であると云うこと。 84歳で最大の興行収入ッ!!(この時点ですでに3億ドル突破ッ!!) 人生何があるか分からない…。 さて、作品は戦争映画と云うよりも戦場映画。「フューリー」と同じ視点で作られている。 が、こちらはノンフィクションが原作であるからして、さらに現在からの時間的な距離が近いと云うこともあって、感情移入のしやすさと云う点ではその比ではないだろう。 おそらくそれが米国で大ヒットしている要因と見た。 観る前は何故米国でこれほどヒットしているのか分からなかったが、ラストを観てその理由が分かった。 無音のエンドロール。 クリント・イーストウッドの心意気を感じた。 恐るべき演出家としての勇気。 凄い映画だ。 

  • 鑑賞日 2015/2/21

    主人公の心の変化が映しきれない

    戦争と家族の平和を対比させ、その落差を強調する手法は凄く良い。 でも・・・主人公のむしばまれていく心の変化が上手く映し出されていないような気がするなぁ・・・

  • 鑑賞日 2015/2/22

    キャタピラの音で、戦場に引き込まれ、一発の銃声音で回想シーンになり、また銃声で人が死ぬ。視覚以上に聴覚を刺激し続けた映画だった。 ラスト、主人公の死は音でなく文字で、そしてニュースフィルムなのか映画の映像なのか区別できない映像へ、そしてラストの無音のエンドタイトルへと。ラストは、この映画のメッセージをしっかりと受け取って欲しいという、クリント・イーストウッドの演出だろうか。 それにしても席を立つのが早い人が多かった。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    スピル版も

    御大久々の西部劇。西部無き世に行き場を無くしたカウボーイ。終盤の砦を巡る攻防に終始ニヤニヤ。スピルバーグ版もみたかったな

  • 鑑賞日 2015/2/22

    人間の強さと弱さ

    「正義」と「誇り」を拠り所に自分を奮い立たせ、精神を蝕みながら戦い続けなければならない病んだアメリカ。そもそも、守るべきものは一体何なのか?国家や家族なのか。それが一人の狙撃手のサクセスストーリーを通して淡々と描かれています。 また、映像と音楽(効果音)も素晴らしい、実話に基づいたこの題材も、無駄のないエピソードの積み重ねで存分に楽しめる。 あらためてクリント・イーストウッド監督の作品作りに敬服します、コンスタントにジャンルを問わず、娯楽性を備えてハイレベルな作品を提供してくれる。「引退」なんて言葉を彼はおくびにも出さない。さすがです。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    評価というか

    この作品は評価できませんでした。良いとか悪いとかではなく事実を映画にした作品なので... 。ただ私にはあまり響きませんでした。PTSDについてや戦争の残虐さについては今まで何度も描かれてきた作品ということもあります。その中でも狙撃手という立場からみた戦争と病的に戦争から抜け出せなくなってから立ち直るまでの話です。しかし、PTSDに関してではなく戦争の無意味さを伝えたかったのでしょうか。結局戦争には善も悪もなく、自分たちの中にしかないのだと改めて思いました。私でも戦争の恐ろしさを体験すれば、日常生活に戻るのは難しいだろうなとお申し、タヤが言うように心がここにないっていう状態になると思います。それは体験した人にしか分からないことも明白ですし想像することしかできません。だから彼はそんな人たちを救うために活動していたわけでそれがあんな終わり方になるなんて皮肉すぎるし救いがないなと思います。まぁ事実なので仕方ないですが...。映画はその作品のメッセージ性、観るタイミングによって全く腑に落ちないことがあります。まさにそれに当てはまってしまった作品でした。とりあえず周りにはあまりオススメできない作品ですし、後味が悪いので戦争について話し合いができるような環境でなければ、誰かと観るような作品でもないのかと私は思ってしまいました。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    空虚を描いたきわめて内容豊かな映画

    イラク戦争で英雄的な戦果をあげたスナイパー、クリス・カイルの姿を描きながら、戦場へ舞い戻る程に心の空虚さを増していく一人の帰還兵の苦悩を観客に突きつけてくる恐るべきドラマ。 テキサスでカウボーイをしていた男が、ふと見たテレビのニュースで国のために役立ちたい、国を守りたいと発起し海兵隊最強のシールズに入る。部隊を見守り様々な脅威を排除する狙撃手となったクリスは「伝説」と呼ばれるまでに至る戦果を挙げるのだが、同じ米国人を、部隊を護るため、彼の呼ぶ「蛮人」を射つべく出征を繰り返すたび、愛する家族との溝は深まり、平和な世界の中での居場所をなくしていく…。 幼少の時期から「お前は羊を護る番犬となれ」と育てられたカイルは、そのアイデンティティを揺らすことなく「国とシールズを守るために戦っている」と自分の口では言っている。しかしブラッドリー・クーパーの演技と映画の演出は、明らかに全く異なる物語を同時に語っている。それが明瞭に分かるのが負傷した仲間を病院に見舞うシーン。 「お前の仇を討ってやる」「そんなことはいいんだ」「いや、討ってやる」「わかったよ、『伝説』…」 この時クリスの目は、実際には目前で傷つき横たわった仲間の上に焦点が結ばれているようにみえない。彼は口では仇を討つと言いながらも、本当は別のものを追って戦っているのではないだろうか?それでは彼が視線の向こうに今見ているものは何なのだろう?その後ある区切りを経て、銃弾の飛び交う中で彼は退役を決意する。それはただ、彼の戦いが戦場で出会ってしまった恐怖と虚しさへのけりをつけようとする試みでしかなかった事の現れだったのではないか。そして自ら置いていたターゲットを討ち果たした時に彼に達成感がみられないのは、ただそれが「これでやめられる」という思いしかもたらさない虚しい区切りであったからではないだろうか。 やがて帰国し、心を戦場に奪われた彼を診た分析医の問いに、彼はなおも「俺が蛮人たちを撃った理由を、俺は神の前で説明することができる」と決然と述べるのだが、その瞳の虚ろさはこの映画が語る真の物語の所在を指し示している。戦争が生み出す空虚は、敵も味方も、あらゆるものを飲み込んでいくのだ。 ところでこの映画が表層的にはザルカーウィーと彼の率いる「イスラム国」の前身となった組織を追跡するストーリーであるが故に、この空虚さとの直面は我々日本の観客にとっても無縁のことではない。既にして無明としか言いようのない残虐な行為を行っているテロリストたちの描写にどう向き合えば良いのかという問いを通して、この増大する空虚に対して我々は何ができるのか、何をすべきなのかと考えざるを得ないのだ。最後に慎ましやかに添えられるクリス・カイルのエピソードは、それがただ事実であるがゆえにひたすら重く、限りなく虚しくもある。今この同時代ゆえにこそ見ておくべき一本。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    マッチョなブラッドリー 実は皮肉に反戦

    予備知識なしで行ったので、最後の最後に、あ〜!あの人の話だったのかぁ〜!と気付いた(笑) 確かに『伝説』って言われてた。映画化されるのが早すぎて… それにしても、ブラッドリー体重と筋肉増強して頑張ってる。 いつもの監督作品ではグッとくるものがあるのだが、今回は少々足りず硬派。 しかし、音響、撮影、音楽、単調になりがちな脚本は飽きさせる事なく最後まで持ってくる。 監督作品の品の良さは、ここでも安心定番。 人生とは、まったく数奇なものである。 (主演男優賞、音響賞候補)

  • 鑑賞日 2015/2/21

    エンドロールが流れると音は一切消され、沈思黙考。

    イーストウッド監督は、自ら作曲するほどで、自身の作品は音楽が効果的に使われていますよね。特にグラン・トリノのエンディングソングはいつまでも余韻の残る名曲でした。 本作もラストシーンにぴったりの音楽(監督の作曲ではなかったようです)が使われていました。が、エンドロールが流れると音は一切消されました。沈思黙考。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    イ-ストウッドにとって米国旗に籠めた意味とは

    30歳でSEALに入隊した時代遅れのテキサスのカウボーイ、クリス・カイルが、イラクの戦場で伝説的なスナイパーとして活躍するが内面は蝕まれていく姿を描く、活劇的な面白さとテーマの重厚さを兼ね備えた力作であり問題作。平穏な日常に適応できなくなっていき敵スナイパーとの戦いに執着して4度もイラクに出征しついには無謀な作戦で敵だらけの環境に投入される主人公、女性と子供を撃ち殺した彼を「英雄」として祭り上げる軍の仲間たちの描きかたからしてイラク戦争へのC・イーストウッドの批判的な視点はあきらかだと思う。2度にわたって描かれる戦死者の葬儀の場面は鎮魂の姿であるが、「許されざる者」のはためく米国旗に籠めた西部英雄伝説と暴力への批判を思い起こさせる。さらにテーマの重厚さだけでなく、無人攻撃機を追ってパンしたカメラが敵地のど真ん中に赴く部隊をとらえるショットや、敵スナイパーがあまりに遠いところにいるのではっきり写せないことにより生じるサスペンスなど映画としての語りの工夫も鮮やかだ。

  • 鑑賞日 2015/2/17

    狙撃手×狙撃手 数奇な運命

    流れ者のカウボーイから使命感にかられ、シールズの狙撃手へ。 武器を持つ敵は、女性や子供までも、撃たなければならないという過酷な戦場シーンは、主人公の緊張感と感情がダイレクトに心に響く演出に、改めて、イーストウッド監督の力量に感嘆してしまった。 また、対峙する相手の狙撃手も、妻子があるという、主人公と同じような境遇。そして、両者とも、その事を知らずに、相手の射撃の力量を探りながら、対決に臨んでいる構造も、戦場の緊迫感を盛り上げている。 戦友が倒れる過酷な戦場を生き抜き、心の病を克服し、妻子の元へ、良き夫、父として戻れたという運命の先に待っていた数奇な運命に、言葉に表せない衝撃を受けた。 戦争を描くとは、まさに、この映画の事だと思う。 エンドクレジットに無曲(無音)というレクイエムの演出を選択したイーストウッド監督の志の高さに敬意を送りたい。 追記:人気歌手の耳障りの良い歌を流す邦画の戦争映画も一考していただきたい。邦画の戦争映画もそこそこ良いのだから。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    正義も悪もいない、犠牲者のみを描いた最高峰の戦争映画。 冒頭の母子射殺、そして無音のエンドロールにクリント・イーストウッド監督の本気を感じた。 劇場IMAX L-19

  • 鑑賞日 2015/2/21

    信念に従い生きた男のドラマ

     不協和音のように響く戦車のキャタピラーの音。乾ききった、砂と埃が舞う大地をアメリカ兵たちが武装した姿で行進していく姿は、『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』などで最早見慣れた光景ではあるが、それでもやはり、私たちにとっては非日常的な光景である。  街を探索する仲間たちに危険がないか観察を続けるクリス・カイルは、スコープを通して、女が懐から隠し持っていた対戦車用手榴弾を子どもに手渡すのを目にする。そして子どもは、アメリカ兵達のもとへ走り出す。一連の様子は、スコープを覗いていたクリスとその主観ショットを通して見ていた観客しか知り得ないことである。クリスは引き金を引くのか。冒頭からいきなり緊迫した場面に立ち会うこととなり、有無を言わさず作品の中に引き込まれていく。  天から類稀な射撃の才能を授かった男が戦場でその才能を発揮する初めての場面はこのような極限状況であり、そこは、何が正義であるか不明瞭な混沌とした非日常な世界である。  戦地を離れれば、そこには日常が待っている。クリスが家族とともに過ごす様子は、一見すると、ごく平凡なありふれたホームムービーのように見えなくもない。しかし、スクリーンに映される映像には、心を不安にさせる何かが存在する。それは、近所の家から聞こえてくるチェーンソーらしき音であるとか、クリスが運転する車を追い越そうとする後続車である。この後続車には、テロリスト集団がライフルを構えて乗り込んでおり、クリスを殺そうと言わんばかりの禍々しさをもって追い越すのだが、そんなことはもちろん起こらない。  どんな正義も信条も疑われるほどの戦場での経験は、目に見えない、心の奥深くに根づき、自らの信念に基づき、まっすぐに生きてきた男を蝕んでゆく。それをクリント・イーストウッドが描くのであれば、気分が上がるような結末にならないことは想像に容易いだろう。  無音で終わっていくこの作品同様、黙祷を捧げるかのごとく、沈黙をもって幕が降りるのを待つのが、この作品に対して払うべき敬意であろう。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    時代遅れのカウボーイ

    先入観無く観れば、これは西部劇無き時代に行き場を無くしたカウボーイが、戦場に生きる場を求め、正義と友情を大義名分にして160人を殺したあげく、PTSDが治ったところで、同朋に殺されるという喜劇的な側面もある。イーストウッドは映画史上最大の巨匠なので、この程度の演出の見事さは驚くにあたらず。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    英雄を描くが礼賛ではない逆説的な厭戦映画

    160人を殺したスナイパーを描く英雄礼賛映画のようにみえるが、最終的に浮き彫りになるのは「戦争やったらいかん」という逆説的なテーマ。 とはいえキッチリ活劇にしてサスペンスは盛り上げるのはさすがイーストウッド。 エンドロールに全くBGMがないのにはちゃんと意味があるのだ。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    一言だけ・・・え?モリコーネ?嘘!ニニロッソのパクりですか???

  • 鑑賞日 2015/2/21

    さすがのイーストウッド監督作品

    2015年2月21日、新宿ピカデリーにて鑑賞。(公開初日の初回) さすがの「クリント・イーストウッド監督作品」である。 戦場で物凄い能力を発揮する男カイルの戦場(イラク)でのシーン、アメリカに戻って父親としてのシーンを織り交ぜたストーリー展開の見事さ。 カイル役のブラッドリー・クーパーの圧倒的なる存在感。 一級品の戦争映画というよりも、一級品の人間ドラマが生まれた、という方が妥当かもしれない。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    ラストが上手い

    出だし、ラスト、クリント・イーストウッドは流石だなあ!殺される場面なんか見たく無いもの。初めのシーンも一旦子供時代に戻り、初めての射撃を写し、そして本題に。再び子供を撃たなければならないかもしれないシーンが出てくるが、その時の葛藤がまた凄い。アメリカも病んだ人がいっぱいいるんだろうなあ。

  • 鑑賞日 2015/2/21

    ラマディの悪魔

    #0189 TOHOシネマズ六本木ヒルズ「アメリカン・スナイパー 」。ネイビー・シールズの狙撃手としてイラク戦争で活躍したクリス・カイルの手記を原作としたイーストウッド監督作品。戦場で高い能力を発揮しながらも、その狂気に取り憑かれていく様を母国でのエピソードと並行して描いている。

  • 鑑賞日 2015/2/18

    狂った世界でまっすぐに生きようした男

    もはや、イーストウッドに不可能はないのだろうか。映画としては、スキのない完璧に近い作品だ。混沌としたイラクの戦場が活写されたスクリーンにくぎ付け、目がそらせない。しかし、その内容は重たい。「蛮人を退治したい」と160人を射殺し、英雄ともてはやされる男。彼はまっすぐで誠実な男だ。しかし、狂った世界でまっすぐに生きようとしてもどこかでほころびが生じていく。イーストウッド視点は、単純な英雄礼賛では決してないが、大ヒットしたアメリカでは、どう観られたのだろう。アメリカ人のメンタリティは原爆投下を正当化した70年前と変わっていない。だから今も狂った世界が続いている。

  • 鑑賞日 2015/2/17

    そのエンドロールに何を感じるのか

    凄い映画を観た。久々に観終わってしばらく席を立てなかった。 これから観る方、どうかエンドロール最後まで席を立たないで欲しい。その間に頭の中を廻る、その全てがきっとこの映画の伝えたいことだから。 爆撃の音は今もまだ鳴り響いてる。こうして日常を生きる、僕らの傍で。ずっと。

  • 鑑賞日 2015/2/12

    皮肉な報復。

    試写会にて鑑賞。 まだジャージー・ボーイズの感動を新たにしている段階で、この作品。 イーストウッド卿の振り幅の広さに感服するが、演出はいつも通りの 淡々姿勢でラストまでを貫く。原作はC・カイル氏の自叙伝で、彼は シールズ所属の狙撃手でイラク戦争に4回派遣された伝説の男である。 公式記録でも160人を射殺、その中には敵の女性子供も含まれている。 仲間から伝説と呼ばれ、敵から悪魔と呼ばれた男。そんな彼の半生を じっくりと丹念に炙り出していく。主演のB・クーパーは彼に惚れこみ 自身で映画化権を獲得、製作を進める渦中で悲劇的な事件は起こった。 そのラストを観終えて思うのは、なんと皮肉な運命だろう…なのだが、 PTSDに蝕まれていくその爪痕の深さが突き刺さる。戦場に赴いた 彼らが抱える最大の難問であり、平和な日常に戻ろうと癒えはしない。 彼の任務(狙撃手という仕事)に於いて、 他者を守る。とはいわゆる敵とされる人間を容赦なく殺すことである。 彼の口から出る「報復」「蛮人どもめ」という言葉はさらなる同情を拒む。 心理スリラーともとれるその過激さに私の感情は寄り添えなかった。 彼のどんな功績もそれが正常行為だと思えず、イラク戦争に懐疑的な 家族や同僚達の率直な意見の方が事実を述べていると感じたのである。 「生きて家に帰りたい。もう嫌だこんなところは。狂っている。」 彼はその後NPO団体を設立、帰還兵の社会復帰支援活動に取り組む。 ここからが功績となって欲しかった願いがやり場のない悲嘆に暮れる。 (監督が無音のエンドロールで伝えるのは考えてみてくれってことかな)

  • 鑑賞日 2015/2/10

    戦争・・・

    伝説と呼ばれたスナイパーの半生はあまりに衝撃的な事実でした。 待っている妻の気持ちにも移入でき、どちらの気持ちもよくわかる。 祖国のためと、銃を構える姿も敵と変わらないのでは。 戦争への恐ろしさを実感させる映画でした。

  • 鑑賞日 2015/2/10

    劇場鑑賞の醍醐味

    映像・役者・脚本すべてに手抜かりなし。日本にとっては内容もタイムリー。 戦地における暴力の連鎖を直接的に描きながらテーマを家族の物語に集約させるところがイーストウッドの巧さなのかなと思った。齢84のジイちゃんが撮る映画がこんなにキレキレってどういうことなの……(真顔) 事前に「エンドロールは音楽が流れませんがこれは監督の意図です」との説明があったこともあり、多くの観客は無音のエンドロールのきっかり最後まで席を立たなかった。コンテイジョンとかもそうだったけど、劇場全体で緊張感や静寂を共有できたときの興奮は一生記憶に残る。 そんなわけで本作のエンドロール中にうっかりスマホを光らせたりすると狙撃対象になりかねないのでどうしてもいじりたい人は外に出ましょうね

  • 鑑賞日 2015/2/9

    報復戦争のやるせなさ

    報復戦争の醜さ、虚しさ、やるせなさがじんじんと伝わってくる。エンドクレジットで映し出される映像は、アメリカのナショナリズムのすさまじさをまざまざと見せられて、恐ろしくなる。しかし、きっとこのナショナリズムに共感する観客が大勢いるからこそ、大ヒットしているのではないかとも思えて、複雑な気持ちになる。ナショナリズムを恐ろしいと感じる者の心にも、共感する者の心にも、何かを強烈に訴えてしまう、両義的な映画である。けれども、反戦思想を訴えているかのように装いながら、愛国心を煽ってしまう、どこかの映画よりは、ずっと深く戦争の意味を問い、アメリカの抱える傷を丁寧に描いた映画であると思う。 この映画を観ながら、いろいろな映画を思い出した。「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「ゼロ・ダークサーティ」「誰よりも狙われた男」「おやすみなさいを言いたくて」「6才のボクが、大人になるまで」。とくに公開時期が比較的近い、「6才」とは、とてもつながりを感じた。 ブラッドリー・クーパーが、まるで別人だ。

  • 鑑賞日 2015/2/10

    戦争アクションではくくれない。

    芸術家は旺盛な表現活動により、長命である。それにしても、イーストウッドの職人的な作家活動には恐れ入る。前作がアーチストの半生を「ジャージー・ボーイズ」で見事にデッサンして見せた。 新作は、戦争映画であるが、戦争という狂気に巻き込まれた重厚な人間ドラマでもある。好戦か反戦か厭戦か、ナショナリズムか家族主義か個人主義か、正義の戦いか犠牲となった被害者かなど単純な主義主張から少し引いて、戦争の今を描いて見せる。 戦いのシーンはすごい迫力で、これを80歳をゆうに越える監督が撮っているとは信じられない。特に、砂嵐のシーンはほとんど画面が砂で隠れて見えないのだけれど、そのリアルな緊張感たるや圧倒的で、戦場そのものである。 アメリカは現代においてはいつの時代でも、戦争の只中にいる国なんだと思う。その戦争で得たものや守ったものと、傷つき失ったものがなんだったのかを問いかける。 日本は平和を満喫していたのが、そうとも言えなくなった昨今である。世界はどこに行くのか。