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COLUMN/コラム2014.05.27
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2014年6月】キャロル
『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督が、60年代英国に実在した海賊ラジオ局をモチーフに描く傑作エンターテインメント。個性豊かな8人のDJたちが織りなす自由でクレイジーな日々が、どうしようもなくアホで、カッコ悪くて、気まずいけど、そんな彼らのどこか悲しげな姿が「これぞロック・スピリットだ」と言わんばかりで最高にカッコ良く見えてきます。当然ながら音楽も最高!鑑賞後の後味もスッキリな映画NO.1なので、是非見てほしい一本です。 © 2009 Universal Studios. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2014.05.25
2014年6月のシネマ・ソムリエ
■6月1日『ロリータ』 ロリータ・コンプレックスの語源となったナボコフの小説を映画化。巨匠S・キューブリックが『スパルタカス』と『博士の異常な愛情?』の間に発表した異色恋愛劇だ。 中年の文学者が下宿先の未亡人の娘ロリータに心奪われ、人生を狂わされていく。物語は原作に忠実だが、ヒロインの年齢設定などが変更され、モノクロで撮影された。 規制が厳しかった時代の作品ゆえに性描写は一切なく、犯罪映画風の冒頭に続いて、人間のエゴをえぐる破滅的なドラマが展開。脇役P・セラーズの怪演も見逃せない。 ■6月8日『砂漠でサーモン・フィッシング』 中東イエメンの砂漠に川を造り、鮭釣りができるようにしたい。大富豪からそんな壮大なプロジェクトの実現を依頼された、英国人水産学者の奮闘を描くコメディである。 原作はポール・トーディの小説『イエメンで鮭釣りを』。イメージアップをもくろむ英国政府の思惑も絡む物語はシニカルなユーモア満載で、恋愛映画としても楽しめる。 堅物の学者に扮したE・マクレガーと、投資コンサルタント役のE・ブラントの機知に富んだ掛け合いが魅力的。夢や理想といったテーマを爽やかに謳い上げた珠玉作だ。 ■6月15日『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』の俊英E・ライトが放ったラブ・コメディ。理想の女の子と交際するため、彼女の元カレ7人と対決する青年の物語だ。 ポップカルチャーから多大な影響を受けた監督の漫画やロックへの偏愛が爆発。主人公が次々と出現する元カレとのバトルを突破していく展開は、まさにゲームのよう! 凝った視覚効果や編集テクを駆使し、ファミコンのチープな電子音まで導入。マニアックな小ネタとギャグも詰め込んだ映像世界は、これぞ究極のオタクワールドである。 ■6月22日『パーフェクト・センス』 人間の嗅覚や聴覚といった五感が順次失われていく奇病が世界中で蔓延。そのさなかに恋に落ちたシェフのマイケルと感染症学者スーザンの身体も異変に見舞われていく。 CGによるディザスター描写に依存せず、人類存亡の危機を描いた英国製の終末映画。五感の喪失という現象が一般市民の日常を混乱に陥れる過程をリアルに映し出す。 世界が静寂と暗闇に覆われていく悲劇的な物語が問いかけるのは、愛と希望というテーマ。他者を“感じる”ことの尊さを感動的に映像化したラブストーリーでもある。 『ロリータ』TM & © Warner Bros. Entertainment Inc. 『砂漠でサーモン・フィッシング』©2011 Yemen Distributions LTD. BBC and The British Film Institute All Rights Reserved. 『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』©2010 Universal Studios. All Rights Reserved. 『パーフェクト・センス』© Sigma Films Limited/Zentropa Entertainments5 ApS/Subotica Ltd/BBC 2010
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COLUMN/コラム2013.10.01
「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイドその1
年に一度の映画界最大の式典といえばアカデミー賞授賞式。その年最高の映画が決まるとともに、その時を代表するセレブ達のトップが決まる授賞式でもある祭典でもある。そこで注目したいのは、そのときどきを刻む衣装。授賞式当日のセレブ達のきらびやかなドレスもそうだけど、最優秀衣装デザイン賞を受賞した作品は、有名デザイナーがデザインした衣装がズラリ。 たとえば、古くは1956年の『泥棒成金』は、『ローマの休日』などの衣装デザインを担当したハリウッド映画衣裳デザインの第一人者であったイデス・ヘッドが担当(彼女は衣装デザイン賞を8回も受賞している)。衣装をポイントにして映画を観ると、その時代のトレンドや、描かれた時代の再解釈、そしてデザイナーの本気が見えてくる。 忘れられないのが、1977年の大ヒット作『サタデー・ナイト・フィーバー』のような作品。この映画で出てきた衣装は70年代アメリカの若者達のトレンドが浮き彫りになったことでも知られる。これは当時の流行のメインではなく、サブカルチャーの中で流行ったものだけど、それが後にメインになり、そして廃れ、また近年のヒップホップシーンにおいて再解釈されていることを考えると、その影響力は計り知れないことがわかるだろう。 同様の作品としては2006年のノミネート作『ドリームガールズ』も60年代アメリカのR&B界のファッションシーンが映し出されているが、これまた流行は一巡して、今観ても新しい衣装に見えるから不思議。また、時代ものの映画はストーリーもさることながら、コスプレならではの華麗な衣装から観た方が、よほど親しみやすいというもの。 オリビア・ハッセー・ブームを巻き起こした1968年の受賞作『ロミオとジュリエット』なんて、衣装の魅力がジュリエットの可憐な美しさを引き立ててるし、2010年のノミネート作『英国王のスピーチ』も今ほどオープンではなかった戦前の英国王室の荘厳さを、宮殿や社交界のシーンで実感できる。 そういった中でも特筆すべきは、石岡瑛子にオスカーをもたらした1992年の『ドラキュラ』は必見作。以後の彼女が手がけた「ザ・セル」やこちらもアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた「白雪姫と鏡の女王」にも観られる、西洋のゴシック様式と日本の着物や甲冑からモチーフを得たデザインの原点ともいえる衣装の数々が目にできるのだから。 そして忘れてはならないのは、有名デザイナーたちによる衣装! 今年リメイク版が公開された1974年の受賞作『華麗なるギャツビー』は、ラルフ・ローレンが衣装デザインを担当。1920年代アメリカン上流社会を舞台にしたこの作品は、いかに上流社会の人々の優雅さを表現するかで、我々がよく知るラルフ・ローレンが貢献していたというだけで、興味がわくところ(ちなみにリメイク版はブルックス・ブラザーズとプラダが担当した)。 有名デザイナーが担当してオスカーを得た作品でいえば、当時既にファッション界のカリスマであったエマニュエル・ウンガロが担当した1980年の『グロリア』あたりもチェックを。 また、受賞こそ逃したが、元グッチ、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターで現代ファッション界を代表するトム・フォードが監督と衣装デザインを担当した2009年の『シングルマン』は、ファッション・デザイナーのセンスで描かれた映画だけに、おしゃれ好きの人のマスト・リスト。「これが衣装デザイン賞を逃すなんて、どうかしてるよアカデミー! だって、トム・フォードだよ?」と、授賞式当時は現地マスコミの間でもヤジが飛んだほど。彼が常に提案しているトラッドとセクシーの見事な融合を、一編の映像にまとめた希有な作品だ。映画に詳しくない人も、たくさんは観ていないという人も、衣装から観ると映画、そしてアカデミー賞が楽しく見えてくる。ちょっと視点を変えてみてはいかが?■ ■ ■【特集「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド】は最終回「デザイナー編」へと続きます。次回の更新は10月16日を予定しております。最終回も、ファッションのプロである田口淑子さんに引き続き、映画とファッションの「深い関係」を解説していただきます。乞うご期待下さい!そして、10月特集「映画はファッションの教科書!」は10/17(木)-20(日) 【再放送】 10/28(月)-31(木)の日程で 下記11作品でお送りします! ドラキュラ(1992)ロミオとジュリエット(1968)陽のあたる場所英国王のスピーチグロリア(1980)華麗なるギャツビー(1974)ドリームガールズサタデー・ナイト・フィーバーラブソングができるまでシングルマン泥棒成金 ぜひ映画本編でも、数々のファッションをお楽しみ下さいませ!■
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COLUMN/コラム2013.09.29
2013年10月のシネマ・ソムリエ
■10月5日『ある結婚の風景[HDデジタルリマスター版]』 研究者のヨハンと弁護士のマリアンヌは、結婚10年目を迎えた夫婦。順風満帆だった彼らの関係にヒビが入り、激しい口論を繰り返したのちに離婚へと至る過程を描く。巨匠I・ベルイマン監督が手がけた5時間のTVシリーズを、劇場向けに再編集した人間ドラマ。ひと組の夫婦の関係性に焦点を絞り、愛の本質を見つめ直した野心作だ。全6章構成のドラマの大半は夫婦の対話シーンで占められる。彼らの感情がすれ違い、エゴをぶつけ合う様は圧巻の迫力で、このうえなくリアルで濃密な心理劇となった。 ■10月12日『第七の封印[HDデジタルリマスター版]』 十字軍の遠征からスウェーデンに帰還した騎士が、疫病や魔女狩りで荒廃した祖国の現実を目の当たりにする。そんな騎士の行く手には不気味な死神が現れるのだった。中世ヨーロッパに死神を出現させ、信仰や人生の意味といった根源的なテーマを問いかける異色作。I・ベルイマン監督のファンに熱狂的に支持されている寓話である。幻想的なイメージと哲学的な思索に富んだ映像世界は、巨匠のフィルモグラフィの中でも異彩を放つ。“死神とのチェス”や“死の舞踏”などの名場面も鮮烈な印象を残す。 ■10月19日『ベティ・ブルー / 愛と劇場の日々[HDデジタルリマスター版]』 海辺のバンガロー暮らしの青年ゾルグと、風変わりなまでに野性的な少女ベティ。仏のJ=J・ベネックス監督が2人の激しくも切ない純愛を綴ったラブ・ストーリー。 当時新人のB・ダル演じるベティは、恋愛映画史上希にみる激情のヒロイン。その一途な愛情表現には異様な凄みがみなぎり、世界的なセンセーションを巻き起こした。ベネックスが斬新な色彩感覚を発揮した映像世界を、監督自身の監修によるHDリマスター版で放映。情熱的な恋人たちが思いがけない運命をたどるラストも衝撃的だ。 ■10月26日『ブラインドネス』 ブラジルのF・メイレレス監督による異色サスペンス。ノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説「白の闇」を原作に、人間を失明させる奇病が蔓延した終末世界を描く。 視力を失った人々は政府によって隔離され、収容所に押し込められる。やがて権力闘争やパニックが勃発する密室内の人間模様を、息づまる緊迫感をこめて映し出す。国際色豊かなキャストが結集し、日本からは伊勢谷友介と木村佳乃が夫婦役で参加。かすかな希望を感じさせながらも、謎めいた余韻を残すエンディングに注目を。 『ある結婚の風景[HDデジタルリマスター版]』©1973 AB Svensk Filmindustri 『第七の封印[HDデジタルリマスター版]』© 1957 AB Svensk Filmindustri 『ベティ・ブルー/愛と激情の日々[HDデジタルリマスター版]』©Cargo Films / Gaumont All Rights Reserved. 『ブラインドネス』(c)2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures
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COLUMN/コラム2013.05.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年6月】飯森盛良
この良い面したオッサンがジョン・ミリアス監督です。かけてるグラサンはレイバンのアビエーター。着てるのはどうも実物っぽいA-2。この手のフライト・ジャケット姿(ナイロン系含む)で演出してるこの人のバックステージ写真は大量に残ってます。 はい、こういう格好してる漢ってのは、まず信頼してOK!だって亀山薫を見てくださいよ!かつて大空を駆ったヒコーキ野郎どもが戦場でまとった“現代の鎧”を蒐集し、わざわざ普段着として着るって行為は、自らそのイズムの継承者をもって任じているということの表明です。監督作を並べてみりゃ一目瞭然。『デリンジャー』、『風とライオン』、『ビッグ・ウェンズデー』、『コナン・ザ・グレート』、『若き勇者たち』、そして本作…ほら、全部、矜持を貫こうと意地になった漢たちの、実存を賭した大勝負の話ばっか! この格好で、さらに葉巻までふかしまくるミリアス監督。ちなみに『風とライオン』撮影中に男気映画の最高神ジョン・ヒューストンから葉巻を一子相伝されたパダワンであり、かつ『コナン』の現場でシュワに葉巻を直伝したマスターでもあるのです。このハリウッド葉巻閥、全員が一生ついて行きたい面々だな! 蛇足。『ビッグ・リボウスキ』の、リボウスキのダチのベトナム・ベテラン。モデルはこの監督です。 ® & © 2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2012.12.22
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年1月】山田
他人とのしがらみを避けるリストラ宣告人に人生の転機が訪れる…。現代人の人間関係を温かくシニカルに問う哀歓ドラマ。名匠アイヴァン・ライトマンの息子ジェイソンが父譲りのユーモア・センスを遺憾なく発揮する本作において、主演のジョージ・クルーニーはまさにはまり役!スーツ姿はバチっとキマり、世界の航空会社のキャビンクルー御用達ブランドtravelpro社製スーツケースを颯爽と転がす姿は、超絶ナイスミドル。企業の人件費削減の流れに伴うリストラの増加や、最近のネット社会からポイントカード依存症まで。複雑な現代社会を生き抜く皆様にとっておきの、“主人公がこれまでの生き方を見つめ直す系ムービー”! Copyright © 2012 DW STUDIOS L.L.C. and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2012.05.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年6月】山田
国営ラジオでレコードの放送時間が制限されていた'60年代英国に実在した、海賊ラジオ局をモチーフに描く群像劇。そして、ロック(当時はまだ“ポップ・ミュージック”と呼ばれていたらしい)を愛するすべての大人に捧げる青春音楽ドラマ。映画冒頭のキンクス「All Day and All of the Night」。イントロだけで血湧き肉躍る!権利のせいかお金のせいか、ビートルズは残念ながら一曲もかかりませんが、60年代後半の名曲がこれでもかというほど流れます。大音量での鑑賞を強くおすすめします! © 2009 Universal Studios and Medienproduktion Prometheus Filmgesellschaft GmbH & Co. KG. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2011.07.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年7月】THEシネマン
監督はM・ナイト・シャマラン。変な名前です。「シックス・センス」で名を馳せたこの監督と言えばラストのどんでん返し。最近はやめちゃったみたいです が、しばらくは完全なお約束でした。当然本作も。「うそ!」というラストではなく、「あぁ?」って感じの…。こういう映画は下手にオチを読まずに観るのが 正解。そうすれば、ひたすらもったいぶるシャマラン演出がクセになりラストでこう叫びたくなるはず。こりゃあシャマラン!! © Touchstone Pictures. All rights reserved.
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NEWS/ニュース2010.03.26
長塚京三さんが語る俳優ジョージ・クルーニーとは、あるいは試写会担当者の雑感
去る3月10日(水)新宿明治安田生命ホールにて、視聴者の皆様をご招待したザ・シネマ主催による新作映画『マイレージ、マイライフ』特別試写会を実施しました!150組300名様ご招待のところ、ナントそのウン十倍の応募数!たくさんのご応募、本当にありがとうございました!今回残念ながら抽選に漏れた方も次の機会にも是非ご応募下さい!さて当日。普段視聴者の方々と直接お会いする事が少ない我々ザ・シネマ編成部員も、この日は貴重な機会としてほぼフルメンバーでスタンバイ!タイトな時間で諸々準備を終えて予定通り18時開場。お客様をお迎えする事が出来ました。いよいよ本番スタート! 今回の試写会では映画上映前のスペシャルイベントとして、長塚京三さんのトークショーを実施。既にご存知の通り、長塚さんは現在ザ・シネマで毎週土曜朝10時からクラシック映画の名作をおおくりする「赤坂シネマ座」で、名作の魅力を紹介するオリジナル解説番組「シネマの中へ 長塚京三 映画の話」のナビゲーター。言わば“ライブ版シネマの中へ”開催です!長塚さんも視聴者の方々に直接お話出来る事に大変喜ばれていて、いつもの番組の雰囲気よりフランクな感じで語り始めました。観客の皆様に純粋な気持ちで映画を楽しんで欲しいと、本作の内容については語らなかった長塚さん。ただし本作主演のジョージ・クルーニーについては「何をやってもブレない。自分自身を笑えるスマートさがある。」と述べ、「平均的なアメリカの明るさを持っているから、彼の映画ならどの作品でも付き合える」と絶賛されました!また、長塚さん自身の“映画体験”についても言及。「3歳ぐらいから父に連れられて映画館に通った。学生の時は家から弁当を持って映画館をハシゴしていました。学校にはほとんど行かず1年に400本近く観てました」という程の映画好きだったそう。 さらには、俳優である自分の師匠も、映画の中のポール・ニューマンやヘンリー・フォンダとのこと。そして一番好きな映画として、ポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』(1967年)を上げられていました。映画『マイレージ、マイライフ』は、アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した『JUNO/ジュノ』(2007年)のジェイソン・ライトマン監督最新作。敏腕リストラ宣告人の人生の転機を描く人間ドラマで、ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞など60冠以上を獲得した話題作。ただいま全国公開中です!これに合わせてザ・シネマでは、ジョージ・クルーニー主演のサスペンス・アクション大作『ピースメーカー』を4月10日(土)に放送!こちらも是非ご覧下さい!!■ TM & (c) 2009 DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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NEWS/ニュース2008.08.05
08年アメコミ夏の陣、トップバッターは『インクレディブル・ハルク』
みなさん暑いですねぇ、『インクレディブル・ハルク』、もう見ました? この夏から秋にかけて、アメコミ・ヒーロー映画が波状攻撃的にやっくるワケですが、その最初を飾るのがこの『インクレディブル・ハルク』なのです。映画史的に見て、「2008年ってのはアメコミ・ヒーロー映画大豊作の年だったね」と言われること、もはや確実な情勢(今後も続々と公開されますが、それについては近日また書きます)。将来、「あの夏、私はその熱きムーヴメントの真っ只中にいて、すべてを体験し、目撃したのだ」と、遠くを見るまなざしで子孫に語り継ぐイカした年寄りになるためには、まずこの『インクレディブル・ハルク』を見なきゃ始まりませんよ。 今回ワタクシ、この映画に出演したエドワード・ノートンとリヴ・タイラーの2人にインタビューする栄光に浴しました。その模様のダイジェスト版がすでに当チャンネルでは流れておりますが、例によって、ここでは文字起こしして全文を掲載しましょう。 せっかちにも早速インタビューを始めようとするワタクシ。その、常人には計り知れないハイセンスな横山やすし師匠か『ケープ・フィアー』のデニーロ風なファッションを見たリヴ・タイラーから、「あなたの服キュートね。ベリー・スタイリッシュよ。私もメイン州に住んでた小さい頃、そんなような靴(デッキ・シューズ)履いてよく遊んだわ」との、み、み、み言葉が! Let’s 小躍り!夕星(ゆうづつ)姫アルウェン様にキュートって言われちった!! 嗚呼、かたじけなやもったいなや。前の夜、『魅せられて』DVDを見てギンギンにモチベーション高めてのぞんだ甲斐があったというもんだ。 …と、浮かれてばかりもいられません。限られた取材時間が惜しくて、リヴがせっかく気を使ってくれた“場なごませコメント”をあえて拾いには行かずに、いきなり本題に入る僕。しかもリヴを無視してまず主演のエドワード・ノートン相手に(リヴ・タイラーさんごめんなさい、そしてアイラブユー)。 で、早速ですがノートンさん。あなたは演技派、実力派、スゴい役者、というイメージが日本では定着してて、アメコミ・アクションの娯楽映画に出るって聞いた時はちょっと意外だったんですけど。 「だろうね。っていうか自分がいちばん意外。でもこのテの映画に出るってことは、自分的にかつてない経験なので、いつもと違うことができて良かったと思ってるよ。それに、ガキの頃にハマってた話に出られたのは、役者としてハッピーなことだしね」 (エドワード・ノートンでも子供の頃はハルクにハマってたんだ…) でも、あの天下のエドワード・ノートン主演ときたら、普通のアメコミ・アクションじゃないんでしょ? ハルクっていったら過去に何度も映像化されてるけど、やっぱり今作はちゃんとノートン印になってんでしょ? 「そりゃそうさ。ただのアメコミ映画じゃない。いろんな人に楽しんでもらえる作品に仕上がったと思うよ。それと、あれだね、言ってみりゃこれってシェイクスピアみたいなもんでさ、むかしっから何度となく再演されてるけど、そのつど何らか新しい要素が加わって生まれ変わり、次の時代に伝えられていく。ハルクの物語もそうやって伝えていきたいと思ってね。それに、世間でよく知られた作品をまた新たな創造世界に導くってことも、これまた役者としてはハッピーなことだしね」 なるほど。まさに、この人をして言わしめる、ってトコですな。 さて、お待たせしてすいませんリヴ・タイラーさん。どうも貴女が演じたベティって役のおかげで、今回のこの『インクレディブル・ハルク』はずいぶんとLOVEの要素が濃くなってると聞いてますが。 「そうね。たとえばTVシリーズのハルクって、根は優しいんだけど、すっごく孤独な存在で、独りぼっちで闘っているキャラだったでしょ?社会と関わっていきたいのに、自分がモンスターになってしまうって引け目があって、ジレンマを抱え込んでた。でもこの映画では、ベティの愛・ベティへの愛によって、そんなハルクが変わっていくの」 そうそう、肝心のストーリーを書き忘れてました。ブルース(エドワード・ノートン)は科学者で、アメリカ軍ロス将軍が指揮する人体強化薬の極秘開発プロジェクトにたずさわってたんだけど、自分自身に人体実験したその薬をオーバードーズしてしまい、モンスター化(このモンスターがハルクと呼ばれる)。緑の巨人に変身してバーサークし、秘密研究所をぶっ壊したあげくのはてに、同僚で恋人で将軍の娘でもあるベティ(リヴ・タイラー)にもケガを負わせた上、脱走してしまう。 一定時間たつと変身は解けて元のブルースに戻れるんですけど、体質的には永久に変わってしまって、以降、心拍数が特定値をこえるとハルク化する体になっちゃったんですねぇ。とくに、怒るのが一番よくない。心拍数が上がってヤバい事態になる。 そこでブラジルに渡って、怒りをコントロールするためヒクソン・グレイシーに呼吸法を習う、というかなり飛躍した思いつきを実行に移し、400戦無敗の男に横っツラを張られながらも必死に怒りをこらえる、というお笑いウルトラクイズすれすれな特訓をつうじて精神修養を積みます。 ただ研究プロジェクトをつぶされたロス将軍も黙ってません(娘をモノにした男ということで必要以上にブルースを目のカタキにしている模様)。ブルース=ハルクを生け捕ろうと特殊部隊をブラジルに送り込み、ブルースはその追っ手から逃げ回りながら「早く人間になりたーい」とばかりにキレイな体に戻るための科学的方法を研究しつづけ、ついに、結局はアメリカの大学で教鞭をとってるベティと再会することになるんですねぇ。 ブルースとベティ、焼けボックイについた火はメラメラと燃えあがり、一方でロス将軍の執拗な追跡は2人を着実に追い詰め、そのうえ将軍の部下の特殊部隊隊長が「おら、ハルクより強くなりてぇ。おらは宇宙いち強くなりてぇ」とドラゴンボール(しかもZ)的嫉妬にかられて暴走しだす。と、いよいよもって物語はドラマチックかつジェットコースターのような展開を見せていくのであります!さて、リヴ・タイラーのコメントを再開しますと、 「原作では、ベティとブルースを結婚させようって試みも何度かあったらしいの。それは悲恋に終わったんだけど、今回の映画では、そんな悲しいカップルをなんとか一緒にして、美しい物語に作ってあげたい、という気持ちがこめられていると思うわ」 そんなLOVE要素、そして、たたみかけるがごときアクション要素、そのうえ、クスっと笑わせるコメディ要素も案外ふんだんに盛り込まれていて、笑って、泣けて、手に汗握る、ありとあらゆる娯楽の要素をテンコ盛りにした、これぞエンターテインメント幕の内弁当状態なのですな、この映画は。 まさに、“2008年アメコミ・ヒーロー映画の夏”の口火を切るのにふさわしいトップ・バッター『インクレディブル・ハルク』。みなさん、ぜひ劇場に足を運びましょう!■