COLUMN & NEWS
コラム・ニュース一覧
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COLUMN/コラム2011.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年8月】山田
スピルバーグがアカデミー監督賞に輝いた戦争巨編。こと「戦争映画」に関しては、観る人のイデオロギーや国籍によって、作品自体の“良し悪し”や“好き嫌い”が決まってしまうのは仕方がないのかもしれませんが、それでも一本の作品として観たときに、やっぱり素晴らしいなと思うのです。個人的には撮影賞、音響賞受賞に拍手を送りたい。冒頭と終盤の臨場感溢れるシーンだけでも十二分に観る価値ありです。 TM & © 2011 PARAMOUNT PICTURES AND DREAMWORKS LLC AND AMBLIN ENTERTAINMENT. ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2011.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年8月】THEシネマン
この映画は’60年代の人気TVシリーズがオリジナル。と言ってもこの映画自体が、娯楽作として完成度高し!妻殺しの濡れ衣をきせられた医師の主人公。護送中に事故が起き脱走。警察に追われながらも真犯人を探す!設定が既に面白いですね。主人公を演じるのは80年代から90年代に大活躍したスター、ハリソン・フォード。そして主人公を執拗に追う捜査官にトミー・リー・ジョーンズ。この渋い俳優二人による“追跡劇”がたまりません!是非!! TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.
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COLUMN/コラム2011.08.02
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年8月】招きネコ
80年代は、「フラッシュダンス」「フットルース」など青春ダンス映画には数々のヒット作がありましたが、1本選べと言われれば、この「ダーティ・ダンシング」。主演のパトリック・スウェイジとジェニファー・グレイの全くの吹き替えなしの驚異的なダンス・シーン、当時駆け出しだった「ハイスクール・ミュージカル」や「THIS IS IT」の監督ケニー・オルテガが手がけたダーティ=下品という意味のセクシーすぎる振り付け、そして大ヒット主題歌。すべてが本物です。 ©1987 ARTISAN PICTURES INC. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2011.07.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年7月】招きネコ
私にとって映画を観るカタルシスを満喫できる、最もたまらないタイプの名作。それは、誰のせいでもなく悲劇が起き、せつなくて思わず映画を見終わった後 に、ラストに続く後日談やこうあって欲しいという別の結末を勝手に作ったりしてしまうような作品。この「別の結末」というのが、この作品の場合、なんと作 品独特の秘密のキーワードでもあるのです。あの一言や、あの瞬間、あの決断がなければ運命は違っていたのに・・・という思いを、ジリジリするような甘さ と、苦さで描いていくラストまで目が離せません。 ©2007 Focus Features. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2011.07.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年7月】飯森盛良
バカンス映画というジャンルが大好きです。あわただしくて忙しすぎる、または、同じ毎日の繰り返しで退屈すぎる…どっちにしても日常に不満のある人に、 「逃避って素敵!」という夢を見させてくれるのが、バカンス映画なのです。逃避した先では、日常とは違う、ゆったりとした、または、ドラマチックな時が流 れていて、今までとは違う人生の物語が始まる…そんな一生に一度の、運命を変えるようなバカンスの奇跡を描いた作品群を、『ホリデイ』はじめ全5作品、 ザ・シネマでは7月、夏休み突入にあわせて特集放送します! © 2006 Columbia Pictures Industries, Inc. and GH One LLC. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2011.07.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年7月】山田
冒険活劇の醍醐味満載!伝説の財宝の謎に迫る、ニコラス・ケイジ主演アクション・シリーズ第1弾。安心のディズニー印、そして全編を通しての、丁度良い ジェリー・ブラッカイマー具合。『インディ・ジョーンズ』や『ハムナプトラ』然り、「お宝探し大冒険」系の映画はいくつになっても、誰と観てもおもしろい のです。続編『ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記』とあわせてご覧下さい!夏にぴったり。 © Buena Vista International. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2011.07.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年7月】THEシネマン
監督はM・ナイト・シャマラン。変な名前です。「シックス・センス」で名を馳せたこの監督と言えばラストのどんでん返し。最近はやめちゃったみたいです が、しばらくは完全なお約束でした。当然本作も。「うそ!」というラストではなく、「あぁ?」って感じの…。こういう映画は下手にオチを読まずに観るのが 正解。そうすれば、ひたすらもったいぶるシャマラン演出がクセになりラストでこう叫びたくなるはず。こりゃあシャマラン!! © Touchstone Pictures. All rights reserved.
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NEWS/ニュース2011.02.28
LA発リポート!イケメン俳優グランプリ2011ハリウッド・スター賞買い付け紀行
彼に投票してくれた方の中から抽選でお贈りする今回のサプライズギフトは、ジョニデ御用達♪ニューヨークのジュエリーショップ C'est Magnifique で特注したネックレス! 折角ならジョニデとお揃いのアクセサリーが欲しい!というわけで、早速店主のアルフレドおじさんと電話でおしゃべりです。「ジョニーから新作のオーダーは入っているけど、彼忙しいからね。具体的なデザインが決まらないまま作業が止まっていてね…」と何とも残念なコメント。 「ならば他に女性向きデザインのアクセサリーとかないのかしらぁ」と東京のスタッフからの要望に応えるべく、昨年店を訪れた際の遠い記憶の糸をたぐってはみたものの、女性向きのアクセサリーなんて、さっぱり思いつきません。というのも、ここのお店、スカルリングでもお分かりの様にゴツイ感じのゴス調のアクセサリーばかり。女性向き商品自体がほとんどないのです(困)。 今年はこのタイミングでNYへ行くついでもなく、電話口で「可愛いのを選んでね」なんて曖昧なオーダーを入れたところで、アルフレドおじさんの選ぶそれが、乙女心を掴めるのかは半信半疑… そんな中、東京のスタッフが別件でNYへの出張が決まった、との朗報が入ってきました。直接店に足を運んでもらい、数点写真を撮ってきて欲しいと切願したところ、快く引き受けて頂けることに(嬉)。流石東京のスタッフです。よくぞあの店の中から、女子向きの“可愛い”を見つけてくれました!!革の紐がついたもの、ラベンダー色のストーンがついたもの、ちょっぴりミステリアスなデザインのペンダントヘッド…それらは銀座のウィンドウ越しで見つける繊細なものからは程遠いけど、カジュアルな服のアクセントとなる個性的で素敵な商品ばかりです。迷った末に手にしたのは、鍵の形をしたペンダントヘッド。 憧れのティファニーでも鍵をモチーフにしたアクセサリーがラインアップに加わり大人気!とのこと。 話題の“鍵”のネックレスを、しかもジョニデ風に、且つ女性らしさを忘れないデザインということで今回のギフトに選びました♪ 想像してみてください。ある日ポストに外国から届く小さな小包。そんなワクワクを胸に、あなたのホワイトデーがいつもより少し特別な日となることを願って。■
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NEWS/ニュース2011.01.21
LA発リポート!バレンタイン特集用ハリウッド・セレブ・グッズ買い出し紀行2011
3回目を迎えるバレンタイン企画、今年も話題のアイテムが詰まったセレブ感満載のギフトセットをハリウッドから直送便でお届けしましょう、ということで恒例(?)のお仕事という名のショッピングが始動です♪ 向ったのは、やっぱりビバリーヒルズ。目指すはPlanet Blueです。セレクトショップの老舗Fred Segal、瞬く間に店舗を増やし日本への上陸も果たしたKitsonに続いて、今セレブの間で人気なのが、このPlanet Blue。高級住宅地マリブを拠点に、カリフォルニアらしい太陽や海、自然をコンセプトに心地よさを追求した商品を揃えているのが特徴です。サンタモニカやベニスなど南カリフォルニアで店舗数を増やしていることからも、その人気と勢いが伺えます。ケイト・ハドソン、アシュリー・シンプソン、ミニー・ドライヴァーもここのファンで、買い物する姿が幾度となくパパラッチに撮られています。今回ギフトとしてチョイスしたのは、同店オリジナルデザインのエコバッグ。まとめ買いしたスーパーマーケットの帰り道も、これを肩にかけたら足取りが軽くなること間違いなし!?今回はビバリーヒルズ店で調達しましたが、サンタモニカ店も洗練された店が並ぶモンタナアベニュー沿いでとっても素敵。ロスに来たら一度は訪れて欲しいお店の一つです。 そして定番と言われても、やっぱり外せない、否、外したくないのが下着専門店ヴィクトリアシークレットです。Planet Blueに向ったついでに同じストリートにあるビバリードライブ店に立ち寄ることにしました。ブランドカラーでもあるピンクの商品に選びたいところですが、今年は少し趣向を変えてライトブルーのヒョウ柄のパジャマとスリッパのセットにしました。柔らかいフランネルの生地が肌に心地よく、しかも暖かいから、まだ寒さが残る春先にもピッタリ。袖は折り返してボタンで留められるので、長袖でも七分袖でも好みに合わせられるのも嬉しいデザインです。パジャマとスリッパで両手一杯になったので、ひとまずオフィスへ戻ることに。いや〜ショッピング、いえいえ、お仕事って大変だワん♪ 昨年好評だったSurly Girlのバッグの様なものを今年もギフトセットに入れたいなぁと雑誌をペラペラめくっていたところ、気になる商品が目に入ってきました。母と娘のコラボで誕生したロサンゼルス発ブランドDeux Luxのバッグです。「オフィスでは母が一番のお洒落さん」と話す娘のサラさん。親子で大好きな小物のデザインを手掛け、それが形になり人気となるのだから素敵な話ですよね。キラキラしたおおぶりの石を散りばめた財布や個性的な色を採用したバッグが印象的。どれも可愛く、特に若いコの間では大人気とのことですが、気持ちだけは若い!と頑張る私でも欲しくなる商品ばかり。雑誌Marie ClaireやGlamour等でも紹介され、セレクトショップKitsonでも取り扱っているとのこと、早速ロバートソンブルーバードへ向います。Deux Luxの商品は店の真ん中に可愛らしくディスプレイされていました。入手したのはピーチ色のバッグ。色々なものが入る大きめな作りが実用的ですそれにしてもKitson、やはり人気があるだけのことはあります。今回久しぶりに足を運びましたが、お洒落感がいやらしく露出しない、さりげない感じだけど、よく見ると細部までこだわっている商品が多い!と改めて感心してしまいました。気がつけばお昼過ぎ。Kitsonからの帰途、ランチのサラダを買いにオーガニック食品を主に扱うスーパーマーケットWhole Foodsへ立ち寄ることにしました。1980年にテキサスはオースティンで1号店がオープン以来、健康意識の高い消費者を中心に人気となり、現在では全米で一番ヘルシーなスーパーマーケットとして約300店舗を展開しています。アンジェリーナ・ジョリー、ハル・ベリー、アンナ・パキン、レニー・ゼルウィガーなど、健康志向のハリウッド女優が好んで買い物するスポットとしても知られています。オーガニック製品につき、お値段が全体的に高め。庶民の私には気軽なスーパーという感じではないですが、生鮮食品だけでなく、ハーブティーや石鹸など体に優しそうなものも沢山おいてあるので、買う物がなくても店内を見るだけでも楽しめます。 ここで見つけたIllumeのアロマキャンドルがなかなか。グリーンのセラミックの器がいつもの部屋を少しだけセレブな雰囲気に演出してくれるはず。ということで、これをギフトの一つとして購入することにしました!火を灯さずともジャスミンやバラがミックスされた優しい匂いが、日頃の疲れを忘れさせてくれます。Illumeキャンドルは、Whole Foodsを始め、セレブ御用達高級スーパーGelsons、デパートBloomingdale’s、セレクトショップAnthropologyなど全米4500店以上の小売店で展開。もともとはビバリーヒルズのショッピングモールで小さな店を開けたのが始まりですが、今ではマドンナ、シャーリーズ・セロン、コリン・ファレルやウィル・スミスなどのセレブが愛用するキャンドルブランドとしても知られ、デザインも香りも幅広いラインナップを揃えています。日本人の好みが最近なんとなく分からなくなりつつある中、東京のザ・シネマのスタッフからのアドバイスをもらいながら、今年も可愛いギフトセットが完成しました!ホワイトデーのサプライズがあなたのところに届きますように。■
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COLUMN/コラム2010.12.28
【珍説明 歴シネマB】第三帝国のいちばん長い日:『ワルキューレ』
本作は、ヒトラー暗殺未遂事件と、それに続くクーデターを描いた、ミリタリー・サスペンス映画である。主人公、トム・クルーズ扮演のドイツ軍将校フォン・シュタウフェンベルク大佐は、独裁者ヒトラーを殺し、ヒトラー政権を転覆させるという、いわば“善なるテロ”の実行犯であり、かつ、首謀者でもあった。同大佐は当時、国内予備軍に所属していた。国内予備軍とは、兵員補充、将兵の教育と訓練、師団の再編成などを任務とする、ドイツ陸軍の国内部隊である。前年、彼はアフリカ戦線で負傷。片目・片腕を失った。そのため復帰後は、前線ではなく内地の国内予備軍に配属され、有能な軍人であったため、後に参謀長という要職に就いた。国内予備軍参謀長。新たな師団編成について、ヒトラーに直接報告する立場である。しかもその際、身体障害を理由に、ボディチェックを例外的に免除されていた。 ヒトラーを殺そうと思えば殺せる距離まで容易に近づける立場にあったのだ。ゆえに、シュタウフェンベルク大佐は暗殺の実行犯となった。東部の森林地帯、総統大本営において。シュタウフェンベルクはヒトラーの足元に時限爆弾を置く。だが、それは爆発こそしたが、ヒトラーに軽傷を負わせたに過ぎなかった。そう。結末を書くようだが、このヒトラー暗殺計画は、失敗に終わる。当たり前である。ヒトラーは1945年4月末にベルリンの地下壕で自決したのであって、この映画の時点、1944年の7月に暗殺されたのでないことは、周知の事実である(史実を完全に無視し、映画の中でヒトラーを好きなようにブチ殺すことが許されている映画作家は、タランティーノぐらいだろう)。だが。第三帝国のいちばん長い日は、まだ始まったばかりであった。国内予備軍にはもうひとつ、重要な任務が与えられていた。国内の治安維持である。そのための極秘作戦こそ、「ワルキューレ」に他ならない。 「ワルキューレ」とは、ドイツ国内で反乱・暴動が発生した場合、それを速やかに鎮圧するための作戦である。つまり、本来の「ワルキューレ」は、ナチス政権の政治権力と、アドルフ・ヒトラー個人の生命とを守るためのオペレーションだったのである。東部の総統大本営から飛行機で帝都ベルリンに戻ってきたフォン・シュタウフェンベルクは、「ワルキューレ作戦」を発動させる。ヒトラー総統が暗殺された!(生死の情報が入り乱れ、ベルリンは大パニックに陥っていた) これはクーデターだ!と、ひとごとのように騒ぎまくり、その“クーデター”を鎮定するという名目で、かねてからの手筈どおり、国内予備軍は「ワルキューレ作戦」にのっとって行動を開始。まさしくマッチポンプ、自作自演である。そして、ヒトラー暗殺をもくろんだ“叛逆者”として、ナチ党の上層部やナチス親衛隊を根こそぎ逮捕する!もちろん、逆に、こちらの方こそが、本当の“クーデター”なのだ!誇大妄想と軍事冒険主義の果てに、近隣諸国を次々と侵しまわり、そこで当然のように市民生活を営んでいた無辜のユダヤ人を理由もなく虐げ、強制的に隔離・収容し、そうしておいて面倒を見きれなくなると、今度は老人から幼児まで何百万人もを殺処分した、ナチス政権。結果、永久に消えぬ汚名を祖国に着せ、世界中から袋叩きにされる羽目に陥れた、その亡国の政府首脳陣と、そうした一連の国家テロの尖兵を務めた親衛隊を、この際、一網打尽にするのだ。それも、ドイツ人自らの手によって!「ワルキューレ作戦」は国内予備軍によって遂行される。その参謀長が本作の主人公シュタウフェンベルク大佐である。ゆえに彼は、このクーデターの首謀者でもあったのだ。『ワルキューレ』という作品が、極めて映画的な魅力を放ちだすのは、むしろ暗殺計画が失敗し、後半、このクーデターのパートに入ってからだろう。我ながら見たことも聞いたこともない言葉で恐縮だが、仮に、映画に「クーデター・サスペンス」というジャンルがあるとするなら、本作の後半は、紛れもなくその「クーデター・サスペンス」として展開していく。圧倒的と言っていいスリルとテンポで、ブライアン・シンガー監督は、陰謀と謀略の緊張の只中に、見る者をグイグイと引きずり込んでいく。 手に汗握る“ヒソヒソ声の密談”! 固唾を呑む“電話でのやりとり”! 息詰まる“テレタイプ命令”!実に地味である。だが驚くべきことに、撮影用火薬とCGを多様したアクション・シーンよりも、はるかに緊迫感に富んだサスペンスを、基本、これだけのアイテムで、巧みに描いてみせるのだ。映画の結末をさらに記すようでもあるが、結局のところ、このクーデターも、わずか1日で失敗に終わる。ヒトラーと彼の政権とその暴力装置は、なお半年以上も生き長らえ、その間、ユダヤ人をはじめとした無辜の人々から、さらに天文学的な数の犠牲が払われ続けたのであった。ヒトラー一味の末路は、ドイツ映画界自身が描いた、実録調戦争歴史映画の掛け値なしの傑作、『ヒトラー 〜最期の12日間〜』に詳しい。本作を見た後でそちらも必見である。それにしても。ブライアン・シンガーである。『X-メン』や『スーパーマン リターンズ』などの印象から、いわゆる、“そうした作品の監督”であると、レッテルを貼っていたが(いや、そうした作品も小生は大好きではあるのだが…)、彼の才能はそれだけにとどまらないことが、本作で改めて証明された。『ユージュアル・サスペクツ』の時の、「何だか物凄いような才能が現れたぞ!」という、あの、映画ファンという因果な人種の日常に、ごく稀に訪れることのある、戦慄にも似た幸福な興奮が、十何年かぶりによみがえり、我知らず、今回も胴震いを発していた小生であった。『日本のいちばん長い日』、『パワープレイ』、『皇帝のいない八月』、そしてアニメ『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(と、その原点のOVAパトレイバー「二課の一番長い日 前・後編」もだが)…「クーデター・サスペンス」映画の歴史に、最新の、そして最高の傑作が加わった。■蛇足ながら。タランティーノが、『イングロリアス・バスターズ』で、「ドイツ兵同士が平気で英語で会話をし、米兵とも英語で普通にコミュニケーションするような従来のハリウッド映画、あれは変だ」といったようなことを言っていたように記憶する。同作でタランティーノは、ドイツ人にはドイツ語を、フランス人にはフランス語をしゃべらせ、ドイツ人がフランス人と話す際「言葉が通じないから」と、ごく自然に英語をしゃべらせ始めた。うまい脚本だ。そう何度もは使えない手だが。 『ワルキューレ』は全編英語だが、ハリウッド・スター(あまつさえ、あの、アメリカ人特有の“ニカっ”としたビッグ・スマイルをトレードマークにしているトム・クルーズ!)がドイツの軍人貴族に扮し、英語で会話することの違和感を少しでも軽減するべく、こちらも一工夫を凝らしている。冒頭、映画の題名ロゴがドイツ語で「Walküre(ヴァルキューレ)」とあらわれ、それを打ち消すように英語の「Valkyrie(ヴァルキリー)」というロゴがワイプインしてくる。トム・クルーズは映画冒頭のみドイツ語を話す。そのセリフの上に英語セリフが薄っすらとかぶり、次第に英語の音量の方が大きくなり、ついに、ドイツ語の音は英語によって完全にかき消されてしまう。つまりは、トム・クルーズがドイツ国防軍のM36将校服をまとい、英語でドイツ貴族を演じることの違和感を減らすエクスキューズのための一手間である訳だが、こうした工夫、作り手の創意を、小生は高く評価したい。映画とは、そうした創意工夫の積み重ねによって、年々進化していくべきものである。『イングロリアス・バスターズ』と『ワルキューレ』の登場により、少なくとも今日の映画は、タランティーノが言う「ドイツ兵同士が平気で英語で会話をするような一昔前のハリウッド映画」の段階から、成長を遂げたのだ。進化し成長することをやめた時、映画の“伝統芸能”化が始まる。そして終いには、一部のディレッタントや好事家の賞翫物になってしまうことだろう。それはもはや、エンタテインメントとは呼べない。我々の物でもない。ゆえに、上で述べたような、良く言って“工夫”、悪く言えば“小細工”であったとしても、基本的に小生はそれをポジティヴに評価したいと思っている。さて、2011年の映画は、我々に、どのような進化と成長を見せてくれるだろうか。映画ファンという因果な人種にとって、それこそが、毎年の大いなる愉しみなのである。■(聴濤斎帆遊) © 2008 United Artists Production Finance LLC.