ベトナムが仏領インドシナと呼ばれていた時代。貧しいフランス人少女と裕福な華僑の青年との、刹那的な愛の日々を描くロリータ映画の傑作。主演女優ジェーン・マーチの一瞬の“旬”を逃さずフィルムに記録した奇跡。蒸すような東南アジアの白昼、脂テカテカになりながら繰り広げられる、臭うようなセックスの生々しさ。そして、今や永遠に失われてしまった、若さと美しさ、ひとつの恋愛、懐かしきコロニアル様式への、狂おしいような追憶。以上が三位一体を成し、強い磁力を形成。当時高校生だったワタクシのハート(股間ではない)を直撃し、以来20年、ずっとマイベストな1本になっている。

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