ザ・シネマ編集部レコメンド
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COLUMN/コラム2018.02.26
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2018年3月】うず潮
韓国で100万人以上が酔いしれた、殺人を請け負う企業に勤める殺し屋の葛藤を描くクライムアクション。韓国で最も有名な俳優、ソ・ジソブが主演。彼が演じる完璧主義のクールな殺し屋が魅せる、そのキレッキレのガンアクションや殺陣は必見!惚れ惚れするようなカッコ良さを魅せてくれます!そんな彼が本作への出演を決めたのは、脚本を読んで殺し屋が普通の会社員のように働く設定に惹かれたとのこと。そのため、会社員のように振る舞う殺し屋を演じるため、スーツの下に着るシャツは白いで統一するなど普通っぽく見せる工夫もしたそう。ストーリーが進むにつれ、完璧主義者の殺し屋から、守るべき存在ができた男へと変わっていく姿も見どころのひとつ。ソ・ジソブファンはもちろんのこと、男性も是非見てほしい1本。キレッキレのアクション繋がりで、キアヌ・リーヴスのキレッキレのガンアクションが冴えわたる『ジョン・ウィック』(3月ザ・シネマで放送)と見比べしても面白いかも! ©2012 SIMMIAN AND SHOWBOX/MEDIAPLEX ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2018.02.26
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2018年3月】にしこ
知ってるよ!という感じかと思いますが、ダブリンというのはアイルランド共和国の首都であり、一番の大都市であります。そりゃあ華やかで、賑わっているだろうと想像されると思いますが、東京のターミナル駅と比べるとずっこけるくらい小さいです。メインストリートであるオコンネルストリートは15分くらいあれば端から端まで余裕で歩けます。そんな街角で二人の男女が運命的な出会いを果たすわけですが、実際のオコンネルストリートを歩いた私は「ほぼ毎日ここでギター弾いて歌ってたら、誰でも顔を覚えるだろうな」という感想を持つのであります。ネガティブな意味ではなく、この映画の主役二人が出会うのはまさしく「街角」という言葉がふさわしい、そんな場所だというイメージをしていただきたいのです。「ケルトの虎」と言われた時代(1995年から2007年まで続いたアイルランドの経済成長を指す表現。Wikipediaより)。EU各国から好景気に沸くアイルランドに出稼ぎに来る人々でダブリンは多国籍な街に。主人公の女性も生活の為に、家族を母国のチェコに残して出稼ぎに来た女性。故郷ではピアニストだった彼女。オコンネルストリートでギターを弾く男性主人公に声をかけたのは、必然だったのかもしれません。男と女は音楽という共通言語であっという間に距離を縮めていきます。男は、最後のチャンスに賭けるつもりでロンドンのレーベルに持ち込むデモテープを一緒に作ってくれないか、と女に協力を求めます。日々の生活に追われていた女は、自分が愛するピアノに触れる事で、どんどん生き生きとした表情と取り戻します。当然のごとく惹かれあう二人。しかし女には祖国に夫がいます。お互いに惹かれる気持ちを昇華させる為に、二人は曲を作ります。音楽が引きあわせた2人。音楽で二人の気持ちを形にしようとするのは自然な事なのかもしれません。二人が最後に出した答え。その答えにこそ涙してください。こんなに泣けて、すがすがしい恋もあるのだと。映画史に残る素晴らしいエンディングをお見逃しなく。アメリカでたった2館からの公開だったのが、口コミの素晴らしさから140館にまで公開館数が伸びた事が話題になっていたその頃、私はアイルランドの田舎町の片隅の、バイト先の洋服屋さんで毎日ラジオから流れる主題歌の「Falling Slowly」を聞いていました。お客さんがいない店内で、何度も口ずさんだ曲。思い出すたび甘酸っぱいっす!!■ © 2007 Samson Films Ltd. and Summit Entertainment N.V.
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COLUMN/コラム2018.01.30
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2018年2月】キャロル
『007』シリーズの5代目ジェームズ・ボンドこと、ピアース・ブロスナン。イギリスを代表する俳優で、かっこいい英国紳士のイメージが強い彼ですが、今回は冷酷非情な殺し屋役でめずらしく悪役を披露。本作の制作初期段階では別の配役だったのだそうなのですが、めぐり巡って最終的にピアースがキャスティングされました。確かに、ありがちな優しいダンディ男よりも、謎多き凄腕の殺し屋のピアース・ブロスナンと言われた方が視聴意欲を喚起される気がする・・・。そしてヒロインは『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチ。外交官で、スーツを着こなす強い女性というキャラクターに興味を持ち、出演を決めたのだとか。そういわれてみると、ジョヴォヴィッチがスーツ姿でアクションを披露するのは初めてだ。(というか、普通の人間というか現代人という役自体が初めてなんじゃなからろうか?)そんな、冷酷非情の殺し屋と、普通の人間、という普段見慣れない配役同士の二人が織り成す追及&逃亡劇は、想定している以上に新鮮です。舞台が繰り広げられるロンドンの街並みは美しく、映像に重厚感を与えていて見ごたえ十分。息をつく暇もなく次々とたたみかけるノンストップアクションを2月のザ・シネマでお楽しみください。■ © 2015 SURVIVOR PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2017.11.30
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年12月】にしこ
監督自身、アイルランドからアメリカへ移住し、自らの夢を叶えた人物。作中の様に、奇跡の様な飛び道具キャラクターの存在は実際あったかわかりませんが、当時の自分と家族のもがきを懐かしく、そして同じ様な経験をしたであろう、多くの他国からアメリカへやって来た人たちへの暖かく愛しい目線で描かれる名作です。2人の娘、クリスティとアリエルを連れてカナダ経由でアメリカにやってきたジョニーとサラ夫妻。入国規制が緩いカナダ経由でNYに入ろうとした冒頭から緊迫感が漂います。なぜ彼等はアイルランドからニューヨークへやってきたのか。言葉では言い表せない喪失をなんとか心機一転に変えるためにやってきたその理由は、作中で明かされます。小学校高学年の長女クリスティは長女らしいしっかり者。いつもハンディカムを回して家族を撮影しています。それは彼女が家族を俯瞰で観察し、必要とあればその均衡あやうい絆のバランスを保つため。物語は彼女の目線で語られていきます。一方幼い妹のアリエルは、その天真爛漫さで、新天地であるニューヨークの生活を子供ならではの柔軟性で楽しみ、家族を和ませます。そんな2人と対照的に、両親であるジョニーとサラは、まだぬぐいきれない喪失感と日々の生活の苦しさに余裕のない毎日。サラはジョニーに言います。「幸せなフリをして。子供たちのために。お願い」と。どんなに愛し合っていても、それだけでは超えられない悲しみがある。人には人それぞれの悲しみがあり、それを肩代わりすることはできないから。そんな生活の中、ヤク中患者の巣窟の様なニューヨークの治安の悪い地域のマンションに住む家族は、ハロウィンをきっかけに、謎の隣人マテオと出会う事になります。アリエルが「トリック・オア・トリートをやってみたい!」と言い出した事がきっかけ。これは、アイルランドからやってきた家族、というところに重要な意味が有ります!なんとアイルランドはハロウィン発祥の地でありながら「トリック・オア・トリート」がありません!これは、アメリカで生まれた独自の風習。アイルランド本国ではハロウィンは精霊や妖精が集うお祭りなので、日本でいうとねぶた祭りみたいに、でっかい山車が街を凱旋する。みたいなお祝いの仕方をします。(アイルランド在住1年。ザ・シネマ編成部にしこ体験談。)謎の隣人マテオははたして何者なのか?何者かどうかはさておき、彼との出会いで家族の運命が変わっていきます。学校の課題でハロウィンのコスチュームを作る事になった姉妹。姉のクリスティが「秋」の仮装をしたことを指摘された時に、「autumだね!」という母に「fall」よ!といいます。アイルランドでは秋の事を「オータム」と、アメリカでは「フォール」と言う。こういった文化の違いに子供たちが日々学び、格闘している姿をさらっと描くところも名匠の手腕。そして、クリスティ、アリエル姉妹を演じた実際の姉妹であるボルジャー姉妹。彼女達の純度の高いあの日々しか撮りえなかった瞬間を収めたというだけで、この作品には価値があると思います。クリスティが学校の学芸会で「デスペラード」を独唱するシーンの尊さ。アリエルの底抜けな純真さ。あえていいたい。この作品の主役は彼女達です。この作品の脚本は、監督のジムと娘の共同で書かれたもの。苦しく、懐かしく、そして輝かしかった日々であったことが、この作品を観ればわかります。必見です。■ © 2003 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2017.10.29
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年11月】キャロル
『ワイルド・スピード』シリーズのポール・ウォーカーと、女優・企業家・3児の母としてスポットライトを浴び続けるジェシカ・アルバ共演の、もはや夏の定番ともいえる『イントゥ・ザ・ブルー』。今や“豪華”共演ともいえる夏休み感満載の映画を、秋真っ盛りの11月に放送します!(公開も秋だったモンネ)監督のジョン・ストックウェルは、『クリスティーン(1983)』で注目され、トム・クルーズと『トップガン(1986)』含め二度共演を果たすなど、もともとは俳優としてキャリアを積んでいた人物。やがて脚本家・監督としての才能も発揮し、サーフィン大会を目指す女子を描いた青春映画『ブルー・クラッシュ(2002)』でブレイク。本作『イントゥ・ザ・ブルー(2005)』を続けて大ヒットさせます。この2本のヒットでマリン系が得意なイメージが定着しました。そんなわけで本作は、海の底には莫大な財宝が眠っている・・・という海洋ロマンを描いたアクション・サスペンスです。が・・・!見どころは唯一、ジェシカ・アルバのプリップリボディにあり。と言い切っても良いかもしれません!!ジェシカは、ティーネイジャーの頃にテレビシリーズ『ダーク・エンジェル(2000)』で大ブレイク。30代の今もその輝きは衰えることなく、女優という職業を超え、ファッションアイコンとして、そして年商180億の企業家として、さらに3児の母として、ハリウッドセレブでありながら地に足の着いた等身大の姿が、世界中の女性たちから絶大な支持を得ています。パッチンパッチンにはじけるボディで一時期はセックスシンボルとも称されましたが、実は敬虔なカトリック教徒でも有名(後にセックスシンボルの扱いに”very uncomfortable”であったと告白している)。ピュアな信仰心が全身から滲み出ているからかどうなのか、はじけるボディの水着姿がもはや神々しいというかスピリチュアルというか、なぜかイヤらしくないという不思議!スキューバダイビングのライセンスも取得しているだけあって、泳ぎのシーンも美しい。是非堪能してください。さいごに、主演のポール・ウォーカー。『ワイルド・スピード』シリーズで一躍スダーダムを駆け上がった彼は、人気絶頂の時期に本作『イントゥ・ザ・ブルー』に出演。昨年11月30日、『ワイルド・スピード』第7作目の撮影期間中、チャリティイベントの帰路で交通事故に遭い、40歳という若さで惜しくもこの世を去りました。一回忌に合わせて、11月30日に、ザ・シネマでは主演作『イントゥ・ザ・ブルー』を放送します!どうぞお楽しみに。■ ©2005 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC.. All Rights Reserved
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COLUMN/コラム2017.10.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年10月】うず潮
不慮な事故で死んでしまった彼女がゾンビになっても彼を愛し続ける!元カノ(ゾンビ)と今カノの間で揺れる青年の顛末を描くゾンビ・コメディ!監督は『グレムリン』シリーズなどのヒット作を手がけたジョー・ダンテ。御年70歳を迎えても精力的に作品を造り続ける彼は、『冒険野郎マクガイバー』の新TVシリーズ『MACGYVER/マクガイバー』でも監督しています(スゴイ!)。そんな彼が66歳の時に撮ったのがこの『ゾンビ・ガール』。熟練の技によるおバカ加減が絶妙で、『シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2015』にて全国劇場公開された話題をさらいました! 三角関係で揺れるホラー映画マニア青年マックス役を、『ターミネーター4』『スター・トレック』新シリーズに出演した新鋭アントン・イェルチンが軽妙に演じ、その彼女でゾンビになっても彼を愛し続けるイタイ役を、『トワイライト・サーガ』シリーズに出演したアシュリー・グリーンがウザさMAXで好演。さらに2012年の「世界で最も美しい顔100人」の第3位に輝いたアレクサンドラ・ダダリオがキュートに今カノを演じています。彼女は『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』シリーズ(ザ・シネマで10月放送)にも出演していて、そのお顔はお美しいのひと言。元カノ(ゾンビ)と今カノの美女ふたりに言い寄られる彼の行動にツッコミを入れながら見るとより楽しい1本です!■ ©2014 BTX NEVADA, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2017.10.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年10月】飯森盛良
実は昔っからロマコメがキュンキュンに一番好きという42歳中年ヘテロ妻子ありオヤジです。そういう男子もいるのだ。趣味で見る映画では野郎キャストはどうでもいい。ただヒロインを消費したいだけなんだ。アグリー?あと、バッドエンドなんてお仕事以外では見たかないねえ、嫌な気分は最近のニュースだけで沢山さ。ハッピーエンドだけ見ていたい。アグリー?アグリーな人にだけ全力でオススメしたいのが、近年稀に見るベストだと感じた本作。僕の座右の銘は「いつも心にトレンディを」。イカしたリア充都会暮らし、軽妙洒脱な会話、当然のごとくハッピーエンド。この感じだけで人生を満たしたいんだ僕は!そして一番はヒロインのイモージェン・プーツの愛らしさ。恋に落ちて僕は君をこう呼ぶことにした、「芋ぷぅ」と。■ © 2013 AWOD Productions, LLC. All Rights Reserved
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COLUMN/コラム2017.08.29
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年9月】飯森盛良
『エイリアン:コヴェナント』一足お先に見たが、「人間はどこから来たのか?人は何のため生まれてくるのか?」について語りたいシリーズであることがますます鮮明に。またリドスコ映画の同窓会の趣も。タイレル社長とロイバッティの関係、人体の腑分けに熱中するレクター博士の貴族趣味などが映画中に散りばめられ、さらに文学や音楽からの引用といい、「どんだけ深えんだ!」という豊潤な作品になった。しかーし!完全に『プロメテウス』の続編。『エイリアン』シリーズは見てなくても『プロメテウス』だけは見ておかないと話についていけない。ま、公開前にウチでは『エイリアン』シリーズも『プロメテウス』も全部やるんだけどな!■ © 2012 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2017.08.29
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年9月】キャロル
マーシャル・アーティスト(武道俳優)といえば、ブルース・リー、チャック・ノリス、ジャン・クロード=ヴァン・ダムらのような空手やテコンドーの使い手が主流のハリウッド。その中でもひとり合気道をメインにしたミックス・マーシャル・アーツの信念を貫き、独自のスタイルを確立させたスティーヴン・セガールは、65才を過ぎた今も年数本に出演するペースで現役真っ盛りに活躍しています。不思議なことに、彼のキャリア最高傑作とも称される1992年の『沈黙の戦艦(原題:UNDER SIEGE)』が大ヒットして以降、日本に配給されるセガール作品にはことごとく『沈黙の○○』という邦題が付けられています。チョイ役の作品でも『沈黙~』の冠が堂々と付けられ、DVDのジャケ写ではまるで主役級の扱いなんてことも。そして何を隠そう、本作『沈黙のSHINGEKI/進撃』がまさにそれ。正直に申し上げて、セガールの登場シーンは殆どありません!ハッハー!実にザンネーン!なのですが、それでもキャストが地味に豪華(!)なところが救いのポイント。主演は『CSI:科学捜査班』でおなじみのジョージ・イーズ。新シリーズ『MACGYVER/マクガイバー』で主人公の相棒役に抜擢され、今後ブレイクの予感も!ヒロインには、『新ビバリーヒルズ青春白書』で一躍時のひととなったアナリン・マコード。スーパーボディの彼女が夜のプールでスッポンポン!お色気シーンは美しすぎて男女問わず必見です。そして極めつけは2016年公開『ドント・ブリーズ』で盲目の老人役が記憶に新しいスティーヴン・ラング。強面を活かした役が多い彼ですが、本作でも謎に包まれた男の独特の“怖さ”を、ベテラン俳優ならではの巧みな演技で魅せています。 セガール全開ムービーを期待するとガッカリなところがあるかもしれませんが(笑)、ブレイク必至のライジング・スターたちの好演を観るのもまた一興。9月のザ・シネマで是非お楽しみ下さい。■ (C) MMXIV AMJ Productions, LLC All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2017.08.29
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年9月】お殿
建設中の博物館で足を滑らせた失業中の広告マンのロベルトが、足組のようなものに落下し剥き出しの鉄の棒に頭が刺さってしまいます。棒を抜いたら出血多量で死にかねず、救助を呼んだものの動けません。まさに「ピンで刺された虫のよう」な男の姿に、マスコミは大騒ぎ、報道合戦が白熱します。就職活動では無視されまくったのに今は国中に注目されている!ロベルトはこのオイシイ状況を利用し金儲けをしようと考えます。家族のため、広告マンとしてのプライドのため、痛みに耐え脂汗流しながら交渉するロベルト。この作品、スペインのブラックコメディなのですが、中々シニカルなものになってます。ロベルトが失業を苦に自殺未遂したと勘違いし同情した多くの若者が、キリストよろしく磔にされたロベルトを聖者のように扱ったり、広告業界の面々がえげつない便乗商法を繰り広げたり。異常な事態に発展していく様は、ある意味見ていて笑えます。ロベルトは無事に助かるのか、そして大金を手に入れることができるのかというところですが…オチまでシニカル。監督は、『どつかれてアンダルシア(仮)』や『気狂いピエロの決闘』で知られる、スペイン、バスク地方出身のアレックス・デ・ラ・イグレシア。本作を彼は「自らの魂をお金にしなければいけない時、人はどのように尊厳を保つか」についての映画だと語っています。若者の失業率が50パーセントを超えると言われるまでの経済危機に陥っているスペインで、「お金」と「尊厳」というテーマが彼独自のスタイル:コメディとして描かれています。ブラックな笑いも存分に味わうことのできる本作ですが、ロベルトを思う家族の姿には思いがけず心がギュッーと締め付けられます。特に印象的なのは奥さんルイサの聖女っぷり。40後半でもスタイル抜群で美しさ健在のサルマ・ハエックが、夫に寄り添う献身的なルイサを好演しています。また、エスパーニャ・ディレクトのリポーター役のイグレシア作品常連女優カロリーナ・バングは2014年に監督と結婚。ザ・シネマで放送中の、ゴヤ賞8部門を受賞した『スガラムルディの魔女』にも出演しています。映画の原題は人生のきらめき、という意味の「La chispa de la vida」。実際にスペインのコカコーラのスローガンとして使用されました。ブラックな笑いの中に、人生で大切なものは何かを考えさせてくれるこの作品、ぜひご覧ください。■ ©Alfresco Enterprises y Trivision