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ベスト・フレンズ・ウェディング
ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアス、結婚するならどっち?豪華俳優競演ロマンティック・コメディ
元恋人のハートを取り戻すため奮闘する女性にジュリア・ロバーツ。彼女のライバルとなるパーフェクトな婚約者にキャメロン・ディアス。2人の正反対な魅力が融合し、楽しくて切ない恋物語に仕上がっている。
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COLUMN/コラム2023.11.08
ここからキャメロン・ディアスの快進撃が始まる!ファレリー兄弟“おバカ映画”の最高傑作!!『メリーに首ったけ』
2018年度のアメリカ映画賞レース。その頂点とも言うべき「アカデミー賞」で、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』やスパイク・リーの『ブラック・クランズマン』等々、強力なライバルを打ち破って“最優秀作品賞”に輝いたのは、『グリーンブック』だった。 この作品は、人種差別が激しかった1962年のアメリカを舞台に、実話をベースとした内容。ツアーに出た、黒人ピアニストのドン・シャーリーと、その運転手兼ボディガードに雇われた、粗野な白人トニー・ヴァレロンガの間に生まれる、友情と絆を描いた、感動的な物語である。 作品のクオリティとしては、賞レースを制したことに、何の不思議もない。トニー役のヴィゴ・モーテンセン、トニー役のマハーシャラ・アリがそれぞれアカデミー賞にノミネートされ、後者が助演男優賞に輝いたのも、納得でしかない。 しかし少なくない数の映画ファンが、大きな驚きと違和感を禁じ得なかった。この作品の製作・監督・脚本を務め、作品賞と監督賞のオスカーを手にしたのが、ピーター・ファレリーであったことに。 ピーターは、1990年代中盤から、アメリカン・コメディ・ムービーのTOPランナーとして、数々の“バカ映画”を手掛けてきた、“ファレリー兄弟”の兄の方。そんな彼が、まさか“オスカー監督”になってしまうなんて! 私の場合、アカデミー賞でのピーター・ファレリーの歓喜の表情を見ながら、彼と弟のフィルモグラフィーの中でも、特に笑い転げた傑作コメディを思い出していた。『グリーンブック』のちょうど20年前に製作・公開された、本作『メリーに首ったけ』(1998)である。 ***** 高校生のテッド(演:ベン・スティラー)は、同級生のメリー(演:キャメロン・ディアス)に恋している。しかしキュートで人気者の彼女に、冴えない自分が相手にされるなど、想像もつかないことだった ところが、知的障害のある男の子をイジメから救ったことで、幸運が訪れる。何と彼は、メリーの弟。テッドに大感謝のメリーは、彼をプロム・パーティーへと誘った。 しかしプロム当日、メリーを迎えに行ったテッドを悲劇が襲う。トイレでジッパーに、大事なイチモツを挟み、救急車で搬送されるハメに。すべては台無しとなった…。 それから13年。テッドはメリーのことが、忘れられない。そこで親友のドムから紹介された、ヒーリー(演:マット・ディロン)という胡散臭い男を、調査に雇うことに。 ヒーリーは、今はマイアミで整形外科医となったメリーを見つけ出す。彼女は眩しいほどに美しく、ヒーリーは一目惚れ。テッドには現在の彼女のことを、「体重120㌔で車椅子生活」「父親の違う4人の子の母親」などと虚偽報告を行う。その上で自らは、マイアミへと引っ越し。メリーに近づこうと、様々な策を講じる。 報告が嘘であることを知ったテッドも、マイアミへ向かう。そして再会を喜ぶメリーから、首尾良くデートの約束を取り付ける。 しかしメリーに首ったけなのは、テッドやヒーリーだけではなかった。それも皆、ストーカー行為を辞さない、一癖も二癖もある男ばかり。テッドの13年に渡る片想いの行方は!? ステキなメリーは一体、誰を選ぶのか!? ***** ロードアイランド州出身で、1956年生まれのピーター・ファレリーと、58年生まれのボビー・ファレリーの兄弟。90年代に全米で大人気だったシットコム、「となりのサインフェルド」に、2人の書いた脚本が売れたことから、業界でのキャリアが始まる。 クレジット上は、ピーターが監督、ボビーが共同製作になっている、『ジム・キャリーはMr.ダマー』(94)が、映画界に於ける2人の共同監督のはじまり。邦題通りにジム・キャリーと、ジェフ・ダニエルズが大バカコンビを演じるこの作品は、全米で製作費の10倍以上、2億5,000万㌦もの興収を上げる大ヒットとなった。 続いての作品は、ウッディ・ハレルソンとランディ・クエイド主演のボウリング・コメディ『キングピン/ストライクへの道』(96)。今度はちゃんと、ファレリー兄弟共同監督名義の作品となった。 そして第3作が、本作『メリーに首ったけ』である。元は89年に、TVのベテラン作家だった、エド・デクターとジョン・J・ストラウスが書いたオリジナルストーリー。それを、新作企画を探していたファレリー兄弟が、友人のエドから貰ったのが、はじまりだった。 本作のストーリーだけを追うと、ある意味「普遍的なラブストーリー」にも見える。それをオリジナルの作者であるエドとジョン、そしてファレリー兄弟の4人で、少しずつ書き変えた。その際に、物語の序盤でテッドを襲う“悲劇”をはじめ、ファレリー兄弟お得意の、「低俗なユーモア」を次々と盛り込んでいったのである。 因みにこの“悲劇”の元ネタとなったのは、ファレリー家で実際に起こったアクシデント。兄弟の姉がパーティを開いた際、客のひとりが同じようにジッパーにイチモツを挟んでしまい、兄弟の母がそれを助けたのだという。 そんなリライトを経て、出来上がったのは、ボビー・ファレリー曰く、「『恋人たちの予感』と『ブレージング・サドル』を足して2で割ったような…」内容。『恋人たちの予感』(89)は、“ロマコメの女王”メグ・ライアンとビリー・クリスタルが共演した、恋愛コメディの名作である。それに対して『ブレージング・サドル』(74)は、“アメリカン・コメディの巨匠”メル・ブルックスによる、西部劇をパロディにした、大バカなスラップスティックコメディだ。 因みにボビーは本作について、『恋人たちの予感』の原題“When Harry Met Sally(ハリーがサリーに出会った時)”をもじって、『ハリーがサリーをストーキングした時』と呼んでもいいとも、語っている。 配役に関しては、テッド役のベン・スティラーは、ファレリー兄弟の第一希望が通ったもの。しかし当初、製作会社側はベンでは弱いと考えたのか、他にオーウェン・ウィルソンやジム・キャリーの名前も上がったという。 結果的にベンは適役だったが、本作を成功に導いたのは、何と言っても、メリー役にキャメロン・ディアスを得たことが大きい。 十代からモデルとして活動していたキャメロンの俳優デビューは、21才の時。『マスク』(94)で、主演のジム・キャリーの相手役を務めたのが、ほぼ初めての演技だった。 この作品は大ヒット。キャメロンの知名度も上がったが、『マスク』での役どころは、あくまでも、ジム・キャリーの付属物。そこで彼女は、演技の経験を積む意味もあって、暫しの間、低予算のインディペンデント映画への出演を続けた。 そして97年、ジュリア・ロバーツ主演の『ベスト・フレンズ・ウェディング』、ダニー・ボイル監督の『普通じゃない』と、話題作に立て続けに出演。評価が高まったところでの“主演”が、本作だった。 しかしキャメロンのエージェントは、本作の脚本を一目見て、これには関わらないように、彼女に忠告したという。下ネタが目白押しで、障害者をネタにしたり、動物虐待ギャグもふんだんに入った作品に出るなど、「正気の沙汰じゃない」「キャリアが終わる」と、考えたからだ。 一方でファレリー兄弟は、キャメロンの出演を熱望。メリーのキャラには、実在のモデルが居たという。それは、ファレリー兄弟の近くにいた魅力的な女の子。ところがその子は、若くして事故で亡くなってしまった。兄弟は彼女への想いをたっぷりと籠めて、美しくも心優しいメリーのキャラを造型した。そしてキャメロンは、その役にピッタリだったのだ! 彼女のスケジュールに合わせて、撮影開始を遅らせるなどの配慮も、心に響いたのか?キャメロンは周囲の反対を押し切って、本作のオファーを受けることとなった。 実は当時のキャメロンは、ヒーリー役のマット・ディロンと交際中で、恋人同士での共演となった。しかし共演は、これが最初で最後となる。本作公開後、2人に別離が訪れたのは、キャメロンのキャリアが本作で急上昇し、ディロンと逆転してしまったことが、無関係とは言えまい。 そうした以外でも、キャメロンにとって『メリーに首ったけ』は、至極大切な作品となった。本作から10年後、キャメロンの父エミリオが、58歳の若さでこの世を去った際、彼女は本作の場面を使って、父の追悼映像を作ったのである。『メリーに首ったけ』の撮影現場で娘に同行していたエミリオは、マイアミに向かうテッドが、誤って逮捕された後の警察でのシーンにカメオ出演している。その役どころは、テッドが釈放される際に囃し立てて見送る、赤い服を着た囚人達の内の1人。長髪で髭をはやしたエミリオが、スクリーン上にはっきりと確認できる。 エキストラに友人・知人を多く起用するなど、ファレリー兄弟の撮影現場は、非常に楽しく和やかな雰囲気だったという。そんな中で、キャメロンが「懐疑的」になったのは、本作で最も有名だと言っても良い、“ヘアジェル”のギャグ。未見の方のために詳細は伏せるが、テッドとのデートに出掛ける前、メリーがある体液を、ヘアジェルと間違えて髪に付けて…というシーンである。 キャメロン曰く、これはさすがに「…行き過ぎかも」と思ったそうで、ファレリー兄弟に、「女の子がデート時に自分の髪の異変に気付かないはずがない」と異を唱えた。しかしそれに対する兄弟の答は、「…これは誰も見たことがないようなサイコーに笑えるシーンになるんだから、やってくれなくちゃダメだ!」だった。 他のやり方も試しながら、最終的にはキャメロンも納得して、このシーンを演じた。そして、「映画史に残る」…と言っても過言ではない、観てのお楽しみの、あのヴィジュアルが生まれたのである。 本作で少なくない者から不興を買ったのは、メリーの弟が知的障害であったり、メリーに惚れている男の1人が、脚が悪いのを装っているシーンなど。「障害者をバカにしている」というわけだ。 しかしながら、障害はあくまでも個性の一部であり、健常者であろうと障害者であろうと、良い奴もいれば悪い奴もいる…というのが、ファレリー兄弟のスタンス。本当に障害のある者をキャスティングすることも多い彼らによると、こうした描写にクレームを付ける者のほとんどは健常者で、障害者の側からは、むしろ強く支持されることが多いという。 『メリーに首ったけ』は公開されるや大ヒットとなり、3億7,000万㌦もの興収を上げた。自信を深めたファレリー兄弟は本作以降、“解離性同一性障害”の男をジム・キャリーが演じる、『ふたりの男とひとりの女』(2000)、美しい心を持った100㌔超の女性がヒロインである、『愛しのローズマリー』(01)、結合双生児の恋模様を描く『ふたりにクギづけ』(03)等々、“おバカコメディ”の体裁の中で、常に人々の“差別意識”を問い続けていく そして2019年2月24日、アカデミー賞の授賞式。『グリーンブック』で作品賞に輝いたピーター・ファレリーは、次のようなスピーチを行った。「…この映画は愛についての物語です。お互いに違いがありながらも愛すること。そして自分を知り、我々は同じ人間なんだと知ることです…」『メリーに首ったけ』など、弟のボビーと共に“おバカ映画”の数々で扱ってきたテーマを、ピーターがより普遍的にブラッシュアップさせたのが、『グリーンブック』だったのである。■ ◆『メリーに首ったけ』撮影中のキャメロン・ディアス(左)と、ボビー・ファレリー(中央)&ピーター・ファレリー監督(右) 『メリーに首ったけ』© 1998 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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PROGRAM/放送作品
メリーに首ったけ
[PG-12]キュートな美女C・ディアスに誰もが首ったけ!ファレリー兄弟監督作の過激なラブコメディ
過激な下ネタギャグをカラッと明るく演じるキャメロン・ディアスの魅力が全開。そんな彼女を奪い合う男たちを演じるのは、クセのある個性派揃い。なかでもベン・スティラーの愛すべきダメ男ぶりは笑いと共感を誘う。
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COLUMN/コラム2023.01.31
テレビ版の魅力を継承しつつ進化させた映画版の見どころをチェック!『チャーリーズ・エンジェル(2000)』
‘90年代後半から流行したテレビシリーズの映画版リメイク ‘90年代後半から’00年代にかけて、ハリウッドでは名作テレビドラマの映画版リメイクが流行った。それ以前にも、ブライアン・デ・パルマ監督の『アンタッチャブル』(’87)やトム・ハンクスとダン・エイクロイド主演の『ドラグネット 正義一直線』(’87)、ハリソン・フォード主演の『逃亡者』(’93)などのリメイク映画が存在したものの、大きなきっかけになったのはそのデ・パルマが手掛けた『スパイ大作戦』(‘66~’73)の映画版リメイク『ミッション:インポッシブル』(’96)であろう。シリーズ化もされた同作の大成功に倣って、『セイント』(’97)や『ロスト・イン・スペース』(’98)、『アベンジャーズ』(’98)、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(’99)、『アイ・スパイ』(’02)、『S.W.A.T.』(’03)、『スタスキー&ハッチ』(’04)、『奥さまは魔女』(’05)などなど、数多くの名作テレビドラマが劇場用映画として甦った。 それゆえ、当時「ハリウッドはネタが尽きた」などとメディアでも揶揄されたものだが、恐らく実際そうだったのだろう。ヒット・ポテンシャルの高い企画を常に求めている各映画会社にとって、既に知名度がある往年の名作テレビドラマの映画化は、一からストーリーやキャラクターを作る必要もないため、手軽に稼げる美味しいネタと考えられたのかもしれない。ただ、映画ファンならばご存知の通り、当時雨後の筍のごとく作られたそれらのリメイク映画の大半は、興行的にも批評的にも決して満足のいく成果を上げたとは言えなかった なにしろ、テレビドラマというのは登場人物とそれを演じるスターの魅力が命。だからこそ、視聴者は毎週の放送を楽しみにして待ってくれる。しかし、当然ながら映画版リメイクでは別のスターが演じることになるわけで、そうなると作品のイメージそのものが変わってしまう。オリジナルの知名度が高ければ高いほど、ファンの期待を裏切ってしまうリスクは高い。『ミッション:インポッシブル』の成功だって、あれはトム・クルーズという希代のスターの存在があってこそだ。そうした中にあって、その『ミッション:インポッシブル』に次ぐ大成功を収めたテレビドラマの映画版リメイクが、同じくシリーズ化もされた『チャーリーズ・エンジェル』(’00)だった。 ‘70年代だからこそ生まれたテレビ版『チャーリーズ・エンジェル』 オリジナルはもちろん、’70年代に世界中で一大旋風を巻き起こした大ヒット・ドラマ『地上最強の美女たち!チャーリーズ・エンジェル』(‘76~’81)。警察学校を卒業した元婦人警官ジル・モンロー(ファラ・フォーセット)にサブリナ・ダンカン(ケイト・ジャクソン)、ケリー・ギャレット(ジャクリン・スミス)の美女3人が、声だけで姿を一切見せない謎多き大富豪チャーリー・タウンセンド(ジョン・フォーサイス)の経営する探偵事務所に雇われ、ちょっとトボケたオジサン上司ボスレー(ジョン・ドイル)の指示のもと、依頼人から相談された様々な事件や謎を究明するべく潜入捜査を試みる。さながら女性トリオ版ジェームズ・ボンドである。 全盛期の平均視聴率25.8%と驚異的な数字を叩き出し、着せ替え人形からノベライズ本まで様々な関連グッズが売れまくったという本作。その最大の理由は、間違いなく主人公のエンジェルたちであった。中でも、ジル・モンロー役のファラ・フォーセットは’70年代を象徴する国民的なセックス・シンボルとなり、アメリカ中の女性がライオンのたてがみのような彼女のヘアスタイルを真似たとも言われる。番組とは直接関係がないものの、彼女の水着ポスターも600万枚以上を売り上げた。また、明るくて天然ボケ気味のカリフォルニア娘ジルに、気が強くてお転婆な良家の令嬢サブリナ、モデルのようにエレガントでフェミニンなケリーと、三者三様のユニークな個性もバランスが良かった。番組では定期的にメンバー交代が行われたものの、ジルの妹クリス・モンロー役のシェリル・ラッド、ティファニー・ウェルズ役のシェリー・ハック、ジュリー・ロジャーズ役のタニア・ロバーツと、交代メンバーたちもいずれ劣らぬ魅力の美女揃い。その全員が、当番組を機にハリウッドのスターダムを駆け上がった。それもまた稀有な現象だったと言えよう。 そんな美しきヒロインたちが、任務のために毎回様々なコスチュームを披露してくれるのも番組名物。特に、半ばお約束となったビキニの水着シーンを目当てに、番組を楽しんだ男性ファンも多かったようだ。ほかにも、露出度の高い大胆なパーティ・ドレスや、時には色っぽい着替えシーンまで登場することもあった。ご存知の通り、アメリカのテレビは性描写に対して非常に保守的であるため、おのずと当番組も少なからぬ批判を受けたそうだが、なにしろ当時はリベラルなフリーセックスの時代である。そんなアメリカ社会の自由な空気が、本作の人気を後押しした面も恐らくあっただろう。 時代と言えば、男性の助けを借りずに悪者と戦うことの出来る、強くてパワフルで聡明なヒロイン像を打ち立てたという点でも、本作はウーマンリブの波が押し寄せた’70年代に生まれるべくして生まれた番組だった。それ以前にも、例えばアン・フランシスがセクシーな黒のレザースーツで活躍する探偵ドラマ『ハニーにおまかせ』(‘65~’66)やステファニー・パワーズがキュートな女性エージェントを演じるスパイ・ドラマ『0022アンクルの女』(‘66~’67)、アンジー・ディッキンソンがタフでセクシーな女性警部ペッパー・アンダーソンを演じた犯罪ドラマ『女刑事ペッパー』(‘74~’78)など、自立した強いヒロインが活躍するアクション・ドラマは幾つか存在したものの、しかしいずれもピンチの際に彼女たちを助ける男性パートナーの存在があった。一応、この『チャリエン』でも男性上司ボスレーのバックアップはあるものの、しかし現場で頼りになるのは自分たちだけ。決して強い男性に頼ることはない。そういう意味でも本作は画期的だった。 映画版はオリジナルと地続きの続編だった!? かくして、’70年代の社会ムーブメントすらも体現した金字塔的ドラマを映画として復活させたのが、’00年公開の『チャーリーズ・エンジェル』。本作が数多のテレビドラマに比べてリメイク向きだったのは、登場人物やキャストが変わってもあまり違和感がないことだろう。つまり、謎の大富豪チャーリー・タウンセンドの探偵事務所に雇われた3人の美女が活躍する…という基本設定さえ押さえておけば、そのメンバーが入れ替わっても大して問題ないのだ。実際、テレビ版もメンバー交代を繰り返しながらシーズンを重ねたわけだし、シリーズの終了から20年近くも経っているわけだから、エンジェルたちも世代交代していると考えた方がむしろ自然である。幸い、このリメイク版ではチャーリー役にオリジナルのジョン・フォーサイスが再登板。なおさら、時代が変わって世代交代が進んだことに説得力が増す。ビル・マーレ―のボスレーはコードネームと理解すればよろしかろう(笑)。なので、これはテレビドラマの映画版リメイクというよりも、テレビドラマから地続きの映画版続編と捉えた方が正しいかもしれない。 そんな新世代のエンジェルたちが、キャメロン・ディアス演じるナタリー・クックにドリュー・バリモア演じるディラン・サンダース、そしてルーシー・リュー演じるアレックス・マンデイの3人だ。笑顔のキュートな天然ボケ気味のカリフォルニア娘ナタリー、反骨精神旺盛なおてんば娘のディラン、エレガントな女王様タイプのアレックスと、各人がテレビ版のジル、サブリナ、ケリーのイメージをそれとなく継承しつつ、一方で演じる女優たちの個性を存分に際立たせた独自のヒロイン像を打ち出している。’70年代のエンジェルたちがセクシーでグラマラスならば、’00年代のエンジェルたちはワイルドでクレイジー。当たり前のことだが、求められる理想の女性像も変わったのだ。 その点は、監督のMcG(マックジー)も十分に意識していたはずだ。「一般的なアクション映画における男女の役割を逆転させた」と監督が語っている通り、あらゆる場面で主導権を握るのはあくまでもエンジェルたち、つまり女性である。一応、ナタリーとアレックスにはボーイフレンドがいるものの、ハッキリ言って単なる添え物にしか過ぎない。もちろん、プロデューサーに名を連ねたドリュー・バリモアの意向もあっただろう。そもそも、本作の企画を最初に立ち上げたフラワー・フィルムズは、ドリュー・バリモアと親友ナンシー・ジュヴォネンが創設した製作会社。恐らく、女性へのエンパワメントという意図もあったに違いない。その方向性は、同じくフラワー・フィルムズが製作した3作目『チャーリーズ・エンジェル』(’19)でより明確なものとなる。 また、本作は香港映画でもお馴染みのワイヤー・アクションをふんだんに取り入れた点でも印象的だった。ちょうど当時のハリウッドは、ジャッキー・チェンやチョウ・ユンファ、ジョン・ウー監督ら香港映画の才能が次々と進出していた時期である。恐らくハリウッド映画で最初に香港のワイヤー・アクションを導入したのは『マトリックス』(’99)だと思うが、しかし王道的なアクション映画で本格的に取り入れたのは本作が初めてだったかもしれない。ジョン・ウー作品など香港映画のファンを自認するMcG監督は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明』(’91)などで有名な武術監督ユエン・チョンヤンを香港から招へい。メインキャストたちは1日8時間、週5日間のカンフー・ブートキャンプを3カ月間みっちり続けたという。その甲斐あって、エンジェルたちのアクロバティックなアクションは実に見事な仕上がりだ。 一方、ストーリーは実にシンプルで単純明快である。新興ハイテク企業の創立者で天才エンジニアのエリック・ノックス(サム・ロックウェル)が誘拐され、共同経営者ヴィヴィアン(ケリー・リンチ)の依頼でエンジェルたちは捜査を開始。ライバル企業の社長コーウィン(ティム・カリー)とその手下の殺し屋・ヤセ男(クリスピン・グローヴァー)を怪しいと睨むも、実は全てエンジェルたちに近づくためノックスが仕組んだ狂言だった。その目的は、探偵事務所のボスであるチャーリーへの復讐。亡き父親がチャーリーのせいで殺されたと信じている彼は、謎に包まれたチャーリーの居場所を突き止めて抹殺するつもりだったのだ…! 実は、テレビ版にも似たようなストーリーのエピソードがある。それがシーズン1第5話「標的にされたエンジェル達」と、シーズン4第12話「チャーリー出動!孤島のエンジェル狩り」。どちらもチャーリーに恨みを持つ犯罪者がエンジェルたちの命を狙い、その住所すら誰も知らないチャーリーをおびき出して殺そうとする。具体的な設定や展開はだいぶ違うので、映画版がこれらのエピソードを下敷きにしたというわけではないが、もしかするとヒントくらいにはなったのではないかとも思う。 ちなみに、テレビ版「標的にされたエンジェル達」にはチャーリーの屋敷が出てくるのだが、これがまるでヒュー・ヘフナーのプレイボーイマンションみたい(笑)。そういえば、番組では声だけで後ろ姿しか登場しないチャーリーだが、いつも周囲にセクシーな若い美女をはべらせていたっけ。しかし、それから20年近く経った映画版のチャーリー宅は上品で落ち着いた雰囲気。やはり後ろ姿しか出てこない本人も、ひとりでのんびりとビーチを散歩している。年を取ってすっかり丸くなったようだ。 なお、本作にはテレビ版へ直接オマージュを捧げたシーンも存在する。それが、タイトルクレジットで登場する、囚人服を着たエンジェルたちが手錠に繋がれて逃亡するシーンだ。これはMcG監督が大好きだというシーズン1第4話「潜入!戦慄の女囚刑務所」からの引用。裏で人身売買を行っている刑務所にエンジェルたちが潜入するという、まるで’70年代にロジャー・コーマンが製作したB級女囚映画のようなお話だ。しかも、ゲストにはロジャー・コーマン映画の常連でもあったカルト女優メアリー・ウォロノフやクリスティナ・ハート、無名時代のキム・ベイシンガーも出ている。筆者もお気に入りのエピソードだ。その終盤で3人のエンジェルが手錠に繋がれたまま脱走を試みるのだが、映画版ではそのワンシーンを再現しているのだ。 ほかにも、『E.T.』(’82)や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(’85)、『フェリスはある朝突然に』(’86)など、大の映画マニアでもあるMcG監督が大好きな作品へのオマージュがそこかしこに盛りだくさん。ノックスが住んでいる近未来的なデザインの家はブライアン・デ・パルマ監督作『ボディ・ダブル』(’84)の再現だし、キャメロン・ディアスが華麗に舞い踊るドリーム・シークエンスはMGMミュージカルにインスパイアされたという。赤や青やグリーンの原色を大胆に使った色彩は、テレビ版シリーズのオープニング・シーンを彷彿とさせるが、同時に昔懐かしいテクニカラーへのオマージュでもある。「華やかで弾けていてカラフルで愉快な映画」を目指したというMcG監督だが、実際に目論見通りの理屈抜きで楽しい娯楽映画に仕上がった。この天衣無縫さが本作の最大の魅力かもしれない。■ 『チャーリーズ・エンジェル (2000) 』© 2000 Global Entertainment Productions GmbH & Co. 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PROGRAM/放送作品
ベガスの恋に勝つルール
キャメロン・ディアス&アシュトン・カッチャーの相性抜群!酔った勢いの結婚から始まるラブコメディ
ロマンティック・コメディの人気俳優キャメロン・ディアス&アシュトン・カッチャーが夢の競演。酔った勢いで結婚した男女が相手に仕掛けるハチャメチャな嫌がらせの数々に、2人の持ち味が活かされていて爆笑必至。
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COLUMN/コラム2022.11.09
ジョン・マルコヴィッチしか考えられなかった…。“カルト映画”の傑作『マルコヴィッチの穴』
本作『マルコヴィッチの穴』(1999)の原題は、“Being John Malkovich”。当代の名優とも怪優とも評される、ジョン・マルコヴィッチがタイトルロールを…というか、マルコヴィッチ自身を演じる。 日本ではアメリカから遅れること、ちょうど1年。2000年9月の公開となった。私はその頃、TBSラジオで「伊集院光/日曜日の秘密基地」という番組の構成を担当していたが、パーソナリティの伊集院氏がこの作品のことを、生放送前後の打合せや雑談などで、よく話題にしていたことを思い出す。かなりのお気に入りで、翌10月から始まった新コーナーに、「ヒミツキッチの穴」というタイトルを付けたほどだった。「ジョン・マルコヴィッチってのが、良いんだよな~」と、伊集院氏は言っていた。そして、「日本の俳優でやるとしたら、誰なんだろう?“大地康雄の穴”とかになるのかな」とも。 この例え、当時個人的には「絶妙」だと思った。今となっては、まあわかりにくいかも知れないが…。 私的にはそんな思い出がある『マルコヴィッチの穴』とは、どんな作品か?まずはストーリーを紹介しよう。 ***** 才能がありながらも認められない、人形使いのグレイグ(演:ジョン・キューザック)は、妻のロッテ(演:キャメロン・ディアス)から言われ、やむなく定職を求める。 新聞の求人欄から彼が見付けたのは、小さな会社の文書整理係。そのオフィスは、ビルのエレベーターの緊急停止ボタンを押してから、ドアをバールでこじ開けないと降りられない、7と1/2階に在った。そしてそこは、かがまないと歩けないほど天井が低い、奇妙なフロアーだった。 書類の整理に勤しむグレイグは、ある日書類棚の裏側に、小さなドアがあるのを見付ける。興味本位でドアを開け、その中の穴に潜り込むと、突然奥へと吸い込まれる。 気付くとグレイグは、著名な俳優ジョン・マルコヴィッチの脳内へと入り、彼になっていった。しかし15分経つとグレッグに戻って、近くの高速道路の脇の草っ原へと放り出される。 興奮した彼は、同じフロアーの別の会社のOLで、一目惚れしながらも相手にされなかったマキシン(演:キャスリーン・キーナー)に、この秘密を話す。マルコヴィッチ自体を知らなかった彼女だが、この体験=穴に入ってマルコヴィッチに15分間なる=を、1回200㌦でセールスすることを提案。グレイグと共にビジネスを始めると、深夜の7と1/2階には、行列が出来るようになる。 しかしこれはまだ、グレイグ&ロッテ夫妻とマキシーン、そして俳優ジョン・マルコヴィッチを巡る、不可思議な物語の入口に過ぎなかった…。 ****** ジョン・マルコヴィッチ。1953年12月、アメリカ・イリノイ州生まれで、間もなく69歳になる。『マルコヴィッチの穴』の頃は、40代半ばといったところ。 若き日に、仲間のゲイリー・シニーズらと立ち上げた劇団で評判を取り、やがてブロードウェイに進出。『True West』や『セールスマンの死』などに出演し、オビー賞など数々の賞を手にした。 映画初出演は、ロバート・ベントン監督の『プレイス・イン・ザ・ハート』(84)。主演のサリー・フィールドに2度目のオスカーをもたらしたこの作品で、盲目の下宿人を演じたマルコヴィッチは、いきなりアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。 以降は、主役から脇役まで幅広い役柄で、数多くの作品に出演。悪役やサイコパス役に定評があり、またヨーロッパのアート作品にも、度々出演している。 演技も風貌も、いわゆる「クセの強い」俳優であるが、プライベートでの言動や行動も、そのイメージを裏付ける。今ではその発言自体を否定しているが、「一般大衆に認識されているものはクソだ。彼らの考えにも吐き気がする。映画は金のためだけにやっている」などと、言い放ったことがある。 また、ニューヨークの街角で絡んできたホームレスに激怒し、大型のボウイナイフで脅したり、オーダーメードのシャツの出来上がりが遅れたテーラーに怒鳴り込んだり、バスが停車しなかったことに腹を立て、窓を叩き割る等々の、暴力的な振舞いが度々伝えられた。 その一方で、映画デビュー作の共演者サリー・フィールドが、「ただただ彼を敬愛している」と言うのをはじめ、共演者たちの多くからは称賛されている。初めてブロードウェイの舞台に立った『セールスマンの死』の共演者である名優ダスティン・ホフマンは、「彼との仕事は、私のキャリアの中でも貴重な経験だった」としている。 そんなマルコヴィッチをネタにした、摩訶不思議な本作のストーリーを書いたのは、チャーリー・カウフマンという男。それまでTVのシットコムの脚本を生業としていた彼にとっては、映画化に至った、初の長編脚本である。 本作の脚本は、「特に戦略を持たずに書き始めた」ということで、最初は「既婚者の男が恋をする」というアイディアだけだった。そこに後から、「穴を通って別人の脳内に入る」という発想が加わって、他者になりすまして名声を得たり、生き長らえようとする者たちや、逆にそうした者たちに自由を奪われて、己を失っていく者が登場する物語になったのである。『マルコヴィッチの穴』は、誰が観ても、「アイデンティティがテーマ」の作品だと、理解される。しかしカウフマンが書き始めた当初は、そんなことは考えてもいなかったわけである。 脳内に入られる人物に関しては、「マルコヴィッチ以外に考えられなかった…」という。マルコヴィッチがブロードウェイの舞台に立った時のビデオを観て衝撃を受けたというカウフマン。曰く、「彼がステージに立つと目が離せない」ようになった。そして本作の物語を編んでいくに際して、「彼は不可知な存在で、作品にフィットすると思った」と語っている。「マルコヴィッチ以外に考えられなかった…」のは、その「微妙な知名度」も、ポイントだったように思われる。映画・演劇業界の周辺では、誰も知る実力の持ち主であるが、万人にとってのスーパースターというわけではない。本作の中でマキシンが、マルコヴィッチと聞いても、誰かわからなかったり、タクシーの運転手が、マルコヴィッチ本人がやってもいない役柄で「見た」と話しかけてきたりするシーンがわざわざ設けられていることからも、作り手のそうした意図が、読み取れる。 因みにマルコヴィッチ自身は8歳の頃、“トニー”という名のもうひとりの自分を作り出していたという。その“トニー”とは、クロアチア系の父親とスコットランド及びドイツ系の母親から生まれたマルコヴィッチとは違って、スリムなイタリア人。至極人当たりがよく、首にスカーフを巻くなど、おしゃれで粋なキャラだった。 マルコヴィッチが“トニー”になっている時は、大抵ひとりぼっちだった。しかしある時はなりきったまま、野球の試合でピッチャーマウンドに上がったこともあったという。 そのことに関してマルコヴィッチは、「…たぶん多くの人が今とは別の人生を送りたいと願っているだろう…」と語っている。カウフマンが執筆当時、そんなことまで知っていたとは思えないが、そうした意味でも、本作の題材にマルコヴィッチをフィーチャーしたのは、正解だったかも知れない。役柄的には、逆の立場であるが…。 しかし、カウフマンの書いた『マルコヴィッチの穴』の脚本は、業界内で非常に評判になりながらも、なかなか映画化には至らなかった。内容が特殊且つ、エッジが立ち過ぎていたからだろう。 ジョン・マルコヴィッチ本人も、その脚本の完成度には唸ったものの、こんな形で俎上に載せられるのには臆したか、「自分を題材にしないことを条件に監督やプロデューサーを引き受ける」とカウフマンに提案。話がまとまらなかった。 もはや映画化は、不可能か?カウフマンも諦めかかった頃に、本作の監督に名乗りを上げる者が現れる。それが他ならぬ、スパイク・ジョーンズだった。 当時ジョーンズは、ビースティ・ボーイズやビョーク、ダフト・パンクなど数多の人気ミュージシャンのMVを演出した他、CMでも国際的な賞を受賞。写真家としても成功を収め、まさに時代の寵児だった。映画監督としては、短編を何本か手掛けて、やはり好評を博しており、長編デビューの機会を窺っていた。 そんな彼が「…とにかく、脚本が本当に良かった」という理由で、『マルコヴィッチの穴』に挑むことになったのである。当時の彼の妻ソフィア・コッポラの父、『ゴッドファーザー』シリーズなどのフランシス・フォード・コッポラ監督の後押しもあったと言われる。 その後ジョーンズとカウフマンで、映画化に向けての作業が進められる中で、件の経緯もあったせいか、ホントに“ジョン・マルコヴィッチ”が適切であるかどうか、2人の間で迷いが生じることもあった。このタイミングだったかどうか定かではないが、トム・クルーズの名が挙がったりもしたという。 しかし結局は、他の人物では満足できず、マルコヴィッチで行きたいということになった。マルコヴィッチの方も、スパイク・ジョーンズという希有な才能に惹かれたということか、「…あまりに途方もなくとんでもないストーリーだから、自分の目で見届けたくなった…」と、出演がOKになったのである。 完成した『マルコヴィッチの穴』は、「ヴェネツィア国際映画祭」で国際批評家連盟賞を受賞したのをはじめ、内外の映画祭や映画賞を席捲。一般公開と共に“カルトムービー”として人気を博し、アカデミー賞でも、監督賞、脚本賞、助演女優賞の3部門でノミネートされた。 この時はオスカーを逃したカウフマンとジョーンズだったが、2人とも本作が高く評価されたことから、監督、脚本家、プロデューサーとして地位を築いていくことになる。後にカウフマンは『エターナル・サンシャイン』(04)で、ジョーンズは『her/世界でひとつの彼女』(13)で、それぞれアカデミー賞脚本賞を受賞している。 因みにジョン・マルコヴィッチに関しては2010年、その軌跡を振り返る試みを、映画批評サイトの「Rotten Tomatoes」が実施。「ジョン・マルコヴィッチの傑作映画」という、ベスト10を発表した。 その際、第1位に輝いたのは、デビュー作の『プレイス・イン・ザ・ハート』。そこに、ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督の『家路』(01)、盟友ゲイニー・シニーズの監督・主演作『二十日鼠と人間』(92)等々が続く。そんな中で本作『マルコヴィッチの穴』(99)は、堂々(!?)第6位にランクインしている。 しかしこのベスト10以上に、本作のインパクトが、大きく残っていることを感じさせる出来事が、2012年にあった。それはマルコヴィッチが出演した、iPhone 4SのCM。この中で「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ…」というセリフが繰り返されるのだが、これは『マルコヴィッチの穴』に登場する、最もヴィジュアルイメージが強烈なシーンを、明らかに模したもの。 ではその元ネタとなったのは、果してどんな場面なのか?それはこれから観る方のために、この稿では伏せておこう。 「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ…」■ 『マルコヴィッチの穴』© 1999 Universal City Studios Productions LLLP. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル
今度の敵はデミ・ムーア演じる伝説のエンジェル!よりパワフルに70年代人気TVシリーズを再び映画化
70年代人気TVシリーズの映画化第2弾で、マックG監督やキャメロン・ディアスら美女トリオが再結集。今回はエンジェルたちの敵としてデミ・ムーアが登場し、年齢を感じさせないセクシーさで貫禄を魅せる。
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COLUMN/コラム2022.05.02
スペイン作品をトム・クルーズ仕様にリメイク!『バニラ・スカイ』で生まれた恋の行方
本作『バニラ・スカイ』(2001)の企画がスタートしたのは、2000年のとある日、アメリカの某所で行われた、あるスペイン映画の試写であったと言われる。その試写は、プロデューサーとしても活躍する、ハリウッドのTOPスターに向けてのもの。スクリーンに対峙するその男性は、トム・クルーズだった。 原題『Abre los ojos』、英語タイトル及び邦題は『オープン・ユア・アイズ』(1997)は、スペインの俊英アレハンドロ・アメナーバルが、20代中盤に監督した作品。ヒッチコックの『めまい』(58)にインスパイアされたと監督が語る通り、『オープン…』の主人公は“高所恐怖症”の青年で、そんな彼の、夢か現か判然としない経験をサスペンスタッチで描いている。 アメナーバル初の長編作品は、その前に撮った、『テシス 次に私が殺される』(95)。国内で大ヒットを記録した上、スペインのアカデミー賞と言われる“ゴヤ賞”で、最優秀作品賞を含む7部門受賞という、鮮烈なデビューを飾った。 続く『オープン・ユア・アイズ』は、「ベルリン国際映画祭」などで高評価を得た後、98年に開催された「第11回東京国際映画祭」では、最高賞の“東京グランプリ”に輝いている。 そんな作品の、自分向けの試写が終わるや否や、トムは“再映画化権”獲得に乗り出す。話は早かった。その時点で彼は、アメナーバルのハリウッドデビュー作となる『アザーズ』(01)のプロデュースを手掛けており、その主演に、当時の妻だったニコール・キッドマンを据えていたのである。 トムは『オープン…』の、何がそんなに気に入ったのか?それは主人公が愛する女性を演じた、ペネロペ・クルスだったと言われる。そしてトムは、“リメイク版”の同じ役を、再びペネロペに演じて欲しいと、アメナーバルに伝えたという。 この辺り、劇場用プログラムなどには、「この役を演じられるのは自分しかいない」と、ペネロペ自ら売り込んだと記されている。どちらが真実かは、この場で判断する材料はない。 しかしトムが、ペネロペに大いに惹きつけられたのは、間違いなかろう。それはニコール・キッドマンが、オーストラリア時代に主演した『デッド・カーム/戦慄の航海』(89~日本では劇場未公開)を、トムが偶然観たことから、ニコールのハリウッド入りが決まった時のように。 ニコールは、トムの主演作『デイズ・オブ・サンダー』(90)の相手役に招かれ、やがて彼と恋に落ちた。そして2人は、1990年に結婚している…。 さて『オープン・ユア・アイズ』転じて、トム主演作の『バニラ・スカイ』は、ヒロインにペネロペを迎えて、2000年11月にクランクイン。6週間の撮影が、行われた。 ***** 仮面を付けた男が、取調室のような場所で、精神分析医に、自らの回想を語っている…。 美貌と富と才能を併せ持った、デヴィッド(演:トム・クルーズ)。彼は若くして、亡き父から継いだ出版社のTOPを務め、人生を謳歌しているように、周囲からは思われていた。 プレイボーイの彼は、昨晩も美女のジュリー(演:キャメロン・ディアス)と一夜を共にした。親友の作家ブライアンに羨ましがられるも、デヴィッドはジュリーを、「ただの“セックスフレンド”」と、冗談めかしながら言い切る。 デヴィッドの誕生パーティが、彼の自宅で開かれた。ごった返すその場に、ブライアンがソフィア(演:ペネロペ・クルス)という女性を連れてくる。デヴィッドは彼女に、強く惹かれるものを感じる。 いつもとは勝手が違い、簡単に手を出すことは出来ないまま、ソフィアへの想いが強くなっていくデヴィッド。そんな彼の態度に気付いたジュリーは、デヴィッドを待ち伏せし、車の助手席に乗せると、いきなり暴走を始める。 無理心中を図って車を橋からダイビングさせたジュリーは、死亡。デヴィッドは3週間の昏睡状態を経て、一命を取り留めるも、身体は深く傷つき、その美貌を失ってしまう。 歪んだ心身を奮い起こして、愛するソフィアへと会いに行ったデヴィッドは、デートの約束を取り付ける。しかしここから、現実なのか妄想なのかはっきりとわからない、悪夢のような日々が始まった…。 ***** 本作『バニラ・スカイ』の監督を務めたのは、キャメロン・クロウ。トムがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた、『ザ・エージェント』(96)の際の手腕を買われてのことだった。 リサーチ魔であるクロウは、1本の作品を完成させるのに、大体4年の歳月を掛けて準備する。しかし本作に関しては、前作『あの頃ペニー・レインと』(00)公開の翌年に、完成させている。 それはそうだろう。『バニラ・スカイ』は、オリジナルである『オープン・ユア・アイズ』と、構成も展開もほとんど変わらないのだから。 しかしながら、スペインのローカル作品を、ハリウッド映画にリメイクするに当たっては、様々な趣向を凝らしている。スーパースターのトム・クルーズ主演作の仕様に。 例えば開巻間もなく、アパートメントで目覚めた主人公が街へと出ると、行けども行けども人影ひとつ見えないというシーンがある。これがハリウッド版だと、ニューヨークのど真ん中、無人のタイムズスクエアを、トムがどこまでも彷徨っていく…。このシーンはニューヨーク市の許可を得て、実際にタイムズスクエアを封鎖して撮影されたというから、驚きである。 そんなオープニングに代表されるように、美術や造形、VFXなどは、オリジナルとは比べものにならないほどの巨費が投じられている。 キャメロン・クロウらしさが特に際立つのは、音楽面。クロウは幼い頃より音楽に傾倒し、16歳で『ローリング・ストーン』誌の記者となって、様々なミュージシャンと交友を深めた強者である。そんなクロウが手掛けた本作には、ポール・マッカトニーとR.E.M.が新曲を提供。それに加えて、レディオヘッド、ボブ・ディラン、モンキーズ等々の楽曲がフィーチャーされている。 更には出演者のキャメロン・ディアスが、役名のジュリー・ジアーニで、レコーディングに挑戦。当時クロウの妻だったナンシー・ウィルソンの楽曲「アイ・フォール・アパート」を歌唱している。 さてそんな形でアレンジが施されていった『バニラ・スカイ』に、オリジナルに続いて同じ役で参加したペネロペ・クルス。主演のトムとの相性は、どうだったであったか? それは後にクロウが語った、こんなコメントが端的に表している。「…初めて関係者だけで試写をしたときは、観終わったあとに、『ああ、この二人、本当に愛し合ってたな』っていう実感が伝わってきたよ。フィクションが現実になるのに、時間はかからなかったね」 トムはペネロペと、真剣な恋愛関係となった。そして元より不和が噂されていたニコール・キッドマンとの結婚生活は、一気に破局へと向かう…。 …とはいえ本作は、トムとペネロペの“公私混同”を見るための作品などでは、決してない。キャメロン・ディアスや精神分析医を演じるカート・ラッセルなども、見事な演技を見せている。また本作より後の出演作で存在感を強めていく、ティモシー・スポールやティルダ・スウィントン、マイケル・シャノンといった脇役陣が、それぞれ短い出番ながら、強烈な印象を残しているのも、いま観る面白さであろう。 ここでタイトルに関しても、触れておこう。『オープン・ユア・アイズ』転じて、なぜ『バニラ・スカイ』になったのか? これはオリジナルにはない、本作に付加された設定に、由来する。デヴィッドの部屋には、モネの絵画が飾られており、その色使いは「キャンバスに広がるバニラ色の空」として説明される。 “バニラ”には、「シンプルな」「まっさらな」という意味もあって、実は本作の中で、デヴィッドがさすらう世界が、現実なのか?それとも、妄想や夢なのか? “バニラ色の空”は、それを見極める鍵となってくるのである。 公開時に「難解」との評もあった本作だが、その辺りを念頭に置くと、意外にシンプルに構成されていることもわかってくる。彷徨う主人公が一体どこに辿り着くかも含めて、これ以上は、観てのお楽しみとしたい。 余談になるがペネロペ・クルスにとっては、『バニラ・スカイ』がハリウッドデビュー作というわけではない。しかしトムとのロマンスもあって、本作で知名度が抜群にアップしたのは、紛れもない事実だ。 一時は「結婚間近」とも報じられたトムとの仲は、3年後=2004年に破局。その後ペネロペは、ウディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』(08)で、アカデミー賞助演女優賞を受賞した。これはスペイン人女優としては、初の栄冠であった。 思えばトムの妻だったニコール・キッドマンも、彼とのロマンスで名を成した。そして離婚後に出演した『めぐりあう時間たち』(02)で、アカデミー賞主演女優賞を受賞している。 ニコールもペネロペも、トムと破局に至った大きな理由として挙げられるのが、彼が熱心に信仰するサイエントロジー教会。2人とも、それに対して懐疑心を持ったことが、トムとの別れにつながったと言われる。 ニコールはその後、オーストラリア出身のシンガー、キース・アーバンと再婚した。ペネロペは、長年の友人だったスペイン人俳優のハビエル・バルデムと、ゴールイン。それぞれ出身地が同じパートナーを得て、幸せな結婚生活を送っていると伝えられる。 一方トムは、『マグノリア』(99)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたのを最後に、オスカーとはとんと縁遠くなってしまった。また2006年に結婚したケイティ・ホームズとも、一女を成しながら、結局はサイエントロジーがネックになって、6年間の結婚生活を終えている。 悪趣味と誹られるかも知れないが、そんなアレコレに思いを馳せながら鑑賞するのも、本作を楽しむ方法の一つであろう。■ 『バニラ・スカイ』TM & Copyright © 2022 Paramount Pictures. All rights reserved.
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PROGRAM/放送作品
チャーリーズ・エンジェル(2000)
とびきり美しくてタフな女探偵“エンジェル”たちが蘇る!伝説の人気TVシリーズを映画化
1976年に放送開始し日本でも人気を博したTVシリーズをCMや音楽ビデオの演出で鳴らしたマックGが初監督を務めて映画化。ワイヤーを駆使した華麗なバトルや、女探偵エンジェルたちのキュートな変装が楽しい。
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COLUMN/コラム2017.06.07
SEXテープ
ジェイとアニーは、かつて時と場所を選ばずにセックスしまくる熱愛カップルだった。そんな二人も今やふたりの子どもの親に。子育てに追われる日々の中、かつての情熱はもう取り戻せないのか? ある日、悩むジェイにアニーが提案した。「SEXテープを作らない?」 Tシャツにパンティ、足にローラースケートという悩殺ルックのアニーにジェイは興奮。ふたりはiPadのカメラを前にセックス指南本「The Joy of Sex」に掲載されたすべての体位を試すのだった。すべてが終わったとき、素に帰ったアニーは「録画を消して」とジェイに頼み、ジェイはそれに応じた。全ては終わったはずだった。 ところが悲劇はここから始まる。ビデオはiCloudに自動保存される設定になっていた。しかもジェイにはお気に入りの楽曲を収録した自分のiPadを親しい友人にプレゼントする習慣があった。つまりSEX動画はクラウドごしに他人が見られる設定になっていたのだ! おりしもアニーは、趣味でやっていた健全な子育てブログ「ママはエラい」にネット企業から出資したいとの依頼が舞い込んできたばかり。このままではプロブロガーになる夢が絶たれるばかりか、人生がメチャクチャになってしまう。ジェイとアニーはすべてのiPadを回収すべく、友人たちの家を回るのだが……。 『バッド・ティーチャー』で共演したキャメロン・ディアスのコメディ・センスに感服したジェイソン・シーゲルが、監督のジェイク・カスダンごと誘って、再共演をはたした『SEXテープ』(14年)は、ふたつの現象を笑い飛ばしたコメディだ。 ひとつめはネット上の素人ポルノ氾濫。ネット上にポルノが溢れているのは日本も同じだけどアメリカの場合、一般人が自ら積極的に製作した動画の割合がものすごく多いのである。ジェイソン・シーゲルの友人セス・ローゲンが主演した『恋するポルノ・グラフィティ』(08年)もこうした素人作品の製作現場を描いたものだった。当初トンデモない動画を撮ってしまったとビビるジェイとアニーは、物語後半にアメリカ中でそうしたものが量産されていることを知ることになる。 ふたつめはITを使いこなせていないのに、我々がそれに依存して暮らしていること。プロットを読んで気づいた人も多いかもしれないけど、クラウド上のデータさえ消去すれば、ジェイとアニーはiPadを回収する必要はない。ふたりはクラウドの概念を全く理解していないのだ。これを「情弱」と笑い飛ばすことは簡単だけど、すべての原理を理解してスマホやタブレットを使いこなしている人間が存在するだろうか? 騒ぎの大小やベクトルの違いはあれど、これは我々にも起こりうる悲劇なのだ。 そんな悲劇をスラップスティック・コメディに転化してみせた本作で、キャメロンはテンパったアニー役を熱演。必然性もないのに公式では初のヌードを披露したことでも話題を呼んだ。 またアニーの同僚役で『ファン家のアメリカ開拓期』のランダル・パーク、友人夫婦役で『アンブレイカブル・キミー・シュミット』のエリー・ケンパーと『チルドレンズ・ホスピタル』のロブ・コードリーといったテレビ・コメディの人気者が顔を揃え、シーゲルとキャメロンを好サポート。ジャック・ブラックがノー・クレジットだが重要な役で登場することも見逃せない。 そして何と言ってもロブ・ロウの起用には笑うしかない。というのも、彼の出演自体が巨大なギャグなのだから。80年代に『アウトサイダー』(83年)や『セント・エルモス・ファイアー』(85年)といったヒット作に出演していたロウは華やかなルックスも相まって、ハリウッドの未来を背負って立つ逸材と目されていた。ところが未成年の少女とのSEXテープがリークされたことで、スターの座から滑り落ちてしまったのだ。本作のタイトルが、テープで録画されているわけでもないのに「SEXテープ」なのはこの故事を踏まえているに違いない。 そんなキツいギャグに溢れた本作だけど、実は自伝的作品でもある。その自伝的部分を担ったクリエイターこそが、シーゲルと脚本を共同執筆したニコラス・ストーラーだ。 76年生まれの彼が、最初に注目されたのはTVドラマ『Undeclared』(01〜03年)だった。この学園コメディに参加していたスタッフおよびキャストがスゴい。『SEXテープ』で組むことになるジェイソン・シーゲルとジェイク・カスダンをはじめ、セス・ローゲン、ポール・フェイグ、グレッグ・モットーラ、ジョン・ハンバーグ、ジョン・ファヴロー、ジェニファー・コナー、ジェイ・バルチェル、そして全てを束ねる製作総指揮の座にはジャド・アパトーが座っていた。つまり現在のハリウッド・コメディ界を支える人材が集結していたのだ。 ライターとしてこの作品に参加したストーラーは、アパトーに才能を認められてジム・キャリーの主演作『ディック&ジェーン 復讐は最高!』(05年)の脚本を共同で執筆。キャリーに気に入られたのか、彼の主演作『イエスマン』(08年)の脚本も手がけた。 同じ年にストーラーは、アパトー製作の『寝取られ男のラブバカンス』(08年)で監督デビューも果たしている。盟友ジェイソン・シーゲルが主演と脚本を務めたこの作品は、ガールフレンドに突然フラれた主人公が、傷心旅行先で新しい恋と巡り会う物語だった。アパトーは67年生まれの自分よりひと回り若いストーラーの方が、主人公の気持ちに寄り添えると思ったのかもしれない。 そんな目論見が当たり同作は大ヒット。第二弾を要請されたストーラーは『寝取られ男』でラッセル・ブランドが演じたクレイジーなロックスター、アルダスをフィーチャーしたスピンオフ作『伝説のロックスター再生計画!』(10年)の製作、監督、脚本を手がけて大ヒットさせたのだった。 ストーラーは、その後も『ザ・マペッツ』(11年)、『憧れのウェディング・ベル』(12年)といったシーゲルの主演作の監督や脚本を務めているのだが、主人公の設定は<結婚に踏み切れないカップル>から<遂に結婚を決意するカップル>と、徐々に成長を遂げていた。共同脚本家のシーゲルは未だ独身。つまりこうした設定はストーラーが自分の人生体験をその都度、物語に反映したものだった。 こうしたストーラーのアティテュードが結実したヒット作が、セス・ローゲンとザック・エフロンの共演による過激なコメディ『ネイバーズ』(14年)だった。幼い子どもの世話でセックスを含む夫婦生活が停滞し、隣家の大学生たちの自由奔放な生活を羨んでしまう主人公の夫婦、ストーラーと彼の妻の鏡像なのだ。 しかし一方でふたりは第二子を熱望していたという。なかなか出来ずに大変だったとのことだが、そんな個人的な体験もストーラーは映画にしてしまう。しかも子ども向きアニメで。「赤ちゃんはコウノトリに運ばれてやってくる」という伝説をベースにした『コウノトリ大作戦!』(16年)がその作品だ。 コウノトリたちが企業利益を優先して赤ちゃん宅配サービスから撤退しているとか、子どもが自分で「かわいいのは今のうちだけ」と言って親を脅したり、設定を説明するセリフを喋る主人公に「説明するのは止めてよ」と相棒がツッコミを入れたりする、エッジーなギャグの中、第二子の到来を最後に同作は幕を閉じる。 もう分かったはず。『コウノトリ大作戦!』の続編こそが『SEXテープ』なのだ。ストーラーが、これからの人生体験をどのように映画に盛り込んでいくのか。それが楽しみでならない。 © 2014 Columbia Pictures Industries, Inc., LSC Film Corporation and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.