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PROGRAM/放送作品
スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜
裏取引、不正…大統領予備選の仁義なき内幕とは?ジョージ・クルーニー監督・出演の社会派サスペンス
実際に民主党予備選で選挙スタッフを務めたボー・ウィリモンが実体験をベースに執筆した戯曲を映画化。ジョージ・クルーニーがメガホンをとり自らも出演。主演には『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングを起用。
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COLUMN/コラム2023.10.10
ブラピとベネット・ミラー。野球好きでない製作者と監督が生み出した、21世紀型野球映画『マネーボール』
“ブラピ”ことブラッド・ピット(1963~ )が、『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)で、一躍注目の存在となった時、その作品を監督した稀代の二枚目スターに因んで、「第2のロバート・レッドフォード」と謳われた。それからもう、30年余。 ブラピはその間、ハリウッドのTOPランナーの1人として、主演・助演交えて数多くのヒット作・話題作に出演してきた。アカデミー賞は、4度目のノミネートとなった『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)で、助演男優賞を遂に掌中に収めた。 俳優として以上に評価が高く、辣腕振りを見せているのは、プロデューサー業である。2001年に映画製作会社「プランBエンターテインメント」を設立すると、製作を務めた『ディパーテッド』(06)と『それでも夜は明ける』(14)、製作総指揮とクレジットされている『ムーンライト』(16)の3作品で、アカデミー賞作品賞を受賞。また、製作・主演を務めた、テレンス・マリック監督作『ツリー・オブ・ライフ』(11)は、カンヌ国際映画祭の最高賞=パルム・ドールに輝いている。 そんな彼が2000年代後半、“映画化”に執心。4年の準備期間で幾多もの障害を乗り越え、2011年にリリースしたのが、実在の人物ビリー・ビーンを自ら演じた、本作『マネーボール』である。 ***** 2001年のメジャーリーグベースボール。アメリカン・リーグのオークランド・アスレティックスは、地区シリーズ優勝目前で、ニューヨーク・ヤンキースに敗退。そのシーズンオフには、チームの主力選手3人が、フリーエージェントにより、大金を積んだ他チームへ移籍することが決まった。 チームの編成を担当するのは、GM=ジェネラル・マネージャーのビリー・ビーン。選手の年棒総額が1億~2億にも達する、ヤンキースのような金満球団と違って、アスレチックスが割けるのは、4,000万㌦程度。抜けた選手たちの穴を、金ずくで埋めるなど、不可能だった。 補強に当たってビリーは、球団の古参スカウトらが上げてくる、「主観的」な選手情報に、不信を感じていた。彼自身が高校卒業と同時に、スカウトの「主観的」な高評価と、多額の契約金に目が眩んで、大学進学を取りやめ、メジャーリーグへと進んだ。その結果として、プロの“適性”がなく、惨憺たる現役生活を送った経験があったのである。 ビリーは、トレード交渉でインディアンス球団を訪ねた際、イエール大卒の若きフロントスタッフ、ピーター・ブランドに出会う。ビリーはピーターが、データに基づいて選手たちを「客観的」に評価する「セイバーメトリクス」理論を駆使していることを知り、自分のアシスタントに引き抜く。 二人三脚で、データ分析に基づいたチームの補強に乗り出した、ビリーとピーター。彼らが欲した選手の多くは、元の所属球団からの評価が低いため、「安く」入手できた。 ビリーたちのそんな常識外れのやり方に、監督も含む周囲との軋轢が生まれていく。そのままシーズンへと突入するも、勝利にはなかなか、結びつかない。 それまでのメジャーの常識を打ち破らんとする、ビリーたちの挑戦の行方は果して!? ***** 原作は、マイケル・ルイスが2003年に出版した、ノンフィクションのベストセラー。ここで紹介される「セイバーメトリクス」とは、1970年代にビル・ジェイムズなる人物が生み出した、データを駆使した野球理論である。 その内容から、主なものをごく簡単に紹介する。打者を評価するに当たっては、つい目が惹かれてしまう、ホームランの本数や打点、打率などよりも、四球なども含んだ出塁率や長打率を重視する。実はその方が、「相手チームより多く得点を記録する」ことに結びつく。即ち“勝利”のためには、有効であるというのだ。 投手の評価に関しては、「ホームラン以外のフェア打球は、それが安打になろうとなるまいと投手の力量とは関係ない」と、割り切る。 送りバントや盗塁といった伝統的な戦略については、「アウト数を増やす可能性が高い攻撃はどれも、賢明ではない」と酷評し、斬って捨てている。このように、「セイバーメトリクス」は、それまでの球界の常識をことごとく覆すものだった。 この理論は、野球ファンの一部から注目されながらも、メジャー球団の関係者からは、長らく無視された。そして、ドラフトやトレードでの補強や、実際の試合に於ける選手起用などでは、データに基づいた「客観」よりも、スカウトや監督などの「主観」が優先され続けたのである。 そうした旧弊を打ち破ったのが、アスレチックス球団だった。映画ではその辺りの流れは割愛・改変されているが、まずは90年代前半、当時のGMだったサンディ・アルダーソンが、「セイバーメトリクス」をチーム作りに応用し始めた。そしてその後任となったビリー・ビーンが、本格的な実践に踏み切ったのである。 その絶大な成果、「セイバーメトリクス」がいかに球界を変えたかについては、本編で是非ご覧いただくとして、実はプロデューサー兼主演俳優のブラピは、野球自体は「あまり観ない」上、本作に関わるまでは、知識もそれほどなかったという。それは彼が子どもの頃に出場した、野球の試合での経験に起因する。 フライを捕ろうとしたら、太陽に目が眩んで、ボールが顔を直撃。病院送りとなって、18針も縫ったのである。 それ以来野球に関わらなかったブラピが、本作の原作に惹かれたのは、「負け犬が返り咲いて自分の持ってるすべてを、あるいはそれ以上のものを発揮する部分」だったという。更に主人公であるビリー・ビーンの、「長いものにまかれない…」「人がノーマルだと思うことに疑問を持つ…」「何年も継続されているからとそれを受け入れてしまわない…」そういった“精神”に魅了されたのである。 しかしながら先にも記した通り、“映画化”が実現するまでの道のりは平坦ではなかった。とりわけ大きかったのは、2度に渡る監督の交代劇。 最初に決まっていたデイヴィッド・フランケルが降板すると、スティーヴン・ソダーバーグが後任の監督に。ところが、準備が進んで、いよいよ撮影開始数日前というタイミングで、スタジオ側から製作中止を申し渡される。 それでもブラピの心は、「このストーリーに取り憑かれてしまっていて」、本作の企画を「手放すなんてとてもできなかった」のだという。何としてでも、ビリー・ビーンを演じたかったのだ。 最終的に監督は、前作『カポーティ』(05)でアカデミー賞監督賞にノミネートされた、ベネット・ミラーに決まる。実はミラーも、野球自体はまったく好きではなかった。原作本に関しても、「スポーツビジネスの専門書みたいな本で、はじめはあまり読むのに気が進まなかった…」という。 ところが読み進む内に、「この物語にとって、野球はとっかかりでしかない」と気付く。そしてブラピと同様に、ビリー・ビーンの生き様に心惹かれ、「ぜひ掘り下げてみたい」という気持ちになったのだ。 脚本は、監督がソダーバーグだった時点では、スティーヴン・ザイリアンが執筆。その後ミラーが監督になってから、アーロン・ソーキンによるリライトが行われた。 ザイリアンは『レナードの朝』(90) 『シンドラーのリスト』(93)など、ソーキンは『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(07)『ソーシャル・ネットワーク』(10)など、それぞれ実話をベースとした脚色に定評があり、そうした作品でオスカー受賞経験のある2人。それをドキュメンタリー出身のミラー監督が演出することで、ビリー・ビーンの裏舞台での戦いが、リアルに浮き彫りになる。 同時に、チームが勝利に向かって邁進するという、ある意味王道が描かれる。こうして本作は、それまでの“野球映画”では見たことがなかったような、何とも絶妙なバランスの作品に仕上がったのである。 原作者のマイケル・ルイスは、「一本の筋あるいはドラマチックな展開があるとは必ずしも言えない」自作を、「きちんと映画化するのは非常に困難」と認識。「本と全然違う映画にするのか、あるいは本のとおり映画にしてひどい映画になるのか」どちらかだろうと考えていた。しかし完成作を観てミラー監督に、「この映画は(とても良いのに)本のとおりでした」と、大満足の評価を伝えている。 実在のビリー・ビーンは、ブラピが自分の役を演じると聞いて、少し意外な気がしたという。しかし実際に彼と接して、その役作りへの努力を目の当たりにする中で、ブラピが明確なヴィジョンを持ち、この上なく礼儀正しい人物だったことに、感銘を受けた。 一方で、この映画化に最も不満を覚えたのは、本作でのビリー・ビーンの片腕、ピーターのモデルとなった、ポール・デポデスタであった。デポデスタは己の役を、自分とは似てもにつかない太っちょのコメディアン、ジョナ・ヒルが演じることに、納得がいかなかった。またそのキャラが、オタクのように描かれることにも、我慢ならなかったようだ。 結果としてデポデスタは、実名を使うことの許可を出さなかった。そのため彼に当たるキャラは、ピーター・ブランドと、改名されたのである。 そのピーターを演じたジョナ・ヒルは、シリアスな演技が出来ることも披露した本作で、アカデミー賞助演男優賞にノミネート。高評価を得て、その後役の幅を広げていく。 因みに“野球映画”としてのクオリティを高めるのに効果的だったのは、メジャーリーグやマイナーリーグなどの元プロや大学野球の経験者などを、選手役にキャスティングしたこと。そんな本物の元野球選手たちの中で、一塁手スコット・ハッテバーグを演じたクリス・プラットは、唯一人野球経験のない俳優だった。 そのためプラットは、かなりハードなトレーニングに積んだ上で、実在のハッテバーグの特徴をよく捉えた役作りを行った。結果として本作のベースボール・コーディネーターからは、「野球選手としての成長ぶりには目覚ましいものがあった」と、高評価を勝ち取った。 この時のプラットは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ(14~ )や『ジュラシック・ワールド』シリーズ(15~ )で、主演スターにのし上がる前夜。そんなプラットの野球選手ぶりをウォッチするのも、本作を今日観る上での、楽しみ方の一つと言えるだろう。 ブラッド・ピットは本作で、「21世紀型」とも言える、それまでになかった、新たな“野球映画”をクリエイトした。アカデミー賞では作品賞や主演男優賞など6部門にノミネートされながら、残念ながら受賞は逃したものの、ブラピにとって『マネーボール』が、俳優としてもプロデューサーとしても、代表作の1本となったことは、間違いあるまい。■ 『マネーボール』© 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
マネーボール
常識破りの理論を武器に金持ち球団と戦った異端児がいた。ブラッド・ピット主演のサクセスストーリー
革新的なマネーボール理論でメジャーリーグの弱小球団を常勝チームに変えた、実在するゼネラルマネージャーの奮闘を映画化。勝利に貪欲で気性の激しい熱血漢を、プロデューサーも兼任したブラッド・ピットが好演。
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COLUMN/コラム2014.06.29
2014年7月のシネマ・ソムリエ
■7月6日『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』 第二次世界大戦中のドイツで反ナチ運動を行ったミュンヘンの学生組織バラそのメンバーが当局に逮捕され、国家反逆罪で処刑されるまでを描く実録ドラマだ。 主人公は唯一の女性メンバーだったゾフィー・ショル。現存する尋問記録に基づき、彼女とゲシュタポの取調官との対話を再現した緊迫感みなぎるシークエンスが圧巻。 ベルリン国際映画祭で監督賞、女優賞を受賞。とりわけ迫りくる死の恐怖に震えながら、自らの良心と信念を貫き通すゾフィー役、ユリア・イェンチの演技が感動的だ。 ■7月13日『永遠のマリア・カラス』 1977年に53歳の若さで死去したマリア・カラス。この20世紀を代表する伝説のオペラ歌手の生誕80周年を記念し、彼女の謎めいた晩年の生き様に迫った人間ドラマだ。 かつての美声を失い、パリのアパルトマンで隠遁生活を送るカラス。旧知のプロモーターから新作映画の企画を持ち込まれた彼女のアーティストしての葛藤を描き出す。 事実に創作を織り交ぜて本作を完成させたF・ゼフィレッリ監督は、生前のカラスと親交があったオペラ演出家でもある。仏の名女優F・アルダンの入魂演技も見ものだ。 ■7月20日『ダウト〜あるカトリック学校で〜』 トニー賞とピュリッツァー賞に輝いた傑作舞台劇の映画化。カトリック学校を舞台に、具体的証拠のない“罪”をめぐって疑う者と疑われる者の闘いを描く心理劇である。 進歩的な思想を持つ神父が、学校内で黒人生徒に性的虐待を加えたとの疑惑が浮上。新米のシスターからその報告を受けた女性校長は、神父を厳しく問い質していく。 校長役のM・ストリープを中心とする主要キャスト4人全員がアカデミー賞候補に。人間の信念や弱さなどを多面的に体現した迫真のアンサンブルから目が離せない。 ■7月27日『リトル・ダンサー』 労働者階級の家庭で育った11歳の少年がバレエの虜になり、本格的にダンサーをめざしていく。サッチャー政権下の1980年代、炭鉱町を舞台にしたサクセスストーリーだ。 主人公ビリーがチュチュ姿の女の子たちに囲まれてレッスンを受けるシーンの微笑ましさ! 頑固な父親との対立と和解のエピソードも涙を誘う良質なドラマである。 『めぐりあう時間たち』のS・ダルドリー監督のデビュー作。T・レックスやザ・ジャムの曲に乗せ、ビリーがストリートで身を躍らせるダンス・シーンがすばらしい。 『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』©Jürgen Olczyk 『永遠のマリア・カラス』©2002 Medusa Film ‐ Cattleya ‐ Film and General Productions ‐ Galfin ‐ Alquimia Cinema ‐ MediaPro Pictures ‐ 『ダウト ?あるカトリック学校で?』© 2008 Miramax 『リトル・ダンサー』© Tiger Aspect Pictures Ltd. 2000 © 2000 Universal Studios. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
(吹)マネーボール
常識破りの理論を武器に金持ち球団と戦った異端児がいた。ブラッド・ピット主演のサクセスストーリー
革新的なマネーボール理論でメジャーリーグの弱小球団を常勝チームに変えた、実在するゼネラルマネージャーの奮闘を映画化。勝利に貪欲で気性の激しい熱血漢を、プロデューサーも兼任したブラッド・ピットが好演。
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COLUMN/コラム2014.05.27
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2014年6月】キャロル
『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督が、60年代英国に実在した海賊ラジオ局をモチーフに描く傑作エンターテインメント。個性豊かな8人のDJたちが織りなす自由でクレイジーな日々が、どうしようもなくアホで、カッコ悪くて、気まずいけど、そんな彼らのどこか悲しげな姿が「これぞロック・スピリットだ」と言わんばかりで最高にカッコ良く見えてきます。当然ながら音楽も最高!鑑賞後の後味もスッキリな映画NO.1なので、是非見てほしい一本です。 © 2009 Universal Studios. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
カポーティ
名作ノンフィクション小説「冷血」誕生に隠された苦悩とは?天才作家の矛盾を大胆に描く人間ドラマ
トルーマン・カポーティが代表作「冷血」を完成させるまでの6年間をたどる人間ドラマ。執筆を通じて大きな矛盾に直面するカポーティの苦悩をフィリップ・シーモア・ホフマンが熱演し、アカデミー主演男優賞を受賞。
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COLUMN/コラム2012.05.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年6月】山田
国営ラジオでレコードの放送時間が制限されていた'60年代英国に実在した、海賊ラジオ局をモチーフに描く群像劇。そして、ロック(当時はまだ“ポップ・ミュージック”と呼ばれていたらしい)を愛するすべての大人に捧げる青春音楽ドラマ。映画冒頭のキンクス「All Day and All of the Night」。イントロだけで血湧き肉躍る!権利のせいかお金のせいか、ビートルズは残念ながら一曲もかかりませんが、60年代後半の名曲がこれでもかというほど流れます。大音量での鑑賞を強くおすすめします! © 2009 Universal Studios and Medienproduktion Prometheus Filmgesellschaft GmbH & Co. KG. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
ビッグ・リボウスキ
[R15+]愛すべきダメ男が予期せぬ騒動に巻き込まれる!コーエン兄弟作品の不条理コメディ
コーエン兄弟作品らしい風変わりなキャラクターたちが入り混じり、人間の滑稽さが浮き彫りになっていく不条理コメディ。奇妙な出来事を連続させながら本筋の事件から逸脱していく、独特の緩い語り口がクセになる。
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COLUMN/コラム2011.08.23
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年9月】山田
25時間後に収監される男のシャバ最後の1日を描く、スパイク・リー監督、エドワード・ノートン主演のドラマ。全編を通して感じる重たく暗い印象や、映画を見終えた後に残るなんとも言えない余韻。ストーリーやテーマはいたってシンプルですが、全体的にすごく「丁寧」な映画。エドワード・ノートンも文句ナシなのですが、バリー・ペッパーの演技には殊更感動を覚えます。男性ならきっと目頭が熱くなるはず。 ©2002 Touchstone Pictures. All rights reserved.