ショーン役:浪川大輔様
ハン役:川島得愛様
浪川今回は高校生たちがメインの物語なので、ストレートに演じるよう心がけました。ドリフトシーンも非常に迫力があって。あっという間に収録が終わった印象です。ショーンというのは以前演じたことのある役ではあるんですが、今回はまったく違うキャラクターとして登場するため、高校生らしい未完成さや甘酸っぱさと、決めるところは決めるというバランスを考えながらやってほしいという指示がありました。ただ自分の年齢的なこともあるので、演じるのは難しかったですね。とにかく高校生なので、思春期的というか、ちょっぴり反抗的な部分を出しつつ演じられたらと思いました。
川島僕は今まで過去のシリーズでハンを何作かやらせていただいていたんですが、この作品だけはやったことがなかった。ただし以前から作品は見ていたので、今回実際にセリフを口にすることで、ハンというキャラクターの芯がより太くなったように感じています。今回は浪川さん、石川界人くんと3人での収録でしたが、作品としては後の話でも、時間軸としては前の話だったので。違和感なくハンという役に入り込めたと思います。収録前に演出の宇出さんと話した時は、19年前の作品なので確かに見た目は若いけれど、お話としては『EURO MISSION』の後だから。その経験を踏まえた上での演技をするようにという指示があったので。老けすぎず、説教臭くならないように意識しました。
浪川けっこう決め所が多いんです。たとえばレースの対決に勝った後も、ドヤッとしたりするんですが、そこを決め過ぎちゃうと経験値がありすぎるように見えてしまう。それはよく言えばスタイリッシュな表情をしたりもするので、そのあたりのバランスが非常に難しかったです。高校生ならではの荒削りな部分や、上手く表現できない部分などを出せたらいいなと意識しました。
ただショーンというキャラクターの原点に挑むにあたって、作品と作品の間で何があったのか……と思いました。今回はドリフトキングになれましたけど、その後に彼に何があったのか……気になっています(笑)。
川島近年のシリーズはアクションがめちゃくちゃ派手で。とうとう宇宙にまで行ってしまいましたが(笑)。それはそれで面白いんですけど、『X3』とかこのあたりはまだリアルな、車対車の対決が見どころ。それぞれの車の魅力や個性が際立っているなと思いました。
浪川川島さんは、インテリジェンスな声質と安定感があって。優しい言葉の中にも強さがある役者さんだと感じています。
川島いいこと言ってくれるね(笑)。
浪川それは本当に昔から思っていて。規格外だったり、ルールを外れたような行動をしていても、どこか王道的な雰囲気があります。もちろん悪魔のような演技をするときは、悪魔のようにもなれるわけですが。もともと持っているものが兄貴肌なところがあるので、そういう意味では安心できましたし、何を投げてもしっかり返して頂けるのでやりやすかったです。
川島ありがとうございます。
浪川映画の中ではショーンが何をしても自然と下っ端に見えてくるというか。何をやってもハンには敵わないなと思わせてくれるような説得力がありました。
川島僕は普段、吹き替えの仕事が多いんですが、浪川くんが主演の作品で、僕が喧嘩をふっかけたりとか、何かと絡んでいく役柄が多いイメージです。だから浪川くんの声も聞き慣れているし、声も聞き取りやすい。常に周りにも気を配ってくれる方なので、いち声優としては浪川くんと一緒に演技ができるというのは非常にテンションが上がります。
浪川新録は好きなんです。過去に演じたことのない作品はもちろん、以前演じたことのある作品でも、今度はこうしてみようということができるんで。他の方の演技と比べるのではなく、作品をより魅力的になればいいなと思っているので、過去のバージョンがというよりも、その作品に携われるよろこびの方が勝つ感じです。
だから収録の時も過去のバージョンはなるべく観ないように、新鮮な気持ちでリハーサルに臨むようにしています。台本も変更されている部分があるので、新鮮な気持ちで取り組めます。
川島僕はあまり録り直しというような経験はないのですが、今回は、過去に演じた役をあらためて演じるという企画なので、特に違和感はありませんでした。もしジャッキー・チェンの声をやってくださいと言われたら、ものすごくやりたくないですが(笑)。
浪川それは僕もやりたくないです(笑)。
浪川やはりファミリー感が大きな魅力だと思います。仲間っていいなと思わせてくれる普遍的なものがあると思います。
川島確かに新作が出るたびにあの仲間たちに会いにいくような感覚がありますよね。本当に個性もバラバラで。プライベートだったら絶対にそんなに仲良くなさそうな人たちなのに、何かがあった時の結束力というか。そういうところが根幹にあるから面白いんだろうなと。それと各キャラクターの背景がちゃんと描かれているからこそ、ひとりひとりのキャラクターが立っている。
浪川あと意外に3作目が大事なポイントになっていますよね。
川島当時、どこまで後のことを想定してつくっていたのかは分かりませんが(笑)
浪川あのフットサル場の屋上でショーンに語っていた「何のために生きるか」というシーンも、今思えば過去の出来事を踏まえたセリフなのかなと感じます。
浪川何もかもが気になります(笑)。今、平成レトロが流行っていますが、ちょうどその頃の時代の映画ですからね。20年前の街並みが懐かしい感じがしました。ギャングの描写は少し裏社会感が強すぎる気もしますが(笑)。僕が一番親近感が沸いたのがナンバープレートです。「多摩」ナンバーや「大宮」ナンバー。日本だなと感じましたけど、それ以外はなかなかぶっ飛んでましたね。
川島そうですよね。面白かったですね。
浪川あと渋谷のカーチェイスもすごい。
川島あれは迫力がありましたね。
浪川人に突っ込んでいきますからね。周りの人が上手く避けていきました。日本人は運動神経がいいんですよ(笑)。あとショーンの学ランが見慣れない。
川島あれはしょうがないよね(笑)。あの当時見ても古くさく感じていたかもしれないですね。でも外国から見た日本ってあんな感じだったのかもしれないですね。
浪川映画では俳優さんが日本語のセリフを話していたじゃないですか。だけど今回の新録ではそうした日本語のセリフの部分もすべて、日本語に吹き替えて録り直しているので。めちゃくちゃ聞きやすくなっていると思います(笑)。でもやりづらくなかったですか?
日本語に日本語を当てることは難しい。英語の翻訳だとバーッとしゃべるじゃないですか。でも日本語のときって少していねいにしゃべるので、テンポに少し苦戦します。
川島尺が長すぎるからね。
浪川それに関しては台本よりも多めに入れてほしいという指示があったので、基本的に入れるようにしました。ただ最終的なダビングなど、仕上げの段階でカットされるかもしれませんが、必要な部分は入れるように意識しました。
浪川ただ映画のドリフトはぶっ飛んでるんで。あんな風にはできません(笑)。とにかくすごいなと思いながら見てました。
浪川高校時代はあんなに外国の方はいなかったです(笑)。ただ僕は部活少年だったんで、ハンドボール部でほぼ毎日。週七で部活をやっていました。それこそ飲み物を飲んじゃいけない時代だったので、麦茶のありがたみを心得ました。あとは『ターミネーター2』の収録をしたくらいです。あれは高2の時でした。
川島僕は高校生の時はバドミントン部だったんですよ。でもあまり真面目には取り組んでなかったですかね。
浪川最後のドムの登場シーンです。若い頃のドムが登場するのですが、若い時なのにボス感が半端ない。そのドムにショーンが言うセリフがめちゃくちゃ面白くて。今の関係性を知っているとより楽しめますので、ぜひ注目していただきたいです。
川島やはり渋谷のスクランブル交差点のカーチェイスシーンは迫力ありますよね。見慣れた場所だからこそ、想像力を掻き立てられるというか。
浪川この映画を見て、スクランブル交差点に観光客が増えたのかもしれませんね。











