COLUMN & NEWS
コラム・ニュース一覧
-
COLUMN/コラム2008.04.08
昭和の洋画吹き替えを無形文化財に指定せよ
きたる4月29日は、去年夏の『ダーティハリー』全作、そして年末とお正月にやってご好評いただきました「吹き替え特集」を、またまたお届けします。この日の朝6時から翌朝6時まで、怒涛の24時間、吹き替え映画のみを放送する、題して「4月29日は吹き替えの日」。 今回の放送タイトルは、『ラストマン・スタンディング』、『デッド・カーム 戦慄の航海』、『ファイヤーフォックス』、『テキーラ・サンライズ』、『パパとマチルダ』、『張り込み』の6本です。 正直、再放送もあります…が、この機会を逃したら、次はいつお目にかかれるか分からない貴重な作品もありますので、滅多にないチャンスがもう1回増えた、ラッキー!ぐらいに温かく受け止めてくださいね(笑)。 たとえば『パパとマチルダ』なんて、ネットで調べてみたらDVDは未発売、14年前に出たビデオの吹き替え版があるだけなんです。今回の当チャンネルのオンエア、再放送ではありますが、お正月放送時に見逃した人は今度こそお見逃しなく。これ、スティーヴ・マーティン定番声優の故・富山敬による名盤なんです。 あとDVDによくあるパターンで、英語音声しか入っていなくて、やはり今となっては吹き替えで見たくても見れない、という作品。これが『デッド・カーム 戦慄の航海』と『ファイヤーフォックス』、『張り込み』の3本。特に後ろ2本は、これが当チャンネル最後の放送で、次の放送予定はありませんので、必見です。 残った『ラストマン・スタンディング』と『テキーラ・サンライズ』は、DVDに日本語音声が入っているので、正直、見ようと決意さえすれば誰でもいつでも見れるんですけどね(笑)。 ただまぁ、買うより安いし、レンタルと違って借りたり返したりしに行く手間もかかりませんからねぇ。当チャンネルのこの機会、是非ともお役立てください! ちなみに、 『デッド・カーム 戦慄の航海』のニコール・キッドマン…『マクロス』世代永遠の憧れ・土井美加『ファイヤーフォックス』のイーストウッド…もちろん山田康雄で決まり『張り込み』のリチャード・ドレイファス…広川太一郎(ご冥福お祈りしちゃったりなんかして。…崇拝してました。合掌)『ラストマン・スタンディング』のブルース・ウィリス…安心の定番・野沢那智『テキーラ・サンライズ』のメル・ギブソン…神谷明、って、え!? メルギブが神谷明? という、まさに豪華絢爛きまわりない声の出演陣でございます。 ところで、民放の洋画劇場って、最近は番組数自体が減ってますよね。それに、そこでは70年代や80年代の、山田康雄とか富山敬とか広川太一郎といった大御所がアテた昭和の名盤なんて、もうあまりかかりません。関東ではテレビ東京の『午後のロードショー』という神番組が孤塁を守って孤軍奮闘し続けてくれてるのですが、日本全国津々浦々では見れませんし…。 昭和のテレビ洋画劇場の吹き替えを無形文化財に!と訴えるザ・シネマでは、日本全国津々浦々の皆様に向けて、今後もこうした名盤を、不定期ながらも積極的にお届けしていきますので、お楽しみに。 視聴者の皆々様も、このホームページの「ご意見・ご要望」のところからリクエストをどしどしザ・シネマまでお寄せください。 とくに、DVD未発売とかDVDに日本語音声未収録とかの理由で、いまや見たくても見れない、みたいな昭和の傑作吹き替えは大歓迎です。いかに名盤か縷々切々と説く、とか、見たすぎてどうにかなりかけてる!みたいな切羽詰った感じですと、こちらが知らない作品でもハートに響きやすいです。 最後に、文中「DVD発売されていない」とか「DVDに日本語音声未収録」と書いたのは、2008年4月8日現在の情報でございますので、念のため。■
-
COLUMN/コラム2008.04.04
『コレクター』:蝶<女性
余分なお金と、陰湿な感情を持ち合わせた蝶コレクターの青年が、蝶よりももっとキレイなもの“女性”を監禁して、眺める、ストーカー男の倒錯した愛の物語。 『コレクター』といって、『コレクター』モーガン・フリーマンを思い出された方、ごめんなさい。これはその『コレクター』より10年も前に、『ローマの休日』や『ベン・ハー』を手がけた監督、ウィリアム・ワイラーが撮ったサイコ・スリラーなのです。 『ローマの休日』で、当時無名だったオードリー・ヘプバーンを見出し、永遠の妖精と謳われるきっかけを生んだウィリアム・ワイラー監督。幅広いジャンルの映画を手がけ、それぞれで一級の作品を残した彼が、異常心理男の気持ち悪さ爆発の映画をも撮っていたのです。 七三分けで、会社では同僚にいじられる日々を送る青年が、偶然大金を手に入れたことをきっかけに、一軒家を購入。そして、ずーっと好きだったけど声をかけることも出来なかった女性を、「知り合いたかったから…」といって誘拐してしまいます。 女性の好みに応じた部屋を用意し、できるかぎりの要望を聞き、至れり尽くせりするのですが、そんな出会い方で相手が恋心を抱くはずもなく、誘拐された女性はあの手この手で脱出を試みます。 じと~とした目で、「どうして僕の気持ちが分かってくれないんだ」と嘆くストーカー男の、ゆがんだ愛の結末はどうなるのか?ぜひザ・シネマでご覧ください。■ (nick)