PROGRAM

放送作品情報

マンチェスター・バイ・ザ・シー

MANCHESTER BY THE SEA 2016年 アメリカ / 138分 ドラマ

壮絶な過去のせいで心を閉ざした男の苦悩が重くのしかかる…ケイシー・アフレックのオスカー受賞作
放送日時
2019年11月23日(土) 21:00 - 23:30
2019年11月24日(日) 12:15 - 14:45
2019年11月24日(日) 21:00 - 23:30
2019年11月28日(木) 12:30 - 15:00
2019年11月28日(木) 21:00 - 23:30
解説

ある悲劇を経験した主人公が心の奥底に抱える苦悩や悲しみを、ケイシー・アフレックが細かな感情表現で体現しアカデミー賞主演男優賞を受賞。同脚本賞に輝いたケネス・ロナーガン監督による繊細な語り口も秀逸。

ストーリー

中年男リーはある悲劇をきっかけに故郷の町マンチェスター・バイ・ザ・シーから離れ、ボストン郊外で便利屋として孤独に暮らしていた。そんなある日、心臓病を患う兄ジョーの訃報を受けて故郷に戻ったリーは、遺言書で16歳の甥パトリックの後見人に指名されたため、そのまま町にとどまることに。そして同じ悲劇を共有する元妻サンディと葬式で再会し、忘れようとしていた壮絶な過去と向き合っていく。

監督・脚本

ケネス・ロナーガン

出演

※(声優)は吹き替え版作品が放送される場合の情報です。
字幕版、吹き替え版については、放送日時横のアイコンでご確認ください。

ケイシー・アフレック (高橋広樹)
ミシェル・ウィリアムズ (園崎未恵)
ルーカス・ヘッジズ (河西健吾)
ほか

字幕/吹替
字幕 吹替
掲載制限
なし
カラー/白黒
カラー
画面サイズ
ワイド画面
HD
※【ザ・シネマHD】にご加入の方は、
HD画質でご覧頂けます。

オススメキーワード

  • 鑑賞日 2019/10/12

    結局

    結局これも酒の失敗か。

  • 鑑賞日 2019/9/30

    言いようのない悲しみ

     子供を失うこと程の悲しみは、他にないだろう。 しかし、兄の子の世話をし、子に関わることによって、癒されるかもしれない。  話は、落ち着くところに、落ち着いていくが、なかなか重い。  ケイシー・アフレックのリーとミシェル・ウィリアムズのランディが再び会う所が圧巻。 

  • 鑑賞日

    絶望している人たちにこそ勧めたい

    主人公ほど過酷ではないが、兄弟を亡くし、甥っ子に何の援助もできず生きてきたから。乗り越えられないこと。その肯定感に。どれだけ救われただろう。前向きじゃなくても生きていていいんだ、と。

  • 鑑賞日 2019/7/30

    期待しすぎた

    劇伴の雰囲気作りになじめず、冒頭からイマイチのれなかった。 ミシェル・ウィリアムズの演技に期待していたのに、登場回数が少なかったので少し残念。もちろん演技は最高だったけど。 食事シーンが何回かあるのだけど、どれもギクシャクしまくっていて最高だった。 全体的には大好き。

  • 鑑賞日 2019/7/7

    何事もそうはうまくはこばない

    ミシェル・ウイリアムズが運ばれている担架の足がうまく畳めず、なかなか救急車に乗せられない。それをただ脇で見ているしかない主人公。甥っ子はなにかと反発し、街で不意に元妻が許しを請う。 よく見る映画のストーリーほど物事が快適には進行せず、行ったり来たり。これが生きる世界。

  • 鑑賞日 2019/6/28

    過去への悔悟

    自分の過失で娘たちを焼死させてしまった男が、それまでの生活態度を改めて生活していたが、兄の急死でその忌まわしい過去を持つ土地へ行き、兄の息子の後見をすることになった。 心情的に納得できないのが、父親が死んだというのにガールフレンドとセックスする息子やバンドの練習に行く息子に違和感を覚える。それに対して後見人である弟が何も意見をしないというのも納得できない。多分自分の過去に引きずられてなにかわだかまりがあるのだろうが、そこのところの描写が不明。 ストーリーがイマイチ。

  • 鑑賞日 2019/6/19

    冷凍したくない

    家の水回りのトラブルなどを請け負う便利屋リー・チャンドラーは、口数も人付き合いも少ない。常に重く沈んだ表情で生気に欠ける。その割に短期で依頼主と喧嘩する始末。彼は何故、こんな人間になってしまったのか。過去の映像がカットインされるが、その時のリーは仲間も多く、実に元気で活き活きとしている。短気なのは変わらないが…。過去と現在でその違いを見事に演じ分けているケイシー・アフレックは、本作で数々の主演男優賞を受賞している。リーの過去に何があったのか、明かされるのは物語中盤だ。 リーの兄・ジョーが亡くなり、甥のパトリックの後見人を務めなくてはならなくなる。リーは快く請けようとはしない。今の自分に養育できるのか心配なのだが、それ以上に過去が重くのしかかっている。冒頭、船の上ではしゃぐリーと幼いパトリックが、引きのカメラで捉えられる。二人はとても仲が良く、実に楽しそうだ。この時のリーが投げかける問いは、二人で一緒に暮らしてもいいという願いさえ込められているように感じられる、重要な伏線でもある。これはリーとパトリックの物語なのだ。 高校生になったパトリックは、自由奔放な生活を楽しんでいた。ホッケーにバンド、女子にはモテモテで、充実した毎日。父を失っても、通常の毎日を繰り返すことで平常心を保とうとしている。父の遺体を見ても、その反応はリーとは異なりかなりあっさりしていた。しかし、その裏には彼なりの深い悲しみが隠されている。“冷凍したくない”との拘りは、彼なりの父に対する愛情表現なのだろう。自分の快楽のために叔父を利用する強かさには、恐れ入る。 やがて語られるリーの過去。そして喪ったものの大きさ。いつまでも暗い過去を引き摺るリーと、新しい一歩を踏み出している元妻・ランディ(ミシェル・ウイリアムズ)。二人の再会シーンが胸を打つ。この町、モンチェスター・バイ・ザ・シーから逃れようとするリーと、本音は一緒に暮らしたいパトリックの、会話、やりとりは実に興味深い。意見の対立、すれ違いを繰り返しながら、二人で未来を模索していく様子が切なく、じわじわと胸に沁みてくる。 ラストでも、リーの雰囲気はあまり変化がないように感じられる。人間、そう簡単には重い過去からは逃れられない。しかし、二人の心の結びつきは、あの頃と変わらない。そんなラスト・ショットも印象に残る。 2017年キネマ旬報ベストテン第3位。

  • 鑑賞日 2017/5/28

    ヨーロピアンテイスト

    鈍色に染まった空と海の中で、ジッと釣り糸を垂れる主人公二人を捉えた終幕が印象的で、そこには、喪失と悔恨、自責と諦念の狭間でもがく叔父の葛藤と、そんな叔父の苦衷を理解する甥っ子の暖かな惻隠の情が静かに刻み込まれていた。 そしてまた、今はまだ、埋めきれない二人の心の隙間を、ゆったりとした時の流れがやがては埋めてくれるであろうという先行きへの願望が、そこはかとなく表出されているようにも思う。 そんな主人公二人のその後を想像させる余情豊かなエンディングをはじめ、登場人物それぞれが何がしかの悩みを抱えた屈託した人物造形や、その鬱々とした心情描写でもあろうグレートーンに沈んだ画面、場面を、時に切なく、時に優美に彩る叙情的な音楽や、説明描写を抑えたK・ロナーガンのストイックな語り口など、それらがあいまって醸成される陰影深い味わいが随所で堪能できる秀逸の人間ドラマだった。その映画としての出来栄えは、ヨーロピアンテイストの繊細さがあった。 あと、過去に苛まれる主人公のメランコリックな心情を見事に体現したC・アフレックの巧まざる演技とともに、その脇を固めるL・ヘッジズ、M・ウィリアムズといった俳優陣の役にはまった好演も見応えあり。

  • 鑑賞日

    bat man

    マット・デイモンが自分で主演する予定だったらしいがそうならなくて良かった。ケイシーアフレックのやさぐれ感はとても良かった。映画の中で悲劇は既に過去起こっていることであって、より大きな破滅的なことは起きずに終わるためハッピーエンドのように感じて私はほんわかした気持ちになれた。

  • 鑑賞日 2019/3/24

    それでも生きていく

    乗り越えられない苦しみもあるが、それでも人は生きていく。多分、なぜ生きていくのかではなく、生きていくこと自体が大切なのだろう。 テーマは胸に刺さり脚本も良いが、如何せんテンポが悪い。

  • 鑑賞日 2019/3/21

    また観た

    二回目の鑑賞だが、ぐいぐいと引き込まれていった。最初に観た時よりも感動した。

  • 鑑賞日 2019/3/16

    再生する春

    この作品を観ると、 人は再生できるということを知る。 再生する過程と冬を越す景色。 沁みてくる演出だ。

  • 鑑賞日

    えぐってくる作品。

  • 鑑賞日 2019/3/11

    みんな傷ついている

    みんな傷ついている。寄り添うことにためらうくらい。

  • 鑑賞日 2019/3/2

    アメリカ映画とは思えない出来の良さ。主演がよい。

  • 鑑賞日 2019/2/28

    感情移入

    初めは淡々とした立ち上がりも、段々引き込まれて行く。 兄と甥との思い出はリーを唯一癒す。あるいは甥の面倒を見る事は亡き兄ジョーとのつながり。周りの男達には荒ぶれるが、甥には手は上げない。 あと少し時間が経てば、リーの心からの笑顔が見られるのかなと思った。

  • 鑑賞日 2019/2/17

    ...

  • 鑑賞日

    どうしても乗り越えられないもの

    ケイシー・アフレック演じるリーのキャラクターの難しさ。正直あまり好きな映画ではなかった。ただドラマの組み立ては凄いと思った。リーと兄のジョー、そして彼の息子パトリックが船で釣りをしながら楽しそうに戯れている場面から映画は始まる。その後リーは単身で便利屋としてアパートで働いている場面に。暴言を吐いたりバーで喧嘩になったりと素行は良くない。そんな折兄のジョーが病死したという連絡が入り、葬儀や遺品整理などの為にマンチェスターに住むパトリックの元へと向かう。そこで弁護士からジョーの遺志でリーにパトリックの後見人になってほしい旨を伝えられる。そしてリーには自分の過失で火事を起こし、三人の子供たちを死なせてしまった過去があることが明らかになる。リーは妻とも離婚し、人の好意、特に女性からの接触を避けるようになる。パトリックの意見も聞かず、彼をボストンに連れていこうとする。徐々に描かれていく兄のジョーの人柄の良さや、親切なジョージ、そしてちゃっかり二股かけているパトリックのキャラクターも面白く物語には引き込まれていった。壊れてしまった心は元には戻らない。本作では過去の過ちをどうしても乗り越えられない男の、それでも生きていかなければいけない苦しさを描き切っている。後半になるにつれてリーの辛さは分かるが、そもそも過ちを犯す前から軽率で身勝手な性格だったし、すぐカッとなってしまう性格は好きになれなかった。

  • 鑑賞日 2018/12/2

    2016年米ヒューマンドラマ映画 アカデミー賞主演男優賞と脚本賞受賞 【マンチェスター・バイ・ザ・シー】 リーの兄貴が急死、ボストンから郷里マンチェスターに戻って甥っ子とその後の後始末に奔走。 しかし、リーは郷里で実の子供を火事で亡くした辛い思い出が蘇ってしまう。 思春期の甥っ子とギクシャクしながら距離をつめるリー。 ストレスの多い故郷を離れたいリーと残りたい甥っ子…… 傑作と言われてたけど、荒くれ者のお話にしか見えないぞ。しかしアメリカ人って短気だな。 でも、アーリーアメリカンな町並みと海辺の風景は綺麗。

  • 鑑賞日 2018/12/1

    淡々と絶望感たっぷりの人生模様を描いている。 過去と現在が行き来しつつ、ストーリーは展開していくが、序盤の退屈なシーンを越えれば、そこから先は引き込まれた。 兄の死と、自分の娘たちの死が軸になっているが、 甥っ子との最後に別れを決意したシーンは、唯一の肉親であるが故に憎み合ってたけど、いざ離れるとなったときの悲しみが存分にあらわれていた。 タイトル通り、ラストシーンで釣りに出かける2人のシーンは悲哀に満ちていた。

  • 鑑賞日 2018/11/4

    余りに辛い過去の出来事

    この様な悲惨な事件に遭遇してしまっては、人生終わったのと同じ。自分以外の他人に、心を開かなくなって当然だろう。せめてもの救いとしては、兄が生きていれば少しは変わっていくこともできたかもしれないが・・・。残された兄の一人息子との心の繋がりが、芽生え始める最後のシーンに感動。少しの明るい兆しが灯る。

  • 鑑賞日

    弦楽と海辺の美しい風景が誘う不幸自慢の魔法

     原題"Manchester by the Sea"で、マサチューセッツ州エセックスにある町の名。  主人公はボストンで便利屋をしている中年男リー(ケイシー・アフレック)で、失火から幼い3人の子供たちを死なせ、妻(ミシェル・ウィリアムズ)と離婚。故郷のマンチェスターを離れ、自らを罰するように孤独な生活を送っている。  リーには仲の良い兄ジョー(カイル・チャンドラー)がいるが、心臓病で余命を宣告され、精神を病んだ妻と離婚。息子パトリックはスポーツとバンド、セックスに居場所を求めている。  物語はジョーの急死から始まり、病院に駆け付けたリーは葬儀を手配し、遺言によって甥の後見人となる。兄の家で寝泊まりすることになるリーは、成長した甥の変貌に面食らい、叔父の干渉を嫌う甥と微妙な関係になる。  ここからは、共に不幸を背負ってきた二人が互いを理解し、適切な距離感を取り戻すまでの物語で、リーと妻との和解、パトリックの母からの自立が二人が立ち直るきっかけとなる。  「アルビノーニのアダージョ」の弦楽をバックに、海辺の町マンチェスターの静謐で美しい風景が抒情を誘い、リーの壊れた精神の回復の物語に心が清められるような気がするが、これがそうした道具立てによるサイコセラピー、ある種の魔法だということに気づく。  シンデレラ同様、これ以上はないという不幸自慢の設定で、観客の感情移入を計算した制作者の作為性に気づくと、魔法から覚めてしまう。  アカデミー脚本賞を受賞しているが、撮影と音楽の魔法にも賞を上げたいところ。ケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞。(キネ旬3位)

  • 鑑賞日 2018/8/31

    ハリウッドが越えられない壁

    洋画偏差値が低いためか、はたまたハリウッド映画が好みでないためか定かではないが正直に言えば、平板で退屈な127分だった。内容もテレビドラマで充分と思える。 何より決定的に暗い。それ自体は問題ではないが(私の好きな『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のほうが世間的には余程暗いと言われている)表層的な現実の裏に潜む本質を描くのに必要な抒情性や陰影に欠けるのが決定的な原因と感じる。極論を言えば国民性や映画に求める物の相違のためハリウッドにこの手の映画は撮れないと思う。 映像美でごまかしているが、登場人物の内面は描けておらず、誰にも感情移入出来ず何も伝わってこない。悲しみや喪失感を抱く対象は人それぞれであり、その部分には言及しないが、リーの短気極まりない素行やパトリックの荒んだ生活態度には全く共感出来ない。 全体的に情報伝達力に欠如した作品であり、ハリウッドが越えられない壁を見た思いがする。

  • 鑑賞日

    シュールさ満点

    独特の沈黙とモノクロのような廃れたシーンと、自然な掛け合いが、シュールさと良い意味の不協和音を表していて、本当によく計算されて作られているなと感じた。 年齢や立場こそ異なるものの、大切な人を失った悲しみから立ち直れない男2人の物語。 兄貴の息子とそのお世話係に選ばれた主人公の関係性が徐々に緩和されて行く関係が可愛らしくて素敵です。 基本的に1シーンが長回しで、何でもないような日常を見せる事でリアリティを含ませている。 大勢の人がいる部屋の中で声が届かなくて会話が成立していないシーンとか、葬式中になり出す携帯のバイブレーションが中々止められないシーンとか、なんとなく気まずい雰囲気の中でクスッと笑えるシュールさと主人公の何しでかすか分からないスリルが混濁していて見飽きません。 寒い日にボーッと観ていたいような、そんな映画です。私はとても大好きです。

  • 鑑賞日 2018/7/16

    ラストシーンが印象的

    静的な映画なのだが、ほどよい緊張感と絶妙なユーモアの弛緩で まったく退屈することがない。 ハリウッド映画にありがちな楽観的なハッピーエンドにせず、諦めの中に仄かに希望を見いだすラストシーンが印象的。 そしてこういう商業的でない良質のアート映画の製作にちゃっかり絡んでくるマット・デイモンが侮れない。

  • 鑑賞日 2018/7/6

    悲しみをありのまま描いた力作

    ボストンでアパートの住み込みの便利屋として働く主人公は、兄の突然の死により故郷であるマンチェスターに帰り、甥っ子の後見人になる。 途中明らかになる主人公が故郷を離れた理由が、想像を超えてあまりに絶望的で、こんなに不幸な人生があるかと思うくらい悲しかった。何でもどうにかして乗り越えようとするアメリカ人のイメージとは正反対の姿を描いていて、自分の身に起こったら主人公と同じく立ち上がれないだろうと思った。アカデミー主演男優賞を獲ったケイシー・アフレックの演技はさすがだ。 どんな過去でも乗り越えられるとは限らないし、そういう時、人はただじっと耐えて寄り添って生きるしかないんだ、というシナリオが非常に人間味を感じさせるし、何となく仏教的というか日本映画に似ているような印象も受けた。説明的な描写をあまり使わずにそれとなく行間を読ませる演出もとてもうまいと思う。

  • 鑑賞日 2018/5/6

    海を背景に淡々と物語が進むというより流れている感じ カラー映画なのに、全体的にグレーがかって見える まるで主人公の心の中のように 配役も良く、好きなタイプの映画です

  • 鑑賞日 2018/6/23

    世代交代と諦めの物語

    ある種世代交代の物語。(すなわち良い意味での)諦めの物語。 中盤以降の甥との掛け合いが沁みてすこすこ…… 過去をついぞ乗り越えられなかった弱い主人公が、それでも父親を失った甥がその不幸を乗り越えるための支えになる物語。自分はだめだけど、他人のためにならなんとか。そういうマインドを美しいとか言えないけど、とにかく無骨で優しい姿にはどうにも憧れてしまう。 主人公の乗っている車が薄汚くて、窓が若干曇っているところとか。そんなところさえいいと思える。 でも本当に身に染みてこの思いを理解するには、もう少し生きる時間が必要だなぁと思う。 私はまだ子供の、甥の目線でしか観ていない気がする。 主演のケイシー・アフレックが名演。陰のあるイケメンはそれだけでずるいよな

  • 鑑賞日 2017/5/14

    彼にはこの街は辛すぎる

    心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷(マンチェスター・バイ・ザ・シー)に戻ってくる。 人との関わりを避ける様にボストンで便利屋で生計を立てているリー。故郷に帰ってきたリーに街の人々は、よそよそしい様な、哀れよの様な態度で接してくる。 残された兄の息子と交流するうちにわかってくるこの街でリーに何が起こったのが…… 彼はあの悲劇の日から止まってしまっている。 悲劇のシーンでずっと流れてる音楽が絶望を増幅させている。 大人だろうが月日だろうが関係なくどうしても乗り越えられない事もあるんだよ。リーにはこの街は辛すぎる。 最初は、マットデイモンが主演で予定されてたらしいがケイシーアフレックで正解だったと思う。

  • 鑑賞日 2017/12/3

    喪失感とどう向き合う

    喪失とどう向き合うべきか。静かな描写を通して訴えかけてくる。 ボストン郊外でアパートの便利屋として働くリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョーの急逝で故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。リーは兄の遺言により、16歳の甥パトリックの後見人となり、過去の悲劇と向き合うことに…。 中盤でリーが故郷を離れることになった経緯が明らかにされるのだけれど、そのあまりの喪失感に愕然とする。 その喪失感を、台詞ではなく、繊細な演技でにじませているケイシー・アフレックが素晴らしい。 これぞ映画の中の映画と呼びたくなる作品。

  • 鑑賞日

    心の傷

    心の傷を負った者同士がどのように互いを理解し、その周囲の人間とともにどのように生きてゆくか。現実の問題として考えさせられた。

  • 鑑賞日 2018/4/21

    秀作

    じわっと心の襞に沁みわたる作品だ。「あの、リー」というセリフが主人公の過去の事件を想像させる。その過去が明らかになって、主人公の言動や、表情の暗さがわかってくる。兄の死で、甥の後見人に指名されて過去を乗り越えようとするが、結局は乗り越えられない。ハッピーエンドではないが、ラストの船上での甥との後ろ姿は、過去を背負って生きていくのも有りだ、と語っているようだ。

  • 鑑賞日 2018/4/20

    なじめず

    生きる悲し身を内包しながら淡々と日常生活のディテイルを描くタッチは日本映画や小説得意分野だ。好きなタッチなのだが、この作品についてはその語り口がワタシにはうまく入りこめず、悲劇の元は過失による火事であることが分かっても、あらあらそうだったの かと思った程度。暴力的になったりするところがついていけなかったのかもしれない。 第89回アカデミー賞主演男優賞、脚本賞、キネ旬2017ベスト3位、SCREEN映画評論家が選んだ最も優れた映画2017 5位

  • 鑑賞日 2018/4/16

    乗り越えなくてもいい

    2人に起きた悲劇を共に乗り越えなくてもいい、それでもゆっくりでも前へ進む。 悲劇を乗り越えていくという映画が多いですが、そうではなく、悲劇は乗り越えなくてもいい、それでも前へ進むんだというのを感じた映画。 人生経験豊富な方が観たら、よりぐっとくる映画ではないでしょうか。

  • 鑑賞日 2018/4/14

    男性の悲しみのやりどころをどこに

    マンチェスター・バイ・ザ・シー、イギリス映画かと思ったくらい、予備知識がなかった。アカデミー受賞作品なのにTSUTAYAに置いている本数もアピールも小さい。 ある男の悲嘆を描いた作品らしい・・・ ボストンで無愛想な便利屋で生計をたててる男、リー。 その兄貴が突然死(予期されていた死であるが)したことで故郷であるマンチェスター・バイ・ザ・シーに帰る。 甥のパトリックの後見人にと遺言があり、それに沿って生活を始めるが、過去の回想シーンと現在のリーの雰囲気が別人であるところ、事件か事故で「あのリーだよ」という周りのセリフからも何か背負っているのがわかる。 回想シーンが繰り返されその「悲しみ」が観ている側にわかり、彼の苦悩が痛い。 また、父を亡くした息子のパトリックの態度とのギャップが彼の悲しみを引き立てて、虚しさも。 男の悲嘆を描いた作品は、「再会の街で」「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」にもあり、どの作品も男の悲しみのやりどころをどうするか、不器用さがテーマになっていると思いますが、この映画もそうだった。こういう映画は好きです。

  • 鑑賞日 2018/3/18

    ちょっと長い

    ボストンでアパート住み込みの修繕人をやっているリー・チャンドラーは腕は良かったが短気で人当たりが悪く、顧客からの苦情を受けては不貞腐れた態度でこれに対応し、イライラを抱えたまま飲み屋に行っては酔っ払って喧嘩をふっかけるという滅茶苦茶な生活をしていた。 ある日いつもと変わらず朝からイライラと仕事をしているリー・チャンドラーが電話を取ると、それは長年心臓の病を抱えていた実の兄ジョーの急変を報せる電話であり、報せを受けたリーは故郷の田舎町マンチェスター・バイ・ザ・シーへ帰郷するがジョーは既に病院で息を引き取っており、いわば肉親の突然の死という状況の最中に放り込まれたリー・チャンドラーは兄の死によってもたらされた突然の空白に対処し、空白に対処しながら置き去ってきた自身の過去を振り返る。 で、置き去ってきた過去というのは実はなかなか凄惨で、というかかなり可哀想な過去であり、不貞腐れてイライラし、滅茶苦茶な生活をしていたことにはそれなりの事情があったことが判明する。 リー・チャンドラーを演じたケイシー・アフレックの演技は文句なしに素晴らしい。 表層にある寡黙で不器用な佇まいと、その内側に拭い難く塗り込まれた絶望が共存する表情が実にそれらしい。 相当に可哀想なお話を非常に抑制された筆致で描くというのはかなり計算されたスタイルで、その企みは見事に達成されていると思うが、何しろ非常に抑制された淡々とした語り口が続くので、見る側には少しばかり忍耐が要求される気がする。 白状するとこのところ15分に一回は大爆発が起こるような映画ばかり見ていたので、私にはこの2時間20分は少々長かった。

  • 鑑賞日 2018/3/18

    イギリスの話ではなかったけど良作

    観るまでイギリスのマンチェスターでの話だと思っていたのだが、それはまあどうでもいいです。 1人の男性の死を機会に、それまで仲の良かった叔父と甥の関係がややこしくなったりいろんな人たちの関係がこじれていってしまう話。 登場人物はみんな、何か事情を抱えていてもみんな「いい人」で、親切で、優しい。 それでも何かきっかけとタイミング次第で、やはり「人はそれぞれで生きている」のであり、やっぱ世間は世知辛いよなあ、でも仕方ないよなあ、という映画なのかと思っていたけどそうではない。 むしろ、みんな色々事情はあるけれど、困った時はお互い様だし、自分にできる事は出来る範囲でお互い負担にならない程度には協力して行こうよ、だってそれが家族とか友達っていうものじゃないか。 と、ここまで熱い感じではないけれど、わかりやすく言うとそういうことを映画を通して語っている。 良い。饒舌な映画ではないけど、しっかりその辺が伝わって来て、とてもじんわり楽しめた。こう言う映画にありがちな嘘臭さも無くて、特に甥の高校生の生々しいワガママさが良かった。 目立つ所があるわけではないけど、いい映画だと思う。

  • 鑑賞日

    劇場とソフトで感じた違い

    この映画は劇場公開した時に観ているのだが、なんとも言えない感情まみれになってしまったので、ソフト化したこともあり改めて観てみた。そうすると劇場で観た時との印象の違いに、まず驚いた。一言では物語を追えるかどうか。この違いが大きかった。 兄の訃報を機にマンチェスターに帰って来たリー(ケイシー・アフレック)は、兄の息子の後見人になる旨の遺言の存在を知る。リーがマンチェスターに帰ってくれば万事解決なのだが、リーにはそれが出来ない事情があった・・・。こんなあらすじ。これを劇場で観ている時には理解できなかったのだ。ケイシー・アフレックの瞳の奥にある暗さに魅了され、物語うんぬん関係なく、彼の自暴自棄で無気力な姿しか目に入ってこなかった。彼の事情を知れば、それも納得なのだが、果たして彼に救いはあるのか?救われないと思った。ミシェル・ウィリアムズ演じる元妻の慟哭の告白。それを聞いた瞬間、とてつとない喪失感に襲われた。これが劇場で観た時の印象のすべてといっていい。 ソフトを改めて観てみると、兄の弟への思いや、遺された息子の葛藤。リーが大事にしている三枚の写真など、丁寧にドラマが紡がれていることを知った。なるほど、これがこの映画の物語なのか、と。 ただ不思議なことに劇場の時ほど感情が揺さぶられることはなかった。つまるところ、芝居を見るか物語を見るかなのだろう。今回はラストのキャッチボールになっていないキャッチボールに、リーの将来を予見し、わずかな救いを感じたが、正直、そんな感想よりも、劇場で感じた救われなさの方が、ずっと印象に残っていくに違いないという確信の方が強いのである。

  • 鑑賞日 2018/3/5

    こんな映画なんで作るんだろう。

    この映画、みんなはどう感じるんだろう、と気になります。 死にたくなることが起きても、雪の降る街はきれいで、生きていれば朝起きてご飯を食べるし、仕事をしに出かける。壊れたままでいても、乗り越えられなくても、そうやって毎日やってく。 ケイシー・アフレック、暗い心を持った投げやりな男をよく演じてると思う。こぎれいにしていて、仕事もしっかりやれてるけど、心が荒んでいるので人と素直に向き合えない。そういう風に、この男自身にも弱点がある、と思えるからこそ、彼の痛みの深さが響いてくる。 元妻に思いを打ち明けられて、受け止める余裕ゼロという状態のあの場面とか、まるで当事者のような痛さだったなぁ。 新鮮だ!と感じる映画ではなかったけど、友達のように彼らのことが心配になる。この痛さを抱えたままどうやって生きていくんだろう。今より沈むこともないし、今より浮かれることもない。10年たっても20年たっても、乗り越えることはないし幸せ!って笑うこともないだろう。それでも生きる。 こんな映画なんで作るんだろう。こういう辛さを抱えたことのない人たちが、興味を持って遠巻きに見るのかな。私は人ごとと思えなくてつらいわ・・・。

  • 鑑賞日 2018/2/24

    現代アメリカが抱える離婚や再婚により複雑化する家族と格差社会の問題が静かな風景の中で描かれている秀作。

  • 鑑賞日 2018/2/19

    古今シネマ和歌集

    もがいても どうにもならない 階級社会 英国風土も 寒くて厳しい

  • 鑑賞日 2018/2/9

    辛い

    二人の子を持つ親としてこれは辛い。 観れない。 喪失とかすかな再生への希望はわかるけど。 ひたすらに辛い。 ミシェル・ウィリアムスとのラスト近くの慟哭のシーンたるや。 そして海はいつも青いのでありました。 泣いた。

  • 鑑賞日 2018/2/8

    時制を崩したことで、人間の心のミステリーになっている。

     一種のミステリーだから、未見の方はレビューは読まない事をお勧めします。  いろいろポップスが流れる中で、いきなり有名クラシックが流れ出すテクニックも面白いが、これがミステリーが明かされる鍵になっている。  登場人物の何人かは精神が壊れかかっている。見ていてつらい。    主人公は、周りから距離を置かれている。  描かれなかった過去のすさんだ生活の部分が省略されており、それがまたミステリーにも似た部分を作る。脚本の妙だろう。  突然、噴出する暴力が痛々しい。   また、あんな怖くて悲しい夢を見たら、ほんとに心が折れてしまう。  ケーシー・アフレックは、「キラー・インサイド・ミー」の怖い演技が、私にはトラウマになっている。  彼の暗くない演技を見てみたい。    *後日、彼が助演ノミネートされた「ジェシー・ジェームズの暗殺」を見た。暗くなかったけど、屈折したとても変な演技だった。とにかく演技力はあるワ。(ついでに言うと、主演のブラッド・ピットも、この映画では相当変だった。)        なお「マンチェスター・バイ・ザ・シー」はアマゾン・スタジオが製作・配給。        同社は2015年11月から映画製作に乗り出している。        ネットフリックスやアマゾンが映画に乗り出している。

  • 鑑賞日 2018/1/29

    辛い過去がある故郷を離れ、孤独に暮らすリー。ケイシー・アフレックのあの独特のかすれ声に、主人公の無気力さがにじみでていて。リーと周囲の人々とのやり取りは、力強さはないが優しさがある。愛する人の死を乗り越えるのではなく、深い哀しみが少しずつ和らいでいくようなそんな優しさを作品全体から感じた。

  • 鑑賞日 2018/1/20

    いくら何でも淡々としすぎだろ笑 終わりもなーんかぱっとしない。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    ラストが今ひとつ。甥のパトリックに共感しづらい

  • 鑑賞日 2018/1/3

    異文化

    たぶん、いい映画なんだと思う。ただ死を巡る対応はあまりに違い過ぎて、共感が生まれない。

  • 鑑賞日 2017/12/11

    ・洋風 是枝作品 なんてことない日常や風景を丁寧に描く作品で個人的に好き ・主人公(ケイシー)の過去の因縁の町(家族で生活の家屋を酔っ払い不始末で全焼し  子供全員を失う)において苦悩しながらおいとの生活を進めるなんてことない作品だが、  雪のマンチェスターの美しさ、おいの父(主人公の兄)亡き後の自由奔放さに手を焼く、  苦悩からくるバーでの喧嘩、もともとのボストンでの便利屋として前の見え無し日常、  元奥さんと町で偶然会い(新父との子連れ)いたたまれない過去の傷確認 すべてが切なく美しい ・最終的におじさんに資産管理を含めおいの面倒を任せるまでの、人としての成長 よい

  • 鑑賞日 2017/5/13

    想像以上に地味な映画。あんまり救いらしい救いもないんだけど、ずっとやさしい音楽が流れてて、エンドロールの街の映像がえんえん流れるのも含め、不思議とつらい気持ちにはならない。

  • 鑑賞日 2017/12/24

    兄の死と向き合う

    兄の死によって甥の面倒をみることになる弟(ケイシー・アフレック)の戸惑いを描く話かと思いきや、実はその弟には乗り越えられていない大きな秘密があったという話。この秘密が明かされてからの展開が素晴らしく、ミシェル・ウィリアムズとのシーンでは涙が止まらなかった。甥の二股ネタなどが笑えるシーンもあるので深刻になり過ぎないのも良かった。観ていて、家族の描き方がまるで昔の日本映画のようだなあと思った。ケイシーの第89回('17)アカデミー賞主演男優賞と、脚本賞のケネス・ロナーガン(監督でもある)に大納得の感動作。【シネマ・アンコール2017:併映「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」~“家族の死と向き合う”2本立て】

  • 鑑賞日 2017/12/24

    正直、あまり変化のないストーリーに後半だれてしまった。

  • 鑑賞日 2017/12/16

    美しい風景とリーの荒涼たる内面風景。

    ボストンで便利屋として働くリー(C・アフレック)のさえない仕事ぶりが描かれる。 兄の危篤の知らせで生まれ故郷の海辺の景勝地マンチャスターに帰るが、一足遅く、 心臓の難病を持つ兄のジョーは亡くなったいた。 この映画、カードはすべて伏せられた状態で、観客の前に提示された。 一枚カードを裏返し、ひとつづつ回想シーンが挿入される。兄のジョーと少年パトリック と小型船舶での海遊びシーンは幸福感に満たされる。あるいは兄ジョーの心臓の奇病 は余命を宣告されるシーン、と現在時制のリーの暗鬱な環境の原因の元が明かされる。 ジョーも離婚家庭で高校生のパトリックと二人暮らし。リーも孤独な生活。その原因 となる事件も回想シーンで明らかになる。 この回想シーンのはさみ方だが、一つ間違えれば観客が混乱するだけだが、甥の パトリックを子役と高校生に分けたのが上手い仕掛けとなった。そして衝撃の事件。 自殺を図る絶望の状態から引き揚げてくれたのは兄のジョーと甥のパトリックだった。 しかしそれでもリーが背負った重荷は軽くなることがない。二度と自殺はしないだろう。 希望を持たない生活しかしないからだ。これがボストンの便利屋稼業と結びつく。 死ぬまで続く低空飛行の生活が暗示される。 難しいのが、リーの荒涼たる内面世界の描写。小説のように人物に入りこんでの心理 描写はできない。監督・脚本ロナーガンは、これを対位法で表現した。 青春の真っただ中のパトリック、再婚して新たな人生を歩む妻、そして兄の妻も。 そして美しいマンチェスターの景色。一人リーだけを残し、美しさの中に溶け込んでいく。 美しい音楽の使い方も同様の効果を生む。リー以外の描写も丁寧なのだ。 そしてC・アフレックの集中力の強い演技が続く。素晴らしい。 そんなに簡単にハッピーエンドはないよ、と監督のつぶやきが聞こえる。

  • 鑑賞日 2017/12/5

    繊細な哀しみとユーモア

    冒頭に映し出されるのは、静かな港、そしてボートの上ではしゃぐ男たちと少年の姿が遠景から映し出される。少し寒いけれどすっきりと透明な空気が感じられるこのシーンで、もういい映画のような予感がしてくる。 ケイシー・アフレック演じる主人公のリーは、ボストンのアパートのために働く整備工。住民たちにセックスアピールをかけられたりキレられたりしながらも始終ペースをみださず無愛想むっつりなその姿をながめているとほのかな可笑しさがこみあげてくるのはなぜなんだろ…。 しかしそこに届いたのは、持病をかかえていた兄がついに亡くなったという報せだった。今やガールフレンドを2人も(!)もっている高校生の甥っ子とひさしぶりに顔をあわせるリー。小さな衝突をくりかえしつつも、あいかわらず無愛想むっつりのまま、葬儀の手続きを終えたリーを待っていたのは、思いがけない兄の遺言状だった。 胸をかきむしられるような苦しみを埋めて立ち去ったマンチェスター・バイ・ザ・シーで、もういちど生きてみないかと、背中をそっと押す兄の手を感じながら。もうすっかり一人前の大人びた顔を見せながらも、差し伸べてくれる手を探している甥っ子の心中を察しながら。そして、この街に埋めたのは辛く苦しい思い出ばかりではなかったことを思い出しながら。別れた妻が、今や責める相手ではなく苦しみをわかちあえる相手として自分を見ていることを知りながら。それでも「自分にはどうしても打ち勝てない」のだと言うリー。ゆりかごをはさんで言葉をかわすミシェル・ウィリアムズとケイシー・アフレック2人の表情がすごい… そう、ひとはそんなにかんたんに前向きになれない。でもそれは永遠ではないかもしれない。「いつかお前が泊まりにくるかもしれないから…」とりあえずいっしょに暮さないと決めた甥と叔父がボールをいじりながら歩くシーンの余韻、まるでボートを静かに揺らす波のような。 傷はかんたんに癒えはせず、人もそうかんたんに前向きに歩き出せない。でも人を信じることができれば希望を感じることができる。明るすぎない、このくらいの優しさが、疲れた心にはちょうどいい。

  • 鑑賞日 2017/12/2

    何処にでもいる気の短い人生を見誤った男が微かな手応えを掴んだ話

    二回目の鑑賞。 何故、この作品がアカデミー脚本賞を受賞するのか理解に苦しむ。確かに、主演のケイシー・アフレックがアカデミー主演男優賞を受賞したのは、頷ける。なぜなら、心の琴線の微かな動きを感じ取る演技だし・・・・。しかし、ストーリーには左程の新鮮さも感じられず苦慮する。

  • 鑑賞日 2017/11/20

    主人公の繊細さが好き

    2回目の鑑賞。 過去の出来事で負った痛みを抱えながら、他人との接触をあまり持たないように生きている様が痛々しく切ない。 ストーリーの中で、五月雨に過去を描きながら、心が壊れていく経緯と、その過去と向き合わなければならない現在の対比を上手く表している。 元奥さんと街で偶然に会って会話するシーンはとても印象的。 何回も観たい作品ではないが、忘れられない作品。

  • 鑑賞日 2017/12/3

    子供を自分のミステイクで亡くし、自暴自棄になったのはわかるが、間伸びしつまらなかった。

  • 鑑賞日 2017/11/20

    味が染み込んだケイシー・アフレックの演技

    「マンチェスター・バイ・ザ・シー」というのは実在する、マサチューセッツ州の小さな町である。何とも印象的な名前だけど、人口は約5.000人の本当に小さな、自然豊かな町だ。映画でも海岸と雪景色がふんだんに使われていて、どんな町なのかよくわかる。 ケイシー・アフレック演じるリーは以前この町で妻と子供3人と暮らしていて、同じ町には兄のジョーと甥のパトリックもいて、よく3人でボートに乗って釣りをしていた。ただある事がキッカケで、リーは町にいられなくなり、ボストンに移り便利屋として暮らしていた。 兄のジョーが亡くなり、リーは町に戻ることになる。そこには16歳になり多感なパトリックがいた。 町にいられなくなったリーが兄の死をキッカケに、疎遠になっていた家族と過去に向き合わなくてならないしんどさがすごくよく描かれていて、心を殺して生きていたリーの苛立ちや混乱や疲弊っぷりをケイシー・アフレックの死んだ目でよく表現されている。きっといい奴なんだろうけど、過去に勝てそうにない負け戦、、、つらいね。 お父さんを亡くして一人ぼっちになったパトリックも、それはそれでつらい。子供と大人の狭間だから、彼自身は何だってできそうなのに、「21歳になってから!」と言われてしまい苛立つ。理解しようとしても理解できない葛藤と、やっぱり父の死も受け止めなきゃいけないからすごく大変。 ものすごく派手なシーンはないけれど、登場人物の内面がすごくドラマチックなので、あっという間の137分でした。

  • 鑑賞日 2017/11/23

    なんとも...

    ただ過去にトラウマのある無気力男の災難って感じであまり感情移入できなかった。素直な感想はイマイチ!

  • 鑑賞日 2017/11/21

    故郷に住めない理由

    マンチェスター・バイ・ザ・シーは、ボストンからクルマで1時間半ほどの距離にある。 その町の海辺の風景がたびたび映し出されるが、寒々しい風景が美しい。 そしてその静かな佇まいに同調するかのように語られる物語に、胸が熱くなった。 ケーシー・アフレック扮する主人公のリーは、ボストン郊外に住むアパート専門の便利屋である。 担当するアパートの住民の要望や苦情に応えて、さまざまな仕事をこなす。 トイレや水道の修理にはじまり、不用品の処理や電球の取替え、周辺の雪かきまで黙々とこなしていく。 そんな生活から伝わってくるのは、彼の深い孤独である。 無口で偏屈な彼は、誰とも交わろうとしない。 あえて殻に閉じこもろうとするその姿を見ているうちに、過去に何かがあり、傷ついた心を内に秘めて生きているのだろうという想像が働く。 映画の中盤、そのことが明らかになるが、それは予想をはるかに超えた痛ましい事実であった。 思わず言葉を失ってしまった。 彼の傷が、いかに深いものかということを初めて知ることになった。 それは一生立ち直ることができないのではと思わせるほど過酷なもの。 言葉を代えると、彼の人生はそこで一度終わってしまったのだとも言える。 後は付け足しに過ぎない。 自分を押し殺し、死んだように生きていくしかない。 それほど悲惨な出来事なのであった。 しかしそんな彼でも、少しは前に進む事ができるかもしれない。 けっして癒されることのない傷ではあるが、それでもひょっとすると立ち直ることができるかもしれない。 そう思わせるのが、この映画である。 兄の突然の死を契機に、何年ぶりかで故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに帰ってきた。 そして兄の遺言により、残された16歳の甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人に指名される。 だが故郷に住めない理由をもつ彼は、自分の役目ではないと固辞するが、行き掛り上引き受けざるをえなくなってしまう。 こうして不本意ながらも、パトリックとの共同生活が始まることになり、封印したはずの過去と、嫌でも向かい合わざるをえなくなる。 そのなかで、大切なものを失った者同士が、どう変化していくか、今後の生活はどうなっていくのか、過去と現在を行きつ戻りつしながらカメラは静かにふたりの姿を追っていく。 傷ついた男と、青春真っ只中の若者の絡ませ方が見事。 悲惨な中に差し挟まれた軽さが、この映画を暗いだけではないものにして、救いになっている。 この映画は当初マット・デイモンが監督、主演の企画としてスタートした。 しかしスケジュールの都合から、脚本担当のケネス・ロナーガンが監督に、親友ベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックに主演を任せることになった。 その結果、ケネス・ロナーガンがアカデミー脚本賞に、ケイシー・アフレックが主演男優賞に輝いたのである。 幸運な巡り合わせといえよう。 よく練られた脚本、そして何よりもケイシー・アフレックの抑えた演技が素晴らしい。 そしてクライマックスで流れた「アルビノーニのアダージョ」の切ない旋律が印象に残る。 おそらく今後時間が経っても、心に残る、忘れられない映画になるだろう。

  • 鑑賞日 2017/11/18

    オルセン夫人には謝らなくて良い

    間接的に伝える、というか聴衆に汲み取り方を委ねている部分が多いように感じた。 日本人受けは良さそう。 風景と音楽の効果覿面。 冬に鑑賞する事をオススメします。

  • 鑑賞日 2017/11/13

    壁があるのは知っている

    兄の死を契機に故郷に戻ってきた弟。兄の息子の後継人を遺言で告げられた彼は、逃げてきたどうしようもなく蘇る自分の過去と向き合い、似た境遇となった兄の息子に、自分の生き方を見せる。壁があるのは知っていて、乗り越えなければいけないことも知っていて、だけどそこで背を向けたっていい。2人の男が流す涙は種類こと違えど、誰かを想うという部分は共通していて、とても温かい。ケイシーアフレックが魅せる表情が素晴らしい。今思い出しても泣ける作品。

  • 鑑賞日 2017/11/7

    鎮魂のドラマ

     マンチェスターとはイギリスのそれではなくボストンの北方に位置する海辺のスモールタウンらしい。生まれ育ったこの街で受けた心の傷のせいで、ひとり都会のボストンで便利屋として暮らしているリー(ケイシー・アフレック)が主人公。  兄ジョー(カイル・チャンドラー)の突然の死で再び故郷に戻ってくる。まだ未成年の甥の後見人となる。街に戻ってきたことで、過去の記憶が蘇る。映画はそれを唐突にフラッシュバックで挟み込み、彼の閉じた心を垣間見せていく、という手法を取る。 自らの失火で二人の娘を同時に喪った、リーの辛い過去が唐突に提示される。映画は突然の病で父を亡くした少年パトリックとの深い傷を負った二人の再生の物語となる。  二人の娘をいっぺんに失うことになったリーの傷は深い。壊れたままの心は荒んでいて、あちこちで問題を起こしている。死んだような目つきにその暗い心中が象徴されている。甥はこの街で暮らすことを望むが、つらい記憶が残るリーにはそれができない。深い傷は街の風景と同化してしまっている。  傷心のリーを心配した兄がボストンの狭いワンルームを訪れるシーンが印象的。殺風景な部屋に家具を運び込んでやる思いやり。亡くなった兄の人となりがフラッシュバックで再現される。殺風景なままでは人間は生きていけない。人生は一人で生きるには辛すぎる。そんな兄の思いやりがあの遺言を書かせたのか。フラッシュバックが効果的に使われ、そのたびに落ち込んだり、前向きになったりと揺れる現在の心境が描かれる。  娘を失い心が壊れたまま、リーの元を去ったランディ(ミシェル・ウィリアムズ)の謝罪の言葉が、彼の思いつめた心を僅かに癒し、一歩前に進ませることになる。  鎮痛な魂を抱える人々をじっくりと撮ったカメラが素晴らしい。背後に流れるアダージョ(アルビノーニ)と厳寒の海辺の街が鎮魂のドラマを隈取っていた。

  • 鑑賞日 2017/5/21

    一番傷付いていたのは自分自身

    「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」のケネス・ロナーガンの脚本・監督作品で、ある出来事によって別の土地で便利屋をやっている男が、心臓を患っていた兄の死で地元に戻り、高校生の甥の後見人になる、というお話しで、義姉はとうに離婚して家を出ていて、自身も地元ではある出来事の張本人として後ろ指を指される、というバラバラな関係の中で、父親を亡くした甥の心情や傷付けてしまった元妻への思いなどが描かれながら、実は一番傷付いていたのは自分自身だったと自覚して、そこから少しずつ関係を修復するというか、見つめ直すようになっていくまで、海岸線の静かな町並みを背景にして、人の心情をすくい取っていくような感覚が心地好い感じでしたね。ケネス・ロナーガンも主人公に意味もなく絡むそこら辺のおっさんとして登場しているのが笑っちゃいましたね。

  • 鑑賞日 2017/10/11

    町に苛まれ、町を殴る、町を許し、でも町に耐えられない

    マンチェスターという港町と主人公の戦いの記録。決して大写しにならずとも三枚という数字だけですべてを現す写真立ての扱いが良い。最後にほんの一筋の救いがあるところも。 前妻の男の子の赤ん坊への「いい男だな」は辛すぎて。

  • 鑑賞日

    1500

    きっと良い映画なんだろうけど、いまいち気分が乗らなかった。 自分の中で、より強烈な「痛み」を期待してしまった。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    これが(アカデミー)作品賞じゃない? 何も起こらず、何(カタストロフ)も訪れず、問題は取り残される。しかし、淡々と過ぎ行く時間の描写は、映画が終わった後も観客の人生が続いて行くように、スクリーンの中でも続くことを、そしてその先にいつか癒しが、許しが訪れるかも知れないという微かな、しかし確信に似た予感を残す。アメリカ映画もこういう作品が作れるんだという救い。「この映画を観た後も人生は変わ」らないけど、肯定したくなる。「これこそが映画を観る意味」でしょう!

  • 鑑賞日 2017/9/15

    阿佐ヶ谷で2回目の鑑賞。今年ベストは今のところこれと『お嬢さん』の2択。 時間だけが癒やしてくれる心の傷を描き、それでも赦されない深い痛みをさらにえぐる。ミシェルウィリアムズとのあの場面では、再鑑賞にも関わらず嗚咽が漏れた。 ケイシー・アフレックの演技はここ10年のあらゆる俳優の演技でもベストクラス。

  • 鑑賞日 2017/6/2

    思い出したくない暗い過去

    触れられたくない過去、然るに甥の為に帰郷せざる得なくなる。

  • 鑑賞日 2017/6/22

    風景で語られるドラマ

    マサチューセッツ州の都市、マンチェスター・バイ・ザ・シーが主な舞台となるこの映画は、町やその周辺の風景が非常に重要な意味を持っており、それは概ね「空ショット」という形で作品にあらわされています。例えば、恐らくこの映画中いちばんの見せ場であろう「アルビノーニのアダージョ」にのせて描かれる主人公のトラウマ場面も、その終りは港やカモメの「空ショット」で締めくくられていました。確かにこれは効果的で、様々な映画で使用されている「名曲」が8分間フルで使用されている時点ですでに相当盛り上がっているところに、最後のトドメとばかりに物寂しい冬の港とカモメのショットが挿入されるのですから、その抒情は圧倒的なまでに劇的なものとなります。この例を極北として、さほど数は多くはありませんが、それがかえって印象に残る「空ショット」がこの作品を彩っており、それは風景にスーパーインポーズが入る形式をとる本編後のエンドクレジットでも同様です。しみじみ上手いなあと思いますし、この手法が、いろいろ「どうしようもない」今作の物語の、ある意味で「癒し」になっていることも理解できます。けれど、ちょっと抒情過多にすぎ、感傷的にすぎるんじゃないかなあ、という気もしました。ただでさえ共感しづらい主人公であるのに、こういう甘えにも似た「癒し」が明白に存在すると、益々キャラクターに寄り添うことができなくなるんじゃないかなあ、なんて若干引きつつ考えてしまいました。ただそれは、単純に主演のケイシー・アフレックの「セクハラ問題」がずっと頭にあって、それが邪魔して主人公に全く感情移入ができなかっただけのこと、という気もします。 文句もつけましたが非常に良い映画だったと思います。最後もほぼ満点の落とし方でした。ただ、ラストの2ショットはいらない。その前のショット(路上で主人公と甥がたわむれつつもとぼとぼ歩いているロングショット)で終わっていれば完璧でした。

  • 鑑賞日 2017/6/23

    マンチェスターの静かな港町に投影される傷ついた男の心の変遷。何も特に起こらないことがすごく心地よい!

    ボストン郊外でアパートの便利屋として働くリー。彼はある日、生まれ故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに住む兄が倒れたとの連絡を受ける。リーは車を飛ばして戻るが、彼が着く1時間前に兄は亡くなっていた。今後のことを医師や友人のジョージと相談し、一路兄の息子で、リーの甥になる16歳のパトリックがホッケーの練習をしているコートに迎えに行く。生まれ故郷を車で行き交いながら、リーは兄との思い出と、リーがこの故郷を離れることになった過去の悲劇に思いを巡らしていた。兄の弔いを終え、いち早く故郷を離れたかったリーではあったが、兄の遺言を紐解くと、パトリックの後見人にリーを指名していたのだった。。今年(2017年)の第89回アカデミー賞主演男優賞、脚本賞を受賞したヒューマンドラマ。監督・脚本は、「ギャング・オブ・ニューヨーク」脚本のケネス・ロナーガン。 どんなジャンルの映画でも、そこにはいろいろな出来事が展開され、そこに一喜一憂する楽しみがあると思いますが、本作はなんというか、全く”無”ともいえるくらいに物事が起きません。確かに兄の死であったり、リーが故郷で遭遇した悲劇というのはダイナミックな出来事なのかもしれないですが、それ以外はまるでなにもないような日常がただただ淡々と映し出されるだけ。。集中力がないと寝てしまうかもしれませんが、僕は、この静かなマンチェスター・バイ・ザ・シーという場所に結構釘付けになり、この淡々と進むドラマに逆に心を奪われました。別に何か風景が美しいというわけではなくても、なにかのどかな田舎町に行ったときに、ボーッとして過ごせるような至福なときがあると思いますが、この映画のゆったりとした時間の流れというのはまさにそれに似ているかもしれません。マンチェスターの厳しい冬の風景に、ゆったりと人の情というのものが移ろいゆく姿も何か映画としての美しさをも感じるのです。 ゆったりとした作品ではありますが、だからこそ、主人公リーの内に秘めたいた過去の悲劇的な出来事と、その過去を封印するかのように、自分という存在を抹殺して息を殺して生きているような今の姿が胸に迫ってくるのです。インサートされる過去のドラマと、兄の死から動いていく現実のドラマの織り交ぜ方も絶妙。リーの心の情景と、それを象徴する過去の物語がゆっくりと紡がれていくのです。アカデミー賞主演男優賞を獲得したケイシー・アフレックは今まで脇役の人が持つような独特な透明人間感が強かったのですが、その味わいが本作のリーという何を考えているのか分からないリーというキャラクターにピッタリと重なっています。全体的に静かな作品ですが、ピカイチの味が光るオススメ作です。

  • 鑑賞日 2017/8/28

    前に進める事の尊さ

    素晴らしい。本年No. 1。 明らかな感動とか衝撃が全く無いが、極めて映画的。 こういう作品にたまに出逢えるので映画館通いが止められない。 ひたすら地味に物語は進行していくが、どんより漂う「詰んでる」感に、これまたつまらない人生を送っている自分の身に重なって鬱屈した気分に。 分かり易い救いが用意されているわけではないが、前より少しだけ前に進めるようになったリーに共感して大きな感動をおぼえる。 終始淡々と進むが、俳優達の巧みな演技と練られた脚本によって、作品はとてもエモーショナルなものになっている。 時間軸を交差した語り口だが、わかりづらい事もない。 また撮影も素晴らしく、大仰な演技をしない代わりに短いカット割などを駆使して人物の感情表現に成功している。 とにかくすべてがハイレベル。公開規模が大きくないが、本当に観られてよかった。

  • 鑑賞日 2017/7/2

    託された思いを抱えて…

    頭ではわかっている。 兄貴が何を思い、どうしてこの役回りを託してきたのかを。 あの日、あの時から 死んだように生きてるオレに… いや、生きたまま死んでいるオレに ちゃんと生きて欲しいと 死にゆく自分の命と引き換えに、これをきっかけにして ほんの少しでも良いから生きて欲しいと願ってくれたんだと。 哀しみを整理してとは言わないけれど もう充分苦しんだじゃないか… パトリックもこんなに大きくなった。 それだけの時間を費やしてきたんだ。 自縄自縛の贖罪の日々をどこかで区切りにして 自分の人生をもう少しだけ謳歌してもイイんじゃないか? 兄貴の遺言の意味はちゃんと伝わっている。 だからこそ直面し、悩み、苦しんでいる。 それまできっと再生のための苦悩なんてしてこなかった男の内面に 『考えさせる』時間を与えたことは確かなんだと思います。 結果として 男の出した結論が前向きなものではないように感じられたとしても きっとそれまでとは違う日々が待っている…日々が訪れるはず… 『ここにまだ、お前の家族はいるんだぞ』 マンチェスター・バイ・ザ・シーにほんの少しの光を感じたはずだから。 主人公が抱え込んだ『喪った悲しみ』と 彼の兄が遺す『まだここに残る光』との狭間に揺れる心情が ただ淡々と描かれていたと思います。 『生きてたってしようがない』と思っているはずの主人公が生きている… それはきっと自分が生きてて良いと思える理由を、存在意義を探し続けていたんだと思います。 死んだ兄貴が遺した甥っ子の存在。 うっとおしいだけだったかもしれないけれど 押しつけでも良いから『生きてて良い』という理由を兄貴が苦しむ弟に 強くメッセージを発したんだと感じました。 今はこれで精一杯かもしれないけど きっと主人公はこれからゆっくりであっても変わっていく。 そんな風に思えました。

  • 鑑賞日 2017/5/16

    時間が止まったままの男。

     時間が止まったままの男。 スタッフキャスト  監督/製作/脚本:ケネス・ロナーガン  製作:マット・デイモン、衣装:メリッサ・トス  音楽:レスリー・バーバー、撮影:ジョディ・リー・ライプス  編集:ジェニファー・レイム  出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ    カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ    カーラ・ヘイワード、C・J・ウィルソン    グレッチェン・モル、マシュー・ブロデリック    アンナ・バリシニコフ、ジョシュ・ハミルトン    テイト・ドノバン、スーザン・プルファー    ロバート・セラ、トム・ケンプ 感想  町山さんのたまむすびでの映画紹介を聞いてから  楽しみにしていました。  映画紹介の中で、昔は陽気だったケイシー・アフレックが  とてつもない悲劇によって人とのコミュニケーションを  断った暗い男になっていて…。  という話を覚えて観たので、画面に彼の娘が映った時に 「そういうことですか…。」と想像がついたわけですが、  とても良い映画で、泣いてしまいました…。  その悲劇のシーンのミシェル・ウィリアムズの演技が  少ししか映らないにも関わらず凄くて涙腺が刺激されました。  また彼が起こした悲劇の重大な過失の詳細を警察で語る  シーンが悲しくて、辛過ぎて…。  その後に彼がとる行動も悲しくて辛過ぎて…。  彼は罪を背負ってしまったんだけど、  決して彼が悪いわけではなく、でも悪い。  誰もが起こし得るちょっとした過失なために  警察官も友人も彼を攻めるというよりは、  本当に可哀想で残念だったと思いを寄せる。  だが劇中では直接描写されないけれども奥さんの  ミシェル・ウィリアムズは彼に酷い言葉を浴びせたようです。 ただ、二人が離婚したのは  二人で一緒にいるとその悲劇を思い出すために  もう一緒にいれなくなってしまったのでは。  あんなにも馬鹿で子供過ぎる男が、  今はもうその見る影も無い…。  過去の彼とその悲劇を知ると悲しくて悲しくて。  終盤ミシェル・ウィリアムズは再婚し  新しい命を授かったことをケイシー・アフレックに伝える。  つまり、彼女は悲劇を乗り越えて新しい人生を歩み出した。  という事だと思うのですが、  ケイシー・アフレックは暗い性格のまま、人を殴ったり、  死んだ兄の息子の後見人も満足に務めることができない。  息子の友達のお母さんから興味を持たれても心ここにあらず。 (胸元が開いた服を着るも全く効果無し!)  つまり新しい人生を踏み出せていない。  あの悲劇からケイシー・アフレックの時間は止まったまま。  新しい人生を踏み出したミシェル・ウィリアムズと  踏み出せないケイシー・アフレックの違いは何か?  それは不注意とはいえ自らの過失a.k.a自分のせいで、  娘を失ったということがやはり大きいのではないでしょうか。  でも終盤甥っ子が船を運転している時に  ケイシー・アフレックが若干笑顔だったから  若干光は見えたのかな? ↓この顔、シーンがとても良いのです!  ミシェル・ウィリアムズが出てる事もあって  ブルーバレンタインを思い出したりもしました。  ブルーバレンタインも過去と現在を交互に見せていく構成で  そこが共通してるのはもちろん、  旦那が非常に子供っぽくて無邪気というのも共通している。  他人の子供の親になるという部分も共通している。  誰かが悪い訳ではないんだけれど、(悪いと言えば悪い)  悲劇が起ってしまって、罪ではなく過失だから憎めない。  という辺りに是枝裕和監督の歩いても歩いてもの  いつもの陽気なおばちゃんと思いきや、  本当は怖い樹木希林の  「憎む相手がいないだけ余計こっちは辛いんだから。」  を思い出したりもした。  ミシェル・ウィリアムズは非常に出番が少ない役なのですが、  少ない出番の中、とても素晴らしかったです。  悲劇の直前の馬鹿男達に対してクソ野郎!  と罵倒するシーンも最高!  ある悲劇のシーンの姿もそうだし、  終盤の元旦那に謝罪するシーンもとても良かった。  ミシェル・ウィリアムズはあと葬式のシーンで  出てるぐらいで非常に出番が少ない!のに印象的!  ミシェル・ウィリアムズ可愛い!  本作でアカデミー賞を受賞したケイシー・アフレック。  元々はマット・デイモンがやる予定の役で、  そろそろ俺も演技派の芝居するか!というマット・デイモンが  その役を譲ったという話が非常に面白い!  そのあたりは町山さんのたまむすびを聞くのがオススメ!  C.J.ウィルソン演じる友人のジョージが超良い奴で  あんな男になりたいです。  映画体験としては横の席の人が、そこで笑うか?  というところで爆笑しててそれはまぁ良いのですが、  ケイシー・アフレックが殴ったり殴られるシーンの度の  椅子に座ってる状態から体が浮き上がるほど  毎回驚いていて衝撃でした。  この人アクション映画とか観たらどうなるのだろうか? コピー  癒えない傷も、忘れられない痛みも。  その心ごと、生きていく。    ケネス・ロナーガンは小津安二郎に最も近いアメリカ人だ                 byローリング・ストーン紙

  • 鑑賞日 2017/8/11

    不器用なもの同士の押しつけがましくない愛

    兄の死をきっかけに戻りたくなかった街に戻ってきたリー。 兄の遺言により16歳の甥の後見人に任命されるが…。 無理やりまとめず、自然な終わり方で良かった。 不器用なもの同士の押しつけがましくない愛は素敵。 なにかを乗り越えたり咀嚼するには人それぞれ時間が必要。 この映画の中では女の人が結構ひどい描き方をされているんだけど、特に前妻!今更謝られてもね…。 じんわりと、色々考えさせられる映画だった。

  • 鑑賞日 2017/7/16

    普通に良い映画だったなっていうのが素直な感想で、特別我が琴線に触れることは無かった。

  • 鑑賞日 2017/7/30

    ケイシー・アフレック!

    蒸し暑い街から劇場に入ったら、雪に閉ざさされる海沿いの暗い町の風景。 リーを変えた出来事のシーンの赤い色だけが目に痛かった。 ケイシー・アフレックがあまりにハマってて、リーの過去と現在の顔が移り変わるたびに グッときてしまいました。 あれほど深く傷ついた大人の男が、そう簡単に乗り越えて笑えるものじゃない。逃げたくもなるだろう。 それが現実なのかもしれない。 それでも、守るべき者のために、ほんの半歩だけ 踏み出した彼は強い。

  • 鑑賞日 2017/7/28

    美しい映像と切ないけど切ないだけじゃないストーリー…135分があっと言う間だったな…

  • 鑑賞日 2017/7/28

    センスの良い映画でした

    連れが大絶賛していました。私は序盤のあまりの暗さと下品なセリフ、暴力のシーンにちょっと引いてしまいましたが、主人公の甥っ子が出てきてからは、すごく良かったです。しばしば映る風景と音楽、始終抑えたトーンで進む演出、細かい演技とセリフのやり取りがとてもセンス良く、また、暗めのトーンなのにセリフがわりと直球で、意外とニヤリとしたり、あぁ分かるわぁ、というリアリティがあったり。主人公と甥っ子が静かにわかり合ってゆく姿がとても微笑ましく、さわやかな気持ちになりました。

  • 鑑賞日 2017/6/22

    哀しいダメさ

    静かで小さいけど、確かな再生の物語

  • 鑑賞日 2017/7/24

    一度壊れた心は簡単にはもとに戻すことは出来ないですね

  • 鑑賞日 2017/7/24

    やっぱり男のコミュニケーションは釣りとケンカとキャッチボールだよねっていう話(だよね?)。毎日1時間半かけて職場まで通ってる私の立場は如何。

  • 鑑賞日 2017/7/20

    ケイシー・アフレックとマンチェスターの街並み

    ケイシー・アフレックの演技の素晴らしさ。 主人公の心情を描写するマンチェスターの街並み。 重苦しいテーマをクスっと笑わせる要素をふんだんに取り入れて観客を息苦しくさせない脚本。 自分の中では満点に近い評価。 序盤の兄が死んで病院に駆けつけた直後の医者、看護師とのやりとりのシーン。 なかなか言葉が出てこず、途切れがちな会話の演出は圧巻だった。

  • 鑑賞日 2017/7/15

    一編の小説のような

    マンチェスターと聞いてイギリス?でもボストン?アメリカの国旗もあるし…などと地理に無知な頭に邪念が入ってしまった。心に傷を抱えた普通の人たちをめぐるヒューマンドラマと言ったところか。主人公のリー役の人に魅力を感じなかったので、今ひとつ作品の世界に入り込めなかったが、終わった後に一編の小説を読み終えたかのような感覚を覚えた。 ロバート・レッドフォードがメガフォンを取った「普通の人々」を思い出した。淡々とした良さもあるが、ちょっと退屈に思えた。 しかしアメリカの食卓風景は貧困だなあ。

  • 鑑賞日 2017/7/15

    マンチェスター・バイ・ザ・シーの薄曇りの空

    年代によって観方が変わるかも知れないが、良く書かれた脚本と丁寧な演出が良い。特筆すべきは撮影のすばらしさで、街の寒々とした風景は一枚の絵画のようだ。 登場人物が苦悩を背負いながら生きて行く様を描いた映画は時には観ている側も辛い思いをするが、この映画はラストで救われた。 終始、曇り空のマンチェスター・バイ・ザ・シーの街もいつか青空が見えるだろう。

  • 鑑賞日 2017/7/12

    いい映画を見たな~としみじみした。 とっても地味なんだけど、地に足の着いた人間ドラマ。 なかなかの悲劇と悲壮感漂う暗さ。 ドラマチックに描こうと思えばそうできる物語を、じっくりと俯瞰する。そして湿っぽくないところがいい。 主人公にどっぷり感情移入してしまうとしんどいところを、上手く傍観者にさせてくれる。 アップで捉えるところと、引きで展開させるところの選別が、独特で上手い。 主役二人はもちろんで、加えて兄ジョーと隣人ジョージも良かった。家族の、男たちの連帯感と慈愛が、許しを生む。 一方で、男たちの物語かと思いきや、ミシェル・エイリアムズの存在感たるや。 彼女の強さと弱さと痛みは、もの凄く共感できる。 女は日々を生きる。刹那の安息を求める。 でもその裏には、思いを積み上げ、隠している。 決して、忘れることは無い。 〈パンフレット〉★☆☆ B5縦、カラー、24p、700円 東宝(株)映像事業部/発行、(株)東宝ステラ/編集、小嶋謙介(green.)/デザイン グラビア ストーリー キャストインタビュー&プロフィール1名 キャストコメント&プロフィール2名 キャストプロフィール4名 レビュー/李相日、山崎まどか 監督インタビュー&プロフィール プロダクションノート スタッフプロフィール7名

  • 鑑賞日 2017/7/10

    リーの未来はきっとこれまでよりは明るい

    兄の遺言で甥のパトリックの後見人となってしまったリー。かつて全てを失ったトラウマが残る故郷がリーの心を動かし始める…。 オスカー主演男優賞受賞作。何かが解決する訳ではないが少しずつでもリーの心が動いているのを感じれる。万人向けではないです。

  • 鑑賞日 2017/6/27

    『アルビノーニのアダージョ』が胸をしめつける

     見るからに寂しげで、屈折したような佇まいの奥に、ちょっと強い芯のある感じの、その存在感だけで画面全体を彼の色に染めてしまう、ケイシー・アフラック。初めまして。その色はだいぶ違うけれど、ジェームス・ディーンの再来か、と言ったら大袈裟だろうか。久しぶりに、背中だけで何かを語ってくれるような、魅力的な俳優に出会った気がした。  故郷の港町マンチェスター・バイ・ザ・シーに、やむなき事情で、主人公リーは久々に帰郷する。その港町の、寒々とした美しい風景が彼によく似合う。しかし、ここには何か悲しい過去があるらしい。その忘れたくても忘れられない、残酷な過去が明らかになる場面で、おもむろに流れてきたのが、『アルビノーニのアダージョ』だった。誰でも一度は聴いたことのあるメロディーだろうが、あたかもこのシーンのために用意されたかのように、その哀しい出来事に寄り添っていく。その厳かで美しく重苦しい旋律が、あっという間に私の心を捉え、そしてゆっくりと胸をしめつけてきた。あー、映画を観てるんだなあ、という年に数回しか経験できない、幸せな感慨に浸ることのできた数分間だった。  元妻ランディを演じたミシェル・ウィリアムズもいい。観たことあると思ったら、以前「マリリン・モンロー」を演じていた彼女だった。リーとの再会のシーンは、妙な間があって、ふたり共ちょっと演技過剰な感じもしたけれど、またまたぐっと胸に来た。  ラストはあんな感じになるしかないのかなあ。最後まで抑えたままの演出だったのは、この映画の品の良さを物語っている。これからも、リーは死ぬまで重い荷物を背負って生きていくのだろう。でも、甥のパトリックとの、ぎこちないながらも心通う関係を通じて、暗い海の向こうに、少しだけ光が見えて来たことに、ほっと胸をなでおろしたのだった。

  • 鑑賞日 2017/7/9

    辛く悲しく切ない佳作

    人に対して心を閉ざしたリーは、突然の兄の死によって、16歳の甥の後見人になる。二人は反目し合い、心を通わせることができない。リーが回想する中で、彼自身が今とは別人のように快活で饒舌だったことがわかる。何故、彼は変わってしまったのか。やがてその真相が劇中明らかになる。乗り越えられぬ過去という重い十字架を背負った男の、辛さ悲しさ切なさが胸に沁みる。

  • 鑑賞日 2017/7/7

    過去の悲劇を抱える男の彷徨

    観始めた時は、評判ほどではないな、話しにまとまりがなく退屈だなと思った。しかし、話しが進むに連れて、作為を極力表に出さない自然なストーリー展開が紡ぎ出す人間ドラマが心に染み渡ってきた。また、全編を通して、何か温かいものに包まれた雰囲気に、作り手の主人公のような悲劇に遭遇した人間に対する優しい眼差しが感じられた作品だった。 アメリカ・ボストン郊外で便利屋として働く主人公リー(ケイシー・アフレック)は、仕事は出来るが客とのトラブルが絶えなかった。彼は鬱々とした孤独と哀しみを抱えて生きていた。そんな時、兄が突然死し、兄の遺言に従い、故郷のマンチェスター・バイザシーに戻り、16歳の甥(ルーカル・ヘッシズ)の後見人をすることになる。二度と帰るまいと決意した故郷で、彼は過去の悲劇と向き合って生きていくことになる・・・。 悲劇が元で別れた妻(ミシェル・ウィリアムズ)との久々の会話シーンが秀逸である。会話を分かり易くするようなことはしない。不器用で、たどたどしい会話のなかに、互いを想う気持ちが溢れている。ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズの演技力が光る名場面だった。 前半では、巧みに、主人公の過去と現在を往復しながら、決して善人とは言えないが、何処にでもいる子煩悩で友達が多く妻との喧嘩の絶えない彼の悲劇前の人間性が炙り出されていく。そして、そんな家族に起きた過酷な悲劇で主人公は激変し、心の傷が癒えぬまま、過去を払拭できないまま、主人公は故郷を離れ人生を彷徨していく。従来作に比べ、この彷徨の過程を淡々と丁寧に描いているのが本作の特徴であり真骨頂である。本作は、主人公および周囲の人々の日常の出来事を描くことに徹している。作為的なことは一切しない。話をまとめることもしない。説経臭いナレーションも被せない。直向きに主人公の心情に最接近することで、我々観客に、彷徨というものの生々しさを突き付けてくる。ラスト近くで、“乗り越えられない、辛すぎる”という彷徨の渦中にある主人公の呟きは自然であり、それ故に極めてリアルである。何より、ケイシー・アフレックの鬱屈した彷徨の演技が出色である。 そんな主人公にも、甥との関係を通じて、再生とは言えないが、一筋の光が差し始めたエンディングは心温まるものであった。 派手さはないし、すごく楽しい作品でもないが、観る価値のある作品である。

  • 鑑賞日 2017/7/8

    極上静音上映

    ただただ静かに、深く、業を背負った主人公の姿を描き出す。 この作品で1番心に突き刺さるのは、罪を背負った主人公が成長し、罪を受け入れ、前に進み出す、わけではないことだ。 主人公の成長と共にある映画数多くあれど、主人公が苦悩の末に何も変わることができない、というのはなかなか出会ったことのない体験だった 。 ただそれが最大の特徴であり、長所でもあり主人公の心情をリアルに、誠実に表現している。 映画全体のテイストに合わせて声を荒げたり、激しく動きをつけるシーンが多いにもかかわらず、見事に主人公リーを演じ切ったのには驚くしかなかった。 人は皆映画やドラマの主人公のように強くはなれない。 それでも、生きていかなければならない。

  • 鑑賞日 2017/7/5

    主人公の兄の死によって、主人公と兄の息子が密に関わりあうようになり、2人とも心に傷を受けているが少しずつ前に進むという流れ。それに加えて主人公は昔火事で子供を亡くしており、それ以降生きる気力がないように人柄がかわってしまっている。 火事と兄の死の以降の主人公とその甥の変化がわかる演技と、その出来事の起きる前の昔のことが現在の時間軸の中で所々入る編集がよい。

  • 鑑賞日 2017/7/1

    見所は、ケイシー・アフレック扮するリーの心情描写だ

     主演のケイシー・アフレックが本作で第89回アカデミー賞主演男優賞を受賞したことで話題の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」。  ある事件が発端で故郷を離れ、ボストン郊外でアパートの便利屋(日本でいう管理人?)として働いていたリーは、突然の兄の死で故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。兄の遺言により、リーは16歳の甥パトリックの後見人となる。故郷を離れ。人と交わることを一切避けて虚無的な暮らしをしてきたリーが、過去の悲劇と向き合うことになっていく。  監督・脚本は、「ギャング・オブ・ニューヨーク」脚本のケネス・ロナーガンで、アカデミー脚本賞に輝いた。  見所は、ケイシー・アフレック扮するリーの心情描写だ。彼が過去に負った悲劇は意外に早く語られるが、過去と現在を交互に描きながら、違和感なく物語に入っていくことが出来るのは脚本の力だろう。実際あのような過去を背負ったたら、後に引きずらない方がおかしい。しかし、甥っ子との暮らしや周りの人たちと否応なく交わらなければならなくなった状況下が少しずつ彼の傷を変えつつあるというラストが希望が持てる気がした。

  • 鑑賞日 2017/7/1

    リアルなアメリカ映画

    このような人々がアメリカの北東部に暮らしているのだろうなと感じさせる現実味、説得力、そして夢のある映画だった。音楽が美しかった。

  • 鑑賞日 2017/6/29

    大不幸大会

    俳優陣の演技は素晴らしかったです。 ただ、戦時でもないのに、登場人物が死にすぎて、感情移入できませんでした。

  • 鑑賞日 2017/6/29

    2時間10分を超える映画にするような話とはとても思えず。 今時はもっと複雑で問題を抱えた家族は沢山いるだろうし、これを商業映画という形で第三者が見るのは違う気がする。 絶賛されている主演俳優も名演というよりいたって普通と思うし、ネット配信のホームドラマを見ている感じだった。 クズ映画とは言わないけど、良くも悪くもない定食映画である。

  • 鑑賞日 2017/6/27

    優しい映画

    明るくはないし、単純に面白い映画ではない。 ただ、完成度は抜群だ。 それはシナリオも、役者の芝居も、音楽も、映像も。 特にやはりシナリオで。 ベタな言い方をすると主人公の揺れる心をしっかり描いている。 これでもか、と言うほど見せる。 この作品で、ケーシーアフレックが完全復活してくれれば、いいのだが。 生きるという事は本当に色々ある。 そして、それはやっぱり人と触れ合う事で。 好きな人も嫌いな人も、それらを含めて人生なんだなぁ~と。 乗り越えなくてもいい、というメッセージは最高にクール。

  • 鑑賞日 2017/6/25

    夫婦関係は簡単に縁が切れてしまうが、血縁の繋がりは決して切る事が出来ない。接触の頻度が高ければ高いほど、叔父甥の関係でも親子同然のものとなる。過去の事件で心が壊れてしまった男が、甥っ子と口論を重ねながらも彼なりに後見人としての役割りを果たそうとするところに、痛々しいほどの愛情を感じる。起伏が少なく淡々とストーリーが進む展開だからこそ、嫌でもリアリティを感じさせる。

  • 鑑賞日 2017/6/24

    泣いたなぁ

    みんなそれぞれの生活、気持ち、折り合いをつける難しさ、昇華できない苦しみ哀しみを抱えて生きている。ミシェル・ウィリアムズはいい女優さんになったなぁ。ケイシー・アフレックもよかった。

  • 鑑賞日 2017/5/13

    想い出にかわるまで。

    主人公役がマットでなくケイシーに代わって良かったと思った。 知的で頑丈なマットではこの味わいは出せなかっただろうから。 彼が過去に負った傷とは何なのか、それが判明する中盤以降は 正視できないほどの悲しみが襲う。もし私だったらと彼と妻の 双方に例えてしまった。こんな悲劇を背負った人はその後どう やって生きていくのかとニュースを見て思ったこともあったが、 後半で偶然再会した元妻との会話では更に胸を締め付けられる。 歩み出した妻と歩み出せない夫。セーターで大事に包んだ三つ の額縁を甥がジッと見つめるシーンにその悲しみが集約される。 喪失感は人それぞれだ。気丈に振舞う人もいれば悲しみを露わ にする人もいる。自分を責め続ける人もすぐ前へ進む人もいる。 「もしお前が泊まりに来た時のためにソファーベッドを買う」 と甥に告げた主人公の言葉に涙が溢れた。ひとつ乗り越えたな。

  • 鑑賞日 2017/6/16

     ボストン郊外でアパートの便利屋として働くリー・チャンドラー。ある日、一本の電話で、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーにいる兄のジョーが倒れたことを知る。リーは車を飛ばして病院に到着するが、ジョーは1時間前に息を引き取っていた。兄が残した遺言によると息子パトリックの後見人にリーを指名していた。  非常に物静かで、穏やかな風景が美しい映画。しかしその裏には一人一人の登場人物たちの葛藤や思いが激しく動いている。リー・チャンドラーという主人公の男がなぜ誰にも心を開かないのか。なぜ、マンチェスター・バイ・ザ・シーを去らなくてはいけなかったのか。それは物語の核心を突くネタバレになるので伏せるが、その出来事が彼にとって重くのしかかる呪縛になっている。普通の映画であれば、兄の息子パトリックとの交流を経て過去を乗り越え、新たな家族の物語が始まる…という感動話になるところが、この映画はそうではない。乗り越えられない過去もあるのだ、ということをこれでもかと見せつける。リーは自分が犯した罪を決して赦すことはできない。しかし彼は法では裁かれず、自ら死ぬことも許されなかった。複数の人間の人生を狂わせたほどの過去がそう簡単に清算されるわけはないのだ。  回想シーンを除いて、この映画での登場人物たちの会話は全編とことんぎこちない。全員が、お互いの距離を計りかねているように見える。リーをはじめ、パトリックもリーの元妻のランディも、ハリネズミのように自分の心をガードしている。なので逆に劇中でポイントとなるのは誰かが誰かに激しく感情をぶつけたり、突発的な行動に出る場面だ。その中で、彼らは少しずつ、本当に少しずつではあるけれど近づくことができる。そういう、微妙な心理を実に見事に描いた映画だと思う。  ケイシー・アフレックもミシェル・ウィリアムスもそれぞれの人生やキャリアでつらい過去や失敗を経験してきた人だ。僕はマット・デイモンではなくケイシー・アフレックがリーを演じてよかったと思う。個人的には主人公に感情移入してしまって、後半はボロ泣きでした。人は一人では生きられないし、前へ進むこともできないのだ。40代も半ばになると、本当に良くわかりますよ。

  • 鑑賞日 2017/6/19

    傑作

    私事だが今精神的に不安定になってて 疑心暗鬼に陥り自分の存在価値がどん底まで落ちてる 理由は色々と考えられるけど 親密な友人との関係がギクシャクしてるのもひとつの要因 その卑屈で偏った思考を直そうと努力して 自分に負けて 停滞してる その自己嫌悪と友人が自分に対する考え方を変えるんじゃないか 失望して 愛想を尽かすんじゃないかという 不安に潰されそうになっている いつもの脳天気過ぎるほどの自分に戻りたい そんな朝にこの映画を観た 人は乗り越えられない悲しみを 与えられはしないけれど そう簡単には行かない その悲劇のもたらす苦しみを 目の当たりにした それは想像を絶する 余りにもリアリティがあり 自分の経験した事のように 身体の中に沁み渡って行く その瞬間同じ痛みが走る 心をナイフでズタズタにされる 映画が始まって中盤で体験する 人生で最も起こってはいけない事が現実になるのだ 人と関わる事で 大切なものが増えて行く それを失う恐ろしさは常に つきまとう それは日常のほんの些細な忘れ物から始まるのだ ほんの些細な…… ケーシー・アフレックのある光景に 立ち尽くす姿ーその時 確かに彼の人生が崩れる音を聞いた 素晴らしい演技 ミッシェル・ウィリアムズの 慟哭で一見寛容と捉える事もできるが 実は彼を追い詰めるだけだった 「あなただけを責めた」 「もう、あなたを憎んでいない」 「愛してる」 女の立場からだと この告白によって傷が癒えると考えるのは浅はかだとその後のケンカのシーンでわかるけど 何故その言葉を受け入れなかったのか理解できなかった 男の立場からなら共感できるのだろうか 他人の苦しみと比較して自分の苦しみなんて取るに足らない事だと 安心する 今朝の私のちっぽけな悩みなど 吹き飛ばされる それもほんの少しの間だけ また向き合わねばならない時はすぐにやって来る 簡単に出口は見つからない それはリーが終盤に見る幻想に象徴されるように 果てしない苦しみにもがき続けなければいけない厳しい現実が横たわる それでも今朝のこの映画を観る前の私より 観た後の私は違う なんの根拠もないけれど 絶対に違うのだ

  • 鑑賞日 2017/5/29

    えーっと、イギリスの話だと思っていました...

    観終わって、パンフレットを読むまで、勘違いし続けていました。(汗) 鑑賞中も、なんだか、ちょっとイギリスの映画っぽくないなぁって、 ボストンとか、アメリカの都市名出てきているのにも関わらず、 「???」のまま観続けていました。 思い込みって怖い…。(苦笑) お話は、 大切な人を意図せぬ自身の過失で失った男のその後の人生が、淡々と描かれている。 そんな感じでしょうか。 最近、こういうの多いですね。 少し違いますが、何かを失った男の再生という点で、思い出したのは、「DEMOLITION」。 こちらは、個人的に、とっても心に残っているのですよね、ジェイク・ギレンホールの演技も素晴らしかったし。 「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は、あまり、私の心には、響いてこなかったです。 ケイシー・アフレックの、いかにも、悩んでいます。な、 ボソボソ話す感じの演技も好みではなかったですし、 それを抑えた良い演技としては、見れなかったです。 個々のキャラクターに置いても、 いやいや、自分の心が傷ついていても、 そんなに他人に訳解らん暴力ふるったらアカンで!の主人公や、 数股かけて悪びれない兄の息子や、 まして、なんで今更、「愛してる」と言ったんだ?自分がスッキリするためか?な元嫁とか、 あまり共感できずでした。 お兄さんが、一番、良い人。

  • 鑑賞日 2017/5/19

    主要人物を理解し共感した

    ❶マッチング:消化良好。主要人物を理解し共感した。 ➋本作でAA主演男優賞を受賞したケイシー・アフレック(40)の繊細な演技が出色の出来。実直だが寡黙で、人付き合いが悪く、切れやすい態度は、訳ありな過去を引きずっていることを思わせる。 ➌彼の公開作は、デビューの『誘う女 (1995)』以来、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (1997)』、『オーシャンズ11 (2001)』、『エントランス (2001)』、『オーシャンズ12 (2004)』、『オーシャンズ13 (2007)』、『ジェシー・ジェームズの暗殺 (2007)』、『ペントハウス(2011)』、『ファーナス/訣別の朝(2013)』、『インターステラー(2014)』、『トリプル9 裏切りのコード(2015)』、『ザ・ブリザード(2016)』等々、主演作を含め、何本も観ているが、何故か印象に残っていない。本作で、初めて彼がベン・アフレックの3つ違いの弟であったことを知ったが、兄より弟の方がハンサムだ。 ❹主人公のリー(ケイシー・アフレック)は昔、自分の過失から愛する子供たちを死なせてしまった。その悲しみと苦しみは計り知れないが、彼が自分を一番許せなかったのが、認識なき過失として扱われ、罪に問われなかったこと。罰を与えられていれば少しは気が楽になったかも知れない。 そんなリーが、兄の突然の死で、甥の高校生パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人となり、衝突を繰り返しながら、解決の道を模索する。そんな2人に、リーの元妻のランディ(ミシェル・ウィリアムズ)が絡む。 ❺子を失った父のリーと母のランディ、父を失った子のパトリック。時間は元には戻らないが、相手の悲しみと痛みを理解することが、自分の悲しみと痛みを和らげることになる。時間が癒しとなるのだ。 ❻タイトルの「マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)」はイギリスの都市だと思っていたが、観ている内に、アメリカはマサチューセッツ州エセックス郡の町であることが分かった。 イギリスはじめ、ヨーロッパからの移民が築いた国であるアメリカには、イギリスやヨーロッパと同じ地名が多い⇒ロチェスター(ニューヨーク州)、ポーツマス(ニューハンプシャー州)、ボストン(マサチューセッツ州)、マンチェスター(マサチューセッツ州)、ケンブリッジ(マサチューセッツ州)、ニューヘブン(コネチカット州)、ドーバー(デラウェア州)、グラスゴー(ケンタッキー州。ここは昔出張で立ち寄ったことあり。)、バーミンガム/バーミングハム(アラバマ州)、オックスフオード(ミシシッピ州)、エセックス郡 (マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ニューヨーク州、バージニア州)、等々。

  • 鑑賞日 2017/6/14

    映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。車が走り抜けるような余韻は挟まずにエチュードのように悩みや苛立ちが映し出される。「作為的な自然さ」を、ある意味では無機質なまでに表現し、あからさまな人間的成長ではなく、緩やかな赦しと癒えなさを抱えたまま終わる。見事な編集と情景の豊さが圧巻。

  • 鑑賞日 2017/6/13

    アカデミーに納得

    素晴らしく感動した。静かな海で船から釣りをする甥でまだ子供のパトリックとふざけ合うリー、そしてパトリックの後見人を止めてマンチェスター・バイ・ザ・シーを離れる前に釣りをする二人の姿で終わる。かぶさる音楽も良い。何故、リーが故郷を離れ、後見人を断るかがカット・バックしながら語られる。兄が亡くなった後、パトリックに怒らないリーには、自分の心に残る、消せない傷があった。その辛さに耐えるリーを廻りは理解しているのか、いないのか。極めて日常的で、アメリカの家族問題を語っている。大きな盛り上がりがあるわけではない(実はリーが孤独になる理由が唯一の盛り上がりに関わる)が、見ごたえのある2時間15分の作品だ。日本で同様の作品を作ると、嘘が見えてくる感じがするが、この作品はそれが感じられない。

  • 鑑賞日 2017/6/13

    淡々と演じる主人公

    見応えのある演技でした。静かにどうしてもあの街には居られない事を表現していた。辛すぎて、悲しくて、見ているものに迫るものがありました。 否応無く、当時や事件を思い出させるこの街には居られないんだと訴えていた。

  • 鑑賞日 2017/6/12

    寛容の在りかとその発露

     前回、上映開始の直前に体調を崩し、無理に着席するも、敢えなく自沈。出直しての鑑賞。  海辺のマンチェスターという名の小さな港町が美しく切り取られたショットの数々。これだけが印象に残っていたが、これだけでもこの映画を観る値打ちはある。  そのことが象徴するように、この映画は海辺の風景と父親が遺した小さな船が人びとを強く繋ぐ役割を果たす。  この船に付けられた名が、主人公の母から取られたものであることが、兄が埋葬される墓碑に刻まれた名によって観客に示されている。亡き母が、遺された弱き息子と親を亡くすにはまだ若すぎる孫との、唯一の肉親関係を繋ぎ留めるのだ。  人は何によって救われるのか。  この大きな問いへの小さな、しかし、具体的で強い答えが映画には描かれている。  父親を失った後、主人公の甥は別れた母親に会いに行く。彼女は現在の夫と暮らしているのだが、甥はその夫のことを「キリスト教徒だった」と評する。  これは痛烈な宗教批判ではなかろうか。  この少年は、弱きを助け隣人を愛することを説かれているはずの敬虔なキリスト者には受け入れられなかった。むしろ、辛い過去と偏屈な自我のために人を遠ざけている叔父に救われるのだ。  いったい人の寛容性とはどこにあって、どのように発露されるものなのか。  映画はこの問題提起に止まらず、具体的な回答を示すことにより、感動のフィナーレを迎える。  ベビーカーを押す元妻との再開のシークエンスの、なんと緊張感に満ち、そして暖かみに溢れていることか。  彼女の後悔の言葉に続く「愛してる」の一言。それをどう受け止めたら良いのか判らずに、逃げるようにその場を立ち去る主人公。二人とも不器用であるが、相手をすでに赦していることが、正直にその言葉や態度に表れている。  この寛容性の発露が声高ではなく、真摯で暖かい。  固定カメラのショットが多用されていることから、小津安二郎の味わいをどこかで感じていた。そこへこの感動の再会場面である。これはこの作品に小津の緊張感と感動に類するものをもたらした。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    確かにアカデミー男優賞。

    タイトルだけを見ても街自体がテーマであることが推測され、土着的なお話が好みであることと、どのあたりがアカデミーなのか?興味をもって鑑賞しました。特にお涙ちょうだいというわけではないし、別にハッピーエンドでもなんでもないけれど、過去と土地と、死と残されたものと、新たな生と、「生きていくのであれば」すべてを受け留めていかなければならない、ということを思いました。あんまり他のお客さんがどう思おうと気にしない方なのですが、あの、息子ちゃんの冷凍庫のシーンで笑ったヤツがいたのだけはバカじゃないかと思ったなぁ。あそこ、ちょっと心に残った。不覚にも自分の経験と重なったかなぁ。

  • 鑑賞日 2017/6/10

    海辺の街

    孤独で不器用に生きるリーが哀れ、アンディと再会での会話はもう苦しい....(涙) ケイシーアフレックの演技も素晴らしい! マンチェスターのグレーの空に海鳥が舞って行く所は見事です! 中年だから⁉︎心に染み入る! 誰にも言えない葬り去りたい過去ってあるもんだ! 今年上半期1番の映画になった!

  • 鑑賞日 2017/6/9

    なかなか見ごたえある映画であった

    2017年6月9日、ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞。 「この映画、アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞かなにか獲っていたなぁ。一応、観てみるか」という程度の理由で、会社帰りに観に行った。 物語は、ボストンで何でも屋(排水管清掃など)して暮らしている男が居た。ケイシー・アフレック。 彼の元に、故郷の兄が危篤の知らせ。 故郷は、マンチェスター・バイ・ザ・シーなる町。 行って見ると、兄は1時間前に亡くなっており、兄の息子の後見人に自分が指名されていて驚く男。これは、こちらも驚いた。 しかし、男には、故郷に辛すぎる過去があり、ボストンに戻りたがる。 ……といった展開。 この映画の白眉は、兄の葬式などにも会ったりするが、男と元妻(ミシェル・ウィリアムズ)がお互いの気持ちを赤裸々に語るシーン。 なかなか良かった。盛り上がる。 この作品、全体的に、淡々と進められる中に、辛い過去により心が壊れた人たち、若者たちの戯れなどを上手く融合させており、なかなか見ごたえある映画であった。 <映倫No.47187(に見えたが)>

  • 鑑賞日 2017/6/9

    ずーん

    ずーん、とか、どーんという擬音語が1番感想を表していると思う。 兄の死で帰郷したリーを見た人が、陰口だったり、本人に直接だったり、何を匂わせることを言う。どうやらこの街で彼は悪いことで有名人のようだ。次第に明かされる過去の出来事、昔の妻には新しい家庭と子供がいるようだ。妻からあのときはと侘びの言葉があるものの、彼は悲しい出来事から囚われたまま。明るい未来があるわけでも、さらに悲しい出来事があるわけでもなく、この日常が続いてく、向き合ってかなきゃならないんだ、って言う現実的な終わり方。彼はどうなっていくのか。

  • 鑑賞日 2017/6/8

    これは日本映画だろう

    なんだこの既視感は… 是枝裕和か石井裕也が撮ったと言われても特に驚かない。日本人の配役なら阿部寛と菅田将暉でも真剣佑でもあり得そうだ。緩く曲がった坂を上りながら一つの野球ボールしかも軟球の様に見えた、を叔父と甥がバウンドさせながら心を通わせるシーンなど、絶対、日本映画に、もしかしたらドラマでもあった気がする。日本の観客としては何とも不思議な印象を持つのではないだろうか。

  • 鑑賞日 2017/6/7

    ギリギリの精神状態の中で

     映画の序盤、無口で人嫌いさらに暴力衝動を抑制することができないという主人公が登場する。ところが過去の場面での男はちょっと異なるようだ。男に何があったのか。  映画の中盤、過去の出来事が明らかになる。その出来事以前の男はむしろ口数が多く人好きの人物だった。バー通いはその頃の生活習慣の名残だろう。  映画の終盤、この頃になると男がギリギリのバランス状態の中で生きていることが明らかになっている。元妻との対話場面が本作のクライマックスだが精神の微妙なバランスがまたも崩れてしまう。  男はギリギリの精神状態の中でおいの未来への道を整えた。おいの希望に完全に沿うものではなかったが手堅い選択だった。おいは過去の出来事以前の男とよく似ている。そこまで考慮しての手堅い選択だったのだろうか。

  • 鑑賞日 2017/6/6

    小津安二郎監督の作品を観ているようでした。

    もちろん、映画的な技術であったり表現は全く違うものではありますが、描くテーマは どこか小津作品のような雰囲気がありました。 なんてことのない日常の風景を描くところです。とても体験しようのないことを経てきている主人公ですが、描くところは そういった部分のような気がしました。 普通ならカットできるようなところを延々と撮るシーンが多く、退屈で長く感じることもありますが、それが全体を通して活きていました。 盛り上がりがなく淡々としていますが、最後に見えた少しの光がハッピーエンドではなくて現実味があり素敵でした。

  • 鑑賞日 2017/6/1

    ★★★

    徐々に昔のことが明かされて切なさがだんだん増してくる映画。いい思い出のない故郷というのも辛い。

  • 鑑賞日 2017/5/31

    再生への道

    暗く、苦悩の道。確かに、よい演技のケーシーアフレックでした。

  • 鑑賞日

    【メモ】ケイシー・アフレックは例の問題があるので……という点は(あまり置いておきたくないけど)脇へ置いておいて、たしかに圧巻の演技だった。急死した兄のために故郷の海辺の町へ帰った根無し草の男。残された兄の息子、友人、視線の冷たい故郷の人々。故郷に戻らなかった理由がフラッシュバックのように現在の情景に挟まれて、男の昔の過ちが明らかになっていく。罪を負い過去に囚われた男は、兄の遺言に従って甥の後見人になるのか。平たく言えばそれだけの話で、贖罪の話でもなく大きな前進があるわけでもない。ただ叔父と甥のディスコミュニケーション気味のふれあい、時が解決しない問題、取り戻せない幸せ、というものを大した起伏なく淡々と描いているのが胸にくる。安易なハッピーエンドも何もないけど、救いがないわけでもない。なんか静かな映画だったけど妙に良かったな……

  • 鑑賞日 2017/6/1

    静寂な町の人間ドラマ

    景色に目は奪われるが、退屈で閉塞的な町が舞台。 それだけに内容も娯楽性溢れる作品ではなく、後から沁みる作品である。 アカデミー賞の時にダラダラ口調だったケイシーも、ここではモーションかけられるくらいだからなかなかイケていた。 いっそのこと兄はベンがすれば…とも思ったのだが、カイルの方が似てるかも?みたいな感じであった。 贖罪絡みシーンは僅かであったが、ミッシェルはやはり巧い女優さんだ。ドーソンズの中からの一番の出席頭だ(ドラマではサブだったのに…) 更には懐かしい80年代映画のマシュー・ブロデリックまで童顔の面影残し出ている。 主人公がどうしてこんなヤサグレて、偏屈になったのか。 幸せな家族を持っているのになぜ…と言うのは予想の範疇。 彼はこのマンチェスター・バイ・ザ・シーにいる限り、乗り越える事のできない過去から逃れる事はできないのである。 自信溢れる甥が、突如不安に苛まれるのと同じように、全ての人間は見えない重荷をイエス様の如く背負わされているのかもしれない。 この静寂の町にでさえ… 晩秋から、クリスマス前後に観たら、もっと印象に残ったのになぁ。 個人的に好きかと聞かれると難しい作品だが、 降り積もっていく雪のような静かなる名作です。そう間違いなく名作。 (撮影賞、脚本賞、助演女優賞候補)

  • 鑑賞日 2017/6/1

    “気を紛らわせたいんだ” “気は紛れないぞ”

  • 鑑賞日 2017/5/31

    苦しみに涙

    アップダウンは無し。 映画によって救われる、そんな簡単なものじゃなし。 淡々としかし着々と進む日々。 簡単に無くなることのない痛みと苦しみ。 2時間という映画の時間の中ですっきりとさせてくれるなんていう期待をどこかで抱いていたけど、あぁ、そんな甘いもんじゃなかった人生なんてね、思わせてもらった。 乗り越えられない。そんな事がざらにある。 主人公が、I can't. って言ってるのがグッと来た。 胸がギュッとなった。 自然と涙が出てしまうような、人間の苦しみを表現した映画だった。

  • 鑑賞日 2017/5/31

    ケイシー、キャリアの集大成

    近しい人の死は、当然のことながら大きな衝撃をもたらす。その人の人生観が大きく揺らぐほどに。そして、それをきっかけにその人を取り巻く環境も大きく変化することとなる。結果、その人自身もまた、変わることを余儀なくされる。しかし、もしもその人が過去により大きなトラウマを抱えていたとしたら。近しい人の死をきっかけに、そのトラウマと向き合う事を迫られたなら。その人は変わることができるのか。過去のトラウマを乗り越えることは、できるのか。 兄のベンが俳優業と監督業を両立させながらどんどんとキャリアを伸ばしていっているなか、俳優として地道に経験を蓄えていっている弟のケイシー・アフレック。幾つか出演作品を観ているはずなのに個人的にこれという一本がないなぁという印象だったが、彼はついにそのキャリアの集大成ともいえる役に出会えたようだ。多くの賞レースを独走したのも納得で、この映画の牽引力の大部分は彼の演技力に依るものだろう。凄惨な過去を背負った結果感情が欠乏してしまった男を、その抑圧した静かな演技が見事に表現している。ヒューマンドラマではあるものの、激情を迸らせるようなシーンは少なく、会話中に感情を煽られても寡黙に否定するに留まる。リーの湛える悲哀が、台詞に頼らない分、表情や視線の運びから如実に感じられる。 人の死や人生の再生をテーマにしているため、ストーリーには重苦しさが漂う。しかしこの作品の魅力の一つに、端々に配された独特のユーモアがある。ジョークやスラングが飛び交い、巧まざるハプニングが笑いを誘う。彼等にその気はないはずなのに、絶対に笑ってはいけないような場面で吹き出してしまうことも。暗く悲しい話であればこそ、息苦しさを忘れさせる笑いに救われるもので、それが作品の全体の重苦しさを打ち消してくれている。なので鑑賞後は不思議と爽やかさが強く胸に残る。

  • 鑑賞日 2017/5/30

    アカデミー賞も納得

    中盤に主人公の過去の悲劇が明かされる以外は特に何もなく静かに進んでいくけど、主人公を筆頭にそれぞれの痛み、悲しみ、苦しみなどが伝わってきた。 こういう心の再生みたいなのは、日本では脚本に多少強引さがあり感情移入がまったくできないことが多い。 でもこの作品は中盤の主人公の過去の悲劇を見ると主人公の決断にも納得できるし、最後はなぜか清々しい気分になる。 脚本も素晴らしいが、主人公を演じたケイシー・アフレックの演技も素晴らしいし、脇役の俳優さんたちの好演も光ってました。 おすすめです。

  • 鑑賞日 2017/5/13

    なんかほんとに好みじゃないって話

    ケイシーアフレックはお兄ちゃんに似すぎ!!めttttttっちゃ似てるな!!!!!!!!! 実際主演の演技はうまかったな~と思うし、事情聴取の後警察官の銃を奪うシーン、あそこが個人的にクライマックスだし本当に良かった。 アメリカの青少年の性の乱れ…とかドキドキしたね。 あまりに静かですぎゆく日々~みたいな作品を否定するわけじゃないんだけど本当に単純に好みではない。

  • 鑑賞日 2017/5/29

    違和感なし

    とても重い内容なのですが、淡々と物語は進んでいき、過去と現在が行ったり来たりでも混乱する事なく、引き込まれて観入ってしまい気が付いたら終わってたという映画でした。 きっと全てが自然で違和感を感じなかったからだと思います。 最後の主人公の決断も意外でしたが、すぐ納得できました。 あ〜そうだよねとか、所々であ〜あるよね〜とクスッと笑ってしまうような人間臭さとか細かい表現がとてもリアル。 悲劇からハッピーエンドのようなドラマチックな話ではなく、実際のどこかの人々の生活を垣間見たような映画でしたが、後味が悪いわけでもなく綺麗に終わったように感じたのが不思議でした。

  • 鑑賞日 2017/5/25

    寛容と守護神

    ケイシー・アフレックって存在感が薄い役者だと思うが、それが本作に活かせている。主人公が抱えている苦悩は理解できる。 知合いにそういう経験をしたシングルマザーがいるが、それほど苦しんだように思えない。夜の仕事に出かけるとき、アパートの部屋に鍵をかける習慣だったが、アパートが火事になり、二人の子供は焼け死んでしまった。焼跡に呆然と佇む母親はその後失踪。翌年結婚したという噂を聞いた。ケイシーとはえらい違いだ。現実はそんなものだろうか。 映画の終盤で二人の少女が現われるが、それは寛容と守護神であることに感動した。

  • 鑑賞日 2017/5/29

    人生において最悪の事態を体験している男のシリアスな話しだが、兄の病名の告知シーンや、駐車した車を見失うシーン、二股かける甥と主人公に気のある甥のガールフレンドの母親とのやりとり、バンド内でいつも批判されるドラマー等、コメディとしか思えないエピソードが挟まれるのが一風変わったニュアンスを加えていて個性的で、人生をリアルに描いているとも感じる。 最終的に主人公が過去の痛みを乗り越えられないと語り、全てが丸く収まるわけではないにがい結末は意外。 それでもボールの投げ合いに象徴される、甥との関係性の展開に胸がいっぱいになる。

  • 鑑賞日 2017/5/27

    狂おしいほど好き。安易なところに逃げなかったのが素晴らしいと思う。なぜならこれは人生の映画だから。されど人生は続くのだから。時折振り返ったり過去に苛まれたりしても、等身大で寄り添ってくれる目があれば。希望は自分で見つけるのだ。弱い人間に対して、優しく併走してくれるような、大切な映画。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    たたずまいだけで醸し出す演技が凄い

    この男の過去に何があったのか?死んだ魚のような眼は何故なのか?兄の死によって離れていた故郷に戻ってきて、兄の16歳になる息子と生活する姿を静かに淡々と映し出す。何も語らず、たたずまいだけで背負い込んだものを表す演技が、見終わった後にボディブローのように効いてきます、とんでもなく重苦しいですが、素晴らしいです!

  • 鑑賞日 2017/5/27

    甥っ子との物語と思っていたらこんなに深い悲しみを背負った話だったなんて…。過去が明かされた後は泣きっぱなしだった。とにかくケイシーが素晴らしい。もっと見続けていたいと思わせる映画だった。

  • 鑑賞日 2017/5/21

    この悲しみの深度はすごかった。凡庸な作品であれば兄の息子との触れ合いで、ゆっくりと溶けていくであろう悲しみ。それを安易な癒しに逃げず、深い悲しみを丹念に描いているから見ていて本当に辛い。 なぜ彼が人を拒否するのか、その理由をなかなか明かさない手法も見事。そして、ケイシー・アフレックの静かな演技のあまりにも素晴らしいこと。ここ数年の役者の演技で最高なんじゃないだろうか。ミシェルウィリアムズとのあのシーンは涙あふれてたまらんかった。 ケイシーアフレックにはまじでやられた。むちゃくちゃ好きな映画

  • 鑑賞日 2017/5/24

    船出

    誠実と共助を描いた作品。 心を映す画。 人生を表す音楽。 受け手に委ねる役者の間。 どれも一級品だった。 犯した罪に対する罰が与えられないどころか、慰めや優しさを持って迎えられてしまい、どうしようもなく壊れてしまうリーの痛ましさ。 振り返ると、奔放な生活ながらも娘達からは慕われ、夫婦仲も特別悪い訳ではない。 ただどこかにボタンの掛け違えがあった。 エンジンを新調し、心機一転再出発かと思いきや、逃れられない過去が訪れる。 ここで初めて互いが真心を持って向き合う。 この最も美しい瞬間が別れの時とは、なんと切ない物語だろうか。 結局のところ、リーは子を失った父親という十字架から逃れられなかった。 だが変わらずとも変われずとも、あらぬ方向へ跳んだボールは、ただ拾いに行けばいい。 彼は立派に父を失った子の港となった。 ひとえにそれは、ジョーの粋な計らいによるものである。 彼は愛する者達に、死者として出来ることの全てを遺書に込めて贈った。 リーとランディ、パトリックとエリーズ、そしてリーとパトリックがそれぞれ向き合い支え合う事。 冷凍保存されたマンチェスター・バイ・ザ・シーに降り積もる雪を掻き、地に足を付け、強く清く真っ直ぐに生きる様、願い導いたのだ。 行くあてもなく、二人はのんびりと釣りに興じる。 そんな彼等の前途洋々たる船出を賛美歌が包む。

  • 鑑賞日 2017/5/25

    重いテーマを深刻になり過ぎることなく。

    序盤、現在と過去が激しく交錯するのについていけずに混乱してしまったが、そのリズムに慣れるに従って徐々に引き込まれていった。たった一度の過失がリーの心に残した決して癒えない傷。彼の時計はあの時から止まったまま。自分を閉ざし、何処へも向かうことができないでいる。穏やかな海、可愛らしい家並み、空を舞う鳥。故郷の風景が哀しいほど美しすぎるが故に、ここに戻ることのできない彼の痛みが突き刺さる。バックに流れる音楽が少し大袈裟かなとも思える箇所もあるにはあったが、全体としては深刻になり過ぎることなく、程よい加減でコミカルなシーンなども織り交ぜてバランスが取れていた。拾ったボールをパトリックとやり取りするくだりのシーンがとても好き。

  • 鑑賞日 2017/5/24

    I can't beat it

    評判を聞いて慌てて見に行った。 小さな映画館は平日にしてはかなりの混雑で、この映画友のクオリティを示している。 マンチェスターの静かで美しい海を写すオープニングで、主人公と甥と主人公の兄の3人が遠めのカメラで淡々と写される。このシーンがとてもいい。 この後、主人公のリー・チャンドラーは概ね怒りに満ちている。その怒りがいつ爆発するかいつ爆発するかとハラハラしながら鑑賞するはめになる。 正直言って僕はこの映画を乗り越えられなかった。 I can't beat it 退屈だった。 いい映画だ、という先入観で見ることを強いられるのは辛い。 主演のケイシー・アフレックは確かに素晴らしいが、アカデミー賞かというと疑問だ。 例えばガス・ヴァン・サントがこの映画を演出するなら、きっとパトリックを中心に描いたであろう。中年のおっさんが傷ついた気持ちもわからないではないが、少年を中心に描くことでもっと未来志向になったのではないか? もちろん映画としてのクオリティは高い。悪くない。しかし、映画の演出という意味においては映画らしさが伝わりにくい。僕にとっては辛い映画だった。

  • 鑑賞日 2017/5/23

    壊れた心は、海も癒してくれない?

    時間軸がころころ変化する映画は、私老人には苦手ではあるがいい映画でした。過去の火災で子供を亡くしたトラウマを引きずるリーと父親を亡くした甥のパトリック、どちらも壊れかけた心も持っていき場所がなく周りに違った形で反発する。しかし最後はやはり、血のつながった叔父と甥、離れて暮らすがこれから人生は続く。火災のシーンでの聞き覚えのあるクラシック(アルビノーニのアダージョ)音楽が心にしみた。帰宅後CDを出して再度映画を思い浮かべながら聞いた。 最初タイトルの「マンチェスター」から舞台はイギリスだと思っていたが、車は右車線を走っているし、近くにボストンが存在するとのことで、アメリカにもマンチェスターなる町が存在することも知った。アメリカでもこのような映画が製作できること。

  • 鑑賞日 2017/5/22

    全てが一級品の傑作

    演技、撮影、編集、脚本、どれを取っても超一級品の見応えのある傑作。成熟したプロの仕事をたっぷりと堪能した。 まず意識の流れを重視した編集がお見事。便利屋として働く無口で無愛想な男が、心を開いていた兄を亡くすまでの過程と、自らの火の不始末から家事で子供を亡くし、自殺未遂を図るが失敗し妻と別れマンチェスターを離れるまでの過程を、繊細に描いてみせる。はたから見ると惨めで近寄りがたい男かもしれないが、その男が負った計り知れない喪失感と虚無感を丁寧に解きほぐしていく。 彼の惨めさは兄の息子でイケメン、スポーツ万能、彼女も2人いて、バンドマンという典型的なリア充と、別れた後に他の男と結婚し子供まで産まれる元妻の現在地からより際立って見えてくる。だが、そんな彼らも喪失感によって心が壊れており、もう元の生活には戻れないやり切れなさを爆発させる場面は屈指の見せ場である。 演出的には人間の関係性の焦りや苛立ちを表現するために、基本はフィックスでゆったりと撮られている画のカット尻を独特の細かなカッティングで繋ぐことで見事に表現してみせる点が本作の特徴。例えば、閉めようとしても冷凍のチキンがこぼれて閉まらない冷凍庫のフタ、運転席と助手席のドアが閉まるタイミング、救急車に運び込まれる妻を乗せた担架がはかなかうまく動かずに手間取るさま。編集によって人物の心の動きを巧みに描いてみせる。 またマンチェスターのロケーションも素晴らしい。絵葉書的な美しい海や雪景色など心象風景として巧みに切り取りつつ、町の寂れた路地や人気のない場所をひとり歩き、また車を走らせるケイシーアフレックの佇まいが心に刻まれる。 彼はホントにダメな大人であり父親であるとは思う。必死に寝かしつけた子供を自分の気分で抱きかかえ起こし、病気の妻をほったらかして趣味の釣りに出かけ、病床の妻にはセックスを強要しようとする。あるいは子供が寝静まった深夜に家で仲間とどんちゃん騒ぎをし、酔っ払って暖炉のカバーをせずに出かけたことで人生を棒に振る。だが、その後の彼を見るとそんな子供っぽい彼の笑顔をもう一度取り戻して欲しいと観客は願ってしまう。そう思わせる説得力があるからこそ、元妻が今でも愛していると言ってもすんなりと受け入れられるのである。 物語的には叔父と甥の関係性がどこに着地するか、それを見定めて彷徨う展開が続くため後半は前半ほどのテンポの良さはない。だが、心に染み入る見事な作品であることに変わりはない。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    バックルに引っかかる

    よかった。 スッキリさせてはくれないけど、 そりゃそうだよね。 あんな事あったらね。 ちょっとずつでも、いい方に向かって行けたらなーって 思う映画でした。 バックルが、手に当たって痛いのは爆笑。 意識したことなかったけど、 大人になったら、あんまやらなくなった気がする。 学んでるんですかね? それともあのテンションにはなれなくなってしまったんですかね。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    静かで力強い

    話題になっていたのでとても楽しみにしてました。派手さはありませんが、とても深く染み入ってくる内容。俳優陣の演技が素晴らしい。兄の弟への想いに温かい気持ちになりました。

  • 鑑賞日 2017/5/19

    波の音、風の音

    便利屋ならどこででも生きていける。 それはそうかもしれない。 この街以外なら。 主演のケイシー・アフレックやルーカス・ヘッジズはもちろん、脇を固める人々も、適材適所の配役というか、とにかく全てにおいて無駄がない。 素晴らしい脚本と、それにふさわしい俳優陣。 見事です。 なかでも、主人公のお兄さん、ジョー役のカイル・チャンドラー。 冒頭で亡くなってしまい、遺体と回想シーンでの登場ですが、 このジョーの、弟への、そして息子への想いが、作品中出番の有無にかかわらずずっと感じられ、大きな柱になっているように思う。 心の壊れた弟のため、強引に家具を買い揃える兄。 時が流れ、兄の遺した息子のため、弟はソファーベッドを買おうと思う。 未だ、心は壊れたまま。乗り越えられないまま。 それでも生きていくのだ。 そう感じられたラストシーンはとても美しかった。 エンドロール。 冬の港町のもの寂しさと同時に、なぜかあたたかさや懐かしさも湧き上がる。 マンチェスター・バイ・ザ・シーという街も本作の主役なのだ。

  • 鑑賞日 2017/5/21

    悲しみは深く深く

    ボストン郊外で便利屋をしているリー(ケイシー・アフレック)は、兄ジョー(カイル・チャンドラー)の急死をきっかけに故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻ってくる。 ひゃー、クライマックスあたりから涙が止まりませんでした(TДT)化粧が剥げるくらい。 ケイシー・アフレックの抑えた演技、彼だけではなく周りの友人たちも含めて、激しくないところに(時には激しいのだが)その悲しみや辛さや優しさ思いやりなどが心に深く突き刺さった。 リーは元妻のランディ(ミシェル・ウィリアムズ)や甥のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)みたいにストレートに感情が出せないところにその深い悲しみが読み取れる。 ケイシー・アフレックはもちろんだけれど、脇を固める面々もとても自然で温かくて気持ちがよかった(^_^) 現在に傷を負った過去の映像を効果的に挿入することでよりリアリティや心の傷がうまいこと表現されていて分かりやすかった。 そこまでのパンチはないけれど、今年度観た中では一番の作品でした。

  • 鑑賞日 2017/5/21

    心の傷は癒えることはない

    心に深い傷を負った主人公がひょんなことから誰か(子供や老人が多い) と暮らし始め、その相手との心の交流を通じて傷を癒していく と言う映画はよくあります。 この映画もそのカテゴリーに入りますがですが そのジャンルに安易にカテゴライズされない深さがあります。 映画は現在と過去が交互に描かれ、 リーのあまりにも過酷な過去の事件が次第に明らかになっていきます。 仲のいい兄弟と甥っ子の3人が舟で釣りをするシーン。 リーの妻と3人の幼い子供たちとの幸せなシーン。 そんな幸せそうな過去の映像と、 人生を捨ててしまったような今のリーの姿のギャップから 見る者はリーの身に起こった何かわからない過酷な出来事の 重さを想像します。 事故があった後の阿鼻叫喚は描かれません。 現在のリーと妻の姿を描くことで見る者にそれを想像させます。 事故の原因となったリーの過失も、飲酒運転ような悪質なものでなく 誰でも犯すちょっとしたミスです。 それだけに、普通に真面目に生きてきた誰にでも起こりうる悲劇です。 過失ではあるが罪に問われることがないことが 逆にリーをいつまでも苦しめます。 「亡くなった兄の息子を引き取ることになった心に傷を持つ主人公」 と予告では一言で語られますが、そこに至る経緯は 思ったよりも時間を取って丁寧に描かれます。 兄の遺言から甥のパトリックの後見人になったリーですが 父を亡くしたパトリックの気持ちを思いやる余裕はありません。 何よりこの町には住めません。 一方、甥のパトリックは二股をかけたり、かなり調子よくやっています。 父を亡くしてもかなり気丈に振る舞って、むしろ憎まれ口を叩きながらも リーのことを気にかけたりしています。 そんなパトリックが冷蔵庫の冷凍チキンを見てパニックを起こします。 この時、世の中全てとの関わりを捨てていたようなリーが そんなパトリックを優しく気遣います。 ここにわずかな救いが見えます。 偶然再会した元妻から「もうあなたを恨んではいない」 と言う言葉を聞かされ(号泣シーンです)、その夜リーは荒れます。 自分で自分を許すことができないリーにとって 妻の許しの言葉と涙は自分を余計に苦しめます。 この種の映画の展開と違って、 主人公のその心の傷は決して癒えることはなく、 過去の悲しみを簡単には乗り越えさせてくれません。 癒えることはないのだけれど、それでも生きていかなければならない辛さ。 傷の絶対量を減らすことができないのなら 他の想いを増やして相対量を減らすしかない。 最後はやはり故郷から出て行く決断をしたリー。 やはり故郷は、生きていくには辛すぎる場所であることには 変わりありません。 映画が始まった頃と大きく違うのは、リーがパトリックの将来を気にかけ、 パトリックのためにいろいろと手を尽くすようになったこと。 世の中全てとの関わりを捨てていたリーの大きな変化です。 終始死んだような目をしたケイシー・アフィレックが素晴らしい。 舞台となるマンチェスター・バイ・ザ・シーの どんより曇った、それでいて透明な空気感がいい。 深刻で重い物語なのに、 時折クスっと笑わせられるシーンが挟まるのが救いです。 リーが部屋を出て行く時に大事にしまう3枚の写真。 カメラはその写真を裏側からしか映しません。 誰の写真か見る者にはわかり切っているので そう言うわかり切ったことはあえて映さない。 映画全体にそんな静かで透明な色が漂います。 ぎこちなく不器用に触れあう二人のラストシーンも秀逸です。

  • 鑑賞日 2017/5/18

    カットのつなぎから醸し出される違和感が心地よい

    カットのつなぎで、テンポやリズムが少しずつずらされる。 カットのつなぎ方がセオリーと少しだけ違っていることで、醸し出される不思議な違和感と緊張感が楽しい映画。 あの編集は、計算なのか?感覚なのか?監督の次作が楽しみ。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    気づきと癒やし

    この主人公って、思ったことを素直に言葉に出せない分、周囲の人々にぶっきらぼうな態度を取ってトラブルを起こしがちだな。その鬱屈した心理に陥るきっかけとなった事件が途中で明らかになり、かつそこから主人公が立ち直っていく過程が描かれているけれど、控えめな場面描写が多いからか、登場人物たちの会話から心理描写が上手く描かれていることが分かる。特に最初、主人公が売ると言って聞かなかったある物の扱いが後半変わるのは、主人公の心理が変わったことのメタファーでもあるな。いがみ合っていた人物たちとの邂逅が癒やしとなることを気づかせてくれた一本。

  • 鑑賞日 2017/5/17

    I can’t beat it

    マチェスターへ向かう自動車の場面でかかったクラシックが映画のトーンにぴったりだった。病院について、亡くなったお兄さんのほほにキスした時に目をしばたたかせたのは印象に残る。 街やおいの学校で聞く「あのリー」ってどういうこと、悪い奴なのか? 気になっているところ、弁護士事務所でリーが「壮絶な体験」をしたことがわかる。何のだと思ったところで、リー自身の回想で彼の過去が語られる。 リーの思考のタイミングで現在と過去を行き来するので無理がない。 特にお兄さんがリーの殺風景な部屋にゆったりした肘掛け椅子とかの家具を置くエピソードが心に残っている。「壮絶な体験」後のリーの心境やお兄さんの人柄も、この場面で私は理解できた。リー自身にとって、苦しい時期お兄さんが自分を支えてくれた大切な思い出なのだろう、とも思う。 終盤、リーはこの街には引っ越してはこないという選択をする。 いっしょに暮らしていけそうに感じていたから、パトリックも私もこの決断に戸惑った。パトリックに「逃げるの?」とたずねられて、リーは「乗り越えられないんだ」と返した。 ソファでうとうとしていると小さな娘たちが「私たち燃えているの?」とリーの顔を覗き込んだ。フライパンの空焚きだった。リーの語らない強い気持ちだったのだ。 ”I can’t beat it”

  • 鑑賞日 2017/5/19

    l can't beat it

    辛い過去を背負い、黙々と日々をやり過ごして生きてきた男リーと、リーの死んだ兄が遺した思春期の甥。タイプは異なるが、共に人付き合いが不器用に思える。しかし、不思議と互いの不安定な心を理解しあっている。 死んだ兄の願いでもあり、甥の気持ちに寄り添おうとするが、リーにとっては、追い払おうとしても過去の記憶が纏わり付いてくる故郷で暮らすことは、あまりにも苦しい。 「乗り越えられない (l can't beat it)」 甥を残して故郷を離れる理由を問われて、リーが短く答える。この言葉が沁みた。甥のためだけではなく、リー自身が乗り越えたいと切に願っていたのだ。だが、どうにも乗り越えられないとわかったならば、逃げなくてはならない。自分を追い詰めすぎることが、人をも苦しめてしまうことになりかねない。ごまかさず、自分の弱さを真摯に打ち明けるリーの気持ちを、それまで反抗的な態度をとってきた甥はすぐに理解する。 説明をそぎ落とした脚本と、なんとも言えない陰鬱をまとったケイシー・アフレックがうまくはまって、深い味わいの作品になっている。静かな描写が続く中で、リーの別れた妻であるミッシェル・ウィリアムズが激しく感情を吐露する場面に、心揺さぶられた。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    画面は『夜叉』だが内容が違う

    ◎ 現在のシーンと過去の回想シーンが混然一体になっている。画面がモノクロになったり、周囲にボカシが入ったりはしない。心に大きな傷を負った男リーにとって、過去は今も現在進行形なのだ。 ◎ リーの兄の突然の死によって、リーは故郷の港町に帰ってくる。相続の手続きや葬儀によって、否応なく苦しい過去や過去の人々と顔を合わせることになる。そして、何も解決しないままに物語が終わっているかのようだが、過去というものに出会ったこと自体が一歩前進になっているのだろう。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    心に深く傷を負いながら、戸惑いつつも甥を守ろうとするリーに感じ入る!

    或る意味、人付き合いが不器用なリー。兄の死を機に戻るはずのなかったマンチェスター・バイ・ザ・シーに帰ってくる。そして、兄の子パトリックとの暮らしが始まる。このあたりのリーの表情が何とも良い。パトリックの現代っ子らしさも良いなぁ〜。時折映る街の静かな佇まい。そんな小さな街で繰り広げられる、どこにでもありそうな話だけど深く心に響いてくる。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    悲しみは雪のように

     ある事故がもとで心を閉ざして生きてきた男リー(ケイシー・アフレック)が、兄の死をきっかけに故郷へ帰る。兄の遺言で1人残った甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人に指名されている事に彼は困惑する。甥はこの町で暮らしたいと言うが、リーにとっては辛い思い出しか残っていないこの町に住むことなど出来ない。過去の痛手から立ち直れずにいる中年男と青春を謳歌する高校生との心のすれ違いが少しずつ重なり合っていく。男の心を象徴するような冷たい冬の光景は雪が解けて緑の季節へと移っていた。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    そして一歩

    静かに静かに、丁寧に描かれた映画。 構成よし、アクターよし、矛盾のない細かいところにまで気を配って作られた映画だと思う。

  • 鑑賞日 2017/5/20

    控えめなところが琴線に触れる

    結構重たい題材の映画ですけれども、画面は淡々と、穏やかに進行し、劇的な展開はほとんどありません。 ボストンでアパート管理の便利屋をしているリーは、マンチェスター・バイ・ザ・シーに住む兄のジョーが急死し、彼の息子のパトリックを同行する道々、自分の妻や3人の子供たちとの記憶が回顧シーンとして、並行して紹介されます。 現在と過去、両者のリーの表情は全く異なり、その契機がリーの家庭に起きた悲劇的事件にあったことが明かされ、リーは十字架を背負い、自分を責め続けている事がわかります。 別れた妻が再婚相手を紹介しようとしたり、まだ若いパトリックが自我を発揮し衝突が絶えなかったものが、次第にうちとけてくることで、リーに寄り添おうとする人たちの存在があります。 頑ななリーの態度に変化はなさそうですが、先行きに希望がかすかに見えてきます。 似たようなストーリー展開の作品は多くあると思われますが、この作品の優れているところは、シナリオや編集の巧みさに加え、主人公に声高な励ましのメッセージを送らず、そっと寄り添う事に徹したことで、深い余韻が得られた為と思われます。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    さすが、主演男優賞

     主演のケイシ―・アフレックが、『男はつらいよ』の寅さんと、『トラック野郎』シリーズの星桃次郎を足して2で割ったような役を好演!  意外に頼りになるような、ならないような、けんか早いが、強いんだか弱いんだか分からない風来坊役が、見事だ。  世渡りが巧そうな甥と、不器用な叔父。 二人のやりとりが、『スケアクロウ』のG・ハックマンとA・パチーノ、『真夜中のカーボーイ』のD・ホフマンとJ・ボイド、『レインマン』のD・ホフマンとT・クルーズなどの名コンビを彷彿とさせた。  何とも切なく、主人公を応援したくなった。  アカデミーの作品賞も、『ムーンライト』より、僕は断然本作を押す!

  • 鑑賞日 2017/5/19

    乗り越えられない

    どうしてオスカー作品賞獲れなかったのかな。 「ラ・ラ・ランド」よりも「ムーンライト」よりもいい。ぐっときた。 マンチェスター・バイ・ザ・シーというのはマサチューセッツ州にある町の名前で、この作品の舞台。ボストンから50kmちょっと。海辺の美しい町。人口は5,000人ちょっとだとか。 ケイシー・アフレックがいい。 何を考えてるかわからない表情。というよりずっと目が死んでて表情がない。とても難しい役だと思うけど、素晴らしかった。 「乗り越えられない」というのがテーマだろうか。 よくある人や家族の再生の話ではない。再生の手前で止まっている人たちの話。 元々乗り越えられないものを抱えて悶々と過ごしていたリーが、兄の死と甥っ子の後見人就任というショックな出来事に直面する。兄とは仲が良かったし甥のパトリックのことも好きなのでなんとかしたいともがくけども・・・。 甥のパトリックは16歳。多感な年頃。ガールフレンドが2人いて、学校でバンドをやってて、アイスホッケーやバスケもやってる今時のコ。リー叔父さんが後見人になるのは構わないけど、この町を離れるのは絶対イヤ。 叔父さんへの配慮は皆無。 でもパトリックも大変だった。父の死をまだ受け入れていなかった。気を紛らわせるためか、父親が死んだのにガールフレンドとセックスしたり、バンドの練習をやったり。無邪気で自己中。これは年齢的に無理もないかも。 冷凍庫のチキンを見て、霊安室で凍っていた父親の遺体を思い出し、やっと父の死という現実にふれる。自分の心の問題に気づいたわけだ。ずっとパニックだったのかもしれない。 パトリックに振り回されつつリーはこの問題を何とか解決しようと奔走する。ただ、リーはこの町で暮らすわけにはいかない。この町には住めない。 火事のあとの事情聴取がつらい。聴取を担当した警察官たちがリーに同情的なのもつらい。そして、そのまま釈放されたのがいちばんつらい。 罪に問うてほしい、逮捕して起訴して死刑にしてほしい。このまま釈放なんてつらすぎる。生きていられない。 腫れ物にふれるようにリーに接する町の人たち。 小さな町、誰もが自分たちを知っている。自分が誰の息子か、誰の弟か。 ここにはいられない。 ただ、マンチェスター・バイ・ザ・シーから50kmしか離れてないボストンに暮らしていたのはやはり兄たちと離れたくなかったからか、遠くに行くことを兄が許さなかったからか。 元妻のランディは乗り越えようとしている?少なくとも前に進んでいるように見える。リーを赦し、救おうとする心のゆとりができている。再婚し、子どもができたからかな。 兄の元妻の心理描写がリアルだ。複雑な変化を描いている。彼女も自分のしでかした過去を乗り越えられない人だ。このままギクシャクした人生を送っていくのか。宗教は彼女を救ってくれるか。 乗り越えられないという話なのでハッピーエンドではない。 リーはパトリックの後見人にはならず、ボストンに帰ることを決めた。 パトリックはそれが不満ながら、それを正面からリーにぶつけられない。ボストンでパトリックのためにひと部屋用意しとくよ、というリーの提案に素直に応じられない。 真正面から言いたいことをあまり言わないまま、お互いを受け入れ、それぞれの道を歩もうとするところで映画は終わる。 リーはボストンでの独り暮らしに戻って、過去を乗り越えられるのか? 小さな町だけど、リーの周囲にはいい人が多くて、ホッとさせられる。 それと、観ていてつらい映画だけど、笑えるところもちょっとあって。 パトリックがやってるバンドが超ヘタクソ(笑)。 パトリックとガールフレンドのサンディがセックスにこぎつけるまでのやり取りや、明るくてちょっと間の抜けたサンディの母親がおかしい。 私はサンディよりシルヴィがいいな。いろいろ気を遣ってくれるし、おっぱいがロケットみたいだし。 とてもいい映画です。 主演がマット・デイモンじゃなくてケイシー・アフレックでよかったです。どっちつかずの表情がいいんです。

  • 鑑賞日 2017/5/18

    漁港の街の懐かしさ漂う風景

    過去の悲劇に囚われてまるで死んだように生きている男の取り返しのつかない虚しさが、静謐な映像と音楽で胸に染み入るように伝わってくる。ケイシー・アフレックが孤独で寡黙な男を自然かつリアルに演じてオスカー受賞に相応しいし、漁港の街の懐かしさ漂う風景が作品のトーンとマッチして味わい深い。

  • 鑑賞日 2017/5/18

    最初のうちはとりとめのない会話や場面の連続でなかなか話の“ヘソ”が掴めなかったけど、主人公である便利屋リーの過去が明らかになってからどんどん引き込まれた、演じたケイシー・アフレックの繊細な演技も印象的。 重い内容で笑うところではないのについ可笑しくなってしまう演出も効果的、タイトルにもなっている海沿いの街の美しい風景も見どころ、安易なハッピーエンドではないけど、少しだけ救われる気持ちになれるラストもよかった。

  • 鑑賞日 2017/5/18

    不器用なふたり。

    生きるのに不器用な男の元に届く兄の訃報。どれほどの喪失感を抱えているかは彼の様子から伝わってくるのだが、並行して描かれる彼の過去から浮かび上がってくるさらに悲痛な出来事。 主人公と甥が、同じように世の中のはみ出しっ子で紛れもない血縁者であることが良く分かる。 ヒーローを体現したかのような兄ベン・アフレックとは対照的なケイシーが役柄にすっぽりはまっている。

  • 鑑賞日 2017/5/16

    「それでも人は生きていく」

    ケイシー・アフレック 演ずるリー・チャンドラーという人物が愛おしい。甥や元妻などチャンドラーを取り巻く人物造形も見事。「それでも人は生きていく」。この映画から受けた印象でありテーマだ。ブルー基調の港町の風景も美しい。俳優陣も適役好演で今年のトップ・テン。

  • 鑑賞日 2017/5/17

    傑作

    エキセントリックに叫んだり怒鳴りあったりしないから、心が壊れるということ乗り越えられない悲しみがあるということが体に深くしみ込んでくる。 ケイシーアフレックが素晴らしい。そのほかの出演者も全員素晴らしい。ドラムの少年のなんてことない無表情までも忘れ難い。 間違いなく傑作。 というわけで『マンチェスターバイザシー』はまごうかた無き傑作だったが、隣に座ったおそらくアラフォー世代二人連れ女性も傑作だった。予告編の時間に入ってきて座るなりガサゴソと缶ジュースとサンドウィッチ。鑑賞マナーを観てケータイを取り出していたから食べ物については確信犯ですな。 イラっとして見ると、もう一人が串団子を食べていた。だんご! 可笑しくなってまあいいかとなりました。隣の人は今度はガサゴソとおかき食べ始めたが、さすがに映画が始まったらガサゴソ×5しまっていた。ところがです。ミシェルウイリアムズが泣きながら心情を吐露するシーンでおかき! なんと鼻水をすすりながら。彼女、ミシェルと一緒に泣きながらおかきを食べている! それは「セレブ」でも「意識高い系」でもないこの映画の登場人物達とつながって、私は不覚にも感じ入ってしまったのでした。そういう映画。

  • 鑑賞日 2017/5/13

    割れたガラスは元には戻らない

    心の傷は癒えることはなく、それを乗り越えられないこともある。 何かシコリが残った感じがするのですが、綺麗事ではないリアリティが心を締め付けます。 心に何か抱え、人生を楽しんでいるようには見えない便利屋のリー。 ある日、兄のジョーの訃報を聞いて、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに帰る。 故郷では兄の息子パトリックの後見人に指名されるリーであったが。。。 街の人たちも、どこかよそよそしさを感じます。 リーは故郷で何か犯罪でも犯したのかと思ったのですが、むしろリーにとっては犯罪の方が良かったのではないだろうか。 一方で、父を亡くしたパトリック。 孤独なリーとは反対に友人が多い。 パトリックにとってリーは子供の頃から父と一緒におり、第二の父親と言っても良い存在です。 そんな関係がありながら、リーはパトリックの後見人として故郷で暮らすことが出来ずボストンで暮らすという。 故郷マンチェスターでのリーの記憶をフラッシュバックさせながら、リーの過去に迫る。 決して消えることのない過ち。 リーは友人たちとのバカ騒ぎの後に、リーの過失により娘二人を亡くしている。 兄の死により集まる人たち。 リーの元妻は再婚し、妊娠している。 かつては話すことも出来なくなったリーと元妻。 そんな二人が時間が経って、元妻の「許す」という言葉に救われた気がしますが、リーにとってはわかっていても乗り越えられない姿を見ていると、私も感極まってしまいました。 最後にリーとパトリックがキャッチボールをする。 ワンバウンドさせて取れないように投げているのですが、なぜか二人の信頼関係が見えるシーンでした。 マンチェスター・バイ・ザ・シーの鈍色の空が切なさを誘います。 そしてエンドロールの潮騒が優しい気持ちにさせてくれました。

  • 鑑賞日 2017/5/17

    ケイシー・アフレックの淡々とした演技と周りの役者が高める

    タイトルはボストン近郊の海近くの町の名で、ボストンに住んで便利屋をしている主人公が、故郷のその町で兄が亡くなった為に戻ってきて、兄の息子の後見人になることになっていて…でも実は彼の過去は…という話が現在と過去とが入り混じりながら話の解決を難しくする意味を知らせてくれる… なんとなく少しずつ解放されていけばいいなと思える最後。監督はこれをハッピアーエンディングと言われてるので、ちょうどそんな感じ。 あと、棚の上の写真を見落としたのですが、あれがキーなのかな? そしてちょい役で我がマシュー・ブロデリックが出てきます!サラ・ジェシカパーカーと一緒にいる写真とかみて丸くなったな〜とは思ってましたが、そんな雰囲気がまたぴったり?声のみ、流れるシーンもあって、懐かしい。 ところで、水曜とはいえ平日の昼間に満席!そして高齢者多し。そんな映画の種類?と思いつつも、アカデミー紹介受賞や、新聞に掲載されたりしたからでしょうか。

  • 鑑賞日 2017/5/17

    作品紹介(映画.com)より

    本日イオンシネマ浦和美園13時の回鑑賞。只今全国感動絶賛公開中。 この作品の監督・主演陣の今後に期待。 下記にて映画.comよりストーリーと映画評論記載。 「ジェシー・ジェームズの暗殺」「インターステラー」のケイシー・アフレックが主演し、心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本で知られるケネス・ロナーガンが監督・脚本を務め、第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。アフレックが主演男優賞、ロナーガン監督が脚本賞を受賞した。プロデューサーにマット・デイモン、主人公の元妻役で「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ、兄役で「キャロル」のカイル・チャンドラーが共演。アメリカ、ボストン郊外で便利屋として生計を立てるリーは、兄ジョーの訃報を受けて故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーに戻る。遺言でジョーの16歳の息子パトリックの後見人を任されたリーだったが、故郷の町に留まることはリーにとって忘れられない過去の悲劇と向き合うことでもあった。 マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the Sea 2016年/アメリカ 配給:ビターズ・エンド、パルコ マンチェスター・バイ・ザ・シー 映画評論・批評 2017年5月2日更新 2017年5月13日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにてロードショー 深い喪失の傷を負った主人公。長い孤独のトンネルの先に差し込む微かな救いの光 主人公が兄の死によって甥の後見人になるという設定は、「マーサの幸せレシピ」の男性版のようだ。が、大きく違っているのは、父親を亡くした16歳の甥のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)よりも、兄危篤の知らせを受けて故郷へ戻って来た主人公のリー(ケイシー・アフレック)のほうが、過去に起因する深い喪失の傷を負っていることだ。 いったいリーの過去に何があったのか? なぜ彼は故郷に居場所をなくしたのか? リーの心の奥底に押し込められていたパンドラの箱が、回想シーンを通じて少しずつ開いていく。ドラマの構成は、心理的な謎解きの趣だ。その中から、自責の念にさいなまれ、幸せになることを禁じるように生きているリーの苦しみがあらわになっていく。そんな彼の心象風景と呼応する凍てついた色彩の映像が、物悲しくも美しい。 画像1 故郷にいると心の痛みが増すリーと、この町に住み続けたいパトリックは、今後の生活をめぐって意見が食い違う。それでも数日を一緒に過ごすうち、ふたりの間には支え合う関係が築かれていく。とくに、父の死に気丈に耐えるパトリックの心の傷口に塩をすり込むような出来事が起きたとき、彼にそっと寄り添い、さりげなく励ますリーの優しさが胸に染みる。そんなリーとパトリックが、アメリカ映画定番のキャッチボールではなく、ワンバウンドさせたボールをやりとりする場面は、ふたりの心の距離感を物語る名場面だ。 ケネス・ロナーガン監督の「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」でマーク・ラファロが演じたダメ叔父さんがそうだったように、リーはドラマの中で安易に成長したり強い人間になったりしない。しかし、もう一度誰かのために生きる機会を得た彼の行く手には、長い孤独のトンネルの出口があることを予感させる。その救いの光の微かなまたたきと、映画史上最も影が薄い主人公と言っても過言ではないリーを薄さ全開で演じたケイシー・アフレックの丸まった背中に、たまらなく愛おしさをかきたてられた。 (矢崎由紀子) マンチェスター・バイ・ザ・シー 2017年5月13日公開 Check-in 7200人 注目作品ランキング11位

  • 鑑賞日 2017/5/15

    およそハッピーエンディングとは言い難いこの映画を観終わった時、何故だろうか、とても救われた気がした。 そんな気持ちになったのは、それなりに人生経験を積んだからなのか。 そうだと思いたいけれど、おそらくそれだけではないだろう。 この映画は、見終わった時に誰かと語り合いたくなるような映画ではない。ただただ自分のなかでじっくりと消化していくような映画だと思う。 最後にリーはある決断をするのだが、それも大げさな演出や感動を誘うような見せ方はしない。 でも、見ている側はそれがリーにとっては大きな決断で、前向きな一歩になっているのだと感じる。 大きな感動は呼ばないけれど、静かにそして確かに胸にくるものがそこにはある。少なくとも私にはあった。 これから先リーが、そしてパトリックが、各々に起きたことを乗り越えて光の当たる道を歩んでくれたならいいなと思う。そして、自分にもそんな光が見えてはこないかと、帰り道ふいに夜空を見上げたくなる。そんな映画だった。

  • 鑑賞日 2017/5/16

    さり気ないラストが秀逸

    どことなく『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』を思い出すような、再生のものがたり。 喪失の痛み、乗り越えられない悲劇、折れてしまった心… 失ったモノは二度とは戻らない。 Neva Neva Neva… 不器用に、ぶつかり合いながら、探り探り、なんとか光を見い出そうともがく2人… そう、2人… 1人は子供を自分の過失で失って妻とも離婚して、無気力に生きている男。 もう1人は、父親を亡くした16歳の甥だ。母親はいない。 兄の訃報を受け地元マンチェスター・バイ・ザ・シーに戻った主人公。遺言で甥の後見人に指名され、面倒をみることになるのだが…。てか、この遺言って、兄からのプレゼンなのだろうってなって、観終わって思う。 再生へのプレゼント… 苛立ち、ぶつかり合いながらも、最後は向き合い、完全に乗り越えたわけぢゃないけど、僅かな希望が見えたようで… それが正解なのかは分かんないけど… 少しだけ生きる意味を見つけたよね。少しだけでいいよね。とりあえずは… 少なくともドン底ぢゃくなったのだから。 言葉数も少なく、抑制した演技。そこから伝わってくる主人公の底知れぬ深い哀しみ。そして、その深い哀しみが一番の伝わってくるのが元妻ミシェル・ウイリアムズとの再会シーンではないかと…。てか、このシーン、可哀想で見てられない。 この哀しみと孤独を体現した主人公を演じたケイシー・アフレックがアカデミー賞主演男優賞を受賞している。そして脚本賞も受賞。ちなみにプロデュサーは兄のベン・アフレックの幼馴染のマット・デイモン。 マンチェスター・バイ・ザ・シーの凍てつくような冬の厳しさと乾いた空気感は主人公のソレと重なる。そしてラストの厳しいけど、厳しさだけぢゃなく、さり気ないけど、温かさと希望が覗いていた。このさり気なさが秀逸。

  • 鑑賞日 2017/5/16

    ふむ。 ヒューマンドラマの感想は苦手やな。 重い十字架。。

  • 鑑賞日 2017/5/16

    死なないで

    人生には乗り越えられることしか起きない、とか沢山の困難を乗り越えた人にはそれだけの徳があるのよとか言うけど、本作を観て、あえて乗り越えないことも、あるんだと思った。 終始、曇った表情の、虚ろな目をした、ケイシーアフレックがいい。彼はこんな、凝った癖のある演技をしてたかなと思ったほど、過去の重たい荷物を背負う役が、似合っていた。 辛い過去から、逃げ出すように、街を出て、便利屋の仕事をしていた、リーに兄の死の訃報が入る。故郷に戻ると、過去と向き合わざるを得なくなる。 リーは心を閉ざしたままで、頑固で、イラチで、繊細だ。そんな彼も甥には、心を開く。甥と、兄の存在が、リーにとっては大きいし、生きるヒントになってくる。皆、誰しも問題を抱えている。誰かに話すことで、再生とまではいかないが、心の荷物が軽くなる。人に吐き出す、ぶつける、これが生きる上で本当に大事だと感じた。あえて、乗り越えない、心に傷を抱えたままでも、生きていく生き様も、人生なんだな。 しかし、尺が、長いと感じてしまった。あと30分は短く出来たのではないか。 一歩ずつ前に進まなくても、ただ、生きていくことが出来たらそれだけでいい。 再考。観た当初は、何も心に残らなかったが、まるでそれは自分自身を観ているような映画だったからだ。人は挫折をしたり、大切な人を失ったり、大きな病気をしたり、傷付けられたり、大きな痛みを味わったり。それによって心に大きな穴があいたり、心が壊れる。 痛みや苦労をバネに頑張ろうと思うけど、心ってそんな単純なものじゃない。 心が壊れたままの自分を大切にする。 乗り越えられないことを肯定し、ありのままを受け入れる。 時間が解決出来ない事も多い。 痛みや苦しみは結局その人にしか分からない。 この映画は、心が傷付いた人に寄り添う映画であると同時に過去に囚われ、後悔に縛られてる人たちへの心を解き、楽になるきっかけを作る映画なのかもしれないと思った。

  • 鑑賞日

    ネタバレになるかな・・・・

    ベン・アフレックがアカデミー授賞式で干されていた弟のオスカー受賞に涙していたのと作品自体が重なってみえた。 ベーシックに悲しい事、小さな言葉、微妙な表情、痛ましい身体でユーモアも交えて丁寧に物語を紡いでいくのはビリー・ワイルダーやフランク・キャプラの映画を観ているようだった。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    乗り越えることはできない

    寂しく静かな風景と音楽が心を打つ。 「私も親を亡くした」と人は簡単に言うけれど、 それとは違うこの心の重さは、乗り越えるなんていうことはできない。乗り越えることはできないけれど、それでも生きて行かなければならない。そんな中、リーは兄が遺したものによって、小さな部屋ひとつ分だけ前に行こうとしている。そんな静かな歩みを描くとても繊細な作品だ。 ケイシー・アフレックの演技と、寂しい海の風景、音楽、全てが心の底に沁みてくる。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    絶望と希望のはざまで・・・

    自らの過失によって三人の幼い子供を火事で亡くした主人公(ケイシー・アフレック)が、兄の急死で帰郷したことから過去と向き合い新たな一歩を踏み出そうとするヒューマンドラマ。恋に音楽に自由気ままな青春を謳歌する甥っ子と、絶えず自己憐憫を漂わせて生きる主人公との明と暗。このコントラストが釣り船の上で一つに融和していくラストシーンはかすかな希望と捉えたい。 警察署での事情聴取の後、発作的に警官の銃を奪い自殺を図ろうとした主人公の姿が痛ましい。別の男性と再婚した元妻(ミッシェル・ウィリアムス)が街中で主人公と久しぶりに再会するのだが、感情をコントロールできないまま泣きじゃくり、それでも愛していると想いを告げる場面は心に響いた。相思相愛だった夫婦が一緒に暮らすことはおろか会話することさえ拒絶させた大きな過ち、その存在が否応なしに浮き彫りにされた場面と言えるだろう。 甥っ子たちのバンドが演奏するオリジナルのロックとは打って変わって、荘厳なクラシック曲を散りばめた構成もまた本作の成功の要因と言える。もちろんアカデミー賞主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックの慟哭を押し殺したような沈痛な表情の芝居も忘れてはならない。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    とても評判が良いので、大いに期待して観たのだが…。「いつ物語が動き出すのだろう」と思っているうちに、終わってしまった。描写はとても丁寧だし、ケイシー・アフレックの演技は確かに素晴らしいが、私にとっては物語が地味過ぎる。音楽の使い方も、いま一つこなれていないような気が。何となく、日本映画のようなテイストを感じた。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    先に逝った兄のメッセージ

    過去の過酷な事件に傷つき無為な人生を送る弟に、心臓病で急死した兄が、自分の息子を託す物語。 弟リーを演じるケイシー・アフレックの演技がすばらしい。過去に囚われ今を「生きる」ことができない、単にそこに「いる」だけの男を見事に演じる。他人との会話は仕事に関わる最小限であり、そこに彼の感情はまったく現れない。そして、彼の感情は「殴る」ことにより爆発的に発露される。このシーンが何回か現れるが、印象的である。 この脚本は、心が閉ざされた男の感情の制御不能の有様を、その「殴る」シーンで見事に表現する。 そして、本作が稀有なのは、自身の死をもって、弟と息子に生き抜くことを託す「意思」を発現する兄を配置したことである。 その兄の「意思」に対して、弟と息子が、どのような決意をするかが、この映画の見どころであり、ラストの、彼らの決意を窺わせる二人の会話が、観客に静かな感動を与えてくれる。 程度の差こそあれ、過去を後悔することは誰にもある。後悔に苛まれたまま、克服できずに、暗澹たる思いを引きずる人たちも多いだろう。あの大震災でも、多くの人たちがその渦中にある。 だが、生きているおまえが、この子を生かさなくて、どうするのだ。という、先に逝った兄の遺言に託された本作の「メッセージ」は、強引であるが、至言である。 本作が、後悔に縛られている人々へ、わずかでも心を解く「きっかけ」となることを願う。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    過去と未来が交錯する中で、物語が語られていく。 登場人物の背景が徐々に分かっていく展開で面白い。 事件の責任を背負う主人公と妻、気持ちを思うとなんともやりきれない。 街で妻と再会をしたシーンに涙。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    マンチェスター・バイ・ザ・シー

     静かな語り口の、心にしみるいい映画だと思った。映画の舞台になった海辺の静かな街の佇まいにも似ている。  映画は、主人公リー(ケイシー・アフレック)とその甥パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の関係が中心となって描かれる。リーの兄、そしてパトリックの父であるジョーの死が契機となり、二人の関係が再開する。幼少期のパトリックはリーによく懐いていたようだが、思春期を迎え、父が亡くなった現在は、リーへの思いもやや屈折したものになっている。そんな二人の微妙な距離感の表現が絶妙。(ジョーが亡くなった場面を見て、人は身近な人が亡くなると混乱して途方に暮れ、結局、葬儀社頼りというのは、日本もアメリカも同じなんだなとちょっと面白く感じた)  パトリックとガールフレンドとの交流はこの映画の笑いの部分を引き受けている。ガールフレンドの母親と世間話が上手く出来ず、30分も繋げないのかとパトリックに詰られるリー。この不器用さは当方も同じだと思い、リーに同情を禁じ得なかった。  リーには、自分の不注意で子供達を亡くしてしまったという消すことの出来ない過去がある。生まれた街に戻ってきたリーは、否応なくその過去に向き合わざるを得ない。久々に再会した元妻ランディ(ミシェル・ウィリアムズ)と路上で会話を交わす場面は、この映画のハイライトというべき名シーンである。お互いに湧き起こる抑え切れない感情を、二人が見事に演じていた。  過去と現在を何度も往き来しながら物語は進んでいく。そして、リーとパトリックの釣りの場面から始まった物語は、やはり二人の釣りのシーンで終わる。余韻を残すエンディングである。また、所々に挿入される海と静かな街の情景も印象的である。  「ムーンライト」同様、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされた本作も、静かに人生を語りかけてくる作品であった。2作品とも大人の映画という趣きである。

  • 鑑賞日 2017/5/15

    静かだけど心に強く残る

    どんな苦しみも哀しみもいずれ時が解決してくれる、というような単純な終わり方じゃないだけに心に強く残った。 観た後にすごく暗い気持ちになるわけじゃなく、同じ苦しみに寄り添ってくれるような映画。 ケイシー・アフレックの憂いのある演技がすごくよかった。マット・デイモンが役を譲ってくれてよかった。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    あ?俺を見るな!オ◯マ野郎!!

    冒頭のBARシーン。 飲み物を溢して逆ナンする女性には目もくれず、見つめる先にはスーツを着た男性二人。 なるほどゲイ趣味かと予想させ、笑顔で彼らに近づき、話かけるや「俺を見るな!オカマ野郎!」とボコボコに。 素晴らしい! 素晴らし過ぎる展開……だが以降は間違いなく強烈な睡魔と闘う映画。 映画評論家が絶賛する程 崇高な映画では無いし、感動作でも無い。 主人公に共感できるなんてのは偽善者か真性のキ◯ガイだけ。 彼は過ちを犯すタチの男で、恐らく晩年はろくな死に方はしない。 わかったフリを装う必要は無く、キ◯ガイが問題行動を起こすきっかけと、母性溢れるミシェル・ウィリアムズを拝むための映画。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    後見人の決断

    ‪#0382 新宿武蔵野館「マンチェスター・バイ・ザ・シー」。第89回アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞を受賞したケーシー・アフレック主演、ケネス・ロナーガン脚本・監督作品。兄危篤の報を受け故郷の港町に戻った弟が過去の悲劇と向き合いながら後見人となった甥の身の振り方について決断するまでを描いている。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    死者からの伝言

     心臓病の兄が倒れ、弟のリーが故郷に帰ってくる。リーは、兄の遺言により十六歳の息子の後見人に指名され、遺産の管理や遺児パトリックの養育を任されることになる。まるで生気の感じられないリーに、果たして兄から託された事ができるのだろうか。映画は、リーとパトリックの葛藤を通じて、リーの人生に寄り添い、心の微妙な変化を見つめてゆく。  リーの過去が、薄い膜を一枚ずつめくるように明らかになる。絶妙な構成のシナリオだ。現在と過去が行き来し複雑に人物が入れ替わるが、些かの混乱もなく、リーの特異な人格を形作った凄まじい過去をリアルに描いて行く。  リーが元妻ランディと偶然出会い言葉を交わすシーンは、胸をかきむしられる思いのする名場面だ。ランディは、ずっと話せなかったリーへの謝罪の思いを今こそ伝えたいと思った。思い出したくない事件のあった町に心ならずも滞在していたリーは、悲劇を蘇らせる元妻との話などできるわけはないと思った。二人の会話は壮絶だ。ランディは声を振り絞り、リーに伝えるべきことを話す。リーは言葉にならぬ声で答えるが、ランディの思いを確かに受け止める。  人は家族や他人との触れ合いによって、明日も生きてゆこうと思う。リーは、かつての重大な過ちから他者との関係を断つ人生を送っていた。医師から短い余命を宣告されていた兄のジョーは、愛する弟のために、死者となってからできることを遺言で残した。リーがパトリックと支え合うこと。ランディがリーと話す機会を作ること。パトリックがジョーの元妻である母親と会うこと。どれもジョーが仕掛けたことだと言える。生き辛さを抱える生者たちが、少しでも前を向いて生き直すことができるようにと導いた、死者からの伝言である。  リーが、どこに引っ越そうとも大切に飾っていた三枚の写真がある。どのような写真なのかは明かされないが、その写真立ての中で微笑んでいると思われる三人の死者もまた、リーを未来に導いてくれるに違いない。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    人生には乗り越えられないこともあるのだ。ケイシー・アフレック最高!ミシェル・ウィリアムのこと、初めて愛おしく想いました…

  • 鑑賞日 2017/5/14

    人には乗り越えられないことがある。でも…。

    『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は、重く雲が垂れ込めて寂寥感溢れる海辺の風景の中に底知れぬ苦悩を湛えた作品。 ボストンに住んでいる主人公リー・チャンドラーは、内向的な性格。無口で無表情。話しかけられたことにしか答えない。アパートの便利屋の仕事をこつこつとこなしているが、なにせ無愛想。だから周りと上手くいかない。はじめは、「何が面白くて生きているんだろう」と思うくらい。感情を溜め込んでるものだからカウンターバーかなんかでひとり呑みしていても時々切れて暴発する。だからより一層周りと上手くいかなくなる。 ある日、リーの元に兄・ジョーの危篤の報せがある。マンチェスター・バイ・ザ・シーへの久しぶりの帰郷と兄の死。ここでリーは、兄の遺言により思いがけず兄の息子、パトリックの後見人になる。兄の家族もリーの家族もどこかにみんな問題を抱えている。それでも 幼いパトリックは叔父さんのリーとは上手く行っていた。海に自家用の船を繰り出して二人で釣り糸を垂らしたりと。それが今ではある事件と歳月を経てギクシャクした間柄になっている。パトリックがティーンエイジャーになったせいもある。一方、突然兄に後見人という義務を押し付けられたものだからリーの気持ちも穏やかではなくなる。 物語が進むにつれてだんだんとリーが元々このような性格ではなかったことが明らかになってくる。何が彼を変えたのかは、作品を観る他ないのだが、結局、彼は最後までこの性格を変えていくことはできない。警官のすきをついて拳銃を奪い自殺を図ろうとするシーンには感極まった。そうどこまでも乗り越えられないことはあるものだ。しかしラストで彼の傍に成長を遂げた甥パトリックがいることが何よりも救いとなっていく。 主人公リー役を演じるケイシー・アフレックのまるで自分の手で個性を殺してしまった脱け殻のような演技がいい。強い印象を残す。彼は、今年のアカデミー賞主演男優賞に輝いた。現在と過去にさかのぼった描写がつづら折りの如くジグザグに進んでいく展開が見事という他ない。脚本が素晴らしいのだろう。やはりアカデミー賞の脚本賞を受賞している。しかもオリジナルだというから驚いた。観ていて久しぶりに一から十まで納得させられる力作に出会えた。今のアメリカでもこんな静謐な深い人間ドラマが作れるんだ。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    リアル・男はつらいよ

    悲惨な事件から故郷の海辺の街(マンチェスター・バイ・ザ・シー)を捨てて、つまらない便利屋仕事で孤独な日々をすごす男が、故郷の兄の病死により高校生である甥っ子の後見人に指定されていたことを知る。父の死当夜に恋人といちゃつきバンド仲間の女の子にもちょっかいをだすイマドキの男の子である甥と、法律的な拘束からスタートしつつ不器用ながらも少しずつ情感を通わせていく男の姿がじっくりと描かれているところがじんわりと感動と暖かみを呼ぶ。幸せだった過去とつましい現在との並行した描き方も(あまり上手ではない気がするのに)わかりやすくて不思議なくらい心に染みてくる。このような派手さはなくとも飽きさせない街や市井の人々のきめ細やかな描出は近年のアメリカ映画としてはいまや貴重品と思えるし、アカデミー賞はこちらにあげたかった。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    人生いろいろ

    1000人が観たら千通りの感想が出るのでは。 自分の人生に登場人物達の生き方を置き換えながら観てました。 けして派手さはありませんがあ、色々と考えさせられる映画でした。 僕はこういう映画嫌いじゃ無いです! 劇場を出て行くおばちゃん達は、あまりパッとしなかったね。って感想を言い合ってましたがw

  • 鑑賞日 2017/5/13

    静かな波音を聞きながら

    心に深い傷を負い、心を閉ざしてしまった男の再生と贖罪を描くとてもとても静かな物語ー。 ケイシー・アフレック演ずる主人公リーの現在と過去が代わる代わる映される形で物語が進んでいく中、中盤で彼の身の上に降りかかった過去の出来事が明かされる事になる。彼の表情、佇まい、言動、行動の真逆ぶりから彼の負った心の傷の深さが如実に理解でき、場面転換される度に胸が締め付けられる思いに駆られる。 身内の急逝により戻るはずのなかった故郷へ半ば強制的に帰ってくること、それは今まで避けてきた忌まわしい過去と向き合い自分自身を見つめ直すこと他ならない。兄が残した自由奔放な年頃の甥っ子に手を焼きながらも、彼と心を通わす事で少しづつ心が浄化されていく様が静かにそして穏やかに描かれていく。 しかしながら、彼の背負った業が余りに大き過ぎて彼に対して過去を忘れて前を向いて歩いて欲しいとは決して安易には思えない。ラストカットの漁船での2人の姿とエンドロールの波音はそんな彼等をただただ見つめることしか出来ない自分自身のもどかしさとやるせなさを痛感せざるを得ない。 男として人としての覚悟を綴ったある男の抒情詩、『パリ、テキサス』にも似た余韻が鑑賞後もジワジワと自分の心に沁み入ってくるのが分かる。

  • 鑑賞日 2017/5/14

    やっぱり、乗り越えられないことも

    一生乗り越えたくても、乗り越えられないことはある。寒い曇った海が、象徴的なモチーフに。兄が弟にチャンスと共に託したことだったが。。。ただ、ほんの少しだけ、半歩だけ進むきっかけは、作れたのかも知れない。秀作!

  • 鑑賞日 2017/5/13

    ジョン・フォードの男たちを彷彿とさせる男泣き

    本年度米国アカデミー賞の主演男優賞とオリジナル脚本賞を受賞した作品。謳い文句は「癒えない傷も、忘れられない痛みも。その心ごと、生きていく。」 ということならば、男の再生の物語なのか、と思いつつ・・・。 米国ボストンでアパートの管理人(というか雑役夫)をして、ひとり暮らしているリー(ケイシー・アフレック)。 彼のもとに一本の電話が入る。 かねてから心臓を病んでいた兄ジョー(カイル・チャンドラー)が突然亡くなったという。 故郷である海辺の町マンチェスターに戻ったリーであったが、彼にとってその町は忘れることのできない苦い経験のある町だった・・・ というところから始まる物語で、映画前半で、リーの過去のも描かれ、兄の息子、16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人になることが兄の遺言で示され、どうしてよいかわからなく行き詰まってしまうリーの姿が、その後描かれていく。 非常に丁寧の撮られているのだが、小説でいえば短編小説といったところ。 自分も兄も家庭は崩壊している(兄の方は、それほどでもないのだが)。 かてて加えて、ふたりの叔父もネブラスカかどこかに移り住んでいる(映画には一切出てこない)。 そんなバラバラな家族の物語で、これが最後にうまくまとまるかというとそんなことはない。 現実的な着地点を見出すが、安易に「再生」というところにはもっていかない。 そもそも、そんな「再生」なんてことは、監督・脚本のケネス・ロナーガンは信じていない。 なので、非常に新しいタイプの映画のようにも思えるが、そうでもなく、アメリカンニューシネマ以前の古いタイプのアメリカ映画のような感じを受ける。 具体的には、どの作品に似ていると指摘できないのだが、事件が起きる前のリーの生活は、男友だちとワイワイガヤガヤやっており、その後、孤独になってからは、直情的に酒場で殴り合いをやってしまう。 この人物設定は、ジョン・フォードが好んで描いたアイルランド人に似ている。 映画の主人公リーとジョーのチャンドラー兄弟のチャンドラーがアイリッシュ系の名前なのかはよくわからないが、兄役のカイル・チャンドラーはアイリッシュな風貌。 調べてみると、監督・脚本のケネス・ロナーガンも父方はアイルランド人だそうな。 なるほど、合点がいった。 最後の最後に、自分にはあの出来事は乗り越えることができない・・・と告白するリーには、かなり胸が熱くなった。 とはいえ、137分の尺は長すぎて、全体的にまだるっこい。 小説でいえば短編小説の内容なのだから。

  • 鑑賞日 2017/5/13

    あんなにパトリックとも笑いあってじゃれあって友人に囲まれる中心にいるような人が、あるきっかけで心を閉ざし、人との関わりを拒むようになる。 その陽と陰の差がすごい。 こうになるまでに、どんなことを言われたんだろう。きっと一番辛かったのは家族である妻に言われたことなんだろうな。 法的な罪にさえ問われない、償いきれない過ちです。 最後すっと明るい光が差し込むような終わりで良かったです。 ボストンに住むのかこの街に残るのか。 お互いの案を寄せあった結果なんだからきっと良いんでしょう。

  • 鑑賞日 2017/5/13

    社会性がなさすぎる

    自分の過失で最愛の子供3人を亡くした男。その街マンチェスターには戻りたくないが戻らざるを得ないことになり混乱する。 妻からの謝罪、甥との生活で徐々に過去を取り戻し、うーん少しだけ取り戻したか。というくらいの話。 人間の本質への洞察が凄いとか絶賛をきくと、何のこと?って思ってしまう。 何がいいのか分からない。