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COLUMN/コラム2015.07.24
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年8月】うず潮
死の運命に弄ばれる若者たちを描いた『ファイナル・デスティネーション』の続編となる本作。前作を見ていなくてもご安心を。どっぷりとハマれます! ウキウキ気分で車で旅行に出かけたキンバリーとその友人たち。ハイウェイの入り口で信号待ちしていたキンバリーの脳内に、ハイウェイで起こる悲惨な大事故の生々しい映像が映し出されてしまうのです。我に返ったキンバリーは、事故を防ごうとハイウェイの入り口を車で封鎖。クラクションと怒号が飛び交う中、キンバリーの目の前で大事故が発生。本当は死ぬはずだった皆様から感謝されるキンバリー。しかし、彼らの身に仕組まれたかのような死の恐怖が降りかかるのです。 ドミノ倒しのようなキッカケで始まる死の予感、唐突に訪れるショッキングシーン…時間を忘れて思わず見入ってしまうこの映画。あまりの人気でシリーズ化されてます!ザ・シネマでは、第3弾の『ファイナル・デッドコースター』、第4弾の『ファイナル・デッドサーキット』も合わせて放送します。続けて見ると面白さ倍増! ©MMIII NEW LINE PRODUCTIONS,INC.ALL RIGHTS RESERVED
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COLUMN/コラム2015.07.17
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年8月】キャロル
「ロード・オブ・ザ・リング」のヴィゴ・モーテンセン主演、ナチス政権下の葛藤を描くヒューマンドラマ。 ベルリンの大学で教鞭をとるジョンは、ノイローゼ気味の妻に代わって家事と二人の子供たちの育児、そして母の介護に追われる日々。精神科医であり親友であるユダヤ人のモーリスと過ごす時間が唯一の息抜きだった。これといった主張も特徴もなく無難に生きてきたジョンだったが、昔書いた小説をヒトラーに気に入られたことをきっかけにナチ党に入党。そのことに愕然とするモーリスとの関係に亀裂が入る一方で、ジョンは教え子で愛人だったアンと再婚したり、出世し教授になったりと、これまでになく順調な人生を歩み始める。ナチ党のユダヤ人迫害が増していることを日々肌で感じているモーリスは決死の思いでジョンに助けを求めるのだが、ジョンは事態を深刻に受け止めず、自力で何とかしろと突き放す。数年後、いよいよ戦況が激化するなか強制収容所の実態を知ったジョンは、音信不通となったモーリスの行方を追うのだが・・・。 この映画は、ナチスを批判する勇者でもユダヤ人を救うヒーローでもない、自分の安全のために無難な選択をして時代に流されていく、真面目で誠実な一般市民の姿を描いています。どうしてユダヤ人の親友がいるのにナチ党に入ったの?なぜ親友を助けてあげようとしなかったの?と、ジョンのとった行動は理解しがたく、ただ流されていく姿に共感できないと感じる人は私を含め多いでしょう。しかし、「もしもジョンが自分だったら・・・?」そう置きかえると矛盾を感じてしまうところがこの映画を“面白くなく”しており、実はミソなのではないかと思うのです。「入党すれば昇進できて生活が安定する。それに社会的地位も上がる」「最近はユダヤ人への風当たりが強い。でも(モーリスは)裕福だし何とかなるだろう」と考えたジョンや、「これだけ沢山の人が支持している人気の政党なのだから大丈夫に決まってるじゃない」と深く考えない若者アン。ナチスの黎明期では、迫害の現実や変貌を遂げようとしている一国の未来の姿に恐怖するのは一部の有識者のみで、大半の一般市民がジョンやアンと同じだったのではないでしょうか。今の日本に置き換えると、そう他人事にも思えません。ちょっと痛いところ突かれた感じが、この映画を“面白くない”と感じさせる後味の悪さであり、本当の面白さのような気がするのです。 © 2007 Good Films Ltd.
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COLUMN/コラム2015.06.27
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年7月】にしこ
ヒゲボーボーで酒瓶を持っているキアヌや、映画祭で激太りしているキアヌを見て落胆する日々をお過ごしの皆様に朗報です。(主に女性の皆様)ザ・シネマに7月。満を持して私たちがトキメきに胸を焦がした超絶かっこいいキアヌが帰ってきます。そう!『スピード』放送いたします!! この作品でキアヌが問答無用のハリウッドスターになった事は周知の事実ですが、あと2人、この作品はスターダムに押し上げています。1人は監督のヤン・デ・ボン。もう1人は今やキアヌ以上のスターですがサンドラ・ブロックです。 ヤン・デ・ボンは「ダイ・ハード」や「ブラック・レイン」、「リーサル・ウェポン3」や「レッド・オクトーバーを追え!」など、ザ・シネマをご覧頂いている皆様にはお馴染みの大大大ヒットアクション映画の撮影監督を務めたアクションを知り尽くした男。撮影現場で一番偉い!?と言われる撮影監督を長年務めてきた彼が初監督として選んだのがこの『スピード』だったわけです。 高層ビルのエレベーターに爆破犯から脅迫電話が入るも、SWATチームの活躍で事態は収束。しかし犯人はその事を恨みに思い、今度は路線バスに爆発を仕掛ける。時速80キロ以下になると爆発する路線バス。人質となったバスの乗客を1人でも下ろしても爆発させる、バスを止める事も許されず…エレベーターのテロを見事に解決したSWAT隊員のジャック(キアヌ・リーヴス)に爆破犯ハワード(デニス・ホッパー)からの挑戦状が叩きつけられる・・・ というシンプルなストーリーではありますが、アクションを知るつくした男、ヤン・デ・ボン。1分と観客をほっとさせないくすぐる仕掛けをいたるところに埋め込んでいます。さらに特筆すべきはこの映画のアクションの「手作り」感。急ブレーキに横転しそうになるバスを乗客の全体重を使って防いだり、可動式の板に寝っころがったキアヌが時速80キロ以上で走るバスの下に入り込んだりと、まぁ「がっはっは」と声を出して爽快感を表現したくなる様な素晴らしい手作りアクションが満載なのです!!観る者のツボをつきまくるアクション演出。ありがとうございます。 もう1人の主役。この作品を最高に魅力的にしているヒロインのサンドラ・ブロック。彼女はアクシデントで運転手が運転不能になってしまったバスを、行きがかり上運転する事になった免停中のアニーを演じていますが、素晴らしい!「なんで私がこんな目に!」とかか弱い事は一切言いません。かといって冷静すぎるのでもなく、等身大の女の子らしいパニクりが実にチャーミングで、さらに温かいユーモアで主人公のジャックを励まし、乗客たちをなだめ、とにかく「超・一生懸命」にバスを運転します。この一生懸命さが最高です。みんな彼女を好きならずにはいられない。サンディ最高、ありがとう。 キアヌですが、あのナイーヴさで出来た彼が、血気盛んなロス市警のSWAT隊員なんて・・・大丈夫かしら・・・という気持ちと共にこの映画を観に劇場に足を運んだファンの方も多かったと思いますが、なんのなんの!!これ以上ないハマリ役ではないですか!ちょっと大根ぽい(ごくごく個人的意見です)ところもまたこの不器用そうなジャックという役にぴったり。長髪のイメージが強かった彼にクルーカットをさせた人に、未だに感謝の念が止まりません。ありがとうございます。レンタルビデオ屋さんで、等身大のキアヌの宣伝用スタンディーをもらって、ベッドの横に飾って寝ていた自分とも再会する事が出来ました。 私にとっていろいろなありがとうが詰まった映画であり、さらにアクション映画史上の名作としても名高い本作。まだ見てない皆様、ラッキーです。本物のアクション映画を見逃すところでした。ふぅ。既にご覧になった皆様も、何度見ても同じところでドキドキハラハラできる事請け合いです!!絶対に見逃してはいけない1本です!!ありがとうございます!! © 1994 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2015.06.13
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年7月】おふとん
ザ・シネマで5ヵ月連続でお届けしている永遠の妖精オードリー・ヘプバーン特集。3ヵ月目は『昼下がりの情事』をお届けします。 本作ではプレイボーイの大人の男性に恋をしてしまい、一生懸命背伸びしてなんとか振り向かせようとするオードリーが本当にキュート!白ミンクのコート、20人の元カレ、男との同棲…全部ウソだけど子供だって思われたくないもん!くるくる変わる表情から目が離せません。 8月以降も『パリの恋人』『麗しのサブリナ』などオードリーの魅力あふれる作品を放送しますのでお見逃しなく! LOVE IN THE AFTERNOON © 1957 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. AND WARNER BROS., INC.. All Rights Reserved
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COLUMN/コラム2015.06.12
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年7月】うず潮
映画ファンなら一度は見た事あるはず!あのキレッキレのブルース・リーカンフーを堪能できる「燃えよドラゴン」がザ・シネマに7月登場!ブルース・リーが繰り出す技のスピードは、今見ても尋常じゃありません!彼のスピードに合わせるべく、格闘シーンの緊張感がフィルムから伝わってまいります。ボスキャラとの死闘を繰り広げる鏡のシーンは、瞬き厳禁でございます!そして、あの名言が出るシーンは、弟子に蹴りの指導をするシーンです。お聞き漏らしなく!この映画のもうひとつの楽しみは、彼の意思を受け継いだ、カンフー映画に欠かせないあのスターたちがチョイ役で出演していること。何人知っていますか?検索せずにここは、若き日の初々しい彼らの表情と共に映画を見て再確認してみては!さらにザ・シネマでは、ジェイソン・ステイサム、スティーブン・セガール、アーノルド・シュワルツェネッガー、ジャッキー・チェンなど人気アクションスターの作品を毎日夜9時に放送します!お楽しみに! © 1994 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2015.05.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年6月】うず潮
ひょんなことから、大物スパイが厳重に保管しているタキシードを着てしまったジャッキー。 それは誰しもが凄腕スパイになれるハイテク機能満載のスーパータキシードだった!活躍の場をハリウッドに移したジャッキー・チェンが主演したスパイアクション・コメディ。相棒には『ラストサマー』のジェニファー・ラヴ・ヒューイットが務め、女スパイ役をキュートに好演。 ジャッキーお得意のガチスタントにVFXをプラスしたアクションシーンは、安定感抜群です!さらに劇中で、「ゲロッパ」でお馴染みのあの大物ミュージシャンが、ジャッキーと夢の共演してます!そして、ジャッキー映画には欠かせない、エンドロールのNGシーンは必見、おすすめですよ。 ザ・シネマは、6月にジャッキ-作品をもう1本!痛快カンフー西部劇アクション・コメディ『シャンハイ・ヌーン』も合わせてご覧ください!■
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COLUMN/コラム2015.05.15
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年6月】にしこ
『フェリスはある朝突然に』で観る人全てをフェリス・ビューラー気取りにさせたあのジョン・ヒューズ監督が贈る、「ここまでやりますか!」的大災難トホホのちじんわりあたたかムービーの傑作であります。『大災難P.T.A.』の「P.T.A」はあれです。「Parent Teacher Association」ではありません。原題は「PLANES, TRAINS & AUTOMOBILES」。主人公2人(主にスティーヴ・マーティン)が家までたどり着くまでに使う交通手段です。飛行機でも電車でも車でもたどり着けないほどの大災難!!その全てをあなたは目撃する!感謝祭の2日前、エリート広告代理店マンのニールはクライアントへのプレゼン終わり、シカゴの家へと飛行機で帰ろうと必死。やっとの思いでタクシーを捕まえたと思ったら、巨漢の男にタクシーを横取りされてしまう。はらわたが煮えくり返る思いでなんとか飛行機に乗ったものの、ファースト・クラスの予約は感謝祭の混雑の為キャンセルされ、「席があるだけありがたく思え」とばかりにエコノミーに送られる。さらに追い打ちをかける様に、隣のシートにはタクシーを奪った憎き巨漢の男が!この巨漢の男を演じるのが70年代から90年代までのアメリカン・コメディの象徴でもあったジョン・キャンディ。あのいかにも「気が良くて」「がさつで」「厚かましい」感じのルックス通りのキャラクター、デルをこの映画でも演じています。スティーヴ・マーチン演じるちょっと神経質なニールの神経を逆なでしまくりイラつかせまくりの90分強。そう、デルこそニールに起こった「大災難」なのです。「アメリカのコメディって日本人にはちょっと大げさすぎるっていうか…」という方も食わず嫌いをせずにぜひご覧ください。今や当代一のコメディアン、スティーヴ・マーティンはいかにも日本人好みする「やりすぎない面白さ」の達人ですし、熊の様な体躯に愛くるしい目で申し訳なさそうにスティーヴ・マーティンをみるジョン・キャンディの姿はなんともほほえましい。果たして2人は無事家にたどり着く事が出来るのか!?ちょっとした秘密と押し付けがましくない感動があなたを待っています!!ジョン・キャンディは1994年に心臓発作で急逝してしまいましたが、ご存命だったらぜひまたこの2人の珍道中が観てみたかったなぁと強く思う次第です。 TM & Copyright © 2015 by PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2015.05.04
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年6月】キャロル
仲良し4人グループの中で一番サエないあの子が結婚!残された3人は悔しさ全開、結婚式前日に大騒動を巻き起こす・・・というドタバタコメディ。シチュエーションは違えど誰でも一度は友人に嫉妬したり、比べたり、僻んだりした経験がありますよね?人ごとだと思ったそこのアナタにこそ捧げたい反面教師的な一品。何学歴もキャリアもルックスも完璧だけれど結婚できずにもがいているレーガンを演じるのはキルスティン・ダンスト。先日ザ・シネマで放送した『インタビュー・ウィズ・バンパイア』では何とも言えない瑞々しく妖しい天才的な演技を見せてくれましたが、本作では一転、若づくりに勤しむグヴィネス・パルトロウくらいアナタどーしちゃったの?という残念な落ちっぷり。でもまぁお高くハイソな彼女がガール・ネクスト・ドア的なポジションで逆に等身大の魅力を発揮しているともいえます。一方、太くてサエない日々を送っていたが超イケメン実業家の彼にプロポーズされ上り調子のベッキー演じるレベル・ウィルソン。彼女は本作では残念ながら披露しておりませんが歌マジ上手いわトーク面白いわで、今後メリッサ・マッカーシーと並んでぜひ注目していただきたいコメディ女優の一人。(ワタシの大好きなアナ・ケンドリック主演の『ピッチ・パーフェクト』でその歌声をご確認ください)対象的な“今旬”女優たちの織りなす騒動を是非見届けてやってください。 ©2012 Strategic Motion Ventures LLC
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COLUMN/コラム2018.05.10
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』 6/2 (土) 字幕、3 (日) 吹き替え
最初に、あらすじから。 近未来。人類は機械軍に滅ぼされかけたが、英雄ジョン・コナーが現れ反撃に転じ機械軍を逆に壊滅寸前に追い詰めた。機械軍は、タイムマシンでジョン・コナー誕生前にさかのぼりその母サラ・コナーを殺せば歴史改変で一発逆転できると、暗殺用アンドロイド「ターミネーター」を84年に送り込む(ここまで『ターミネーター』第1作目と全く同じ展開)。 (ここからが怒涛の新展開)だが84年に現れた途端ターミネーターは、もともとその時代で待ち構えていた同型ターミネーターと、屈強な女戦士サラ・コナーに襲撃される!! 一方、未来のジョン・コナー司令官は母親が84年に殺される事態を阻止するため、腹心の部下カイル・リースをその時代にボディガードとしてタイムマシンで送り込むが、そこでカイル・リースも、姿を変えられる液体金属型ターミネーターT-1000の待ち伏せ攻撃を受ける。 一体全体、何がどうなっているのか!? このように、しょっぱなから構成の妙で魅せる本作。懐かしの第1作をなぞる冒頭パートで若い頃のシュワが出てきて、思わず目を疑う。どうやって撮った!? しかも若いシュワvs年取ったシュワの格闘シーンまであるのだが(本当にどうやって撮った!!!!!)、若いシュワは実はフルCGなのだ。『ターミネーター4』(2009)でも終盤で若いシュワが出てきて刮目したが、あれはボディビルダーの身体に若いシュワの顔だけデジタル合成したもの。それでも大したものだったが、本作はフルCG(下画像)。これが、CGだと意識して見ていても全く見分けがつかない超絶クオリティ(本当に下画像↓はCGなんです!)。特撮会社ムービング・ピクチャー・カンパニー公式垢がYouTubeに上げている動画を見ると、何も無い空間にCGで若いシュワがマッピングされていくプロセスをつぶさに確かめることができ、恐い!このテクノロジーがあれば、ある人物が実際にはやっていない犯罪的行為をやっている映像だって余裕で捏造できるのでは…?これってスカイネット級にヤバくないか…?『コングレス未来学会議』(2013)の世界はもうすぐそこだ。 本作は2015年の映画で、2017年という“超近未来”が後半の舞台。タイトルにもなっている「ジェニシス」とは架空の商品名で、その2017年に発表されるという設定の、スマホ・タブレット・コンピュータ共通のAI型OSみたいなもの。カーナビにも軍のネットワークにも、ありとあらゆる物にIoT的にインストールされている。こいつが、人類を滅ぼす! Genesisとは旧約聖書のド頭、「はじめに神は天と地とを創造された」から始まる、日本語だと「創世記」のことだ。SFファンには『スター・トレック』旧シリーズのIIとIIIで耳馴染みがある。あのシリーズにおいては「ジェネシス計画」という、月のような岩石だらけの不毛な惑星を一発で緑・水・大気が存在する居住可能惑星にテラフォーミングする秘密計画の暗号名だった。 しかし本作は、スペルが違う。正しくはGenesisだが本作はGenisysだ。本作のタイトルも当初は正しいスペルでいく予定だったが、途中でモジった「ジェニ・シス」表記に変更された。「シス」はSYSなので「システム」の「シス」だろう。「ジェニ」のGENIは、軽く調べたが確実なことは分からなかったものの、「genius(天才)」のgeniではないかとの一意見がネット上にあった。Genesisを「天才システム」とも読める間違ったモジり方でGenisysと表記したのではないだろうか。 ここからはキャスト・スタッフの話。本作でサラ・コナー役を演じるのは、「ゲーム・オブ・スローンズ」で大人気、“焼けずのデナーリス”ことエミリア・クラーク。ちなみにTVシリーズ「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」ではサーセイことレナ・ヘディがサラ・コナー役だった。ターガリエン家とラニスター家がサラ・コナー役を取り合っている?デナーリスが歳とるとサーセイ顔になるのか?という楽しみ方もGOTファンならできるが、もちろん「ゲーム・オブ・スローンズ」を見ていない人だって、そんなこと一切気にせずとも楽しめる内容であることは言うまでもない。 本作の監督さんはTV畑の人で、まさにその「ゲーム・オブ・スローンズ」も演出している。映画は本作と『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』ぐらいしか撮っていない。TVドラマ監督ということは一般論として、独特の持ち味とか作家性を前面に出すタイプではなく、雇われ監督だけど手堅い仕事をし、エンタテインメント商品としてカッチリ仕上げて納品してくる、優れた職人さんだということ。これは「ターミネーター」シリーズがフォーマットとしてすでに完成されていることの証しだ。腕のある人になら誰に任せたとしても回していけるということ。映画だとヨーロッパ・コープ映画のような、マーベル映画のような、盤石のフォーマットだと言える。 イ・ビョンホンが液体金属型ターミネーターT-1000役でチラッと登場するが、『G.I.ジョー』(2009)以降順調にハリウッドでもキャリアを重ねていってくれていることは、人ごとながら、韓国人ほどではないかもしれないが、日本の映画ファンとしても、これはかなり嬉しい!『JSA』以来20年ぐらい日本の映画ファンもずっと注目し続けてきた俳優なので、そんな彼の国際的な活躍は、半分我が事のように嬉しい。「ハリウッドよ、気づくの遅かったね」って感じだ。 イ・ビョンホンだけでなく、カイル・リース役とジョン・コナー役(『エベレスト』のジェイソン・クラーク扮演)の2人はオージーで、シュワはオーストリア(「ラ」が無い方)出身、エミリア・クラークは英国人ということで、ちょい役JKシモンズを除く主要キャストは全員が非アメリカ人だが、にもかかわらず典型的な娯楽ハリウッド大作に見える。 それはスカイダンス・メディアというプロダクションの持ち味もあるかもしれない。スカイダンス社は「ミッション:インポッシブル」、「G.I.ジョー」、「新スタトレ」、「ジャック・リーチャー」などパラマウント社の人気娯楽アクションシリーズを製作している、That’sハリウッドなイメージのプロダクションだ。とは言えしかし、よく考えると、多国籍スタッフ・キャストが英語で娯楽映画作りすることこそが、ハリウッドの伝統そのものであり、その伝統に正統に連なる典型なのだとも言える。 来年には新作もくる。キャメロンがプロデュースで『デッドプール』の監督、シュワとリンダ・ハミルトンがまさかの再共演で、2019年公開予定とのこと。その前に本作を見ておいてほしい!■ © 2018 Paramount Pictures. 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存
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COLUMN/コラム2018.05.24
『クリムゾン・ピーク』① 6/30(土)字幕、 7/1(日)吹き替え
日本の漫画・アニメ・特撮をこよなく愛するヲタク監督ギレルモ・デル・トロ。サブカル愛あふれるジャンル映画しか作らない男の『シェイプ・オブ・ウォーター』が今年(2017年度)、アカデミー作品賞・監督賞ほかに見事輝いた。そんなデル・トロが、この『クリムゾン・ピーク』(2015年)では怪奇映画愛を炸裂させている。 「プラチナ・シネマ」は第1回がタランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』だったが、このギレルモ・デル・トロの『クリムゾン・ピーク』なら、最終回に相応しいだろう。 6月「プラチナ・シネマ」について何か書く、ということで他に4作について書いてきたが、最後となる本稿は、他の倍以上の長さとなってしまいそうだ。個人的に好きだからではなく、書くべきことが膨大にあるからだ。つまりこの映画、奥が深い! だがその前に、まずはあらすじから。 20世紀元年の米国。ゼネコン成金の令嬢で、怪奇小説家志望のうら若き女性イーディス・カッシング(ミア・ワシコウスカ)は、作家としての芽が出ず行き詰まっていた。そんな彼女の前に、英国貴族シャープ姉弟が現れる。シャープ家領地で採土される深紅(クリムゾン)色の赤粘土は王室御用達の上質な赤レンガの材料であり、姉弟は掘削設備の新規導入に投資してくれる出資者を募るためにはるばる渡米してきたのだった。弟のトーマス・シャープ準男爵(トム・ヒドルストン)はイーディスの父に出資を打診するが色よい返事は得られない。しかしイーディスと準男爵が恋に落ち、やがて結婚の運びとなる。シャープ夫人の座に収まったイーディスは渡英し、赤土の丘に建つ古い屋敷で共に暮らし始めるが、そこで、恐ろしい義姉ルシール・シャープ(ジェシカ・チャステイン)と同居することに。吹雪が吹きすさび、積もる雪に溶け出た赤土が血のように滲んで、辺り一面が「クリムゾン・ピーク(深紅の丘)」と化す時、イーディスの恐怖と危機もピークに達するのだった。 デル・トロ監督は言う。 「ハロウィンの時期に公開されたからホラーとして宣伝されたが、実際は違う。ホラー映画の様式とはかけ離れていて、おとぎ話の空気が漂うゴシックロマンスだ」 監督は本作で、「ゴシックロマンス」という18世紀後半~19世紀初めにかけて流行った文芸ジャンルの再生と進化を図ろうとしているのである。 ゴシックロマンスとは何か あるブームがピークに達した後、次にその反動が来るのは世の常。中世の迷妄を恥じギリシア・ローマの古典古代を鑑とした17~18世紀の古典主義、啓蒙思想、近代合理精神や理性崇拝。それらが広まりきったなら、次の時代には必ずその揺り戻しが来る。人間本来の激情や恋愛を賛美し、滅び去った神秘や迷信に代わるオカルト趣味を偏愛し、中世を再評価し懐かしむようなカウンタームーブメントが現れたことは、歴史の必然だった。それが大きくは「ロマン主義」であり(古典主義⇔ロマン主義は対概念)、その中の下位分類として、特にオカルト趣味に偏った文芸運動がゴシックロマンスだ。 「ゴシック」+「ロマンス」、2つの語を足して、ゴシックロマンス。「古城や貴族のお屋敷に閉じ込められた純真無垢なお嬢様が、夜ごとの心霊現象、秘密の地下室と屋根裏部屋、怪人めいた当主、恐ろしい狂人、忌まわしい婚礼、一族の呪われた秘密、おぞましい近親相姦といった、建物に染み付いた深い闇に怯える」という怪奇ジャンルである。はたして本作『クリムゾン・ピーク』には、このうち幾つが当てはまるのか、または当てはまらないのか、ぜひカウントしてみていただきたい。 ゴシックロマンスの「ロマンス」は、現代語のロマンスというニュアンスではなく、「物語」とか「お話」といった広義の意味であって、狭義の恋愛モノには必ずしも限定されない(それも一要素だが)。おとぎ話的な性格の強い娯楽読み物を指す。それに対し、キャラクターの内奥を掘り下げて人物描写するリアリズムのフィクションが、次の時代にさらなるカウンターとして登場し流行った「ノベル」なのだと、近代文学史では区別されている。ロマンス⇔ノベルも対立概念であり、「通俗小説」⇔「純文学」の違いに近い(「通俗小説」が悪いと言っているわけではない)。 『イギリスの老男爵』(1777年)という初期のゴシックロマンスで知られる女流作家クララ・リーヴは、「ロマンスは、伝説上の人物や出来事を扱うヒロイックな寓話。ノベルは、現実の生活と習慣、そして執筆時点の同時代を写実的に描くもの。またロマンスは、高尚で格調高い文体で、かつて起こったこともなく、今後も起こりそうにないことを描く。対してノベルは、我々の目の前で我々自身や我々の友の身に日々起きている出来事を描く」と定義している。 さて、ゴシックロマンスのもう一方「ゴシック」は、高校世界史の文化史ページで習う建築・美術用語であり、中世ヨーロッパで流行した。ゴシックロマンスの読み物が英国で流行したのは18世紀後半なので、ゴシックはその時点から500年も昔の建築様式であり、当時は即「廃墟」、「荒城」、「遺棄された僧院」といったイメージと結びついた。 ゲルマン民族大移動により西ローマ帝国が滅亡。古代が終わり中世が始まるが、そのゲルマン民族の有力な一派に「ゴート族」があり、現スペインに西ゴート王国、現イタリアに東ゴート王国を建国するなど一時は強勢を誇った。「ゴシック」とは「ゴートチック」、すなわち本来は「ゴート的な」という語義であり、ただちに中世を連想させる形容詞だった。 日本の民放の旅番組などではよく「中世ヨーロッパの息吹きを今に伝える古都ホニャララ」のようにポジティブなイメージで使われるが、当のヨーロッパの歴史観においては「中世」とは本来、ダークでネガティブなイメージが基礎となる。ローマが確立した古典古代の美と知性と秩序が、蛮族の侵冦によって崩壊。光は失われ、続く混乱と殺戮、その後の教会支配による狂信によって覆われた、永き闇の時代。それが中世だと認識されているのだ。ゆえに別名「暗黒時代」。その記憶はまさに怪奇モノのモチーフに相応しい。ローマ=古典古代⇔ゴート=中世もまた対概念だ。 そこから発して「ゴシック」の語は今日では「ゴス」と略され、ほぼ「ダークテイストな貴族風の」といった程度の気軽なニュアンスで日常的に用いられ、80年代にはロックのいちジャンルとなり、さらにティーンファッションの一派を形成。それが我が国にも輸入されてアニメ文化と混淆し日本語の「ゴスロリ」となって、今度はそれが欧米にクールジャパンなkawaiiカルチャーとして逆輸入され、新たな興隆を見せているのである(ゴスの歴史をたったの5分でサクッと学べるTED動画もあるので、そちらもご参照いただきたい)。 さて、ゴシックロマンスの舞台は、建て増しに建て増しを繰り返し迷宮化した先祖伝来の城館、と相場が決まっている。中世の冷気がまだ暗がりに残留していそうな古い建物。ゴシックロマンスの元祖『オトラント城奇譚』(1764年)の作者で、大英帝国初代首相の息子であるホレス・ウォルポール自身が、中世のダークな浪漫と大昔のゴシック建築に惹かれ、憑かれたように別荘をゴシック風に何十年もかけ改装した。このレプリカ建築が最初の「ゴシック・リヴァイヴァル様式」となった。 ウォルポールによるゴシック風レプリカ城 本作『クリムゾン・ピーク』の幽霊屋敷もこの様式だ。かの有名なロンドン観光2大名所、ロンドン橋と勘違いされがちなタワーブリッジの二つの塔と、時計塔ビッグベンまで含むウエストミンスター宮殿(=英国国会議事堂)もまたこの様式なのだから(お隣のウエストミンスター寺院は本物の中世ゴシック建築だが)、日本人が英国建築と聞いてまず真っ先にイメージするのがこのゴシック・リヴァイヴァル様式ではないだろうか。 本作『クリムゾン・ピーク』の幽霊屋敷 タワーブリッジの二つの塔 時計塔ビッグベンまで含むウエストミンスター宮殿 貴族作家ウォルポールは、そのこだわりの元祖ゴシック・リヴァイヴァル建築の館内に、珍奇な文物や浩瀚な稀覯本を蒐集し陳列してアトラクション化したのだが、それだけでは飽き足らず、夢想してやまない中世の古城を舞台にした怪奇物語『オトラント城奇譚』を執筆し、このジャンルの祖となったのである。さらには城内に印刷所も併設して、そこで自著の印刷出版まで行った。(続く) <『クリムゾン・ピーク』②~大脱線~ 宮崎駿『カリオストロの城』の話、他> © 2015 Legendary Pictures and Gothic Manor US, LLC. All Rights Reserved. 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存