最初に、あらすじから。

近未来。人類は機械軍に滅ぼされかけたが、英雄ジョン・コナーが現れ反撃に転じ機械軍を逆に壊滅寸前に追い詰めた。機械軍は、タイムマシンでジョン・コナー誕生前にさかのぼりその母サラ・コナーを殺せば歴史改変で一発逆転できると、暗殺用アンドロイド「ターミネーター」を84年に送り込む(ここまで『ターミネーター』第1作目と全く同じ展開)

(ここからが怒涛の新展開)だが84年に現れた途端ターミネーターは、もともとその時代で待ち構えていた同型ターミネーターと、屈強な女戦士サラ・コナーに襲撃される!!

一方、未来のジョン・コナー司令官は母親が84年に殺される事態を阻止するため、腹心の部下カイル・リースをその時代にボディガードとしてタイムマシンで送り込むが、そこでカイル・リースも、姿を変えられる液体金属型ターミネーターT-1000の待ち伏せ攻撃を受ける。

一体全体、何がどうなっているのか!?

 このように、しょっぱなから構成の妙で魅せる本作。懐かしの第1作をなぞる冒頭パートで若い頃のシュワが出てきて、思わず目を疑う。どうやって撮った!? しかも若いシュワvs年取ったシュワの格闘シーンまであるのだが(本当にどうやって撮った!!!!!)、若いシュワは実はフルCGなのだ。『ターミネーター4』(2009)でも終盤で若いシュワが出てきて刮目したが、あれはボディビルダーの身体に若いシュワの顔だけデジタル合成したもの。それでも大したものだったが、本作はフルCG(下画像)。これが、CGだと意識して見ていても全く見分けがつかない超絶クオリティ(本当に下画像↓はCGなんです!)。特撮会社ムービング・ピクチャー・カンパニー公式垢がYouTubeに上げている動画を見ると、何も無い空間にCGで若いシュワがマッピングされていくプロセスをつぶさに確かめることができ、恐い!このテクノロジーがあれば、ある人物が実際にはやっていない犯罪的行為をやっている映像だって余裕で捏造できるのでは…?これってスカイネット級にヤバくないか…?『コングレス未来学会議』(2013)の世界はもうすぐそこだ。

 本作は2015年の映画で、2017年という“超近未来”が後半の舞台。タイトルにもなっている「ジェニシス」とは架空の商品名で、その2017年に発表されるという設定の、スマホ・タブレット・コンピュータ共通のAI型OSみたいなもの。カーナビにも軍のネットワークにも、ありとあらゆる物にIoT的にインストールされている。こいつが、人類を滅ぼす!

 Genesisとは旧約聖書のド頭、「はじめに神は天と地とを創造された」から始まる、日本語だと「創世記」のことだ。SFファンには『スター・トレック』旧シリーズのIIとIIIで耳馴染みがある。あのシリーズにおいては「ジェネシス計画」という、月のような岩石だらけの不毛な惑星を一発で緑・水・大気が存在する居住可能惑星にテラフォーミングする秘密計画の暗号名だった。

 しかし本作は、スペルが違う。正しくはGenesisだが本作はGenisysだ。本作のタイトルも当初は正しいスペルでいく予定だったが、途中でモジった「ジェニ・シス」表記に変更された。「シス」はSYSなので「システム」の「シス」だろう。「ジェニ」のGENIは、軽く調べたが確実なことは分からなかったものの、「genius(天才)」のgeniではないかとの一意見がネット上にあった。Genesisを「天才システム」とも読める間違ったモジり方でGenisysと表記したのではないだろうか。

 ここからはキャスト・スタッフの話。本作でサラ・コナー役を演じるのは、「ゲーム・オブ・スローンズ」で大人気、“焼けずのデナーリス”ことエミリア・クラーク。ちなみにTVシリーズ「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」ではサーセイことレナ・ヘディがサラ・コナー役だった。ターガリエン家とラニスター家がサラ・コナー役を取り合っている?デナーリスが歳とるとサーセイ顔になるのか?という楽しみ方もGOTファンならできるが、もちろん「ゲーム・オブ・スローンズ」を見ていない人だって、そんなこと一切気にせずとも楽しめる内容であることは言うまでもない。

 本作の監督さんはTV畑の人で、まさにその「ゲーム・オブ・スローンズ」も演出している。映画は本作と『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』ぐらいしか撮っていない。TVドラマ監督ということは一般論として、独特の持ち味とか作家性を前面に出すタイプではなく、雇われ監督だけど手堅い仕事をし、エンタテインメント商品としてカッチリ仕上げて納品してくる、優れた職人さんだということ。これは「ターミネーター」シリーズがフォーマットとしてすでに完成されていることの証しだ。腕のある人になら誰に任せたとしても回していけるということ。映画だとヨーロッパ・コープ映画のような、マーベル映画のような、盤石のフォーマットだと言える。

 イ・ビョンホンが液体金属型ターミネーターT-1000役でチラッと登場するが、『G.I.ジョー』(2009)以降順調にハリウッドでもキャリアを重ねていってくれていることは、人ごとながら、韓国人ほどではないかもしれないが、日本の映画ファンとしても、これはかなり嬉しい!『JSA』以来20年ぐらい日本の映画ファンもずっと注目し続けてきた俳優なので、そんな彼の国際的な活躍は、半分我が事のように嬉しい。「ハリウッドよ、気づくの遅かったね」って感じだ。

 イ・ビョンホンだけでなく、カイル・リース役とジョン・コナー役(『エベレスト』のジェイソン・クラーク扮演)の2人はオージーで、シュワはオーストリア(「ラ」が無い方)出身、エミリア・クラークは英国人ということで、ちょい役JKシモンズを除く主要キャストは全員が非アメリカ人だが、にもかかわらず典型的な娯楽ハリウッド大作に見える。

 それはスカイダンス・メディアというプロダクションの持ち味もあるかもしれない。スカイダンス社は「ミッション:インポッシブル」、「G.I.ジョー」、「新スタトレ」、「ジャック・リーチャー」などパラマウント社の人気娯楽アクションシリーズを製作している、That’sハリウッドなイメージのプロダクションだ。とは言えしかし、よく考えると、多国籍スタッフ・キャストが英語で娯楽映画作りすることこそが、ハリウッドの伝統そのものであり、その伝統に正統に連なる典型なのだとも言える。

 来年には新作もくる。キャメロンがプロデュースで『デッドプール』の監督、シュワとリンダ・ハミルトンがまさかの再共演で、2019年公開予定とのこと。その前に本作を見ておいてほしい!■

 

© 2018 Paramount Pictures.

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存

保存保存